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カテゴリ:労働争議の記事一覧

韓国レジデント医「政府が医者増員をやめないなら、こっちが辞めてやる!」と大規模ストライキ敢行! → こっそりと現場に復帰していた模様

カテゴリ:労働争議 コメント:(35)
辞職した韓国研修医9198人の半数超、4640人が医療現場に復帰【独自】 医学部定員増問題(朝鮮日報)
韓国政府が進める大学医学部定員増に反発し辞職した研修医(レジデント)のうち、医療機関の一般医として再就職した割合が50%を上回っていることが25日までに分かった。この結果、現場の病院や診療所に勤務している一般医は今回の騒動後、大幅に増えたことになる。救急患者や重症患者の治療を専門に担当する上級総合病院に勤務する一般医も同様に小幅に増えていた。

 韓国保健福祉部(省に相当)によると、今月18日時点で辞職が確定した研修医は9198人だった。うち医療機関に再就職し医師として勤務している研修医は4640人で、全体の50.4%を占めていた。2カ月前の今年9月(3114人)に比べて49%増だ。

 韓国政府が今年6月に研修医の辞職願受理を認めて以来、医療機関に再就職する研修医は徐々に増加している。とりわけ総合病院や病医院に勤務する一般医が一気に増加した。健康保険審査評価院によると、一般医全体では今年4-6月期の6624人から7-9月期には9471人と約43%増加した。総合病院級の一般医は236人から689人、病院級の一般医は253人から731人へといずれも3倍近い増加を示した。医院級の一般医は4678人から6331人へと35.3%増だった。

 研修医が主に研修を受ける上級総合病院級の一般医も同じ期間に203人から223人へと約10%増加した。上級総合病院の一般医は病院の検査室など専門医の資格がなくとも可能な医療行為などを担当している。ただし今月21日の時点で研修が行われる病院に勤務している研修医は1073人で、全研修医1万463人のうちわずか10.3%にとどまった。
(引用ここまで)


 「政府の医学部増員に反対する!」として専攻医(日本でいうところのインターン、研修医)が大量辞職(辞表を出して勤務拒否)したのですが。
 その後、約半数が一般医として勤務を再開しているとのニュース。

 韓国では以下のような経緯で専門医になると「いっぱしの医師」となることができます。

・医学部合格してから国家試験に合格。
   ↓
・インターンを1年間行い、さまざまな診療科で専攻を決定
   ↓
・4年間、特定の診療科で診察業務を行う(専攻医)。
   ↓
・専門医として3億ウォン↑の年俸がもらえるようになる。

 とまあ、こんな感じ。
 「専攻医」時代は週77時間労働でかつ大した報酬(月給400万ウォン)ももらえないのですが、4年間を耐え忍ぶことさえできれば「ソンセンニム(先生様)」として韓国の頂点に立てるわけですね。
 皮膚科や美容整形でうまく広告を出せれば3億ウォンどころではないってことでもあります。


 ところが韓国政府が「医学部増員するぞ!」ってやりはじめて、「ソンセンニム」としての立場が揺るがされているとして、専攻医が「許せん!」とばかりにストライキをはじめたのですよ。
 ……どう考えても専攻医の研修期間を長引かせているだけなんだよなぁ。
 記事にあるように一般医として勤務してても、専門医ほどに儲けられるわけでもないですしね。
 個人としての利益をすり潰してストライキにつきあっているようにしか見えない。

 あと医学部の学生も授業をボイコットしているのですが。
 そうやって出遅れれば遅れるほど最終的な生涯所得を無駄にしている。せっかく「定年制度のない韓国社会の頂点へのチケット」を入手しているのにね。

 どうやら医師協会から有形無形の圧力がある模様。

医協・専攻医協「来年の医学教育は不可能…医学部生・専攻医は帰らないだろう」(ニュース1・朝鮮語)

 壊れたレコーダーのように「医学部募集をやめろ」としか言っていないんですよね。
 「医師増員」については、数少ないユン政権の支持理由のひとつでもあるので、これは趨勢として止まらない。
 まあ、好きに自分のキャリアを潰せばいいと思いますよ。

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映像で見る日本企業が韓国に進出する際のリスク、75メートルのタワーの上で籠城して労働争議……えーっとなんで高いところに登って騒ぎ立てるのかな?

カテゴリ:労働争議 コメント:(53)
韓国オプティカル女性労働者「雇用継承」叫んで300日(ハンギョレ)
 慶尚北道亀尾市(クミシ)の工業団地。外国人投資専用団地に入ると、色あせた横断幕が両側に張り巡らされた道がある。「日本企業の食い逃げ、これ以上許さない!」、「公権力の侵奪阻止し、オプティカル闘争に勝利しよう!」、「雇用継承なくして工場撤去なし」などと記されている。この横断幕の道に沿って500メートルほど歩くと、人影がなく生気を失ったような工場の建物が現れる。2022年10月に火災が発生し、その後、稼動を停止した韓国オプティカルハイテックだ。

 25日午後に訪ねた韓国オプティカルハイテックの工場は、一目で見ても閉鎖されて久しいことが分かる。工場の正門には、今年2月に工場撤去に向けた裁判所による代執行を防ぐために労組が建てた高さ3メートルの鉄製のやぐらが、そのまま残されていた。焼けた建物の屋上の外壁の「Nitto」の看板には、赤い小さな提灯(ちょうちん)が2つ、寂しく引っかかっており、風に揺れていた。日が暮れると提灯がともり、「ここに人がいる」と言っているようにそこだけ光を放つ。

 高さ9メートルのこの屋上には2人の女性がいる。298日目だ。今年1月8日から雇用継承を要求して高空籠城(座り込み)中のオプティカル解雇労働者、パク・チョンへ首席副支会長(38)とソ・ヒョンスク(41)組織第2部長だ。彼女たちの「屋上生活」は11月2日にちょうど300日を迎える。「冷たい風が吹く明け方に屋上に上がってきた時は、階段で本当にたくさん泣きました。こんなにも長くいるとは、その時は思いもしなかったんですが、もう300日ですね」。工場の屋上から電話越しにソさんが言った。

 彼らが働いていた韓国オプティカルハイテックは、LCD用偏光フィルムをLGディスプレイに納品していた日本の日東電工の子会社だった。会社は工場で火災が起きると193人を希望退職させ、これを拒否した17人を整理解雇した。パクさんとソさんは今年1月、京畿道平沢(ピョンテク)にある日東電工のもう一つの子会社、韓国日東オプティカルでの雇用継承を要求して工場の屋上にのぼった。2人を含む7人の解雇者の闘争は2年目を迎えている。 (中略)

 2人は平沢工場への雇用継承はできないという会社側の主張が、今も理解できない。パクさんは「すべての社員が、亀尾と平沢は同じ会社だと思っていた。物量を平沢に移したり、新規採用したりもしていながら、なぜ亀尾の社員だけが採用できないのか、常識的にみて理解できない」と語った。 (中略)

 金属労組韓国オプティカルハイテック支会のチェ・ヒョンファン支会長は、「高空籠城をしている2人の同志が冬をもう一度経験することのないよう、必ず雇用継承を勝ち取って現場に戻る。300日連帯集会に多くの力を結集してほしい」と述べた。
(引用ここまで)


 韓国リスク、というものがありまして。
 それがこの強硬な労組。
 引用部分の最後に「金属労組〜」と出てきますが、もうこれを見ただけで「あ、終わったわ」ってなりますね。
 金属労組はあの「世界最悪の労組(ナショナルセンター)」とされる民主労総に属している労働組合なのです。

 あとなんか知りませんが、韓国の労働者は高いところに陣取って抗議活動、労働争議を起こすことで知られています。
 この記事では廃墟になったNittoの工場屋上を占拠していますが、こちらの動画では地上75メートルのタワーの上で籠城をしているのが分かります。



 電気管理士で散々こすった未来世紀ジパングの動画をまたこすることになるとは(笑)。
 こちらの韓国MBCの動画では様子がより分かりやすいかと思われます。



 地上75メートルなぁ。
 トイレとかは支援者が回収していくそうです。


 あと釜山がしっちゃかめっちゃかになった台風の時にガントリークレーンで籠城してた労働者とかもいましたね。
 2003年のことか。
 これまた当時の動画があったのでピックアップしておきましょう。
 ガントリークレーンがドミノ倒しで倒れたことについての訴訟があって、その判決が出たときの報道ですね。21秒くらいから当時の映像です。



 この時に別の場所のガントリークレーンに乗ったまま労働争議してたんですよ(笑)。
 ……いや、マジで。

台風のクレーン内で4時間の高空デモ(京郷新聞・朝鮮語)

 当時のニュースでクレーンが遊園地の絶叫マシンのようにぐるぐる廻っている映像とかもあったんだけど見つからないなぁ。
 韓国で上陸時950hPaはすごいな。そりゃ大パニックにもなるか。

 まあ、こうして高所で労働争議するって話はともかく(いや、それが今回のメインの話題ではあるのだけども)、韓国リスクといっていい強硬な労組問題があるってことが分かってもらえたかと思います。
 ちなみにこれは日本企業に対してだけでなく、外国企業、国内企業を問わずにこんなんです。
 廃業しても「いや、別の工場で雇え」ってやってるっていうね。
 ちなみにこの別の工場は別法人で資本関係はないそうです。

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韓国でがん手術件数が17%も減少、韓国人が健康になったわけではなく、医師が次々辞めていく医療大乱でまともな対応ができなくなりつつあるため……

カテゴリ:労働争議 コメント:(84)
医療空白7カ月目…肝臓がんや胃がんなど6大がん手術件数が17%減少=韓国(中央日報)
医療空白が7カ月目に差しかかる中で上級総合病院の労働力難が続き6大がん手術件数が17%ほど減ったことがわかった。

国会保健福祉委員会所属の韓智雅(ハン・ジア)議員(国民の力)が10日に健康保険審査評価院から取り寄せた資料によると、2月から7月まで上級総合病院で行われた6大がん(胃がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん、子宮頸部がん、肺がん)手術件数は3万8383件で、前年同期の4万6107件より16.8%減少した。

手術減少幅は肝臓がん、胃がん、甲状腺がん、肺がん、大腸がん、乳がんの順で大きかった。
(引用ここまで)


 韓国でがんの手術が17%も減少した、とのニュース。
 ものすごい勢いで韓国人が健康になっている……ってわけではなく。
 いわゆる「医療大乱」で病院の受け入れが限界に達しているってことですね。

 現在病院にいる医師らは全力でやっているものの、燃え尽き症候群で辞職が相次いでいます。

韓国で続く「医療大乱」、インターンに続いて専門医も続々と辞職、もはや病院の体をなしていないところまで……「病院が見つからず救急車内で出産」「入院してもまともな治療が受けられない」「手術……できません」(楽韓Web過去エントリ)

 こんな状況ですから手術もできない。新型コロナで急変した患者も収容できないといった状況が続いています。
 ユン政権は医大・医学部増員で医師増員を目論んでいたのですが、現実は逆の方向に向かっているっていうね。


 実際の状況はどんなものかっていうと、こんな感じ。

救急室を運営する病院の64.6%が医療空白発生…「どうにか持ちこたえている」55.3%(聯合ニュース・朝鮮語)

 円滑に運営できているって回答も40%ほどあるのですが、逆にいえば60%がまともに運営できてないってことですからね。
 専攻医(インターン)、専門医が続々やめていればこうもなりますわな。

 そして京畿道医師会はなぜかユン・ソンニョルに謝罪せよと要求。

京畿道医師会、ユン大統領に謝罪要求(毎日経済)

 あと野党も「医療大乱に対して謝罪しろ!」って言っているのですが。
 ま、ここで謝罪でもしようものなら「非を認めたぞ!」ってなって手もつけられなくなるのは間違いない。
 完全に無視しているそうで、それはよい対応ですかね。

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韓国で続く「医療大乱」、インターンに続いて専門医も続々と辞職、もはや病院の体をなしていないところまで……「病院が見つからず救急車内で出産」「入院してもまともな治療が受けられない」「手術……できません」

「医者はいません、『他の準備』をしてください」膵臓癌末期患者の家族が聞いた言葉(オーマイニュース・朝鮮語)
この三日間がどのように過ぎたのか分からない。 感じたとおりなら、30年は経ったようだ。

「あ、これが医療大乱なんだ!」「こういうのが『風前の灯火』というものなんだ」

危険な時間の中で患者と保護者ができることは何も存在しないようだった。

弟は膵臓癌末期患者だ。 最近、がんが肋膜に転移した状態で肺に水が溜まり危険な状態になった。 しかし、入院をしようとしたら病室がなくて数日間待たなければならなかった。 基礎疾患があり、より緊急な患者に分類されるので、むしろ良かったと言わなければならない悲しい状況だった。

既存の教授診療を受けていたので、それでも新規患者よりは入院が早かった。 そうしてやっと8月初めに入院ができ、今月27日に入院後20日目を迎えた。 (中略)

「今、病院が閉まることになりそうです。 医者がいません。 すでにかなり進んでいる状態なので、他の準備をしなければなりませんよね?」

その言葉を解釈してみると、あなたは病院に来るのではなく、葬儀場に行かなければならないという話に聞こえたりもした。
(引用ここまで)


 「入院を必要とする患者の家族」視点での現在の韓国における医療状況レポート。
 専攻医(日本でいうところの研修医、インターン)が、韓国政府の「医大、医学部の定員を2000人増員する」との方針にボイコットをして辞表を出しました。
 1万人ほどの専攻医が辞職している状況だといいます。
 これが2月前後のことでした。

 で、そんな中で半年ほど病院をなんとか廻し続けてきた専門医が燃え尽き症候群で辞職。
 もはや病院の運営がまともにできなくなっている、との状況になりました。
 レポートを見ると入院することもなかなか難しく、入院できたとしても治療を受けられるかどうかはまた別。


 産婦人科でも人手不足が多く、病院にまでたどり着けずに救急車内で出産するなんて事態が続いています。

また救急車での分娩…緊急治療室の退職に100km離れた病院に行きながら出産(中央日報・朝鮮語)

 一応、政府も対応を考えていて軍医・公衆保健医(徴兵代わりに地方などで医療業務を行う医師)を投入するとのことですが235人ほど。

韓国政府「4日、救急室に軍医・公衆保健医師を配置…9日までに235人派遣」(中央日報)

 いまだに「医学部定員増を撤回しなければ現場に復帰しない」ってやっているそうで。
 まあ、それが韓国人医師の本音なんでしょうね。ヒポクラテスの誓いとかどうでもいいんですよ。

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サムスン電子労組、6000人規模のストライキで半導体生産に支障? サムスン電子側は「生産は問題なく続いている」とするものの……

[社説]時系列1兆ドル疾走するTSMC、労組ストライキするサムスン電子(韓国経済新聞・朝鮮語)
乾坤一擲のグローバル半導体大戦が続く中、サムスン電子労組がストライキを行っている。 サムスン電子の最大労組である全国サムスン電子労働組合(全三労)が一昨日から今日まで3日間行うストライキの目標は「生産支障」だ。 (中略)

全三労はこの辺でこれ以上のストライキ計画をやめ、急変するグローバル半導体戦争の大きな流れを冷徹に見なければならない。 毎年、たくさんもらってきた年末の成果給を昨年もらわなかったら、半導体市場とそれに伴う経営結果から見てみるべきだ。 「サプライズ」という第2四半期の実績を下半期にも維持すれば異変がない限り、年末には国内のどの事業場より厚い成果給を受け取るだろう。 グローバル競争会社である台湾TSMCの躍進が見えないのだろうか。 世界のファウンドリー市場を席巻し、TSMCはあれだけ先を走っている。 4〜5年前まではサムスン電子がリードしていた時価総額も逆転し、TSMCは2.3倍も大きな企業になった。 人工知能(AI)半導体に入る先端高帯域幅メモリー(HBM)は、国内のライバル企業に押されて苦戦している。 現代自動車労組が賃金交渉案に暫定合意し、6年連続無紛糾で実利を取り戻したことを全三労は冷徹に見てほしい。 加速化する米国と中国の対立の中で、日本まで加勢した半導体大戦で油断していては、俗っぽい言葉だけで一発屋になりかねないとの危機感を労組も一緒に持たなければならない時だ。
(引用ここまで)


 サムスン電子は「労働組合を結成させないこと」を社是としてきました。
 故イ・ゴンヒが会長だった頃は労組結成の噂が出ると徹底的に叩き潰していました。
 それでも2019年にはじめての労働組合が結成されています。現在までで3万人ほどが加入しているそうです。
 去年、半導体部門の成果給が0だったことで、一気に加入数が3倍になったとのこと。
 サムスン電子の従業員は12万人超なので、加入率はそこまででもないのですけどね。

 で、そのサムスン電子労組が無期限ストライキを表明しました。当初予定では3日だったのですが、要求が受け入れられなかったので無期限ストライキに変更。

韓国サムスン電子、最大労組が無期限スト入り宣言(ロイター)

 ストライキに参加しているのは6500人ほど。
 うち、5000人が半導体部門の労働者だとされています。


 スト側は「生産支障を生じさせたい」としていますが、サムスン電子側は「無人セクションが多いので影響はない」としています。

サムスンのスト延長へ、労組「無期限で続ける」(日経新聞)

 まー、どうなんでしょうね。半導体の生産工程ってとにかく人の介在する場所を少なくすることに血道を上げてきたことは事実です。
 人の介在はコンタミを生じさせる原因になりますからね。

 なので5000人が無期限ストライキに入ったところで、どれだけ影響があるかなぁ……って疑問符はつきますね。
 逆にいうと半導体工場を建設しても生産部門での雇用は限られているってことにもなります。
 それ以外の工場を稼働させるための人員は少なからず必要になるのですが。
 企業側の「影響はない」が実際かなぁ、という気はしています。
 サムスン電子に労働組合ができている、という話はずっと書きたかったのでそれも合わせてピックアップしてみました。

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ソウル大学病院、「医大定員増員に反対!」として無期限休診をはじめるものの、わずか5日間でギブアップ

ソウル大病院の教授らが診療再開へ 一斉休診に非難の世論拡大(聯合ニュース)
大学医学部の定員を大幅に増やすとした韓国政府の方針に反発し、無期限の休診に入っていたソウル大医学部とソウル大病院の教授らは21日、教授全員を対象に行った投票の結果、診療を再開することを決めたと発表した。これにより、17日から5日間続いた一斉休診が終了する。

 投票の結果、回答者の73.6%が休診を中止して「持続可能な方法での抵抗」に切り替えるべきだと答えた。休診を続けるべきだとする意見は20.3%にとどまった。 (中略)

休診には教授の54.8%が参加した。

 「ビッグ5」と呼ばれるソウルの大型病院のうち、ソウル大病院が最初に無期限休診を強行したことで患者の間に不安が広がり、非難する世論も拡大した。

 休診の撤回を求める声が高まり、患者団体の韓国患者団体連合会は来月4日にソウル市内で大規模集会を開くと発表した。
(引用ここまで)


 予告通りにソウル大学病院は17日から大規模休診を行い、外来診療と手術を行わないとするストライキに入っていました。

韓国の医療ストライキ、今度はソウル大学病院が「政府が我々の要求を受け入れなければ無期限の全面休診」を宣言……もはや左派紙ですら匙を投げるレベルに(楽韓Web過去エントリ)

 19日には医大増員について教授、専攻医(研修医に相当)、医大生、受験生らが「見逃しがたい損害がある」として差し止めを求めていた裁判について、大法院(最高裁に相当)は棄却の判断をしています。

大法、医大増員執行停止申請棄却(世界日報・朝鮮語)

 一応、「医大生の授業については影響がある可能性はある」としたものの、「医学部定員増員の執行停止をした場合に国民の保健に支障が生じる恐れがある」と判断。
 まあ、世論調査を見てもほとんどが賛成している状況下で、「はい執行停止」とはできなかったってのも大きいでしょう。

 記事にあるように患者団体がアンチストライキの集会を開くことを予告。
 もう堪忍袋の緒が切れたとでもいうべき状況。


 個人的な体験としても大学病院が休診なんてやってくれたら、患者側はたまらないですよ。
 それも火急の問題があるとかじゃなくて、医大生を2000人ほど増やすかどうかなんて些細な問題で。
 しかも、2000人増員から1500人ちょっとにまで減らしてきている。
 それでも「こちらの要求をすべて受け入れろ」として全面休診との最後の手段まで出してきた。

 まあ……そりゃ、あの「労働争議ならなんでも支援」のハンギョレにまで見限られるわな。

韓国左派紙すらも「医療ストライキ」に対して冷ややかな視線、「医者を辞職したならすぐにでも兵役に行け」とまでいわれてしまう(楽韓Web過去エントリ)

 等々とさまざまな事情が重なって、5日目にしてギブアップ。
 ソウル大学病院に勤務するスーパーエリートたちですから、妬みややっかみには慣れていても、根本的に嫌われることに慣れていないんだろうなぁ。
 妬みもやっかみも根本にあるのは嫉妬で「上にいるからには当然」って受け止められても、集団でデモを起こされるような「根本的な憎悪」はこれまで味わったことがないのでしょうね。

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韓国の医療ストライキに一般国民は85%以上が「NO」を突きつける……ただし、医師側は全面ストライキの開始を宣言

韓国国民の85%「医師は患者のもとに戻るべきだ」…医大増員「賛成」は「反対」の2倍(KOREA WAVE)
医師の集団行動について反対が85.6%に上り、賛成(12%)より圧倒的に多かった。

増員に関連して公共福利の重要性を強調したソウル高裁の判決については「良い判決」という回答が70.4%。こうした判決が出たにも関わらず、医学部増員の全面的再検討を求めている医師団体の立場については「反対」が65.3%で「賛成」29.1%を大きく上回った。

医学部増員と並ぶ医療改革のもう一つの柱である地域医師制の導入には85.3%が賛成。公共医大の設立に対しても81.7%が賛成だった。
(引用ここまで)


 先日、ソウル大学病院が17日から全面無期限休診を発表したことに対し、多くの場合で労働争議を擁護する左派紙ハンギョレまで「医師はこれを正しいことであるのかどうか、考え直せ」とする社説を出していることを紹介しました。
 つまり、一般的な韓国人は完全に医療ストライキに対してそっぽを向いているのですね。
 今回の世論調査で、それを裏付ける数字が出てきました。

 集団行動(ストライキ)に対して「反対」が85.6%。
 医学部増員の白紙撤回を求める行動については「反対」が65.3%、「賛成」29.1%。
 地域医師制の導入では85.3%が「賛成」
 公共医大の設立には81.7%が「賛成」

 要するに今回の医療ストライキは、一般国民からほぼ支持されていないわけですね。
 なお、それに対する医師側の返答はこちら。


大韓医師協会「18日集団休診」ゼネスト宣言… 町の病院も閉鎖へ(東亞日報・朝鮮語)
大韓医師協会(医協)が18日、全国の開業医まで参加する集団休診(ゼネスト)を行うことを決議した。 全体の医師集団の休診は2000年、2014年、2020年に続き4回目だ。 (中略)

今回の投票に参加した医協会員7万800人中90.6%(6万4139人)が「医協の強硬闘争を支持する」と答えた。 「6月中に休診を含む団体行動に参加する」という応答は73.5%(5万2015人)に達した。 チェ・アンナ医協報道官は「70%を超える(休診)参加意志は類例を見ないほどだ。 会員の意志が堅固だという意味だ」と強調した。 医協は団体行動の中断条件として増員手続きの中断とともに政府責任者の問責を掲げた。
(引用ここまで)

 医師協会として、18日に全面休診を行うことを決定。
 70%を超える医師が参加する、とのこと。

 いやぁ、乖離しているなぁ。
 こちらの記事にあるように医師協会は2000年、2014年、2020年とストライキをやってきたのですね。
 で、常に完全勝利を遂げてきました。
 金大中政権、パク・クネ政権、ムン・ジェイン政権、すべてが医師協会に膝をつき、医療改革を阻んできたのですね。
 ところがユン・ソンニョル政権は完全に無視して医学部増員を決めてしまった。大学側も1500人規模の増員を決定済。

 もうここから勝利に転じる目はないように思うのですが、退くに退けない状況になりつつあるのかな。
 ちょっと前にも話しましたが、韓国の大学はまず成績順にソウル大学医学部から埋まり、以降それ以外の大学の医学部定員が埋まっていきます。
 さらに歯学部、薬学部、韓医部が埋まり、そこからそれ以外の学部が決まっていくのです。

 そうした「スーパーエリート」である彼らは世間からも隔絶されているのでしょうね。
 なんなら「こんな一般人に世論調査をするほうが間違っている」くらいに思っている可能性が。

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韓国の医療ストライキ、今度はソウル大学病院が「政府が我々の要求を受け入れなければ無期限の全面休診」を宣言……もはや左派紙ですら匙を投げるレベルに

ソウル大学病院の無期限休診決定は「教え子愛」でなく「集団利己主義」[社説](ハンギョレ)
 ソウル大学病院の教授たちが、17日からの無期限の全面休診を決めたという。政府に対して未復帰の専攻医にいかなる不利益も与えるなという条件を提示してだ。先に政府が、病院に復帰する専攻医は善処すると融和的な態度を示したにもかかわらず、むしろ一歩踏み込んだかたちだ。教え子たちを止めるべき教授たちが、教え子たちを前面に押し立てて医師集団の利己主義をあおっているようで、非常に残念だ。

 ソウル大学病院の教授たちは政府に、専攻医に対する行政処分を完全に取り消すよう求めている。集団行動に参加した専攻医が免許停止などの不利益を被る可能性を完全になくせというのだ。これを拒否すれば、17日から救急室や集中治療室などの必要不可欠な部署を除いて全面休診を強行するという。いくら政府の医学部増員政策が気に入らなくても、教授が医師の基本倫理を裏切る行動をためらわないと脅すというのは、果たして正しいことなのか。それでも教え子たちに「患者の健康と命を第一に考える」というヒポクラテスの誓いを教えられるのか。 (中略)

 ソウル大学病院は圏域責任医療機関であるため、全面休診を強行すれば、患者の被害は大きくならざるを得ない。またセブランス、サムスンソウル、ソウル峨山(アサン)などの他の大病院にも影響を及ぼすことになるため、医療の空白はさらに深刻化するだろう。ただでさえ専攻医の集団行動が100日以上続いており、患者と家族の不安はすでに臨界値に達している。患者諸団体がソウル大学病院の全面休診に対し、「医師集団の利益のために患者を投げ捨てた無責任な態度」だと激しい反応を示したのは当然だ。
(引用ここまで)


 実は韓国の医療ストライキ、まだ続いていまして。
 大学側は今年の医学部入学枠を1500人余を増員することを決定しています。
 当初予定の2000人には届かなかったようですが、それでもかなり増えたのは間違いないところ。
 んで、それに抗議する形で行われている専攻医(日本でいうところの研修医)のストライキは延々と続いているっていう。
 2月から続いているのでもうなんだかんだで4ヶ月ほど。
 むしろ「医療ストライキが日常」になりつつあります。

 そんな中、ソウル大学病院の医師らが「専攻医に対しての不利益を取り消し、今回の医療事態を正常化するための合理的な措置が施行されなければ、6月17日から診療を中止する」と言い出しました。
 「今回の医療事態を正常化」っていうのは、要するに専攻医の言葉を聞き入れて医学部の入学枠増員をなかったことにしろって話ですね。


 そんなソウル大学病院のストライキに対して、あのハンギョレが苦言を呈している。
 ちょっと構造として面白い部分。
 ハンギョレは左派紙として、ムン・ジェイン政権時代には相当な無理筋であってもムン政権を擁護するなどしてきました。
 また、おおよその場合で労働者のストライキは認められるべきだとの姿勢を打ち出す新聞なのですね。

 それが、専攻医のストライキがはじまってすぐに「医者をやめるならすぐに兵役に行け」くらいの勢いで非難の声を上げていたのですよ。

韓国左派紙すらも「医療ストライキ」に対して冷ややかな視線、「医者を辞職したならすぐにでも兵役に行け」とまでいわれてしまう(楽韓Web過去エントリ)

 今回のソウル大学病院の休診宣言についても同様。
 あのハンギョレが非難するくらいなのですから、一般からの支持はゼロであると見てよいでしょう。
 象牙の塔の中に閉じこもって、もはや退くことも進むことももできない状況に陥ったわけです。
 これ、どうやってけりをつけるつもりなんでしょうかね。

 これまでは「医療無敗」で、医療ストに対してはムン・ジェイン政権すら白旗を揚げてきたので、今回もそうなると踏んだのでしょう。
 4ヶ月に渡ってストライキやってますが、ユン政権からはゼロ回答が続いています。
 ストライキに対する世論からの支持はおおよそゼロ。
 それでも「じゃあ、今度は休診だ」ってやっているっていう。
 メンツの問題になってきているので、どっちも退かない(退けない)と思いますけどね。

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