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カテゴリ:経済の記事一覧

韓国メディア「日本のエンゲル係数が28%になった。日本人はますます貧しくなっているのだ」……そしてここからが本題ですが、韓国のエンゲル係数は……

カテゴリ:経済 コメント:(97)
なぜ日本国民はますます貧しくなっているのか(ソウル新聞・朝鮮語)
東京杉並区阿佐ヶ谷市のある大型マートでは青森、茨城、千葉産(産)新米5キロ1袋を3595〜3898円(3万3600〜36400ウォン)で売っていた。 昨年は1500〜1800円(1万4000〜1万6800ウォン)水準だった。 スーパーで会った近藤さん(68)は「高くても高すぎる」と言い、財布の紐をゆるめるのが怖いと話した。 日本は昨夏、不作によるコメ供給難でいわゆる「コメ騒動」を経験した。 10月から本格的に新米が流通し、状況は好転したものの、2倍以上値上がりしたコメ価格は依然として下がる兆しを見せていない。

日本の食卓物価が天井知らずに急騰し、消費支出の中で食料品費が占める比率である「エンゲル指数」も同時に上がっている。 賃金と所得が物価上昇の勢いに追いつけず、それだけ日本国民も生活が苦しくなったという話だ。 世界3位の大国である日本国民のエンゲル指数がかえって高まっている理由はどこにあるのだろうか。 (中略)

エンゲル指数が高くなったからといって、単に日本国民が貧しくなったとは言い難い。 エンゲル指数が20%以下の米国でも、医療費の負担が大きく、食費の割合が相対的に小さく見える傾向がある。 ただし日本の急騰するエンゲル指数の中には賃金停滞、高齢化、為替レート脆弱性など日本が抱いている各種社会·構造的課題が複合的に絡まっているという点で注目される。 (中略)

65歳以上の高齢者と共働き世帯が増加し、加工調理食品の利用人口が増える点もエンゲル指数を引き上げている。 実質賃金が停滞したために共働き世帯の家事時間が短くなり、高い加工食品や半調理食品に対する依存度が大きくなっているという説明だ。
(引用ここまで)


 ちょっと面白い記事を見つけたのでピックアップ。
 ソウル新聞が「なぜ日本人はますます貧しくなっているのか」とする記事を掲載。
 その論拠になっているのが、日本のエンゲル係数が28%に達したというもの。

 もうこれは何度か語っているのですが、原因として挙げられるのが年金生活者が多くなっていることから収入が少なくなったこと。
 および、教育費や住宅ローンといった大きな支出がなくなったことで収入に対する食料費が高くなったことが原因です。
 高齢化が主因ですね。

 同様にアメリカでは医療費負担が高く、エンゲル係数を引き下げる要因となっています。
 でもまあ、韓国では「日本は貧しくなった」ことは喜ばしいこととして語られるので、このような中味を呻吟することなく報道されているわけです。


 その一方で、「韓国もひどいのでは?」との報道もありまして。


物価高で低所得層の食費負担↑…日本もエンゲル指数上昇(中央日報)

 こちらの中央日報の記事では「日本」という形で語られています。
 先日も書いたことですが、韓国のエンゲル係数は外食費と酒類購入費用が組み入れられていない参考値でしかなく、2021年で12.8%となっています。

 この記事では外食費、酒類購入費を組み入れた場合、エンゲル係数は28.9%となる(だろう)とされています。
 日本よりも上……というか、この場合は下というべきか。

 しかも、韓国の場合は本格的な高齢社会の到達はこれからなのです。
 人口の21%以上が65歳以上の高齢者となる超高齢社会にはまだ到達しておらず、26年頃になるだろうとの予測になっています。

 日本は2007年に超高齢社会に突入しているので、もうすでに17年のキャリア。
 超高齢社会のベテランとでもいうべきか(自虐)。
 それよりもまだ超高齢社会にすらなっていない段階でエンゲル係数が日本よりも高い韓国って……ってなりますわな。

 しかも、韓国はいま現在で21世紀に入ってから最悪の不況に面しています。
 冒頭記事のコメントもそうした「いや、俺たちは日本どころの騒ぎじゃないぞ」ってものが大半。
 まあ、「日本が貧しい」って喜んでいるような状況じゃないんですよ。まず足元を見ろよって話ですかね。

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戒厳令以降の政情不安定さで韓国ウォンがだだ下がり。ついに「マジノ線」である外貨準備高4000億ドルを下回って「IMFのトラウマスイッチ」が入る寸前に

カテゴリ:経済 コメント:(72)
ウォン相場守ろうとしたが…4000億ドルのマジノ線が揺れる=韓国(中央日報)
ウォン安ドル高時代に韓国政府の外国為替対応能力が試験台に上がった。外貨準備高だけでなく、外国為替平衡基金まで動員するなど対応に出た。だが過去のマジノ線まで崩しかねない「緊急処方」の性格で警告音が鳴っている。

12月3日の非常戒厳事態から14日の大統領弾劾に至るまで為替相場は株式市場とともに最も速く大きく揺れ動いた。3日に非常戒厳を宣言した直後にはウォン相場が1ドル=1443.51ウォンまで落ち込んだ。外国為替当局が火消しに出たが、弾劾案を可決した後の16日も1435ウォンで取引を終えた。先月から続いた1ドル=1400ウォン台が「ニューノーマル(新しい標準)」として定着する様相だ。

為替相場は経済の体力を反映する。ウォン下落が経済のファンダメンタルズ(基礎体力)低下と関連するならば軽く見る問題ではない。その上対外依存度が高い韓国が為替危機に弱い点も考慮しなければならない。ウォン相場が1400ウォンを超えたのは1990年に為替相場変動制を導入してから通貨危機があった1997年、世界的金融危機があった2008年、レゴランド事態と米国の利上げがあった2022年の3回だ。それでも企画財政部と韓国銀行は「ウォン安に問題はない」と釈明してきた。

現在のウォン安ドル高のリスクは過去と違い複合危機である点が特徴だ。漢城(ハンソン)大学経済学科のキム・サンボン教授は「過去の1400ウォン台の相場が外部変数にともなう危機だったなら現在は米中覇権競争と第2次トランプ政権発足という外部変数だけでなく経済の柱である輸出が揺れるところに弾劾政局という内部変数まで重なった点で違いがある」と話した。

問題は政府の釈明と違い、外貨準備高と外国為替平衡基金による対応手段がいずれも揺れている点だ。韓国銀行によると、外貨準備高は先月末基準4153億9000万ドルを記録した。政府が非常戒厳事態以降の為替対応に積極的に出ただけに外貨準備高が減った可能性が大きい。外貨準備高は2021年10月に4692億1000万ドルで過去最大を記録してから3年にわたり減少している。

外貨準備高が十分ならば国の信用度が上がり海外調達費用を低くする効果がある。通貨危機まで体験した韓国は「心理的マジノ線」である外貨準備高4000億ドルの確保に特に敏感だ。外貨準備高が4000億ドルを下回ったのは2018年5月が最後だ。
(引用ここまで・太字引用者)


 あー、太字部分が韓国人の基本認識なのか……。
 だから「日本は円安で滅びた」みたいな記事や、韓国人の意識があるわけですね。
 確かに韓国の場合は通貨危機で国が滅びたからなぁ。

 でも、その際のウォン安は「国が滅びたからウォン安になった」のであって、「ウォン安が原因で国が滅びた」のではないのですけどね。
 やりたい放題やって、「危機だ!」ってなったら国庫に1ドルも残ってなかったっていう。
 「国家が破産する日」って映画では、アメリカの陰謀だみたいな描写をしてましたね。

 ま、それはともかく。
 戒厳令からこっち、通貨が不安定になってて外貨準備高が4000億ドルを割りこみそうだ、とのニュースがぽつぽつと出はじめています。

韓国・外貨準備高が危機的水準に?…「非常戒厳」の余波で4000億ドル割れの懸念(KOREA WAVE)

 「4000億ドル」が韓国における「マジノ線」となっているのですね。


 ハードカレンシーを持たない韓国の場合、外貨準備高こそが生命線であるとの認識なのです。
 経済構造が徹底した外需頼りでもあるので「国の裏書き」が重要になるわけですよ。
 以前から「4000億ドルを保つことこそが大事」としています。

韓銀総裁「適切な時点でアメリカとの通貨スワップ協定は結ばれる。まだその時が来ていないだけだ」とドル流動性に自信。また「アメリカの政策金利に自動的に追随はしない」とも発言(楽韓Web過去エントリ)

 この過去エントリでもイ・チャンヨン韓銀総裁が「外貨準備高は4000億ドル以上ある、充分な量だ」と述べていました。
 逆説的に4000億ドル以下になると不安定さを露呈する、とも読めますね。

 上記の通貨危機からIMF管理下に置かれたことは韓国にとってトラウマといってもいい出来事です。
 そして外貨準備高が減るたびに、反比例してトラウマメーターが上昇していくのです。
 現在はトラウマメーターが出番を待っている、ってところですね。
 もう電源は入って暖機運転まで済ませている感じかな。

 あと4000億ドルって聞いてなんか聞き覚えがあるなと思ったらイーロン・マスクの個人資産でしたわ。

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ユン大統領弾劾で、経済政策も180度転換か。チェコへの原発輸出、ガス田開発、半導体支援策などにストップがかかる可能性も

【尹弾劾訴追】原発復興からガス田、半導体まで……ユン産業政策の動力弱化(聯合ニュース・朝鮮語)
尹錫悦、大統領に対する国会弾劾訴追案が14日可決されたことにより、原発産業復興、「大王鯨」ガス田開発、半導体産業支援など「ユン·ソクヨル票」産業政策動力が弱化する展望だ。

半導体業界は政府の半導体支援政策弱化が国家対抗戦様相で繰り広げられる世界的競争激化の中で、ややもすると競争力強化のための「ゴールデンタイム」を逃す結果につながりかねないと憂慮する。

政府と業界によると、まず新規大型原発3基の建設を含めた第11次電力需給基本計画(電基本)の確定日程が不透明になった。

政府は2038年までに少なくとも3基の新規大型原発を建設し、2035年からは初の小型モジュール原子炉(SMR)を稼動する内容を盛り込んだ第11次電気本案をまとめ、早ければ今月中に国会報告の手続きを経て確定する計画だった。

政府はさらに、直ちに新しい原発敷地選定作業に着手しようとした。

しかし、尹錫悦、政府の国政動力が弱まり、原発建設に否定的な共に民主党が主導する野党が政局の主導権を握ることになり、電気本が国会報告の敷居を越えることができないという観測が出ている。 (中略)

弾劾政局は来年3月が期限であるチェコ原発輸出契約の確定にも影響を与えるという観測もある。

チェコ当局はまだ韓国と契約推進方針に変わりがないという立場だ。
(引用ここまで)


 ユン・ソンニョル大統領が弾劾されたことで、これまでやってきた経済政策もすべて覆されそうだとするニュース。
 ここでは原発、ガス田開発、半導体支援について書かれていますね。
 引用部分では原発のところまでになっていますが、その他の事業もそれぞれ潰されそうです。

 特にチェコへの原発輸出までなくなりそうだ、としています。
 日本の常識では「そんなことある?」って思えるかもしれませんが。
 韓国の場合ではあるのです。

 パク・クネ大統領(当時)がUAEとの原発輸出を成功させて、契約した日を「原子力発電の日」とするほどに韓国は盛り上がったのですよ。
 ただし、原発の警備は韓国兵が行うとか、建設費は韓国からの借款で行う等のアゴアシつき。
 しかも、借款については韓国国内でそんな巨額の融資ができるところがなくて、逆ざやで国外から借りてきて、UAEにまた貸しせざるを得なかったっていう。

UAEでの韓国原発受注、派兵と60年の運転保証と9000億円借款を合わせたバリューセットだった(楽韓Web過去エントリ)

 そこまでして「輸出実績」を積もうとしたのですね。
 それをすべてひっくり返そうとしたのがムン・ジェイン政権でした。


 この騒動で相互にかなりの高位者が訪問を繰り返していました
 UAEの皇太子側近が訪韓したり、韓国側からは大統領秘書室長(かなり高位の閣僚。ムン・ジェインの懐刀)がUAEを訪問するなどしていたのですが。
 韓国がUAEに「軍事協力をするには国会での批准が必要」って言い出して、「国会での批准が必要っていうならなんでもやってこい」って言われて有耶無耶になったのでした。

 ちなみにUAEに輸出した韓国製原子炉(バラカ発電所)ですが、コアキャッチャーと深層防御防護壁が装備されていないことを欧州の研究者が指摘しています。
 このあたりの意味は各自で調べてね♪

 こんな感じで過去の政権の実績を「潰せるものなら潰したい」のが韓国の政権交代というものなのです。
 実際、イ・ミョンバクが推進した科学ベルト政策(基礎科学研究院)や、拙速だったと評価されているもののあるていどは結果を出した資源外交はムン・ジェイン政権下で潰されています

 同様に韓国人が一瞬だけかなり舞い上がったガス田開発なんかも潰されることでしょう。
 原発でベース電源が確保できないってことは、半導体戦略もイチから青写真の描き直しです。
 ……今回の政権交代は3年っていう短いペースだったので産業界も大変ですね。

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韓国の不況の沼にはまるロッテグループ。手持ちの優良企業を売却、グループのシンボルであるロッテワールドタワーを担保にするほどに困窮していた

ロッテレンタル売却…ロッテグループが1兆6000億を確保(朝鮮日報・朝鮮語)
国内レンタカー業界1位のロッテレンタルが香港系プライベートエクイティ(PEF)運用会社アフィニティエクオティパートナーズ(アフィニティ)に売却される。ロッテグループは6日、ホテルロッテと釜山ロッテホテルが保有するロッテレンタル経営権の持分総56.2%を売却する内容の了解覚書(MOU)をアフィニティと締結したと明らかにした。最近'流動性危機説'が出たロッテは今回の売却で1兆5729億ウォンを確保することになった。ロッテ側は「ロッテレンタルは業界1位で優秀な収益性を維持していたが、レンタル業の性格がグループの長期戦略と合わないという判断で売却した」とし「今回の売買代金はホテルロッテなどの借入金の返済とグローバル進出のための財源として活用されるだろう」と明らかにした。
(引用ここまで)


 楽韓Webでは韓国経済が疲弊しつつある、との情報を延々と述べてきましたが。
 そのとどめともなりかねない事態が起きそうだな、と感じたのでピックアップ。

 現状、ロッテグループはふたつの負債に苦しんでいます。
 ひとつはロッテ建設。
 5兆ウォンを超えるプロジェクトファイナンス(PF)を抱えていることで、不動産不況が直撃しています。

韓国の大手ゼネコンに破綻の危機→金融機関から大規模融資で一息つく……ただし、「プロジェクトファイナンス危機」はまだ消えていない(楽韓Web過去エントリ)

 去年の年末にPFに耐えられなくなり、中堅建設企業であったテヨン建設が破綻しました。
 その次に破綻候補となっていたのがロッテ建設です。
 まあ、上の大規模融資で一息つくことはできたのですが、まだ危機は去っていないのが実情。


 そしてもうひとつの危機がロッテケミカル。石油化学企業です。
 中国が自国の需要減少の補填を海外に求めていて、アホほど安売りしていることから市況が悪化しています。
 ロッテケミカル四半期ごとに1000億ウォン規模の赤字を垂れ流していて、もはや工場稼働させないほうがいいのではと指摘されるレベル。

 あまりのひどさにロッテグループはグループの象徴であるロッテワールドタワーを銀行団に担保として差し出しています。

「流動性危機説」ロッテ、ロッテワールドタワーを担保に出す(東亞日報・朝鮮語)

 ロッテワールドタワーはソウルの一等地にある123階建て、555メートルの韓国最大の高層ビル。

ロッテワールドタワー.jpg

 これを担保にさしださなけれならないレベルで流動性に困っている。
 そして、今度はグループ内でも優良企業として知られていたロッテレンタルを売りに出したと。
 通貨危機時には「一気に崩壊」だったので建て直しも楽だったのですが。
 今回の不況はまさに真綿で首を絞めるかのようにじわじわと不況が韓国国内に浸透するって状況となっています。
 自グループ内で持っている企業を切り売りしていって、なんとか不況をやり過ごそうとする戦略のようですが……なんとかなるのかね、これ。

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韓国メディア「果てしない景気低迷の沼に落ちた……未曾有の状況だ」……で、そこに戒厳令発令……か

カテゴリ:経済 コメント:(97)
タグ: 韓国経済
果てしない景気低迷の沼に陥った…。韓国「未曾有の状況」(韓国経済新聞・朝鮮語)
先月の就業者増加幅が内需不振の余波で4ヶ月ぶりに10万人を下回ったのに続き、産業生産と消費・投資も前月対比減ったことが分かった。 産業活動を構成する生産・消費・投資が一斉に減少したのは5月後5ヶ月ぶりだ。 財貨消費指標である小売販売が2ヶ月間減り「建設寒波」が続くなど内需がなかなか回復できずにいるためだ。 輸出まで鈍化の兆しを見せるなど景気が下半期に行くほど折れる「上高下低」の流れが当初の展望より明確になりうるという観測が出ている。 (中略)

10月の産業活動指標が軒並み低迷したことを受け、今年の国内総生産(GDP)の伸び率は2%台前半へと下がりかねないという見方が出ている。 韓国銀行は28日、修正経済展望を通じて今年の経済成長率展望値を2.4%から2.2%に下げた。 来年の成長率は2.1%から1.9%に下げた。 これに先立って、韓国開発研究院(KDI)も今年の成長率展望値を2.5%から2.2%に下方修正した。

韓銀が引き下げた今年の成長率2.2%に到達するためには、第4四半期に前四半期対比0.5%成長しなければならない。 今年第1四半期のGDPは前四半期対比1.3%「びっくり増加」したが、第2四半期には内需沈滞と基底効果で0.2%後退した。 第3四半期は輸出増加の鈍化で展望値(0.5%)を大きく下回る0.1%増に止まった。

当初、企画財政部は緩やかな景気回復傾向が続いているため、第4四半期の0.5%成長は無難だと見た。 問題は内需がなかなか反騰する兆しを見せず、米国ドナルド・トランプ2期行政府のスタートを控え、対外不確実性の余波で輸出まで鈍化の兆しを見せているという点だ。 第4四半期の初月である10月の産業活動指標が前月対比一斉に減少した状況で、今月明確な反騰勢が見えなければ、第4四半期の0.5%成長が危険になる可能性があるという展望が出ている。
(引用ここまで)


 ユン・ソンニョルの支持率は最近になって20%前後と低迷していました。
 その最大の理由が不況です。
 消費・生産・投資のすべてがマイナス。パーフェクトなトリプルマイナスを記録しています。

韓国で進む経済不況、建設業界は「IMF管理下の時よりも悪い」とため息。生産・消費・投資がトリプル減少のまま年越しへ……(楽韓Web過去エントリ)

 11月の消費者物価指数は前年同月比で1.3%。デフレ気味。
 製造業PMI(景気指数)は50.6と「好況と不況の境である50」を上回りましたが、外需内需ともに旺盛とは言いがたい状況下にあります。


 韓国銀行は今年の成長率予測を引き下げて2.2%にしたのですが。
 第3四半期のマイナス成長の結果、第4四半期は0.5%以上の成長率が必要となりました。
 12月入っていきなりの戒厳令ですからね。
 これで消費が伸びるわけもなく。かつ、政府の予算がまとまるわけもなく。

 弾劾されるのであればまだしも、与党は政権にしがみつく方針。
 それなのにねじれ国会。
 そしてDRAMもNANDも価格は下落基調。

 この状況で不動産……売れるわけないですね。
 八方塞がり、踏んだり蹴ったり、泣き面に蜂。好きなのをどうぞ。

 韓国国内でじわじわとイ・ジェミョン待望論みたいなものが湧き上がっているのですが。
 こちらもこちらでパク・クネからムン・ジェインに変わった時の高揚感みたいなものがありますね。
 ま、その一方で東アジア情勢的には最悪の展開なんですけども。
 米韓関係、米韓同盟がどうなるかってとこなんだよなぁ。

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韓国で進む経済不況、建設業界は「IMF管理下の時よりも悪い」とため息。生産・消費・投資がトリプル減少のまま年越しへ……

カテゴリ:経済 コメント:(60)
韓国、生産・消費・投資トリプル減少「内需寒波」(中央日報)
韓国の産業活動を構成する生産・消費・投資が10月は一斉に減少した。5月から5カ月ぶりだ。内需部門では小売り販売と建設業分野に厳寒期が続いている。トランプ次期米大統領の保護貿易主義強化など対外環境も容易でなく、構造的低成長懸念が出ている。それでも韓国政府は「緩やかな景気回復傾向が続いている」という楽観的な立場を固守している。

韓国統計庁が先月29日に発表した「10月の産業活動動向」を見れば先月の民間消費を示す小売り販売は前月比0.4%減少した。衣服など準耐久財が4.1%、食品など非耐久財は0.6%増えたが、家電製品など耐久財販売が5.8%減少した。統計庁のコン・ミスク経済動向統計審議官は「小売り販売は前年同月比にも8カ月連続減少傾向で回復する姿を見せられずにいる」と説明した。

産業生産も2カ月連続減少した。10月の全産業生産は前月比0.3%減少した。特に厳しい環境にある建設業の生産が4%減り産業生産のマイナスを主導した。投資部門でも建設業の不振がみられる。建設業者の工事実績を現わす建設既成指標は土木がマイナス9.5%、建築がマイナス1.9%と実績が減り、前月比4%減少した。10月の設備投資は前月比5.8%減、前年同月比では5.8%増となった。

LG経営研究院のチョ・ヨンム研究委員は「消費回復傾向が微弱で、建設投資は以前よりさらに悪化する流れ」と説明した。10-12月期の始まりから生産・消費・投資が「トリプル減少」したのは来年に続く低成長の予告編という懸念が大きくなっている。
(引用ここまで)


 消費、生産、投資がそれぞれマイナス成長のトリプルマイナス。
 製造業PMI(景気指数)は9月10月と不況判定となる48.3。5月から8月にかけては50を上回るペースだったのですが、半導体の価格下落と時同じくしてPMIも下落。
 明日に11月のPMIが発表されますが……まあ、期待薄。

 特に厳しいのがやっぱり建設業。
 生産が4%減。これに引っ張られて全体の生産がマイナスになっていると。
 そうそう、「これはきっついわ……」ってなる数字がありました。

鉄筋需要、14年ぶり最低…減産も効かない(韓国経済新聞・朝鮮語)

 記事タイトルを見たときは「ああ、中国から安い鉄筋が入ってきて国内製鉄が困っているのかな」と思ったのですが。


 記事をよく見たら「需要そのものが減少」だったので中国の安売りはミリほども関係ありませんでした。
 国内の鉄筋需要が前年同期比の21.4%減。ひっど。

 記事によると「年間800万トンを下回りそう」とのことで。
 リーマンショック後の2011年にあった建設不況を超え、さらにIMF管理下に置かれたときの底抜けの不況であってすら800万トンあったと推定されているのでそれ以下。
 現状の韓国建設業については、IMF管理下の時と同等レベルかそれ以下であるわけですよ。

 マンションが売れないから建築数が増えない。
 建築数が増えないから鉄筋需要も下落する。
 セメントやらの建設資材や、家具家電といったモノの消費まで低調になる。
 おまけに対外的にはDRAM・NAND価格の下落。

 えっと「不況の出口」ですか?
 ……そこになければないですね。

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経済絶不調の韓国、20代の雇用減少が人口減少ペースを上回ってしまう……このままでは「韓国版失われた×年」に突入も?

カテゴリ:経済 コメント:(78)
人口減少だけでは説明できない韓国青年層の雇用不振(KOREA WAVE)
韓国における最近の青年層の雇用不振は、単に人口減少だけでは説明できないことが明らかになった。

人口が自然に減少すれば就業者数も減る傾向にあるが、今回の減少はそれを大幅に上回っている。

韓国統計庁の国家統計ポータル(KOSIS)のデータによれば、今年10月の15~29歳の就業者数は368万5000人で、前年同月比18万2000人減少した。この青年層の就業者数は2022年11月以降、24カ月連続で減少しており、今年5月以降は6カ月間、減少幅が毎月10万人を超えている。

問題は、最近の青年層就業者数の減少が、単なる人口減少によるものではない点だ。

例えば、昨年10月には青年層の就業者数が8万2000人減少したが、この時の青年層人口は17万6000人減少しており、減少幅はほぼ人口要因に一致していた。統計的には、前年の青年層雇用率(46.4%)を適用すると、人口減少による就業者数の減少は約8万1664人と推定され、この数値と実際の減少幅は一致していた。

しかし、今年10月の青年層人口は前年同月比で24万9000人減少したものの、就業者数の減少幅は18万2000人だった。統計的に見れば、人口減少による自然な就業者数の減少は約11万6000人と推定されるが、実際の減少はこれを約6万6000人上回った。
(引用ここまで)


 韓国経済のお話をまたいくつか。
 昨日のDRAM価格下落はかなりの衝撃でした。韓国にとっては踏んだり蹴ったりの状況で、内需に加えて外需までもしおれようとしている状況なわけです。
 「ガチでヤバいよ」ってくらいのもの。

 まず冒頭記事の20代の雇用が人口減少を上回るペースで減っている、って統計。
 人口減少した数に雇用率をかければ、それがいわば「自然雇用減少数」となるわけですが。
 現在の韓国の20代はそれを上回って雇用減少が続いています。

 なぜそんな構造になっているのか。
 簡単にいえば「経験者優遇」の世界になっているからです。
 これ、ヨーロッパとかでも同じ構造なんですが。
 ほとんどの雇用で即戦力を期待されているんですよ。慣れるためのオンジョブトレーニングはあるにしても、すぐに戦力になってもらわないと困る。

 なぜって、ばりばり現役の45歳前後の社員を辞めさせちゃっているので。
 その代わりが務まるくらいじゃないと困るんですよ。
 「それだと経済構造が尻すぼみになっていかない?」って思われるでしょうね。
 ええ、それがいまの韓国経済です。


 朝鮮日報は「韓国の日本化」としてゼロ成長、デフレ突入に警鐘を鳴らしています。

韓国の日本化… このままじゃ「ゼロ成長」に閉じ込められる(朝鮮日報・朝鮮語)
今の韓国経済は日本の「失われた30年」の入り口と似ている。 韓国など新興国に製造業を明け渡した日本は、資産市場のバブル崩壊とともに、1990年代に入って低成長局面に突入した。 日本の成長率は1991年3.5%から1992年0.9%、1993年-0.5%に急転直下した後、30年間0%台のゼロ成長に閉じ込められた。

今年の韓国の成長率展望値(2.2%)は、日本の長期不況直前より低い。 財政赤字と家計負債の割合は、日本の1990年代初頭と似ている。 日本が韓国に追い越されたように、産業競争力で隣国の中国に押し出される姿も似ている。 人口構造の高齢化は30年前の日本より深刻だ。 韓国経済が低成長·低物価·低金利に代表される日本化(Japanification)に陥り「新興衰退国」に転落するのではないかという憂慮が高まっている。
(引用ここまで)

 もはや単なる「経済不調」ではなく、構造的なものになりかかっている、いまが最後のチャンスなのだから政府はなんとかすべきだ……と。
 それと引用外には「日本は経済大国で資本蓄積があったから『失われた○年間』を耐えることができた。体力も基軸通貨(ハードカレンシーのこと)もない韓国はそれを耐えることはできない」って記述もありますね。
 その通りだと思います。
 中国も韓国も「日本化」しつつあるのだけども、それを支える資本蓄積はない状況。
 あとヨーロッパではフランスとドイツもけっこうやばい。ロシアは論外。

 かつ、国会はいつまでたっても政争継続中で、「いや、もっと大事な法案とかあるだろ」って言われている状況なのに「キム・ゴンヒ特検法」を3度目の提出。
 そして3度目の拒否権発動。

尹大統領、「キム・ゴンヒ特検法」に3度目の拒否権…再議要求法案25件(ハンギョレ)

 本当にずーっとこれやってますからね。
 韓国にはお似合いだとは思いますけども。

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韓国銀行、予想外の利下げに乗り出す……その背景には不動産不況とDRAM価格の急落が……

韓国中銀、15年ぶり2会合連続利下げ トランプ氏復帰で追加緩和も(ロイター)
韓国銀行(中央銀行)は28日、据え置き予想に反して政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.00%とした。景気がさえず、トランプ次期米大統領の誕生による貿易リスクにも警戒する中、2会合連続で利下げを決めたほか、追加緩和も示唆している。

2会合連続の利下げは2009年初め以来。金融通貨委員会での表決は5対2だった。

ロイター調査で25bp利下げを予想したエコノミストは38人中4人で、残りは据え置きを見込んでいた。
(引用ここまで)


 韓国銀行が0.25ベーシスポイントの利下げ。
 これで韓国の政策金利は3.25%から3.00%になりました。2会合連続の利下げで、市場はサプライズとして受け取っています。
 記事にもあるようにエコノミストはほとんどが金利据え置きを予想していましたからね。

 このサプライズともいえる利下げがなにを意味するのか。
 外から見るよりも韓国経済の情勢が悪いってことなんですよ。
 引用外に「3ヶ月以内の追加緩和に前向き」とありますから、さらなる利下げも否定していないと。

 まあ、韓国の消費者物価指数は10月に前年同月比で1.3%。前月比で0.0%でした。
 ぱっと見でインフレが落ち着いているように見えるので、そのあたりの言い訳もできないことはない。
 でも、実際には「利下げしないとやってられない理由」があるのです。


 その理由がこちら。

「4億ウォン以上だったマンションを3億ウォンで買いました」…世宗市で何が起こった?(韓国経済新聞・朝鮮語)

 世宗市といったら公務員都市。
 ノ・ムヒョン時代に首都機能をわずかですが移動させたことで、公務員が大量に移住している年なのですね。
 その公務員都市で競売にまでかけられているマンションが続出しているとのこと。

・6月 15件
・7月 19件
・8月 24件
・9月 31件
・10月 40件

 ……順調ですね。
 そして競売になっている理由は「高利に耐えられずに手放した」ってアレ。
 公務員都市である世宗市でこれ。
 そしてもうひとつ。
 こっちはさらにやばい。

汎用DRAM価格、今月は20%も急落…14カ月ぶりの最低値(韓国経済新聞・朝鮮語)

 ……終わったわ。
 韓国経済終了のお知らせ。
 HBMがどれだけ売れたところで、汎用DRAMのほうがまだまだ市場はでっかいんですよ。
 NANDも下落しているし、これはきついわ。

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