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カテゴリ:経済の記事一覧

韓国経済にまた危うい導火線……「証券会社が扱う不動産融資」の延滞率が16%に

セマウル金庫に続き、証券会社も不良債権化するのか?…金融監督院、緊急招集(MBN・朝鮮語)
緊急招集要求に金融監督院を訪れた証券会社10社の最高リスク管理責任者たち。
金融監督院のファン・ソンオ副院長補は、高騰する延滞率を懸念し、皆が緊張感を感じて管理するよう強調しました。

インタビュー:ファン・ソンオ金融監督院副院長補「証券会社の不動産PF貸出延滞率は現在、様々な金融業界の中で最も高い水準です。ブリッジローンを中心に追加不良に対する懸念が依然として高い状況です」

3月末基準で全体金融圏の不動産PF貸出残高は131兆6千億ウォンで、21年から毎年急増している状況だ。
昨年、不動産市場の低迷で資金回収に問題が生じたPF事業場が増え、延滞率は深刻な水準に上がっています。
証券会社のPF貸出延滞率は3月基準で15.88%で、バンクラン事態を起こしたセマウル金庫など相互金融延滞率よりはるかに高い水準です。

電話インタビュー:ファン·セウン資本市場研究院研究委員「16%ならとても高いものです。ここでさらに高くなるのは絶対望ましくないといえます。積極的な延滞率管理は必要な部分だと見るべきです」

金融当局は非常対応に乗り出しました。

金融監督院はリスク管理が脆弱な証券会社の場合、別途管理方案を提出させ、CEOを個別面談する方案も推進することにしました
回収できないと判断される不良債権は早急に償却または売却するなど迅速に整理するよう注文しました。
(引用ここまで)


 プロジェクトファイナンス、いわゆる「不動産開発そのものを担保にしてお金を借り、その金で当該の不動産開発を行う」という融資方式が韓国にはありまして。
 これまでの韓国では実にうまくいっていたのです。

 不動産は売る端から売れていき、かつほぼ確実に値上がりしていく。
 かつ経済成長に伴うインフレで借金は時間が経つだけで目減りしていった……という状況だったのですね。
 そんな中で「不動産開発をするための資金はないけど算入したい」企業にプロジェクトファイナンスは渡りに船の存在だったのです。

 ただ、すでに韓国の現状は経済成長率で2%台に乗るのもどうにかこうにか。
 以前のようには借金が目減りしていかない。
 そして不動産価格もじわじわと下落していることもあって、参入も大きくリスクが伴うものとなっています。

 IMFはこのプロジェクトファイナンスが「韓国経済の脆弱性になっている」と指摘しているほどです。
 で、その中でももっとも危険だとされているのが、証券会社が融資しているプロジェクトファイナンス。


 かつて、プロジェクトファイナンスの主役は都市銀行などの上位金融機関(第1金融圏)でした。ただし、昨今はほとんど撤退状態。かなり以前から第1金融圏はよほどのことがないかぎりやっていません。
 信用金庫等のいわゆる第2金融圏が中心になっていたのですが、上限金利が20%になったためにリスク回避で少なくなっています。
 取りつけ騒ぎの起きかけた(現在はなんとか鎮火気味)のセマウル金庫は第2金融圏の中でもプロジェクトファイナンスを多めに扱っていることから、「やばいのではないか」とされた部分もあります。

 第1、第2金融圏がプロジェクトファイナンスを扱わなくなった結果、ところてん方式で受け皿になったのが証券会社。
 もちろん、「信用の高いプロジェクト」は上位の金融機関が担当していて、証券会社のところに流れてきたのはアレなものが多いわけです。

 で、その結果として延滞率が約16%という恐ろしい状況が生まれ、金融監督院が「はい、証券会社全員集合〜」って言いだした……と。
 最後に「不良債権は早急に償却または売却して整理せよ」ってあるんですが……。
 それができたら不良債権じゃないんだよな。

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韓国経済団体「我々の産業構造は半導体に偏りすぎていた。なんとかしなければ」……それ、もうだいぶ前からの課題だったのでは

カテゴリ:経済 コメント:(55)
全経連、「半導体に重点を置いた韓国の産業構造を変えなければならない」(ニューシス・朝鮮語)
13日、全国経済人連合会は韓国と米国·日本·英国·ドイツ·フランスのいわゆるG5、中国の産業別競合水準を分析した結果を発表した。

全経連が国家間産業競合性を分析した結果、韓国は「技術ハードウェアおよび装備」、「素材」、「資本財」、「半導体および半導体装備」等の産業群で比較優位があると分析された。昨年の時価総額データで「現時比較優位指数(RCA)」を算出し分析した結果だ。

これらの産業は米国、中国、日本との競合が避けられない。特に米国とハードウェアと半導体、中国·日本とは素材と資本財などで比較優位が重なり将来競争が深化するものと予想された。

反面、将来主要国間の競争が激化すると予想される「保険」、「運送」、「不動産管理および開発」等の産業群で韓国は比較優位を持てないと分析された。この中でも銀行·保険の競争力が低いと調査された。

全国経済人連合会のチュ・グァンホ経済産業本部長は「均衡ある産業ポートフォリオ構成を通じて韓国の産業競争力を強化する必要がある」として「このために半導体など競争力優位産業に対する果敢なR&D税額控除支援と共に金融など競争力劣位産業の発展を阻む規制革新が並行されなければならない」と話した。
(引用ここまで)


 日本の経団連に相当する韓国の経済団体である全経連。
 そこから「韓国経済は半導体一本槍の産業構造を変化させなければならない」との提言が。
 ……そんなこた一介のブロガーですら提言できますけどね。

 韓国がこういう「産業構造の変革」を言い出す場合は「輸出の多角化」でしかない。  内需拡大ではなくて。
 というかまあ、半導体メモリの価格が上下するだけで国の経常収支が赤字になるレベルにまで偏っているのは普通にやばい。
 産油国か。


 半導体メモリについていえばどうにかこうにか、底打ちをしたのではないか……とされています。
 それ以外の半導体についても引き合いは上昇しているようですね。
 ただ、気になるのは中国のリオープンがなんとも弱い。
 あれほどの隆盛を誇っていた不動産すら動きが鈍い。てこ入れするっていってはいますけどね。

中国がさらなる景気対策を示唆、不動産セクターに一段の支援策か(ブルームバーグ)

 中国の消費が伸びきらないことから、半導体も底打ちの後に短期的にL字型になるのでは……くらいの感触もあります。
 まあ、価格が底入れしてもいわゆるコンシューマはさらにそこから安くなったりするので、なんともいえませんけども。

 となると、「韓国経済そのもの」であるサムスン電子も弱いまま。
 1〜3月の前年同期比の営業利益96%減に続いて、4〜6月期も95%減でした。

サムスン電子の4~6月期営業益95.7%減 下半期は改善の見通し(聯合ニュース)

 半導体景気の底入れから下半期は改善する、としてはいるものの。
 ……中国次第かなぁ。

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韓国銀行総裁「日本は資本蓄積のできた豊かな老人、韓国はそうできなかったお金のない老人になるだろう」と発言

カテゴリ:経済 コメント:(104)
韓国銀行総裁「日本は豊かな老人、韓国はお金のない老人」(中央日報)
韓国経済が日本の「失われた30年」と似ていくのではないかという質問に、李総裁は「日本は豊かな老人とすると、韓国はお金のない老人になる可能性がある」と懸念を示した。

同氏は「高齢化という点で我々がそのまま(日本の)跡をなぞっていく可能性は極めて高い」とした。あわせて日本より韓国経済状況の見通しが良くない点で「第一に出生率が低く、高齢化スピードが非常に速いのがとても心配になる点」としながら「第二に日本はバブルが消える前の1970年代から1990年代まで経常収支黒字を大幅に記録しながら海外投資を多くしていたので持っている財産が日本のほうが(韓国より)はるかに多い」と述べた。両国ともに高齢化問題が深刻だが、体質的に日本が韓国よりも良い状況だというのだ。

その一方で「韓国の長所を挙げるなら、我々の若年層のほうがはるかにダイナミックだ。若者たちを信じる」とし「我々が日本を反面教師とみなして構造調整がうまく、対応がうまいなら、日本のようにはならない可能性もあると考える」と話した。
(引用ここまで)


 韓銀総裁が「このまま少子高齢化が進むとやばい。同じように進んだ日本には資本があったが、韓国はそうではない。韓国は資本集積をしないままに老いる可能性が高い」との話をしはじめまして。
 うん、まあ……外需依存が高すぎるんで安定した収益を上げられないのが最大の理由ですね。

 これ、ずっと以前から話はしているんですよ。韓国国内でも。楽韓Webでも。
 すでに現状でも「高齢者の貧困率は40%前後」となっています。
 で、このままの状況で韓国は老いていくだろう、と。


 日本は資本蓄積ができており、海外からのいわゆる「第一次所得収支」が潤沢なので韓国が経常赤字を計上するような状況でも経常黒字を叩き出しています。
 戦争状態で原油価格が上がったり、中国の資源爆買いがあっても経常収支で赤字になったことは記憶にないレベルでない。
 調べてみたら赤字になったのは1980年が最後らしいですね。

 韓国も21世紀からこっち、赤字になったことはないのですが2006年とか2008年は「ぎりぎり黒字」を経験しています。
 安定していない。
 今年もどうなることやら。

 なんか最後には「若者がダイナミックだからなんとかなる」みたいなこと言っているんですが。
 ……15年くらい前にも同じようなこと言ってたんですよね。
 「若者では数学オリンピックやeスポーツ、ブレイクダンスで好成績を取っているので、韓国が明らかに勝っている


 その覇気に溢れた若者はいまごろなにをしているんでしょうかね。
 35歳くらいになってチキン屋かコンビニでも開店していたりするかもしれませんね。
 ま、若者がダイナミックだったら云々って言ってますが、そもそもその若者の絶対数自体がもう先細り。
 少子高齢化のスピードが速すぎて資本蓄積が間に合わなかった。いわゆる「未富先老」のペースが韓国も中国も速すぎたのです。
 人類がこれまで経験したことがないペースですからね。日本ですらスローモーに見えるほど。

 つまり、人類がこれまで経験したことがないようか解決策を見いだすことができればなんとかなる、ってことかぁ。
 がんばれー。

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韓国で「下がった円を買っておけば為替差益で儲けられるぞ!」と20〜30代の若者に流行中、円建て預金残高が一ヶ月で26.5%も増加

カテゴリ:経済 コメント:(72)
「積立金を解約して円を買いました」大学生と新社会人のエンテックブーム(東亞日報・朝鮮語)
「積金を解約して円を200万ウォン分買いました。1年後には積立金の利子より円の収益率が高いのではないかと思いまして」 (中略)

円安が続き青年たちの間では「超低金利時代に預金、積立貯金より円投資が良い」という認識が広がっている。大学生の李某氏(24)は、アルバイトの週給を毎週貯金する代わりに、受け取るたびに円に両替している。イ氏は「週に20万ウォン分ずつ2ヶ月間円を買い集めた」とし「今まで160万ウォン余りを投資したが、積金利子を年4、5%受け取るよりは1年ほど寝かせておいてウォン-円為替レートが1000ウォン台に上がれば売った方が良いのではないかと思う」と話した。 (中略)

会社員に加え、大学生までいわゆる「エンテック(円+財テク)」に乗り出し、手数料を減らす秘訣も共有されている。ハン氏は「ブログなどを参考にして手数料のないアプリを探して円を購入した」と話した。 (中略)

円に集中する投資金のため、都市銀行の円預金残高は急騰している。10日、金融界によると、4大都市銀行(KB国民·新韓·ハナ·ウリィ)の先月末基準円預金残高は8601億2038万円(約7兆8856億ウォン)と集計された。前月末(6795億8340万円、約6兆2304億ウォン)に比べて26.5%増えたものだ。

ただ、専門家たちは外国為替投資の比重を過度に増やすことには気をつけなければならないと指摘する。為替レートは専門家も予測しにくいほど変動性が大きいためだ。
(引用ここまで)


 韓国で円買い投資をしている韓国人が増えている、とのニュース。
 まあ、実は日本円対韓国ウォンって直接の取引ではなく。
 日本円<>米ドル<>韓国ウォンで価格が決まっているので、もうこの時点でふたつの要素が介入しているんですよね。

b  韓国ウォンが日本円と同時にかつ同じ方向にドルに対して動いた場合、円ウォンレートは動かない。
 そのまた逆も真で逆の方向に動くと大きな差額が生まれる。マイナスにせよプラスにせよ。

 複数の要素を介している投資はダメ、というわけではなく。
 そのリスクを認識した上で買えばよいのですけどね。
 日本で金(ゴールド)、米株、米株を扱った投資信託を買う場合も同様です。


 ただ、記事の最後(引用外)にあるように「為替は危険性が高い」「ポートフォリオのメインにするな」っていう話ですね。
 ですが、韓国人を知るためのキーワードのひとつ、「過剰」があるので。
 かなりやっていると思われます。

 為替投資を個人的には勧めない理由として、基本的にゼロサムゲームであるということがあります。
 どこかに利益が出たら、それだけ損失を抱えているところがあるのですね。
 時間が経とうがなんだろうが、その構造は変わらないので勧めていません。
 まあ、自分はドルで多少やっているんですが(笑)。

 四代都市銀行の円建て預金残高が、一ヶ月で26.5%増加。
 うーん。

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韓国経済:「地下駐車場崩壊のマンション、全面再建設が決定」とのニュースで、韓国金融界が「あ、これやばいかも」と緊張……その理由とは?

カテゴリ:経済 コメント:(62)
GS建設、セマウル金庫……PF不安刺激、悪材料連発に債券市場緊張(聯合ニュース・朝鮮語)
7日、金融投資業界によると、GS建設が仁川黔丹新都市のマンション地下駐車場崩壊事故で該当団地の再施工を決めた事件で、PF償還に対する懸念が提起された。

今回の決定でGS建設が最大5千億ウォン台の費用を負担しなければならないと推定され、直ちに2〜3四半期実績に直撃弾を受けることはもちろん、信認度毀損にともなう影響でPF借換に問題が生じかねないという判断からだ。

ナイス信用評価によると、GS建設の住宅事業関連支給保証規模は計2兆9千18億ウォンだが、このうち約44%に当たる1兆2千839億ウォンが今年満期到来する。

ナ信評は「信用度の下落と(8月中旬頃に水位が決定される)否定的な行政処分などで会社に対する投資心理が悪化する恐れがあり、この場合不動産PF借り換えに困難が発生しかねない」と見通した。

韓国信用評価も「不動産景気低迷と高金利基調が持続する状況で事故調査発表以後、資本市場接近性が落ちるならば、流動化証券や社債などの発行条件関連変動性が拡大しうる」と予想した。

最近、セマウル金庫の貸出不良問題が浮き彫りになり、資金離脱が発生したのも債権市場の不安感を増大させる部分だ。 (中略)

特に、二日連続セマウル金庫発と推定される物量が債券市場に殺到しているという点も市場参加者の投資心理を萎縮させた。

金融情報業者連合インフォマックスによればセマウル金庫と信用協同組合中央会などが含まれた総合金融が5日、1兆6500億ウォンを売り越したのに続き、前日にも7千億ウォンに近い債権を売り越ししたと集計された。

最近1年間、総合金融の一日債券買い越し規模が平均965億ウォンだったことを考慮すると、このような売り越し規模は異例の水準だ。市場ではセマウル金庫が資金離脱に対応するために保有した債券を急いで売っているものと推定している。
(引用ここまで)


 地下駐車場の天井が崩壊した事件はまだ記憶に新しいと思います。
 あの駐車場のあるマンション、すべてが建て直しになることが決定しました。

「駐車場崩壊」の韓国新築マンション、17棟全面再施工(中央日報)

 崩壊していない柱の検査を行ったところ、半分で鉄筋がまともに入っていないことが確認されたとのことで。
 駐車場の上に公園を造成しようとしたところ、その土の重みに耐えられなかったとのこと。
 当時、建設企業側は「鉄筋を入れ忘れていただけのミス」としていましたが、まあ……そんなこたないよなぁ。

 映像も置いておきましょうか。言葉が分からなくても映像図解でなんとなく分かるかも。



 韓国ではよくある風景でしかないのですが。
 さて、これで問題になるのがGS建設が韓国国内で3位の建設企業である、ということ。
 撤去、再建設には数千億ウォン単位で新たな資金が必要となるわけで。


 GS建設の屋台骨を揺るがす事態になりかねない。  それでなくても不動産開発市場は冷えこみ気味なのに、どこが新たなプロジェクトファイナンス(不動産開発を担保にした実質無担保貸し付け)を負担するのかなんて話になってます。

 それでなくてもセマウル金庫の取りつけ騒ぎで、現金を必要としているセマウル金庫が手元の各種債券を売りに出していて金融機関に対する視線が厳しくなっている。
 そんな中で「GS建設は本当に今年期限が来るプロジェクトファイナンスの借り換えができるのか?」「そんな貧乏くじ引こうとする金融機関あるの?」との疑念が絶えない。
 ……信用収縮一歩手前ですね。

 業界3位のGS建設がダメになったらそれ以下の建設企業はどうなるのか。
 プロジェクトファイナンスを貸し出してきた金融機関はどうなるのか。
 悪いときには悪いニュースが重なるもんですね。

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韓国で起きている取りつけ騒ぎ、政府は「安心です」と金融当局トップに預金までさせてアピール……ただし、問題は当該の金融機関だけのものではなく……

カテゴリ:経済 コメント:(72)
ソウルセマウル金庫延滞率5%を超える支店が「半分」···緊急会議召集後延期(SBS Biz・朝鮮語)
ソウルセマウル金庫地域本部が今月5日に発送した公文です。
受信者は100カ所を超える金庫理事長で、今月12日から3日間実務者非常対策会議を開くという内容です。
招集リストには、延滞率 5% を超えた場所がすべてリストされています。
確認の結果、ソウルセマウル金庫は直ちに預金引き出し事態に対応するようにとの注文とともに来週の会議をいったん延期しました。

先月末基準でソウルにあるセマウル金庫のうち延滞率が5%を超えるところは109ヶ所に達します。
ソウル全体230個余りの金庫の半分に迫っています。
これら109ヶ所の名簿には特に偽造した書類で40億ウォンの担保貸出を操作し職員11人が制裁を受けたところをはじめ不当貸出や横領など、管理不良のまな板に上がったところが多数含まれました。
(引用ここまで)


 取りつけ騒ぎが起きつつあるセマウル金庫の続報。
 やや落ち着きを取り戻したものの、今日も朝から支店の前に「とりあえず引き出そう」としている人々が行列を為しているとのこと。



 セマウル金庫はありとあらゆる自治体に支店があることで有名でして。
 「信用金庫」とだけするにはかなり規模が大きいのですね。逆に支店の規模はそこまでのものではないのですが。

 記事にあるようにソウル特別市内だけでもだけで230以上の支店があります。
 そしてそのほぼ半分にあたる109の支店で延滞率5%を超えているとのこと。
 ……やばいっすなー。


 韓国政府は流動性確保に躍起になっています。
 先日もピックアップしましたが、定期預金を解約しても14日までに戻すのであれば「解約はなかったことになる」と宣言して、預金を戻すように呼びかけています。
 さらに金融委員長がセマウル金庫に6000万ウォンを預けたとのニュースが出てきました。

「セマウル金庫問題ない」… 金融委員長、預金6千万ウォン加入(聯合ニュース・朝鮮語)

 金融行政におけるトップの地位にある金融委員長が、預金保護上限を上回る6000万ウォンを預けたのだから安心してほしい、との必死のアピール。
 ただまあ、セマウル金庫が貸出をしているプロジェクトファイナンス(不動産開発融資)がこけまくっているのは間違いなく、そこに金利高騰が重なっているので延滞率がこうして高まっている。

 これなにがやばいって、別に「セマウル金庫独自の理由」あるわけじゃないってことです。
 もちろん、セマウル金庫の経営が非効率的だったとかそういった部分はあります。
 さらにいうと横領と背任の被害額だけで85件、641億ウォンあるとかいう部分もありますが。

「不動産PF」無理だった… セマウル金庫、今度は心配です(国民日報・朝鮮語)

 そのあたりは「セマウル金庫が先んじて危機に陥ろうとしている」というだけでの理由でしかないのです。
 大元の理由は中堅の金融機関であればどこでもあり得る話でしかないですからね。
 これがオープニングセレモニーでしかない可能性が充分にあるんだよなぁ……。

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韓国人「お金がなくなったら誰が責任を取るんだ?」……韓国の信用金庫で取りつけ騒ぎが発生、韓国政府は「保証上限以上でも保証する」と言うものの

セマウル金庫延滞率歴代級、「危機説」拡散···政府の特別対策を打ち出した(韓国経済新聞・朝鮮語)
セマウル金庫の延滞率が歴代最高値を記録するなど「危機説」が台頭するや政府が特別対策を出した。

延滞率が10%を上回る個別セマウル金庫30ヶ所に対して合同特別検査を行い、必要な場合は支店閉鎖や統廃合を推進することにした。現在6%台の延滞率を今年末までに4%以下に下げるのが政府の目標だ。

セマウル金庫の監督機関である行政安全部(行安部)は4日、政府世宗庁舎でこのような内容のセマウル金庫延滞率削減に向けた特別対策を発表した。

聯合ニュースと行安部によれば6月29日基準セマウル金庫貸出金額は計196兆8千億ウォン(家計85兆2千億ウォン·企業111兆6千億ウォン)だが、この内延滞額は12兆1千600億ウォン(6.18%)で歴代最も高い水準だ。

家計貸出と企業貸出は6対4程度の比率だが、延滞額は企業貸出が88.4%程度を占める。不動産業·建設業沈滞により企業貸出延滞率(9.63%)が急騰し全体延滞率が上がったというのが行安部の説明だ。家計貸出延滞率は1.65%だ。 (中略)

金庫が破産したり統廃合されても金庫1ヵ所当たり預金者1人当り5千万ウォンまで預金保護が可能で、一般預金者に及ぼす影響は大きくないというのが行安部の説明だ。

30ヵ所に対する検査期間は7月10日から8月11日までの5週間であり、70ヵ所に対する点検は8月中に行われる。検査人材は行安部、金融監督院、預金保護公社、セマウル金庫中央会など30人で構成される。個別金庫の6月末基準延滞率、延滞削減目標および履行現況の週単位状況を調べる予定だ。 (中略)

行安部は他機関に比べて緩和された健全性規制が不良憂慮を産んだと見て、これを同一水準に整備するための施行令改正を推進中だ。
(引用ここまで)


 セマウル金庫の取りつけ騒ぎ続報。
 法律的には5000万ウォンが預金保護の上限なのですが、それを超えても保護するとしています。
 ただし、それを信用していない人々も多数。
 地方によっては取りつけ騒ぎがはじまっていて、定期の解約が相次いでいるとのこと。 

「お金がなくなったら誰が責任をとってくれる?」早朝からセマウル金庫に80人待機(ニュース1・朝鮮語)

 セマウル金庫(日本でいうところの信用金庫)の規模で支店に80人来ちゃったらもう業務なんてなにもできませんわな……。

 韓国政府はそれに対して「再度定期として預ければペナルティなしにする」とアナウンスしています。
 なんとかして現金をキープし続けたい、との欲望が透けてみえますね。


セマウル金庫で中途解約に対応予算金、再度預ければ非課税特典維持推進(朝鮮BIZ・朝鮮語)

 まあ、言うても上の記事にあるように「預けているお金がなくなったら誰が責任を取るんだ」って話が正義。
 信用縮小が怖いのはこういう部分なんだよなぁ……。

 ちなみにこうなった原因はセマウル金庫が貸し付けをしているプロジェクトファイナンス(不動産開発そのものを担保とする実質無担保貸し付け)がこけて、かつ延滞率が史上最悪レベルになっているとの報道があったから。

 先日、コロナ禍での利子払い猶予が終わる9月から自営業者がやばいって話をしましたが。
 セマウル金庫をはじめとした第2金融圏の貸付先である中小企業もやばいんですよね。
 この取りつけ騒ぎ、まだ先駆けに過ぎない感じがしています。

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韓国経済:セマウル金庫に流動性危機説、取りつけ騒ぎが出はじめる

カテゴリ:経済 コメント:(76)
「セマウル金庫に預けたお金どうしましょう」···預金引き出し前に知っておくべきこと(韓国経済新聞・朝鮮語)
セマウル金庫が「危機説」に包まれました。預金を預けた顧客の不安も高まっていますが。約定された利息に対して損をして預金引き出しを悩む顧客も多くなっています。

預金を引き出す前にセマウル金庫の預金者保護がどのように行われているのかを調べた方がいいです。厳密にセマウル金庫の預金は預金者保護法の保護を受けていません。市中銀行や貯蓄銀行の預金は預金者保護法上、預金保険公社が5000万ウォン限度で保護されます。セマウル金庫の預金はこの法律に該当しません。

しかしセマウル金庫の預金はセマウル金庫中央会の保護を受けます。限度は5000万ウォンで同じです。行政安全部によりますと現在セマウル金庫は△預金者保護基金2兆4000億ウォン△償還準備金13兆1000億ウォン△金庫自体積立金7兆3000億ウォン△現金、他行預置金など余裕資金など74兆4000億ウォンを保有しています。預金引き出し事態(バンクラン)が発生すれば、直ちに対応可能だというのが行安部の説明です。 (中略)

セマウル金庫中央会によりますと、現在個別支店のバンクランの動きはまだないそうです。ただ、お客様からの関連問い合わせが相次いでいるそうです。チュ·ギョンホ副総理兼企画財政部長官はこの日、国会企画財政委員会全体会議で「セマウル金庫について一部憂慮事項がなくはないが、ある意味小さなセマウル金庫ではあり得る状況だ」とし「中央の大きな機関が合併などの方式で十分に取引安定性を担保できるので一般国民が過度な不安心理を持たないでほしい」と述べました。
(引用ここまで)


 韓国の第2金融圏のひとつである、セマウル金庫に取りつけ騒ぎが起きています。
 「延滞率が史上最悪の数字になった」との報道が出ていて、預金者がそれぞれの支店に殺到している状況。



 もっとも、この「延滞率が史上最悪」って報道自体が間違いだったとの話。

行安部はセマウル金庫「延滞率」水準を知っているのでしょうか?(ハンギョレ・朝鮮語)

 とはいえ、6.49%って数字はかなり高いように感じますけどね。  ちなみにセマウル金庫がやばいんじゃないかって4月くらいから出てました。


 4月の危機ではシンシアリーさんのところでも扱われてました。

流動性リスクが噂されているセマウル金庫、『問題ありません』としながら急に5%台定期預金を販売開始・・専門家「現金が足りないという意味です」(シンシアリーのブログ)

 いきなり金利の高い金融商品を売り出したことで「……現金が足りないのでは?」とされまして。

 そこからこっち、「セマウル金庫はやばい」と消費者に認識され続けてきたのです。
 不動産建設そのものを担保にするプロジェクトファイナンス(PF)がこけ続けていることから、流動性不安が出ているのです。
 まあ、それは都市銀行を除く第2金融圏以下の企業でほぼすべてそうなのですが。

 このあたりもすっかり「不動産下落」が金融機関の信用度に影響しているわけです。
 とりあえずセマウル金庫は「現金はたっぷりあるので安心してほしい」とアナウンスしています。

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