12日、半導体業界によるとTSMCに注文が殺到し、来年度の値上げが既定事実となっている。 米投資銀行のモルガン・スタンレーは報告書を通じて、TSMCは家電製品と先端コンピューティング分野で高性能プロセッサーの需要が多く、2025年にすべての顧客タイプに対するウェハー価格の引き上げを考慮していると伝えた。
NVIDIAなどのAIおよびHPC(高性能コンピューティング)顧客との交渉で、4ナノ級ウェハーの価格を1ウェハー当たり約1万8000ドルから約2万ドルに引き上げ、これによって4ナノおよび5ナノノードの合計平均販売価格(ASP)は11%程度引き上げられるものと予想した。
アップル、クアルコムのようなスマートフォンおよび家電製品顧客社とは価格交渉議論がまだなされていない中で、全般的には受け入れる兆しだと伝えた。 これに伴い、来年3ナノウェハーのASPは4%水準に引き上げ、企業は生産費用を消費者に転嫁する余地があると見通した。
来年の物量まで注文量がいっぱいになるなど需要が集中する中で、サムスン電子のExynos2500の量産はさらに重要になった状況だ。 (中略)
三星電子のファウンドリー事業部としても、Exynos2500量産は、グローバルファブレス(Fabless)企業に微細工程での歩留まり、安定性を証明する契機になるのと同様であるため、死活をかけなければならない状況だ。 これまで業界内外ではExynos2500収率に関して20~40%水準まで色々な推測が出てきた。 量産のためには通常、収率60%以上は出なければならない。
業界のある関係者は「TSMCに注文が殺到し、来年度の価格引き上げは避けられないものと見られる」として「Exynos2500が来年のギャラクシーSシリーズに搭載される場合、価格競争力を持つことができるものと見られる」と説明した。
(引用ここまで)
TSMCの3~5ナノあたりの先端微細化プロセスがすでに予約でぱんぱんになっていて、うまくすればそこにサムスン電子のつけいる隙があるかもしれない……っていう非常に楽天的なニュース。
TSMCの3~5ナノプロセスはアップルをはじめとして、nVidia、クアルコムあたりが生産量を確保している状況。
ただ、材料や機材も高騰しているので、これらの先端プロセスも値上げが予定されています。
そこで一応は半導体受託企業として2位であるサムスン電子がその存在を示すことができるかもしれない……と。
で、その証拠としてExynos2500の量産をしっかりとすべきだ……って語っているのですが。
んー、どうなんでしょうね。
Exynos2x00シリーズって、サムスン電子のハイエンドスマホに搭載されてきたのですが、日本をはじめとしていくつかの地域で販売されたものには搭載されないこともあったのですね。
その理由はおそらく量産がそこまでできなかったこと。
あと性能がSnapdragon 8シリーズほどに高くなかったこと。
実際にそれはGoogleのPixelシリーズでも裏付けられていて、Pixelシリーズで搭載されているTensor GシリーズはほとんどExynosベースであるとされています。
で、なんとも性能がこう……微妙。低くはないのですが、ハイエンドと戦えるかというと、とても無理だなっていう。
ま、そんなこんながあってGoogleもPixel 10からは自社開発したオリジナルのTensor G5をTSMCに委託するとされています。
サムスン電子の半導体ファウンドリーからGoogleも離脱、TSMCへの委託がほぼ決定。理由は「歩留まりが悪すぎる」から。自社のGalaxyシリーズに搭載するAPUですらまともな歩留まりが出せていない模様(楽韓Web過去エントリ)
「え、いまから有名どころをサムスン電子のFabに引っ張ってこれる方法があるんですか?」って言いたくもなるくらいの状況。
今年第1四半期における半導体受託製造シェアでTSMCは61.7%。
サムスン電子は11%。5倍以上の格差があって「ライバルとして」とかじゃないんだよな……。
AIチップについていうならTSMCのシェアは90%を優に越えているでしょうね。
サムスン電子の受託部門、ほんとどうするんだろうな。
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