相互RSS募集中です

カテゴリ:KTXの記事一覧

韓国高速鉄道、トンネルと線路に歪みが発生して減速運行……原因は施工不良か、それとも地盤そのものが……

カテゴリ:KTX コメント:(94)
タグ: SRT KTX トンネル
韓国、高速鉄道トンネルで線路に歪み…1カ月前から深夜補修工事(中央日報)
SRT(水西高速鉄道)が通過する韓国国内最長のユルヒョントンネル(50.3キロ)の一部の区間で線路が上下左右にゆがむ現象が発生し、1カ月前から深夜の補修工事が行われていることが明らかになった。線路のゆがみは脱線や転覆事故につながるおそれがある。

韓国鉄道施設公団とSRT運営会社SRによると、線路のゆがみが発生した区間は水西(スソ)駅から18キロほど離れた地点の地下、城南(ソンナム)-龍仁(ヨンイン)の間にある。問題の区間は約300メートルほどで、先月初めに欠陥が見つかった。

線路がゆがみば列車の揺れが大きくなり、ひどい場合は事故が発生することもある。このため工事を担当した鉄道施設公団とメンテナンス担当のKORAIL(韓国鉄道公社)、施工者が緊急補修工事をしている。工事はSRTの運行がすべて終わった深夜に一日平均3時間ずつ行われている。

このためSRTは先月6日から該当区間を通過する際、普段は時速170キロだった速度を半分近い時速90キロに落として走行している。

線路のゆがみが発生した原因にはまず不良施工が挙げられる。公団関係者は「該当区間はコンクリート路盤の上にまたコンクリートを注いで道床を造り、その上に線路を敷設する方式で工事が行われた」とし「路盤と道床の造成工事に問題があったようだ」と述べた。

トンネル内のコンクリート打ちは湿度などいくつかの条件を適切に合わせる必要があるが、これが不十分でコンクリート路盤と道床がきちんとつかず、列車運行による振動でその隙間がさらに広がって線路がゆがむという説明だ。 (中略)

しかし不良施工よりもユルヒョントンネルが通過する区間に存在する「新葛(シンガル)断層」などの影響のために線路のゆがみが発生するという見方もある。実際に断層の影響である場合、補修工事は一時しのぎにしかならないということだ。 (中略)

匿名を求めた鉄道業界の関係者も「ユルヒョントンネルの状態が不安定だという話が業界の内外から出ている」とし「全面的な安全診断が必要だという意見が少なくない」と伝えた。
(引用ここまで)

 韓国の高速鉄道として知られているKTX以外にも高速鉄道がありまして。
 SRTがそれで、韓国鉄道公社であるKORAILの子会社が運用しているというものです。
 ソウル駅の発着が多すぎて増便ができないことから、ソウルからちょっと外れた水西駅から発車して途中までは自社所有の線路を走り、混雑がなくなった場所以降は韓国鉄道公社の線路を使用するという方式を用いて最大需要のあるソウルー釜山間を増便するために作られた路線ですね。

 運行開始直後から超振動高速列車として名を馳せていました。
 ちなみにKTX2をそのまま流用しての運用なので、いくら揺れるにしてもここまで揺れるのはおかしいという話は出ていたのですね。
 YouTubeの動画もあるので見てもらったほうが早いか。


 当時から「この揺れだと線路に歪みがあったりするのかなー」とも思っていたのですが、案の定でした。
 原因はトンネルの施工不良か、あるいは地盤自体に動きがあるのか。
 これは前者のほうがまだ救われるパターンだな……。

 ちなみにSRTは水西駅からの独自路線は50kmほど。ほぼ全線トンネルを行くのですが(今回の歪んだトンネルというのがそれ)、事故があった際には非常口からエレベーターで消防士が向かったり、乗客が脱出することになっています。
 この50kmのトンネル区間中に17ヶ所の非常口があって、そのうちの14ヶ所でエレベーターが故障中だったというニュースもありました。それ以外にもいろいろとひどいので後でこのニュースもピックアップしましょうか。

KTX脱線事故の原因が判明。案の定「施工ミス」が1年以上放置されていたから……ですって

カテゴリ:KTX コメント:(91)
韓国高速鉄道KTX脱線事故の原因は「施工ミス」(中央日報)
「施工ミスがあった。最初からケーブルを誤って連結していた」。

昨年12月8日に発生した江陵(カンヌン)線KTX脱線事故の原因の信号システムエラーは工事の問題で発生したことが分かった。線路転換器が正確に作動するかどうかを表示するケーブル(回線)を誤った位置につないでいたということだ。

KTX脱線事故調査状況に詳しい政府関係者は17日、「国土部傘下の航空鉄道事故調査委員会が、事故発生の線路転換器と清凉信号所を連結するケーブルが逆になった経緯を調査した結果、工事の過程で誤って連結されたためという事実を明らかにした」と述べた。

事故当時、信号ケーブルさえ正確に連結されていれば線路転換器の異常と位置を正確に感知し、列車に「運行」でなく「停止」信号を送って事故を防ぐことができた。

また、この関係者は「開通後に該当ケーブルに触れたことはなかったと把握している」と伝えた。施工が誤った状態で特別な措置なく列車の運行が続けられてきたということだ。

このように不良工事による事故発生が確認されたことで、鉄道の建設を担当した韓国鉄道施設公団は責任を免れなくなった。さらに公団側は開通前にこれを正す機会があったことも分かった。開通前に最後に施行された「連動検査」が徹底的に行われなかった。連動検査とは、予想可能なあらゆる状況を仮定して、線路と信号システムが正確に作動するかどうかを確認する総合性能検査。

公団によると、事故地点に関する連動検査は2017年9月17日に実施された。ところが運行を担当するKORAIL(韓国鉄道公社)の関係者は参加できなかった。公団側が検査の事実をまともに通知しなかったからだ。結局、公団と現場監理の関係者だけが参加した中、午前10時から2時間の検査が行われた。しかしケーブルが逆につながっている点を発見できなかった。

政府関係者は「連動検査はさまざまな問題状況を仮定して実施するため、徹底的にしていればケーブルが誤ってつながれていたことに気づかないはずはない」とし「事故調査委が当時の検査項目や結果を提出させて確認した結果、調査の内容は不十分だったことが確認された」と明らかにした。続いて「連動検査は非常に重要であり、長ければ2日間かけて実施したりするが、当時の検査はわずか2時間で終わったということ自体が理解しがたい状況」と話した。
(引用ここまで)

 去年の12月に起きた江陵線でのKTX脱線転覆事故の原因が判明。
 やはりというか、なんというか施工時からの配線ミス。
 しかも、1年間放置されたままだったという。
 まあ……想定通りの結果ではありますね。

 この江陵線は平昌オリンピックのためだけに作られた高速鉄道です。最高速度は時速250kmに絞られていますが、車両はKTX2山川を使った最新のもの。
 ただし、とんでもない突貫工事。記事中にもあるように事前の検査は2時間だけ。試運転ではATSが作動せずに死亡事故を起こしました。
 楽韓Webでは「どうしても安全に不安がある」という話をして平昌冬季オリンピックに行くことを回避しましたが、実際にはそれが正解だったということになります。
 去年12月まで脱線事故が起きなかったのはただ単に運がよかっただけ
 怪我人が14人で済んだもの江陵駅側から出発したばかりだったので加速が乗り切っていなかったというだけ。時代遅れの動力集中方式でよかったですね。
 オリンピック期間中、事故が起きなかったのはサイコロの目がたまたまよかったからだったというオチでした。

 まあ、これもまた異なるセウォル号事故なのですよ。
 ただ、事故が起きた中でもそこそこ運がよかったので怪我人で済んだというだけ。この事故ですら「ひやりはっと」のレベルである可能性すらありますよ。いや、本気で。

KTXの脱線事故も、温水管破裂事故も「天下り社長」のせいだった?

カテゴリ:KTX コメント:(98)
「破裂続く……」危険な熱水送管443ヶ所、三ヶ月かけて交換(聯合ニュース・朝鮮語)
韓経:<KTX脱線>天下り社長「コード」合わせて安全管理に穴(韓国経済新聞)
韓国地域暖房公社が高陽市ベクソクヨク近くで発生した熱水送管破裂事故の再発防止対策を発表したが、「牛を失ってからの牛舎修理」(訳注:「後の祭り」の意)との指摘が出ている。

特に暖房公社は事故区間のリスクを知っているのにすぐに措置していなかったなどの管理不十分であったことが分かった。 (中略)

暖房公社は、1991年に埋設された熱水送管接続区間の溶接部カバーが破裂したのが事故の原因と推定されると明らかにした。 (中略)

暖房公社は先月、高陽市全体の熱水送管を対象に損傷や補修履歴、腐食などの寿命を低減する要因を反映した「余命」を評価する危険現況も調査を行った。

高揚地域総1220個の区間、341km熱水送管の約10%に相当する127個の区間、34.1 kmが今後使用できる期待年数が「0年」になる危険等級1等級に分類された。

事故区間は実質的に期待寿命40年より7年より使用した評価が出た。

すぐに補強・交換工事をしたら、事故を防ぐことができるという指摘が出てくる理由だ。 (中略)

暖房公社も最近の列車脱線事故が発生したコレイルのように専門性が不足している「落下傘社長」があるという指摘で自由ではない。
(引用ここまで)
特に先月19日から3週間で大小10件ほどの事故が発生し、韓国鉄道公社の安全不感症が慢性化したのではないかとの指摘が出ている。相次ぐ事故の裏に政治家出身の天下り社長の専門性不足があるという批判も提起される。 (中略)

鉄道公社区間で列車事故が頻繁に発生したのは国会議員を2期務めた呉社長が就任してから本業である鉄道サービスをおろそかにしたためという指摘が出ている。
(引用ここまで)

 死亡事故の起きた暖房(オンドル)用の温水管破裂事故
 そして、大規模脱線の起きたKTX
 暖房公社とKORAIL(韓国鉄道公社)のどちらもが「落下傘社長」であるために、安全に気を配らなかったのが事故の原因……というような話が韓国メディアから盛んに出てきています。

 暖房公社の社長は国会議員補佐出身。コレイルの社長は2期国会議員を務めて、かつ学生運動出身のいわゆる「ムン・ジェインの運動圏仲間」の一員。
 なんら技術を知らない人物が「落下傘就任」(日本でいうところの天下り)したからこそ安全管理に問題が出たのではないか、というね。
 まあ、そういう部分に問題の原因を求めたがる気持ちも分からないではないですが。
 社長の出身がどこだろうとなんだろうと、安全を第一に考えるべきでしょうに。

 要するに「どこかに悪い人間がいたからこれらの事故は起きたのだ」ということにしたいのですよ。
 楽韓Webがいうように「韓国社会の映し鏡としての事故」ではない。
 自分がその事故の要因に連なるようなものではなく、特定の悪人が存在しているので事故が起きたのだ……と。
 そんなわきゃないわなっていう。
 社会自体の問題から目をそらすにはいい視点かもしれませんけどね。

「天下り」とは何か (講談社現代新書)
中野雅至
講談社
2009/12/20

韓国KTXの脱線事故、1年間起きなかったのは「ただ運がとんでもなくよかっただけ」だった……

カテゴリ:KTX コメント:(113)
タグ: KTX 鉄道関連
KTX脱線事故、ポイントのケーブル誤接続を1年以上放置か(朝鮮日報) Web魚拓 1/2
 記録によると、ソウル側の指令はポイントに問題があることを確認し、江陵駅の指令に「速やかに初期対応チームを送れ」と指示した。2分後、作業員がポイント故障を確認するために出発した。しかし、対応チームが向かった場所のポイントは正常で、付近にある別のポイントが故障を起こしていた。ポイントが故障を起こした場合、江陵駅に問題を知らせる信号が届くことになっている。しかし、2カ所のポイントの通信系統が誤って接続されており、指令は別のポイントが故障を起こしたと勘違いした。作業員はそれも知らずに正常なポイントの修理に出動したことになる。

 午前7時17分、ソウルの指令は「KTX806(事故列車)の(江陵)発車に支障はないか」と尋ねた。これに対し、江陵駅の指令は「発車可能だ。ポイントから発車可能との信号が届いている」と答えた。しかし、事故列車が通過したポイントは故障した状態だった。

 9分後の午前7時26分、事故列車の運転士は指令に出発進行を知らせ、指令も列車を出発させた。5分後の午前7時35分、事故列車の運転士から「江陵基地の分岐線を通過中、列車が脱線した」との通報があった。指令は驚き、「列車が脱線したのか」と問い返した。

 韓国鉄道事故調査委員会によると、故障を起こしたポイントと近隣のポイントは昨年9月に設置された当時からケーブルが誤って接続されていたとみられる。調査委は▲昨年9月から2カ所のポイントのケーブルが誤って接続されていた▲江陵線のKTX開通以降、保線作業の過程でケーブルを誤って接続した--という2つの仮説を立て、調査を進めた。これまでの調査では、前者の可能性が高いという。

 だとすれば、KTX江陵線はポイントに問題があったままで、高速列車を1年間にわたり運転していたことになる。1年間も事故なしで運転できていたことにも疑問だ。現在推定されるのは、2カ所のポイントに対する「停止」「進行」信号が常に一致していたとみられることだ。専門家は「結果的に運がとんでもなく良かった」と指摘する。
(引用ここまで・太字引用者)

 ようやく事故の全貌が明らかになりつつある、といったところですかね。
 当時、ポイントの確認に行った作業員が事故直前にケーブルに触ったのではないか云々だのいわれていましたが、結果的にはもっと悪い原因でしたわ。

 「ポイントAが故障で切り替わっていない」という情報を確認。
   ↓
 作業員をポイントAの現場に派遣してチェック。
   ↓
 ポイントAは問題なし。
   ↓
 「問題なし」と報告。江陵からKTX発車。
   ↓
 実際に故障していたのはポイントB。
   ↓
 KTXがポイントBに乗り上げて脱線。
   ↓
 原因はケーブルの誤接続でポイントAとBの情報が入れ替わっていたから。

 ……という感じかな。
 施行当時からすでにケーブルが入れ違えていたのではないかとのこと。
 これまでなんともなかったのは、ただ単に運がよかったというだけ。

 昨日、運が悪くなければ韓国ではなんとかなる、と書きましたが。
 それがちょうど証明された形かなぁ……。
 これまでポイント故障がなかった。
 故障があっても江陵駅から5分のところで、KTXが鈍重なために加速が十分でなかった。
 たまたま、今回は14人だか15人だかの怪我人だけで済んだというだけ。

 韓国国内では「これは第2のセウォル号事故である」なんて報道も出ているのですが。

韓国の高速鉄道脱線事故は「第二のセウォル号」?異常を感知も運行止めず(レコードチャイナ)

 第2の、とかそういう問題じゃない。
 セウォル号こそが韓国社会の映し鏡なのですよ。
 だからこそ同じような事故がいくらでも起きるし、これからも起き続けるのです。

韓国KTX脱線事故、原因は「信号ケーブルの付け替えミス」の模様……もうその時点でおかしいだろ

カテゴリ:KTX コメント:(128)
誤ってささったケーブル……KTX事故直前誰が触れたか(中央日報・朝鮮語)
9日国土交通部とKORAILなどによれば事故地点の南江陵分岐点に設置されたポイント切替機が正常作動するかを表示してくれるケーブルが間違って繋がれて信号システムにエラーを起こした事実が初動調査で明かされた。

事故地点の線路切り替えシステムに異常が生じた状況で列車に「停止」の信号を送信する必要があったにも関わらず、「通常の進行」の信号が出たままで脱線を引き起こしたというのが国土部航空鉄道事故調査委側の推定である。

ポイント切替機が正常に動作しなかったために、列車が乗っているレールが途中で途切れる状況が生じるため脱線したというものだ。もしこの信号ケーブルが正常に接続されていた場合脱線事故を防ぐことができたということだ。

問題は、なぜケーブルが正しく接続されていなかったのかという点だ。このケーブルが接続されたのは、事故地点から少し離れた南江陵信号場内の信号の機械室である。6月嶺東線が江陵駅と江陵車両基地まで続き、設置されたものだ。 (中略)

ある鉄道業界関係者は「事故直前南江陵信号所で何が起こったのかを明らかにするのが脱線の原因を究明するために重要だろう」とし「もし誰かがケーブルを任意に触れたら明らか人災となる」と指摘した。

彼はまた、「脱線を起こしたもう一つの原因である線路の切り替えシステムのエラーも、なぜ起きたのかを明確に確認する必要がある」とし、「開通して1年程度しかならなくて線路安定化ができなかったのか、それとも当初不良施工であったかどうかを計算して根本的な解決策を見つける必要があるだろう」と付け加えた。
(引用ここまで)

 というわけで、事故そのものはポイント切替ができていないところにKTXが突っこんで脱線したというものであることが確定しました。
 なんというか……初歩的ミスというか。
 ポイントが切り替わらなかった理由というのが、切替機のステータスを送る信号ケーブルが間違って接続されていた。そのために発車できるという信号を送ってしまった、ということらしいのですね。

 原因としてメンテナンスミスや不良施工だったというものと、誰かがケーブルに触れたためにそうなったのではないかというものが挙げられています。
 で、不良施工やメンテナンスミスの可能性は低く、なんらかの形で当日にケーブルを入れ違えたのではないか……と。
 そもそもシステム的にフールプルーフやフェールセーフになっていない、ということだけでも驚きなのですが。
 ケーブルを間違ったほうに入れ替えることができる、という時点でシステム設計が間違ってますよねこれ。
 まあ……「韓国だから」というだけですべてが説明できてしまうところが怖ろしくもありますが。

 韓国は安全係数を低くすることでここまで成長してきたのですが、ここまで成長してしまったらひとつひとつの事故が大きなものになってしまう。
 それがセウォル号沈没事故であり、今回の脱線事故でもあるわけですね。

ただいま半額セール中
図解・TGVvs.新幹線 : 日仏高速鉄道を徹底比較 (ブルーバックス)
佐藤芳彦
講談社
2008/10/20


KTX脱線事故、単線区間のポイント切り替えミスが原因か? ……高速鉄道で単線区間?

江陵線KTX脱線「信号制御システムのエラーが原因」と推定(聯合ニュース・朝鮮語)
8日午前に発生した江陵線KTX列車脱線事故は初動調査の結果、南江陵分岐点の信号制御システムのエラーが原因として特定された。

9日、国土交通省とコレイルによると、前日の現場に派遣された国土部航空鉄道事故調査委員会は、肉眼で事故点を見て回った後にこのように診断したと伝えられた。
関係機関によると、8日午前7時30分の列車脱線直前に江陵駅とコレイル管制センターにはKTX江陵線嶺東線が分かれる南江陵ジャンクション一帯信号制御システムのエラー信号が捕捉された。

これにより、コレイルの従業員がマニュアルに基づいて現場に投入されて点検する間にエラーが出た「21A」線路の信号は正常に戻ってきたが、後に従った事故列車がそのまま進入した「21B」線路で脱線事故が起こったものだ。
事故当時、負傷した江陵駅職員は、現場での信号システムエラーをチェックしてけがをしたことが分かった。

信号システムエラーと関連し、いくつかの鉄道業界関係者は、開通してから1年が経っていないKTX江陵線のメンテナンスが適切に行われていないか、そもそも不良施工された可能性があると推定した。
南江陵分岐点の線路転機と信号制御システムは、昨年6月に設置され、温度が正常であるときは、特別な問題が表示されないが、気温が急降下し、エラーが発生したということだ。

KTX江陵線は全区間複線電鉄だが、この日の事故が起きた江陵駅~南江陵駅区間は単線区間である。
このため、この区間を行き来するKTX列車は上下線が信号を待って交互に運行する。

(引用ここまで)

 ……高速鉄道で単線区間?
 え、マジで?

 と江陵線を調べてみたら本当に単線区間あったわ。珍富駅以降2カ所の信号場があって単線。
 本当に需要のないところにオリンピックだからという理由だけで敷設したってことですね。
 終点の江陵あたりは競技も行われないので単線でいいだろうっていう投げやりなインフラ整備だっということがよく分かります。
 その切り替えポイントが切り替わっていなくて乗り上げたということでしょうかね。まだ詳細はよく見えていません。

 急激に気温が下がったから信号システムにエラーが出たっていうのもすごい話で。
 あのあたりが寒くなることなんて最初から分かり切っていたことでしょうに。
 事故規模の割に負傷者が十数人で済んだというのも、トルクのない動力集中方式であったおかげ。
 発車して5分ていどでの事故だったということなので、また速度に乗り切れていなかったのでしょうね。
 このレベルでもヒヤリハットの頂点でない感じがするなぁ。
 ハインリッヒの法則でいうところの軽微な事故、に相当する感触です。
 平昌冬季オリンピック期間中になにごともなかったっていうのは、運がよかっただけ……なのでしょうね。

韓国の高速鉄道KTXで大規模脱線事故が発生、14名負傷。復旧は2日がかりか

カテゴリ:KTX コメント:(152)
韓国高速鉄道KTXが脱線、乗客7人けが(朝鮮日報)

 KTX江陵線が脱線事故を起こしました。
 KTX江陵線ということは、今年の平昌オリンピックのために敷設された新規路線。
 最高時速は250kmに制限されているあの路線ですね。試運転でATSが作動せずに死亡事故を起こしたアレです。
 ざっくり見てみると機関車である先頭車両は完全に脱線して上下線をふさいでいます。
 ニュース動画がありましたのでどうぞ。


 乗客198名のうち、14名が負傷。幸いなことに死者はなし。
 KTX山川(KTX-II)なので定員は363名。およそ半数が乗車していたということですね。
 江陵からソウルに向かう途中での事故ということなので、この週末にソウルに遊びに向かう人なんかがけっこう多く乗っていたという感じでしょうか。

 江陵線の試運転の事故の時に「明らかに突貫工事が過ぎる。ひとつひとつなら見逃せる危険性でも重なると指数関数的に事故の確率が上昇するので平昌オリンピックにはいかない」という話をしました。
 まあ……残念なことにその指摘が的中したように思えますね。

 2011年2013年2016年の脱線事故に続いて4回目の脱線事故。構造的になんらかの問題があるのは間違いないでしょ、これ。


韓国で時速430kmの次世代KTX開発完了 → 走らせるインフラ整備ができずに開発封印

カテゴリ:KTX コメント:(128)
数百億円の列車、運行できず放置=韓国(中央日報)
総額2000億ウォン(約200億円)の事業費を投入して開発した先端ティルティング(Tilting)列車と超高速海霧(HEMU-430X)列車が事実上、使用されず放置されている。これら列車の開発が終わる頃に政府の政策が変更したからだ。

国会国土交通委員会で宋錫俊(ソン・ソクジュン)議員(自由韓国党)が国土交通部から提出を受けた資料「ティルティング列車・海霧(ヘム)列車開発現況と活用案」によると、ティルティング列車の開発に860億ウォン、海霧列車に1140億ウォンが投入された。これを合わせると2000億ウォン規模だ。しかしこれら列車は現在、活用案もなく忠清北道五松(オソン)の韓国鉄道施設公団五松車両基地に長期保管されている。 (中略)

時速420キロに達し、フランス(575キロ)、中国(486キロ)、日本(443キロ)に続いて世界で4番目に速い海霧列車も事情は同じだ。2007年に開発に着手した海霧列車は2013年3月、最高時速421.4キロを出し、注目を集めた。

海霧はKTXのように一番前と後ろの動力車が車両を引っ張っていく動力集中式でなく、動力が各車両に分かれているため別の動力車が必要のない動力分散式車両で、外国の超高速列車もほとんどがこの方式だ。

2012年5月に開かれた海霧列車出庫式で当時の権度ヨプ(クォン・ドヨプ)国土海洋部長官は「中国、日本をはじめとする世界各国が高速列車の開発に努力している状況の中、430キロ級の高速列車の開発に成功したことで年間250兆ウォンにのぼる世界市場でシェアを確保できるようになった」と述べた。ソウル-釜山(プサン)を1時間30分で走破し、輸出もするというのが政府の計画だった。

しかしその後、海霧列車が高速で走るために必要な線路や信号システムなどの改良事業は全く進まなかった。新設された湖南(ホナム)高速鉄道の一部区間に試験線が建設されたのがすべてだ。さらに海霧列車の商用化のために必要な線路改良規模と費用推算のために鉄道施設公団が昨年推進した研究も国土部が中断させたことが分かった。
(引用ここまで)

 2014年に「時速420km出せる次世代KTX」という触れこみで開発完了がアナウンスされたのがHEMU-430Xでした。
 プロトタイプは2012年に公開されていまして「ベンチ上では時速430kmを記録した」ということでHEMU-430X。
 当時、「トレッドミルでなら100mを10秒切ったみたいな話だな」と言ってましたが、KORAILは真面目に「ソウル-釜山間を1時間半で結んでみせる」と大見得を切っていましたね。

 その後、現在あるKTXの路線で走らせてみたところ、ソウル-釜山間を停車駅がふたつしかない理想的な走行状態でも平均時速で219kmしか出せずに1時間54分にしかならなかったという状況でした。
 現状のKTX2でも2時間30分ほどかかるのですが、これは停車駅がソウルと釜山を含めて10ある状態で。
 要するに高速鉄道を走らせるには車両だけあってもダメで、軌道が整備され、信号システム等々のインフラが揃ってないことがダメっていう当たり前の話が分かっただけだったというオチ。

 現状のKTX2の最高時速は305kmくらいなのですが、これをHEMU-430X用に時速350kmが出せるようにインフラ改良するとさらに6700億ウォンが必要になるという試算でした。
 そんなお金を出しても1時間半でソウルー釜山間を結ぶことはおそらく無理。
 ということで封印された、と。

 ヘムが「海霧」であるという知見が得られたのが最大の収穫かな。
 なんでそれが高速鉄道のネーミングに用いられたのかは不明ですが。
 実に韓国的なオチであったように思いますね。