尹大統領はどのような道を選ぶべきだろうか。 (中略)
40年以上憲法の理論と実務に携わったものとして、大統領に提案したい。改憲を通じて合憲的に任期1年を短縮し、保障された任期内に無理なく国政を遂行できるよう、50年近く続いた現行の1987年改正憲法はもはや全般的に見直すべき時期になった。(中略)(再選なしの1期5年から)任期を4年に変更し再選を認める大統領制度へと、ワンポイント改憲を進める方法もある。 (中略)
韓国の憲法は大統領にも改憲案発議権を与えている。大統領の提案で年内に改憲し、憲法附則に2026年5月までと現行大統領の任期を明示し(1年短縮)、同年上半期の地方自治体首長選挙日に大統領選挙を同時実施する。これは現在、地方選挙、国会議員選挙、大統領選挙の三つに分かれている選挙周期を二つに減らすものだ。
任期4年が保障される限り、国会議員も改憲案に反対しないだろう。大統領は残りの任期の間、バランスの取れた人物で内閣を構成し、国政を導いていけば、短縮された1年の任期を相殺することもできる。拍手されながら去る初の大統領になるかもしれない。
(引用ここまで)
韓国の大統領制度は5年単任制であるが故に、皇帝的ともいえる権力の集中が起こっているのは間違いないところ。
何度か任期4年で2回までの再任ありというアメリカ型大統領制に移行すべきだとの話は出ているのです。
古くはノ・ムヒョンが改憲を発議していますし、ムン・ジェインも発議をしています。
盧大統領「大統領4年再任制」のための改憲を提案(駐日韓国大使館)
文大統領が改憲案発議(日経新聞)
どちらも国会の承認が得られずにポシャっています。
パク・クネ元大統領も改憲の発議までは行きませんでしたが、その方向性を述べたことがあります。
朴大統領 任期内の改憲表明=大統領の再任禁止・任期5年制(聯合ニュース)
まあ、そんなこんなで何度か提唱されてはいるのですが、これまで実現していません。
単任5年で権力が集中することで「おいしい」思いをできる人々も少なからずいますしね。
んで、このコラムでは「4年制再選可能にすると同時に、憲法付則でユン・ソンニョル大統領の任期を1年縮めよう」と提唱しています。
実は韓国の大統領制度は改憲内容に任期延長や重任変更があったとしても、その効力は改憲時の大統領には及ばないとする憲法内容があります。
大韓民国憲法128条2項
「大統領の任期延長又は重任変更のため憲法改正はその憲法改正提案当時の大統領については効力がない」
なので、ムン・ジェイン前大統領の再任をいくら日本から望んだところでムン・ジェイン本人には効力が及ばないのでした。
軍事政権時代に好き勝手に任期をいじったことの反動ですね。
ただ、このコラムでいうところの「任期の短縮」であればできないことはないのか。
ユン大統領にとって、短縮なんてやる意味がないのでやらないでしょうけども。
そもそもがユン大統領が4年制再選ありだけの憲法改正発議をしても、国会が承認しない可能性がありますね。
なぜって「ユン大統領になにも実績を積ませたくない」からです。
たとえ自分たちが望むような政策であったとしても、反対しかねないのです。
野党側には「与党と協力して国策を進めよう」なんて意識、まったくのゼロですからね?
まあ、そうさせないためにも「ユン大統領は任期を1年短くすべきだ」って話なのでしょうけどね。
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