政権交代が有力なポーランドで10月の総選挙以後、前政権が締結した契約が無効化されかねないという展望が出てきた。 韓国からの防衛装備の輸入も無効になる可能性が提起されている。
10日(現地時間)、ロイター通信によると、野党連合の一員である「ポーランド2050」所属のシモン・ホロブニア下院議長は同日、民放「ラジオジェット」に対し、「法と正義党(PiS)臨時政府が署名した合意は無効になる可能性もある」とし、10月15日の総選挙以降、PiSは予算を使わず、国家管理だけに権限を制限すべきだったと述べた。
先立って10月15日の総選挙で執権党であり民族主義指向右派保守政党であるPiSは下院で35.4%を得票するにとどまり第1党になったが、過半数確保に失敗した。 一方、欧州連合(EU)首脳会議常任議長を歴任したドナルド·タスク元首相率いる市民連合(KO)が主導する野党連合は、過半数の議席を獲得することに成功し、8年ぶりに政権奪還を目前にしている。 PiSのマテウシュ·モラビエツキ首相が信任投票で予想通り敗れた場合、野党連合が11日に政権を獲得できる見通しだ。
ロイター通信は前政権の合意が無効化される場合、韓国の防衛産業輸出にも火の粉が飛ぶという観測を出した。 新政府の国防長官と予想されるポーランド農民党(PSL)のウラジスラヴ・コシニアカミッシュ代表は前日、マスコミとのインタビューでポーランド独自の防衛産業に対する投資の重要性を強調し、「PiS政府が10月15日以後に締結した契約は分析と評価を経るだろう」と述べた。 (中略)
これに先立ち、ロシアのウクライナ侵攻後、国防力増強を図っているポーランドは、韓国と数十億ドル分の兵器購入契約を締結し、国内の期待を集めている。 しかし、今回の政権交代問題に資金不足まで重なり、武器輸出契約が失敗に終わる恐れがあるという憂慮が多数提起された状況だ。
フィナンシャルタイムズ(FT)も11月「韓国は防衛産業輸出契約の一部がポーランドの政権交代と資金不足により危険にさらされる恐れがあると憂慮している」と報道した経緯がある。 韓国政府はポーランドの資金調達を支援するため、先月、5大都市銀行の関係者を呼んで共同融資の形で金融支援を行う案について話し合ったという。
(引用ここまで)
「ポーランドへの兵器輸出でうっはうは」としていた韓国ですが、ポーランドが政権交代したこともあって輸出そのものがなくなりそうだとのニュース。
そもそも、韓国側もK2、F/A-50の輸出に際してポーランドに貸出をする予定だったのですが。
担当の輸出入銀行の貸出枠を拡大することができずにいる状況。
韓国のポーランド武器輸出が暗礁に…国会空転で資金調達に支障(中央日報)
9月時点でこれ。
けっきょく、国会での承認が得られずに民間の5大銀行を集めてなんとか資金を調達……というか、捻出しようとしているところでした。
韓国にはメガバンクがないために、こうした国家同士の借款の伴う取引に極端に弱いのですね。
原発輸出をUAEに対して成功させましたが、その時も「60年運転保証、韓国軍派遣確約、全額借款」というオプション付きで、かつ国際市場から借りてからUAEに貸しつけたことで逆ざやになる始末だったことが後日に語られています。
この時も「メガバンクがあれば資金調達が楽にできるのに……」みたいな話がありましたね。
ドル建ての総資産額で毎年ランキングが発表されるのですが、韓国の銀行が上位50位に入っていたことは1度もないんじゃないかな。
総資産で1兆ドル以上とされるメガバンクはもちろん存在しません。……もしかしたらウォン安で入っていないだけかもしれませんけどね?
ちなみに韓国以上に円安が進んでいる日本は三菱UFJ、三井住友、みずほ、ゆうちょが総資産1兆ドル以上となっています。
閑話休題。
そうした韓国での資金調達問題がありつつ、さらにポーランドの新政権からは「我々は我々自身の防衛産業への投資を考えなければならない」とする意向が働いています。
とりあえずK2に関しては第1次契約の180輛はともかく、その後のK2PL(ポーランド向けにアレンジしたもの)820輛についてはキャンセルの可能性が高い。180輛もどうなることやら(初期の28輛については納入済)。
FA-50についても初期12機は納入される(された?)のでしょうが、それ以降の36機の行方は暗め。
どうも韓国としてはKF-21の輸出国としてポーランドに期待していたらしいのですけど、それどころじゃなくなっている感じですね。
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