ソウル麻浦区(マポグ)は14日、半地下住宅に設置する浸水防止施設である水止め板の材質を不透明なアルミニウムから透明なポリカーボネート素材に改善し、安全と都市美観を全て確保したと発表した。
止水板は集中豪雨の時、窓から入ってくる雨水を防ぐ施設だ。 アルミニウムで製作された既存の止水板を設置すれば、半地下住宅に日差しがよりよく入らず、住民が窓の外を眺める時に視野を遮って息苦しい感じを与える。 建物の美観にも良くなく、建物主が設置を拒否して大雨が降った時、借家人が浸水被害を受けたこともある。 (中略)
パク・ガンス麻浦区庁長は、「浸水を防ぐことはできるが、(建物主が)美観を害するという理由で設置しない状況を放置することはできず、透明な水止めを積極的に導入することになった」とし、「区民の安全と直結する事案には、さらに積極的に行政を展開する」と述べた。
(引用ここまで)
韓国気象庁から「今年の梅雨は平年よりも降雨量が多い」との予想が出ていまして。
半地下の住人たちは「今年もか」と恐れをなしているとの話。
一昨年、とんでもない集中豪雨がソウルを襲いまして。
もっとも有名になったのはこの画像かな。
盆地であり、かつ水はけもそれほどよくない江南(それでも韓国では唯一無二の高級住宅街)はこのようにしてほぼ水没し、数千台規模で「水没した高級車」が市場に出回ったとのこと。
半地下の家族3人が犠牲になるという痛ましい事故もありましたね。
ソウルの大雨で半地下の家族が全滅……床上浸水でなけなしの財産をなくす人々も……(楽韓Web過去エントリ)
この家族が亡くなったことでようやく政府も重い腰を上げて半地下住宅対策に乗り出したのですが。
大半の人は半地下に住みたくて住んでいるって話ではないのです。
家族何人かでそれなりの広さを確保して住むには、予算的に半地下しかないのが実情です。
社会的弱者がいて、そこに対応する形での住居になっているわけで。
「移転してくれ」って言われても「どこに!」ってなってしまうのです。
そして水害が起きればただ浸水するにまかせるしかない。
逆流防止弁が備えられているわけでもない。水死が先か、感電死が先か。
窓には金属製の柵ががっしりと備えられているので脱出もほぼ不可能。
浸水してしまえば扉も開きませんしね。
こんな感じでなんとか脱出したなんて家族もいます。
(画像引用元・ニュース1の記事から画面キャプチャ)
そこで公的資金で止水板を貼ろうとの運動が起こったのですが、建物の持ち主が「美観が悪くなる」「洪水が起きる場所だと分かってしまう」として拒絶するとのパターンがけっこうあるそうです。
今日にもソウルに集中豪雨か……去年の被害から止水板の設置が……え、進んでないの?(楽韓Web過去エントリ)
その美観に対応したポリカーボネイト製の止水板を開発して、持ち主に「これでなんとか妥協してもらえないか」ってやっているそうです。
韓国では人の命よりも不動産価格のほうが大切なのですよ。
これは普遍的な価値観です。
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