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カテゴリ:米韓関係の記事一覧

元駐日韓国大使「アメリカは韓国を日本、オーストラリアと同じレベルの待遇をすべきだ」と提唱……いや、君が政権にいた時、アメリカになにしてた?

カテゴリ:米韓関係 コメント:(73)
【時論】米国は韓国を日本・豪州レベルで待遇するべき(中央日報)
繰り返される約束にもかかわらず、米国の安保公約に対する不信感と懐疑が残る。例えば「米国の安保公約は政権が交代すれば守られないことが多い」「米国はオーストラリアに原子力潜水艦を供給することにしたが、事情がさらに厳しい韓国には許容しない」「米国は韓国に対して核物質濃縮など核問題関連で日本と同じレベルの合意をしないはず」という不信の声が出ている。

韓米両国政府の公式的な言質とは違い、こうした考えは多くの安保専門家と一般人が共有している。結局、米国が韓国を他の友邦と同じレベルで待遇するだろうかという問題に帰着する。韓米首脳会談と韓日米首脳の合意までが出た状況で緊急な問題は、韓米同盟が日米、米豪関係に劣らず重要であり、韓国はもはや自由世界の辺境でないという事実を現実で見せることだ。
(引用ここまで)


 元駐英韓国大使であり、ノ・ムヒョン時代には大統領府の国家安保補佐官、さらには駐日韓国大使を勤めたラ・ジョンイル氏が「アメリカは韓国の扱いを日本、オーストラリアと同等にすべきだ」と提唱するコラム。

 うーん、なんかこう。
 あの破天荒だったノ・ムヒョン政権の外交面における本丸にいた人物のはずなんですが。
 楽韓さん的には「ぎりぎり名前を覚えていた」くらいの人ですね。
 最後の「元駐英大使ラ・ジョンイル」って署名見て、記憶の奥深くのフックにちょっと引っかかったくらい。「あれ……駐英っていうか駐日大使じゃなかったっけ?」くらいの。

 まあ、当時の日韓関係はムン・ジェイン政権時代ほどではありませんが、かなり悪化していました。
 2006年当時、ノ・ムヒョン大統領は竹島への測量船派遣について撃沈命令を出していたとされています。
 実際に宣戦布告と取られかねない特別談話を出す予定だったとされていますし、当時の駐韓アメリカ大使は「領土関連でやばい行動をしかねない」と公電していたとのリークもあります。

 ラ・ジョンイル氏はその当時の駐日大使でした。
 そんな時代だったので影が薄かったのも当然というべきか。


 んで、その人物が「アメリカは韓国に対して日本・オーストラリアと同じ扱いをすべきだ」と提唱しているっていう。
 ……自分が政権にいた時のやりようを見たらなんで一段下の扱いを受けているか理解できそうなもんですけどね。
 アメリカから見たら同じ同盟国に宣戦布告しかけた国をトッププライオリティで扱うのかって話ですわ。

 その弟子筋の政権時代もアメリカを巻きこむために安保を天秤にかけるような真似をしたわけですし。

速報:韓国政府、日韓GSOMIAの破棄を宣言……え、なに考えてんの?(楽韓Web過去エントリ)
速報:韓国政府、GSOMIA破棄を撤回。「条件付き延長」へ(楽韓Web過去エントリ)

 左派政権になったら安保面で連携が取れなくなるのはこれまでの経験で確実。
 そんな国をなんで優遇するのかって話なんですよ。
 ムン・ジェイン時代にも米韓原子力協定を無視して「原潜の燃料を供給してくれ」って言い出して、アメリカから断られたって話がありました。
 アメリカから日本、オーストラリアよりも低い扱いを受けているのも自業自得だよね、という話でした。

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アメリカ外交筋「今日からの日米韓首脳会談で政権が変わっても協力体制が維持できる『鍵』をかける」……本当にそんなことができるのかな?

政権が変わっても韓米日協力を維持…ホワイトハウス「鍵をかける」(ハンギョレ)
 ホワイトハウスは、キャンプデービッドで開かれる韓米日首脳会談で3カ国協力に「鍵をかける」(lock in)イニシアチブ(計画)が発表されると明らかにした。3カ国の協力を制度化し、各国で政権が変わっても、これを不可逆なものにするという意味とみられる。

 カート・キャンベル米国家安全保障会議(NSC)インド太平洋調整官は16日、シンクタンク「ブルッキングス研究所」が開催した対談で、「金曜日(18日)に3カ国間の関与を今だけでなく未来にも鍵をかけるための非常に野心的なイニシアチブのセットを見ることになるだろう」と述べた。また、このようなイニシアチブは安全保障、技術、教育分野で発表されると明らかにした。ジョン・カービー米NSC戦略広報調整官も同日の記者会見で、「3カ国の連携の進展を確固たるものにする重要なイニシアチブが発表されるだろう」と明らかにした。 (中略)

 米政府高官たちは今回の首脳会談で発表される共同声明と「キャンプデービッド原則」に関して、韓米日3カ国協力を不可逆なものにするという立場を相次いで明らかにしている。キャンベル調整官は「我々は将来、日本と韓国に鍵をかけようとするだけでなく、米国にも鍵をかけようとしている」と述べた。前日、アントニー・ブリンケン国務長官が「3カ国の協力がより制度化されるだろう」と発言したのも同じ脈絡だ。これは韓日が歴史問題などで再び対立し、政権交代で外交路線が変わっても、軍事協力をはじめ3カ国協力が後退することがないよう、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の間に不可逆なものにするという意味とみられる。
(引用ここまで)


 今日から開催される日米韓首脳会談で「キャンプデービッド原則」と呼ばれるべきものが採択される、とのアナウンスがアメリカ側から幾度となく行われています。
 曰く、「政権交代があったとしても協力が維持できるもの」とされているのですが。
 「鍵をかけることが可能なもの」であると。
 うーん、どんな話になるのか皆目見当がつきません。

 ここでいえるのはなぜそのような状況になったかの背景ですかね。
 バイデン大統領が副大統領であった2015年、日韓関係を取り持つために「まず合意を出そう」としたものが年末に発表された慰△婦関連の日韓合意でした。
 現在のバイデン政権の外交スタッフの多くが水面下で関わったものとなっています。
 ただ、その後の展開はご存じの通り。

 大統領公約として「日韓合意を破棄する」としていたムン・ジェインによって実質的に破棄がなされました。
 財団は解体され、基金から償い金の支給を求める人に対してですら(一時的に)無視をする始末。
 日韓、日米韓の信頼関係は完全に失われました。


 その一方でアメリカもトランプ氏が大統領に当選したために主としてFTAについて条約改正が相次ぎました。
 NAFTA、米韓FTAはアメリカに有利なように改正され、オバマ政権主導ですすめられていたTPPは放り出されることになりましたね。

 そうした「政権交代による約束、合意の反故」をできないようにする……というのが今回の日米韓首脳会談の趣旨なのだそうですが。
 もうそれは条約レベルの話になるんですが。
 なにをしてくるつもりなのやら。

 というか、韓国で保革の政権交代があるとするなら、次の大統領はイ・ジェミョンですからね。
 そんな「鍵」なんて飄々と乗り越えてくると思うんだけどなぁ。
 まずはお手並み拝見です。

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ムン・ジェイン政権は米軍も国連軍も韓国から追い出そうとしていた……左派が政権を取ればあの悪夢が再現されることも

日本で弾薬580万トン待機…文在寅政権が不信を抱いた国連軍司令部、有事の際には韓国の生命線に(朝鮮日報)
「戦時に(韓国に対する)作戦統制権を強化しようと考えて、国連軍司令部の再活性化(revitalization)をしているのではないですか?」

 2019年12月に韓国大統領府で開かれた韓国軍首脳部激励昼食会で、当時の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は崔秉赫(チェ・ビョンヒョク)韓米連合司令部副司令官(現・ソウル安保フォーラム理事長)に向けてこのように尋ねた。戦時作戦統制権(統制権)の韓国軍移管後も米国が、強化された国連軍司令部(国連司)を通して引き続き統制権を行使しようとしているのではないか、という疑念が込められた質問だった。 (中略)

 崔・副司令官など一部の韓国軍関係者の努力にもかかわらず、国連司再活性化に対する文在寅政権の中心的関係者らの不信とけん制は、政権の期間中ずっと続いた。昼食会に先立つ19年7月には、米国が6・25戦争の医療支援国であるドイツの連絡将校の国連司派遣を進めたが、韓国大統領府と国防部(省に相当)の強い反対で白紙にもなった。「南北関係の最大の障害物」(文正仁〈ムン・ジョンイン〉大統領特別補佐〈統一・外交・安全保障担当。肩書は当時。以下同じ〉、2019年9月)、「国連司が話にもならない越権を行使している」(イム・ジョンソク元大統領秘書室長、2020年5月)、「国連司は族譜(系図のことだが、歴史あるいは後ろ盾といった意味も持つ)がない。南北関係に干渉しないようにコントロールしなければならない」(宋永吉〈ソン・ヨンギル〉国会外交統一委員長、2020年8月)などの発言も出た。ここには、文大統領が政権末期まで意欲的に推進した「終戦宣言」に対し国連司が障害物になると判断したことも影響を及ぼした。

 一部の韓国軍関係者が大統領府など政府の中心的関係者らと異なる意見を表明すると、さまざまな形式の圧迫もあったという。当時の大統領府内の事情に詳しい消息筋は「大統領の高官が、ある高位の将官に『(あなたは)韓国軍なのか、米軍なのか。星が四つ付いていて(米軍に)そんな話もできずに、何をしているのか』となじる趣旨で話していたのを知っている」と伝えた。
(引用ここまで)


 佐世保の在日米軍基地に弾薬が580万トン、燃料が2億1100万ガロンある。
 戦時にはこれらが後方支援として使われる……とのことなんですが。
 以前にちらっと調べたかぎりでは燃料は500万バレルていど≒2億1000万ガロンでだいたい合ってます。

 そんなに弾薬あるんだ?
 まあ、かなりの備蓄があるのは間違いないでしょうが。
 朝鮮半島は一番の最前線といっても過言ではないですからね。
 まあ、そこは主眼ではないか。
 それほどに重要な米軍・国連軍をムン・ジェインは韓国から追い出そうとしていた、との話です。

 ムン・ジェイン政権時代、ムン・ジェインは明らかに米韓軍事同盟を崩そうとしていました。
 大好きな北朝鮮と連邦国家を構成するにはなんとしても米軍、国連軍が邪魔。
 そこでなんとか追い出そうと画策していたことは間違いありません。


 戦時統制権を韓国に返還させて米軍・国連軍を追い出して、北朝鮮と蜜月の関係を作れると本気で思っていたのですよ。
 今回の記事でピックアップされている文言を見ても分かると思います。

 ムン・ジェイン政権の外交メンターとされていたムン・ジョンインは「大統領が米軍に対して出て行けといえば、米軍も出て行かなければならない」って言っていたほどですからね。

韓国大統領特別補佐官「大統領が米軍に出ていけといえば彼らは出ていかなければならない」と発言……そりゃそうだけど、よりによっていまそれを言うの?(楽韓Web過去エントリ)

 あるいは米海軍所属の原潜バージニア(テキサス?)の入港を拒否したり、日米韓の合同軍事演習を拒否するなどしていました。

 今回明らかにされている話、そしてこれらのエピソードは韓国の未来において重要なキーポイントを示しているのですね。
 左派政権になった場合、在韓米軍をあれやこれやの手段で追い出そうとしかねないのです。
 現実的に見てもユン・ソンニョルはイ・ジェミョンに対して1%以下の本当に僅差で勝ち上がったに過ぎない。勢力は均衡しているのです。

 自主国防=米軍の完全撤退は韓国左派の夢です。
 ムン・ジェイン政権と同じような動きを何度でもしかねない。

 韓国という国とのつきあいをどうすべきか、との話ではあるのです。
 アメリカにとってもそうですし、日本にとっても同様です。

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韓国メディア「日本は冷戦でうまく立ち回って経済成長した。そして今度の新冷戦でも笑いそうだ」

カテゴリ:米韓関係 コメント:(112)
米ソ冷戦の時に笑った日本経済、新冷戦の時も笑うか(ソウル新聞)
米国と中国の地政学的リスクに日本経済が反射利益を得る兆しだ。日本経済は地政学的リスクが最高潮に達した米国とソ連の冷戦時代である1960〜1980年代初めに好況を享受したが、一部では現代の新冷戦時代に似た恩恵を享受するのではないかという観測も出ている。

まず、米国と中国の貿易指標が同伴悪化し、米中葛藤が結局、両方にブーメランになっているという分析が提起されている。7日(現地時間)、ロイター通信によると、米国の4月の商品・サービスなどの貿易収支赤字は746億ドルで前月より23%急増した。前月対比赤字増加率は2015年3月以後8年余りぶりに最高だ。絶対貿易赤字規模も昨年10月以降6ヵ月ぶりの最大だった。細部的に輸入が3236億ドルで前月より1.5%増えた反面、輸出は世界経済鈍化とドル高の影響で2490億ドルを記録し3.6%減少した。

特に、米国輸入で中国産が占める割合は17年ぶりに最低水準に落ちた。4月基準でこの1年間、米国全体の商品輸入に占める中国産の割合は15.4%で、06年10月以降最低値を記録した。 (中略)

一方、日本は反射利益を享受している。1990年代初め、冷戦時代が終わり、グローバル企業はコスト効率化を最優先にし、人件費の安い中国などに大規模に工場を建てた。しかし、新型コロナウイルス感染症の時のサプライチェーン大乱を経験し、米中新冷戦時代に入り、費用がさらにかかっても安定的なサプライチェーンを構築することが重要だという方向に企業の考えが変わっている。そのような面で政治·外交的に完全に西側側にありながら製造能力も優れた日本は最適の国だ。最近フィナンシャルタイムズ(FT)は「中国と距離を置く方式でグローバルサプライチェーンを再編しようとする動きが日本製造業に対する外国企業の買収波を呼び起こす恐れがある」と診断した。(中略)最近ゴールドマンサックスは「米国と同盟国はレアアースを含め中国のサプライチェーン支配力を弱化させることを目標にしている」と診断し、オーストラリア·カナダ·スウェーデンなどと共に日本がより一層重要な国になると予想した。
(引用ここまで)


 日本の第1四半期の経済成長率が上方修正されまして、年率2.7%。
 第1四半期では前期比0.7%。
 韓国のそれが0.3%だったことから「日韓の経済成長率が逆転された!」と大騒ぎ。

現実となった韓日の成長率逆転、韓国の解決策は「企業頼み」だけ(朝鮮日報)

 まあ……下半期にメモリが上昇機運に載ることができればそれなりの経済成長率にはなるんじゃないですかね?

 韓国では「日本が再度経済成長の波に乗ったのでは」とされています。
 なんでも「20世紀の冷戦を利用して経済成長していた日本が、新冷戦を利用して再度経済成長を狙ってる」のだそうで。


 韓国には「日本が経済成長できたのは朝鮮戦争で工業基盤を整備し、冷戦の恩恵を得て大きく経済規模を伸ばしたのだ」とする認識がありまして。
 まあ、全部が嘘ではない。
 そういった部分も少なからずある。
 基本は戦前から工業国だったってのが最大の要因ですけどね。

 韓国人の中には「韓国よりも劣っているはずの日本が先に成長したのは、なんらかのチートがあったからだ」って認識があるのですよ。
 特に日本に対してそうした認識ですが、先進国に対して全般的にそうした感情を持っています。

 今回の「新冷戦を同じように経済成長の糧にしようとしている!」っていうのは、その立場に自分たちが立てなかった部分も大きいんじゃないかと感じます。
 「完全に西側にありながら製造能力も優れた国だ」ってありますが、その「完全に西側」という立場には韓国は立てなかったわけで。
 まあ、ここでもムン・ジェインを恨めって話かな。

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APECの席で「中国とアメリカの板挟み」になった韓国、選択肢はどちらを選ぶ?

中国「協力要求」-米「圧迫」···合わせられない「半導体強国」韓国(ハンギョレ・朝鮮語)
25〜26日(現地時間)、米デトロイトで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会議を契機に集まった韓国と米国、中国の通商責任者たちが韓中、米中会談をそれぞれ開き相互関心事について話し合った。彼らは半導体と国際サプライチェーン、原材料などを主要テーマに挙げたが、協力よりはお互いの立場の違いを確認するのに止まった。

25日に開かれた米中商務長官会談で、ジーナ・レモンド米商務長官は「中国で営業中の米企業を狙って最近頻発している中国の措置に対して憂慮を提起した」と米商務省が明らかにした。21日、中国当局が米国半導体企業マイクロン製品で深刻な保安問題が発見されたとし販売制限措置を取ったが、これに対する不満を示したものと見られる。 (中略)

韓国と中国通商責任者の会談では「半導体」問題に対する両国の異なる態度が現れた。26日、産業通商資源部のアン・ドクグン通商交渉本部長とワン部長の出会い以後、中国商務部は資料を出し「両側が半導体産業網とサプライチェーン領域での対話と協力を強化することに同意した」と明らかにした。半導体に関連して両国が「協力に同意した」と明らかにしたものだが、これは韓国側の発表には含まれていない内容だ。中国が韓国側との会談で半導体分野の協力を要求し、韓国は原論的な水準の答弁をした可能性が高い。

反面、韓国産業部は(中略)半導体問題の代わりに、中国から輸入する原材料と部品の安定的な需給などを前面に掲げた。

最近、中国当局が米国の半導体メーカーであるマイクロンを制裁し、米中葛藤が高まった状況で、中国は韓国側の協力を望んでおり、米国は中国の制裁そのものを批判しながら韓国側に「中国に協力するな」というメッセージを送っている状況だ。韓国政府は最近、この問題についてまだ明示的な立場を示していない。 (中略)

政府は10月まで米国から先端半導体技術・装備の対中輸出禁止について例外を認めらている一方、中国半導体工場に対する生産能力制限措置を緩和しなければならない課題を抱えている。サムスン電子とSKハイニックスが70兆ウォン程度を投資した中国半導体工場の存廃がかかった問題だが、政府は1年余り近く「緊密に協議している」という言葉だけを繰り返している。国内半導体業界では「政府がメモリー半導体強国のレバレッジをまともに活用できず顔色ばかり伺っている」という指摘が出ている
(引用ここまで)


 APECの貿易相会合が行われまして。
 日本からは西村経産相が出席して12もの会談を行ったそうです。なかなかに精力的。

西村経済産業大臣が米国デトロイトへ出張しました(経済産業省)

 ただ、共同声明は出すことができずに主催国であるアメリカの議長声明が出たのみ。
 中国とロシアが反対したことで議長声明のみ。

 さて、そんな中で中国は韓国に対して「アメリカはああ言っているけど、韓国企業は中国へのメモリ半導体出荷を減らしたりはしないよね?」って話をして。
 アメリカは「中国がマイクロンのメモリを禁輸したけど、まさかそこをカバーして商売伸ばそうとは思ってないよね?」と釘を刺してくる。

 あー、これはあれですね。
 韓国がいうところの「韓国モテモテ状態」。



 パク・クネ政権時代に当時のユン・ビョンセ外交部長官が「韓国の外交手腕はハイレベル」「米中双方からラブコールを受ける韓国は祝福されている」とサンドイッチ状態の韓国の外交力を自画自賛してましたっけ。

 さすがに今回はそんなマヌケなコメントは出ていません。
 実際問題としてサムスン電子とSKハイニックスの中国工場への圧力を強めるアメリカと、もっとも弱い環である韓国に「アメリカを裏切れ」と圧力をかけてくる中国。
 パク・クネ政権当時よりもさらに「現実の問題」感が強くなっていますからね。

 んで、どっちにしても韓国の主体的な答えは出ていない。
 アメリカのCHIPS法に従えば数十兆ウォンを費やしてきた中国工場で新規投資はほぼできなくなり、ウエハベースで5%の増産が認められるだけ。
 従わなければASMLや日本からの最新設備導入が韓国国内、アメリカ国内の工場ですら難しくなる可能性がある。

 とはいえ、サプライチェーンをしっかりと握られている中国に悪い顔はできない。
 前政権では主権を一部譲り渡す(三不の誓い)までやってきましたからね。

 まあ、「Show your flag!」って言われているわけです。
 さて、とりあえずここまでは「アメリカに偏っている」とまで非難されているユン政権ですが。
 2年目にしてもっとも難しい選択肢を迫られています。
 得意の外交力とやらでなんとかしてみればよいんじゃないかなー。

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韓国メディア「米韓首脳会談で『経済外交』はなんの成果も得られなかった!」……そこまで事実を突きつけなくても……

ユン長官「経済外交」事実上無為···IRA・半導体法「期待」だけを繰り返す(亜洲経済・朝鮮語)
「大韓民国1号営業社員」を自任して訪米中だった尹錫悦大統領の「経済外交」が事実上無為に終わり、韓国企業の負担を減らすことに失敗した。

特に経済分野最大の話題だったインフレーション削減法(IRA)と半導体支援法(チップス法)は「特別な支援と配慮」に言及した米国側の善意だけを望む立場だ。

ここに米国企業が約束した投資額より韓国企業の対米投資規模がはるかに大きく、再選挑戦を宣言したバイデン大統領に贈り物の包みだけを抱かせて帰ってきたという自嘲まで出ている。 (中略)

一部では韓米通貨スワップ締結など不十分な訪米成果を覆うほどの「サプライズプレゼント」を期待したりもしたが現実化しなかった。

ウォン安が続くなど外国為替市場の不安が続き、一部の専門家らは今回の首脳会談で通貨スワップを交渉テーブルに乗せなければならないという声を出したりもした。
(引用ここまで)


 ユン・ソンニョル大統領が国賓訪米を終え、昨日韓国に帰国しました。
 いつものように韓国大統領室は「とてつもない成果があった」とアナウンスしていますが、少なくとも経済界はしらけた雰囲気です。
 経済界が望んでいたことはおおまかに3つ。

・IRA、CHIPS法での韓国企業に対する優遇措置
・通貨スワップなどのウォンを防御する金融措置
・アメリカ企業の韓国への投資

 どれもすべてなにもなかった、というわけではありませんが。
 ……いや、なにもなかったと言うべきか。

 「IRA、CHIPS法で韓国企業が被る投資不確実性について協議する」としていますが。
 協議した結果でなにかが出るのか。
 たとえばCHIPS法で禁止されている中国工場への先端半導体製造装置の搬入について、韓国企業への1年間猶予が延長される等の具体的な成果ですね。
 相当に期待薄。

 というか、猶予が延長されるなら10月からなのでいまから判断がないと意味がない。製造装置の導入には優に1年以上はかかりますからね。
 まあ……アメリカにそのつもりがない、というのが実際でしょう。
 以前、商務省のエステベス産業安保次官が「今年の10月からは生産についても制限を課す可能性が高い」と述べていました。


 生産に制限が課されるかどうかはともかく。
 1年間の猶予が延長されないのはもはや既定路線。

 金融面でもウォンが弱りに弱っていまして。
 「円安で日本旅行はめちゃくちゃお得!」って言われていたのですが、あれよあれよという間に100円=1000ウォンのいつものレートに逆戻り。
 そんな中で通貨スワップ協定を結べないか、少なくともそのとっかかりになるものが得られないかと期待されていたのですね。

 で、結果はゼロ。
 金融関連でなにか成果があったかと探したのですが、なにも見つからなかったくらいにゼロ。
 無駄に期待をかけてぽしゃるくらいなら最初から議題としてテーブルに上げなければいいというくらいの潔さ。
 ま、去年に散々「アメリカは通貨スワップ協定を協議するって言ったのに!」って韓国メディアが騒ぎまくったことに懲りたのかもしれませんね。

 ちなみに去年の米韓首脳会談でも「金融面で緊密に協議する」との共同声明は出てました。これを受けて韓国メディアは「常設スワップもできるはず」と大喜びでしたね。
 きっと、今回、共同声明に出てたIRAやCHIPS法についても緊密に協議するんでしょう。きっとそう。

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韓国メディア「今回のユン大統領の訪米で韓国はアメリカに寄り添ったために、新冷戦の中心地に飛びこんでしまった!」……いや、自己評価高いね?

カテゴリ:米韓関係 コメント:(87)
タグ: 米韓関係
米国との密着進む…尹政権、新冷戦の中心部に飛び込んだ(ハンギョレ)
 韓米同盟70周年を迎え、26日(現地時間)に米ワシントンで開かれた尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とジョー・バイデン米大統領の韓米首脳会談は、価値観同盟の強化に基づいた米国との結束力強化が主な内容だ。「ワシントン宣言」から導き出した「韓米核協議グループ(NCG)」の新設など安保同盟の画期的な強化はもちろん、経済・技術・文化・情報など協力分野を全面的に拡大し、韓米密着をさらに進めたことで、尹錫悦政権が韓日協力と新冷戦構図への編入を強固にした外交政策の分岐点として記録されるものとみられる。 (中略)

 韓米はさらに、米国の核作戦に韓国の通常兵器支援の共同実行と計画の協力▽朝鮮半島への核抑止の適用に関する合同教育・訓練活動の強化▽新たな汎政府レベルの図上シミュレーションの導入▽核戦力運用を担当する米戦略司令部との新図上訓練などを通じて連合防衛態勢を再整備することで合意した。

 その代わり、米国はワシントン宣言に韓国の非核化維持と核拡散防止条約(NPT)の義務順守を含め、一部で浮上していた「朝鮮半島核武装論」を排斥し、韓国政府から米国のインド太平洋戦略と台湾海峡問題に対する絶対的な支持の約束を取りつけた。同時に韓米は、北朝鮮に対する強硬基調で歩調を合わせた。バイデン大統領は首脳会談後の共同記者会見で「北朝鮮が米国や同盟、パートナー国に核攻撃を加えることは容認できず、そのような行動をするいかなる政権も終焉を迎えるだろう」と警告した。両首脳は「ウクライナへの支援協力」も約束し、ウクライナに対する韓国の軍事支援の可能性について含みを残した。 (中略)

 経済安保分野ではこれといった進展がなかったものとみられている。韓国企業に及ぼす影響力が大きいインフレ抑制法(IRA)と半導体科学法(CHIPS法)に関しても、共同声明で「韓米両国が傾けてきた努力を評価」し「緊密な協議を継続していくことを約束する」という言及に止まった。
(引用ここまで)


 左派紙ハンギョレが「今回のワシントン宣言で韓国は新冷戦の中心部に飛びこんでしまった」と論評しています。
 ……そう?
 これまでバランス外交を標榜していた頃に比べれば、アメリカ側についたというのは間違いないところでしょうが。

 それでもいまアメリカ側についたところで「中心部」はないわな。
 この「中心部に飛びこんだ」って言いかたがまた韓国人の世界観につながっているところが苦笑ポイントでもありますかね。  彼らの世界観、すなわち「韓国は世界に認められているし、韓国が世界を変えることができる地位にある」というもの。


 だって「新冷戦の中心地」よ?
 どんだけ韓国の地位を高く見積もったらこんな話が出てくるんだって話ですよ。

 「自由で開かれたインド太平洋戦略」を提唱し、クアッドの旗振り役となった日本であればまあ「中心地にいる」って言えるとは思いますよ。
 イギリス、オーストラリアとも準同盟といえる状況になっているわけですし。
 最大の懸念だった防衛費も増強が決まっている。

 台湾は当事者ですし、アメリカもCHIPS法で中国と対峙している。
 でも、韓国が「中心地に飛びこんだ」ですからね。

 韓国はこれまでそうした取り組みに一切関わってこなかったし、今回の訪米もアメリカとの同盟を再確認したていどでしかない。
 いやもう、どんだけ自己評価高いのよ。笑っちゃいますね。

 あと「ユン大統領のインド太平洋戦略」ってのも以前に発表されているのですが、これがもう空虚。無。虚無。
 発表されたときからピックアップしたくてしょうがなかったんだけど、無を解説するのってすんごい難しくて……。
 今回、ついでにちらっと取り上げてみました。これだけでエントリを立てるにしてもうまく伝えられるかな、あの空虚さ。

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アメリカ政府高官、韓国の「ワシントン宣言は事実上の核共有」発言を即座に否定。「我々の定義では『核共有』ではない」

米高位当局者「ワシントン宣言、事実上核共有ではない」(聯合ニュース・朝鮮語)
米国が韓国に提供する拡大抑止力を強化するため、韓米首脳会談で採択した「ワシントン宣言」について、米国政府高位当局者が「核共有ではない」という立場を明らかにした。

これは宣言に盛り込まれた措置が「事実上米国との核共有」という韓国政府の説明と温度差があり、議論が予想される。

エドガード・ケーガン・ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)東アジア・オセアニア担当選任局長は27日(現地時間)、ワシントンDC国務省で開かれた韓国特派員団とブリーフィングで、「韓国政府はワシントン宣言を事実上核共有と説明するが、この説明に同意するか」との質問を受けた。

これにケイガン局長は「ただ非常にストレートに言います。我々はこの宣言を『事実上の核共有』とは考えていない」と答えた。

彼は韓国政府と立場が違うのかという質問に「それは(立場が違うという主張は)反論したい。私たちは韓国の同僚らと幅広い議論をした。我々の立場において『核共有』と述べる場合は重大な意味を内包する」( has significant implications )と明らかにした。 (中略)

「韓国大統領室が核共有をどのように定義するかについては私が言うことはできないが、私たちの定義では核共有ではない」と付け加えた。 (中略)

クリテンブリンク米国国務次官補(東アジア・太平洋担当)は「核共有ではない」という発言が議論される可能性を懸念しているように、「今回の国賓訪問における非常に明確なメッセージは、米国と韓国がこれまで以上に歩調を合わせて団結したということだ。そのような部分(訳注・核共有議論)に焦点を合わせようとすると、間違いになるだろう」と話した。
(引用ここまで)


 今回のユン・ソンニョル大統領訪米において出されたワシントン宣言について、韓国大統領室は「事実上の核共有」としていましたが。
 アメリカ当局からは即日で「少なくとも我々の認識している『核共有』ではない」と断言されました。
 まあ、そりゃそうで。

 NATOとやっている核共有と同一視されたくない、というのがアメリカの本音でしょう。
 NATOとの核共有もNPTの拡散について違反ぎりぎりのところをついている裏技みたいなものですし。
 アメリカとしても痛くもない腹を探られたくない。
 特にロシアがウクライナと戦争を起こしている最中に「アメリカが新たに核共有を」なんて話を出されるのは迷惑でしかない。


 というわけで韓国大統領室がいうところの「事実上の核共有」は幻として消えたのでした。
 まだ「修辞上の話だ」って言ってますが。

「事実上の核共有」 韓米間で早くも食い違い=韓国は「立場は違わない」(聯合ニュース)
 韓国大統領室は核弾頭を搭載した弾道ミサイルを発射できる米戦略原子力潜水艦の定期的な展開などワシントン宣言に盛り込まれた実質的な措置により安保不安を拭い去るとともに、核配備のような効果を期待できると判断している。大統領室関係者は「『事実上の核共有』は一種の修辞的な表現」と述べた。

 米側が尹大統領の訪米期間中に論争を呼ぶ可能性があるにもかかわらず明確な立場を表明したのは、韓国側に対し「核共有」について慎重さを求める狙いがあるとみられる。米国は核兵器使用について、独占的かつ排他的で、最終的な権限は米大統領だけが持つとの立場を堅持している。ワシントン宣言を通じ、韓国に対する拡大抑止の強化は確認したが、核使用の「単一権限」を韓国と共有する意思はないことを明確にしたものとみられる。「核共有」が韓国への核兵器の配備を容認するものとして解釈されることを避けたい考えもあるようだ。
(引用ここまで)

 ワシントン宣言は「核関連についてアメリカに永続的に依存する」という部分以外は、米韓の協力体制について再確認を行えたものとして充分な訪米のお土産といえるでしょう。
 こんな「事実上の核共有なのか否か」なんて些末な話で左右されたくはない、というのもまた本音でしょう。
 ユン大統領も「米韓同盟をアップグレードできた」としています。

米大学で「ワシントン宣言」説明 対日関係の重要性にも言及=尹大統領(聯合ニュース)

 ま、「アップグレード」だけでは我慢できずにオマケをつけようとして、アメリカの不興を買っているところはいつもの韓国だな、といったところ。

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