日本の半導体連合企業ラピダスが米国の世界5位の半導体企業ブロードコムに6月までに2ナノ(1ナノは10億分の1m)半導体試作品を供給することにしたと日本経済新聞(日経)が9日報道した。 ラピダスは2022年トヨタ、ソニー、キオクシアなど日本代表8社が出資して設立した半導体企業だ。
日経によると、ラピダスは4月に2ナノ製品の試験生産を行い、2027年から本格的な量産工場の稼動に入るという目標だ。 ラピダスの2ナノ試験生産時点は、ファウンドリー(委託生産)1位の台湾TSMC、三星電子とほぼ同じだ。 相対的に超微細工程で遅れを取っていると知られている日本の半導体業界が急速に技術格差を減らし、先端市場に進入し始めたのだ。
これまで半導体業界では、ラピダスの超微細工程成功の可能性を高く見ない分析が多かった。 技術参入のハードルが高い上、意味のある歩留まり(良品生産比率)を確保するためには莫大な投資費用がかかるからだ。 しかし、今回のブロードコムと試作品供給契約を結んだことを考慮すれば、ラピダスが技術的な面で相当な進展を見せているものと分析される。
何よりもラピダスは超微細半導体生産工場を安定的に稼動するためには顧客会社確保がカギだったが、世界5位の半導体業者であるブロードコムと手を握り、2ナノ市場進入に推進力が生じた。 日経は「ブロードコムはラピダスの2ナノ半導体性能を確認した後、データセンター用半導体などの生産をラピダスに委託する計画」と伝えた。
(引用ここまで)
ラピダスが27年の量産開始を視野に入れ、2nmプロセスの試作ラインを立ち上げたことが日経に報じられました。
で、ブロードコムへの試作品生産を行うとの話です。
ラピダス、米ブロードコムと連携 2ナノ半導体を試作(日経新聞)
これに韓国メディアが異様なほどに反応してまして。
冒頭記事以外にも10前後の記事があるかな。
まあ、韓国で半導体製造受託企業といえばサムスン電子ですが、ここのところぱっとしない。
メモリ製造についてはまだ世界のリーダーのひとつとはいえますが、もはやメモリ製造では脇役に過ぎないことを把握しつつあるのでしょうね。
まあ、サムスン電子やインテルのように「自社でも製造しているしがらみ」を持たない純粋な受託企業として、ラピダスが2nmプロセスでの量産を成功させることができればさまざまな半導体企業にとって福音となれるのです。
現状、半導体受託企業って絶妙な環境にあるのです。
・自由主義陣営における半導体製造受託企業の3番手4番手であるUMC、グローバルファウンドリーズは12〜14nmプロセスで開発を停止。
・TSMCの最先端プロセスはまずアップルが独占使用することがお約束。
・それ以外の先端プロセスも競争率が高すぎる状態。
・2番手のサムスン電子は3nmプロセスで「量産できた!」と主張するけども実際には歩留まりが上がっていない。結果、顧客もいない。
・サムスン電子は自社での半導体設計・製造をしているので、ライバル企業としては製造委託するのにためらいがある。
……といった環境もあって2nmに飛びこんだラピダスにビジネスチャンスあり、とは判断してはいます。
ビジネスチャンスがあるのと、本当に量産できるかどうかはまた別の話ではあるけども。
韓国メディアが敏感に反応しているのもそのあたりの事情を鑑みてのことでしょう。
でもまあ、「敏感すぎない?」とは感じますね。
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