趙承来(チョ・スンレ)首席報道官は同日、国会で行った記者会見で「李候補に対する大法院の判決は明白な政治裁判であり拙速な裁判だ。大法院の不当な大統領選介入を強力に糾弾する」と述べた。
趙氏は「国民の主権と国民の選択を司法が奪おうとしている」とし、「国民が大韓民国の未来を決定する大統領選を大法院が妨害するというのか」と問い返した。
「公認候補交代の可能性はあるか」との質問には「ない」と答えた。
(引用ここまで)
さて、イ・ジェミョンへの大法院判決は有罪前提の原審破棄、高裁差し戻しでした。
これがなにを意味するのか、もうちょっと深掘りしてみましょう。
公職選挙法違反で100万ウォン以上の罰金、もしくは懲役刑が確定した場合、被選挙権を10年間喪失します。
なので、「有罪の可能性も充分に高い」とされていたイ・ジェミョンはユン政権を弾劾に持ちこむために圧力をかけ続けてきたのですね。
まんまとその計略に乗っかってしまい、ユン・ソンニョルは戒厳令を発令してしまったわけです。
この一連の流れについては楽韓noteの記事を参照してください。
で、去年11月には地裁で懲役1年執行猶予2年の有罪判決を受けたものの、3月26日には高裁で無罪判決を受けて司法リスクはほぼ消失したと思われました。
大統領選挙が行われるのは6月3日。
公職選挙法違反は高裁、大法院での審理を3ヶ月で終えるようにとの規定があります。
3ヶ月かけるとしたら判決があるのは6月26日以降。
なので誰もが「イ・ジェミョンが間に合った」と思ったのですが。
ところが今回、大法院は高裁判決からわずか1ヶ月ちょっとで原審を破棄して有罪判決前提の差し戻しを命じたのです。
今回、大法院は「亡くなった城南都市開発公社キム・ムンギ開発処長を知らない」としたこと、および「ペクヒョンドンの土地用途変更を国土交通部(省に相当)からの圧力があったため」と語ったことは虚偽事実の公表にあたると指摘しています。
大法院が事実審を行うのはかなり異例で、踏みこんだ判決であったといえます。
その上で高裁差し戻しを行ったわけですね。
高裁は大法院の意向に逆らうことは原則としてできず、有罪判決を出すしかありません。
上告されても「有罪前提の差し戻し審」を指摘した大法院がその判決を覆すわけもない。
つまり、イ・ジェミョンの有罪はもはや確定したも同然。いつ確定するのかだけが問題です。
大統領選挙後に確定する可能性もあります。
「大統領は訴追を受けない」と憲法で規定されているものの、進行中の訴追に関してはどうなるかはまだ不明。
裁判が止まるかどうかは憲法裁判所の裁定によるでしょう。
「現職の大統領が公職選挙法違反で有罪判決を受ける」可能性すらあるわけです。
おそらく弾劾要件を満たすでしょうね。国会で弾劾可決案が可決できるかどうかはともかく。
また、「有罪が(ほぼ)確定している人物」を大統領選挙に候補として出すべきなのか、との問題もあります。
中道層はどん引きするでしょう。
「前科4犯の上に、また有罪確実な大統領。かつそれ以外にも進行中の裁判を4件抱えている」のですから。
さっそく、ムン・ジェイン政権時代に国務総理をしていたイ・ナギョンが「大統領候補を交代すべきだ」と声明を出しています。
イ・ナギョン、イ・ジェミョンの破棄差し戻しに「これなら候補交代が常識」(イーデイリー・朝鮮語)
冒頭記事では「候補は変更しない」としていますが。
ホント、韓国の大統領選挙は地獄だぜー。
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中味は長編記事。最新の記事は「韓国の次期大統領最有力候補、イ・ジェミョンの周辺での連続不審死、すべてピックアップしてみた 」となっています。
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