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カテゴリ:経済の記事一覧

韓国経済:政策金利をアメリカに追随させるのか、それとも国内景気のために下げるのか……

カテゴリ:経済 コメント:(50)
米国を追えば景気が泣く…金利の悩み深まる韓銀(中央日報)
23日の政策金利の決定を控え、韓国銀行(韓銀)の悩みが深まっている。米国の緊縮基調が続く中、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「利下げ」圧力が強まっているからだ。

先月13日、韓銀金融通貨委員会は政策金利を0.25%(ベビーステップ)引き上げて3.5%とした。数日後に李昌ヨン(イ・チャンヨン)韓銀総裁が海外記者懇談会で「金利はすでに高い水準」と言及するなどハト派(緩和選好)カラーを表すと、市場は2月の据え置きおよび年内引き下げの可能性にベッティングし始めた。

しかし今月初めに発表された米国雇用指標と1月の消費者物価上昇率、米小売販売などが市場の予測値を上回り、状況は変わった。米連邦準備制度理事会(FRB)が長期間にわたり利上げ基調を維持すると予想され、韓米の政策金利差が拡大する可能性が高まった。これを受け、今月初め1ドル=1210ウォン台だった為替レートは16日、1ドル=1284.8ウォンまでウォン安ドル高が進み、3年国債の利回りも15日に3.502%と1カ月ぶりに政策金利を上回った。

5%前後の物価上昇率にウォン安ドル高まで考慮すると、政策金利を引き上げるのが正しい手続きだ。しかし冷え込んでいく景気を活性化し、高金利による庶民の利子負担を減らすべきという圧力が強い。市場が政策金利据え置きを予想する理由だ。

まず1月の消費者物価上昇率が5.2%と予想値をやや上回ったが、暖房費など公共料金引き上げ要因が大きかったため、上半期には安定的に4%台に入るという見方が出ている。NH投資証券のカン・スンウォン研究員は「追加引き上げの可能性は残しておくものの、2月には据え置いて、その間の利上げ効果を確認する時間を持つのではないだろうか」とし「4-6月期に家賃が下方安定に入れば物価の管理に大きな負担はないとみる」と述べた。ただ「為替レートが変数になるかもしれないが、ウォン安ドルが急激に進む可能性は少ないとみる」と話した。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「銀行の高金利で国民の苦痛が大きい」と指摘するなど政府の圧力が強まる点も負担だ。シティのキム・ジンウク首席エコノミストは「韓銀がタカ派的な(緊縮選好)信号を出しながら政策金利を据え置くと予想する」とし「尹政権が緊縮通貨政策のマイナスな影響を憂慮するとみられる」と明らかにした。

少数ではあるが、2月の政策金利引き上げを予想する声もある。LG経営研究院のチョ・ヨンム研究委員は「0.25%引き上げを予想する」とし「物価が依然として落ち着かず、世界的な通貨緊縮の動きが続いているため」と話した。米国が現在4.5-4.75%の政策金利を年内に5.25-5.5%まで引き上げる場合、韓米の金利差が現在の1.25%から2%まで広がる。歴代最大逆転幅は2000年5-10月の1.5%だ。韓米の金利差が大きくなれば安全資産のドルの価値がさらに高まり、資本流出が懸念される。また輸入物価を引き上げ、物価上昇につながる。
(引用ここまで)


 韓国の金利政策がどうなるか、との予測ニュース。
 景気はしなびつつある……というか、半導体不況が韓国を直撃しています。
 輸出は世界の他の国々よりも大きく減少していた、との分析が出ています。

韓国の輸出不振、他の国々より深刻だった(ハンギョレ)

 この記事でも去年の第4四半期の貿易総額で半導体が前年同期比-44.5%となっています。
 韓国経済の屋台骨を支えているのがメモリ半導体だったわけですが。
 とりあえず現状ではDRAM、NANDフラッシュの価格が上向く感触はゼロ。


 サムスン電子は系列のサムスンディスプレーから20兆ウォンを借り入れて半導体投資をすると発表しています。
 ……キャッシュフロー、そんなに悪化してるんか。

サムスン電子「半導体投資」でサムスンディスプレーから20兆ウォン借り入れ(中央日報)

 とまあ、確実に景気は悪化しつつあります。
 政府の景気判断も「景気鈍化」に転じています。

韓国、物価高に輸出不振…政府の診断が「景気鈍化懸念」から「景気鈍化」へ(中央日報)

 景気鈍化に転じたこと、また金利が高止まりしていることから政府からは利下げを期待しているようです。
 先日も「銀行は暴利を貪っている」ってユン・ソンニョル大統領が言ってたほどですから。
 不動産ローンの金利を下げたい、というのも

 ただ問題はアメリカとの政策金利の差で。
 3月もアメリカは金利上げてくるでしょうしね。現状、韓国の政策金利が3.5%、アメリカは4.5%。
 アメリカは場合によっては6%まで上げるのでは、ともされています。
 年内利下げは難しいだろうなぁ。
 キャピタルフライトがどのくらいの規模で起きるのか。ちょっと見物ではありますね。

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韓国大統領「韓国の銀行は許認可事業で寡占状態にあるのに稼ぎまくっててとんでもない。インフレに苦しむ国民と痛みを分かち合え」……ちょっとなに言ってんだかわかんないっすね

カテゴリ:経済 コメント:(69)
ユン「エネルギー料金調整・公共料金凍結」… 通信・金融業界に苦痛分担要求(聯合ニュース)
ユン・ソクヨル大統領は15日、高物価・高金利などによる庶民経済の苦痛分担のために通信・金融業界の参加を促した。

主要公共料金については、今年上半期に最大限凍結基調を維持するという方針も出した。 (中略)

まず「複数の政策的努力で物価・金利上昇傾向が崩れたが、これまで急な上昇の余波で脆弱階層や庶民たちは依然として難しい」とし「特に暖房費負担が大きく増えた中、交通など公共料金引き上げ計画のお知らせまで加わりつつ困難を訴えている」と指摘した。

続いて公共・エネルギー料金、通信費用、金融費用など「4大民生」分野の支出負担軽減を図り、脆弱階層支援を強化するという意を明らかにした。

尹大統領は「通信・金融分野は公共財的性格が強く寡占形態を維持する政府の特許事業」とし「多くの困難な庶民家計に大きな影響を及ぼすだけに、政府レベルの制度改善努力とともに業界も物価安定のために苦痛分担に自発的に参加する必要がある」と明らかにした。

通信・金融業界が政府の許可に基づく寡占体制で運営され、その恩恵を享受してきただけに経済が難しいときに公的な役割を果たさなければならないという注文だ。
(引用ここまで)


 「原油他、コストプッシュのインフレで韓国国民、それも脆弱層が痛みを受けている」←分かる
 「公共料金を凍結したい」←まあ、分からないでもない
 「金融、通信業は政府の許可に基づく寡占体制で、その恩恵を享受してきたので国民と痛みを分かちあえ」……え?

 実際、運賃値上げが予定されていたソウルの地下鉄・バスは運賃引き上げを今年後半に延期すると発表しました。

  ソウル市 地下鉄・バス運賃の値上げを今年後半に先送り(聯合ニュース)

 韓国の大統領は皇帝的な権力を持つとされています。
 やろうと思えばこうした「値上げ阻止」も可能なのですね。


 まあ、その過大な権力をもっとも振るってきたのはムン・ジェイン前大統領で、電気ガスといった公共料金の値上げを阻んできた結果、歪みがここまで大きくなっているのですけども。

 しかし、「金融業は痛みを分かち合え」はすげえな。
 たしかに韓国の金融機関は政策金利の上昇にともっなって貸出金利を上げているので、史上最高益をばんばん出しています。

大手金融の去年の業績 利子収入の急増で過去最高(KBS WORLD)

 KB銀行、新韓銀行、ウリィ銀行がそれぞれ史上最高益を記録。3行あわせて12兆ウォン超え。メガバンクと呼べる規模の銀行が存在しない韓国でこれはかなりの好業績。

 ただ、それは政策金利が利上げした結果でしかないのですよ。
 あと韓国人の多数が不動産ローンで変動金利を選んでいたから。

 言ってみれば韓国政府がキャピタルフライトを恐れてアメリカに追随して利上げしたから。
 おまけに「政策金利は上げるけど市中金利は上げるな」なんてことまで言われている。

 そんな中、「おまえらは寡占業者だから痛みを分かち合え」とかいわれても「はぁ?」ってなるわなぁ。
 まあ、なんらかの形で分担するんでしょうけど。

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韓国経済:銀行もカード会社も後払いサービスも「延滞率がじわりと上昇中」……あー、これはアレですね

韓国、高金利・景気不振に…銀行もカード会社も「延滞率警告灯」(中央日報)
金融業界によると韓国4大都市銀行の昨年の延滞率は前年比でいずれも上昇を示した。KB国民銀行の昨年末基準の延滞率は0.16%となった。1年前の0.12%より0.04ポイント上がった。新韓銀行の延滞率も2021年末の0.19%から昨年末に0.22%と0.03ポイント高くなった。ハナ銀行は0.16%から0.20%に、ウリィ銀行は0.19%から0.22%に延滞率が上がった。

金融持ち株会社系列のカード会社も延滞率が一斉に上昇した。業界1位である新韓カードの延滞率は2021年末の0.8%から昨年末には1.04%に高まった。ウリィカードの延滞率は0.66%から1.21%に0.55ポイント増加した。KB国民カードは0.82%から0.92%に、ハナカードは0.93%から0.98%に延滞率が上昇した。

銀行など金融圏の延滞率は2019年から2021年まで下落傾向を見せていた。4大都市銀行の場合、2019年の延滞率は0.19~0.3%だったが、2021年には0.12~0.2%に下がった。コロナ禍が呼び起こした経済危機に対応し社会的弱者に対する金融支援が稼動した影響が大きかった。

だが韓国銀行が昨年から高物価に対応して継続して利上げを断行し庶民の貸出利子負担が大きく増えた。これに伴う償還余力低下が金融機関の延滞率を引き上げたと分析される。
(引用ここまで)


 韓国のいわゆる第1金融圏、日本でいうところの都市銀行に相当する銀行でもじわりと延滞率が上昇してきた、とのニュース。
 まあ……そりゃそうでしょうね、と。
 韓国は政策金利を上昇させつつも、市中金利を上昇させないという意味不明な政策で突き進んできたのですが。
 それも限界というものがあって、中央銀行からの資金調達は高いのに自分たちの貸し出しは低く抑えられるとかやってられませんからね。

 不動産ローンは7〜8%という相対的に高い水準で推移してきていますし、信用度の低い脆弱層は生活資金を20%という上限金利で借りることすらできていない(のでヤミ金がはびこる)。
 というわけで高くなった金利に耐えかねた層から延滞率が上昇している、というわけです。
 ただ、こうした第1金融圏が相手にしている層はまだ「経歴が良好な人々」でしかないので、まだ0.2%ていどでしかない。
 いまだに新型コロナ対策金の効果が高いままともいえるかな。

 ただ、足元ではもうそんなことを言ってられなくなっている。


 いわゆる通販後払いなどの延滞率は一気に3%台になっているそうです。

延滞率2倍↑…懸念が大きくなるビッグテック後払い決済(ニューシス・朝鮮語)

 多くの場合、後払いサービスは韓国では「犬でも持ってる」とされるクレジットカードすら持てない人々が使うものでして。
 都市銀行よりもこうしたより生活に近しいところの延滞率が上がっているところを見ると、相当に追いこまれているのではないかという感触です。

 あ、それと不動産関連のいわゆるプロジェクトファイナンス、PFも延滞率が上がっているとされていましたね。
 その延滞額が1兆ウォンを超えたそうです。

金融圏不動産PF延滞規模1兆ウォンを突破… 証券会社3638億最多(ニューシス・朝鮮語)

 ……多方面ですくすくと育ってますね。

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韓国人「月給の半分が食事代に消えてしまう」……インフレでかつての「貧乏食」の代表だった韓国海苔巻きも3000ウォン超えに

韓国の会社員、昼食代が負担に…「月給のほぼ半分が食事代」(中央日報)
「月給のほぼ半分が食事代に消えるようです」。

13日昼、ソウル・北倉洞(プクチャンドン)で会った新人社会人のチョンさんは少し前からできるだけ弁当を作っていると話した。相次いで上がる会社近くの飲食店でのランチ代が負担になるからだ。弁当を準備できなかった日はのり巻きのような簡単なメニューで間に合わせる。チョンさんは「サンドイッチやのり巻き程度を除くと最近はこの近所で1万ウォン札1枚で昼食を食べられる飲食店は多くない。これまでは1本3500ウォンののり巻きもとても高く感じたが、他の食事代がとても上がったため最近はのり巻き程度ならむしろ悪くないと思うようになった」と話した。

京畿道(キョンギド)・板橋(パンギョ)テクノバレーのIT企業に勤めるイ・ソンエさん(28)も主にコンビニ弁当で昼食を解決する。イさんは「会社近くの飲食店のとんかつセットが1万2000ウォンから1万5000ウォンに上がり、カルビタンも1万6000ウォンで上司や同僚がおごってくれる時に食べるメニューになった」と話した。イさんは「昼食のためコンビニを訪れる会社員があまりにも多いため、少し遅く行くとおにぎりやサンドイッチがすべて売り切れてなくなっていることも多い」と付け加えた。 

相次ぎ上がる外食費で昼食問題に悩む会社員が増加している。昨年から物価が急騰しているところにコロナ禍が落ち着きオフィスに出勤する日が増え食事代の負担が大きく増えたためだ。昼食代に物価上昇を意味するインフレを組み合わせた「ランチフレーション」という合成語も登場している。 (中略)

「ランチフレーション」はビビンバや冷めん、キムチチゲなどの人気メニューでも目立っている。韓国消費者院の価格情報ポータルによると、1月のソウル地域のビビンバ平均価格は昨年1月の9192ウォンから8.7%上がり、1人前がぴったり1万ウォンになった。やはりソウルを基準として先月の冷めん価格は1万692ウォンで約9%上がり初めて1万ウォンを上回った。キムチチゲ定食が7654ウォン、カルグクスが8615ウォン、チャジャンミョンが6569ウォンと大きく値上がりし負担が大きくなった。のり巻きも3100ウォンでソウルでは先月1本3000ウォンを初めて超えた。
(引用ここまで)


 韓国では「利上げは1月に3.5%に達して一段落」としていたのですが、FRBは2月にも0.25%の利上げを行い、かつまだ追加利上げを示唆しています。
 というのもアメリカの雇用市場はまだ順調もいいところで失業率は3.4%。
 半世紀ぶりの好調具合とされています。

米1月雇用51.7万人増、失業率53年ぶり低水準:識者はこうみる(ロイター)
FRB追加利上げ必要、軟着陸の可能性はまだある=ボウマン理事(ロイター)

 3月のFOMCで利上げがあれば、4.75〜5%という久々の高金利に到達します。
 しかも、それがしばらく継続する模様。

 さて、大きく金利で引き離された韓国がどう動くのか……と。
 そんな中で市中のインフレ具合が最大の要因として働くわけですが。
 「ランチを外で食べようとすると1万ウォンじゃ収まらなくなってきた」とのこと。


 日本もそこそこ値上がり傾向にありますが、韓国での値上がり具合ははるかに上を行っているとのことで。
 記事では「月給の半分が食事代」とされています。さすがにこれは大げさなんじゃないかとも思われますが。
 それでもジャンクフードの代表であり、貧しさの象徴でもあるキンパが3000ウォン超えはなかなかの衝撃。
 ちょっと前まで2000ウォンくらいでしたからね。
 エンゲル係数も上がってそうだなぁ……。

 ただまあ……現状の「コストプッシュ型のインフレ」に金利上げが対応策として本当にふさわしいのかという問題もありまして。
 教科書的に見ても金利を上げることで「需要増によるインフレ」は沈静化することは間違いないのでしょうが。
 いまのインフレはウクライナ戦争の余波での原材料費高騰が原因ですから。

 それでも、韓国的にはキャピタルフライトを避けるためにもあるていど利上げに追随していく必要はあるわけで。
 できることならアメリカとの政策金利の差を1%P以内にはしておきたいのが本音でしょう。
 ただ、不動産価格がどうなるか。
 相変わらずユン・ソンニョル政権は経済政策で綱渡りをせざるを得ない状況は続く……といったところ。
 この条件下でソフトランディングさせることができたら大した手腕なんだよなぁ。

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韓国、「金融機関から借りられない」人々がヤミ金業者に走って金利が2倍になる……

カテゴリ:経済 コメント:(70)
韓国のヤミ金被害、昨年の平均貸出金利は年414%だった(朝鮮日報)
 韓国では昨年、違法な貸金業者(いわゆるヤミ金)による平均貸出金利が平均で年414%に達したと集計された。1年間利用すると、元金の4倍以上を利息として払わなければならない計算だ。韓国貸付金融協会がこのほど、昨年1年間に司法機関と被害者から依頼を受けた6712件の事例を分析したもので、ヤミ金による平均貸出金利は21年の平均年229%の2倍に達した。

 貸出業を営む際には、金融委員会または地方自治体に営業登録をしなければならない。また、法定最高金利(年20%)を上回る利息を受け取ってはならない。しかし、ヤミ金業者は未登録のまま、法定最高金利よりはるかに上回る高金利で営業しているケースがほとんどだ。

 貸付金融協会による分析の結果、ヤミ金被害者は昨年、平均で31日間、382万ウォン(約39万8000円)を借りて使った。被害件数全体の90.7%が無担保融資であり、担保融資や日割りの短期融資の割合は低かった。ヤミ金業者は最近、金融機関の融資を受けにくい信用不良者が急に小額の現金を必要とし、インターネット上で問い合わせの書き込みをするのを見て接近する手口を主に用いる。 (中略)

一部の貸金業者は俗称「30・50」という手法を使うことがある。30万ウォンを貸し、1週間後に元利合計50万ウォンを受け取る方式だ。
(引用ここまで)


 韓国の政策金利は2021年後半あたりまでは0.75%と過去最低水準だったのですが。
 21年後半あたりからぐいぐいと引き上がって、今年頭には3.5%となりました。
 同じ金額を預けても利息は4.6倍になるほどの差。まあ、実際には市中金利はそこまでの割合では上昇していないのですが。
 政府から「市中金利を上げるな」というお達しがあったので。

 で、この記事ではヤミ金業者の金利が2倍になったとしています。
 229%から414%に。
 当然といえば当然の話でして。
 韓国には借金をしなければ生活ができない人たちが一定数存在しています。
 ま、韓国にかぎらず世界中にいますけど。


 これまで、韓国のそうした「脆弱層」に対応してきたのがいわゆる第2金融圏とされるサラ金業者でした。
 正確には貯蓄銀行には預金業務もあるので単純なサラ金業者とは異なるのですが。
 まあ、どちらにせよ第1金融圏とされる都市銀行等は脆弱層を相手にしません。

 ところが法定最高金利が20%とされてしまったために、脆弱層への貸し出しは大きなリスクを背負うことになっている。
 もはや彼らには第2金融圏も、そして登録貸金業者である第3金融圏も貸し出しをすることができなくなったのです。

 かつては金利青天井(IMF管理下時代)だったり、66.6%(2000年代)だったりしたので貸すこともできたのでしょうけどね。
 で、そうした中で「需要が高まったヤミ金業者」の金利が一気に上昇したわけです。
 30万ウォンを借りたら1週間後には50万ウォン返済。
 地獄か。
 「先進国」を気取っている韓国のひとつの事実ではありますね。

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韓国メディア「中国のメモリ製造企業がアメリカの制裁リストに掲載されて事業縮小をはじめた」……いや、キミらも対象になりつつあるんよ?

「アメリカの制裁が直撃」中国YMTC、第2生産工場建設延期の可能性も(韓国経済新聞・朝鮮語)
香港サウスチャイナモーニングポスト(SCMP)は、武漢の本社を置くYMTCがNANDフラッシュメモリチップ市場改革のための中国の希望だったが、米国の制裁以後サプライチェーン問題で第2ウエハ生産工場を建設する計画を延期できると26日(現地時間)消息筋を引用して報道した。ウエハは半導体製作の核心原材料だ。

ウエハ工場を運営するには先端半導体機器が必要だが、米国が昨年10月、中国企業に半導体機器を輸出することを事実上禁止する輸出統制措置を実施したためだ。米国は続いて先月はYMTCなど中国企業36社を輸出統制名簿(entity list)に上げて制裁を強化した。

専門家らはこのような措置がすぐにYMTCの生存には影響を与えないだろうが、技術高度化と生産能力拡大に大きな打撃を与えると見ている。代表的にYMTCは3D NANDフラッシュ部分で頭角を現せる技術力を備えていることが知られているが、米国のラムリサーチなどのエッチング装置装備がなければ生産自体が難しい。 (中略)

一部では、YMTCが突破口を探すために新しい技術開発ではなく、既存の生産製品の競争力を強化することに集中しなければならないというアドバイスも出ている。市場調査会社トレンドフォースは「YMTCは技術的渋滞により価格競争力を徐々に失うことになり、市場シェアの浸食も続くだろう」とし「これを避けるためには2D NANDフラッシュ製造に戻るなど方法を模索しなければならない」とした。
(引用ここまで)


 中国のメモリ製造企業であるYMTC(長江存儲科技)に対してアメリカ商務省がCHIPSプラス法によってブラックリストに掲載した、とのニュースは楽韓Webでも既報ですが。
 YMTCは世界に先駆けて232層のNANDフラッシュメモリの量産に成功したことで知られています。

「中国YTMC、3DNANDフラッシュ分野でサムスン・SKハイニックスに先んじた」(朝鮮BIZ・朝鮮語)

 ただし、ブラックリストに掲載されたことから製造装置の導入ができなくなり、技術的には頭打ちするだろうと見られています。
 冒頭記事では3Dの積層技術は諦めるしかない、とまでされていますね。
 特に今回のリスト掲載によって厳しいのが、これらのリストに掲載された企業からアメリカ人の技術者がすべて撤退しなければならないという部分。
 メンテナンスが一切受けられなくなります。
 さらに日本、オランダが同調していることからこれらの国からのメンテナンス作業も受けられなくなるわけですね。
 半導体製造装置で企業側から定期メンテナンスが受けられなくなるってことはもう製造を終了するしかない。


 というわけで将来的な問題が生じたYTMCは第2生産工場の建設を延期するのではないか……との見立てが出てきたわけです。
 さらにすでに10%ほどの職員が解雇されたとのニュースもあります。

「中国YTMC、アメリカのブラックリスト記載から1カ月で職員の10%を解雇」(聯合ニュース・朝鮮語)

 っていうかですね。
 なんでそんな話をのほほんと韓国メディアが伝えているのか、という問題がありまして。

 以前から書いているのですがSKハイニックス、サムスン電子ともにDRAM、NANDフラッシュの工場が中国にあります。
 SKハイニックスに至ってはインテルが売りに出した大連のNAND工場を買収してしまっている。
 SKハイニックスは自社で生産するNANDフラッシュ、DRAM全体の4割が中国産。
 サムスン電子もNANDフラッシュの2割が中国産。

 これらの中国工場に最新設備は入れられない可能性が高い。
 一応、1年間の猶予はあるとされています。

米国、韓国半導体企業への対中輸出規制を1年猶予(日経新聞)

 延長される可能性はほぼゼロ。
 YMTCへの措置を見ても、アメリカ政府の本気度が見えてくるはずです。
 「YMTCが工場建設中止で、職員を10%解雇したってさー」とか呑気に見ている場合じゃないと思うんですけどね。

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韓国経済:「サムスン電子の半導体部門、利益97%減」「不動産の売れ残り6万8000戸突破」……ついに炸裂するのか

明けましておめでとうございます…貿易赤字100億ドル、歴代「最悪」(デイリーアン・朝鮮語)
新年の始まりから貿易に暗雲が立ちこめている。グローバルに景気鈍化が持続し、半導体業況が低迷し、輸出が4カ月連続マイナスを記録した。特に貿易収支は25年ぶりに11ヶ月連続赤字を続けた。赤字幅も歴代初めて100億ドルを超えて最悪の実績を見せた。

1日、産業通商資源部が発表した「2023年1月の輸出入動向」によると、先月の輸出と輸入は前年比それぞれ16.6%、2.6%%減少した462億7000万ドル、589億5000万ドルと集計された。

輸出減少は、高物価・高金利などグローバル景気鈍化持続と半導体の業況悪化などに影響を受けた。 (中略)

品目別に見ると、半導体輸出は前年同月比44.5%急減し、1月の輸出減少分の約52%を占めた。これは半導体のうち輸出比重が大きいDRAM・NANDなどメモリ半導体製品価格が需要弱税、在庫累積などの影響で急落したためだ。

特に半導体最大輸出市場である対中半導体輸出は46.6%減少した。 (中略)

これによって貿易収支は126億9000万ドルで史上最大の赤字を記録した。 月基準貿易赤字が100億ドル以上を記録したのは今回が初めてだ。 月間基準で、従来の赤字、過去最大値だった昨年8月(94億3500万ドル)の記録を上回ったのだ。

これで貿易収支は11ヵ月連続赤字が続いた。 貿易赤字が11ヵ月以上続いたのは1995年1月∼1997年5月連続で赤字を出した後、25年ぶりのことだ。
(引用ここまで)


 韓国経済がいよいよもってやばいことになりつつある、と。
 これまではなんかしらで救われてきたのですよ。IMF管理下に置かれた時以外は。
 半導体がダメならスマホ、スマホがダメなら自動車、自動車がダメなら船舶等々。

 いや、今回も自動車と船舶は売上が増えているのですが。
 でも、それを救えないほどに半導体がダメ。
 半導体というかメモリですが。

 とにかくメモリ半導体の市況が悪い。
 先日もDRAM、SSDが下落していていてどうにもならないとお伝えしていますが。
 いや、ホントにやばいレベル。
 去年の第4四半期、サムスン電子は「ぎりぎり赤字ではなかった」、SKハイニックスは10年ぶりの四半期赤字。

サムスン電子の半導体部門、10-12月営業利益は衝撃の97%減(朝鮮日報)
SKハイニックス 約10年ぶりに赤字転落=半導体メモリー価格下落で(聯合ニュース)

 サムスン電子は「それでも減産はしない」と言い張っていたのですが「市場の問題があってゴニョゴニョ」みたいに態度が変わってきた模様。


「パフォーマンスショック」サムスン半導体、事実上の減産へ(毎日経済・朝鮮語)

 メモリの減産はともかく、設備投資の手は緩めないともしていますが。

 ここに加えて内需は不動産爆弾がアレ。
 これまで「未分譲のマンションが5万戸を超えたらレッドライン」とされていたのですが。
 現状は6万8000戸が未分譲。

全国未分譲6万8000世帯… 「リスクライン」を超えた(朝鮮日報・朝鮮語)

 オワタ。
 特に地方だけで5万7000戸と絶望的な数字になっています。
 この地方はいわゆる首都圏の他の地域を指します。ソウル特別市、京畿道、仁川市以外。

 パク・クネ政権後期からムン・ジェイン政権にかけて不動産ローンの規制を弱めたり強めたりでなんだかんだ不動産(だけ)は右肩上がりを続けていたのですが。
 そのツケを払う時がきてしまったかな、といったところ。

 楽韓Webでは2012年くらいから「このままだと不動産価格が経済システム全体を巻きこんで崩壊するのでは?」という話を何度かしてきました。
 長々と延命措置が取られてきたのです。
 ついにそれが「日経が報じるレベル」にまできたわけで。
 若干、感慨深いかな。

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韓国経済:中国がくしゃみをすると風邪を引くのが韓国……中国国内の内需が回復しないかぎり、韓国経済の再始動は難問か

カテゴリ:経済 コメント:(62)
大陸の内需回復するか…「中国成長率1ポイント下落時は韓国0.2ポイント下落」(中央日報)
韓国銀行が昨年11月に出した経済見通しによると、今年上半期の実質国内総生産(GDP)成長見通しは1.3%だ。しかし下半期には成長率が上半期より0.8ポイント高い2.1%に達し、年間成長率を1.7%まで引き上げるというのが韓国銀行の分析だ。

韓国銀行は「下半期以降に対外不確実性が減り不振が次第に緩和されるだろう。商品輸出増加傾向も世界的需要減少などで鈍化の流れが続き、下半期以降に中国とIT景気不振が緩和して反騰する見通し」と説明した。今年の成長見通しとして1.6%を提示した韓国政府の見方も韓国銀行と変わらない。

こうした見通しが「楽観的」という意見もある。LG経営研究院の今年の成長見通し1.4%は韓国銀行と韓国政府より低いだけでなく、流れもやはり「上高下低」を予想する。下半期の成長率は1.3%で上半期の1.6%より0.3ポイント落ちるとみている。韓国の輸出に大きな影響を及ぼす世界的景気回復が期待ほど速くない上に、高い物価と金利が時差を置いて韓国国内の消費を押さえ込み内需反騰もやはり容易ではないという予想からだ。

専門家は韓国銀行・韓国政府の望みどおり上低下高の図を描くためには中国の景気回復がカギだと口をそろえる。防疫政策を「ゼロコロナ」から「ウィズコロナ」に転換した中国は、今年本格的な経済活動再開が予想される。韓国貿易協会は「対中輸出のうち内需用の割合が4分の3を超えており、今後中国の景気がコロナ禍前の水準に回復し内需が活性化する場合、対中輸出も拡大するものと類推できる」と説明した。

反対に中国の経済回復が期待に沿えないならば韓国経済に不安要因として作用しかねない。国連傘下機関が29日に発表した「2023年世界経済状況と見通し報告書」によると、中国は今年4.8%成長し昨年の成長率3.0%を上回る見通しだ。
(引用ここまで)


 韓国における昨年の第4四半期経済成長率はマイナス0.4%とかなり厳しい内容になりました。
 原因は3つほどが大きなものとして挙げられていまして。

 ひとつが新型コロナウイルスの再流行。
 一昨年3月ほどではありませんが、最大で1日の新規感染者が8万人台とそれなりに大きな波となっていました。
 結果、思いのほか内需が立ち上がらなかった部分があります。

 もうひとつはメモリ半導体の価格下落。
 ここ数年で一番厳しい……というか、10年以上のスパンで見てもなかなかないくらいの下落ぶり。直近で同レベルは2010年前後くらいですかね。あるいはそれを上回るくらいのきつさです。
 時期が悪いおじさんでも「メモリ増設のタイミングはいま」って言いかねないくらいの下落ぶり。
 しかも、まだちょっと底が見えていない。


 そして最後の原因が中国の内需不振でした。
 中国がくしゃみをすると韓国が風邪をひくほどに中国経済に依存している構造が問題となっています。
 実際、ゼロコロナ政策を転換したことでどれだけの内需拡大ができるのか。
 ゼロコロナ時代は都市封鎖された上海等で火が消えたようになっていた、とされています。
 スマートフォンの製造等でも支障が出てましたね。

 ソニーはデジタルカメラの製造の多くを中国からタイに移転したされています。

ソニーのカメラ生産、日米欧向けを中国から分離(日経新聞)

 サプライチェーンの再編成は必須。
 ですが、もう韓国は中国から離れられないほどの投資を行っており、特にサムスン電子、SKハイニックスは「主工場は中国」といえるほどになってしまっています。

 中国の内需、そして中国での生産の両方に過度に頼っている状況下。
 まあ、この構造を変えろといわれても変えることは不可能ですから。
 「中国経済が復調しますように」と祈るしかない、というわけです。

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