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カテゴリ:米韓関係の記事一覧

韓国メディア「日本が国連安保理常任理事国を目指しても現実的には不可能だ」……うん、その認識がちょっと違ってるんだよね

米バイデン、日本の要件に「OK、OK…」日本の安保理常任理事国への進出も支持(ファイナンシャルニュース・朝鮮語)
韓国に続き、日本を訪問したジョー・バイデン米大統領は、インド・太平洋地域での中国封鎖網の構築に積極的に乗り出すことを強調した。

バイデン大統領はこの日、東京・赤坂永賓館で開かれた岸田文雄首相との首脳会談、続いて開催した共同記者会見に参加し、「日米の協力は不可欠だ」と強調した後、中国の力による現状変更の試み、人権問題などに両国が緊密に協力することにしたと明らかにした。

この日、岸田首相は、バイデン大統領の訪日歩みについて「インド・太平洋地域に対する米国の関与(介入政策)強化を示すもの」と規定し、そんな米国を相手に、△日米先端半導体開発協力△日本の防衛力強化推進 △国連安全保障理事会改革時、日本の常任理事国進出に対する支持表明などを得た。日本の安保理進出は現実的に不可能に近いものだが、米国が公開的に支持を表明してくれただけでも日本の外交としては大きな成果であるといえる。
(引用ここまで)


 韓国ではなにかを慰めるかのように「アメリカが日本の常任理事国入りを支持したのははじめてではない」「100カ国以上の国々が反対している上に、常任理事国が賛成しなければならないので実質的には不可能」とメディアが繰り返し述べています。

 違うんだよなぁ……。
 前回、常任理事国入りを支持したのはオバマ政権時代で2015年の話でした。
 それ以前から、日本、インド、ブラジル、ドイツの常任理事国入りを阻止するための「コンセンサス連合」(コーヒークラブ)がありますね。

 ですが、そこから中国による周辺国への領土的野心は明らかになり、ロシアはウクライナへの軍事侵攻を行った。
 そうした国々が常任理事国であるという状況となりつつある。
 クアッドが形成され、AUKUSが作られてヨーロッパにも中国の危険性がようやく伝わるようになった。

 この状況下で「国連改革を行おう、その暁には日本は安保理常任理事国なることを支持する」って言われることは、かつての「常任理事国入りを支持する」という文言とは全然違う。


 いまはもう戦後ではなく、戦前のフェーズです。
 戦いがどのような形の物になるかはともかく。
 確実に変化の時代になりつつある。  あの日本の防衛費が大幅増額され、国民の大半からそれが支持されようとしているほどに。

 そういった時期に現状の国連体制の中ではほぼ実現不可能であるとはいえ、日本の安保理常任理事国入りをアメリカが支持したという事実が大きいのです。
 悪役が完全に入れ替わった、と言ってもいいかな。
 「ロシアと中国、それらに付き従う国々」という扱いになりつつある。

 IPEFもそうした視点から「力による現状変更を是認する国々と、それ以外」を区別する枠組みであると考えると面白いかもしれません。
 そして、IPEFの設立発表が日本で行われたということが、どういった意味を持つのかと考えるのも面白い感じですかね。

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日米首脳会談でアメリカが日本の安保理常任理事国入りを支持……あまりの内容の濃さに、米韓首脳会談が前座に見えてしまう

バイデン「日本の安保理常任理事国進出支持」…日米首脳会談(朝鮮日報)
訪日中のジョー・バイデン米大統領が日本の国連安全保障理事会常任理事国進出及び防衛力強化に対する支持意思を表明した。

東京元赤坂永賓館で23日午前11時から始まった日米首脳会談を終えた後、両国首脳は記者会見を開き、このような内容を明らかにした。

岸田首相は「国際社会の平和と安定に大きな責任を負う安保理理事会など国連を改革する必要性があるとバイデン大統領に伝えた」とし、バイデン大統領が「改革された安保理では日本が常任理事国になることを支持すると表明した」と明らかにした。ただし、「改革された時」という条件がついた。
(引用ここまで)


 日米首脳会談後に共同記者会見が行われました。
 とりあえずノーカットの動画を見てもらいましょうかね。
 会見のスタートは1時間25分くらいから。



 韓国メディアからはさかんに「日韓関係を改善させるためにアメリカが介入する」という話が出てきていましたが。
 40分間の会見と質疑応答の間に「韓国」という言葉自体がなかったような。

 まあ、最後に「台湾を守るために軍事的関与はされますか?」という質問にあっさりと「Yes」って言っちゃったことで全部持ってかれましたけどね。
 その後に政府当局からはおなじみの「アメリカの台湾政策に変更はない」とのコメントが出たということですが。
 何度も繰り返すことによって、衝撃を薄めさせようという意図でもあるのかな。


 というか初日でこれで、夕方のIPEFの設立発表もあれば明日のクアッド首脳会談もあるっていう。特濃すぎて胸焼けしますわ。


 あ、そうそう。
 韓国メディアが一斉に「アメリカが日本の国連安保理常任理事国入りを支持した」と速報したのですが。
 一気にコメントが400ほどつくくらいで、けっこうなトピックスとなってます。
 コメントの大半は「日本が入るなら韓国もだ!」とか「戦犯国なのに」とか「ただのリップサービスだ」とか阿鼻叫喚。

 というか、「すぐに日本を安保理常任理事国にしよう」という話ではなく。
 機能不全に陥っている安保理の改革を行い、その際には日本に常任理事国をお願いしたい……ということの模様。

バイデン大統領 安保理改革での日本の常任理事国入りを支持(NHK)
国連の改革と強化の必要性で一致し、バイデン大統領から、安保理改革が実現した場合には、日本が常任理事国になることに支持が表明されたことが分かりました。
(引用ここまで)

 むしろ、日米が安保理改革を行っていこうと一致していることのほうが重要だな。
 国際機構を変えていこう、という姿勢ですからね。

 そんな話は米韓首脳会談ではなんら出なかった。対中国の文言も最低限。
 昼の更新でも書きましたが、ユン大統領への「就任祝い」とムン・ジェインへの「退任の挨拶」以外は経済的なものばかり。
 なんというか……前座感がすごいわ。

 ホワイトハウスから日米首脳会談についての共同声明が出たのでチェックしたのですが、とりあえず韓国という文言は出てて「新政権発足を歓迎する。連携・協力の重要性を強調した」との一文はありました。

Japan-U.S. Joint Leaders’ Statement: Strengthening the Free and Open International Order(ホワイトハウス・英語)

 よかったですね(笑)。
 ちなみにKoreaという言葉は5回出てきて3回が北朝鮮、1回が「朝鮮半島の非核化」。もう1回が「韓国の新政権〜」という文言でした。 

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韓国「クアッドに段階的に加わりたい」→ホワイトハウス高官「クアッドは拡大するよりも、現在の形で発展強化させる」と拒絶を表明

アメリカ、クワッド加入希望の韓国に拒絶…「考えるな」(ニューシス・朝鮮語)
ユン・ソクヨル政府が米国・日本・オーストラリア・インド安保協議体のクアッド(Quadrilateral Security Dialogue)に加入しようとしたが、米国政府がこれを公式に拒否した。これにより、ユン・ソクヨル大統領のクワッド加入公約を履行することが難しくなった。

米国の上級当局者は22日、ジョー・バイデン大統領訪韓に同行したホワイトハウス記者団とのブリーフィングで「現在では韓国のクワッド追加は考慮しない」とし、「新しい加盟国を考えるよりは(クワッドが)すでに提示したものを発展、強化するのが今の目標だ」と明らかにした。

これによりユン・ソクヨル政府のクワッド加入公約が実現しにくくなった。

ユン大統領は大統領選挙公約集で「クワッド傘下ワクチン、気候変動、新技術ワーキンググループに参加し、今後正式加入を模索する漸進的アプローチを追求する」と明らかにした。大統領室も韓米首脳会談が開かれた去る21日、説明資料で「韓国とクワッド間協力の有用性について韓米首脳間共感帯を構築した」と明らかにしたが、米国政府は一日で拒否意思を公式化した。
(引用ここまで)


 韓国メディアは今回のバイデン大統領の訪韓について、おおまかに「合格点以上だ」と評しています。
 大成功、とまでは行きませんがまあ少なくとも肯定的。
 個人的にはこれといった具体的な成果もなく、「交渉を開始(再開)する」というばかりの結果であまり成功とは呼べないかな……と感じます。
 逆にいえば特に失敗と呼べる部分もありませんが。

 ただ、ユン・ソンニョル大統領が選挙中から積極的に述べていた「段階的なクアッドへの加入」についてはゼロ回答でした。
 ホワイトハウス高官は3日目の朝でのブリーフィングを行い、クアッドについては「新たな加盟国を求めるよりは現状をさらに発展させることが重要だ」という認識であることを述べました。

Background Press Call by a Senior Administration Official Previewing President Biden’s Third Day in the Republic of Korea(ホワイトハウス・英語)

 この先、そのようなこと(韓国の加入)もあるかもしれないけども、まずはクアッド首脳会談を成功させることが先決であると。
 前日の共同声明では「韓国のクアッドへの関心を歓迎する」としていたのですけどね。

 あれほど韓国メディアが総じて求めていた通貨スワップ協定にも一切触れられず、「経済連携を高める」という文言のみ。
 なんかもうすでに韓国メディアからは「よし、これで決まった」くらいの扱いになっているのですが。

 あとウクライナへの軍事支援についても具体的な話が出るのではないかとされていましたが、こちらも梨のつぶてでしたね。


 なお、ムン・ジェイン前大統領とは電話会談で10分間ほど話したそうです。

文前大統領 バイデン氏と電話会談(聯合ニュース)

 ですが、ムン・ジェインが求めていた「板門店宣言・シンガポール宣言の継承」についてはなにも訪韓中に語らず。

韓米首脳の共同声明、文-バイデン会談で継承を求めた「板門店宣言・シンガポール宣言」に言及せず(朝鮮日報)

 かといって北朝鮮に対してなんらかの新たなアクションが米韓間で取られたかというとそういうわけでもない。

 IPEFの設立について正式な発表も日本で大々的に行う。
 これまで参加はないのではないかとされてきたインドもどうやら参加の方向でまとまりつつあるという話。

 総じて見てみると……あれ、これもしかしてこれって日本にきて日米、クアッド首脳会談するついでに、韓国に就任祝いに来ただけ?

 オーストラリアの総選挙で首相交代があったことからも分かりますが、クアッド首脳会談はスケジュール的に動かせなかった。
 6月頭には米州機構の会議がアメリカで行われるので後ろ倒しも辛いのが実際。
 じゃあ、しょうがないからっていう感じで韓国に先に来た、というところか。
 ムン・ジェインと対話しようとした、というのも「就任祝い」と「退任への挨拶」感が出てますね。

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バイデン大統領、半導体材料輸出管理強化について日韓間の問題であるとは認識していなかった……

バイデン「韓米日三者関係非常に重要…日本でも韓日関係議論」(聯合ニュース・朝鮮語)
バイデン大統領はこの日、龍山大統領室庁舎で開かれた韓米首脳会談後、共同記者会見で韓日関係改善のためにどのような役割を果たすかという質問に「ユン大統領とその懸案を一般的に議論し、日本訪問でも議論する予定」と話した。

彼は「韓米日が経済、軍事的に非常に緊密な三者関係を維持するために非常に重要だ」と強調した。

それとともに「貿易障壁を解決する方法があるだろうし、私たちはこの問題を現在非常に深く見つめている。一部の貿易障壁は私の前任者が導入した」と話した。

彼はどんな貿易障壁を意味するのか説明しなかった。

韓日関係は日本が韓国最高裁判所の強制徴用賠償判決に反発し、2019年7月韓国に半導体原料輸出を制限し悪化した。

したがって、バイデン大統領が韓日関係の文脈で貿易障壁を言及するには、日本の輸出規制を指す必要があるが、彼は前任者が導入した(placed by my predecessor)貿易障壁とした。

ドナルド・トランプ大統領が在任期間、米国が韓日に鉄鋼関税などを課すことはしたが、その関税は韓日関係の悪化と関連がない。
(引用ここまで)


 日韓間における問題について、バイデン大統領の認識が見えてきた部分があります。
 それをどこも誰も指摘していないので、指摘しておきたいと思います。
 昨日の米韓首脳会談後の共同記者会見で、ワシントンポストの韓国人(韓国系?)記者がバイデン大統領に対して、こんな質問を投げかけています。
大統領、ありがとうございます。 あなたは、米国と韓国、日本との経済協力を促進するために、この地域を訪問しています。 しかし、両国は貿易紛争に巻き込まれ、さらに近年、さまざまな理由で二国間関係が悪化しています。

そこで、あなたの政権がこの地域との経済同盟を強化するという目標を達成するために、こうした紛争やその他の紛争を解決するために、米国はここでどのような役割を果たすでしょうか?
(引用ここまで)

 これに対するバイデン大統領の答えが、なかなか示唆に富んでいる。
 少なくとも楽韓さんは注目に値するものであると認識しました。

一般的な用語でそれを議論したということです。 実際、私はここから東京に行き、この件についても議論する予定です。

軍事面だけでなく、経済面でも非常に緊密な三国間関係を築くことが非常に重要だと思います。 そして、設置された貿易障壁の一部に対処する方法があることもおわかりいただけると思います。ちなみに、その一部は私の前任者が設置したものですが、私たちは今、非常に慎重に検討しています。 ですから、まだ(アメリカが)動く余地はたくさんあると思います。
(引用ここまで・太字引用者)

 ふむ。
 最初の「一般的な用語でそれを議論した」というそれは質問にある「アメリカと韓国、日本との経済協力強化」を指しています。
 「経済面、軍事面で日米韓関係を緊密にすることが大事」と一般論を語って。  で、そこから貿易障壁の話に移るのですが。
 ここで「私の前任者が設置した貿易障壁」について語っています。

 つまり、バイデン大統領は「日韓間に輸出障壁、貿易紛争があるとは考えていない」ということです。

 ここでいう「設置された貿易障壁の一部に対処する」「それは私の前任者が設置したもの」というのは、明らかにトランプ政権において日本やその他の国々に課された鉄鋼・アルミへの追加関税のことを指しています。
 韓国に対しては輸入総量規制ですね。


 記者は「日本が韓国に課している半導体材料輸出管理強化をどうにかしてほしいのだが、アメリカはそれについてなんらかの役割を果たすつもりがあるのか?」という主旨の質問をしていると思われるのですが。
 具体的な内容を話さずに単純に「貿易紛争(trade dispute)」としてしまった。
 そこでバイデン大統領はアメリカと日本の間にある鉄鋼・アルミへの追加関税、およびアメリカと韓国の間にある鉄鋼輸出のクォータ制についての質問だと認識したわけです。
 そして「この前任者の課した貿易障壁については我々はさまざまな検討をしている」と回答したのです。

 アメリカにとって「日韓との貿易紛争、貿易障壁」という話題が出た際に、最初に思い起こされるのは鉄鋼関連である、ということですね。
 日米韓の三国間の友好を揺るがす問題として認識されているのはここ、鉄鋼輸入問題なのだ、と。

 逆説的にアメリカは日本の半導体材料輸出管理強化について問題であるとは認識していない、少なくとも日韓間の貿易紛争であるとは考えていないということが分かるかと思います。

 日韓関係については「東京に行ってもその件で話しあう」とはしていますが、具体的な話はゼロ。
 まー、そりゃ三角同盟なので「我々の同盟国同士には仲良くやってほしい」という一般論は言うでしょうけどね。

 一応、英文は出ていますのでそちらにリンクをしておきましょう。

Remarks by President Biden and President Yoon Suk Yeol of the Republic of Korea in Joint Press Conference(ホワイトハウス・英語)

 件の質問は27分40秒くらいから。



 質問をする時には具体的に、というのがよく分かる事例ですね。
 まあ、ここで半導体材料輸出管理強化について言及しても「それは二国間の話でWTOに提訴されているので、第三者であるアメリカがなにかを言うことはできない」で終わりだったでしょうけども。

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米韓首脳会談、韓国側の思い描くようなアメリカのユン政権への支持は得られなかった模様。通貨スワップ協定には一言も言及せず

カテゴリ:米韓関係 コメント:(100)
韓米首脳会談 対北抑止力含む同盟強化確認=経済安保協力も(聯合ニュース)
韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と米国のバイデン大統領は21日、ソウルで初の首脳会談を行った。尹大統領は会談後に開いた共同記者会見で、「韓米同盟をグローバルな包括的戦略同盟に発展させていくという目標を共有し、その履行方法を緊密に議論した」として、「韓米両国はグローバルな包括的戦略同盟としてこのような挑戦課題に共に対応しながらルールに基づいた秩序をつくっていく」と述べた。
(引用ここまで)


 あ、『首脳会談があった」ということで上の記事をピックアップしていますが、エントリの中ではまったく扱いません。悪しからず。

 さて、ホワイトハウスから米韓首脳会談について共同声明がリリースされました。
 一応、リンクしておきますか。

United States-Republic of Korea Leaders’ Joint Statement(ホワイトハウス・英語)

 ざっくりと見てみましたが、これといって目新しい項目はありませんでした。
 韓国が期待している「常設通貨スワップ協定に準じたレベル」はおろか、通貨スワップ協定への言及は一切ありませんでしたね。
 日米韓間での協力については対北朝鮮でのみ語られています。

 あえていうなら新型の小型原子炉についての言及があり、ムン・ジェイン政権での脱原発政策を完全にやめる「脱脱原発」ともいえる状況になりそうだ、というのが見えてくる……というところでしょうか。

 それ以外だと……目新しい話はなにもないなぁ。
 まあ、共同声明は事前に事務方ですり合わせの行われた結果なので、サプライズはないものと相場が決まっていますが。
 それにしてもなにもない。


 それ以外だと訪韓2日目の朝に行われたという、whitehouse.govに掲載されている報道陣と高官の会見の様子が気になるところです。

Background Press Call by a Senior Administration Official Previewing President Biden’s Second Day in the Republic of Korea(ホワイトハウス・英語)

 NHKの記者(エスター・オー?)が日韓関係について質問をしています。
 一応、さらっと抄訳するとこんな感じ。

NHK「バイデン大統領は韓国と日本の近年に大幅に悪化している二国間関係を改善することについて、直接的に関与するのか否か」
高官「日韓関係の改善を強く支持していると思われます。両国もそうであると認識しています。ただ、この問題は日韓両国にとって敏感で重要な事項です。両国にとって相互に受容、同意が可能な方法で改善を行う必要性について、大統領は理解と支持を明らかにすると思われます」
高官「とはいえ、これはかねてから明らかにしていたことではありますが──アメリカの視点から改善を目指していたことは確かです。我々のもっとも近く、かつもっとも政治的な同盟国の二国間関係が強固でないことは、我々の利益にならないことは明白です。よって、我々は日韓のどちらの側からも改善するための努力のステップを踏むことを望み、支持します」

 なんともまあ、歯にものがはさまったかのような言いようですね。
 日韓関係が改善されればよいのだが、それに直接的な関与はできない。その努力を両国がするのであればアメリカはサポートしたい、というていどですね。
 要するに「日韓関係改善についてアメリカがそこまで踏みこむつもりはない」というかなり遠回しな表現です。
 「改善してほしいものの、アメリカはそれについて踏みこまない」という以前からの立場をそのまま続けるといったところ。

 クアッドについてもVoAの記者が「韓国がクアッドプラスに加わるようなことはあるのか、(日本での)クアッド首脳会談に韓国は関わってくるのか?」との質問がありまして。
 高官(誰なの)は「うーん、まだユン政権は始動して11日目。なのでそこまで言及するのはアレだよねー」というような感じではぐらかしています。

 韓国側が求めていた「ユン政権への全面的な支持」みたいな形ではないですね。
 ま、当初の予想通りと言えばそれまで。
 「日本よりも先に韓国に訪問した」意味があったかと言われると……うん、なかったですね。

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バイデン大統領訪韓、その最初の訪問地は……あー、やっぱりね

バイデン氏、韓国との経済・安保の協力強化を演説 日韓歴訪開始(毎日新聞)
 バイデン米大統領が20日、ソウル郊外の米空軍烏山(オサン)基地に到着し、2021年1月の大統領就任後初めてのアジア訪問となる日韓歴訪を開始した。バイデン氏はサムスン電子の半導体工場を視察し、韓国と先端技術分野での協力を強化していく方針を表明した。

 バイデン氏は視察後の演説で「新型コロナウイルスの世界的大流行でサプライチェーン(供給網)のもろさが露呈し、ロシアのウクライナ侵攻でサプライチェーンの重要性はさらに注目された」と指摘。その上で「我々の経済や国家安全保障は、価値を共有しない国には依存しない。韓国など価値を共有する国々と全面的に協力を強化することが、長期的な強靱(きょうじん)さや繁栄、21世紀の競争における優位をもたらす道だ」と強調した。
(引用ここまで)


 バイデン大統領の訪韓、訪日日程がスタートしまして、昨日に韓国に到着しました。
 その最初の訪問地が京畿道平沢にあるサムスン電子の半導体工場。
 演説で「サプライチェーンは重要であり、我々は価値を共有しない国に依存しない」と述べたとのこと。
 バイデン大統領、というかアメリカが韓国に求めているものがなにか分かるというものですかね。

 ユン・ソンニョル大統領も同行していたそうですが、米韓首脳会談自体は今日の午後。
 どんな共同声明が出るかは楽しみにしておきましょう。
 アメリカ側から聞こえてくる話と、韓国側から聞こえてくる話がだいぶ違っているのでどうすりあわせができたのか。あるいはできなかったのか。
 韓国の求める準常設通貨スワップ協定(危機ではないからスワップ協定ではない)は設置できるのか。
 いや、楽しみですね?


 で、韓国側は今回のバイデン大統領の訪韓を「半導体ファウンドリとして台湾追撃の踏み台にする」とかいう認識でいる模様。
 確かに一極集中を避ける、という意味ではTSMCが力を持ちすぎるのも困ったものではあるのですが。

バイデン大統領も力を注ぐ韓米「半導体同盟」…台湾追撃の踏み台になるか?(ハンギョレ)
 米国中心の半導体サプライチェーン再編は避けられない選択であり、積極的な機会にしなければならないというのが、半導体業界と専門家たちの大方の見解だ。サムスン電子とSKハイニックスは、メモリー半導体で世界市場の70%を占めるが、核心チップである非メモリー半導体では後発走者だ。非メモリー半導体の設計(ファブレス)はインテル、アップル、クアルコム、NVIDIAなどが主導し、生産(ファウンドリ)は台湾のTSMCが絶対強者だ。市場調査機関のトレンドポスによれば、ファウンドリ市場のシェアはTSMCが53%、サムスン電子が18%。付加価値の高い10ナノメートル(nm)以下の超微細工程(1ナノメートルは10億分の1メートル)ではシェアの差がさらに広がる。

 サムスン電子は、2030年に非メモリー半導体シェア1位を目標に、3年前から171兆ウォン(約17兆円)にのぼる大規模な投資に出ているが、差を縮められずにいる。アップルやインテルなど米国企業の90%は、純粋に設計どおり半導体を生産し納品するTSMCに発注する。超微細工程の技術と生産性(収率)水準も重要だが、スマートフォンや通信機器などの競争製品を生産するサムスン電子との取引を敬遠されていることが、サムスンのファウンドリ事業の構造的な限界だ。
(引用ここまで)

 記事にもありますが、アメリカが望んでいるのは「アメリカ国内でのサプライチェーンの成立」ですからね。
 それについてはTSMCも参加している。
 円安を武器に日本でもなんらかの工場誘致すればいいと思うんだがなぁ。

 ユン・ソンニョル大統領は「これはゼロサムゲームではない。中国ともうまくやっていく」と述べたとのことですが。

尹大統領「米韓首脳会談、包括的な同盟に発展するきっかけに」…バイデン大統領、きょう訪韓(Wow! Korea)

 ゼロサムゲームまではいかないにしても、陣地の奪い合いであることに間違いはなんだよなぁ。
 そして韓国がアメリカの同盟国の中ではもっとも弱い環であるからこそ中国からの攻勢を受けているわけで。

 「中国の言うことを聞きながら、アメリカとも折り合いをつける」というムン・ジェイン政権のやりかたはアメリカに通用せず、米韓関係の悪化を招きました。
 ユン政権の標榜する「アメリカに傾きつつ、中国ともうまくやる」が中国の怒りをどれだけ買うのか。
 ちょっとまだ見えない部分でもあるのですが。
 三不まで課してきた中国がそう簡単に許すとも思えないんだよな……。

 あ、そうそう。
 アメリカ側から「会談はない」とされたムン・ジェインとの面会ですが、電話会談をするそうです。
 ……だったら別に訪韓している時じゃなくてもいいとは思うのですが。

【独自】文在寅前大統領とバイデン大統領、21日に対面でなく電話で会談へ(朝鮮日報)

 まあ、韓国にいる間に電話をする、ということ自体に価値があるともいえるのか。
 退任した前大統領に挨拶する、くらいのことはするでしょうよ。
 そうした挨拶に大きな意味合いを持たせることは嫌うでしょうが。

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韓国メディア「日英欧に準じる常設通貨スワップ協定の設置をアメリカと議論している」「通貨危機ではないのでスワップ協定は必要ない」「だが協力体制必要だ」……なにを言っているのかさっぱりですわ

韓国大統領室幹部「米韓は通貨スワップに準ずる協力推進」(韓国経済新聞・朝鮮語)
韓米両国が、外国為替市場安定のために通貨スワップに準ずる協力を議論していると韓国政府が明らかにした。

金泰孝(キム·テヒョ)国家安保室第1次長は18日、ソウルの大統領室で開かれた記者会見で「韓米首脳会談で通貨スワップ協議が進められるか」という質問に対し、「実質的には(両国間で)議論が行われると理解すればいい」とし、「韓米間の金融や通貨、財政などに関する議論だ」と述べた。韓米首脳会談で「金融と外国為替市場の安定などについて韓米両国がいかなる危機にも迅速に協力できる方策を議論している」と付け加えた。 (中略)

基軸通貨国である米国との通貨スワップは韓国経済が危機に陥った度に「安全弁」の役割をした。 韓米通貨スワップは2008年の初締結以後、3回延長されたが、昨年12月に追加延長がなされず終了した。

政府内外では、スワップに準ずる協定なら、韓国が米ドルを十分確保できるよう、ウォンとドルを交換する別途のチャンネルを設ける方式になるだろうという見方が出ている。 スワップという表現を使えば海外投資家が「韓国経済が危機状況に直面した」と誤解する恐れがあるため、他の方式を推進しているという説明だ。 政府関係者は「今のように為替レートが高止まりする時、米国と通貨スワップを結べば当然良いが、切実な状況では絶対にない」と話した。
(引用ここまで)


 ええっと……。
 「現在、韓国は通貨危機でもなければ、切実な状況でもないので通貨スワップ協定は必要ない」
 「だけども米韓首脳会談で通貨スワップ協定に準じた制度について話し合う」

 ……ええっと?

 ちなみにこの「通貨スワップ協定に準じた〜」という話ですが、他のメディアでは「常設スワップ協定に準じた制度」となっています。

韓銀・FED、「常設」に近い通貨スワップラインを作る(イーデイリー・朝鮮語)

 アメリカが日本・カナダ・EU・イギリス・スイスといった国々の中央銀行が行っている、無期限・無制限の通貨スワップ協定があるのですが。
 これに準じたものが米韓間で結ばれるだろう、とされています。


 というか、そうした協定が結ばれることが前提条件として米韓首脳会談が行われるとでも言いたげなのですが。

 その一方で韓国大統領府は「日米韓での合同軍事演習への言及はない」「THAADミサイル配備についての話もない」「ウクライナへの武器供給についても話はなかった」としています。
韓国大統領室 「米が韓米日軍事訓練を要求」報道を否定(聯合ニュース)

 シンシアリーさんのところでも「これじゃ三不ならぬ三無だ」とのエントリが上がっています。

 どれも実際にアメリカ側が韓国に求めてきた話ですね。
 THAADミサイル配備問題については、せめて現行の部隊への扱いをなんとかしろとエスパー国防長官がキレたなんて話もあったほどです。
 それら要求に応えることはなにもなく、「常設の通貨スワップ協定に準じる協定」をアメリカに求める……のですって。

 うん、まあ……なんだ。
 保守政権になったってだけでそこまでの要求ができるものなのか、とりあえずやってみるとよいと思いますよ。

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アメリカ「バイデン大統領の訪韓時に軽くムン・ジェインにも挨拶しましょうか?」→韓国側「蔚山までバイデンがムンに会いに来るぞ!」「北朝鮮特使に任命するつもりだ!」→アメリカ「あ、やっぱいいです」

議論だけ生み不発に終わった文前大統領とバイデン大統領の会合…いったい何があったのか(中央日報)
文前大統領側によると、バイデン大統領との会合と関連した議論は3月9日の大統領選挙前の2月から進められていた。 (中略)

「バイデン大統領が提案した会合は昨年合意した韓米共同宣言の連続性を再確認し、互いに謝意を示す次元だった。最近一部で出ている対北朝鮮特使議論をはじめ、バイデン大統領が梁山(ヤンサン)を訪ねて文前大統領に会うだろうなどという主張は全く事実関係と合わない」とした。

外交界では「双方が推進した会合の背景や趣旨とは全く異なる主張が出てきた先週末を基点にホワイトハウスで文前大統領との会合に対する否定的な気流が大きくなったものと理解する」という話が出ている。
(引用ここまで)


 あー、これでなんとなく分かってきた感じがしますね。
 表敬訪問的に、ムン・ジェイン前大統領に対して「お疲れ様でした」と声をかけるくらいのことがしたい、としていたアメリカ側の意向があったと。
 これくらいならばまあ、あり得る話。

 そこに韓国のおそらくは共に民主党側が大きな意味づけをやりすぎたということでしょうかね。
 ムン・ジェインがソウルにきて30分とか話して終わり、というイメージだったものに対して「いや、そうじゃないのだ」とやろうとした。
 「バイデン大統領が(ムン・ジェインが引っ越した)蔚山に訪問する」だの「ムン・ジェインにアメリカの北朝鮮特使として向かってほしいという役割を頼むのだ」といった感じで話を膨らまそうとした。


 ユン政権になって、共に民主党が無視されるような事態にならないように「偉大なる前大統領ムン・ジェイン」とでもいうべき位置づけをバイデン大統領の手で行わせようとしたわけです。
 秀忠に対する家康のように、ムン・ジェインについて「大御所」であるというような意味合いを持たせようとしたのでしょう。
 「アメリカの大統領が敬意を持って会いに来た」という意味づけを求めたと。
 当初から大統領府の関係者が「バイデン大統領の訪韓時には、ムン・ジェイン大統領に会いたがっているんだ」とかリークしてましたからね。

 で、アメリカがそれを嫌って「じゃあ、ムン・ジェインとの面談はなしということで」となったと。
 アメリカとしたら共に民主党のそんな策略に乗ってやる理由はなにもありませんしね。
 そりゃまあ、避けるわな……。

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