「お手上げです。私たちが負けました」。
朴槿恵(パク・クネ)政権時代の2014年7月。電話の向こうから聞こえる金融委員会高位幹部の声には虚脱感が濃厚ににじみ出ていた。住宅貸出規制(LTV・DTI)をめぐり国土交通部と駆け引きする状況で出た敗北宣言だった。 (中略)
貸出規制緩和とともに基準金利も本格的に下がり始めた。 (中略)
同年末に家計貸出規模は国内総生産(GDP)の80%台に到達した。負債比率80%は臨界点と呼ばれる。 (中略)
結局朴槿恵政権は家計負債に関する限り「意図的な誤答」を出した。すぐには解決しにくい問題にこだわって時間を浪費するよりは相対的に簡単な問題から解いて点数を上げるという受験生の戦略と似ていた。だがいつも状況は計画通りに流れはしないものだ。弾劾で政権が座礁し途中で試験会場を出る状況になった。
続けて発足した文在寅(ムン・ジェイン)政権は「人為的浮揚はない」として前政権と差別化した。「金を借りて家を買え」の代わりに「家は買うものではなく住む所」と一喝することもした。あふれる流動性に住宅価格は不安に流れたが文在寅大統領も「不動産問題は自信があると豪語したい」として豪快にふるまった。 (中略)
結果はだれもが知っているように惨憺たる失敗だった。27回の対策を出したがいつも正解とは距離があった。各種貸出規制と税金処方が相次いだが一方を押せば一方が膨らむ風船効果が頻発した。 (中略)
負債比率(105%)は主要国でスイスとオーストラリアに次いで世界3位だ。「負債規模があまりに大きく、利率が少し上がるだけでも使える余力が減り、成長率を下げる効果が現れる」というのが韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁の警告だ。もう負債の増加速度や質の問題を超え、規模そのものだけでも問題になる水準という話だ。
(引用ここまで)
韓国の家計負債はこのようにして増えてきた、とでもいうべき記事。
パク・クネ政権はもうどうしようもなくなって、不動産融資の規制を緩めまくったのですね。
パク政権で、経済成長率における建設関連による寄与率は50%を超えていました。
韓国の住宅建設バブルが本気でやばいことになっていた……あとはいつ破裂するのかだけ(楽韓Web過去エントリ)
不動産関連は経済成長の特急券なんですよ。
新居ができたら新品の家具や家電を買いますから。
で、そうした場合、一般的にはより大きいテレビを買いますし、より豪華なソファを買うわけです。
建設関連だけでなく、さまざまなものが「新たに買われる」ことになるのです。
そういうわけで「経済にすぐに効く」わけですね。
記事にあるように2014年のセウォル号沈没事故からこっち、韓国国内の内需はしょぼくれまくったのですよ。
延々と四半期の経済成長率は0%台。なんなら0%台前半(年率換算1%台前半)というところ。
なにか起爆剤がほしい、としたところに不動産に目が行くのはしょうがないところでもあります。
で、そのパク・クネ政権を引き継いだムン・ジェイン政権下での狂乱不動産価格はもう言うまでもない。
ソウルの不動産価格を2倍に引き上げたその手腕はある意味で讃えられてもいいかもしれません。
「文在寅政権4年でソウルのマンション価格が93%上昇…国土部の統計はウソ」(ハンギョレ)
このエントリでピックアップした記事に「ソウルの不動産開発認可数が半分になった」とありまして。
ムン・ジェイン政権はなぜか「不動産価格を下げるために供給を絞る」という素人以下の施策をしていたのですね。
いやぁ、あの政権は本当にすごかった。
で、家計負債は育ちに育ってGDP越えを果たしたわけです。
IIF(国際金融協会)の統計ではGDP越えをしている唯一の国、今回の記事ではスイス、オーストラリアに次ぐ高率の国となっていると。
10年以上、不動産に山ほどの投資をしてきた結果、どうなるか。
中国と韓国、どっちが上か。勝負だ!
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex