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カテゴリ:少子高齢化の記事一覧

韓国の特殊出生率0.79が世界中で報道される……外信「女性の立場が弱すぎるのが問題」「あと住居価格が高すぎる」「教育費も高すぎる」……ですよねー

「韓国のお金を注ぎ込んでも世界最低割った」外信も驚いた数字「0.78」(中央日報・朝鮮語)
CNNは22日(現地時間)、「すでに世界で最も低い韓国の出生率は再び低下した」と伝えた。 (中略)

そして、これらアジア諸国で少子化による人口減少現象が発生する理由として、厳しい職業文化、停滞した賃金、増加する生活費、結婚と男女平等に対する態度変化などを挙げた。

このように経済的要因はあるが、少子化克服のためにお金をつぎ込むのは効果がないということが韓国の事例と判明したという。 (中略)

WPは、韓国の出生率は出生率の低い隣国の日本(1.3人)と米国(1.7人)よりも低いと強調した。安定した人口維持のために必要な合計出生率は2.1人だ。 (中略)

ブルームバーグ通信は世界銀行の数値を引用し、2021年にすでに全世界で最も低かった韓国の出生率がさらに下がったことに注目した。通信は「少子化は成長と活力を後押しする労働力規模を減らし経済に長期的な危険をもたらす」と話した。統計庁によると、全体人口で生産年齢人口が占める割合は昨年71%から2070年46.1%に減る見通しだ。
(引用ここまで)


 「合計特殊出生率0.78」が世界にも伝わって衝撃を与えています。
 まあ……実際問題として世界でもダントツの低さ。あの「民主化デモ」が制圧された香港よりも低い。
 さらにいうなら中国に返還された時の香港よりも低い。

 ブルームバーグは韓国における女性の立場の低さが原因のひとつであると指摘しています。

世界最低の韓国出生率…外信「女性差別・住居価格・教育費のため」(中央日報)
South Korea Again Smashes Own Record for World’s Lowest Fertility Rate in 2022(Bloomberg・英語)

 女性が出産を厭うのは「出産で休んだ後に復帰できる可能性が低いから」との話が出ています。


 それでなくても賃金の男女差もOECDで最悪となっている国ですから。
 女性の立場を考えると出産した後に生きていけるかどうか、ということが大きな問題になるわけですね。

 ま、それ以外にもソウルでは暮らしていけても子供を育てる環境ではない、というのも大きいですかね。
 ソウルでは子供を育てるほどの住環境がない。
 とはいえ、地方には職がない。

 すべてがソウルに集中してしまった結果が「ソウルの特殊出生率0.59」だったと。
 富を上流にだけ集中させ、ソウルにだけ集中させた結果といえるでしょうね。
 もう構造的なものでそこから脱出できないのです。

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韓国の合計特殊出生率、いつものように最悪を更新して0.78……OECD平均の半分にもならず、「民主化デモ失敗」の香港すら下回る理由とは?

カテゴリ:少子高齢化 コメント:(86)
昨年の合計出生率「過去最低」0.78人…OECD平均の半分にも満たない(聯合ニュース)
女性1人が一生産むと予想される平均出生児数の合計出生率が0.7人台に落ちた。
経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち最下位であり、平均の半分にも満たない水準だ。
政府は16年間、約280兆ウォンの低出生対応予算をつぎ込んだが、出生児数は20年前の半分である25万人水準に急落した。
年間婚姻件数は2年間20万件を下回り、初めて母親になる平均年齢は33.0歳でOECD平均より4歳近く高かった。 (中略)

韓国は2013年からOECD加盟国の中で合計出生率最下位を記録している。
直近の統計である2020年基準で合計出生率が1人未満の国は韓国だけだった。
昨年、韓国の合計出生率は2020年OECD平均合計出生率(1.59人)の半分にも満たない。 (中略)

合計出生率を市道別に見ると、ソウル(0.59人)が最も低く、続いて釜山(0.72人)、仁川(0.75人)の順だった。合計出生率が最も高い地域は世宗(1.12人)だった。 (中略)

第一、第二、第三子以上とも出生性比は正常範囲(103~107人)であった。男児選好思想による人為的な調整がなかったという意味だ。
(引用ここまで)


 合計特殊出生率が0.78人。
 これもきつい数字ですね。
 当初、「0.7人台に突入した」というニュースを聞いた際、「ああ、それじゃ0.79とかなんだろうな」と思ってたのですね。
 この数字は「率」ですから。
 低くなればなるほど、低下率が緩やかになるものなのです。

 2016年以降の合計特殊出生率の推移はこんな感じになります。後ろの数字は前年から減った数字。

2016年 1.17 0.07
2017年 1.05 0.12←ムン・ジェイン政権誕生
2018年 0.98 0.07
2019年 0.92 0.06
2020年 0.84 0.08
2021年 0.81 0.03
2022年 0.78 0.03←ユン・ソンニョル政権誕生

 2020年はコロナ禍のはじまりの年なのでだいぶ大きな数字が出てますが、基本的に壍減しているのが分かると思います。


 先進各国の出生率の低下が問題になっていますが、それでも1.3〜1.6くらいで納まっています。
 韓国の数字はその半分ほど。
 台湾は1.1をやや下回るくらい。
 香港が0.87(2020年)で韓国を追っていますが、これは民主化デモが失敗に終わったことが大きな要因でしょう。

 つまり、韓国では毎年が「民主化デモ失敗」の香港くらい、あるいはそれ以上に絶望が広がっている、といっても過言ではないわけですよ。
 このニュースを日経新聞も伝えています。

韓国の出生率、22年は過去最低の0.78 OECDで最下位(日経新聞)

 記事末にある解説で、元ソウル支局長である峯岸博氏も同様に「ソウルの大学を卒業し、医者や弁護士、学者などの専門職または財閥系の一流企業に入るのが絶対的な幸せという固定的な考え方がある」、つまり「一握りの成功者以外は子供を作ることすらためらっている」としています。

 「先進各国の半分しか出生率がない」という韓国独自の理由を探すとなると、こうした「一握りの成功者以外はすべて脱落者」である社会の構造が反映されていると見るべきでしょうね。
 「公務員都市」である世宗市の出生率がもっとも高いのも、その理由が逆転しているからと考えることができると思います。
 北も南も揃って「絶望の半島」なのですよ。

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韓国経済:「高齢者の地下鉄無料」をやめれば地下鉄の累積赤字はまともになるのか? ……無理ゲーでは?

韓国にとって頭痛の種…外信が分析した「高齢者の地下鉄無料」問題(朝鮮日報)
 韓国で最近浮上している「満65歳以上の高齢者の地下鉄無料乗車」問題について、外信各社は「韓国の頭痛の種」と表現した。そして、この問題は財政および社会的議論の対象であるだけでなく、政治的な計算とも絡み合っており、解決は容易でないと分析した。与党・国民の力の中心的支持層には高齢の有権者が含まれているため、関連問題で思い切った判断をするのは容易でないということだ。

 英ロイター通信は16日、「韓国の高齢者無料乗車が政治的な頭痛の種となっている」という見出しで、これに関連する問題を詳しく報道した。同通信は「地下鉄無料乗車は過去40年間にわたり、韓国全土で65歳以上の高齢者が享受してきた恩恵で、高齢者の活動の維持に寄与してきたと言われている」「しかし、今は急速な高齢化と地下鉄運営経費の急増により、政治的にデリケートな問題になっている。高齢者の地下鉄無料乗車問題はアジア第4位という規模の経済大国でありながら、高齢者福祉費用が急増している韓国の広範な課題の一つだ」と取り上げた。

 韓国では現在、この問題を解決するため、無料で地下鉄を利用できる高齢者の年齢を引き上げる案が有力視されている。大邱広域市と大田広域市では無料乗車の年齢を段階的に引き上げる案を検討すると発表した。同通信はこうした事実を紹介した上で、「韓国ギャラップ社の世論調査で韓国人の60%が高齢者の無料乗車最低年齢を70歳に引き上げることに賛成しているという結果が出た」と報道した。 (中略)

 一方、16日に開催された「老人無料輸送政策討論会」で、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長は「韓国が急激に高齢社会になるにつれ、無料乗車による赤字規模が大きくなっている」「今は都市鉄道無料輸送制度に対する、より根本的な検討が必要だというのが多くの方々の指摘だ」 と述べた。その上で、「今の世代が責任を取るのを先送りすれば、若者たちや将来の世代に耐えきれないほどの負担が加わるだろうから、今から議論を始めるべきだ」と話した。
(引用ここまで)


 韓国の地下鉄、バスは基本的に65歳以上は無料。
 これを利用して高齢者による宅配事業が行われていたりしますね。
 通常の宅配便やバイク便より安く、バイク便ほど速くはないけど宅配便よりも早いといった位置づけでインフラとして確立しています。




 こうしてロイターも報じていますね。
 「シルバーデリバリー」という形で。

 高齢者の貧困が大きな問題になっている韓国において、そこそこ稼げる仕事となっています。
 通勤って思っていた以上に運動になっているんですが、そういう意味でもよいのではないでしょうかね。
 確実にかなりの距離を歩くことになるでしょうから。

 ところが地下鉄の運営元は地方自治体で、こうした「高齢者無料パス」が財政負担となっています。
 ソウルの地下鉄は今年上半期に運賃値上げを予告していたのですが、ユン・ソンニョル大統領の鶴の一声で「公共料金値上げ禁止」とされてしまったために延期されています。


 まあ、以前から「厳しい」とはされていた……というか、赤字が積み上がっています。
 去年の段階でソウルのバスだけで借金は8000億ウォン。
 地下鉄は毎年1兆ウォンの赤字を叩き出していて、累積赤字が16兆ウォンに及びます。
 パク・ウォンスン市長時代のソウル市はもうそりゃ大盤振る舞い。地下鉄、バスの運賃値上げを禁じられたってレベルで初乗り1200ウォンに凍結されてきました。
 2015年から凍結されてたとのことで。
 まあ……そりゃ「値上げさせてくれ!」って叫ぶわな。

 多くの広域市には地下鉄があり、バスはどこでも見ることができますが、赤字はどこも似たような状況。
 「住民に優しい左派政権」のおかげで水道光熱費をはじめとした公共料金を据え置いてきたのですが。
 どいつもこいつも「任期の終わった後のことなんざ知ったこっちゃない」ってやってきたわけです。
 問題を棚上げし続けてきた結果がいま、ということですかね。

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韓国の合計特殊出生率、ついに0.7人台に……「ここからが本当の地獄だ」となる理由がこちら

ハン首相「出産率0.7人台まで下落…既存対策を反省しなければ」(YTN・朝鮮語)
ハン・ドクス首相は低出産問題は緊急の国家的懸案だとし、既存の対策に対する根本的な反省が必要だと明らかにした。

ハン首相は、国政懸案関係長官会議で最近、韓国の合計出産率が0.7人台まで落ちたことで調査されたとこのように指摘しました。

出産対策のひとつである子供ケアサービスも需要より供給が大きく不足しており、サービス内容も生活様式や需要者の特徴を反映できないという指摘が多いと付け加えました。
(引用ここまで)


 韓国における昨年の合計特殊出生率が0.7台にまで落ちこんでいたことが判明しました。
 政府統計としてはまだ発表していないものの、政権内部ではすでに数字が出ているということのようですね。
 まあ……予想通りというべきか。
 案の定というべきか。

 韓国人を絶滅させる魔王としてムン・ジェインが5年間君臨した結果なんだよなぁ。
 ムン・ジェインが大統領に就任したものの、まだ政策的に関与していなかった2017年の合計特殊出生率が1.05。
 2022年は0.7x。
 出生数は2017年の35万7771人から25万人を切るところまできている。


 韓国でのベビーブーマーの孫世代が出産適齢期に入るので、この後の何年間かが最後のチャンスになるのですが……。

 これが現状の韓国の人口ピラミッド。

スクリーンショット 2023-02-19 13.01.45.png

 26〜30歳の女性が30万人以上いる最後の世代なのですが。
 一応、22歳以上はまだ30万人くらいいる感じなので本当に最後の数年。
 その一方で26〜30歳の男性は35万人以上いるっていう地獄。

    男    女
26歳 36.9万人 33.2万人
27歳 38.6万人 33.8万人
28歳 38.8万人 33.4万人
29歳 39.1万人 33.9万人
30歳 39.8万人 34.5万人

 ここから20歳くらいまでが出生性比が最悪な頃で、男性側が1.1倍以上多い。

 結婚市場という意味で見るとこの世の地獄だな、これ。
 ちなみにこれを上回る地獄が中国です。
 詳細を見れば見るほどきついなぁ……。

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韓国メディア「年金改革もせずに、いまの貧困高齢者の割合を若者の未来にさせるつもりなのか?」……だって手の出しようもないでしょ、この構造……

カテゴリ:少子高齢化 コメント:(71)
【中央時評】貧しい高齢者、若者の未来にさせるのか=韓国(中央日報)
大韓民国で老いるということは恥ずかしさだ。若く見えるという社交辞令が乱舞し、1歳でも若く見えるようにするという服と化粧品が人気だ。「老」の字は最初から忌避対象になり、官庁でも老人は「オルシン(高齢者、お年寄りなどの意)」という単語に代替された。その騒がしい恭敬の裏には「トゥルタク(話すと入れ歯がカチカチなることを揶揄した言葉)」「老人虫」「年金虫」などのような高齢者をさげすむ「嫌老語」が広がっている。

老いることをさらに恥ずかしくさせるのが貧困だ。65歳以上の韓国の高齢者10人中4人は「相対的貧困層」だ。中位所得の半分にも満たない金額で暮らす。この数値は経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち断然トップだ。OECD平均の13.5%(2019年)の3倍に上る。それでも所得下位70%の高齢者に支給される基礎年金が導入され良くなってこの程度だ。各種経済指標でいつのまにかOECD上位圏を占めることになった韓国だが、この誇らしい数値を作った高齢者に返ってきたものは恥ずかしい統計だけだ。

問題は高齢者の現在が若者の未来という事実だ。韓国の66歳以上の相対的貧困率40.4%は18~65歳の貧困率10.6%の4倍に近い(統計庁『韓国の持続可能発展目標(SDGs)履行報告書2022』)。その格差が先進国のうち高齢者貧困率が比較的高い側のスイスやオーストラリア(それぞれ2.5倍)、日本(1.5倍)を圧倒する。全人口よりむしろ高齢者の貧困率が低いフランスやオランダのような国との比較は考えることすらできないことだ。韓国の若者たちが老いて貧しくなる危険性がそれだけ大きいという意だ。 (中略)

国民年金財政推計によると、2080年代になっても新規受給者の平均加入期間は27年ほどだ。この場合実際の所得代替率は23~24%にすぎないという計算が出ている。もちろん余裕ある人たちは国民年金とともに退職年金と個人年金などの三重戦略を立てるだろうが、そうでない人たちは依然として小遣い銭程度の年金に満足しなければならない。これでは不名誉な高齢者貧困率を改善できない。国民年金研究院は最近、2020年に生まれた子どもが高齢者になる2085年になっても高齢者貧困率は29.8%に達するという憂鬱な見通しを出した。実質所得代替率を高めなければ「世界最悪の高齢者貧困国」というタイトルを未来世代も依然として負っている公算が大きい。
(引用ここまで)


 いま、韓国の掲示板では若者世代から高齢者について「入れ歯じじい」みたいな蔑称で語られていることが多いですね。
 というのも「我々の富を吸い取っている老害」として扱われているせいです。
 ですが、その高齢者層も世界で稀に見るほどに貧困率が高い。

 韓国ではろくに年金制度が整備されないまま。
 国全体の傾向として「富む前に老いてしまう」、いわゆる「未富先老」となってしまっている。
 おそらく「未富先老」の本場である中国と同様のひどい状況になると思われます。

 イ・ミョンバク政権では老齢基礎年金が制定され、だいたい9万5000ウォンくらいが支給されることになりました。
 そしてパク・クネ政権では老齢基礎年金から基礎年金への形を変えて月20万ウォン。ムン・ジェイン政権では25万ウォン、30万ウォンと強化され、かつユン・ソンニョル政権では政権期間中に40万ウォンにすることが公約として定められています。
 前政権の成果をすべて叩き潰す易姓革命が基本の韓国において珍しく継続性のある政策となっているのも、あまりにも高齢者層の状況がひどいから。


 なにしろ2014年に基礎年金制度が導入された時点で高齢者の貧困率は47.2%。
 現在でも40.4%。
 世界でも珍しいレベルでの高齢者貧困率を誇っています。
 老夫婦がリアカーで段ボールを回収していたりするのは当たり前、なんてことになっているのですよ。

 まともな年金制度があるのが公務員、軍人、私立の教師くらいしかなかったのが大きな原因ですね。
 2013年時点で満額の老齢年金が受け取ることができる受給者は全体の3.4%とかでした。
 いまでもどれくらいなんでしょうかね。

 じゃあ、どこかでこの状況が反転するかというと、そんなわけもなく。
 15〜29歳の青年層失業率(実質)が20〜25%前後で推移しているのですから、積立金は減り続けるしかない。
 現状のままでは2055年には基金が破綻するとされています。

 もう構造として固定されているわけです。
 いま「入れ歯じじい共」と掲示板で書きこんでいる連中も30年後にはその入れ歯じじいになって若者から「我々の足を引っ張る老害」扱いされることが確定している、と。
 厳しい世界だわな……。

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韓国メディア「少子化で国家的危機を迎えているのに政府も与野党もなにもしてない!」と叫ぶ

カテゴリ:少子高齢化 コメント:(63)
【コラム】国家的危機と言いながら緊張感も切迫さもない=韓国(中央日報)
2023年のさまざまな見通しがあるがそのうちのひとつは扶養率の急加速が始まる年という点だ。正確に言えば高齢者扶養率の急加速だ。税金を払って高齢者を扶養する経済活動人口に比べ扶養を受ける高齢者の数が増える速度が本格的な猛スピード段階に入り込むという言葉だ。児童と高齢者を合わせた総扶養率は2058年になれば100%を超えると予想される。扶養する人より扶養を受ける人が多くなる。今年から2058年まで扶養率上昇は恐ろしいスピードで疾走し、その後も当分続くだろう。韓国より高齢化時期が30年近く早かった日本の場合、このような扶養率上昇の変曲点は1990年代後半に訪れた。当時45%だった日本の扶養率がいまは72%だ。90年代後半からいままでの時期はよく言われる日本の「失われた30年」とほとんど正確に一致する。 (中略)

危機を機会にすることを可能にするなら創意的な政策が考案され長期的に一貫性を持って執行されなければならない。女性たちに出産を増やせとだけ要求するのではなく、多くても少なくても生まれた人口をどのように教育し高付加価値を創出する労働力として育て、どんな移民を受け入れ、産業構造をどのように再編し、税金をめぐる社会的正義をどのように変え、超高齢社会の「隠れた福祉国家」である既成世代の不動産と関連した政策をどのように転換するのか、高齢者の基準年齢を少しずつ上げていき彼らの経済活動期間をどのように伸ばすのか、高齢者人口が特に弱い感染症をはじめとする彼らの健康と療養と介護世の質を高め、それにかかる費用をどのように効率化するのか、最先端医療機器産業の発展を通じ老年期に集中する福祉費用をどのように削減するのかなど高齢化の危機を機会に転換するためにやるべきことのリストは終わりがなく、ほとんどすべての政策領域にまたがる。大統領が2年に1度会議に参加したり、この分野に対して深く悩んだ痕跡がない人を高位ポストに座らせて解決できることではないということだ。
(引用ここまで)


 少子高齢化が極端な形で進みつつある韓国から「国家的な危機であるはずなのに、政府から、与党から、野党からその姿勢が見れない」とするコラム。
 だいたいまあ正しいことは言っている。

 パク・クネは少子化対策委員会の会議に2回しか参加しなかった。
 現在の与党対策委員長は政策としての少子化にまったく興味がない人物。
 野党代表(イ・ジェミョン)は「超富裕層への増税」を提唱。
 誰もなにも新しいことを提唱していない、と。


 まあ、言いたいことは分からないでもない。
 というかですね、ムン・ジェイン政権の5年間ですべて終わった話なんですよね。
 一昨年の合計特殊出生率が0.81、去年は0.7台になるだろうと予想されています(今年の速報値は2月発表予定)。
 先進国のそれが1.3〜1.6くらいで下げ止まりしている。
 韓国ははるかに上(下?)を行っているわけで。

 もう少子化については方向性が定められている。ただ、ここから数年がベビーブーマーの孫たちの世代。ちょっとだけ人口が増えている世代で、最後のチャンスではあるのですけどね。
 ま、もう方向性自体は定まっているので意味がないともいえるかな。
 なぜか当局の予想では2040年で1.19人、2046年以降は1.21人に反騰するってなっているそうですが。

韓国、2055年には国民年金が底をつく…枯渇時点を2年繰り上げ(ハンギョレ)

 いまの韓国のどこをどうつついたら反騰するんですかね……。
 ちなみにこれは「中位水準ケース」として予想値の真ん中をとったものだそうです。3月には「最良のケース」「最悪のケース」も含めて詳細値が発表されるとのことで。
 これまでおおよそですが、提示された最悪のパターンをなぞってきているので「実際の予想」はそれになると思われます。

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韓国の国民年金、あと30年ちょっとで空っぽに……あまりにも激しい少子高齢化が原因

「50年後の地獄」大韓民国…「年金のないMZ世代、発展途上国レベルで生きなければ」(YTN・朝鮮語)
先月初めの国会。
誰もが知っているが、無視しようとする時限爆弾、国民年金問題を議論しようと政府と与野党国会議員が集まった。
政府は現在9%の国民年金保険料率を15%まで高め、需給開始年齢は68歳に上げる案を推進しています。
このまま行けば国民年金財政枯渇が火を見るように明らかなうえに、その時点まで引き上げられているからです。 (中略)

昨年3月929兆ウォンだった国民年金基金は、低出生高齢化波が押し寄せる現在の傾向であれば、2056年ごろ底をつくように見えます。
今後30年余り後には国民年金金庫が空になるという意味です。
最大の被害者はまさにベビーブーマー世代の子どもたちで、ただ社会に入って誠実に年金を出し始めた20代と30代、つまりMZ世代です。 (中略)

老いてしまった大韓民国の未来はどのようなものになるのか?
昨年末、ゴールドマン・サックスは2060年ごろに韓国経済成長率がマイナスに下がるだろうと予想しました。
マイナス成長率の展望は分析された34カ国のうち、韓国が唯一です。
さらに、今のように子供たちが続けて減少すると、2075年ごろ韓国の全体の経済規模はフィリピンやバングラデシュよりも遅れを取りかねないと予想しました。

結局、現20代と30代たちには経済規模が開発途上国並みに小さくなった国から国民年金も受けられず、老人として生きなければならない「新地獄島」が行われことができるのです。
(引用ここまで)


 韓国の年金枯渇が問題となっていまして。
 このままでは2057年頃に国民年金の金庫が空になる、とされています。
 これは「充分に資産を蓄える時間がないまま、極端な少子高齢化を突き進んでいる」という状況がそうさせています。
 中国でも「未富先老」が問題となっています。
 おそらく多くの途上国で同じような構図になるのではないでしょうかね。

 そうした中でも韓国の問題はもっとも苛烈になる可能性を持っています。
 というのも、少子高齢化が激烈すぎるのですね。
 すでに韓国の平均寿命は日本についで世界2位となる83.5歳
 それでいて去年の合計特殊出生率はおそらく0.7台に落ちるだろうとされている、世界で唯一1を割り続けている国なのです。


 この国民年金の消失は2018年時点で2057年頃と統計が発表され、5年後である今月末にも新たな予測が発表される予定です。
 この2018年時点ではまだ合計特殊出生率も0.98。「新政権発足でなんとかなるのでは」という淡い期待が述べられていた頃でしたね。
 ムン・ジェインの手腕によってそのまま坂を転げ落ちるように下落していったのですが。

 というわけで今月末に発表される数字は「現在の少子高齢化具合」を反映したものになる予定です。
 よりによってあの時期にムン・ジェインを大統領にしてしまったことが運の尽きというか。
 まあ……韓国には本当にふさわしい大統領であったといえるかな。

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運命 文在寅自伝
文 在寅
岩波書店
2020-12-24

韓国で進む少子化、それ以上に進む「小児科医の消滅」……司法リスクから小児科医の看板を下ろした医者は「変えて正解だった」

カテゴリ:少子高齢化 コメント:(91)
韓国の小児科、5年間で600カ所減少…母親たちの不当な圧力で閉院したケースも(朝鮮日報)
 大韓小児青少年科医師会のイム・ヒョンテク会長は「小児患者は成人に比べ検査や診断が難しく、経過が急激に悪化する特徴がある」とし「自分で症状を語ることができず、保護者を通して情報を得るが、不正確なケースが多い」と語った。大韓小児青少年科学会のハン・ミヨン法制医師は「(間違えた場合)訴訟になる可能性が高く、そのせいで医療陣が消極的な治療にとどめるようになる可能性もある」と語った。訴訟を恐れて、失敗する可能性もある治療をためらい、医療の質が低下しかねない-という意味だ。

 ママカフェなどの不当な圧力も、小児青少年科忌避の原因に挙げられる。ある小児青少年科医師は「一部地域のママカフェが、開業した小児青少年科に広告を要求しているが、これを拒絶したら病院・クリニックを中傷する異常な記事やコメントが付いたりする。これに耐えられず閉院する医師を何人も見た」とし、さらに「一部の保護者は非常に押しが強く、猛烈に怒るので、医師の立場からは侮蔑されたと感じる」「自分の周囲にも『小児青少年科』の看板を降ろして一般クリニックに変更した医師がいるが、みんな『変えてよかった』と言っている」と語った。過去5年間で廃業した小児科の数はおよそ600カ所に達する。 (中略)

 産婦人科も同様の問題を抱えている。「訴訟リスクが高いため分娩(ぶんべん)を嫌がる」という若い医師が多いという声も聞かれる。キム・ジェヨン大韓産婦人科医師会長は「年におよそ400人の新生児が分娩の過程で亡くなるが、紛争調停がなされるケースは10件ほどに過ぎず、ほとんどが訴訟になる
(引用ここまで)


 韓国における「貴重な子供様」であるが故に、小児科医の法的なリスクがぐんぐんと上昇している結果、小児科医になりたがる人材が絶無になりつつある……というニュース。
 過去5年で小児科が600ヶ所も減ったとありますが、今年8月時点で1件すら小児科も産婦人科もない自治体が16
 そうして小児科が減り続けることもあって、なおのこと1件1件の小児科医への負担が強くなり、なおのこと辞めていく……負のスパイラル。
 もちろん、少子化の影響というものも大きいでしょうけどね。

 どちらにせよ「小児科医」の未来はない。
 というわけで小児科専攻医の競争率は0.16倍になっているとのこと。

小児科専攻医が足りない韓国、入院診療やめた病院も…「低報酬で責任重大、誰も志望しない」(朝鮮日報)

 韓国でもこれら医師になんとかして国家的な支援を、との話は出ているのですが。
 いつものように話が出ているだけ。


 しかし、新生児の分娩過程で亡くなる件数が400件で、それがほぼそのまま医療訴訟になるとか恐ろしすぎる。
 日本の医療訴訟は年700〜800件くらい。
 韓国の場合、産婦人科だけで日本の総件数の半分になってるのか。ちなみに日本における産婦人科での訴訟件数はここ数年で40〜50件ほど。
 韓国はなかなかの訴訟頻発国家なのですが、これはすごい。

 最大の原因が「2017年の梨花大での新生児集団死亡事故」で、その状況を見た医学生らが小児科医を避けるようになった……とのこと。
 あ〜、あの事件か。
 看護師がろくに消毒もしていない手で大瓶から薬を分けて使っていたためにコンタミが起きた、というひどい事件。

 まあ……小児科になることになんらかのインセンティブを与えるしかないんじゃないですかね。しかも相当に多額の。

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