日本のエンゲル指数が43年ぶりの最高水準を示した。 総務省が発表した統計によると、昨年、日本のエンゲル指数は28.3%で、1981年以降最も高かった。 00年代初めまで下落傾向を見せていた同数値は、05年を底に右肩上がりの曲線を描いている。 日本経済新聞は「食料品価格急騰が個人消費の荷物になっている」と話した。
エンゲル指数が上昇したということは、日本国民の体感景気が厳しくなったという意味と解釈できる。 特に、昨年はコメ価格などの上昇がエンゲル指数を押し上げたものと分析された。 新潟産コシヒカリ米の卸売り価格は1ヵ月間で35%も急騰した。
日本経済はいわゆる「失われた30年」と呼ばれる長期低迷に悩まされてきた。 所得が増えず、消費も増えず、物価も上がらない悪循環に陥っていた。 中央銀行が「マイナス基準金利」という極端な景気浮揚策を使うかと思えば、政府と財界が力を合わせて企業の賃金引き上げを督励するほどだった。 このような努力が功を奏し、最近日本は低物価から抜け出す兆しを見せている。 昨年、日本の消費者物価上昇率は2.5%を記録し、3年連続で中央銀行の管理目標値(2%)を上回った。
だが、景気が完璧に回復しなかったのに物価からうごめくために日本人は「生活が苦しくなった」と訴えている。 名目賃金は35ヵ月連続で増加傾向だが、実質賃金は4ヵ月連続で後退している。 月給袋が表向きには厚くなったように見えるが、実際の購買力は小さくなったという話だ。
(引用ここまで)
韓国メディアが「日本のエンゲル係数が28.3%になった!」と嬉々として報じています。
「後進国でもないのに」って記事タイトルがもうね。
どんだけ嬉しいんだって話ですけども。
以前もちらと語りましたが、韓国のエンゲル係数は12%ていどとの公式統計があります。
もっとも、これは「外食費、アルコール購入費を除いた」数字となっています。
エンゲル係数の大元の考えかた ── 「収入が増えれば相対的に食料費が減る」って考えかたには外食費やアルコール購入費用は入っていないだろと言われればその通りなのですが。
でもまあ、数字を揃えることができていないのでそれらを加えた数字を足すと、だいたい28.9%になるそうですよ(笑)。
後進国でもあるま……いや、うーん。
前回同様、まだ韓国のほうがエンゲル係数高かったりするってオチなのでした。
そもそもの問題としてエンゲル係数が21世紀の日本を語るのにふさわしい数字なのか、って部分もあります。
ミシュランガイドの星を持っている店が東京だけで170軒ある国ですからね。
ちなみにソウルは31軒、星3つなし(1軒あるけど休業中)。
エンゲル係数自体が19世紀のヨーロッパにおける食うや食わずの労働者階級を見て作られたものです。
端的に「家計に占める食費割合が高いから貧乏だ」って考えがもはや通用してないというか。
アメリカみたいに医療費が高すぎて相対的にエンゲル係数が低くなるパターンとかもありますしね。
日本についていえば超高齢社会となってからこっち、「年金以外の収入がない世帯」が多くなったために見た目の食費割合が上昇したのが実際でしょう。
以前にもピックアップしたニッセイ基礎研究所のこちらの記事をごらんください。
エンゲル係数の上昇を考える(ニッセイ基礎研究所)
この7年前のレポートで「高齢化がエンゲル係数を押し上げる圧力となっている以上、これからもそのように動くはずだ」とされていて、そのように情勢は動いています。
これを覆す考えかたが現在のところ見当たらないので、つまりはそういうことなのでしょう。
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