・アンカー
韓国が公的年金に投入する国のお金がまだ経済協力開発機構加盟国の平均水準なのでしょうか?
・記者
平均よりはるかに低いです。OECDが年金関連で出している最新統計は2021年のものです。
その中でも各国が年金に投入する国の資金水準は全体集計が少し遅いです。それで2017年のものまですべての国の資料があります。
この基準で私たちが国民年金をはじめとする公的年金に投入する国のお金の規模はGDPの2.8%程度と集計されました。
平均は私たちの3倍程度の8.2%です。比較的年金に入る国のお金が少ないというアメリカも私たちの2倍にはなりますし。日本は3倍以上です。
実際、このように公的年金に国のお金をGDPの3%にも満たない額で投入する国はOECDで韓国を含めて4カ国だけです。
見てみるとチリとメキシコは相対的に若者が多いおかげです。(中略)
そしてアイスランドがあり、ここは引退年齢が67歳です。遅く退職します。年金設計自体が少し違うようになっています。
それでは高齢者人口が急速に増えており、まだ定年も先送りしていない韓国はなぜなのか、国民年金制度がまだ成熟していないからです。 (中略)
政府が使う財政全体で年金に投入されるお金の割合を比較してみても、9.4%の韓国より低いところはアイスランドしかありません。
OECD平均18.4%と比べてみても、私たちがちょうど半分の水準です。 (中略)
2060年になっても今の傾向が続けばOECDの分析ではGDPの7.5%ほどの国のお金だけが公的年金に投入されるだろうという見通しです。
その際のOECD平均は10.4%にはなると予想されますので、その時も平均にははるかに及ばないのです。 (中略)
韓国の老年人口の相対的貧困率43.4%です。
OECDの報告書でも特に明記しているのが、高齢者貧困率が40%を超える国は韓国だけで、そして貧しい高齢者の割合が全人口で貧しい人の割合より27ポイントも高い国も韓国だけだと明示しています。
韓国はOECD平均より3倍以上貧しい高齢者が多いです。貧富の格差が激しく、金持ちのお年寄りも多いですが、貧しいお年寄りの割合も大きいというアメリカも私たちの半分程度にしかなりません。
高齢者貧困問題が深刻なのに、これに比べて高齢者問題が政策優先順位でそれほどリードしていません。
(引用ここまで)
明らかに深刻な状況になっているのに、ほとんどみて見ぬ振りをされている韓国の高齢者問題。
大きく分けてふたつの問題があります。
・小負担小福祉で構造設計してきたために、もらえる年金が極小
(そもそも国民皆年金制度が最近までできてなかったのでもらえない人も多数)
・社会的に45歳定年制度が行き渡っていてそもそも年金が積み立てにくい
結果、OECDで2位以下をぶっちぎる形で高齢者貧困率が高くなっています。
2020年時点で40.4%。
2015年頃は50%を超えていたのでこれでもだいぶ低くなった状態なのですけどね。
65歳以上で年金をもらえているのは人口のわずか44%にしか過ぎない。
そしてなにより最大の問題は少子高齢化が思っていた以上に早く進みすぎている、ことですね。
小負担小福祉の構造を変えることすらできない速さで進んでしまったのですよ。
記事中では「公金投入が少なすぎるのが問題だ」としていますが、そもそも税金を投入して高齢者福祉対策をするようなシステム設計になっていない。
現状のままでは国民年金が2055年にも枯渇するとされています。
ただ単に年金を食い潰すだけの年齢が増えている。
しかも、平均寿命は日本に次ぐ世界2位。
韓国の平均寿命、一気に伸びて世界2位に……ただし、健康寿命は延びずに17年以上の「不健康な老人」として過ごすことに……(楽韓Web過去エントリ)
なんだかんだで日本は富の蓄積に間に合ったのですよ。
GPIFを見ても年平均で約4%の収益を得るくらいになっている。
パッチを当てるようにして「65歳以上で所得下位70%の高齢者には30万ウォンを与える」っていう基礎年金制度を発足させましたが。
構造自体に手を加えていないので、むしろ国民年金の枯渇を早めただけだともされています。
というわけで韓国の高齢者は今日も「幸せ手押し車」という名の段ボール回収リアカーを押し続けるわけです。
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