サムスン電子は人工知能(AI)半導体市場で「マッハ」の速度でNVIDIAに追いつくことができるだろうか。 音速(音速)は秒速343メートル、時速1235キロに達する。 これを基準に速度が何倍かを示す単位が「マッハ」だ。 ところが音の速度ほど速いという意味の「マッハ1」という単語は先月、サムスン電子の野心作であり秘密兵器の名前としてもびっくり登場した。
三星(サムスン)電子DS部門(半導体)代表取締役社長のキョン·ゲヒョン氏は先月20日、定期株主総会後に行われた「株主との対話」で、「マッハ1」と命名したAI加速器について言及した。 AI加速器とは、AIを具現して実行するのに特化したハードウェアを意味する。 マッハ1は三星電子が初めて独自開発し、来年初めに発売する計画のAI半導体チップにつけた名前。 マッハ1と命名したのを見れば、サムスン電子もAI速度競争に飛び込んだという意味が込められており、市場に衝撃を与えるという意志もあるように見える。
では、マッハ1はどうやってNVIDIAの牙城を崩して疾走しようとするのか。 今のAI加速器ではデータ「ボトルネック現象」が作業処理を遅らせる。 処理しなければならないデータは日々増えているが、情報がメモリとAIチップの間を円滑に行き来できずにいる。 これに対し、NVIDIAの高性能GPU H100では、まるで道路の幅を増やすようにHBM(High Bandwidth Memory·高帯域幅メモリ)を使ってデータボトルネック現象を減らそうとしている。 HBMはDRAM(情報を書き、消すことができる電子機器用メモリー半導体)複数を垂直に連結し、一度に大量のデータを処理する超高性能・超高容量メモリーだ。 ところが、この方法は高価で、供給が不足し、電力消耗が大きい。
マッハ1では全く違う方法を使う。 データという車が通るように道路の幅を広げる代わりに、道路を通る「トラック」サイズのデータを「軽自動車」サイズのデータにスリムに圧縮する。 発想を変えたわけだ。 マッハ1は「NPU(Neural Processing Unit·神経網処理装置)」基盤のAI加速器だ。 NPUとメモリーの間でもボトルネック現象は現れる可能性がある。 これを避けるために、マッハ1はまずNPUとメモリの間で交換しなければならないデータの大きさ自体を減らす。 データ自体を圧縮するものである。 同じ情報を表現してもメモリー分量を減らす「信号処理(Signal Processing)」技法を使った。 第二に、「量子化(Quantization)」技法も使う。 人工知能網内のパラメータ(媒介変数)を表現する際、小数点16桁まで計算していたものを4桁まで計算することもできるようにし、データのぜい肉を一気に減らす。 そうすればデータ量が減る可能性がある。 第三に、AIモデルのパラメータの大きさ自体を減らす。 敢えてこの演算に必要ではないと思うものは、情報パッケージから間引くデータのプルーニング(Pruning)技法だ。
(引用ここまで)
サムスン電子がオリジナルのAI用チップ「マッハ1」を製造したとのこと。
小数点16位まで計算していたものを小数点4位までで切り捨て、データサイズを小さくして高速化を図った……とするのですが。
まあ、アーキテクチャはいろいろあるでしょうからなんとも言えませんが。
問題はnVidiaのCUDAを前提に「総合AIソリューション」として提供できている環境を上回ることが可能なのかって話ですね。
あのジム・ケラー氏がAIチップを設計しているとの話なのですが、開発環境もろとも提供する予定だそうです。
そうした「環境」を提供することが可能なのか。
もうひとつ、不安に感じる部分はサムスン電子のオリジナルチップ、って部分ですね。
Exynosシリーズが同世代のSnapdragonに負けていたって話もありますし、ExynosベースとされるGoogle Tensor Gシリーズもそこまでの性能でもない。
そして歴史を紐解くと、2002年に高らかに「ARM10ベースの1.2GHzのプロセッサ、Hallaを発売する」と宣言したことがあるのです。
【MPF 2002 レポート】非x86関連もチェック(3)-400MHzプロセッサを3倍速で動かすSamsungのHalla(マイコムPC Web・WebArchive)
その後、3GHzで動作するSorakを開発するだろうとされていたのですが。
出ませんでしたー。
もしかしたら出たのかもしれませんが、少なくとも把握できるかぎりの範囲内では観測できませんでした。キャンセルされたんじゃないでしょうかね。
ま、20年以上前の話ではありますが。
このあたりですでにサムスン電子のプロセッサについての発表は眉唾だな、って認識になってはいました。
なので昨今の「Exynosが負けている」とされても「そりゃそうだよね」となるし、「マッハ1はnVidiaのAIプロセッサを圧倒する」ってされても「まあ、言うだけはただだしね」って感じるのです。
企業文化ってヤツですよ。
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