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カテゴリ:米韓関係の記事一覧

韓国メディア「日本はトランプと会談できる石破総理がいるのに、我々は会談すらできない状況だ」

日本にはあって韓国にはないもの(アジア経済・朝鮮語)
日本は違った。 トランプ氏は今月7日、ホワイトハウスで日本の石破茂首相と日米首脳会談を開催した。 石破氏は、トランプ氏がネタニヤフ・イスラエル首相に続き、就任後2度目に会った海外首脳だ。 米国現地言論は石破がいわゆる「お世辞の芸術」を展開し、トランプを鼓舞したとの観戦評を出した。 石破はトランプに「神があなたを救った」、「テレビでは恐ろしく強い性格に見えたが、会ってみると真剣でパワフルだった」等、称賛を吐き出した。 貿易・安保財務諸表を重視するトランプ氏の前で米国産液化天然ガス(LNG)輸入拡大、国防費増額、対米投資1兆ドルに拡大など贈り物の包みもいっぱい解いた。

日本がトランプ発の関税爆弾などを最終的に避けることができるかは未知数だが、今回の首脳会談はひとまず成功的だったという評価だ。 (中略)

日本の首脳がいち早くトランプリスクの予防に乗り出す間、韓国の対米外交空白は続いている。 その間、韓国企業の不確実性もやはりますます大きくなる状況だ。 サムスン電子、SKハイニックスは米国に半導体工場を建設する見返りに政府補助金を約束されたが、支給されなかったり大幅に減額されたりする恐れがあるという懸念が出ている。 現代自動車·起亜自動車、LG電子など米国市場攻略のためにメキシコに生産基地を建設した韓国企業は関税リスクに直面した。 対米貿易収支の黒字も韓国企業を相手にしたトランプの関税ブーメランとして飛んでくる公算が大きい。 昨年、米国の対韓国貿易赤字は660億ドルで、韓国は米国の貿易赤字が最も大きい国9位に上がった。 このような対米貿易黒字達成の裏には、韓国企業が米国現地投資を増やし、アメリカファースト基調に積極的に対応したことも複合的に位置しているが、トランプがこのような事情を見てくれるはずがない。

政府は米国産エネルギー輸入を増やし造船業協力·防衛費分担金拡大方案などを含むパッケージディールを検討中だ。 しかし、弾劾政局と早期大統領選挙の可能性で、官僚の積極的な対応には限界が大きい。 「大韓民国1号営業社員」を自任した尹錫悦大統領は現在職務停止状態だ。 トップダウン方式の交渉と個人的な親交を重視するトランプを相手にする首脳が私たちにはいない。 トランプ時代の開幕直前、大統領が自ら足を縛ってしまった韓国と「お世辞の芸術」という評価まで入りながらも、首相が素早く動いた日本。 韓国は決して期待できない日本の対米首脳外交を見守る国民の心は焦がれている。
(引用ここまで)


 日米首脳会談から幾ばくか時間が過ぎまして、どうにかこうにか「日本が手に入れたものは大きいのではないか」とか「あれ、もしかして成功してるのでは……」って論調がポツポツと韓国メディアにも見られるようになってきました。
 いまだにLNG確保については「トランプの顔色を伺って資源購入をした」ってくらいの扱いになっていますけどね。

 ……日本のメディアもそうなんですが、なんでこの天然ガス確保の重要性が分からないんだろうなぁ。
 情勢的に中東からのシーレーンを使わずに太平洋を横断するだけで入手できる天然ガスがどれだけ貴重なのかって話です。
 まあ、実際の輸入量とかも見てみないと分かりませんが。
 それでもだいぶ過小評価されている感がありますね。


 ただまあ、冒頭記事のように「お世辞の芸術を駆使してまで国益を確保した」って評価も出てきてはいます。
 で、韓国人が自身を省みたときに、トランプ大統領と会談できる人物がいないのだと。いまさらながらに「これはやばい」と思い出した模様。
 官僚側が交渉の前段階をどれだけ整えたとしても、カウンターパートになる大統領が存在していない。
 大統領代行の代行しかいないわけで。

 少なくとも憲法裁判所が弾劾の判断をしてから、大統領選挙を経てようやく首脳会談ができるようになる。
 半年遅れ、下手をしたらそれ以上の遅れをとって外交交渉を開始しなければならない。
 ユン・ソンニョル大統領の立場を追いこむだけ追いこんだ結果、暴発して戒厳令→弾劾→政局大混乱、とまでなっている。
 そんな状況に置かれているのに「石破はお世辞で〜」とか「1兆ドルの贈り物が〜」とか言っている場合じゃないと思うんですけどね?
 ま、成熟した民主主義のためならしかたないか。

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韓国メディア「石破総理はトランプにおべっかを使って切り抜けた」……その論評でいいのならそれでいいけどさ

米メディア「トランプ大統領が満面の笑み…石破首相はおべっかの芸術見せる」(中央日報)
米ワシントン・ポストは、石破首相が米国の関税圧力を回避するためおべっか戦略を選択したと分析した。

同紙は「石破首相は最善を尽くしてトランプ大統領を称賛しおべっかを通じて笑いを誘発した。彼は緊張につながりかねない関税関連の質問を徹底的にシャットアウトした」と伝えた。

また同紙は「石破首相はトランプ大統領にへつらおうとするのではないと話しながらも貿易黒字を減らすために米国からより多くのエネルギーを輸入すると誓い、自身をトランプ大統領が好きな米国輸出品の熱烈な顧客だと描写することもした」と指摘した。

首脳会談でトランプ大統領は、日本が米国製品購入を増やさなければ関税を課す可能性に言及し圧迫したが日本を直接的に非難することはなかった。

ニューヨーク・タイムズもやはり石破首相がトランプ大統領の取引中心的で予測不能な外交スタイルに合わせて「あふれる称賛」を送った外交使節の1人だと報道した。
(引用ここまで)


 日米首脳会談について、韓国メディアが「石破総理はおべっか戦略で切り抜けた」みたいな感じで報じている面白さよ。
 昨日は「1兆ドルの贈り物をした」って報道をピックアップしましたが、今回は「おべっか戦略」ですってよ。
 正確にいうと「おべっかの芸術を見せた、とアメリカメディアが伝えている」ってニュースなのですが。

 実際にワシントンポストがそんなような記事を出しているのは間違いありません。

Japanese leader tries flattering Trump in bid to avert tariffs(Washington Post・英語)

 タイトルは「日本の宰相がトランプに媚びを売って関税回避を狙う」ってとこか。
 でも、わざわざそうした報道をピックアップして語っているってところに「意図」があるんですよね。


 「石破総理の訪米は完全な成功ではなかった。おべっかを使うしかなかったのだ」ってやりたいがために、そうした報道をわざわざ選んでいる。
 報道ではよくあるパターン。
 Aという意見を広めたいために、その意見を持つ専門家にインタビューして記事を掲載するってアレ。
 あれと同じですね。

 昨日も書きましたが、まあ日米首脳会談は成功裏に終わっています。
 アラスカ産LNGの確保だけでも合格点なのに、それ以外の確認事項もほぼ完遂。
 このあたりの日米間の交渉って韓国にとっても試金石になっているはずなんですが、そのあたりの論評がまるでないんですよね。
 「おだてればなんとかなる」とか「1兆ドルの贈り物をすればなんとかなる」とかじゃないんだよな……。

 まあ、昨日も書きましたが現在の日米関係はやや特殊なので、参考にできる部分は少ないかも知れませんが。

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韓国メディア「米日首脳会談で日本はトランプに1兆ドルの贈り物をした」……ええっと、注目点そこなんだ?

日本、トランプ氏に贈り物…「日本製鉄、USスチール所有の代わりに投資」(毎日経済・朝鮮語)
ドナルド・トランプ米大統領が日本の石破茂首相との初の首脳会談で、日本製鉄が米国鉄鋼企業のUSスチールを買収して所有する代わりに、大規模な投資に乗り出すことにしたと明らかにした。

石破首相はこれと共に日本企業の対米投資規模を1兆ドルに増やし、米アラスカ州送油管建設方案を議論するなどトランプ大統領に「贈り物包み」を抱かせた。

トランプ大統領は7日(現地時間)、ホワイトハウスで石破首相との会談後に行った記者会見で、前任のバイデン政権も認めず、自分も反対してきた日本製鉄のUSスチール買収と関連し、企業が新しい合意をしたと発表した。

彼は「日本製鉄がUSスチールを買収して所有する代わりに、USスチールに大規模に投資することにした」とし、「自分が来週、日本製鉄側に会って交渉を仲裁する計画だ」と明らかにした。 トランプ大統領は「私はUSスチールが買収されることを望んでいなかったが、投資は愛する」とし、新しい合意に対して「私は大丈夫だ」と話した。 (中略)

石破首相はトランプ大統領に贈り物を抱かせるために努力した跡が歴然だった。 トランプ大統領は同日も、米国が日本との交易で1000億ドルを超える貿易赤字を記録していると不満を示した。

まず、防衛費支出を2027年までにトランプ政権1期目の時より2倍に増やすことを約束し、対米投資と米国産液化天然ガス(LNG)輸入を拡大することにした。

石破首相はこの日、日本の対米投資規模を1兆ドルに増やすことにし、両国が人工知能(AI)と半導体など先端技術産業協力を拡大することにしたと説明した。

彼はまた、米国産LNG輸入を「相互互恵的な方式」に増やすために協力することにし、バイオエタノールとアンモニアなど他の資源も「適当な価格」で購買する意向があると明らかにした。
(引用ここまで)


 日米首脳会談が終わりまして。
 意外と……といってはなんですが、和やかなムードが漂ってます。
 いまだに故安倍総理の影響力があったってことか。昭恵さんの口添えもあったかもしれませんね。



 安保関係についても確認が行われていますし、台湾海峡関連、北朝鮮の非核化についても言及あり。
 アメリカ産LNGを確保することができました。
 日本からは対米投資を1兆ドルクラスまで引き上げるとしていますが、まあ自動車を中心とするならさくっといけてしまうのでは。
 1年でやるとかじゃないでしょうし。「総額1兆ドル」ですからね。

 100点満点ではないにしても相手がトランプってことを考えれば90点以上、93、4点くらいはつけてもいいんじゃないですかね。
 ……まあ、安倍さんがいてくれたらなぁとはちょっと思いますが。


 個人的にはLNG輸入に目処がついたことは大成功だったと感じます。
 インドネシア産をはじめとした世界中の天然ガスにヨーロッパ各国が食指を伸ばしている状況で、長期契約も危うい可能性がある中で本当にうまく振る舞えたんじゃないでしょうか。
 それなのになぜかトランプ大喜びっていう。Win-Winってことか。

 で、それに対して韓国が「日本がトランプに朝貢している!」くらいの言いようで報道しているっていう。
 まあ、なんだ。
 たぶん、現在のトランプ政権下における日米関係は特別というか……特殊なのでしょう。
 カナダ、メキシコに関税を課すくらいの状況下でこの対応を得られるっていうのはね。

 韓国メディアの報じる日米首脳会談は8割くらいが「アメリカに1兆ドル!」ってことだけで、韓国に関連している北朝鮮の非核化への言及すら少ない。
 米韓首脳会談が次の政権になるか、現在のチェ・サンモク大統領代行になるのかは分かりませんが。
 ムン・ジェインへの2分間首脳会談と同じレベルのものになると思いますよ。
 まさか日本と同じ扱いを求めたりしないでしょうね?
 ……やりそうだけどなぁ。

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韓国メディア「日本はトランプとの日米首脳会談も決まったのに、韓国はいまだに電話会談すらできていない」……まあ、それでなにも問題なさそうだしね

韓国大統領代行との電話はまだだが…トランプ大統領、「韓半島問題」を石破首相・習主席と議論か(中央日報)
米日、米中の首脳級会談が迫った中、崔相穆(チェ・サンモク)韓国大統領権限代行とトランプ米大統領の電話はまだ行われていない。特に北朝鮮の核問題に対する韓国の明確な立場をトランプ大統領の頭の中に早期に「入力」することが重要だが、日本と中国の利害関係が先に反映されるのではという懸念が提起されている。

トランプ大統領は7日(現地時間)、石破茂首相と米ワシントンで会談する。これに先立ち岩屋毅外相は、トランプ大統領就任翌日の先月21日にマルコ・ルビオ新米国務長官と外相会談を行った。当時の会談で「ロシアに対する北朝鮮の政治的・安保的連係に対する懸念を議論した」とし、朝ロ協力問題が扱われたと米国務省は伝えた。

トランプ政権は日本だけでなく中国との意思疎通も加速させている。トランプ大統領は3日、「中国の習近平国家主席と24時間以内に電話をする」と明らかにした。ひとまず不発となったが、ホワイトハウスも同日「米中首脳間の通話日程を調整中であり、近く行われるだろう」と明らかにした。 (中略)

こうした中、崔代行とトランプ大統領の最初の電話会談について、政府は依然として「協議中」という立場だ。崔代行がこれを優先順位にして外交ラインも積極的に稼働させているが、トランプ大統領の就任から半月が経過してもまだ確定していない。

代行体制という国内的な変数が作用しているとみられるが、2017年の朴槿恵(パク・クネ)前大統領弾劾政局で黄教安(ファン・ギョアン)権限代行がトランプ大統領と就任9日目に電話をした前例と比較しても、今回はあまりにも遅い。

ホワイトハウスが完全な非核化原則を確認したが、トランプ大統領が北朝鮮を「核保有国(nuclear power)」と表現し、バンス米副大統領は「米軍を効率的に使うべき」として在韓米軍縮小の可能性まで示唆した中、韓国の明確な立場を急いで伝える必要があるという指摘だ。 (中略)

昨年末から推進されている趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官の早期訪米構想もまだ実現していない。ルビオ長官は先月23日、趙長官を米国に招請し、早期に会談するという共感を形成した。ルビオ長官の日程を考慮して趙長官の訪米は8日以降で推進中だ。
(引用ここまで)


 トランプ氏が大統領に就任したのが1月20日。
 岩屋外相が大統領就任式に招かれて、ルビオ国務長官との外相会談も行っていましたね。
 中国は韓正国家副主席を派遣しています。共産党序列8位なのでそこそこの高官。

 ちなみに韓国からは誰も招かれることはありませんでした。
 アメリカの大統領就任式に外国要人が招かれることはあまりないので、そこまで気にすることもないんじゃないかとも思うのですけども。
 でもまあ、日本からも中国からも招かれていて、韓国から誰も招かれていないってのはだいぶ韓国的には気分がよろしくないのでしょうね。
 気分的には「我々はすでにG8」ですから。


 さて、そんなこんなですでに日米首脳会談は決定しています。

日米首脳会談 共同声明に安全保障分野の協力強化 明記へ調整(NHK)

 岩屋外相も同行するとのこと。ふむ。
 安保、経済、その他諸々話すべきことは山ほどありそうです。

 ですが、トランプ大統領の就任から2週間以上経とうとしているにもかかわらず、チェ・サンモク大統領代行との電話会談すらまだ。
 バイデン−ムンの時は日本の1週間遅れであったのですけどね。

 現在の韓国のカウンターパートが「大統領代行の代行」であることも影響しているでしょうし。
 そもそもあと数ヶ月で大統領が変わることも確定事項。
 与野党どちらの候補が当選するかはともかく。
 じゃあ、その数ヶ月後でもいいんじゃねえのっていう。

 対応を急ぐ必要のある国であればまた別なんでしょうが。
 ……韓国だしなぁ。

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韓国メディア「ウクライナ、北朝鮮、インド太平洋……第2次トランプ政権では韓国がいっさい関与できない可能性がある。コリアパッシングがまた起きるぞ」

トランプ氏、プーチン大統領・金正恩委員長と直接取引か…韓国「3大パッシング」の危機(中央日報)
米国のトランプ新政権発足と韓国の弾劾局面が重なる不運の「平行理論」が現実化した。各国がトランプリスクを最小化する対策作りに腐心する中で韓国は対米外交のスタートラインから出遅れた形だ。トランプ次期米大統領が予告するウクライナ戦争早期終戦、朝米対話、インド太平洋地域での米国同盟構造の変更などの主要問題で、リーダーシップが空白状態である韓国がまともな発言権を持てないままパッシングされる恐れがあるとの懸念が出ている。 (中略)

朝米対話と関連し、第1次トランプ政権発足時と現在の最大の違いはトランプ氏と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が3回の首脳会談を通じてすでに形成された個人的関係だ。2017年に「リトルロケットマン」と「老いぼれの狂人」とし非難を応酬していた2人は2019年2月にハノイでの朝米首脳会談が決裂した後も「ラブレター」と称して書簡外交をしばらく続けた。トランプ氏は今回の大統領選挙期間にも「金正恩は非常に良い人で私が好きだ」と数回自評した。 (中略)

2023年8月のキャンプ・デービッドでの首脳会議に象徴される韓米日3カ国協力の未来も第2次トランプ政権では保障できない。権力空白状態にある韓国が一員である協議体が正常に戻るのは現実的に厳しい側面もある。

代わりにトランプ氏は自身が創設した米日印豪の安全保障の枠組みであるクアッドなどを積極的に活用する可能性がある。最近日本メディアが「就任式翌日の21日に米国でクアッド外相会議が開かれる予定」と報道したりもした。 (中略)

トランプ氏は孤立主義を掲げて既存の多国間協力の構図を弱め域内同盟構造を再編しようとする可能性が大きい。インド太平洋地域で韓国の役割が縮小してはならないという指摘が出る理由だ。
(引用ここまで)


 第2次トランプ政権は週明けに発足します。
 韓国メディアから「コリア・パッシングがまた起きるのではないか」との危惧が連日報じられています。

 ウクライナ戦争関連。
 米朝対話。
 インド太平洋戦略。

 それらのすべてで韓国に触れることなく当事者のみの対話を望む、いわゆる「ディール」を行ってしまうのではないか、と。
 第1次トランプ政権の間、ほぼカウンターパートはムン・ジェインだったわけで。
 印象はほぼ最悪といっていいでしょう。
 「2分間の首脳会談」(なんなら1対1のテタテはなかった)をはじめとして、米韓関係は最悪の一言でした。


 そんなトランプが大統領として帰還し、就任当初は韓国に国家元首はいない。
 そういえば第1次トランプ政権の当初もパク・クネ弾劾期間で韓国に国家元首がいない状態からスタートでしたね。
 で、韓国ではその数ヶ月後に反米を極めた人物が大統領になるっていう。
 歴史は韻を踏む、ってヤツか。

 GSOMIA破棄宣言を引くまでもなく当時の米韓関係は最悪でした。
 インド太平洋戦略にいっさいコミットすることなく「独自路線」を貫き続けたのですよね。
 イ・ジェミョンが大統領の座につけばそれ以上……というか、それ以下の状況になるのは間違いない。

 そりゃ、「コリア・パッシング」だって起きるでしょ。
 別に韓国を関与させなくても外交関係は継続できるし、北朝鮮とも直接対話できるんですから。
 「米韓軍事演習ができなくなったらアメリカが損をするぞ」みたいな言い方をしていたのですが、ムン・ジェイン政権当時からトランプは「演習なんて無駄だ」って言い続けてきましたからね。
 なんとかシミュレーションレベルでの演習をぎりぎり続けてきただけで。

 いや、本当に勢いだけで米韓軍事同盟破棄とかあり得ない話じゃないんですよ。
 それがイ・ジェミョンって人物ですから。

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ブリンケン国務長官が韓国を訪問、大統領代行を表敬訪問して「同盟は揺るがない」「韓国のリーダーシップを信頼している」とわざわざ言明……外国勢力が訪問してかつ支持表明しなければならないほどに韓国の政局が混乱している、ともいえるわけだ

崔代行を表敬訪問したブリンケン「リーダーシップ完全信頼」…「防衛公約は揺るがない」(聯合ニュース・朝鮮語)
チェ・サンモク大統領権限代行副首相兼企画財政部長官は6日、政府ソウル庁舎でトニー・ブリンケン米国務長官と接見し、韓米同盟、韓米日協力、北朝鮮問題などについて意見を交わしたと、企財部が伝えた。

崔権限代行は、これまで米国が韓米同盟と韓国民主主義に根強い支持と信頼を示したことに謝意を表し、「ブリンコン長官の訪韓はそれ自体で揺るぎない韓米同盟を示している」と意味を付与した。

さらに「強固な韓米同盟と韓米日協力を土台に外交·安保基調を持続維持していく」とし「韓米同盟70周年記念共同声明およびワシントン宣言、韓米日キャンプデービッド原則と精神などを通じて韓米両国の核心成果が継続履行されるよう最善の努力を尽くそう」と話した。

外交・安保当局間の緊密な疎通と堅固な韓米連合防衛態勢を土台に北朝鮮のいかなる挑発可能性にも綿密に備えるという立場も強調した。

ブリンコーン長官は最近、韓国旅客機惨事に関して米国国民を代表して慰労と祈りを伝え「米国はどんな必要な支援もする準備ができている」と話した。

チェ権限代行体制も「米国は韓国の友人として韓国民主主義の底力はもちろん、チェ権限代行体制のリーダーシップを完全に信頼する」とし「米国の韓国防衛公約は一寸の揺れもない」と強調した。
(引用ここまで)


 まず今日、ブリンケン国務長官が韓国を訪問。
 外相会談よりも前にチェ・サンモク大統領代行兼副首相兼企画財政部長官を表敬訪問したとのこと。
 肩書きの長さよ。

 そして「(韓国が法に従って交代した)大統領代行のリーダーシップを信頼する」「米韓防衛公約は揺るがない」と発言。
 まあ、これが今回の韓国訪問のメインイベントでしょうね。
 もはや、こう言わざるをえない。

 国務長官は大統領継承順位として副大統領、下院議長、上院仮議長の次。閣僚としてはもっとも高い地位にある。
 その国務長官がわざわざ訪韓せざるを得ない。


 そして「同盟は揺るがない」「リーダーが交代してもその地位を信頼している」と言明しなければならない。
 少なくともアメリカはそう判断したわけです。
 世界の自由民主主義国の雄であるアメリカが国務長官を派遣して「軍事同盟は揺るがない」と言わないと危険である、と。
 近世のヨーロッパ外交みたいですね。
 さらに言うなら、来週に予定されている岩屋外相も同様のミッションを抱えているってことなのでしょう。

 戦争って「この状況ならいける」って思わせることではじまる部分が少なからずあります。
 隙を見せないことが防衛手段になるのですね。
 朝鮮戦争でいえばあまりにも韓国の防衛をアメリカが軽視しすぎたがために、北朝鮮が「これはいける」と判断した部分が大きい。

 韓国の政局が混迷しているので、そうした「誤解」を与えないように日米の外相がそれぞれ訪問すると。
 一種の拒否戦略といえます。
 「国内政局が混乱していても、我々は韓国を支持して支える」と内外に示す必要がある状況。

 つまり、なにを言うかとか、どんな会談ないようになるのかよりも「韓国を日米の外相が訪問すること」自体に意味があるわけです。
 逆鉄的には「外国勢力がそうして手助けしなければいけない状況下にある」のですね。

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韓国人「このままでは現政権はもちろん、次期政権も外交的に疎外されてしまう。コリア・パッシングの時代がふたたび来るのだ」……あ、それ大正解です

【コラム】進む道失った韓国外交(中央日報)
「コリア・パッシング」問題が再びふくらんでいる。これは韓国が外交舞台で疎外され不利益を受けることを指す言葉だ。昨年12月3日の非常戒厳事態後にコリア・パッシングに対する不安感は内外で大きく広がっている。それもそのはずで、韓悳洙(ハン・ドクス)大統領代行まで弾劾訴追され、崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官が代行を引き継ぐ未曾有の状況を迎えているためだ。外信はこれまで「だれが韓国で軍を統帥するのか、だれがコントロールタワーのトップにいるのか不安定だ」という報道を何回も出した。米国戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ氏も「トランプ氏の大統領就任後に朝米会談が開かれる場合、韓国の(実質的な)政権がないならばかなり厳しい状況に直面するだろう」と話した。 (中略)

しかし文在寅政権初期のコリア・パッシングは今回とは性格が大きく異なる。その原因が北朝鮮政策をめぐる対立だったためだ。歴史的に見るとコリア・パッシングは大きく2種類に分けられる。まず、われわれの無能による疎外だ。旧韓末の韓国の状況がそうだった。冷戦時代の北朝鮮政策が米国に大きく依存したのも韓国の対外影響力が不足していたためだ。2番目は強大国との対立により望んでいなのに疎外されることだ。文在寅政権初期の状況がこれに当たる。現在のコリア・パッシングはおそらく前者に当たるだろう。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が状況をひっくり返したためだ。先月16日にトランプ氏の大統領当選後初めての記者会見でこうした懸念は現実として現れた。韓半島(朝鮮半島)周辺強大国との首脳外交を予告しながらロシア、中国、日本、北朝鮮などと違い韓国には言及すらしなかった。

こうしたコリア・パッシングを防ぐためにトランプ政権に刻印させなければならないことは大きく2種類だ。最初に、北朝鮮問題と関連して韓国政府が排除されてはならないという点だ。2番目に、トランプ政権の最大の懸案のひとつである中国牽制に向けては韓米同盟、韓米日協力が必須ということだ。同盟の戦略的価値を強調しなければならないということだ。 (中略)

現状は第1次トランプ政権当時とは違う。当時はトランプ大統領が議会と共和党を完全に掌握できておらず、初の任期をむかえる慎重さから政策を強く押し進めなかった。しかし今回はビクター・チャ氏の言葉通り、就任から100時間以内に重要な政策があふれる可能性が大きい。これにもかかわらず、韓国政府は借りてきた猫のような身分になる公算が大きい。その代価を次期政権が支払わなくてはならないのは問うまでもない。
(引用ここまで)


 昨日、「日米の外相が相次いで韓国を訪問するのは、ぐだぐだになっている現政権を支持することを内外に知らしめるため」とのエントリを書きました。
 わざわざ外相が韓国現地に訪問して「外交関係は問題ない」との態度を示さないともたないレベルにまできている、と判断されたってことなのでしょう。

 まあ、現政権に対応するのはそれでいいとして。
 いや、よくはないけども日米としてできるのは最大ここまでですから、もうこれ以上はどうしようもないので。

 問題は2週間後にトランプ政権になった後、絶対的な外交空白が生まれるであろうこと。
 少なくとも次の大統領が選ばれるまで、悪い意味で「凪」でしょうからね。
 冒頭のコラムでは「コリア・パッシングがまたひどくなるのでは」と危惧していますが。
 まあ、そりゃスルーされるでしょうよ。


 そして最大の問題は弾劾が憲法裁判所で成立してイ・ジェミョンが大統領になった後、ですよ。
 現状、憲法裁判所はえらい勢いで弾劾の審理を急いでいます。
 国会は弾劾案について「内乱罪に相当する」との主張を撤回しました。

韓国国会「尹大統領の弾劾事由から内乱罪を外します」→尹大統領側「内乱罪が成立しないのなら弾劾訴追そのものが誤り」(朝鮮日報)

 これはテクニカルにいえば「内乱罪にまで審理内容が波及すると時間がかかるだろうから、戒厳令発令だけで審理をお願いします」ってことですね。
 そして憲法裁判官は8人になったので審理、協議も可能になったと判断することでしょう。
 パク・クネの弾劾については8人で審理でしたから。前例主義からいっても「8人なら問題ない」となることでしょう。
 そして、4月にふたりが定年退任するよりも前に、弾劾決定が行われる可能性も大きい。

 現状のままなら公職選挙法違反の判決が出る前に、弾劾決定の判断が下されることでしょう。
 つまり、遅くとも5月頃に「イ・ジェミョン大統領」が誕生します。
 イ・ジェミョンは自らの反日反米指向を隠したことがないので、韓国の外交はえらいことになります。
 米韓首脳会談がトランプ−イ・ジェミョン会談になるとか胸が高鳴りますわ。不安で。

 一方で反日もひどいことになるでしょう。
 ムン・ジェイン政権時代の5割増しで済めば御の字。
 次のエントリで「イ・ジェミョン政権下で予測される3つの反日」を書いてみるつもりなのですが、「これくらいで終わればいいなぁ」ってなってます。

 結果として、日本からもアメリカからもヨーロッパからもスルーされ、「ムン・ジェイン政権時代の5割増しで無視される」ことになるでしょうね。
 冒頭コラムが危惧するように「コリア・パッシング」は成立しますよ。おそらく5年に渡って。

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アメリカメディア「イ・ジェミョン政権になれば日米韓協力体制は壊滅的な打撃を受けるだろう」「日本への反感を政権のテコとして利用するはずだ」……ですよねー

米メディア「李在明政権になれば韓米日協力安保協力体制は危険にさらされる」(朝鮮日報)
 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾案可決により、これまで構築されてきた韓米日安保協力体制が揺らぎ、中国の韓国国内における影響力が強まることを懸念する声が、米国の官民で相次いで上がっている。尹大統領の非常戒厳宣布は非難されるべき間違った選択だが、米国・日本と緊密に協力してきた外交・安保路線は維持すべきだということだ。

 米政治専門メディアのポリティコは18日、「尹大統領弾劾はインド太平洋地域で韓米日協力を通じて中国の覇権主義をけん制しようとしたジョー・バイデン大統領の努力に多くの影響を与えるだろう」「(最大野党)共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表が執権すれば、バイデン大統領がソウルと東京を仲裁して成し遂げた韓米日3カ国の関係が危険にさらされることもあり得る」と報じた。

 ポリティコは李在明代表を「圧倒的な人気を得ている次期大統領選候補」と紹介した上で「(李在明代表が政権を握れば)日本に対する根強い反感を利用し、日本との外交で橋渡しになった尹大統領の役割を覆し、韓米日協力に対する韓国の約束も覆す可能性がある」としている。

 また、李在明代表について「中国に対して(現在の尹政権とは)非常に異なる見解を持っている」とも述べた。そして、「(米中のはざまで)韓国がどちらかの味方になるよう圧力を加えられないことを願う」=2021年=、「公然とうまくやっている中国に無駄で過度な言いがかりをつけて関係を悪化させる必要はない」「台湾海峡で彼らが戦おうがどうしようが、われわれは『既存の秩序を尊重する』と優雅に一言、言ってしまえばいい」=以上、今年3月=など、両岸(中国と台湾)情勢に関する李在明代表の過去の発言を紹介した。李在明代表のこうした認識は、韓米日をはじめとする自由民主陣営国家がここ数年間、「台湾海峡の平和と安定」「力による現状変更反対」を唱え、歩調を合わせてきたのとはやや温度差がある。 (中略)

 米政界でも、今回の事態により韓米日安保協力の構図が揺らぎ、その隙間に中国が入り込むことを懸念する声が出ている。第2次トランプ政権で国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員は米政府系放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)のインタビューで「中国は韓国の政治的不安定を利用しようとするだろう。これは韓国の国益に合致しない」と言った。
(引用ここまで)


 来春にも韓国で大統領に就任するであろうイ・ジェミョンについて、アメリカのメディア、政界から「これまでのような日米間連携は望めなくなるだろう」との展望が出されていると。
 実際のポリティコ誌の記事はこちら。

South Korea boots out a DC darling(POLITICO・英語)

 まあ、基本路線はそうなるでしょうね。
 具体的になにをしてくるかは想像もつきませんが、反日反米であるのは間違いない。
 そして台湾有事にはいっさい関わりを持たずに、場合によっては在韓米軍基地での補給や修理すら断るだろうと思われます。

 でも、それを大統領として求めているのは韓国人なんですよね。
 多分にユン大統領のやらかしの反動ではあるものの。


 ムン政権時代の8割増しくらいを想定しておけば、だいたいよいのではないかなと感じます。
 え、「それでは日米韓連携とかいっさいできないのでは」ですか?
 その通りですね。

 おそらく来年の春から5年に渡って日米韓合同防衛演習すらできなくなります。
 米韓軍事演習も机上のシミュレーションだけになるかなぁ。ムン政権時代はそのようにしてきたのですよ。
 ああ、それとブログに書くといろいろ差し障りのあるイ・ジェミョンの行動をX(旧Twitter)に書いたので、こちらもご覧ください。

https://x.com/rakukan_vortex/status/1855483742439244131

 「そんなんやってたの?」ってなる行事ですわな。

 ま、日本側としてはムン・ジェイン時代に予習は済んでいるので「あー、韓国が協力してくれなくて困ったなー(棒)」とでも言っておけばいいと思います。

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