[特派員の視線] ノーベル賞への強迫観念を持ったK-文学、その次は(聯合ニュース・朝鮮語)
米国または欧州出身の73歳の男性。 ドイツメディアRNDが分析した1901〜2022年ノーベル賞個人受賞者967人の平均値だ。 6部門のうち、女性は2年に1人の割合で出た。 国籍別では米国が3分の1、これに欧州3大強国という英国・ドイツ・フランスを加えると3分の2程度になる。 人口1000万人に過ぎないスウェーデンが5番目に多い受賞者を出したのは一種のホームアドバンテージだ。 歴代ノーベル賞受賞者が1人しかいない韓国の満53歳の女性作家、ハン・ガンは、統計的にも予測が難しかった。 英国の賭博会社「ラドブロックス」は、ハン・ガンの受賞確率をファン・ソクヨンとともに29位タイに挙げていた。
ハン・ガンやファン・ソクヨンに賭けた賭博師ほど、韓国文壇ももしかしたらという気持ちで受賞の知らせを待っていたはずだ。 文学界は国格にふさわしく、ノーベル賞作家も一人ぐらい持つことを長い間念願しながら志願した。 日本はすでに川端康成(1968年)と大江健三郎(1994年)の受賞で、耽美主義とリアリズムを含む世界的な門戸を保有していた。
(中略)
10月第2木曜日ごとにコ・ウンの家の前に記者たちが陣取っていた喜劇的な風景は、2018年に浮上した彼のセクハラスキャンダルとともに消えた。 コ・ウンを国家代表に推して挫折した恨みをハン・ガンが晴らしたわけだ。 受賞者選定に大陸別按配を勘案するという推定が正しければ、いつのまにか80歳を眺めるノーベル賞晩年候補になった日本作家村上春樹の受賞をさらに先送りする「盤外成果」もおさめた。 アジア作家の受賞者は、フランスに亡命した中国劇作家の高興健(2000年)、中国小説家のモエン(2012年)に続き、また12年ぶりに出た。 今年、春樹が受けたなら、少なくとも数年は待たなければならないという漠然とした気持ちが、羨望よりも大きかっただろう。
(中略)
韓国の文壇とマスコミがノーベル文学賞の発表をひやひやと待つことも当分ないだろう。 平和賞と文学賞という、ノーベル賞の中でも注目される二つの分野で受賞者を出した。 映画とドラマ、ポップとクラシックに続き、「純文化の精髄」という文学でも西洋の作家を追い抜いた。 あえて「K」を掲げなくても外国人が先に韓国を知る時代になった。 文化芸術を越えて伝染病防疫に原子力発電所、殺傷兵器までオリンピック出場するかのように全て「K」を付ける恥ずかしい認定闘争は使い尽くしている。 今は陳腐に聞こえる管制用語「K」がむしろ文化芸術を枠に閉じ込めて足を引っ張るのではないか。 一時、永遠のように騒がしかった「ブリットポップ」や「香港ノワール」のような言葉が思い出の中に消えるのに一世代もかからなかった。 欧州経済のエンジンから問題児に転落したドイツで、信頼の代名詞として通じた「メイド・イン・ジャーマニー」の未来をめぐって繰り広げられる論争を見て思う考えだ。
(引用ここまで・太字引用者)
ええっと……。
あ、まだノーベル文学賞受賞した余波が続いています。
韓国最大の通信社である聯合ニュースがコラムを掲載。
ハン・ガンの受賞がいかに重要なものであったのかを語っています。
いわく──
「ハン・ガンの受賞はノーベル賞を受賞した平均的な姿からはかけ離れたプロフィール」
「(韓国の)
国格にふさわしくノーベル賞受賞者をひとりくらい持つことを長い間待っていた」
「同じアジアの村上春樹の受賞を大きく先送りする盤外効果も収めた」
「映画とドラマ、ポップスとクラシックに続いて『文化の精髄』である文学でも
西洋の作家を追い抜いた」
「K○○はもはや陳腐だ。いまや外国人が率先して『韓国』を探している」
……いやぁ、草生えるわぁ。
お腹いっぱいですよ(笑)。
……いや、お腹いっぱいですってば。
彼らの中ではノーベル文学賞ひとつ取ったから世界がひっくり返って誰も彼もが韓国にひれ伏しているっていう世界観が確立されたのです。
ノーベル文学賞ひとつで。
いや、大げさでもなんでもないですよね、これ。
ハン・ガン氏のノーベル文学賞受賞について、楽韓Webでは何度か逆説的、逆の視点の話をしています。
これまで日本の数多の自然科学部門での受賞と、ふたつの文学賞(それと村上春樹が受賞するとの評判の高さ)にどれだけ歯噛みしてきたのかってことですわ。
この記事中に「日本はすでにふたつのノーベル文学賞を受賞した」って文言、いらないでしょ。普通は。
でも、書かずにいられなかったのですよ。
そして「村上春樹の受賞を大きく先送りした」ことを「成果」として挙げてしまうのですよ。
……これまでどれほどのコンプレックスを抱えてきたら、こんな文章が書けるんだろうってほどですわ。
ルサンチマンを感じる、とてもよい文章じゃないかと思います。
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