緊急招集要求に金融監督院を訪れた証券会社10社の最高リスク管理責任者たち。
金融監督院のファン・ソンオ副院長補は、高騰する延滞率を懸念し、皆が緊張感を感じて管理するよう強調しました。
インタビュー:ファン・ソンオ金融監督院副院長補「証券会社の不動産PF貸出延滞率は現在、様々な金融業界の中で最も高い水準です。ブリッジローンを中心に追加不良に対する懸念が依然として高い状況です」
3月末基準で全体金融圏の不動産PF貸出残高は131兆6千億ウォンで、21年から毎年急増している状況だ。
昨年、不動産市場の低迷で資金回収に問題が生じたPF事業場が増え、延滞率は深刻な水準に上がっています。
証券会社のPF貸出延滞率は3月基準で15.88%で、バンクラン事態を起こしたセマウル金庫など相互金融延滞率よりはるかに高い水準です。
電話インタビュー:ファン·セウン資本市場研究院研究委員「16%ならとても高いものです。ここでさらに高くなるのは絶対望ましくないといえます。積極的な延滞率管理は必要な部分だと見るべきです」
金融当局は非常対応に乗り出しました。
金融監督院はリスク管理が脆弱な証券会社の場合、別途管理方案を提出させ、CEOを個別面談する方案も推進することにしました
回収できないと判断される不良債権は早急に償却または売却するなど迅速に整理するよう注文しました。
(引用ここまで)
プロジェクトファイナンス、いわゆる「不動産開発そのものを担保にしてお金を借り、その金で当該の不動産開発を行う」という融資方式が韓国にはありまして。
これまでの韓国では実にうまくいっていたのです。
不動産は売る端から売れていき、かつほぼ確実に値上がりしていく。
かつ経済成長に伴うインフレで借金は時間が経つだけで目減りしていった……という状況だったのですね。
そんな中で「不動産開発をするための資金はないけど算入したい」企業にプロジェクトファイナンスは渡りに船の存在だったのです。
ただ、すでに韓国の現状は経済成長率で2%台に乗るのもどうにかこうにか。
以前のようには借金が目減りしていかない。
そして不動産価格もじわじわと下落していることもあって、参入も大きくリスクが伴うものとなっています。
IMFはこのプロジェクトファイナンスが「韓国経済の脆弱性になっている」と指摘しているほどです。
で、その中でももっとも危険だとされているのが、証券会社が融資しているプロジェクトファイナンス。
かつて、プロジェクトファイナンスの主役は都市銀行などの上位金融機関(第1金融圏)でした。ただし、昨今はほとんど撤退状態。かなり以前から第1金融圏はよほどのことがないかぎりやっていません。
信用金庫等のいわゆる第2金融圏が中心になっていたのですが、上限金利が20%になったためにリスク回避で少なくなっています。
取りつけ騒ぎの起きかけた(現在はなんとか鎮火気味)のセマウル金庫は第2金融圏の中でもプロジェクトファイナンスを多めに扱っていることから、「やばいのではないか」とされた部分もあります。
第1、第2金融圏がプロジェクトファイナンスを扱わなくなった結果、ところてん方式で受け皿になったのが証券会社。
もちろん、「信用の高いプロジェクト」は上位の金融機関が担当していて、証券会社のところに流れてきたのはアレなものが多いわけです。
で、その結果として延滞率が約16%という恐ろしい状況が生まれ、金融監督院が「はい、証券会社全員集合〜」って言いだした……と。
最後に「不良債権は早急に償却または売却して整理せよ」ってあるんですが……。
それができたら不良債権じゃないんだよな。
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