戦闘機1台の輸出が国産中型自動車1000台の輸出に匹敵するという話を聞いたことがありますか。それだけ武器体系の中でも戦闘機の付加価値が大きいということです。ちょうど最初の国産戦闘機KF21の量産段階への進入が目前に迫っており、この分野への関心が高まります。
ところでKF-21戦闘機の心臓であるエンジンは誰のものでしょうか。米国ゼネラル·エレクトリック(GE)の「F414」エンジン設計図を受け、韓国でライセンス生産します。事実上、心臓はアメリカ産と同じです。航空エンジン開発技術を持つ国が全世界に6カ国(アメリカ·イギリス·フランス·ロシア·ウクライナ·中国)だけだからです。 (中略)
前述した通り、国産戦闘機KF-21や軽攻撃機FA-50エンジンはすべて米国GEのものです。したがってKF-21とFA-50を他国に輸出するにはアメリカの承認が必要です。 もしアメリカが「No」と言ったらエンジンを手に入れることができないので輸出が不可能です。2020年、アラブ首長国連邦とK9自走砲の輸出契約を結んでも、ドイツのエンジン輸出禁止のため、結局輸出できなかったのと似たような一種の心臓麻痺が生じる可能性もあるのです。つまり、航空エンジンの開発は自主国防の問題だけでなく、K防衛産業の未来がかかっている問題です。 (中略)
戦闘機に入るエンジンは推力が1万5000ポンド以上でなければなりません。防衛事業庁が今年2月の「ドローンショーコリア2023年カンファレンス」で、「1万5000ポンド級の新型ターボファンエンジンを2037年までに開発する」と発表し、話題になりました。その程度のエンジンなら、アフターバーナーまで装着する場合、KF-21に搭載されたF414エンジン(最大推力2万2000ポンド)に匹敵するからです。ただ、まだ具体的な計画というよりは宣言的な水準です。
(引用ここまで)
韓国がKF-21の輸出(や共同開発)に際してアメリカの意向をさかんに気にしています。
それもそのはずで、KF-21のエンジンはGE社のF414。
アメリカがノーといえばそれに逆らうことはできません。
記事中にもありますが、K-9自走砲をUAEに輸出しようとしてドイツからノーを突きつけられたこともありますし。
韓国の訓練機兼軽攻撃機であるFA-50(T-50I)をインドネシアに輸出した当初、アメリカからの許可が下りずにレーダーが使えない状態でした。
あるいはT-50のウズベキスタンへの輸出もアメリカの横やりで潰されています。
韓国を裏切るインドネシア。「KF-Xに出せるお金はない」と言いつつ、ラファールの購入を推進へ(楽韓Web過去エントリ)
「韓国の独自技術で開発された」はずの超音速練習機T-50、アメリカから「我が国の技術流出は不可」とされて輸出禁止に(楽韓Web過去エントリ)
これら以外にもアルゼンチンにT-50を売ろうとしたのだけども、イギリスのマーチンベイカー社の射出座席を採用していたので許可が出なかったなんてこともあったはず。
というわけで「輸出を自由にするためにも技術独立」が叫ばれていまして。
2037年までに戦闘機用ジェットエンジンを独自技術で製造することを宣言しているのです。
目標スペックは1万5000ポンド。
うん、まあ……がんばれ。
なお、韓国では自国の戦闘機用エンジンの技術水準はアメリカに比べて60%ていどである、としています。
人工衛星·極超音速·ミサイル防衛技術、米英の50〜60%にとどまる(韓国経済新聞・朝鮮語)
なにをもって「60%ある」としているのかは不明ですが。
これまでF404、F414(予定)、F110といった戦闘機エンジンのライセンス生産はしていることもあって、「あるていどの技術はある」としているんでしょうけどね。
UAVのエンジンを製造するのとジェットエンジンとじゃ技術水準はまるで違いますわな。
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