東海に最大140億バレル規模の石油·ガスが埋められた可能性があるという政府発表を契機に1970年代から「産油国の夢」を持たせた7鉱区にも関心が集まる。
第7鉱区は、韓日大陸棚共同開発協定によって、この数十年間、共同開発を推進してきたところだ。
ただ、日本側の消極的な態度で、これといった成果はない状態だ。
こうした中で日本が「独自開発」を念頭に置いて協定終了を宣言できるという観測が続き、日本に7鉱区を丸ごと奪われないためには政府の先制的対応が必要だという声が大きくなっている。 (中略)
日本の上川洋子外相は2月、衆議院で「再交渉を含め諸般の事情を総合的に判断し適切に対応する考え」とし「国連海洋法規定や国際判例に照らして中間線を土台に境界を確定することが公平な解決になると考えられる」と明らかにした。
日本側が主張するいわゆる中間線を土台に韓日が再び鉱区開発権を調整すれば、相対的に日本と近い海域である7鉱区の管轄権の大部分が日本に属することになる。
日本が7鉱区の共同開発廃棄や共同開発協定の再交渉の手順に乗り出したという憂慮が続いている中、日本がこれを実行に移すには相当な制約が伴うのも事実だ。
最大の変数は中国だ。
中国は、韓日共同開発協定後、東シナ海に位置する7鉱区の相当部分が中国大陸から伸びている自国側の大陸棚だと主張してきた。 (中略)
専門家たちは、中国の進出を抑制する効果があった韓日共同協力体系が崩れ、力の空白が生じれば、中国がこれを好機と考え、この一帯で一方的な独自開発に乗り出すなど、勢力拡大に乗り出す可能性があると観測する。
実際、中国は南シナ海などの紛争海域で他国の反発にも力を入れて独自の資源開発に乗り出した事例が少なくない。
ここに韓日対立まで加わり、7鉱区の管轄権争いは外交葛藤を越え、韓中日3国の資源開発の角逐戦につながりかねない。 これは7鉱区が紛争地域に浮上する恐れがあるという憂慮につながる。 (中略)
したがって韓国政府は、日本が共同開発協定を廃棄しようとする本音があるが、これを実行するのが難しい要因が多いと見て、日本を相手に「共同協力」の必要性を引き続き説得するという基調を維持している。
(引用ここまで)
韓国で「日本海(韓国名では東海)に大規模な海底油田が発見された。天然ガスは最大で29年分、石油は最大で4年分が埋蔵されている」との発表がありました。
これをわざわざ大統領自ら発表するあたり、現在ユン政権が置かれている苦境がどれほどのものかを察することができますね。
韓国尹大統領「浦項迎日湾近海に莫大な石油・ガス埋蔵の可能性」(中央日報)
とはいえ、実際には蓋を開けるまで分からないのがガス田、油田の常。
以前、INPEXが試掘していた山口沖の海洋ガス田も「なくはないけど採算ベースは無理」で終了しました。
で、その「日本海のガス田」の余波でまた第7鉱区にスポットライトがあたっているというわけです。
第7鉱区についてはこれまで何度かピックアップしていますね。
ユン政権になってからこっち、(ムン政権との比較では)それなりにうまくやれている日韓関係において最大の時限爆弾となりかねないものとなっています。
楽韓Webで最初に第7鉱区について扱ったのは2022年か。
思ったよりも話題にしていませんでしたね。
有望なガス田、油田があるとされる日韓大陸棚協定が残り4年あまりで終了……日本が協定に基づくガス田の共同開発を断り続けた理由とは?(楽韓Web過去エントリ)
この図のピンク部分が韓国側が言うところの第7鉱区。現在のEEZの考えかたではそのほとんどが日本側のものとなります。
といったわけで、韓国では「なんとしてでも日韓大陸棚協定を存続させる方向でいかなければ」としているのですが。
「中国の脅威を喧伝することで日韓協力を促せないか」ともしていますが、そもそも韓国が関係ない海域ですし。
中国はフィリピン、ベトナムと資源を争っているのですが、その結果としてフィリピン、ベトナムを日本、アメリカ側につかせることになりました。
二カ国とも対中意識は相当に悪化しています。
ここでも中国が出てこれるかどうか。
韓国の思惑通りにはならないと感じます。というか、たとえ中国が出てきたとしても韓国関係ないからな、実際問題。
韓国が中国関連でなんの助けにもならないことは、パク・クネ(とパン・ギムン)による中国戦勝パレード参加や、韓国のAIIB参画、さらにはムン・ジェインの中国国賓ひとり飯の旅でも分かりきっていること。
だったらアメリカや国際司法との連携を強めたほうがいいわけで。
そもそも中国出てこない可能性のほうが高いと思いますよ。
なぜって「現状で出てきていない」のですからね。
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