最近中国の「武漢肺炎」の影響で韓国と日本の自動車業界の明暗が分かれている。韓国の自動車メーカーは中国からの部品供給が途絶え、稼働を中断しているのに対し、部品の供給先を多角化した日本メーカーは今のところ特に打撃を受けていない。
自動車業界関係者によると、現代自動車は4日から段階的に韓国での工場稼働を中断している。4日からジェネシスG70、G80、G90を生産する蔚山第5工場第1生産ライン、ポーターを生産する蔚山第4工場第2生産ラインが止まり、蔚山第1工場も5日に生産を中断した。
ツーソンとネクソを生産する蔚山第5工場第2生産ライン、商用車を生産する全州工場のトラック生産ラインは6日から、GV80、パリセード、ツーソンを生産する蔚山第2工場、アバンテ、アイオニックなどを生産する蔚山第3工場、ソナタ、グレンジャーを生産する牙山工場は7日から稼働を中断する。
双竜自動車も4日から稼働中断に入った。起亜自動車も所下里工場(京畿道光明市)と光州工場で生産量を削減した。 (中略)
韓国の自動車メーカーが部品一つの供給トラブルで対応に苦慮しているのに対し、トヨタなど日本メーカーはこれまで特に打撃を受けていないという。トヨタ関係者は「本社に尋ねた結果、部品供給には全く問題がないという回答があった」と答えた。ホンダ、日産なども武漢肺炎による生産への影響は特にないという。
日本メーカーもデンソー、古河電工、矢崎総業、住友電気工業など主に自国の部品メーカーからワイヤーハーネスの供給を受けている。しかし、現代・起亜自の中国進出と共に中国に生産ラインの大半を置いた韓国の部品メーカーとは異なり、日本メーカーは東南アジアでもかなりの量を生産している。
日本の部品メーカーが東南アジアに生産を多角化したのはメーカーの海外進出と密接な関係がある。現代自が中国に5工場を集中させたのに対し、トヨタ、ホンダなど日本企業は早くから東南アジア市場への進出に力を入れた。その上、東南アジア市場は中国よりも相対的に人件費が安く、複数の工場を稼働できた。
(引用ここまで)
中国の武漢での部品工場で生産がストップした影響で、韓国のヒュンダイ・キア自動車は韓国国内の生産工場をすべてストップさせざるを得なくなりました。
ところが日本の自動車企業はなんの問題もなく操業を継続している。そこには部品供給の多角化が秘密だった……というような記事。
ただ、供給元を多角化するかどうかは微妙なところ。
前回の「ヒュンダイ自動車の韓国国内工場がすべて生産停止」のときもちらっと書きましたけどね。
日本企業の多くは東日本大震災、タイの大洪水を経て部品を多くの場所で作るという手段をとったというだけですよ。
大量生産での「金額の有利さ」や、工場がひとつの国でまとまっていることによる資材分配の容易さといった部分を重視するのか。
こういった場合での「生産を継続させることができる」という部分を重要視するのか。
どっちが正解ともいえません。
でもまあ、中国はこういった伝染病だけじゃなくて社会的なリスクも抱えているのは間違いないところ。
そういったリスクをどう評価するか、企業によっても異なっていて当然だとは思います。
ですが、ヒュンダイ・キア自動車は中国で100万台弱ていどのシェアしか保てなくなっています。
ヒュンダイ自動車が68万6000台、キア自動車が28万4000台ほど。
現代自の中国販売13%減、目標85万台届かず(NNA)
両者の中国工場での年間生産能力は、去年の時点で254万台。
これはもはや覆しようがないくらいに脆弱化しています。かつてヒュンダイ・キアが担っていたシェアを中国国内の自動車メーカーが奪いきってしまっている。
サムスン電子のスマホのシェアが0%台になっているのに等しいですね。
東南アジアへの輸出でフォローしようとしていますが、年間150万台も売れるわけもなく。
もはや中国にここまで集中している意味というものはなくなっているのです。
であれば、部品工場ともども東南アジアなり、次の重要拠点としているインドに向かうべきじゃないかなぁ……とも感じますけどね?
中国はもう充分に人件費が高くなってしまっていますから。