米国防次官候補「韓国政治の不安定性が原因で韓米日協力が継続できるか不透明」【3月6日付社説】(朝鮮日報)
米国防総省ナンバー3の政策担当次官に指名されたエルブリッジ・コルビー氏が4日、米上院軍事委員会の人事承認に向けた公聴会で、韓米日3カ国の安全保障協力について、「この6-8カ月間の韓国の政治的力学関係を考慮すると、そのパートナーシップが継続できるかどうかは明確でない」と述べた。これは、「『アジア版NATO(北大西洋条約機構)』は可能か」という質問に答えた際の言葉だ。つまり、「韓国の政治の不安定性」のため、より幅広く持続的な協力は難しいということだ。コルビー氏が言った「6-8カ月」を逆算すると、おおむね昨年後半以降からとなる。「与小野大(少数与党政権で野党が多数派)」の第22代国会が発足して以降、ドミノのように広がっている最大野党・共に民主党の暴走や、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の非常戒厳宣布と大統領・首相に対する相次ぐ弾劾訴追などをすべて念頭に置いての言葉だろう。
特に米国側が注目しているのは、共に民主党の反米・親中路線かもしれない。最近の韓国の世論調査を見ると、共に民主党が有利だからだ。共に民主党が発議した尹大統領弾劾訴追案には当初、「(尹大統領が)いわゆる価値外交という美名の下に北朝鮮と中国・ロシアを敵視し、日本中心の奇異な外交政策に固執する」という文言があった。米国の政策担当者たちはこの驚くべき内容に注目せざるを得なかっただろう。事実、米国はこれが李在明(イ・ジェミョン)同党代表の考えなのか確認したという。
(中略)
米国は基本的に中国をけん制するため韓日が必要だ。しかし、トランプ大統領がどのような計算をするのか、予測するのは難しい。もし韓国で本格的な反米・親中のサインが出れば、韓米同盟はまさに風前のともしびになりかねない。
(引用ここまで)
アメリカの国防次官候補に指名されているエルブリッジ・コルビー氏の人事承認に向けた公聴会で「韓国の政治が原因となって、日米間の協力関係が継続できるかは不透明である」と述べたとのこと。
ふむ。
エルブリッジ・コルビー氏は戦略についての専門家で、近著には「拒否戦略」があります。
この中で氏は「中国をその気(台湾侵攻)にさせないために必要なこととは……」って部分を語っています。
エルブリッジ・A・コルビー
日経BP
2023-12-23
東アジアについても専門家といっていいレベルの知識を持っている人物で、このかたが国防次官(政策担当)となるのはかなり心強いところ。
ま、日本に対しては「増強のスピードが遅い。GDP比で3%まで防衛費を引き上げろ」って言っているんですが。
日本に防衛費3%超要求 米国防次官候補「なるべく早く」(時事通信)
以前から「台湾も日本も中国のやろうとしている現実が分かっていない」って論者でもあります。X(旧Twitter)でもそのような発言を繰り返し唱えてますね。
「アメリカの核心的利益は中国の地域覇権を否定することだ」として、メインの戦略を対中国に据えています。
簡単にいえば「対中強硬派」ではあるのですが、現実を見ている側ともいえると思います。
公聴会でどのような発言があったかはこちらのPOLITICOの記事、およびKoreaTimesの記事に詳しいです。
Pentagon policy chief hearing highlights GOP foreign policy divide(POLITICO・英語)
Pentagon nominee voices support for bolstering S. Korea's role in alliance over OPCON transfer question(Korea Times・英語)
その中で「戦時統制権の韓国への返還」については「んー、どうなんでしょうかね」ってくらいで言葉を濁してます。まあ、彼の立場からはそう言う以外にないでしょうけどね。
で、「アジア版NATOのようなものについてはどう思うか」とされて「韓国については政情不安定であるためにパートナーシップが継続できるかどうかは不明瞭である」と述べたと。
総選挙後の少数与党で混乱した国会から戒厳令にかけてのこと、さらには次期政権が共に民主党のものになると認識した上でのものでしょう。
……ね、よく東アジア情勢を把握しているでしょ?
Xでも日本、中国、台湾についで韓国関連のことも語っています。
基本、彼が政権に合流してくれることは日本にとってもありがたいことなのです。
もちろん、細かいところで日本の立場とは異なる部分もあるとは思いますが。
少なくとも「東アジア情勢の現状を把握している人物」が戦略担当の国防次官になることは日本の利益になると考えます。
オバマ時代とかホントにひどかったからね……。いや、もうね。
日本側も民主党政権だったってのもありますけどね(遠い目)。
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