韓国航空宇宙研究院のチェ·ギヒョク責任研究員は5日「宇宙で人が居住する時に必要な無線Wi-Fi、ロボット、小型モジュール原子炉(SMR)技術は韓国が強みを持つ分野」として「韓国も宇宙経済を実現する有人宇宙プログラムに参入しなければならない」と話した。
チェ責任研究員はこの日、ソウル江南の韓国科学技術会館で開かれた「スペースK2024′フォーラム」で「宇宙産業に必要な技術を先進化するためには有人プログラムを通じて新しい技術を発掘し発展させなければならない」とし、このように話した。 チェ責任研究員は航宇研で宇宙飛行士事業団を務め、韓国初の宇宙飛行士育成事業を総括した人物だ。 (中略)
チェ責任研究員によると、韓国も第4次宇宙開発振興基本計画に有人宇宙船の開発、火星探査のような有人プログラムを盛り込んだ。 彼は「2040年には月に人間居住のためのインフラ(基盤施設)が作られると予想されるが、韓国がどのように参加できるか悩みと研究が必要な時点」と話した。
チェ責任研究員は、「今後、宇宙飛行士が宇宙に居住し、新たに開かれる産業分野にも注目しなければならない」と強調した。 製薬産業で宇宙に注目しているだけに、食糧、半導体、バッテリー産業も宇宙で実現できるということだ。 月で新しい経済環境が用意される「ムーンエコノミー(Moon economy、月経済)」が開かれる時に備えなければならないという指摘だ。
チェ責任研究員は「第2の宇宙飛行士を育成し、地球低軌道宇宙ステーションで科学研究、生産活動ができる専門家に育てなければならない」として「宇宙で長期滞留のための医学研究や産業にも活発に投資がなされなければならない」と話した。
(引用ここまで)
「韓国人宇宙人輩出事業」というものがかねてからありまして。
ここでの「宇宙人」というのは「宇宙飛行士」を意味します。
その第1弾がコ・サン、およびバックアップメンバーであったイ・ソヨンをISSに搭乗させようとする計画でした。
紆余曲折の結果、ロシアで販売されていた宇宙旅行席を購入し、宇宙飛行関係者(Spaceflight participant)としてISSを訪問することとなったものです。
正規の訓練を受けて宇宙飛行士になるよりも簡単な道を選んだってことですね。
ロシアといざこざを起こしたコ・サンは計画から追放され、バックアップメンバーであったイ・ソヨンが正式メンバーに昇格。
イ・ソヨンはソユーズに乗ってISSにゲストとして搭乗し、いくつかの科学実験を行ったとされています。
まあ、その後に「韓国人宇宙人輩出事業は失敗だった」として総括されているんですが。
「韓国人宇宙飛行士を英雄にするべきだった」と韓国人宇宙飛行士構想の失敗を「自分は悪くない」と語る担当者(楽韓Web過去エントリ)
ロシアの宇宙旅行の席を買ったのも安易だったし、宇宙に行ったイ・ソヨンが辞職してアメリカにMBA取得のために留学して、かつ現地の韓国系アメリカ人と結婚して市民権を取ってしまったってのも失敗。
「韓国人初の宇宙飛行士」というお題目を使えなくなってしまったのも失敗。
志がなかったのが最大の原因でしょうね。
で、その「韓国人宇宙人輩出事業」第2弾を行うべきだ……との講演があったとのニュース。
第2もクソも、「第1の韓国人宇宙飛行士」はまだ出せていないんですけどね。
曰く「無線Wi-Fiやロボット、小型モジュール原子炉などの技術で韓国は強みをもっているので、それらを活かして有人宇宙プログラムに参加しなければならない」とのことです。
……無線Wi-Fi、ね。
要するにNASAのアルテミス計画にいっちょ乗りしたいってことなんでしょうが。
日本人宇宙飛行士が月面着陸するのはアルテミス4号を予定しているとの話。
まあ、ここでも「日本がやるのなら韓国も」精神を発揮しているってことでしょうね。
遅ればせながらアルテミス協定(アルテミス合意)にはサインしたものの、これはアルテミス計画との関連性はゼロ。
というか、アルテミス計画にいっちょ乗りするにしても韓国はなにを提供するつもりなのやら。
日本は有人探査車提供などもする予定。それ以外にもいろいろと日本がカードとして出せるものはあるでしょうね。
そうしたカードが韓国にはなにもない。
たとえばはやぶさ、はやぶさ2が持ち帰った試料をアメリカ側に提供することで、アメリカのオシリス・レックスが持ち帰った貴重な試料を受け取ることができたわけです。
韓国が提供できるものってなによって話なんですよね。
ルナインパクター計画なるものがあるとして、「アメリカは韓国の衛星製造能力が高いのでこの計画に韓国を引きこんだのだ」って韓国メディアが胸を張っていたものですが。
12年ほど前の話。ルナインパクター計画どこ行った。
無線Wi-Fiがどうのこうのとか、なんとかして「韓国の宇宙技術」を売り込みたいって意気込みは見えてますが……「現実的なカード」としてはどうなんでしょうね。無理筋だと思うけどなー。
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