今年の韓国の経済成長率が「失われた30年の国」日本に逆転されるものとみられる。韓国の成長率が日本より低くなるのはアジア通貨危機以来初めてで、25年ぶりのことだ。
経済協力開発機構(OECD)は19日に発表した経済見通しで、今年の韓国の経済成長率を6月の見通しと同じ1.5%と予想した。一方、米国(1.6→2.2%)や日本(1.3→1.8%)、フランス(0.8→1.0%)など世界主要国の見通しは上方修正した。世界経済と主要20カ国・地域(G20)の成長率見通しも6月より0.3ポイントずつ引き上げた。さらに悲観的なのは、韓国経済に対するOECDの見通しがむしろ高い方だという点だ。韓国政府と韓国銀行、国際通貨基金(IMF)の見通しは1.4%、アジア開発銀行(ADB)の見通しは1.3%だ。
韓国経済の不振が続いている最大の理由が輸出景気の低迷であるのは周知の事実だ。問題は、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権が現実を直視せずに「上低下高」(上半期よりも下半期の成長率が上がること)という希望的観測で経済政策を展開しているということだ。政府が上低下高の根拠に挙げた中国経済の持ち直しは事実上遠のいている。中国は習近平主席の「共同富裕」政策を明らかにしてから、不動産市場のバブルの解消に取り組んでおり、景気浮揚に限界がある。 (中略)
このように困難な時であるほど、政府は長期的な観点で企業と家計が再跳躍できる足がかりを作らなければならない。ところが、尹錫悦政権はその反対方向に進んでいる。理念的な富裕層減税で史上最悪の税収パンクを引き起こし、未来のための技術貯蓄ともいえる研究開発(R&D)予算を真っ先に削減した。
(引用ここまで)
通貨危機発生後、25年ぶりに日本に経済成長率で追い抜かれると予測されています。
左派紙であるハンギョレはこれをあたかも「ユン政権が無能だから」との文脈で描こうとしているのですが。
だいぶ無理がある気がしますね。
韓国の四半期毎の経済成長率はこんな感じ。
2021年の+1.3%が大きいように見えますが、これは前四半期が-1.4%だったので跳ね上がったように見えるだけ。まあ、その期はまだコロナ禍だったことも大きいですけどね。
2021年 1-3月期 +1.3%
2021年 4-6月期 +0.7%
2021年 7-9月期 +0.3%
2021 年10-12月期 +1.1%
2022年 1-3月期 +0.7%
2022年 4-6月期 +0.6% ※ユン政権発足
2022年 7-9月期 +0.3%
2022年 10-12月期 -0.4%
2023年 1-3月期 +0.3%
2023年 4-6 月期+0.6%
ただ、ムン・ジェイン政権下ではメモリ価格の高値安定を享受していたのですよ。
DRAM価格が雪崩を打って値下がりをはじめたのは22年の中頃からでしたからね。
それでいてあの体たらくかよっていう話もありますが。
経済面における中国への傾倒、半導体(というかメモリ)頼りの経済構造を選択したのはあくまでもムン政権の方向性なんですよね。まあ、なんならそれ以前のパク・クネ政権からの方向性ですらある。
2020年の経済成長率がマイナス1.0%で済んだのは「K防疫で自国の被害を最小限にして、経済への波及を抑えこんだ」という設定だったのですが。
コロナ禍での巣ごもり需要の恩恵をこれでもかとばかりに受けた結果の数字であったことは分かりきった事実。
ムン政権の後期は経済的にぐだぐだになるはずが「コロナ禍だったからしょうがない」って大目に見られている上に「メモリやディスプレイ価格がアホほど高騰した」ことであたかも経済政策がうまくいっているように錯覚してしまった部分がある。
それが中国のリスタート失敗、というかもう不可逆にリスタート不可能なんじゃないかってレベルになっていることと、メモリ価格の下落のダブルパンチ。
あと前期は原油価格が70ドルくらいで安定していたのですが、7月になってから右肩上がりでダメージが蓄積してきている。
「悪いのはユン政権だ」って言われても……まあ、ひとつの瑕疵、間違いもないのかと言われたらそんなこともないでしょうが。
そんなんで日本をダシに使われてもな、というのが実際のところですね。
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