先月27日午前、国会の国防委員会全体会議。キム・ソンホ国防部次官が韓日物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に賛成する考えを明らかにした。この日、祖国革新党のチョ・グク議員が「李明博(イ・ミョンバク)政権時代から進められてきたACSAの締結に同意するか」と尋ねると、キム次官は「現在の韓米日軍事協力と有事の際の対北朝鮮抑止力を確固たるものにし、われわれの対応態勢を強化するため、そのようなことが必要な措置だと考えている」と答えた。
波紋が広がると、キム次官は同日午後の会議で、「(韓日ACSAは)政府レベルで同意せず、検討していない」と自分の発言を否定した。ACSAは有事の際に弾薬や食糧、燃料などの軍需物資をやり取りできるようにする協定だ。
キム次官はわずか3時間の前言を撤回したが、韓国軍内部では韓日ACSAの必要性を認めた発言がキム次官の率直な考えだと言われている。公の場で主張するには時期尚早だから、前言を翻しただけということだ。キム次官だけでなく国防部と軍高官の多くがプライベートでは「韓日ACSAが必要」と主張する。 (中略)
「韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)とACSAが必要だ」と主張する。韓米同盟と米日同盟の隙間をGSOMIAとACSAで埋めていけば、韓米日安保協力体制をより実効的に強化していけるということだ。米国と日本はこの協定の締結に賛成している。 (中略)
韓日ACSAに反対する側は「20世紀に日帝強占のつらい経験をした韓国が、日本の自衛隊が合法的に朝鮮半島に入る道を自ら開くことは容認できない」と強調する。李明博政権時代から進められてきたGSOMIAとACSAのうち、GSOMIAが朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2016年に締結されたが、ACSAはこのような否定的な国民感情に阻まれ、まだ公論化も難しい状況だ。
(引用ここまで)
ACSA、物品役務相互提供協定は協定締結国同士で弾薬、燃料などを相互に融通するもの。
日本はアメリカ、オーストラリア、イギリス、インド、フランス、カナダ、ドイツとACSAを結んでいます。
フィリピン、イタリアとは事前協議中。
……クアッドと結んでいるのはまあ分かりますが。
イギリス、カナダ、フランス、ドイツとの締結はえぐいな。完全に「将来」を見据えてのものですわ、これ。
ちなみに訓練時の入国手続きや、武器・弾薬の持ちこみ手続きの簡略化などが行えるRAA、部隊間協力円滑化協定(単純に円滑化協定とも)についてはアメリカ(地位協定)、オーストラリア、イギリスと締結済。
フランス、フィリピンとは交渉中。
なんかフランスが妙に前に出てきているんだよなぁ……。有事後の世界でアジア利権を逃さないためかねぇ、とも思えます。
で、韓国ともACSAを結んでほしいっていうのがアメリカの意向。日本としてもあったほうがいいのは間違いないでしょう。
前述のように弾薬や燃料を融通することができる協定なので、有事においてどちらかに足りないものが生じたら直接やりとりができるようになります。
南スーダンのPKOで韓国側に5.56ミリ弾を貸出したことがありますが、あれは日本にとってはかなり(法的根拠のない)違法寄りの危険な行為だったとされています。
であったにも関わらず、韓国政府は「弾を貸してくれなんて言っていない」だのなんだの抗弁していたのですけどね。
最終的には「助けたことは忘れろ」とか、助けられたほうが言い出して苦笑したものでしたが。
そんなやりとりをなしにして、有事に際しては機械的に融通ができればよいとは思います。
まあ、左派政権の時は無理でしょうが。
ユン政権のうちに締結する、っていうのも手ではあるんだよね。
ただ、一部で「保守政権のうちに日韓関係を堅固なものにしておこう」っていう言論もあるのですが、それは無理。
左派政権になったらなんであろうと棚上げ、ちゃぶ台返ししかしませんよ。
弾薬、燃料の融通をしようって言っても、向こうから持ってこなけりゃそれで終わりですからね。
韓国の左派政権ははあれだけアメリカ側が「破棄するなよ、破棄するなよ!」って言い続けてたGSOMIAをあっさりと「こんなに破棄するなって言っているってことは、破棄すれば外交カードにして使えるぞ!」って破棄宣言しちゃう人たちですからね?
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex