仁川(インチョン)の機械メーカーA社は最近為替レートや政治的不確実性のために一日一日が不安だ。核心部品をドイツ・日本から輸入しなければならないが、コスト負担が日々増えているからだ。年商2000億ウォン(約216億円)以上の企業に成長して長期間取引してきた海外企業の態度も急変した。彼らは韓国の政治混乱を問題とみなし、通常180日以降に支払っていた輸入品の購入代金を30日内に決済してほしいと最近要請してきたのだ。 (中略)
半導体装備会社B社は戒厳の余波で400万ドル(約6億3256万円)規模の新規輸出契約が取りやめになる危機だ。長期間接触してきたドイツのバイヤーが先月契約直前に工場実態調査のために訪韓しようとしていた日程が取り消しになり、最終サインができなかった。戒厳と弾劾が続く韓国状況が不安だとして訪問を取りやめたのだ。 (中略)
慶北(キョンブク)にある自動車部品を製造する中小企業C社も、輸出契約を進めたインドおよび日本の完成車メーカーが最近韓国の製造安定性に疑問を呈し、政局が安定するまで交渉を暫定保留しようと通知してきた。納期を適時に合わせられるか心配だというのが理由だった。 (中略)
大企業も同じだ。ある素材関連の大企業関係者は「数十億~数百億ウォンの長期供給契約のためのミーティングが次々と取り消しとなり、数年後の売上に打撃が予想される」とし「海外の顧客にとっては日本・中国など他の選択肢があり、不確実性の大きな韓国企業にこだわる理由はない」と危機感を募らせた。 (中略)
急激なウォン安も致命的だ。大企業の中で今年の事業計画樹立時に現在の水準である1450~1500ウォン範囲で対ドルの為替レートを予測して適用した企業は10社中1社(11.1%)にすぎなかった。 (中略)
高金利と急激に進むウォン安は特に中小企業にとって大きな負担となる。5大都市銀行の中小企業信用貸出金利(新規取扱額平均金利)は先月公示基準で年5.16~6.26%だ。韓国銀行の二度の利下げ直前である昨年9月末(年5.11~6.06%)に比べてむしろ最大0.2%ポイント上昇した。信用格付けが低い場合(6等級以下)は貸出金利が年12%を超えるところもある。
昨年末、銀行圏が健全性管理を強化して融資の門が狭くなったことも中小企業には打撃だ。
(引用ここまで)
韓国での中小企業の扱いはそりゃひどいもんだとの話は何度となくしてきています。
ちなみに韓国における中小企業の定義は「従業員300人未満」となっています。資本金とか関係なし。
大企業から見ると賃金は半分。なんならぎりぎり最低賃金。
韓国で雇用の大半を占める中小企業の職員、ほぼ最低賃金しかもらえていなかった(楽韓Web過去エントリ)
学生らは「中小企業に入っても未来がないから就職浪人する」「大学を休学する」なんてこともよくやります。
韓国の20代就活生、10人に7人は「中小企業に合格しても大企業に再挑戦する」と答え、希望企業に就職できるまで休学も就職浪人も辞さない構え……そこにある韓国経済の闇とは?(楽韓Web過去エントリ)
就職浪人を親族らも黙認します。大企業以外は入ってもどうにもならないことを知ってますからね。
就職浪人したところで大企業に入れる可能性が上がるわけではないのですが、それでも「中小企業に入るよりマシ」なのが実情なのでしょう。
それでも韓国の企業全体の99%が中小企業ですし、雇用の80%以上が中小企業によるもの。
韓国経済の実際は中小企業が担っているといっても過言ではないでしょう。
その中小企業が現在の政局混乱に影響を受けている、とのニュース。
……まあ、いくら「実際にはなんの問題もない」って言ったところで、そしてそれが本当の話であったとしても。
外から見たら──
・「大統領が弾劾されて職務停止」
・「その代行である国務総理も弾劾された」
・「現在は序列3位の財務相が大統領代行をしている」
・「なんならその財務相も弾劾される可能性がある」
・「大統領官邸では警備員と警察が大統領逮捕を巡って衝突している」
……商売相手から「政局混乱で未来が見通せない」と言われたら反論できませんわな。
「掛け売りじゃなくて現金決済で」って言われてもしかたがないレベル。
最初の「30日以内支払い」はまだ優しさが感じられますわ。
金利は高止まりしているのにウォン安が続いているっていう謎の状況下。
まあ、「聞こえていたら君の生まれの不幸を呪うがいい」ってところですかね。
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