韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁が5月の基準金利決定と関連し、「4月の通貨政策方向会議が今月の通貨政策方向会議の根拠にするのが難しかった」と明らかにした。米国の通貨政策と韓国の経済成長、地政学的リスクのような主要前提が変わり、韓国銀行の金利調整議論が事実上原点に戻った形だ。
李総裁は2日、アジア開発銀行(ADB)年次総会参加に向け訪問したジョージアのトビリシで記者懇談会を持ちこのように明らかにした。李総裁は「原点と表現すべきかわからないが4月の金融通貨委員会当時と状況が変わり(通貨政策方向を)点検し直さなければならない。5月の通貨政策方向会議がとても重要だ」と話した。 (中略)
米連邦準備制度理事会(FRB)は1日の連邦公開市場委員会(FOMC)会議を通じ金利を6連続で据え置いた。高物価基調が続く中で当初予想された年内3回でなく1~2回水準の利下げがなされるだろうという観測が出ている。李総裁は「世界が考えるのは堅調な景気、物価水準を見ると米国金利引き下げ時点が後回しにされたということ」と伝えた。
(引用ここまで)
韓国銀行(中央銀行)総裁が「金利引き下げについては原点と表現していいか分からないが、さまざまな点検をし直さなければならなくなった」と発言。
要するに米FRBの金利引き下げ時期が不透明になったので、韓国はその余波を受けているってところですかね。
FRBが金利据え置き:識者はこうみる(ロイター)
日本の160円にまで達した円安進行もそれを受けてのものだったのですが、「数日で何円も上下するような投機的動きには対応する」とした日銀の対応と、3日に発表されたアメリカの雇用統計の悪化(利下げに働く=円に有利)で現在は1USD=152.98円。
韓国ウォンも1USD=1400ウォンくらいを目指していた感じでしたが、1356.05ウォン。やや落ち着いたかなといったところ。
韓国の立場としてはいったん、いろいろと白紙に戻して最初からやり直しってのもまあしょうがない。
とりあえず上半期の利下げはなくなったと判断してよいでしょう。
何度か書いていますが、韓国はアメリカの利下げを本当に願っている状況でして。
根本的に景気が悪いので本来であれば金利を下げたいのですが、キャピタルフライトが恐ろしくて身動きが取れない状況が続いています。
現状の金利が続くと不動産の流動性が低くなったまま。
不動産がどうにかならないかぎり、韓国の景気が上向くことはありません。
ただまあ、不透明とはいえども年内に少なくとも1回の金利下げはあるだろうとは予測されています。
雇用統計も予想より悪かったですしね。
FRB再び笑顔、利下げ観測広がる-市場関係者の見方(Bloomberg)
この「今年に利下げ1回」が韓国の福音となるのか、それとも「間に合わない」のか。
個人的な予測ではぎりぎりで間に合うかなぁ……って感触です。ただ、0.25%の利下げがあったとして実効力はどこまであるのかは若干の疑問。
「利下げの気分」がどれくらい波及していくのか、ですかね。
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