半導体製造強国である韓国と半導体装備強国であるオランダが次世代半導体人材養成段階から緊密に協力することにし、国内半導体業界が喜んでいる。
最先端装備を扱う人材不足などで工場建設遅延事例を経験している台湾企業や半導体強国への再跳躍を狙う日本としては、今回の韓国とオランダ間の半導体同盟が羨ましいという評価が出ている。
13日、政府および関連業界によると、オランダ企業ASMLは三星電子と1兆ウォンを一緒に投資し、国内に先端半導体微細工程技術を開発する研究施設を建設することにした。
次世代極紫外線(EUV)基盤の超微細工程を開発する「次世代半導体製造技術R&Dセンター」としてASMLとサムスン電子はそのための了解覚書(MOU)を締結した。
ASMLは超微細工程半導体製造に必須なEUV露光装備を全世界に独占供給し「スーパー乙」企業として通じる。 ASMLが半導体製造企業と共同で海外に半導体製造工程開発のためのR&Dセンターを設立するのは初めてだ。 (中略)
現在、国内半導体業界は人手不足に苦しんでいる。 最近、医学部の定員拡大で、ただでさえ不足している最上位人材が医学部に集中しかねないという懸念まで出ている。
韓国半導体産業協会によると、2031年の国内半導体人材規模は30万4000人に増加するが、2021年基準の半導体人材規模は17万7000人に過ぎない実情だ。 半導体産業の成長速度に人材需給が追いつけずに生じる人材難だ。
韓国だけでなく米国、台湾など主要国家企業の間で半導体人材確保が難しく投資を延期したり、生産施設稼動に支障をきたす事例がたびたび発生している。
だが、政府次元で今回オランダと半導体同盟を結んだうえにユン·ソクヨル大統領が直接「両国間の半導体協力のために全面的な支援をする」と明らかにしただけに優秀な技術人材を確保できるという期待が高まっている。
特にASMLが半導体製造企業と海外に半導体製造工程開発のためのR&Dセンターを韓国に初めて設立することにしたことで、半導体グローバルサプライチェーンで韓国の立地を強化したという分析も出ている。
アン専務は「台湾TSMCもすでにASMLと人材交流をしているが、R&Dセンターを全世界で初めて韓国に建設することにしたことは意味が大きい」として「ASMLと競争立場である日本企業はある意味自国の顧客を(オランダに)奪われたわけ」と分析した。
また別の業界関係者は「我が国は米国と日本などに半導体部品、素材側面で依存度が大きいが、今回のオランダとの同盟を通じてサプライチェーン多角化をしたという点で意義を見出すことができる」と分析した。
(引用ここまで)
えーっと。
韓国で「ユン・ソンニョル大統領がオランダを訪問してASMLを説得したのだ」との話が出てまして。
なんでも「韓蘭半導体同盟」なのだそうですよ。
尹大統領がASML本社を訪問 オランダと「半導体同盟」構築(聯合ニュース)
韓国とオランダ「半導体同盟」を公式に明文化…ホットラインも作る(中央日報)
ASMLが韓国にR&D拠点を作るってことで。
なにやら韓国メディアが「半導体製造で反転攻勢を狙っている日本が腹を痛くするだろう」とか言っているんですが。
ASMLは北海道にも技術支援拠点を設立することを表明しています。
半導体装置ASML、北海道に新拠点 ラピダス工場に協力(日経新聞)
10ナノ以下の極微細EUV、極紫外線を用いた露光装置はASMLにしか作れないので、こうして三顧の礼で迎えなければならないのですよ。
TSMCはEUV露光装置をすでに100台以上購入しているそうですが、サムスン電子は40台ほど。
サムスン電子のメイン商材であるDRAM製造にはそこまでの微細化が必要ないのですね。
TSMCの1/5規模で続けているファウンドリ事業でしかEUV露光装置を使用しないから、そこまでの数が必要ないっていうのも実際かな。
ただ、サムスン電子とASMLが契約していただけだった模様で。
なんなら「ユン大統領が大量の側近を連れて工場を見学したい」って言い出したことで、オランダ政府は在蘭韓国大使を呼び出して「いい加減にしろ」と叱りつけられたそうです。
「半導体同盟」誇示の過程で韓国大使が呼び出され…尹政権は疑惑の解明を(ハンギョレ)
ムン・ジェイン大統領(当時)がサムスン電子のインド工場竣工式に出しゃばってテープカットの主役をやっていましたが。
サムスン電子のインド工場竣工式なのに、テープカットのセンターにはなぜかムン・ジェイン→さらに大統領府から「我々は副会長を招いていない」と宣言される……そこまで財閥が嫌いか(楽韓Web過去エントリ)
韓国の大統領は5年で一定以上の実績を積まないとダメなので、こうしたことをやりがち。あと外遊の成果を盛りまくる。
パク・クネがイランで「42兆ウォンクラスの経済協力を結んできた」ってやったのですが、それほほとんどが嘘だったなんてこともありましたっけ。
そうした文脈で見ると、今回のユン大統領のオランダ訪問もそれほどの成果ではなかった(サムスン電子とASMLの商談でしかなかった)というオチになるのでしょうね。
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