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カテゴリ:宇宙開発の記事一覧

韓国のヌリロケット、違法な火薬を使って打ち上げされていた→韓国当局「違法はしかたがない」……うわ「ザ・韓国」な言い訳だ

カテゴリ:宇宙開発 コメント:(82)
韓国、ヌリ号打ち上げに軍用火薬…「違法は仕方ない、法改正しなければ」(中央日報)
韓国型ロケット「ヌリ号」を打ち上げに民間用ではなく軍需用火薬が使われたことが確認された。打ち上げ需要が不足し民間用火薬製造施設を別に設けることができずに起きたことだが、現行の銃砲火薬法によると違法だ。

与党「国民の力」の崔秀珍(チェ・スジン)議員が公開した韓国航空宇宙研究院の資料によると、2021~2023年のヌリ号の1~3回目の打ち上げで軍用火薬が使われた。ヌリ号は打ち上げ台分離、段切り離し、エンジン始動など宇宙で行われる過程と、有事の際の強制爆発による飛行終了装置にも火薬類が必要だ。これまで使われた火薬は韓国製11種類、輸入1種類の12種類だった。

韓国のメーカーはハンファエアロスペースと三洋(サムヤン)化学工業だ。両社は軍需用火薬を供給した。宇宙探査、気候観測用人工衛星など民間領域では打ち上げ回数が極めて少なく、民間用火薬を別に作らないためだ。

航空宇宙研究院は「昨年5月の3回目のヌリ号打ち上げ後、内部的に火薬類供給が銃砲火薬法違反の素地があることを把握した。1~3回目の打ち上げ当時は法的問題はないと考えた」と明らかにした。続けて「ロケットの特殊性や当時の状況を十分に説明できる」とした。

火薬類は危険性が大きいため製造施設は一定の要件を備え警察庁長の許可を受けなければならない。民需用火薬は軍需用施設よりさらに厳格な条件が要求される。このため現実の状況と関係なくヌリ号開発陣は法を犯した状況だ。
(引用ここまで)


 韓国が独自に(なぜか生きていたロシアのエンジンが韓国に放置されていたのを参考にして)開発したヌリ号に用いられた火薬類が違法なものであったことが判明しました。
 ちなみにロシアがなぜか放置していたエンジンはRD-151。
 RD-109のモンキーモデルではありますが、アンガラロケットの最新モデルといってもいいエンジンをそのまま参考にできたことは大きな成果だったのでしょう。

 で、軍用火薬を流用して、非軍事機関であるKARI(韓国航空宇宙研究院)のロケット打ち上げに使用したことは違法である、とのことです。
 いやぁ、「ザ・韓国」ですね。
 100%あり得ないことですが、日本で同様のことが起きたら「まず法務相に問い合わせ、違法である場合は法改正に着手」からスタートするでしょう。

 ……というか、法治国家であればそうするのですよ。


 でも、韓国は「ロケット打ち上げという目的に正統性があるので問題ない」ってなってしまうわけです。
 違法だけども正しいので問題がない。
 なんなら法律のほうがおかしい。
 民間での火薬使用を厳しく規制しているのが悪いって考えかたになるのですね。

 かつて、朝鮮日報の東京特派員は「日本はマニュアル社会だから条約を守るのだ」って主張をはじめて、腹を抱えて嗤ったことがあります。

「日本はマニュアル社会だから条約を守ろうとするのだ」と朝鮮日報東京特派員談(楽韓Web過去エントリ)

 条約とか契約とか法条、なんなら約束が意味することをなんら理解していないんですよ。
 その象徴として「韓国の打ち上げロケットは違法なものだった」ことが挙げられるでしょう。
 いや、ホントに「ザ・韓国」です。

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韓国の「宇宙飛行士育成計画」がリブート? 「第2の宇宙飛行士が必要だ。有人宇宙プログラムに参加しなければ!」……まだ「第1の宇宙飛行士」も出せてないのが実際ですよね?

[スペースK2024]初の宇宙飛行士を育てた科学者「宇宙経済を実現する『第2宇宙飛行士』が必要」(朝鮮BIZ・朝鮮語)
韓国航空宇宙研究院のチェ·ギヒョク責任研究員は5日「宇宙で人が居住する時に必要な無線Wi-Fi、ロボット、小型モジュール原子炉(SMR)技術は韓国が強みを持つ分野」として「韓国も宇宙経済を実現する有人宇宙プログラムに参入しなければならない」と話した。

チェ責任研究員はこの日、ソウル江南の韓国科学技術会館で開かれた「スペースK2024′フォーラム」で「宇宙産業に必要な技術を先進化するためには有人プログラムを通じて新しい技術を発掘し発展させなければならない」とし、このように話した。 チェ責任研究員は航宇研で宇宙飛行士事業団を務め、韓国初の宇宙飛行士育成事業を総括した人物だ。 (中略)

チェ責任研究員によると、韓国も第4次宇宙開発振興基本計画に有人宇宙船の開発、火星探査のような有人プログラムを盛り込んだ。 彼は「2040年には月に人間居住のためのインフラ(基盤施設)が作られると予想されるが、韓国がどのように参加できるか悩みと研究が必要な時点」と話した。

チェ責任研究員は、「今後、宇宙飛行士が宇宙に居住し、新たに開かれる産業分野にも注目しなければならない」と強調した。 製薬産業で宇宙に注目しているだけに、食糧、半導体、バッテリー産業も宇宙で実現できるということだ。 月で新しい経済環境が用意される「ムーンエコノミー(Moon economy、月経済)」が開かれる時に備えなければならないという指摘だ。

チェ責任研究員は「第2の宇宙飛行士を育成し、地球低軌道宇宙ステーションで科学研究、生産活動ができる専門家に育てなければならない」として「宇宙で長期滞留のための医学研究や産業にも活発に投資がなされなければならない」と話した。
(引用ここまで)


 「韓国人宇宙人輩出事業」というものがかねてからありまして。
 ここでの「宇宙人」というのは「宇宙飛行士」を意味します。
 その第1弾がコ・サン、およびバックアップメンバーであったイ・ソヨンをISSに搭乗させようとする計画でした。
 紆余曲折の結果、ロシアで販売されていた宇宙旅行席を購入し、宇宙飛行関係者(Spaceflight participant)としてISSを訪問することとなったものです。
 正規の訓練を受けて宇宙飛行士になるよりも簡単な道を選んだってことですね。

 ロシアといざこざを起こしたコ・サンは計画から追放され、バックアップメンバーであったイ・ソヨンが正式メンバーに昇格。
 イ・ソヨンはソユーズに乗ってISSにゲストとして搭乗し、いくつかの科学実験を行ったとされています。
 まあ、その後に「韓国人宇宙人輩出事業は失敗だった」として総括されているんですが。

「韓国人宇宙飛行士を英雄にするべきだった」と韓国人宇宙飛行士構想の失敗を「自分は悪くない」と語る担当者(楽韓Web過去エントリ)

 ロシアの宇宙旅行の席を買ったのも安易だったし、宇宙に行ったイ・ソヨンが辞職してアメリカにMBA取得のために留学して、かつ現地の韓国系アメリカ人と結婚して市民権を取ってしまったってのも失敗。
 「韓国人初の宇宙飛行士」というお題目を使えなくなってしまったのも失敗。
 志がなかったのが最大の原因でしょうね。


 で、その「韓国人宇宙人輩出事業」第2弾を行うべきだ……との講演があったとのニュース。
 第2もクソも、「第1の韓国人宇宙飛行士」はまだ出せていないんですけどね。
 曰く「無線Wi-Fiやロボット、小型モジュール原子炉などの技術で韓国は強みをもっているので、それらを活かして有人宇宙プログラムに参加しなければならない」とのことです。
 ……無線Wi-Fi、ね。

 要するにNASAのアルテミス計画にいっちょ乗りしたいってことなんでしょうが。
 日本人宇宙飛行士が月面着陸するのはアルテミス4号を予定しているとの話。



 まあ、ここでも「日本がやるのなら韓国も」精神を発揮しているってことでしょうね。
 遅ればせながらアルテミス協定(アルテミス合意)にはサインしたものの、これはアルテミス計画との関連性はゼロ。

 というか、アルテミス計画にいっちょ乗りするにしても韓国はなにを提供するつもりなのやら。
 日本は有人探査車提供などもする予定。それ以外にもいろいろと日本がカードとして出せるものはあるでしょうね。
 そうしたカードが韓国にはなにもない。

 たとえばはやぶさ、はやぶさ2が持ち帰った試料をアメリカ側に提供することで、アメリカのオシリス・レックスが持ち帰った貴重な試料を受け取ることができたわけです。
 韓国が提供できるものってなによって話なんですよね。

 ルナインパクター計画なるものがあるとして、「アメリカは韓国の衛星製造能力が高いのでこの計画に韓国を引きこんだのだ」って韓国メディアが胸を張っていたものですが。
 12年ほど前の話。ルナインパクター計画どこ行った。
 無線Wi-Fiがどうのこうのとか、なんとかして「韓国の宇宙技術」を売り込みたいって意気込みは見えてますが……「現実的なカード」としてはどうなんでしょうね。無理筋だと思うけどなー。

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韓国人「日本はSLIMを着陸させただけでなく、アメリカと協力して月への有人飛行探査までやろうとしているのに、韓国はなにもできていない」

カテゴリ:宇宙開発 コメント:(127)
[記者コラム] 日本の月面着陸を眺めるだけなのか(京郷新聞・朝鮮語)
「2024年1月20日0時20分、月面着陸に成功しました」

先月20日、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公式ホームページに掲載したこの短い文章の意味は大きかった。 日本が世界5番目の月着陸国家になった瞬間だった。 最近、韓国には1人当たりの国内総生産(GDP)が日本のように3万ドル台を維持するという点を挙げ、韓国の国力が日本と対等な水準だと見る気流がある。 しかし、少なくとも宇宙開発分野で韓国はまだ日本の敵ではない。

日本は1970年代から宇宙技術の核心であるロケット開発に本格的に乗り出した。 01年からは「H-2A」という大型ロケットを安定的に発射している。 H-2Aは今年まで48回発射し、1回を除いてすべて発射に成功した。 日本の月面着陸船を載せたロケットもH-2Aだ。

韓国の代表ロケット「ヌリ号」は2021年に初めて発射した。 最初の打ち上げは失敗し、2回目(2022年)、3回目(2023年)の打ち上げは成功した。 ヌリ号の規模と力では着陸船を月まで送ることができない。 月面着陸船を乗せることができる新しいロケットは開発中だ。 小惑星探査など他の分野でも日本は韓国より進んでいる。

このような両国間の宇宙技術水準の差は、月の開拓を共にするパートナーを忙しく探している米国の態度から克明に表れている。 2022年5月、バイデン米大統領は岸田文雄日本首相との首脳会談を通じて、今後月に日本人宇宙飛行士を派遣すると述べた。 人間の月再着陸のための米国主導の多国籍プロジェクトである「アルテミス計画」の一環として推進するという意志だった。

一方、同月開かれた尹錫悦大統領との韓米首脳会談では雰囲気が違った。 米国は宇宙開発で協力しようと言ったが、宇宙飛行士の輩出のように破格的で手に入る提案は出さなかった。 (中略)

一方、韓国はどのような技術で、どの程度の貢献を月開拓の過程でできるかがまだ未知数だ。 そのような具体的な協力を試みて結果を得たことがないからだ。 韓国はアルテミス計画推進のための制度的体系である「アルテミス約定」に2021年に署名したが、今も事実上名前だけを載せた状態だ。 国内科学界ではどんな技術を開発するかを扱う具体的な協力よりは「今後うまくやってみよう」というような儀礼的な共感を形成する協力があまりにも多いという声が出ている。 (中略)

韓国の貢献が今のように特にないなら、権利を主張することは難しい。 月で韓国の役割を証明する時間はあまり残っていない。
(引用ここまで)


 日本が打ち上げた月探査船のSLIMについて、韓国メディアが連日報道しています。
 基本的な方向性としては「60点の成功って言ってたのに、話が違う……」みたいな部分がほんのりと漂ってきて面白いですね。

 なにしろ、ピンポイントでソフトランディングに成功。
 LEV-1、LEV-2を放出して、SLIM本体の撮影データ伝送に成功。
 太陽光パネルに光があたりはじめて、本体稼働が再開してマルチバンド分光カメラでの月面撮影に成功。
 もうね。お腹いっぱい。120点。
 影に入るとかなりの低温にさらされることになるので、今度の休眠からの復活はなかなか難しいとは思いますけども。


 んで、冒頭記事は「日本に比べて韓国の宇宙開発は独自の月着陸船を打ち上げることすらできない」ってあるんですが。
 なんかこう、高望みというか、一足飛びなんだよなぁ。
 なにもかもが。

 独自のロケットについて打ち上げを成功させたばかりで、月への貢献がどうのこうの言っている。
 アルテミス協定に名前が載っているだけでも充分だと思うんですけどね。
アルテミス計画に参加できないにしても。

 日本みたいに月への有人飛行計画に参加するなんてところまでたどり着くには、なんらかの独自の技術がの貢献できたり、はやぶさの資料みたいに提供ができたりしてからでしょ。
 日本だっておおすみの打ち上げから50年かけてきているんだから。

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韓国政府、NASAからの「月ロケットのアルテミス2にキューブサット乗せない? 」との提案を「お金がない」と断ってしまう

アメリカ「月にキューブ衛星を送る」提案に…韓国「予算ない」拒否(聯合ニュース・朝鮮語)
26日、宇宙分野の複数の関係者によると、米航空宇宙局(NASA)は昨年10月末、韓国をはじめアルテミス計画に参加する国々に、現在開発中の「アルテミス2号」に各国のキューブ衛星を載せて月に送るプロジェクトを提案した。

キューブ衛星は超小型衛星の一種で、横・縦・高さが全て10㎝である正六面体を一つの「ユニット(U)」に規格化した衛星だ。

過去には学生教育用として活用されてきたが、最近は小型衛星の性能が良くなり、月や火星探査にも使われている。

NASAは宇宙飛行士を乗せて月軌道を回ることを目標にするアルテミス2号に余分の空間が確保されると、協力強化のために各国機関や企業に月を探査するキューブ衛星搭載を提案したという。

約100億ウォン規模の費用とともにキューブ衛星を製作して調達すれば、これを月に載せて送るということだ。

宇宙分野のある関係者は「キューブ衛星の大きさなどを知らなければならないが、月に衛星を送る予算では高いとは言えない」と話した。

しかし、このような提案を受けた科学技術情報通信部は、時間が差し迫って予算を確保するのが難しいとし、NASAに参加が難しいと答え、結局参加できないと通知したという。

政府予算案がすでに国会に提出された状況で、科学技術情報通信部で国会に追加予算を提案したが、結局国会で最終予算反映がされなかったということだ。

科学技術情報通信部の関係者は「開発できるところを探すなど検討をして予算を作らなければならないが、10月末には国会常任委の審査に入らなければならない状況」とし「優先順位上、他のものが多く最終反映ができなかったようだ」と説明した。

宇宙産業界では、政府が宇宙航空庁の開庁と相まって、アルテミス計画参加プロジェクトなどを具体化するということとは異なり、このような機会を逃すなど、依然として参加意志がないのではないかという批判が出ている。 (中略)

科学技術情報通信部が今週、海外出張の途についたチョ·ソンギョン科学技術情報通信部1次官がNASAと会ってアルテミス参加拡大を議論すると明らかにしたが、依然として具体的な協力計画は出てこないという批判も出ている。

韓国航空宇宙研究院のイ·サンリュル院長は最近、科学記者団対象懇談会で「アルテミス計画参加議論を始めたのが2017年からだったが、まだ特別な計画がないのが事実」と話しもした。
(引用ここまで)


 有人月着陸を目指しているアメリカNASAのアルテミス計画。
 去年、打ち上げられたアルテミス1号で運ばれるメインの資材である「有人宇宙船試験機(無人。スヌーピー、ひつじのショーンが搭乗)」とは別に、あまったスペースにキューブサット10基を搭載していました。

 6Uと呼ばれる20cm×30cm×10cmの小型衛星で、うち7基がアメリカのもの。1基がイタリアのもの。残りの2基はJAXAの超小型月着陸船OMOTENASHIと、ラグランジュポイントを探査するEQUULEUS。
 OMOTENASHIは燃料のリークで着陸断念。EQUULEUSは一定以上のデータを得ることはできましたが、姿勢制御に失敗して電源喪失。
 同様にアルテミス1から放出された他のキューブサットもプロジェクト断念に至っているものがいくつもあります。
 このサイズが難しいのは間違いない。


 有人月周回を行う予定のアルテミス2号でも同様に複数のキューブサットを放出する予定。
 で、韓国側にもその打診が来たとのことですが。韓国政府は「予算がないのでお断りします」とやってしまったそうです。
 実際のところ難しいのでしょうね。

 アルテミス2では6Uと12Uのものが募集されていますが、このサイズで一定の意義のある宇宙、月探査を行うプロジェクト自体の想定がまず難易度が高い。
 実際の製造もなかなかの難易度のはずです。
 アルテミス1で失敗が続出したのも当然と言うべきか。
 韓国政府が断ったっていうのも……別に不思議な話でもないと思われます。
 予算不足以前の問題として。

 あ、そうそう。以前のエントリのコメントで教えていただいたのですが。
 韓国は「アルテミス合意(Artemis Accords)」には署名していても、「アルテミス計画(Artemis Project)」には変わらず参加していないとのことです。
 まあ……月探査計画で韓国が差し出せるものってなによって話でもありますかね。

 「NASAがルナインパクター計画に韓国を引きこんだのは衛星技術が優秀だからだ」って話が10年ほど前にありましたが。
 「ルナインパクター計画」そのものを韓国以外の場所で聞いたことがないのですよね……。

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日本の月着陸成功に対して韓国メディアは「60点の成功」「太陽電池で発電できなかった」をメインに報道

カテゴリ:宇宙開発 コメント:(86)
日本、世界5番目に月着陸成功… 「探査船太陽電池発電ダメ」(聯合ニュース・朝鮮語)
日本が20日(現地時間)、世界で5番目に月面着陸に成功した。

日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)はこの日の記者会見で「月探査船『スリム』(SLIM)が20日0時頃、月上空15kmで降下を始め、約20分後に月赤道付近の表面に着陸した」として「探査船のソフトランディング(Softlanding·軟着陸)に成功した」と発表した。 (中略)

スリムは当初、着陸後に太陽電池に発展し、特殊カメラで月面岩石に含まれた鉱物の種類などを測定する任務を遂行する予定だった。

太陽電池の発電ができないことから、スリムは着陸後に搭載されたバッテリーを利用している。

このバッテリーは数時間しか作動しないものと見られる。
(引用ここまで)


 JAXAの月探査機SLIMが月面への着陸に成功しました。
 ですが、担当者からは「60点の成功」との談。
 そこまで卑下しなくてもいいとは個人的に思うのですけどね。
 このプロジェクトの第一意義は「任意の場所に着陸する」なので、そもそもが難易度が高すぎるんですよ。
 これまでの月面着陸はどれも「着陸しやすいところに着陸する」だったので、画期的な成果といっても過言ではない。

 たとえば月軌道上からのスペクトル探査でなにか見つけたとしても、実際にそこに行けるかどうかがまず関門として存在していたのですが。
 その関門を越すことができる技術が入手できた、といえるでしょう。
 BBCではその成果を「大成功だ」とするコメントを紹介しています。

 Japan lands on Moon but glitch threatens mission(BBC・英語)

 SLIMに先んじて月着陸を予定していたアストロボティックのペレグリンは推進システムに問題が生じて、廃棄されました。

アポロ以来の月着陸目指した「ペレグリン」失敗、大気圏に落下(CNN)

 BBCの記事の中で「日本のプロジェクトは正確な着陸がすべてといえる。大成功だ」とコメントしているシオメン・バーバーはペレグリンの製造に携わっていた人物なのだそうで。
 去年4月には日本のHOKUTO-Rも失敗していましたね。
 根本的に月着陸自体がとんでもなく難易度が高いのです。


 そんな中、旧ソ連、アメリカ、中国、インドに次いで月面着陸を達成したわけですから、賞賛に値すると言っていいでしょう。
 で、それを報じている韓国の反応なのですが。

 だいたい、8割くらいは「成功したけど、日本の担当者は60点と言っている」「太陽電池での発電ができなかった」としています。
 というか、そちらをメインに扱っている記事のほうがはるかに多いな、といった感触。
 なんとか味噌をつけようと必死だなぁ……といったところ。

 一部で「精密着陸には大きな意義がある」「韓国は2030年代に月着陸プロジェクトを予定している」といった報道もありますけどね。

日本、世界で5番目に月に行った(朝鮮日報・朝鮮語)
日本、世界5番目の月面着陸に成功…私たちはいつ飛ばそうか?(マネートゥデイ・朝鮮語)

 とりあえずJAXAには祝意を伝えたいです。
 太陽電池が生きていれば来週にも光が差す可能性もあるとのことで、そちらにも期待しておきましょう。

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韓国で民間企業がイ・ソヨンに続く「有人宇宙開発プロジェクト事業」を推進、アメリカのスタートアップのアクシオム・スペースと合弁企業を設立へ

ボリョン、米アクシオムと手を繋いで宇宙へ(毎日経済・朝鮮語)
ボリョンが米国宇宙企業「アクシオムスペース」と手を握り本格的に宇宙事業に乗り出す。 ボリョンは11日、アクシオムスペースとの国内合弁法人設立手続きをすべて完了し、「ブラックスペース(BraxSpace)」を公式に発足させたと発表した。ボリョン関係者は「ブラックス(Brax)はボリョンの'Br'とアクシアムスペースの'Ax'を合わせたもの」と話した。

アクシオムスペースは、世界初の商業用宇宙ステーション建設を目標に、米国航空宇宙局(NASA)出身の専門家たちが主軸になって2016年に設立された会社だ。 NASAから獲得した事業費がスペースXの次に多いほど急速に成長している。 最高経営責任者(CEO)を務めるマイケル・サーフレディーニは2005〜2015年、国際宇宙ステーション(ISS)プログラムの管理者として在職し、企画と完成、研究商用化過程を率いた。 アクシオムスペースの職員のうち半分がNASA出身で、宇宙企業の中で最も高い割合に属する。

アクシオムスペースは現在、民間宇宙ステーション「アクシオムステーション」を構築している。 2030年に退役が予定されているISSに代わる計画だ。

ブラックスペースは、このアクシオムステーションに関連するすべての事業の国内独占権を持つ。 停車場の他にもアクシオムスペースの技術を活用した事業についても権利を所有する。 アジア・太平洋地域に対する事業優先権も持つことになる。 ブラックスペースは主要事業として宇宙ステーション内の研究および実験プラットフォームサービスを推進する。 初期計画から発射、輸送段階、実験遂行など全過程に対するサービスを支援する。

韓国人有人宇宙開発プロジェクト事業も推進する。 李ソヨンさん以後、命脈が途絶えた第2の韓国人宇宙飛行士を養成する計画だ。 このほか、アクシオムステーションモジュールの共同開発を推進し、新素材や半導体、エネルギーなど宇宙ステーションモジュールの開発に参加できる国内企業の協力機会を発掘する予定だ。
(引用ここまで)


 韓国の民間企業が韓国人宇宙飛行士育成計画をはじめた、とのニュース。
 ボリョンという製薬・ヘルスケアを中心にしている企業があるのですが、この企業が妙に宇宙関連に積極的なのです。
 サイト内にCare in Spaceってページがあって、Axiom Spaceとの協業を発表しています。

Care in Space(ボリョン・英語)

 その専門サイトとしてこのページで紹介されているcareinspace.comにアクセスしようとすると「このサイト怪しいよ」ってChromeにもSafariにもキックされます(笑)。

 んで、このボリョンとの合弁企業を韓国で設立したのがアクシオム・スペース。
 NASAにいた研究者等が創業した宇宙開発のスタートアップ企業ですね。有人宇宙飛行や独自の宇宙ステーションを建造しようとしています。
 日本では三井物産と合弁企業を設立しているようですね。


 で、その合弁企業を通じて「韓国人宇宙飛行士」をもう一度……ということなんでしょうけども。
 狙っているのはおそらくイ・ソヨンと同じくいわゆる「宇宙飛行関係者」ってアレ。

 アクシオム・スペースはすでにAx-1、Ax-2という初の民間企業主導によるISS滞在に成功しています。

初の民間主導ISS滞在ミッション「Ax-1」参加した4名が地球に無事帰還(sorae)

 2024年1月以降にAx-3が行われる予定。
 Ax-1、Ax-2ではミッションスペシャリスト等を打ち上げてきたようですが、将来的には旅行者の打ち上げもやるのかな。
 韓国の宇宙開発ですが、相変わらずこうやろうとしていることの方向性が見えないんだよなぁ……今回は製薬企業がやっているってことですが。
 製薬関連のミッションがやれるとも思えませんし。ナロからこっちのロケット打ち上げも同様なんですけどね。

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韓国の月探査機、搭載された2台のカメラのうち1台が動作せず、もう1台もデータ処理に問題……それ以外のミッションは?

韓国の誇りだったのに……月軌道船タヌリカメラ2台中、1台が故障(毎日経済・朝鮮語)
韓国初の月軌道船「タヌリ(KPLO)」に載せられた広視野偏光カメラ「ポールカメラ(PolCam)」が正常作動しないことが確認された。 韓国天文研究院(天文研)が開発したPolCamには2台のカメラが付いているが、このうち1台が作動しておらず、残りの1台もデータ処理に問題があることが把握された。 これに伴い、タヌリが月探査任務をまともに遂行することは難しいものと見られる。 しかも、天文研究院はカメラ誤作動の原因さえまともに把握できずにいる。 韓国天文研究院は5月、ヌリ号に乗せて発射した衛星「SNIPE」4基のうち2基が消失するなど、最近残酷史を書いている。

19日、科学技術界と天文研によると、ポールカメラは現在、1台のカメラを活用して運用されている。 残りの1台のカメラは低い解像度のため、使用していないことが分かった。 運用中のカメラ1台も観測データの算出に困難を来たしていることが確認された。 光のにじみ現象などで撮影イメージに損傷を受け、これを処理するのに従来予想していたより多くの時間がかかっているためだ。

ポールカメラは、昨年8月に打ち上げられたKPLOの6つの搭載体のうちの一つだ。 ポールカメラは月面を偏光観測する。 偏光は特定方向にのみ振動する光を意味する。 偏光を観測すると、月面粒子の大きさやチタン分布がわかる。 粒子の大きさや分布によって異なる偏光が発生するためだ。 粒子の大きさなどを知ることになれば、該当粒子がいつ生成されたかなど宇宙風化研究が可能となる。

ポールカメラはタヌリ進行方向に垂直に両側を眺める2台のカメラで構成される。 直下点から45度の距離にある地域を320,430,750ナノメートル(nm·10億分の1m)の3つの波長帯域で観測する。 これを通じて月全体の偏光地図を描くのが最終目的だ。

しかし、目的を果たすかどうかは未知数だ。 解像度などカメラ1台の性能が予想と違って低く出ており、残っている残りの1台のデータ処理速度も遅い状況であるためだ。 タヌリが予想寿命である1年より長く任務を遂行できると分析される点は、少しの希望として残っている。 (中略)

天文研はポールカメラの他にも最近相次いで困難を経験している。 天文研は今年5月、韓国型発射体「ヌリ号」にSNIPE衛星4基を乗せて宇宙に送った。 宇宙に送った直後、1基はヌリ号から抜け出せず、宇宙迷子になった。 残りの3機は交信に成功したが、3機のうち1基が電力量が弱く統制が難しい状況だ。 残りの2機もまだ任務に着手できていない。
(引用ここまで)


 去年の8月、アメリカのファルコン9で打ち上げられた韓国の月探査機の「タヌリ」のふたつあったカメラ装備のひとつが作動していないことが判明。
 かつ、もうひとつのカメラもうまく動作していないとのこと。
 このPolCamは月の裏側を撮影し、マッピングをするものとして搭載されたそうですが。その役割が果たせるかどうか微妙なところだそうで。

 あ、そうそう。2020年に「アメリカが提唱した有人月探査計画のアルテミス計画に韓国が参加できないのはなぜだ」ってなっていたのですが。
 その後、ムン政権下で参加が決定しています。

 今回のタヌリにはその計画の一端としてアメリカがShadowCamという高感度カメラを提供し、搭載されています。


 月には深いクレーター内に常に影がかかっている「永久影」と呼ばれる部分がありまして。
 90Kという低温が保たれており、なんらかの形で水(氷)があるのではとも期待されています。
 将来、月基地が建設される場合に地球から水を持ちこむのと現地調達できるのとではまさに天と地ほどの差があるので、大いに期待されている……というか、意外と月には大量の水があるのではともされていますね。

 ちなみに日本のかぐやはこの永久影クレーターの表面部を探査してもいます。
 かぐやの探査では「クレーターの表面部には氷は見当たらない」との見解。
 表面層の下に水分がある可能性をインドのチャンドラ・ヤーン1号、2号が示しています。

 で、このNASAが提供したShadowCamは通常の3000倍200倍の感度があるとのことで。
 また異なる形で探査ができるのではないかと期待されているものです。
 ちなみにこうした機器の提供、アメリカ(NASA)は好んでやっています。自分のところのスケジュールに当てはまらないとけっこうホイホイ提供していますね。
 あ、ただの宇宙開発大好きおじさんになってしまった。

 このShadowCamをはじめ、タヌリに搭載しているセンサーやカメラはPolCamだけではないでしょうからなんの役割も果たせないということはないでしょう。
 今年、ヌリ3号機で打ち上げた「4基で編隊飛行をするキューブサット」も1基が切り離し失敗、1基がコントロールが難しい状態、残り2基も当初予定の任務には就いておらず「4基での編隊飛行しての探査」が難しくなっているとのこと。
 まあ、宇宙開発ってこんなもんだよねっていう。
 上出来上出来。

 

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韓国メディア「ヌリ号の打ち上げ成功で韓国はもうなんでも打ち上げられる国になったのだ!」

2022年、韓国は宇宙に何でも送れる国になった(ハンギョレ・朝鮮語)
ヌリ号発射成功は、1990年代初頭に始まった韓国の30年宇宙発射体研究開発の総決算という意味がある。また、今後30年の跳躍を準備しなければならないマイルストーンでもある。9年前に発射に成功したナロ号が本格的な宇宙開発時代の新章を開いたとすれば、21日ヌリ号の成功的発射は韓国が発射体核心技術を自主的に確保したことはもちろん、宇宙開発競争に本格的に対応できるようになったことを意味する。

ヌリ号発射成功が光る理由は、設計、製作、試験、発射、運用などすべての過程を独自技術で行ったからだ。2013年1月30日発射に成功したナロ号の場合、1段ロケットをロシアで購入したものだ。またナロ号は100㎏の小型衛星を搭載するのにとどまった。ヌリ号は国内技術でナロ号搭載衛星より15倍重い1.5トンの衛星を700キロ上空に載せた。今回ヌリ号発射成功で韓国は宇宙戦略技術を独自に確保した10番目の発射国になった。特に75トン液体エンジンを開発し、中大型の液体ロケットエンジンを保有した世界7番目の国に成長した。

宇宙技術は国際的に技術移転や情報共有が制限される。発射体技術は国家安全保障レベルで見ると、ミサイル開発にも使えるからだ。ヌリ号発射が成功することで、韓国は発射体という安保資産だけでなく、また他の安保資産である衛星の発射・運用能力も確保することになった。チョン・ファンファン韓国航空宇宙研究院(ハン・ウヨン)発射体開発本部長は、ヌリホ発射成功を置いて「何よりも宇宙発射体をひとつ確保したということは、何でも宇宙に乗せることができる輸送手段を確保したという意味がある」と話した。

韓国は1993年に1段型固体推進科学ロケットを初めて開発して以来、着実に技術力を育ててきた。2013年、推力(押し上げる力)140t級のナロ号発射に成功し、9年ぶりに300t級ヌリホ発射を成し遂げたのだ。宇宙先進国が300t級発射体を開発するのに平均7年ほどかかったことに比べれば、韓国の技術競争力が決して遅れないわけだ。主要国以外にパキスタンなどいくつかの国家が宇宙発射体の開発に挑戦したが、成功した国家は韓国が唯一だ。 (中略)

ヌリ号を通じて私たちの発射体の競争力を対外的に知らせて発射体市場に進出し、世界的傾向である小型衛星発射のための小型発射体開発も民間宇宙企業を中心にもう少し活性化できる宇宙産業エコシステムを構築することもヌリ号の後に模索すべき課題に挙げられる。
(引用ここまで・太字引用者)


 ヌリ号の打ち上げ実験が成功した、とのこと。
 ダミー衛星を低軌道に投入することができたので、もう韓国はえらい騒ぎになってます。
 SBS、MBC、KBSの地上波はYouTubeチャンネルですべて生中継。
 テレビでも中継していたようですが、こちらはチェック忘れた。
 関連ニュースを報じている記事にはコメントが100〜500くらい分散してついているという状況。

 舞い上がってますわ。
 低軌道に1トンクラスの投入能力ってことはN-Iロケットの頃ですから、日本では50年くらい前の出来事か。1975年。
 さすがに当時の日本の反応がどうだったかはわからんなぁ。
 国会図書館にマイクロフィルム見にいかないとダメなレベル。ニュース映像とかどこにもないんじゃないかな。


 で、「もう韓国はなんでも打ち上げられる国になった」のですって。
 ヌリ号はエンジンのクラスタ数を増やすことで、比較的容易に推力を上げることはできる設計になっているのですけども。
 設計上はそうできる、ということと実際にやるとじゃ大違いですからね。

 あと個人的にはこの記事にある太字部分の「推力(押し上げる力)」がとてもお気に入り。
 押し上げる力……かぁ。
 こうした科学用語になるともはやハングル同士での翻訳が必要なのですね。

 肩甲骨を「かたのほね」と翻訳しないと理解できないという記事が以前にありましたが。
 まあ、そういうことになっているのでしょう。

 あ、それと商用打ち上げもするつもりらしいですよ?
 うん、まあなんだ……がんばってね。

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