世界最大のファウンドリー(半導体委託生産)TSMCがまた「地震リスク」と直面した。 ファウンドリー絶対強者であるTSMCがサプライチェーン危機に直面する回数が多くなり、サプライチェーン多角化に対する声が一部から出ている。
21日、業界によると、台湾南部の都市台南市で同日未明(現地時間)、マグニチュード6.4の地震が発生し、TSMC工場が位置する台南科学技術団地で労働者の避難が行われた。 (中略)
問題は人工知能(AI)時代に入ってTSMCの地位が急騰しているという点だ。 TSMCの3ナノ最先端工場などにはアップル、クアルコム、メディアテックなど主要ファブレス(半導体設計会社)の注文が殺到している。 市場調査会社トレンドフォースの分析によると、来年のTSMCの売上シェアは66%と推定される。 半導体業界のある関係者は「顧客の間では受注事業であるファウンドリーの特性上、地震リスクでTSMCに預けた物量を適時に受け取れない可能性があるという不安感が大きくなっている」と話した。 中国の台湾武力侵攻の憂慮に加え、大地震の恐怖まで別世界の話ではないという意味だ。
状況がこのようになると、業界の一部ではTSMCの他にサムスン電子などで供給網を多角化しなければならないという声が力を受けるものと見ている。
(引用ここまで)
先日の台南を襲った地震でTSMCの工場が一時停止し、製造中だった半導体をウエハーにして数万枚ほど破棄せざるを得ない状況になったと報道されています。
Earthquake may have affected 20,000 TSMC wafers — the majority will likely have to be scrapped(TOM'S HARDWARE・英語)
こちらの記事では2万枚ほどを破棄することになるだろうとの報道。
1万枚ていどで済んだとの記事もあるのですが、どちらにせよ地震のあった時期に工場に投入されていたウエハは破棄せざるを得ないでしょう。
一部は最先端工程のものであったとされていて、nVidiaやアップルから委託されていた分が無駄になった模様です。
TOM'S HARDWAREは単純に「破棄された」とだけ伝えているのですが。
それが韓国メディアに伝わると「サプライチェーンを再構築しなければならない」ってなる不思議。
というか、TSMCは1社でサプライチェーンの再構築を行っているんですよね。
アメリカ、日本、ドイツ、台湾と工場を拡げつつある。
まあ、拡げすぎてエンジニアの集中投入とか難しくなっている感じもしなくはないですが。
「サムスン電子などで多角化を図らなければならない」って。
そりゃできるんだったらどの委託元もやりたいでしょうね。TSMCの代わりが務まるところをどこも求めてはいるのです。
でも、現実的にはTSMCに委託する以外に手はないんですから。
「サムスン電子に委託して多角化しましょう」とか提案されても「はあ?」って猫ミームみたいな対応が帰ってくるだけでしょうよ。
わざわざ貧乏くじ引こうとするバカはいないってことです。
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