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カテゴリ:米韓関係の記事一覧

ポンペオ前国務長官「板門店でのトランプ−キム会談でムン・ジェインは無視され、同席を拒否された」……あ、やっぱりな

「米朝首脳が文大統領の同席拒否」証言、文政権時代の大統領府は「歪曲」と言っていたけれど(朝鮮日報)
米国のマイク・ポンペオ前国務長官は先日出版した回顧録で、2019年6月に板門店で行われた米国のトランプ前大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との会談について「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は何度も私に直接電話をかけ、会談への参加を要請した。私は『金正恩氏はトランプ大統領とだけ会いたがっている』と回答した」と明らかにした。ポンペオ氏はさらに「文大統領は気分を害しただろうが、金正恩氏は文大統領のために割く時間も尊敬心もない」とも伝えた。ボルトン元ホワイトハウス国家安保補佐官も自らの回顧録で「米朝の首脳は文大統領の同席を拒否した」と明らかにしたが、ポンペオ氏の説明はこのボルトン氏の主張とも一致する。ある程度は知られた内容だが、現場での証言が改めて伝えられると、金正恩氏にやきもきする文前大統領の姿が目に映るようだ。

 ポンペオ氏は2019年2月にハノイで行われた米朝首脳会談の決裂について「金正恩氏が寧辺核施設解体の見返りに北朝鮮制裁の全面解除を求めたため」と明かしている。金正恩氏の要求が通れば北朝鮮は名実共に核保有国となっていた。この北朝鮮の要求を飲むよう求めていたのが文前大統領だった。当時文在寅政権の青瓦台(韓国大統領府)はボルトン氏の回顧録について「歪曲(わいきょく)」と主張し強く否定したが、青瓦台のこの主張もやはりうそだったのだ。
(引用ここまで)


 2019年6月にトランプ大統領(当時)が板門店を訪問し、キム・ジョンウンと面会したことがありました。
 首脳会談ではないとされています。
 その際、ムン・ジェイン大統領(当時)がしゃしゃりでて「南北首脳会談をしてからふたりで会ってくれ」とか「三者会談にしてくれ」と要望していて、すべて却下されていたとの話が当初からあったのですね。
 「いいからお前は控え室で待ってろ」って言い渡されていたと。
 実際、ボルトン大統領特別補佐官(当時)の回顧録でも「何度も米朝の間にはさまろうとしていたが、アメリカ政府から拒絶されていた」と述べられていました。
 ボルトン的には「ムン・ジェインがしゃしゃり出てきて米朝会談をぶち壊してくれたらいいのだが」って思っていたとの話でしたが。
 けっきょく、実際には「ムン大統領、トランプ大統領、キム・ジョンウン」というスリーショットの写真を撮影したら、ムン・ジェインが退出するといった形に収まりました。
 当時、韓国大統領府からは「ムン・ジェイン大統領は自ら助演をしたのだ」とのアナウンスがありました。
 ま、誰も信じていませんでしたね。


 今回、ポンペオ国務長官(当時)による回顧録が出版されて、ほぼ同じ内容が描かれていたと。
 複数の証言があり、それらがほぼ同じであれば事実であったと認めるべきでしょう。
 まあ……正直、当時の映像を見ても「ムン・ジェインいねえじゃん」ってなってましたからね。
 アメリカ側の報道とかこれでしたよ。



 韓国では……というか韓国大統領府、すなわちムン・ジェイン政権は「この歴史的な会談を演出したのは我々だ」と言い続けていたのですが。
 すべてが嘘であったことが明らかにされつつある、というわけです。

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 一応、電子版は日本からでも買えるのか。邦訳出てくれたらそれが楽なんだけどな。



日米の関係強化、対中牽制に戸惑う韓国……メディアからは「韓国の対外戦略にとって負担が大きい」「韓国の立場とは食い違う」との声も

「日米安保密着」に笑うことができない韓国…中国管理の負担は大きくなっていく(聯合ニュース・朝鮮語)
最近進行された日米首脳会談などで日本の防衛力強化に対する米国の全面的な支持が明確に確認され、両国の安全保障協力の性格の変化による韓国の対応が注目される。 (中略)

米国が日本の軍事的な役割強化を追認し、中国牽制の声をはっきり出した部分も今後韓国の対外戦略には負担だ。

この11日に開かれた日米外交・国防長官2+2会談後に行われた共同記者会見で、両国は、中国を「最大の戦略的挑戦」と明確に規定した。

これは中国が域内安定のために、一定程度の役割をしてくれることを期待している韓国の立場とはやや食い違っている。 (中略)

韓米日3国協力を進展させる過程で、韓国の対中国認識が反映される空間が減らざるを得ない状況である。 (中略)

チェ・ウンミ峨山(アサン)政策研究院研究委員は"国内の感情も考慮すると、日本防衛力強化について米国のように全面的な支持を言及することは難しい"、"ウクライナ、北朝鮮問題については、韓米日の認識が一致する部分があるだけに、このような点を強調し、実用的な側面として活用する必要がある"と助言した。

ユン・ソクチョン国立外交員外交安保研究所研究教授も最近まとめた「2023年、日本の対外政策の展望についてのリポート」を通じて「日本の反撃能力は、北朝鮮にも適用できるため、韓国の利害関係と衝突しかねない」との懸念を表明している。

その一方で、「今後、日本の防衛力が米国の統合抑止力と域内の平和、安定に寄与できる方向で進められるように韓国の対日外交の戦略性が要求される」と助言した。

韓米日協力の最も「弱い輪」である韓日関係を強化するための両国関係改善の現実的な重要性も再浮上されるものと観測される。 特にこのような過程で米国は韓国に対して、日本と軍事協力をさらに強化するよう要求する可能性も大きくなった。
(引用ここまで)


 今日最初のエントリでも語りましたが、岸田総理の欧米外遊の最後を飾る日米首脳会談はかなり大きく韓国でも報じられています。
 ざっくりとしたイメージでは「ヨーロッパでも日本の防衛力強化が歓迎されてしまった」「彼らも中国による脅威があることを認識している」「アメリカはかつてないほどに日本との同盟強化を行っている」といったところ。
 「東アジアの外交を牽引してきた」と(間違った)意識をしている韓国としては、焦りを抱いている感じですかね。

 シンシアリーさんのところで書かれているように、韓国にとっては中国はもうなくてはならない存在。
 日本やアメリカのように対中デカップリング、対中封じこめを考えるとかもっての外。
 たかだかTHAADミサイルを配備するだけであれだけコテンコテンにやられたのですから、当然といえば当然。


 というわけで通信社であるはずの聯合ニュースもこうして「日米同盟はかつてないほどの強固さをアピールしているが、それは韓国の立場とは相容れない」とかいうニュースを配信してしまうわけです。
 最初のエントリで「言葉、単語の強さ」にあまり言及しなかったのですが。
 全体として共同声明や記者たちを前にした雑談でも、相当に強い言葉で日米関係の強固さを語っています。

 「米韓関係は血盟」を自認する韓国の気分としては穏やかではない。
 だけども、中国とは経済的に見てもうパートナーの状況。離れられるわけもない。
 というか、SKハイニックスに至っては現在のDRAM、NANDフラッシュの半分以上が中国産。
 半導体の価格が国の経済の善し悪しにすら影響してしまう現状ではCHIP4はおろか、対中半導体輸出規制すら難しい。

 それでも日本がインド太平洋戦略の要となっている現状は気に入らない、といった矛盾した気分を感じている。
 ま、とりあえずもうそこで中立を気取ってればいいと思いますよ。
 無理に接近してこなくても、さほど問題はありませんから。

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日米首脳会談におけるバイデン大統領の「アメリカは日米同盟に完全に、徹底的に、完璧にコミットしている」との言葉から見る緊迫具合

日米首脳、中国向け抑止・対処力強化に合意…日本の反撃能力の支持(聯合ニュース・朝鮮語)
バイデン大統領は、日本政府が昨年末の保有を決定した'反撃能力'などの防衛力強化政策を高く評価した。

両国首脳は今年5月、日本の広島で開かれる主要7ヵ国(G7)首脳会議で結束を図るため、緊密に協力することにした。

バイデン大統領は同日、ワシントンDCホワイトハウスで開かれた日米首脳会談の冒頭で、日本政府の国家安全保障戦略などいわゆる3代の安保文書の改正と関連して、「日本の歴史的な国防支出の増額と新国家安保戦略をベースと私たちは軍事同盟を現代化している」と評価した。
(引用ここまで)


 韓国でも日米首脳会談は大きく扱われています。
 今回の5月にあるG7へ向けての外遊は、日本の打ち立てた防衛能力増強について欧米諸国からの理解を得るという行脚でもありました。
 まあ、事前の事務折衝もありますし、そもそも日本の防衛費負担は少なすぎるというドイツと共に非難の対象でもあったので各国共に賛成するに決まっているのですが。
 とりあえず世界に(とりわけ中国に)見せることが重要だったわけです。

 さて、その日米首脳会談ですが実際の会談の前に記者団を込みで行う挨拶でこんな光景がありました。



 1分44秒くらいから。
Let me be crystal clear: The United States is fully, thoroughly, completely committed to the alliance and, more importantly, to Japan’s defense — the defense of Japan.
(引用ここまで)

「はっきり言っておきたい。アメリカは日本との同盟に対して、さらには日本の防衛に対して、完全に、徹底的に、完璧にコミットしています」  ──と訳すべきかな。


 日米首脳会談でここまで強い調子での同盟への傾倒具合を表明したことってちょっと記憶にありません。
 「コミット」という言葉はライザップのCMで使われたこともあって軽く見られガチですが。
 実際には「責任を持った約束」といった感じの、かなり重い意味を持った単語です。
 これまでの日米関係で使われてこなかったかというと、そんなわけはないのですが。
 今回はコミットに「fully, thoroughly, completely」っていう修飾語を3つもつけて語っている。

 外務省の記録を見ていろいろと遡ってみたのですが、ここまで強力な物言いはおそらく少なくとも21世紀に入っては初じゃないですかね。
 20世紀にもないと思いますが。

 ふたつ、感想があります。
 まずは「ここまで日米関係は深化したのか」というもの。
 そしてもうひとつは「もうそういう言葉で修飾せざるを得ないほどに台湾事態が迫っているのか」と。
 今回の日米首脳会談の共同声明を見ても、ほぼそのすべてがウクライナ戦争と対中国封じこめについて。
 冒頭から「中国は国際秩序に整合しない行動ばかりしている」ですからね……。

 韓国についてはここまでの緊迫具合なのにいまだにふらふらしている(ように見えている)のはどうなの、って話なんですけどね。
 いまだ両天秤。マキャベリがいうところの「中立を気取る(そして将来は滅びる)君主」。

 大きめのソーラーパネルは電力供給が危ない時に購入済み。
 あとは玄米を60kgくらい買っておくかな。

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エマニュエル駐日米国大使、「韓国も対中半導体輸出統制に参加すべき」と圧力を加えはじめる

駐日米国大使「韓国も中国に対する半導体輸出統制に参加すべき」(中央日報)
ラーム・エマニュエル駐日米国大使は、米国が主導する対中国半導体輸出統制に韓国が参加すべきだと主張した。

エマニュエル大使は9日、ブルームバーグ通信のインタビューで米国が韓国と日本、オランダなどと対中国半導体輸出統制参加関連議論を進行中とし、「我々は日本だけでなく韓国を通じても、オランダを通じても措置を取らなければならない。やるべきことがたくさん残っている」と述べた。 (中略)

エマニュエル大使は米国の対中輸出統制について「すべての当事者が交渉テーブルについており、すべての当事者がその結果について共通した利害関係を持っている。これは2国間の協議ではなく、多国間の(協議であるべき)もの」と強調した。

米国は昨年10月、先端半導体と半導体製造装備の対中国輸出を制限する大々的な措置を発表した。ブルームバーグによると、日本とオランダはこれに原則的に参加するという立場を伝えたという。事実上、韓国だけが残っていることになる。
(引用ここまで)


 ラーム・エマニュエル駐日米国大使がアメリカの進めている対中国輸出統制について「韓国も参加すべきだ」との意向を述べた、とのニュース。
 まあ、当然といえば当然。
 アメリカは「自由主義陣営の一員として繁栄してきたのだから、中国に対抗する一員として参加すべきだ」という認識になるでしょうよ。
 韓国は強く反発しているようですが、最終的には白旗を揚げざるを得ないところにきているんだよなぁ……。

 というのも去年10月に商務省安全保障局が輸出規制についてのガイダンスを発表したのですが、かなり厳しい内容になっています。

 中国にある半導体工場に向けて納入される、ほぼすべての関連製品について事前の許可申請が必要。
 ちなみに事前に申請されても拒絶されることが前提。
 ついでそうした生産工場にアメリカ人が関わることも「事前申請」が必要。

 あとAI関連製品についてはなお厳しくて、nVidiaやAMDの新型チップはひとつたりとも中国に持ちこませない勢い。
 中国国内でのAI研究は相当に停滞するのではないかともされています。


 実際、中国でNANDフラッシュメモリを製造していたYMTCが禁輸リストに加わることになって、業界からは「うっわ、本気だ」って声が上がりました。
 アップルがYMTCからフラッシュメモリの供給を受ける予定があったとされていたのですが、当然それも保留。

 日本ではなぜかあまり報道されていないのですが、アメリカは相当に本気です。
 韓国はDRAM、フラッシュメモリの生産という意味では力がありますが、製造装置や材料といった面ではそれほどの勢力とはなっていません。
 一応、製造装置やシリコンインゴット製造などにも顔を出してはいますがシェアはそれほどでもない、といったところ。

 つまり、韓国が参加すべきは中国におけるSKハイニックス、サムスン電子の工場への新規生産装置納入を禁じることについて、なのですが。
 実際には半導体生産は「走り続けていないと死ぬ」産業でもあります。
 DRAM、NANDは最新プロセスや3D工程などから脱落したらほぼ終わり。
 必然的に中国の半導体工場はほぼ死亡確定なのですが……。

 そんな中でインテルの中国工場を買ってしまったSKハイニックスとかどうするんでしょうね?
 旧式製造装置で競争力に劣るメモリを作り続けるのか。
 それとも一気に撤退するのか。
 わりと見ものですね。

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左派「韓国はアメリカから距離をとり、台湾有事から逃げようとしているが弱腰外交と笑うべきではない」……マキャベリの言うところの決断力のない君主じゃん

カテゴリ:米韓関係 コメント:(113)
台湾有事に嵌る日本、逃げる韓国 古賀茂明(AERA DOT)
本来は、台湾有事は本当に起きるのかという議論が先にあり、それが起きそうだという場合でも、次に考えるべきは、どうやって日本が台湾有事に巻き込まれるのを避けるかということだ。「台湾有事=日本有事」と断定し、戦争ありきで議論が進む現状は常軌を逸している。

 その異常さを再認識させられる出来事があった。韓国政府の高官X氏に「日本には米中の間でバランスをとりながら戦争を回避する外交などは出来ない」と断言された時のことだ。

 X氏の論旨はこうだ。

「韓国と北朝鮮は一体で、中国と長い国境線を有する。古来中国との間で戦いが繰り返され、属国になった時代もある。対中関係の安定こそが、我々の外交の最優先課題だ。一方、日本は元寇の時以外中国に攻撃されたことはないし、占領されたこともない。太平洋戦争に負けたが、占領したのは米国だった。その後、日本は米国に頼るしかなく、今日に至った。米国は日本を信頼しているが、韓国のことは本当には信頼していない。逆に、だからこそ、韓国は米国に対して時に厳しい対応ができる。米国は、韓国はそういう国だと理解しているから裏切られたとは感じない。韓国は米韓関係はそういうものだと割り切って外交を組み立てる。一方、日本は米国に無条件で忠誠を誓って来た。今さらその信頼を裏切ることは出来ず、米国が戦う時は日本は逃げられない。戦争回避の外交が不可能というのはそういう意味だ」 (中略)

 X氏によれば、韓国は、今、台湾有事に巻き込まれるのを回避するのに必死だという。彼の言葉には、台湾有事の際に日本が巻き込まれるのは不可避で、それは自業自得だという警告が込められている。彼の言葉に、小国の意地と外交の知恵を見た気がした。
(引用ここまで)


 古賀茂明が断末魔をあげてますね。
 まあ、ここ10年くらいいつも断末魔をあげているのですけども(笑)。

 要するに「韓国は台湾有事に際して戦争を回避しようとしている。アメリカと中国を両天秤にかけている」という、その姿勢がえらいのだそうですよ。
 日本と韓国では前提条件が異なりすぎてて話になりませんけどね。

 軍事専門家に聞けば100人が100人、「台湾有事と同時に沖縄の米軍基地が攻撃される」って判断してます。
 日本は否応なしに、かつ自動的に巻きこまれることが決定しているのです。

 だからこそ台湾有事に向けて準備を進めている。
 回避する手段は日米安保条約を破棄して日本からアメリカ軍基地を一掃すること。無理。
 医療関係だけになるのか、米軍と共に戦うのか、後方支援になるのか。そうした関与の深さの違いこそあれども自動的に巻きこまれることだけは確実。

 台湾有事になった際、在韓米軍に攻撃があるかどうかは微妙なところ。
 なので韓国は「回避できる道があるに違いない」と考えているのでしょう。


 ただ、こうした韓国の態度は、まさにマキャベリが言うところの──

「決断力のない君主は、多くの場合、当面の危険を回避しようとして中立を選ぶ。そしておおかたその君主は滅んでしまう」
「わたしは断言してもよいが、中立を保つことは、あまり有効な選択ではないと思う。中立でいると、勝者にとっては敵になるだけでなく、敗者にとっても助けてくれなかったということで敵視されるのがオチなのだ」


 そのものですわ。
 旗色を鮮明にすることで味方からはもちろん、敵からも尊敬を得ることができる。

 勃発した戦争が回避することに全力を注いでいる、っていう戦略はまあありでしょうよ。
 ただ、それで戦後どうなるんだって話なんですよね。

 すでにウクライナ戦争でウクライナへの支援を渋り、ロシアへの制裁に二の足を踏んでいたことで不興を買っています。
 「無事である」ということは、必ずしも勝利を意味しないのですけどね。

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 「中立を保つことはあまり有効な選択ではない〜」はこちらに収録されている言葉。
マキアヴェッリ語録(新潮文庫)
塩野 七生
新潮社
2016-05-20

オランダ、日本はアメリカの対中半導体輸出規制に同調……韓国は?

カテゴリ:米韓関係 コメント:(43)
日本、半導体製造装置の対中輸出規制で米国と協調へ-関係者(ブルームバーグ)
 日本とオランダは、先端半導体製造装置を対象とした米国の対中輸出規制への参加に基本合意した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたもので、中国の技術推進の野心に大きな打撃を与える可能性がある。

 米国は先端半導体製造装置の対中輸出規制を10月に開始。公に話す権限がないとして匿名を条件に語った同関係者によれば、日本とオランダは少なくとも一部に同調する見通しで、数週間以内に発表する公算が大きい。バイデン政権はこの輸出規制措置について、中国軍が先端半導体を入手できないようにすることが目的だと説明している。

 日米とオランダの3カ国が協調すれば、先端半導体の製造に必要な装置を中国が入手することはほぼ完全に阻止される。米国の規制はアプライド・マテリアルズとラムリサーチ、KLAによる供給を制限しているが、制裁を効果的なものにするには東京エレクトロンとオランダのASMLホールディングの参加を必要としていた。

 「中国が先端産業を独自に構築できる方法はない。全く見込めない」とサンフォード・バーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は指摘した。

 中国商務省は12日、米国の対中輸出規制を巡り世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。米国の規制は世界のサプライチェーンの安定を脅かすもので、これを正当化するために掲げている国家安全保障上の理由は疑わしいと主張した。 (中略)

 日蘭両政府は、回路線幅14ナノ(ナノは10億分の1)メートルかそれよりさらに高度な半導体を製造できる装置の対中輸出を禁止することを計画している。米政府が10月に導入した規制の一部と歩調を合わせるものになる。

 14ナノ技術は、現在実用化されている最も先端の技術よりも少なくとも3世代遅れているが、中国の半導体メーカー、中芯国際集成電路製造(SMIC)が保有している技術では既に2番目に高度なものだ。
(引用ここまで)


 日本、およびオランダが半導体製造装置の対中輸出について同意した、とのニュースが出まして。
 一時期、オランダからは「こんなんやられたら無理」って反発する話も出てたのですが。アメリカから「アメリカ企業の持つ知的財産使ったら制裁すんぞ」まで言われたら白旗揚げるしかない。

 オランダのASMLは微細化最先端の露光装置を作っている企業。
 ここが輸出を禁じたらもう終わりのレベル。
 さらに露光装置では出遅れたものの、日本のキヤノン、ニコンの露光装置も対中輸出禁じられる模様で。
 もう14ナノ以下の先端プロセスで中国が半導体を作ることはできないレベル。


 これでCHIP4として半導体協力体制を目論んだアメリカは自国、日本、台湾に加えてオランダも自陣に取り込むことに成功したわけです。
 いや、オランダはCHIP4ではなかったんですが。

 そんな中、韓国は中国と外相会談して「アメリカのインフレ防止法は横暴だ」と言い出した模様。

米の半導体・インフレ関連法、各国の権利と国益損なう=中国外相(ロイター)

 9月には中国から韓国に対して「我々を加えてCHIP5にすべきだ」なんて話もしてましたね。

ヤン・ヒャンジャにまた訪れた中国大使「韓国、CHIP4必ずしなければならないか…中国を含むCHIP5にはできないのか」(朝鮮日報・朝鮮語)

 中国はなんとかして韓国だけでもこちら側に引き込めないかと考えているっぽいかな。
 韓国は製造装置や素材に関してはなんもカードがないので意味なかったりします。
 中国を無視することはできないという韓国の方向性が見えてきてますね。

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TSMCの工場搬入式にバイデン大統領やアップルのティム・クックCEOが出席……韓国メディア「K半導体を世界最高にした速度戦で負けている」

TSMCはうまくいっているのに...K半導体の涙(ヘラルド経済・朝鮮語)
「一言で米国が羨ましくて、国内半導体企業が直面する現実が残念です。 『K半導体』を世界最高にした長所が速度だが、優位を期待し難くなりました」(半導体業界の関係者)

6日(現地時間)に開かれたTSMC、米アリゾナ工場設備の搬入式が開かれると、国内半導体業界では、羨ましさと懸念が噴出している。 米国、日本、欧州などはいち早く半導体工場に対する各種恩恵を支援し、「ラブコール」を送っている反面、国内関連法は国会で4ヵ月間漂流中だ。 過去とは違って、競争が激しくなった半導体「戦争」の中で速度戦に押されれば、致命的であるという指摘だ。

世界最大の半導体、ファウンドリー(委託生産)会社台湾TSMCは同日、バイデン米大統領、モリス・チャンTSMC創業者、ティム・クックアップル最高経営者(CEO)、ジェン・スン・ファンnVidiaCEOなど世界の大物たちが勢揃いした中、アリゾナ工場で装備の搬入式を進行した。 特に着工式や竣工式がないにも関わらずバイデン大統領が出席し、注目を集めた。 (中略)

TSMCは2020年アリゾナの工場設立を発表した。 昨年5月に着工を開始し、2024年に完成する予定だ。 さらに工場を建設するということだ。 新たに建設する2工場は2026年から稼動する計画だ。

国内業界では内心、羨ましいという声が出ている。 SKハイニックス半導体工場を含めた龍仁(ヨンイン)半導体クラスターは発表されてから3年10ヵ月が過ぎても、まともに工事が行われていない。 土地補償や工業用水など基盤施設イン・許可が遅れ、工事期間が2年以上延期され、事業費も31%以上上昇した。 当初2025年上半期に計画された入居企業の半導体の量産時期は2027年上半期に2年以上見送られる見通しだ。 (中略)

その間、海外主要諸国は自国の半導体生産施設の誘致に向けて素早く動いている。 米国は半導体工場や装備生産施設の建設時、25%の投資税額控除を提供する。 欧州連合(EU)は最近、半導体生産拡大に向けた430億ユーロ(約58兆7700億ウォン)規模のファンドを造成することで合意した。 2030年まで世界半導体生産市場でのシェアを現在10%から20%まで引き上げる目標だ。 日本も68億ドル(約9兆ウォン)規模のインセンティブパッケージを造成、現在TSMCが推進中の熊本県半導体工場の建設費用1兆2000億円(約11兆1000億ウォン)のうち40%を支援する。

業界関係者は"半導体市場は今は全世界が飛びついた戦場"だとし、「速度戦で押されれば答えがない。 半導体危機を克服するため、政府と国会が素早く対応しなければならない」とした。
(引用ここまで)


 TSMCが建設中のアリゾナ工場の設備搬入式にバイデン大統領、アップルのティム・クックCEO、nVidiaのジェン・スン・ファンCEOなどが出席。
 その場でTSMCから「アリゾナにもうひとつの工場を建設する」との発表がありました。
 現在建設中のファブは5nmのものになる予定が4nmに変更され。
 発表された新工場は3nmのものになるのではないかとされています。

TSMCが米で3ナノ先端半導体、26年生産開始-投資額5.5兆円に拡大(ブルームバーグ)

 アップルがこの工場から大量の半導体を調達するのではないか、との噂ですね。

 TSMCのアメリカ、日本での半導体工場建設は明白に対中国のリスクヘッジです。


 さて、バイデン大統領が提唱している、いわゆるCHIP4はアメリカが主導して日本、台湾、韓国が協力することで安保面からの半導体供給体制を確立するものとなっています。
 現状、日本と台湾はそれに前向きな方向ですが。
 韓国はこれといって積極的な態度に出ていません。サムスン電子がテキサスに工場を建てるとはしていますが、TSMCとは異なりまだ建設には入っていない段階。

 なんかこう……韓国が全体的に置いていかれているイメージです。
 まあ、韓国の半導体企業であるSKハイニクス、サムスン電子はかなり大きな工場を中国に持っているのが大きな原因でしょうけども。
 この記事にかぎらず韓国メディアは「半導体宗主国である我々が立ち上がらなければならない」みたいな話をしているのですが。
 DRAM、フラッシュメモリ以外では韓国の立場ってそこまで大きくないからね?

 ユン政権になってからこっち、アメリカとの安保体制は見直されつつあるものの。
 どうも産業の連携という意味では、韓国はうまく踏み込めていない感じです。
 それだけムン・ジェインの爪痕がひどかったということでもあるのでしょうけどね。

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韓国、ついに三不の誓いを打ち棄ててアメリカのミサイル防衛に参加へ……中国はどう反応する?

岸田首相、韓国の尹大統領と「元徴用工問題」について「早期解決図ることで一致」(読売新聞)
岸田首相は13日午後、東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の一連の日程を終了後、カンボジアのプノンペンで記者団の取材に応じ、韓国の 尹錫悦ユンソンニョル 大統領との首脳会談では、「元徴用工(旧朝鮮半島出身労働者)」問題の早期解決を図ることで一致したと明らかにした。

 元徴用工の問題について、首相は「(今年9月の)ニューヨークでの私と尹大統領との指示を受け、外交当局間での協議が加速していることを踏まえ、懸案の早期解決を図ることで改めて一致した」と語った。
(引用ここまで)


 日韓首脳会談、日米韓首脳会談、米韓首脳会談が行われまして。
 日米韓首脳会談において、ひとつ大きな発表がありました。

韓米日初共同声明採用「北ミサイル情報リアルタイム共有」(東亞日報・朝鮮語)

 「 インド太平洋 のための三国パートナーシップに関するプノンペン声明」という形で発表されています。
 すでに外務省、ホワイトハウスからリリースが出てますね。韓国の外交部からも出ることでしょう。

Phnom Penh Statement on Trilateral Partnership for the Indo-Pacific(ホワイトハウス・英語)
日米韓首脳会合 令和4年11月13日(外務省)

 北朝鮮のミサイル発射情報に関して、日米韓でリアルタイムに共有するという文言。
 これはなかなかにすごい。
 完全に三不一限を無視しているわけですから。
 アメリカのMD体制に韓国が組み入れられるという宣言ですよ。


 実際問題としてムン・ジェイン政権が行った中国への三不一限の誓いは主権の放棄ともいえる代物でしたから。
 当時、アメリカのマクマスター大統領特別補佐官が「主権放棄をするとは思わない」と他国の国家主権について言及するほどの異常事態。
 それがようやく補正された、という感じ。

 中国がどのように反応するか、ちょっと楽しみですね。
 あとムン・ジェイン政権を構成していた面々も。

 日韓首脳会談ではメインはやはり対北朝鮮での安保協力について。
 外務省のリリースでも梨泰院事故への哀悼を除いて、外交的な話として最初に書かれている項目です。

日韓首脳会談 令和4年11月13日(外務省)

 「旧朝鮮半島労働者問題について(略)懸案の早期解決を計ることで改めて一致しました」という文言に突っかかっている人もいるようですが。
 これについては実際の行動がどうなるのかによる、としか言えません。とりあえずは様子見しかできないレベル。
 次の局長級協議を見守るだけですね。

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