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カテゴリ:経済の記事一覧

韓国経済、半導体不況で立ちゆかなくなる……実際の景況感指数(BSI)を見てみると……

カテゴリ:経済 コメント:(51)
タグ: 韓国経済 BSI
半導体不振に製造業体感試合「急落」… 「より悪化する可能性があります」(韓国経済新聞・朝鮮語)
韓国銀行が23日に発表した「8月、企業景気実査指数(BSI)および経済心理指数(ESI)調査結果」によると、今月の製造業業況BSIは前月より5ポイント下落した67を記録した。今月の製造業業況BSI水準は2月63を記録した後6ヶ月ぶりに最も低いものだ。去る5月と6月73を示し、7月72、8月67で2ヶ月連続下落した。

BSIは現在、経営状況に対する起業家の判断と見通しに基づいて算出された統計だ。否定的な応答が肯定的な応答より多い場合、指数は100を下回ります。

企業人が製造業の景気が悪くなったと見たのは半導体景気回復が当初予想より遅れているからだ。業種別BSIを見ると、半導体価格の回復遅延・受注減少の影響で電子・映像・通信装備が8ポイント下落した。中国の鉄鋼需要不振の影響を受けた一次金属は12ポイント下がり、中国内需回復税が遅れるにつれ、化学物質・製品は8ポイント下落した。

特に中小企業の下落傾向が急上昇した。製造業の状況BSIを企業規模・形態別にみると、大企業は2ポイント下落するにとどまった反面、中小企業は8ポイントも下がった。ファン・ヒジン韓銀統計調査チーム長は「電子・映像・通信装備業種で半導体設備、基板製造などを行う中小企業の業況BSIが大きく悪化した」と説明した。

サービス業など非製造業体感競技も3カ月連続で下落した。8月の非製造業業況BSIは75となった。前月比1ポイント下落した。3ヶ月連続で降りる。前方産業の不振により需要が減少し、専門・科学・技術サービス業BSIが8ポイント悪化した。原材料価格の上昇で住宅部門の収益性が悪くなり、建設業も3ポイント下がった。海外旅行需要の増加で国内旅行需要が減ったため、芸術、スポーツ・レジャー関連サービス業の体感景気は11ポイント下落した。

製造業と非製造業を総合した全産業業況BSIは8月71で、7月比3ポイント下落した。
(引用ここまで)


 製造業のBSIが67まで下落。
 きっつ。
 BSIは簡単にいえば「景気がいい」「景気が悪い」との回答が拮抗すれば100になるという数字。
 100を下回れば「景気が悪い」と判断する材料にできるわけです。
 その数値が67。うーむ。

 日本の統計は取り方が違う(景気のいい、悪いが拮抗すると0扱い)のですが。
 コロナ禍の2020年4〜6月期に-44.3%ポイントになったことがあります。
 韓国の景況感はそれに近いくらいの悪さ、といえるのでしょう。

 あ、ちなみに日本の製造業の4〜6月期のBSIは+5.9。韓国的に書けば105.9になります。


 とにかくメモリが売れていません。
 スマホ需要が全世界的に一巡して、かつ中国の不況で買い替え需要が起きづらくなっている。
 中国経済への依存がまずい方向に作用してますね。
 かつては「4-6月期には反騰する」としていたものが「下半期には」になり。
 さらに「年内には反騰が期待される」になりつつある。

半導体メモリー「年内は下落、大手減産も供給過剰続く」(日経新聞)

 下落幅は緩くなったものの、このように「年内いっぱいまで下落を続けるだろう」という予測も出てきました。
 メモリにオールインしている韓国経済は年内いっぱい復活しない、との話ですね。

 いや、これはきつい。
 少なくとも年内まではこの「コロナ禍での日本よりちょっとマシ」レベルの景況感のままってことですから。

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日本のGDP成長率1.5%に焦る韓国、「25年ぶりに日韓の成長率が逆転してしまうかも」

カテゴリ:経済 コメント:(90)
「25年ぶりのこと」……韓国、日本に追い越される(韓国経済新聞・朝鮮語)
15日、内閣府によると、今年第2四半期(4〜6月)の日本の実質国内総生産(GDP、季節調整値)は前期より1.5%(速報値)増加した。昨年第4四半期から3四半期連続のプラス成長だ。成長幅も第1四半期の0.4%成長から4倍近く拡大した。

このような第2四半期のGDP成長率は、市場の予想値を2倍ほど上回るものだ。主要市場専門家らは第2四半期の日本の成長率を0.7〜0.8%台と予測した。

日本のサプライズ成長には外国人観光客誘致が大きく寄与したものと把握される。 (中略)

日本の第2四半期の成長率は韓国より3倍ほど高い。韓国銀行によると、韓国は第2四半期のGDPが前期比0.6%増加した。第1四半期の0.3%より改善されたものだが、日本の1.5%成長率に比べれば3分の1水準に止まる。

特にGDPを構成する支出項目8項目のうち7項目がマイナスだった。 (中略)

日本の第1四半期の成長率が0.4%で韓国より高かったことを勘案すれば、2四半期連続の追い越しが決定している。 (中略)

日本が今年韓国の成長率を追い越せば、これは1998年以来25年ぶりのことだ。IMF救済金融を受けて経済が崩壊した当時、韓国の成長率は-5.1%だった。日本もその年逆成長したが、成長率は-1.3%で韓国より高かった。
(引用ここまで)


 今朝方に第2四半期のGDP速報値が発表されました。
 前期比1.5%、年率換算6.0%のサプライズ。

GDP年率6.0%増 4〜6月、輸出復調も個人消費は弱含み(日経新聞)

 正直、朝に速報見て「まじかー」ってなるくらいの数字。
 ただ、数字を細かく見ると個人消費、設備投資(≒内需)がやや弱含みなのが心配なところではありますかね。
 輸入が減り、インバウンドが復活したことが高い成長率となった数字のトリックとして挙げられますかね。
 それでも脱デフレの準備は整ったといっても過言ではないでしょう。

 で、このサプライズと言ってもいいニュースに対して、日本よりも驚いているのが韓国だったりします。


 「25年ぶりに日韓の成長率が逆転してしまう」と。
 というか……日本の成長率が高いのではなくて、韓国のそれがあまりにも低いのが原因ですわな。
 今朝の更新でもメモリ価格が上がらないという話をしました。
 つまり、韓国の経済指標は大きくメモリ価格に左右される体質となっているのです。

 韓国でもなんとかしてメモリ価格え国家の行方が左右されるような状況を変えたいとは思っているのですが。
 ここまでメモリだけの経済圏を広げてしまった以上は難しいところ。

 ただまあ、前述したように弱含んでいる内需が不安点。
 日本は内需が大きいので、ここが弱いと全体が弱くなってしまうのです。
 なぜか韓国メディアは「日本こそが外需頼りなのだ」とか報じているんですけどね。

日本のサプライズ成長、25年ぶりに韓国追い抜くか… 輸出・観光急増した(中央日報・朝鮮語)
輸出依存度の高い日本が対外変数に脆弱だという憂慮もある。例えば、最大交易国である中国の経済が低迷している状況だ。
(引用ここまで)

 少なくともメディアなら隣国の経済構造くらいは把握しておこうよ、ね?

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韓国の高齢者、35度の猛暑でも段ボール回収や役所の草むしりといった仕事をやめられない……ひどいディストピアだ

カテゴリ:経済 コメント:(53)
猛暑でも古紙拾い、露店で果物販売…路上の高齢者「食べていくため仕方ない」=韓国(ハンギョレ)
 「サンチュ3千ウォン、コシラクナムル5千ウォン」

 日中の気温が34度まで上がった今月1日午後、ソウル江西区禾谷洞(カンソグ・ファゴクトン)のある銀行の前に陣取ったキム・ウォルイェさん(82)は芋づるの下処理をしていた。この日午前10時から午後3時までの5時間もの間、キムさんは照りつける日差しを防ぐ術がないため、長い2本の傘と短い1本の傘で身一つ隠す陰を作って耐えつつ、野菜を売っていた。

 「横断歩道前の日よけがある場所は『区役所の土地』だってことで、いたらだめだって言われるんです」。キムさんは熱くなったアスファルトの上に発泡スチロール一枚を敷いて座っていた。家から持ってきたという2本の氷水はすでに溶けて温かくなっていた。キムさんは「孫娘が大学院の試験に合格したのでお金がたくさんかかるだろうから、家計の足しにしようと思って出てきた」と言い、帽子の下を流れる汗をぬぐった。

 記録的な猛暑が続く中、「食べていくためには仕方ない」と言って街頭に出る高齢者の健康が脅かされている。暑さは高齢者にとってはより過酷だからだ。高齢層は汗をかくなどの体温調節機能が低下しているうえ、熱中症を認知する機能も若年層より弱まっている。 (中略)

 1日午後3時ごろ、永登浦区永登浦本洞(ヨンドゥンポク・ヨンドゥンポボンドン)の路地で出会ったキム・ウォンファさん(74)は、古紙を山のように積んだ小さなリヤカーをそばに置き、1時間以上陰で呼吸を整えていた。キムさんは「危なくても食べていくためには仕方ないので出てきた。出てこなければこの程度も拾えない」と言ってため息をついた。 (中略)

 嘉泉大学のユ・ジェオン教授(社会福祉学)は「猛暑の際には慢性疾患のある高齢者が無理に野外で働かないよう指針が必要であり、高齢者雇用事業も夏には屋内作業を中心として増やす必要がある」と述べた。
(引用ここまで)


 太平洋高気圧が朝鮮半島にまでせり出しているために、韓国でも相当な酷暑に襲われています。
 ソウルで35度くらいまでひょいひょいと上がっている状況。

 さて、韓国ではよく見られる光景として知られている高齢者の露店販売と段ボール回収。
 どちらも屋外がメインになる仕事ですが、この猛暑の中でもやらざるを得ない。
 なぜなら韓国の高齢者(65歳以上)でまともな年金を受け取っているのは50%ていどでしかないから。

間に合わなかった韓国の「高齢社会」準備……半分が無年金の中、「高齢者にも質のよい雇用が必要だ」とメディアは叫ぶものの(楽韓Web過去エントリ)

 年金もなく、かといって雇われることも少ない高齢者は日銭を稼ぐためにどうしても必要になるのですね。
 ムン・ジェイン政権時代に段ボール回収業を「これも雇用」としてしまったために、やめてくれとは言いづらい。
 失業率が上がってしまいますからね。
 地方自治体毎に回収業の名称は異なっていて「威風堂々エコ事業団」、「幸せ手押し車」、「希望グリーン資源」などと呼ばれています。ディストピアで草。


 引用外では地方自治体が行っている高齢者雇用についても言及されています。
 その多くは庁官舎や公園でのゴミ拾い、交通整理など。
 当然、屋外でやるものが多いわけですね。

 でもムン・ジェイン政権時代に公的雇用を100万人規模に増やして見た目の失業率を減らしてしまったために、これも変更できない。

 言葉を変えて言うなら猛暑だろうと酷寒だろうと、見た目の失業率を減らすために働き続けろ! ってこと。
 高齢者の貧困率でOECDのトップ(ワースト)をダブルスコアで走り続けているので、こういう公的支援策も必要になるのでしょうけども。

 それでこの炎天下で働かされ続けるわけですが。
 なんというか、どの方向を見ても高齢者にとってのディストピアでしかないなぁ……。

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「取りつけ騒ぎは終息した」はずの韓国セマウル金庫、「破格の金利5%」商品を発売!……現金まだ足りてないってこと?

カテゴリ:経済 コメント:(25)
終わっていないセマウル金庫事態···検察捜査に金融当局緊張(京郷新聞・朝鮮語)
セマウル金庫事態は6月、京畿南楊州東部セマウル金庫が数百億ウォン台の貸出不良で近隣の華道セマウル金庫に吸収合併が決定された後にふくらんだ。セマウル金庫貸出延滞率が昨年末3.6%から今年上半期6.2%まで急騰し、自主基金で1人当り5000万ウォンまで預金を保護可能であるにも関わらず、預金者保護対象ではないという噂まで広がり預金、積立金を解約しようとする顧客が急増した。政府は急いで市場安定メッセージを出し、以後資金離脱が減った。 (中略)

セマウル金庫の3000億ウォン台のファンド出資金を誘致する見返りに資産運用会社から31億ウォンを受け取った疑い(特警法上斡旋収賄など)でチェ某Mキャピタル副社長(44·拘束)が6月19日裁判に付された。出資の見返りに約1億6000万ウォンの裏金を受け取った疑い(特警法上の収賄など)でセマウル金庫中央会企業金融部次長(43、拘束)も起訴された。2人ともパク・チャフン中央会長の側近だという。

検察は近くパク会長を被疑者として取り調べた後、拘束令状請求を検討する予定だ。

金融当局はセマウル金庫事態が本格化した後、検察の関連者起訴や押収捜索のニュースが伝えられる度に市場状況を注視している。顧客の不安感が高まり、再びバンクランが再現される素地があるためだ。

検察は今月中に朴会長など主要被疑者に対する捜査を終えるものとみられる。検察は捜査で明らかになった不正と管理·監督疎かなどの問題点をセマウル金庫中央会などに通知する予定だ。特に、中央会に対する外部監督の強化の必要性などを指摘するという。
(引用ここまで)


 セマウル金庫が取りつけ騒ぎを起こしました。
 韓国政府が「預金保証対象となる5000万ウォン以上の預金についても保証する」「金融委員長が迫る金庫に預金してみせる」等々のアナウンスをしてみせて、なんとか火消しには成功したもののいまだに「金融不安」の4文字が韓国国民の脳裏に染みついてしまっているのは間違いないところ。

 そんな中、1200以上支店のある(そしてそれぞれがほぼばらばらに営業している)セマウル金庫を統括しているはずのセマウル金庫中央会の会長が収賄で逮捕されそうだ、とのニュース。
 セマウル金庫がファンドへの出資を決める際に1億6000万ウォンを受け取ったとして、中央会の次長が逮捕済。
 さらに中央会会長もおそらく逮捕されるだろうとの見通し。


 この逮捕を嫌忌する……というきっかけでまた取りつけ騒ぎが起こるのではないか、とされています。
 金融不安が全体に蔓延している中ではなにがトリガーになるかは分かりませんからね。
 んで、そんな中でいくつかのセマウル金庫の支店では5%を超える定期預金を発売しました。

「お客さんが行列するだろう」セマウル金庫、年間5%台の定期預金が殺到(毎日経済・朝鮮語)

 ……年利5.1%、かつ3000万ウォンまでは金利非課税。100万ウォン以上、1億ウォンまで。
 魅力的だなぁ。3000万ウォン預けたら年に162万ウォンの利息。

 ただまあ、「なんでそんな金利をつけてくれるのか」……って理由を考えたら、ね。

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韓国銀行、これまで直接支援の対象でなかった非銀行金融機関にも「流動性危機があれば支援」に方針転換……えっと、つまりそのあたりがヤバイ……ってこと?

取り付け騒ぎに備えた安全弁…韓国銀行、危機時には非銀行金融機関にも流動性支援(中央日報)
今後セマウル金庫や貯蓄銀行のような銀行以外の預金機関で一時的な資金悪化が現れた時に韓国銀行が流動性支援に出ることにした。取り付け騒ぎの可能性に備える次元だ。

韓国銀行金融通貨委員会は27日の会議で貸付制度改編案を議決した。李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「シリコンバレー銀行問題を契機に浮上したデジタル取り付け騒ぎの可能性に備え預金取り扱い機関の安全弁の役割を強化する方向で貸付制度を改編することになった」と話した。

まず韓国銀行は、銀行に対する常時貸付制度である資金調整貸付の金利を引き下げ、適格担保範囲を拡大することにした。資金調整貸付は銀行が必要な時に政策金利より一定水準高い金利で資金を制限なく供給する制度だ。現在の資金調整貸付金利は基準金利より1%高く策定されているが、基準金利より0.5%高い水準に下げる。また、銀行が資金調整貸付を受けるために提供する担保の範囲を増やす。現在は国債、政府保証債、信用証券などだが、一部公共機関発行債券、銀行債、優良社債などを追加する。貸付満期は最大1カ月から3カ月に拡大する。

韓国銀行はまた、これまで韓国銀行の貸付制度の死角地帯にあった貯蓄銀行、相互金融機関などに対しても速やかに流動性支援の可否を決めることにした。韓国銀行法上、金融機関は銀行(金融持ち株会社含む)だけだ。そのため銀行以外の金融機関は資金調整貸付対象ではない。だが最近のセマウル金庫問題で見るように銀行より銀行以外の金融機関での取り付け騒ぎ発生の可能性が大きい。これに対し韓国銀行は一時的流動性危機に陥った銀行以外の金融機関に対し中央会を通じた資金支援に出ることにした。韓国銀行法第80条は資金調達に対する重大な問題発生時、あるいは発生の可能性がある場合に金融機関(銀行)ではない金融業をする者に韓国銀行が金を貸し付けられるようにした。ただ金融通貨委員4人以上が賛成しなければならない。韓国銀行が非銀行預金取扱機関中央会に貸し付ける時は銀行資金調整貸付に準ずる適格担保範囲を適用する予定だ。
(引用ここまで)


 韓国銀行がセマウル金庫や貯蓄銀行といった第2金融圏についても、流動性危機があった時に直接支援ができるよう制度改正を行うとのこと。
 これまで貯蓄銀行等、政府が「金融機関」と認めていなかった企業に対しては直接支援ができなかったのですね。
 なのでセマウル金庫の支援も政府ではなく、都市銀行が音頭を取ってお金を集めるなんてことをやっていたのです。

急な火は消えたか… セマウル金庫事態が残ったのは(ハンギョンビジネス・朝鮮語)

 この記事によるとセマウル金庫の流動性確保のために5大銀行らが6兆ウォンをセマウル金庫に対して支援したとのこと。
 セマウル金庫自身も債券を売って現金を確保するなど相当の流血を強いられた模様。  それだけ取りつけ騒ぎ当時、危険だったということでしょうね。


 今後は韓国銀行が直接の支援ができるようになるので安心です……と。
 まあ、これを「だったらもう安心だ」って受け取るような人はいないでしょうけどね。
 むしろこれから生じるであろう危険に備えているってわけですから。

 もっとも弱い状況だったセマウル金庫にまず危機説が生じただけ、ともいえます。
 すべてはプロジェクトファイナンス、PFの行方にかかっているかな。

セマウル金庫事態で不動産PF危険峠···「施工会社の責任竣工期限延長が必要」(朝鮮BIZ・朝鮮語)

 契約期限までに当該不動産を竣工できなかった場合、施工主に賠償責任が生じる=プロジェクト破綻になるわけですが。
 資材高騰や資金不足で動くに動けない中小ディベロッパーが多い。
 このままプロジェクト破綻になれば金融機関が多数の不良債権を抱えることになりかねない、ということで竣工期限を延長できるようにしようとしている、とのニュース。

 期限を延長して完成したとしても、ホントに売れるのかって最大の問題が残っている気がするなぁ……と思ったら記事に似たようなこと書いてありましたわ。
 不動産爆弾の炸裂まで秒読みに入っているかな、といったところ。

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韓国経済:大手証券会社に「海外オフィスビル」「国内不動産開発」の不良債権化が忍び寄る……これ、だいぶやばない?

カテゴリ:経済 コメント:(56)
タグ: 韓国経済
ロンドン、NY、パリで大型オフィスビル投資が裏目-韓国勢ら苦境に(ブルームバーグ)
在宅勤務などの働き方革命が理由で企業の多くがオフィス規模縮小を検討する中で、完璧な環境認証が必須となるなど「本当にグレードの高いA級スペース」しか求められていないと同氏は述べた。

 この「超一等地」への殺到は、きらびやかな近代的タワーの所有者にとっては好都合かもしれないが、ポールトリー1番地ビルのような古い施設にとっては悪いニュースだ。どの大都市でも、このようなB級オフィスビルの所有者は、高額な改修工事かあるいは安値での売却に直面する見込みだ。

 この2番手クラスの商業ビルを5年間も買い漁ってきた韓国の投資家は、特に苦境にあるようだ。ハナ・オルタナティブ・アセット・マネジメントは、ポールトリー1番地ビルを売りに出す準備を進めていると、事情を知る関係者は語る。関係者によると、推定評価額は1億2500万ポンド(約230億円)で、ハナが支払った額より3分の1ほど安い。同社はコメントを拒否した。

 ハナの不幸な経験は、決して特別なものではない。 (中略)

 しかし、ハナの苦境は韓国に固有の問題も浮き彫りにする。韓国の資産運用会社は近年、海外のオフィスやリスクの高い不動産ローンに数百億ドルをつぎ込んだ。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)や中央銀行の利上げの直前の時期だった。

 ロンドンだけでも、韓国企業が所有する少なくとも6件の大型ビルが売りに出されていると、売却手続きに詳しい関係者は言う。そのほとんどが、低い評価額に苦労している。 (中略)

 17年から22年の間に、韓国の投資家は90件以上の欧州の不動産をそれぞれ2億ユーロ以上の価格で買い取った。その多くは、ロンドンのシティーやパリのラ・デファンスにある大型ビルだった。不動産仲介のサビルズによると、両金融街の物件の価値はこの1年で20%余り下落した。 (中略)

 韓国の投資家にとって、市場の急落は最悪のタイミングで訪れた。韓国金融監督院のデータによれば、韓国の不動産ファンドは2025年末までに約30兆ウォン(約3兆3000億円)が償還期限を迎える。これは全体のほぼ40%に相当し、需要が落ち込んでいる時期に大量の商業ビルが市場に出回ろうとしていることを意味する。

 ストレスにさらに拍車をかけるのは、金融機関が手を引き、借り入れコストが急上昇しているさなかに物件購入に使われたローンの多くが返済期限を迎えることだ。銀行は新たな融資を行う前に、家主に追加の自己資本を要求している。
(引用ここまで)


 韓国の金融機関がここ何年か、さかんに海外の不動産に投資しており、それらが失敗しつつあるというニュースをお伝えしました。
 その際は「韓国人の不動産信仰が買いあさらせている」「海外の不動産を持つことで自尊心(実際には虚栄心)を満たそうとしている」と、文化的な部分からの話をしましたが。
 ……どうもここも韓国経済における導火線のひとつになりそうな感じがしてきています。

 というのも、大手証券会社が相当な額を海外の不動産に投資しているとのことで。

ニューヨーク・パリ・香港に噛まれた···国内証券会社の海外不動産投資危機(韓経ビジネス・朝鮮語)

 この記事によると、平均で大手証券会社は自己資本比で24%(3月末基準)を投じていると。
 で、その大半がBクラスの不動産で買い値よりも安く売り飛ばすか、さらに資金を投入するかの二択を迫られていると。

 前回は「なんかのタイミングが重なると(取りつけ騒ぎを起こして信用低下している)セマウル金庫がやばいかもねー」くらいのことを書きましたが。
 そんなレベルじゃなかった。


 そもそも、韓国の証券会社はこぞってプロジェクトファイナンス ── 不動産開発そのものを担保にして融資を受ける金融商品、PFの受け皿になっています。
 都市銀行をはじめとした大手金融機関、貯蓄銀行をはじめとした中堅金融機関がまったくプロジェクトファインアンスに出資しなくなってしまい、その代わりに証券会社が不動産ディベロッパーの資金調達先となっているわけです。

 このプロジェクトファイナンスについて、韓国経済の危険要因になり得るとIMFすら指摘しています。

韓国経済:不動産開発資金が焦げつく? IMFまでが「韓国の不動産開発資金融資が危険だ」と指摘(楽韓Web過去エントリ)

 特に証券会社が扱っているプロジェクトファイナンスの延滞率は16%に達することが報じられ、不良債権化しているとされています。
 ……韓国の証券会社、ひとつかふたつ飛びますね、これは。

 韓国国内の不動産価格が持ち直してムン・ジェイン政権時代くらいになれば別ですが、さすがにそれは厳しい。
 海外のオフィス需要がいきなり増える可能性も皆無。
 ここから入れる保険があるんですか?

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韓国金融機関、海外不動産への投資が失敗して損失を抱える……あの取りつけ騒ぎを起こしたセマウル金庫も?

カテゴリ:経済 コメント:(46)
[単独]ロンドンビルに1400億ウォンを飛ばす···セマウル金庫「超非常事態」(韓国経済新聞・朝鮮語)
セマウル金庫など国内金融会社が英国ロンドンの繁華街にあるオフィスビルを買い入れたが約1400億ウォンを失う危機に直面していることが分かった。グローバル金利引き上げと在宅勤務拡散でオフィスビル空室率が高くなり、国内金融会社が2010年代後半から集中投資してきた海外オフィスビルで相次いで損失が発生している。

26日、投資銀行(IB)業界によると、国内代替投資運用会社のベスタス資産運用は「一般私募不動産投資信託第38号」を通じて保有しているロンドンシャフツベリーアベニュー125番街のオフィスビル売却を推進している。ベスターズ運用は売却諮問会社を選定し、来月8日に入札に乗り出す計画だ。ファンドの満期は来年4月だ。

このオフィスビルはベスタス運用が2018年末、2億6700万ポンド(約4400億ウォン)で買収した。セマウル金庫、A証券会社など国内金融会社が持分(エクイティ)投資方式で1800億ウォンを出し、残りの2600億ウォンは現地金融会社から融資を受けて充当した。

業界ではこのビルが買入価格より30%以上安い1億8000万ポンド(約3000億ウォン)水準で売れるだろうという展望が出ている。20年間賃借することにした共有オフィス業者のウィワークが今年、グローバル金利引き上げと景気低迷などの余波で賃貸料の150%に達する違約金を払って去ることを決め、大規模な空室が発生した影響だ。

実際、1億8000万ポンド前後で売却される場合、持分投資者である国内金融会社は1400億ウォンの売却損失にまず責任を負わなければならない。

ベスターズ資産運用が売却を推進しているシャフツベリーアベニューオフィスビルは、英国ロンドン心臓部のソーホー地域にあるが、1982年竣工した構築ビルだ。ベスターズ運用はウィワークが離脱した後、新しい賃借人を探すのが難しいうえ、主要投資家(LP)として参加したセマウル金庫もまた最近流動性危機事態を経験し、追加出資意志が折れ売却に乗り出したと知られた。

投資銀行(IB)業界では、このビルの現在の価格が買入価格対比30%以上下落したという推定が出ている。セマウル金庫とともに同ビルに出資したA証券会社も価格が25%下落したものと推定し、投資金の60%を上半期に損失(損傷差損)処理した。 (中略)

今月だけで、香港のゴルディンフィナンシャルグローバルセンタービル(未来アセット)、ドイツのトリアノンビル(イージス資産運用)、ベルギーのトゥアゾンドールビル(韓国投資リアルアセット運用)などの価値が下落し、国内金融会社が損失危機に直面していることが分かった。
(引用ここまで)


 ヨーロッパではリモートワークの普及に伴い、オフィスビルの需要が短期的に減少しています。
 これが中長期的にどうなるかはまだ流動的。
 ただ、立地が厳しく問われ、かつエネルギー効率(SDGs)がどうなっているかも問われるために、人気のあるオフィスビルとそうでないものという二極分化が進むだろうとされています。

 さて、そんな中、韓国の金融機関はいろいろと不動産投資ファンドを通じて不動産投資を続けてきたのですが大きな損失を出すのではないかと恐れられています。

米英独ベルギー···国内金融会社「オフィスビルの相次ぐ損失」の危機(韓国経済新聞・朝鮮語)

 その中でも先日まで取りつけ騒ぎを起こしていたセマウル金庫が海外不動産でさらなる損失を出しつつある、との冒頭のニュース。
 1400億ウォンはいまのセマウル金庫には安くない損失ですわ。
 それでなくともセマウル金庫への視線は厳しいものになっていますからね。
 「今度はどんな失敗をするのか」と見られているわけで。


 何度かお伝えしていますが、韓国では不動産投資への信頼が異様に高いのです。
 ということは海外への投資案件でも不動産なら稟議が通りやすいだろうな、と容易に連想できます。

 土地・ビルへの投資であればいくらでもいい、どんなものでもいいと「売り物」があれば飛びつく様子が目に浮かびます。
 特に海外への投資はいわゆる「自尊心(実際には虚栄心)」へとつながるのでしょう。

 韓国ではFTAを結ぶ際に「経済領土」といった言いかたをします。新たなFTAが締結された際に「また韓国の経済領土が拡がった」みたいに使うのですが。
 いかに「韓国の土地が拡がること」に執着があるか、理解できる言葉ではないでしょうか。

 リーマンショック時にも韓国産業銀行がリーマンブラザーズへ出資するしないを繰り返して時間を無為に費やしたなんてことがありましたね。
 なんというか、下手だよなぁ……と感じます。

 「海外への投資」というだけで舞い上がってしまうのだろうな、といったところ。
 イ・ミョンバク政権時代の資源外交にも感じたことですが。
 もっとまともに精査すればいいのにね。

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 韓国産業銀行との交渉を絶望しつつやっている姿が描写されています。


韓国の不動産価格に底入れの兆し……その一方で家計負債も史上最悪規模に……韓国メディア「この時限爆弾をどうにかしなければ」

カテゴリ:経済 コメント:(53)
借金して家を買って借金して借金を払う「悪循環」···家計負債爆弾臨界点(ソウル新聞・朝鮮語)
先月、全銀行圏の家計貸出が1062兆ウォンに達し、歴代最大規模に増えたのに続き、7月にも家計貸出増加傾向が続いている。不動産関連規制緩和と「住宅価格底論」に力づけられ、5大市中銀行(KB国民·新韓·ハナ·ウリィ·NH農協)の住宅担保貸出(住宅担保貸出)が2ヶ月連続で前月対比1兆ウォン程度増加し、全体金融圏の家計貸出が4ヶ月連続で増えるものと見られる。

金融脆弱階層は年利子14%に達する「カードローン回し」に追い込まれ、このような「カード代換ローン」残額は1年間で50%近く膨らんだ。家計負債が増えても通貨当局が基準金利引き上げで対応する余力が事実上なく、韓国経済の「時限爆弾」が爆発しないよう特段の対策が必要だという指摘が出ている。

23日、金融界によると、5大都市銀行の20日基準家計貸出残高は678兆5700億ウォンで、6月末(678兆2454億ウォン)より3246億ウォン増えた。5大都市銀行の家計貸出残高は昨年1月から4月まで前月対比減少傾向を続けたが、5月(677兆6122億ウォン)に前月対比1431億ウォン増加したのを皮切りに6月(+6332億ウォン)に続き7月まで3ヶ月連続増加傾向だ。

家計貸出の増加は住宅担保貸出が牽引した。伝貰資金貸出を含む住宅担保貸出残額は20日基準で512兆3397億ウォンで前月対比9389億ウォン増えた。6月に1兆7245億ウォン増加したのに続き、残りの営業日を考慮すれば、2ヵ月連続で1兆ウォン以上増加する公算が大きい。金融委員会と金融監督院によると、全体金融圏の家計向け融資は4月(+2000億ウォン)と5月(+2兆8000億ウォン)、6月(+3兆5000億ウォン)まで3ヵ月連続で増加傾向を続け、増加幅も大きくなった。このような傾向を考慮すれば、全体金融圏の家計貸出は7月にも前月対比増加するものと観測される。

一方、金融脆弱階層に対する貸出寒波が一層厳しくなり、庶民の急銭窓口として活用されるカードローン延滞者に再融資するカード代換ローン需要は急膨張中だ。与信金融協会によると、主要カード会社7社(新韓·三星·KB国民·現代·ロッテ·ウリィ·ハナカード)の対為替融資残高は先月基準で1兆3372億ウォンで、前年同期(9032億ウォン)に比べて48.0%急増した。カード会社から高金利急銭の融資を受けた後、これを期限内に返済できないほど懐事情が厳しくなった低信用者が大幅に増えたという意味だ。

同期間の対為替貸出増加率をカード会社別に調べれば、ロッテカードがなんと540.9%を示し、ウリィカードが81.2%、現代カードが65.5%、KB国民カードが45.3%、新韓カードが22.9%、サムスンカードが13.4%を示した。利子負担もやはり侮れない。これら7社のカードローンの平均金利は先月基準で年14.10%と集計された。

金融当局は最近、このような家計負債の増加傾向に数回憂慮を示した。それでも「タカ派」的な発言を継続するだけで、景気鈍化と金融不安のために「タカ派」的な対応ができないジレンマ状況に置かれた。韓国銀行金融通貨委員会は13日基準金利を3.50%に凍結した後、基準金利決定の変数として「家計負債」を言及したが、イ・チャンヨン総裁は「(家計負債を)短期的に急激に調整しようとすれば意図しない副作用が現れる恐れがある」と話した。韓銀は総負債償還比率(DSR)の例外対象を縮小するなど、マクロ健全性規制を通じて家計負債を減らしていかなければならないと強調している。
(引用ここまで)


 ムン・ジェイン政権時代に行われた不動産融資への各種規制が緩和されつつあり、それに呼応する形でソウルの不動産が下げ止まりつつあります。
 「割安になった」と思われる物件から買われはじめていて、競売にかけられた高級マンションが評価額よりも高い価格で競り落とされているなんてこともぽつぽつと出はじめています。
 んで、ここのところ「残債を早く支払ってしまいたい」としていたために微減していた家計負債がまた増加の傾向を見せている……との記事。

 もしかしたら不動産価格はソフトランディングを迎えるのではないか(ただしソウルだけ)、との予測も出ています。
 韓国人の不動産に対する欲望は果てしないのだなぁ。


 さて、その一方でこれまで第2金融圏などで生活費を借りて、給料日に返すといった自転車操業をしてきた層が貸し渋りで第2金融圏からの借り入れができなくなっています。
 彼らが向かったのがカードローン。
 割高な平均年利14%のカードローンでしか金を借りられなくなっているわけですね。

 ……カードローンの残高が去年同期に比べて48%増って。

 でもって第2金融圏よりも高くなった金利に対して延滞者が続出して、「カード代替ローン」で繰り延べ返済に活用するシーンが増えた、と。
 自転車を漕いでいる人に「もうひとつ自転車を上げますね。漕げないなら背負ってください」って言っているようなもんだわな。
 第2金融圏の貸出金利は10%未満であるのがほとんど。第1金融圏では5〜7%台。
 金利14%以上のカードローンでしか借り入れができない低信用層が増えているのだな……と。

 それでなくても細い内需をどこまで痩せさらばえていくつもりなのか。

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