相互RSS募集中です

カテゴリ:労働争議の記事一覧

まだまだ続く韓国の医療ストライキ、それでも韓国政府は「ストを続けるなら医師免許停止」と強硬姿勢のまま

カテゴリ:労働争議 コメント:(37)
大型病院は重症・救急患者の診療に集中 総合病院との協力強化へ=韓国(聯合ニュース)
 韓国保健福祉部の朴敏守(パク・ミンス)第2次官は22日、中央災難(災害)安全対策本部の会議で、大型病院が重症・救急患者の診療に集中できるよう、上級総合病院と総合病院間の診療協力体制を強化する内容を議論したと明らかにした。

 大学医学部の入学定員拡大を巡り政府と医師側の対立が続く中、政府は診療協力体制を強化するため、上級総合病院と協力体系を構築する総合病院100カ所を「診療協力病院」に指定し、運営に必要な指針を配布した。

 患者の転院を支援する「診療協力センター」にスタッフが追加配置されるよう、人件費も支給する。21日までに上級総合病院21カ所に85人、診療協力病院100カ所に150人の転院担当スタッフが追加配置されたことが確認された。

 25日からは上級総合病院が患者を転院させる際、患者に最も適した病院に移送できるように協力病院が保有する病床の種類や診療科目などの情報を確認できるようにした。電算システムが改編される来月からは、これらの情報をリアルタイムで照会できるようになる。 (中略)

 一方、政府は必須医療分野で診療を受けられない患者が出ないよう、引退した「シニア医師」も積極的に活用することを決めた。
(引用ここまで)


 韓国の大病院は軽症患者でもなんでも受け入れている状態なのですね。
 かつて日本の大学病院などもそんな感じだったのですが、現在は「まず最寄りの医院にかかってもらって、紹介状をもらうのであれば大病院」といったシステムになってますね。

 韓国ではそういったシステムが整備されておらず、どんな軽症であろうとも受け入れなければならないのです。
 誰もが「ビッグ5」と呼ばれる大病院に行きたがるんですね。
 さらには軽症になったので退院・転院を促しても、患者側が応じようとせずに大病院に居座り続けるなんてことも起きています。
 で、今回の医療ストライキがきっかけになって、そんな状況をようやく是正することになったとのこと。
 塞翁が馬って感じですかね。


 その一方で医療ストライキはまだまだ続いています。

業務開始命令に背いた研修医 来週から免許停止=韓国政府(聯合ニュース)
医学部教授側 辞表提出の25日以降は週52時間に勤務縮小へ=韓国(聯合ニュース)

 1万人を超える研修医が辞表を出している(現場を離れているかどうかはまた個別問題)状況ですが、韓国政府はそれらの研修医に業務開始命令を出しています。
 これに背いたら医師免許停止。
勤務に1カ月以上空白が生じた場合は規定に基づき追加で研修を受けなければならない。追加研修期間が3カ月を超える場合は専門医資格の取得時期が1年遅れる可能性があり、今月から勤務していないレジデントが免許停止3カ月の処分を受ければ、専門医資格の取得にも支障が出ることになる。
(引用ここまで)

 それでなくても医者は複数年の浪人が多いんですが、この医療ストライキでさらに1年の遅延。
 まあ、医者に定年はないので生涯で稼ぐ額にそこまで影響はないのかもしれませんが。
 上から「ストライキしろ!」って言われてるんでしょうね。
 キャリアを犠牲にしてでも、従わないとダメって社会なんだろうね。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国政府、現場を離れた研修医5000人に医師免許停止処分を通知→ソウル大学医学部教授「だったら我々も全員辞める!」……1ヶ月後の総選挙もあるのでどうなることやら

専攻医4944人に免許停止処分通知…軍医・公保の投入(聯合ニュース・朝鮮語)
1万2000人に近い専攻医が病院を離脱した中、政府が約5000人に免許停止など行政処分の事前通知を終えた。 政府は上級総合病院に公衆保健医(公報医)と軍医を派遣し、復帰したり復帰を望む専攻医の被害を防ぐための専攻医保護·申告センターを運営することにした。 (中略)

福祉部は12日から専攻医保護·申告センターも運営する。 電話や携帯メールで被害申告を受け付け、専攻医が要請する場合、他の修練病院で修練できるようにし、事後に不利益を受けるかどうかを調べる予定だ。 チョン室長は「医療現場を守っている専攻医と患者のそばに復帰を希望する専攻医が集団いじめなど直接·間接的に体験できる被害を防止するための措置」と説明した。 (中略)

福祉部は専攻医に向かって「行政処分の手続きが完了する前まで復帰するなら、情状を参酌する」と明らかにした。
(引用ここまで)


 「医大、医学部の増員反対」を唱えて職場から離脱した専攻医(日本での研修医に相当)1万人のうち、約5000人に対して韓国政府は医師免許停止処分を通知したとのニュース。
 3ヶ月の免許停止が行われることで専攻医としてのキャリアを積めず、さらに1年間は専攻医として下働きをさせられることになるわけです。
 ま、自業自得でしかないですけどね。

 で、ソウル大学の医学部教授らがそれに対して「学生らの危機を座視することはできない」として集団辞職を決定。

政府「ソウル医大教授全員辞職決定、患者の生命・健康脅威」(聯合ニュース・朝鮮語)

 患者を蔑ろにする決定に対して、世論はさらに悪化している状況だったりします。
 この記事には1700を超えるコメントがついています。
 ちょっとした大事件並みのコメント数。
 ざっくりと見た感じでは8割ちょっとくらいは医師側を責めるコメントになっています。


 残りの20%弱くらいは「政府の姿勢にも問題がある」とするものですが、まあ少ないですかね。
 実際、与党や政権支持率が上昇している理由のひとつが医療ストライキに強硬姿勢であたっていることが挙げられています。
 総選挙まであと1ヶ月を切ったいま、いまさら強硬姿勢を取り下げることはできないでしょう。

 問題はソウル大学医学部に続いて全国の医学部教授らが同じような行動に出るのかどうか。
 そして医療ストライキでの「犠牲者」が出てからがどうなるか。

 犠牲者が出た際に医療ストライキへの反感が政府に向かうのか、医師側に向かうのかで情勢が決まるんじゃないかなと思われます。
 現状だと「現場を放棄した医師」に非難が集中すると思われますが。
 まあ、ひとつのパラメータで結果分岐なんていくらでも変わりますからね。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

医療ストが続く韓国でまた医師からの暴言、「判事・検事は文系、医者よりも下だ」……まあ、実際の社会的地位もそうですけどね

カテゴリ:労働争議 コメント:(78)
韓国・繰り返される医師の「暴言」…「判事・検事は文系、理系の医師より下」(KOREA WAVE)
韓国政府による医学部増員方針に反発し、医療界が騒然となる中、ある医師が「判事や検事は、医師より下だ」という書き込みを掲載し、議論を呼んでいる。

オンラインコミュニティに書き込んだ医師は「判事や検事は医師の下に存在し、所得の格差も大きい。文系の人らより勉強ができる理系で1位になった子どもたちが医者になるのだ」とし、「文系は数学をあきらめたバカたちだ。その中で1位になったことの何がすごいのか」と主張した。
(引用ここまで)


 「判事、検事は文系、理系の医師よりも下の存在」と、医師の集まるSNSで書きこみがあったとのニュース。
 うん、すごい韓国のヒエラルキーを感じる話。
 前もちらっと書きましたが、すべての大学の医学部からまず定員が埋まるのですね。
 で、そのあとからソウル大学の○○学部が埋まっていくのが韓国の基本。
 スーパーエリートはほぼすべて医学部、医大に入るのです。

 で、「文系は数学ができないヤツらの逃げ場所」っていうのが理系側の一般的な認識。
 実際問題として文系の新卒がストレートに就職できる可能性は10%とかですからね。

韓国経済:文系卒業生の就職率は10%?(楽韓Web過去エントリ)

 圧倒的に理系が有利になっている社会なのです。


 収入はもちろん、社会的地位においても同様。
 元医師が政治家になることは少ないですが、弁護士や検事が政治家になることはよくあるってだけでも格差があることが分かるんじゃないですかね。
 ムン・ジェイン、イ・ジェミョン、ノ・ムヒョンが弁護士出身、ユン・ソンニョル、ハン・ドンフンが検事出身。

 なので、「TOEIC990点(満点)」一芸入試で入るのも医学部
 ソウル大学に入れなくても医学部に入れればいい、ってなってしまうわけですよ。

 で、そんなスーパーエリートらが「オレらが反対している政策を押し通すつもりか?」ってなっているのが現在の医療ストライキ。
 自分たちの意見は通って当然のところにいる人々なのですよ。
 まあ、こうした事態にはなるかなって感じ。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国医療ストライキ、「日本も医学部定員を減らしているのに韓国で増やす必要はないはずだ」……あ、それフェイクニュースです

カテゴリ:労働争議 コメント:(49)
「日本も医学部の定員を減らしているのに、韓国はなぜ?」…「偽ニュース」が広がった理由(韓国経済新聞・朝鮮語)
日本は1960年代、医学部の定員が現在の韓国と同様の3000人水準だった。 経済と人口成長によって着実に医学部の定員を増やし、1981年には8280人に達した。 以後、成長率が下がり「医師過剰供給」指摘が出てくるや定員を多少減らしたりもした。 それでも07年まで7625人を維持した。 (中略)

日本政府は08年168人の増員を皮切りに、毎年定員を増やしてきた。 07年と今年を比べると、17年間で1778人(23.3%)増加した。 日本もやはり核心は地域医師、必須医療医師の不足だ。 単に医師数を増やすだけでなく、「地域義務勤務」制度などを導入して奨学金を与え、一定期間(9年)医師が少ない特定地域で勤務するようにする。 (中略)

国内では医学部の定員拡大に反対する医療界を中心に「日本は医学部の定員を減らす」という主張が広がっている。 「日本も減らすのに韓国はなぜ増やすのか」ということだ。 一部のメディアは、この主張を事実のように報道している。

「偽ニュース」が出回る背景は日本厚生労働省の資料を歪曲したためだ。 厚生労働省は、毎年「医療従事者の需給に関する検討会」を開き、今後の政策方向の参考とする。 検討会では毎回「医学部の定員を減らそう」という主張が出ているが、会議出席者の相当数が医師団体代表など医療界の関係者だ。 日本政府の会議ではあるが、医師が集まって展開した主張を政府政策で歪曲しているというのが専門家たちの指摘だ。

日本政府も同様に、いつか医学部の定員を減らさなければならないということに共感している。 今のように意思を増やせば2029年には「需給均衡」を成し遂げた後、以後「超過供給」に転換されるという展望に従ってだ。 しかし、今は減らす時ではないというのが核心だ。

むしろ日本国民、医大生は医大定員縮小に反対している。 日本の医師の40%が過労死の危険に直面しているほど、依然として医師が不足しているという認識の方が多いからだ。 「働き方の改善」が前提になってこそ医大定員を減らすか検討するというのが日本政府の公式方針だ。
(引用ここまで)


 医療ストライキはまだ継続中。どこまで行くのか不明ですが、あまりにも現場の人手が不足していて、看護師が死亡宣告とかしているって状況だそうです。

死亡宣告も看護師がする…医師業務の無分別な転嫁が深刻な病院も=韓国(中央日報)

 ちょっと前にも語りましたが、韓方医(漢方薬や針灸を担当する伝統医)や薬剤師の役割について大きく範囲を拡大しようとの動きがあります。
 それと同様に看護師の役割も大きくしようとしているのでしょうね。
 専攻医がやっていた業務を看護師が行うことができる、との方向性になっています。

韓国、きょうから看護師も一部医師業務…医協「不法医療」反発(中央日報)

 専攻医らが医学部増員に反対したままで動かないのであれば、どんどんと役割を削っていこうとの意向ですね。
 完全にチキンラン状態。


 んで、反対派からは「日本は医学部・医大の定員を減らしているのに、なぜ似たような状況にある韓国が定員増しなければならないのだ」って声が上がっていまして。
 まあ、完全なフェイクニュースなのですね。

 日本の医師不足は現状でも深刻ですから、9420人の定員を見守っているってところ。
 韓国の増員前のざっくり3倍強ってところです。

 溺れる者はわらをも掴むって感じで「人口減の日本の事情」にすがりついたのだけども、フェイクニュースだったっていうね。
 それくらい専攻医らは追いこまれているって状況なのです。
 ユン政権がここまで頑なに要求を拒むとは思ってもいなかったのでしょうね。

 このまま専攻医(研修医に相当)としてのキャリアが積めないのであれば、日本やアメリカといった海外に行くみたいなことを言っている専攻医もいるようですけどね。

「米医師試験の問い合わせも7倍」…辞職した専攻医、病院に就職できるのか=韓国(ハンギョレ)

 まあ、カルテを英語で書いているほどには韓国の医者は英語が話せる(なんなら日本人患者も英語でやりとりできるくらい)のですが。
 それでも「アメリカ(日本)で医者になる」のは相当にハードルが高いとは思いますよ。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国の医師「定員を60%も増やしたら大学の授業負担で質が下がる!」→大学側「キャパあるので定員は2倍に増やします」

カテゴリ:労働争議 コメント:(66)
「世界最高の病院」韓国病院17カ所がランクイン…日本と違って「首都圏一極集中」(中央日報)
韓国の多数の病院が米時事週刊誌ニューズウィークが選んだ世界最高の病院ランキング入りを果たした。ランキング入りした病院の半分ほどが地方に位置していた日本と違い、韓国は1カ所だけに集計され「首都圏一極集中」が目立った。

5日、ニューズウィークがホームページに公開した「2024世界最高病院(World's Best Hospitals 2024)」ランキングによると、250位以内に計17の韓国病院が名を連ねた。ソウル峨山(アサン)病院が22位、サムスンソウル病院(34位)、セブランス(40位)、ソウル大学病院(43位)、盆唐(ブンダン)ソウル大学病院(81位)、江南(カンナム)セブランス病院(94位)など首都圏の「ビッグ5」病院がランクインした。 (中略)

首都圏の外にある病院としては「大邱(テグ)カトリック病院」だけだった。「首都圏一極集中」が著しかった。 (中略)

一方、韓国より少ない15の病院がランキング入りした日本は状況が異なった。(中略)15カ所のうち7カ所が首都圏の外に位置する病院だった。倉敷中央病院と神戸市立医療センター中央市民病院を除く5カ所が「地方国立大学病院」だ。
(引用ここまで)


 韓国で医療ストライキが起きている最大の理由が「医学部・医大の定員増加に反対」とするものでしたが。
 ふたを開けてみたらすべての医学部・医大が定員増を申請していて、韓国政府の想定していた2000人をはるかに超える増員になってたとの話。

3401人…韓国40の医学部すべてが増員申請、政府の2000人増員案を大幅に上回る結果に(朝鮮日報)

 どの大学もそのくらいのキャパは捻出できると考えたと。

 で、冒頭記事は「韓国の医療体制が大きく首都圏に偏重している」とするもの。
 医学部拡充の最大の理由は「地方の医療体制を整えるため」でしたが。
 さすがにここまで偏重しているのであれば、それを是正するための措置は必要になるでしょうよ。


 首都圏以外で唯一、トップクラスの医療機関とされているのが大邱のカトリック病院。
 そういえば、韓国で最初に新型コロナのアウトブレイクがあったのが大邱でしたが。
 その際に楽韓Webでは「大邱は人口がそこそこある第4の都市だけれども、その分医療体制が整えられていた。かつ、近隣から応援が行きやすい状況だったのでなんとかなった」といった旨の話をしたことがあります。
 それが裏付けられたってところでしょうかね。
 こんなところでも第2都市であるはずの釜山の影の薄さときたら……。

 定員を3400人増やすってことは現状のほぼ倍になるということです。
 じゃあ、10年後20年後に地方の医療体制が2倍よくなるかっていうと、そんなことはないでしょうけどね。
 いまと同じで大半が美容関連の方向に行くのは間違いない。
 でもまあ、やらないよりはマシではあると思います。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国で続く医療ストライキ、「スーパーエリート」対「一般世論」の対決になりつつある模様

[コラム]ソウル大学医学部のキム・ユン教授はなぜ医師たちの「公敵」になったのか(ハンギョレ)
 韓国の医大生はどうか。3年前に与党「国民の力」のキム・ビョンウク議員室が入手した韓国奨学財団資料によると、2020年の全国の医学部の新入生のうち、所得1~8区間の該当者は19.4%だった。所得9・10区間が80%を超えているということだ。一方、米国のある研究によれば、米国の医大生の50%程度が所得上位20%だった。

 裕福だからといって医師としての使命感に違いはないだろう。私教育をはじめとする投資がいくら多かったとしても、患者よりお金を優先する医師が多いとも思わない。

 しかし、医学部増員が推進されるたびに極端に噴出する医師たちの反発が、金儲けとは無関係だと考える国民はほとんどいない。少なくとも、医師集団が今回、保険料非給付項目の抱き合わせを防ぐための混合診療の禁止をはじめとする必須医療パッケージの白紙化まで要求しなかったならば、一定の理解を得られたかもしれない。給与の安い専攻医の長時間労働ばかりに依存する病院、そのような犠牲を当然視する政府と社会、経済協力開発機構(OECD)平均の2.6倍である1人あたりの外来診療、必須科が忌避科になって美容・整形科だけが盛んになる構造が、本当の問題だと考えてはいるのか。そうであるとすれば、政府に物言いをするだけでなく、必須医療パッケージを支える財政計画と具体的な目標を約束するよう圧力をかけるのが常識だ。「2000人」を固守し強硬な態度を貫く政府の対応と、当面は医学部志望の偏りがもっと激しくなるであろうことへの懸念は強いが、既得権をただの一つも手放すまいとする医師集団の「素顔」を目の当たりにした世論は、簡単には医師たちの肩を持つようにはならないだろう。 (中略)

 ソウル大学医学部のキム・ユン教授(医療管理学)は、医師たちの「収入」問題を赤裸々に指摘してきた唯一の医療界の人物だ。先月の文化放送(MBC)の番組「100分討論」では、医師の供給不足を説明し、2019年に2億ウォン(約2300万円)ほどだった総合病院勤務の年収が最近は3億~4億ウォン(約3400万~4600万円)に増えたと述べ、医師たちの反発を買った。討論直後に大韓医師協会(医協)は「教授、教え子がなぜ行動するかをご存知ですか」と題する新聞広告を出し、キム教授を事実上公開の場で攻撃した。昨年10月には、キム教授は先進国における様々な社会的・経済的なバックグランドを持つ医師を選抜する努力に言及したニュース1のコラムで「成績上位1%だけが実力のある医師になれるという主張は、(医師たちが自分の)収入を守るためのフェイクニュース」だと書き、医療界をざわつかせた。医協は懲戒方針を明らかにし、大韓開業医師協議会は、キム教授が参加するすべての会議に参加しないという声明を出した。 (中略)

 最近、医学部増員に賛成したり専攻医の病院離脱に反対する医師たちの声が出始めてきたが、ほとんどが匿名だ。「裏切者」のレッテルを貼る医師たちの集団文化がそれだけ強固かつ暴力的であるためだろう。SNSのコメント欄などでキム教授に向けられる攻撃と非難は日常になった。「同期や先輩後輩とあからさまに戦うのは避けようとしてきた。遠まわしに言ったり、留保的な条項を付けたりしていた。だが、医師集団に所属しているという考えから抜け出そうと決心したので、本当に自由になった」
(引用ここまで)


 ちょっと前に「労働争議であればなんでも擁護してきた左派紙ハンギョレすらも、現在の医療ストライキについては少なくとも支持していない」との話をしました。
 これがどれだけの話かというのはなかなかに語りにくい。
 ハンギョレの基本方針は暴力デモであってですら擁護。
 「造反有理、革命無罪」を地で行くような論陣を張っているのがハンギョレであり、韓国の左派の基本方針なのですね。

 そんな彼らですらも医療ストライキに対しては中立的な立場を表明してしまう。
 政府方針に対してちょっとした文句を言うものの、それ以上のことは述べない。
 なんだったら「専攻医(日本での研修医に相当)は辞表を出したなら、兵役にすぐにでも行け」くらいの記事を書いてしまう。

韓国左派紙すらも「医療ストライキ」に対して冷ややかな視線、「医者を辞職したならすぐにでも兵役に行け」とまでいわれてしまう(楽韓Web過去エントリ)

 それくらい韓国全体からは医療ストライキは冷ややかな目で見られていると言えると思います。


 んで、今回のハンギョレのコラムは「医療関係者は象牙の塔に引きこもっていないか」とするもの。
 ソウル大学医学部教授が内部告発的に医療界の歪みを語っていることに対して、医療関係者は「あいつハブしようぜ」とか「この報告書を書いたのは誰だ!」ってやっているっていう。

 昨日も書きましたが、韓国のエリートは90%以上が医学部に進みます。
 ソウル大学医学部を頂点として、まず医学部・医大の定員が埋まり、そこからソウル大学○○学部が埋まっていくというイメージ。
 スーパーエリートだけがいる、いわば「超象牙の塔」が形成されているのです。
 そこに韓国のウリ(我々の意。ここでは強烈な仲間意識)文化が加わってえらいことになっている。
 出身世帯も所得上位20%に属するところが8割超。

 自分たちの既得権を侵害するようなものは排除されて当然、とのスーパーエリート意識に溢れているし、ウリ文化の中でそうした意識は敬意をもって対応されて当然との状況になっているのですね。
 彼らは韓国社会において圧倒的強者、圧倒的「甲」なのです。
 なので「患者を放置してストライキに入っても問題ない」って話になっている。
 ハンギョレであってですら「それはちょっと……」ってなっているわけです。

 なんなら支持率が低下していたユン・ソンニョル政権への支持が高まる状況にすらなっている始末。
 世論は「大学定員を増やし、医療ストライキに立ち向かうユン政権」を支持しているのですね。

尹大統領の支持率39% 5ポイント上昇=与党39%・最大野党32%(聯合ニュース)

 最後の最後まで世間との乖離に気がつくことなく終わるのでしょう。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国の医療スト、研修医だけでなく教授クラスの専門医まで「医学部増員反対!」と参加へ、泥沼化の模様

カテゴリ:労働争議 コメント:(63)
医学部の教授まで「集団行動」の兆し…ソウル大学病院、病棟統廃合検討(聯合ニュース・朝鮮語)
政府の業務開始命令にも復帰しない専攻医に対する大規模免許停止などが差し迫った中で、医科大学教授の間でも「異常気流」が広がっている。
医大の教授たちは専攻医懲戒と医大増員に反発して共同声明を出し、剃髪式を断行した。 辞職の意思を明らかにした意思まで相次いでいる。 (中略)

剃髪式で教授たちは「先週行った教授会議で77%が医大増員申請を拒否するという意見を表明したが、これを全く反映しなかった」と抗議した。
江原大学は既存の医大定員49人の3倍に迫る140人に増員してほしいと教育部に要請した。

ソーシャルメディア(SNS)を通じて辞職の意思を明らかにしたり、実際に辞職届を提出した教授たちも相次いだ。 (中略)

ただし、彼らの辞職届は受理されなかったと伝えられた。

先立って延世大学と高麗大学医学部の教授たちも「弟子たちに対する不当な処罰が現実化すれば師匠として絶対に座視しないだろう」と警告した。 (中略)

現在、専攻医たちが去った空席は教授たちと専任医たちが埋めているが、教授たちが兼職を拒否すれば、その空白は手の施しようもなく大きくなる。

専任医の現場離れも加速している。
「専任医」は専攻医課程を終えて専門医資格を取得した後、病院で細部診療科目などを研究しながら患者を診療する医師をいう。
診療経験などが多いため、専攻医よりも重要な役割を病院で遂行する。

ところが「ビッグ5」と呼ばれるソウル市内の大型病院でさえ専任の離脱規模が大きくなっている。
(引用ここまで)


 韓国政府は2000人の医大・医学部の増員を成功させて、かつ7000人以上の専攻医(日本での研修医に相当)を免許停止3ヶ月へすることで終結するかと思われた医療スト。
 まだ専任医(専門医に相当)が待ち構えている。
 「俺たちの戦いはここからだ!」って状況に後戻り。

 専門医が辞表を出すことで、さらに混沌と化していく感じですかね。
 すでに大学病院を含めて病院が業務を縮小しています。

[単独]ソウル牙山病院、看護師など「無給休暇」の申請を受ける… 集団離脱の影響(ニュース1・朝鮮語)

 いわゆるレイオフを募集中。
 救急車で来ても数時間待ちなのだそうです。


 かつて「教師にだまされてソウル大学に合格させられた」として、「医学部を受験させろ」って言っていた高校生がいましたね。

医学部に進めなくなってしまうのであれば、ソウル大学合格も人生の邪魔!(楽韓Web過去エントリ)

 韓国ではソウル大学の○○学部よりもランクの低い大学の医学部のほうが上なんですよ。
 なんなら「すべての医学部の定員が埋まってから、ソウル大学の定員が埋まる」とされるレベル。歯学部、薬学部も優先されるかな。
 修能試験で満点と全国首席のふたりとも医学部志望。しかも、満点でもソウル大学の医学部には入れないので、延世大学の医学部に行くとしてましたね。

 そのくらいに「医者になる」ことは最難関を通り抜けて、ようやくたどり着ける職業なのです。
 そうした全能の人々が自分の地位を脅かされるとしてストライキをしている……というわけですが。
 まあ、さすがに通用しないわな。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→

韓国の「医学部定員増」に反対した医療ストライキ、政府の大勝利で終わる模様

「本当にやるとは」…7000人の免許停止に専攻医の心境「複雑」(国民日報・朝鮮語)
政府が「専攻の復帰」デッドラインに定めた期限が過ぎるやいなや専攻医数千人に対する免許停止措置に突入した。 医療界は表面的には「免許停止をしても構わない」と毅然とした姿を維持しているが、内部的には検察の召喚調査に同行する弁護士を探すなど生存法を探している。

4日、チュ・スホ医協非常対策委言論広報委員長は「政府の行政処分などで専攻医が実際に不利益を受けることになる瞬間、その怒りは耐えられなくなるだろう」とし「すべての医師が政府と大きく戦わざるを得ない状況が生じかねない。 政府はこの辺で止めなければならない」と述べた。

医協側のこのような発言は、この日の保健福祉部の「強硬対応」方針に対する反応と見られる。

この日、パク・ミンス第2次官は定例ブリーフィングで「政府は現場を点検し、違反事項に対して法と原則に従って対応する」とし、「特に医療現場の混乱を招いた集団行動の核心関係者に対しては厳正かつ迅速に措置する」と明らかにした。

パク次官は「政府の業務開始命令に違反すれば少なくとも3ヶ月の免許停止処分が避けられない」として「3ヶ月免許停止処分を受ければ専攻医修練期間を充足できず専門医資格取得時期が1年以上遅れる。 また、行政処分履歴とその理由は記録されるので、今後各種就職に不利益を受ける可能性もある」と警告した。

パク次官は、医療現場を離脱した人々に対して善処のない免許停止処分が行われると予告した。 (中略)

それと共に「先月29日が処罰を免れるデッドラインだったが、今日から現場点検をするので、その前に復帰したとすれば処分にかなり考慮されるだろう」とし「今日の点検で不在が確認されれば明日すぐに事前通知をする予定」と説明した。

パク次官が言及した「業務開始命令違反」専攻医数は7854人に達する。 (中略)

過去の医師既得権を巡る紛争がある度に、政府と戦って勝利してきた経験が今回は通じないという危機感が頭をもたげる雰囲気だ。 (中略)

最近、集団行動のレベルでインターンを辞めたある医師は、「医師は代替不可能な職域であり、私たちがいない時間が長くなるほど医療界の混乱が大きくなるということを政府も知っているので、絶対に大々的な司法処理ができないという雰囲気が大きい」とし、「もし不利益を被ることになっても、何とか救済してくれるという信頼があったが、今の雰囲気を見れば、皆が救済を受けることはできないかもしれないと思う」と国民日報に話した。
(引用ここまで)


 医療ストライキがクライマックスを迎えつつあります。
 今回、医療ストライキに参加して辞表を提出した専攻医(日本での研修医相当)で、かつ韓国政府が設定した期限(昨日)までに復帰しなかったのが7854人。
 このすべてに韓国政府は「医師免許停止3ヶ月」の処分を行うだろうとアナウンスしました。

 医師協会側、韓国政府側のどちらも強硬姿勢を崩さないままでした。
 医師側は3日に4万人参加(団体発表。警察発表は1万2000人)のデモが行われました。

韓国、医学部定員増で反対集会 医師ら4万人参加(日経新聞)



 記事にもありますが、これまで医師側は「医療ストライキをすれば全戦全勝」でした。
 7000人以上の研修医に処罰はできないだろうと高をくくっていたっぽいですね。


 実際、これまで覚えているだけでも2回くらい医療ストがあったと思いますが、ほぼ医師協会側の勝利で終わっていました。
 記事中にあるようにムン・ジェイン政権時代にも同じように定員増員をやろうとして引っこめさせたことがありますね。

 ただし、今回の韓国政府は断固として「医大・医学部の定員増加をする」政策を引っこめませんでした。
 ムン政権ではできなかったことを、って部分もあるのかな。
 すでに大学側に来年の定員増を要請しているとのこと。

 で、「患者を放置した医者を許すわけにはいかない」として、辞表を出した上で現場から離脱した医師を3ヶ月の免許停止。
 ただし、「これから現場のチェックに入って、いなかったら免許停止」なので駆け込みで現場復帰する可能性もまだあるかな。

 今回、韓国政府がここまで強硬姿勢を崩さなかったのはちょっと意外でした。
 ユン政権だからこそできたって部分もあるのだろうなぁ……。

Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→