日本の東京国立博物館東洋館の韓国室には、金冠塚出土のイヤリング、粉青沙器、白磁、服飾など、韓半島から出土した考古資料や工芸品が並んでいる。 展示ケースの半分以上を埋めた展示品は、日本による植民地時代大邱で電気会社を経営し、莫大な富を築いた日本人実業家小倉武之助(1870〜1964)が不法搬出した略奪国家遺産(文化財)だ。 韓国政府は1958年の韓日会談で、いわゆる「小倉コレクション」に対する返還を要求したが、日本は私有財産だとして拒否した。 日本人が搬出して日本国立博物館に置いておいた「略奪文化財」を取り戻す方法が本当にないのだろうか。
2025年は、韓国と日本の国交正常化60周年だ。 韓日関係研究者のオム・テボン(43)大真大学国際地域学科講義教授は、「来年を韓日国家遺産返還問題に突破口を開く適期と見ている。 最近、本「韓日文化財返還問題はなぜ解決されなかったのか」を出したオム教授は25日、韓国日報とのインタビューで「文化財返還問題は独島問題や日本軍慰安婦と強制動員(徴用)被害者問題のように白黒が明らかな他の過去史問題と違い、実質的な成果を出せる問題」とし「両国に意味のある来年を逃してはならない」と話した。
国家遺産の返還が未完の問題で放置されたのは、先に一度「合意を成し遂げた」という認識のためだ。 オム教授の著書によると、韓国と日本は第2次世界大戦後、国交樹立のために1951年10月から国交正常化会談を始め、国家遺産返還のような基本関係問題、船舶問題、在日韓国人の法的地位問題、漁業問題などを主要議題として扱った。 14年間、数回にわたって会談を重ね、1965年6月22日、主要問題に対する交渉を妥結した。 国家遺産の返還問題は「文化財及び文化協力に関する協定」に基づき、日本が韓国が返還を要請したものの一部である1,432点を「引き渡す」ことで暫定的に終了した。 「問題の発端は韓国が要求した3200点のうち相当数を『私有財産』という理由で返還しなかったことです。 「小倉コレクション」が日本の国家所有になった後も、これといった議論が進んでいません」。 (中略)
国家遺産の不法取引を禁止した国際規範であるユネスコ条約(1970年)は、植民支配、盗難などを理由に搬出された国家遺産を返還することを規定している。 韓国も1983年に同条約に加盟した。 オム教授は「国家遺産の返還が韓国と日本の問題ではなく、帝国主義によって派生した富の清算という世界的な傾向の中にあることを認識しなければならない」とし「過去に不利な交渉状況で韓国が日本を説得したことは何であり、今日その交渉をどのように継承・発展させることができるかを再評価しなければならない」と話した。 本の表紙に略奪国家遺産の象徴ともいえる小倉コレクションの「菩薩半跏思惟像」を入れたのもそのためだ。
(引用ここまで)
なにやら韓国で「小倉コレクションを取り戻せ!」って気運が多少、盛り上がっているようでして。
「日本から文化財を取り戻せ」って趣旨の書籍が出ているそうですわ。
っていうか小倉コレクションはそもそも略奪じゃなくて、購入がほとんどなんだよなぁ。朝鮮電力社長の財力をふんだんに使った結果、とんでもないコレクションになったってことで。
で、冒頭記事では「文化財を元の国に戻すことがトレンドになっている」としていますが。
んー、まあ確かにいくつかの返還例はありますが。
特例等であって、大半は戻ってないんだよなぁ。
ロゼッタストーンがエジプトに戻るんだったら考えてもいいかな。
小倉コレクションは私有財産だったから返還できない。
小倉氏の死後、遺族から東京国立博物館が受け継いだので「合法的な相続」になっているのですよ。
よけいに返還義務がないってことになるわけです。
さすがに著者が大学教授であることもあって、「ユネスコ条約があるから返還義務があるのだ」なんてマヌケなことは言ってませんね。
韓国人の大半は「ユネスコ条約があるから対馬の仏像もその他の文化財も日本に返還義務があるのだ」みたいに思っているのですよ。
……いや、真面目な話。
韓国人、「ユネスコ条約での仏像の返還義務」が自分たちに適用されるとはミリほども思っていない模様。むしろ、「ユネスコ条約に従うのは日本だ」くらいまで思っていた……(楽韓Web過去エントリ)
韓国メディアまで「ユネスコ条約やユニドロワ条約があるからなにもかも返還すべき」みたいなコラムを書いたりするんですよね。
ただ、そもそも韓国はユニドロワ条約を批准してないってオチもあったりします。
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