国内完成車メーカーの中で唯一、今年の賃金および団体協約交渉を終えられなかった起亜労使の葛藤が高まっている。労組ストライキにともなう生産支障の憂慮も大きくなった。
5日、業界によると、起亜労使は同日午後2時、京畿道光明市のオートランド工場で第13回本交渉を行う。7月、今年の賃金団体交渉を始めて3ヶ月が過ぎてもまだ妥結されていない。 (中略)
起亜労使交渉の争点は団体協約27条1項の削除可否だ。該当条項は「在職中に病気で死亡した組合員の直系家族1人、定年退職者および25年以上長期勤続者の子供を優先採用する」という内容でいわゆる「雇用世襲」条項と呼ばれる。
先立って雇用労働部は2月、該当条項が均等な就職機会を保障した憲法と雇用政策基本法に違反すると判断し、該当条項を廃止しろと是正命令を下したが労組が拒否している。労組は特に「労働者雇用世襲を語る前にチョン・モング会長からチョン・ウィソン会長に降りてくる財閥経営世襲に対して先に答えろ」として対抗している。
労組は成果基盤賃金制度の改編を要求する会社側の提案も拒否している。また、会社側は労組の定年延長と週4日勤務制導入、営業利益の30%成果給などを受け入れることはできないという立場だ。
起亜労組は今年の賃金および別途要求案を通じて▲基本給18万4900ウォン引き上げ▲営業利益の30%成果給支給▲定年延長▲週4日制導入▲解雇者復職などを要求している。反面、会社側は▲基本給11万1000ウォン引き上げ▲成果金400%+1050万ウォン▲在来市場商品券25万ウォンなどを提示した状態だ。
(引用ここまで)
韓国のさまざまな企業で行われている「雇用世襲」。
2016年の時点では30大企業のうち、現代・起亜自、大宇造船海洋、現代オイルバンク、LGユープラス、現代製鉄、韓国GM、大韓航空などに雇用世襲条項があることが知られていました。
韓国労働組合「優良企業に就職したのだから、子供にもその地位を相続させろ!」 → 結果……(楽韓Web過去エントリ)
労働者側からしてみたら当然の要求。
ヒュンダイ、キア自動車の工場なんて適当にスマホ見ながら和気藹々とおしゃべりしながら、ラインにシャシーが流れてきたら部品をつけて終わりっていう気軽な労働で、年俸1億ウォンですからね。
売れている車種にラインを変更したいって申し出たら、労組が「そんな労働負担の大きなことをさせるならストライキだ」とか言い出す。
こんなおいしい仕事、引退したら身内に引き継ぎさせたいって思うのは当然でしょう。
ムン政権はこれらを見て見ぬ振りしてやり過ごしてきたのですが、ユン政権になってから「雇用世襲条項は違法だ」として是正命令を出しています。
韓国で続いてきた悪弊「雇用の世襲制度」がついに終焉を迎えるか……ユン政権が是正命令へ(楽韓Web過去エントリ)
とはいえ、労組から見たらこんなおいしい条項を外すなんてとんでもない。
といったわけでストライキに突入しかけていると。
で、その主張として「雇用世襲を語る前に経営世襲はどうなっているのだ」と。
あと週休3日にしろ、それでいて給料は据え置き。むしろ増やせと。
……ま、そんなこんなやっていることから、韓国国内には企業直営の工場は30年ほどひとつも増えていないのです。
海外工場のほうがよほど生産効率がいいですからね。
ちなみに韓国国内の労組はそれら海外工場への労働争議輸出を目論んでいたこともありました。
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