2022年からの急な利上げに触発された不動産沈滞が2年近く続き、建設・不動産業全般に暗い影を落としている。高金利と不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良化の懸念で建設現場に資金が回らない流動性悪化が激しくなり、不動産開発業者から建設会社、下請け業者などに危機が広がっている。
13日、釜山(プサン)のあるマンション建設現場。ここで3カ月間にわたり作業員向け食堂で昼食を作っていたという女性は「5000万ウォンの売掛金がたまっているが回収できるか不透明」と涙を流した。通常の作業員向け食堂は工事を行う複数の下請け業者が食事代を渡すが、これら企業も工事を総括する建設会社から工事費を受け取れずにいるために起きていることだ。下請け業者関係者は「われわれも作業員の月給を払えていないのに建設会社は待ってくれとばかり言う」としてため息をついた。
毎日のように地方の有力建設会社が倒産するかと思えば建設業の賃金未払いも急増している。住宅取引が急減し廃業する不動産仲介業者が全国的に毎月1000社以上出ている実情だ。
国土交通部によると、今年に入り13日までで建設会社の廃業申告件数は844件と集計された。前年同期の751件より11%ほど増え、同期間基準ではこの10年で最多だ。資金難に耐えられず不渡り処理された地方の建設会社も今年に入り6社に上った。昨年1~3月の3社と比べ2倍に増えた。 (中略)
1月基準で全国の売れ残り6万3755戸の約85%に当たる5万3595世帯が地方に集中している。主に首都圏にマンションを作る大手建設会社は独自に緊縮し持ちこたえる体力が残っているが、売れ残りを抱え込んだ地方の中小建設会社で不渡りや廃業が相次いでいる理由だ。
建設業不況の中で仕事を失う人も増加している。雇用労働部によると、1月の建設業の失業手当申請者数は2万700人で、昨年11月の1万600人、12月の1万2700人に続き増加傾向だ。建設業の賃金未払い額は昨年総額4363億ウォンで1年間に49%急増したためだ。新規就業者の規模を計る建設業雇用保険加入者数は昨年8月から7カ月連続下り坂だ。韓国の不動産信託会社14社の昨年の年間当期純利益も2491億ウォンで前年比61%急減した。
また別の業種である不動産仲介業者も泣き顔だ。休廃業が昨年から全国的に毎月1000件以上ずつ出ている状況だ。公認仲介士協会によると、1月の廃業業者は1177社、休業業者は127社で新規仲介業者の1117社を超えた。1月基準で廃業業者が新規を上回るのは2015年に関連統計を集計し始めてから初めてだ。開発会社の数も2018年の2250社と比較すると半分になった。通常は春の引越しシーズン直前で取引が多い1月に廃業が増加したのも異例と評価される。 (中略)
不動産景気が停滞しその波紋が全方向に及んでいる格好だ。実際に建設業が韓国経済で占める割合は大きい。建設業は韓国の産業群で2022年に付加価値335兆818億ウォンで国内総生産(GDP)の15.5%を占める。建設業就業者が雇用全体で占める割合も2023年に7.4%に達した。
(引用ここまで)
韓国の建設不況は稀に見るレベルになっている、とのニュース。
バブルがはじけて……というわけでもないのですね。
ただただ、需要が萎れている。
特にひどいのが売れ残りのマンションが6万3700件。その85%に相当する5万3500件が首都圏以外。
もう地方ではよほどのことがないかぎりはマンションは売れないってことですね。
立地が極端にいいとか、景観がどこよりもよいとか。
その一方で首都圏でも1万件が売れ残っているのです。
まあ、一概に「首都圏」と言ったところでソウル以外にも仁川市、京畿道を含めているのでソウルはまだなんとかなっている可能性のほうが高いのですけどね。
なぜここまでマンションを建てたのかというと、やはり韓国の風習に帰結すると思います。
男子は20代、遅くても30代にはマンションを手に入れなければ結婚する資格がない、というもの。
これが極端な少子化の大きな理由なのは間違いないところ。
そしてもうひとつの理由は、「なにがあろうとも不動産価格は下落しない」という意識。
まあ、実際に1980年から2020年の40年間で米の価格は3倍になったのですが、江南のマンションは84倍になったそうですよ。
下記エントリでそのあたりを語っています。
韓国メディア「我々はマンションに囚われたマンション共和国に住むホモ・マンショヌスだ」「すべての土地をマンションにするだけだ」(楽韓Web過去エントリ)
ただ、ムン・ジェイン政権の5年間でソウルのマンション価格は2倍になり、もう庶民の手に届かないものになってしまった。
結果、需要が萎れてしまった……ってことです。
買えるものなら買いたい。ヨンクル族のように魂をかき集めてでも買えるのなら買いたいのですが。
魂までかき集めても買えなくなった、というのが現実です。
……金利が下がったらまた好況になったりするんですかね?
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