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カテゴリ:文化財盗難の記事一覧

韓国メディア「ユニドロワ条約の精神に従って、対馬の仏像は起源国である韓国に返還されるべきだ!」……いや、その条約にそんなことひとつも書いてないんだが。そもそも韓国、批准してないし

「還収vs返還」…日本に持ち出された仏像所有権論争激化(東亞日報・朝鮮語)
現在、臨時に大田国立文化財研究所の収蔵庫に保管されている金銅観音菩薩坐像は、結局どこに行くことになるだろうか。

最高裁の判断を見守らなければならないが、法曹界では2審判決を支持する意見が少なくない。国際文化財法研究会長のイ·ギュホ中央大学法学専門大学院教授は「証拠が不明な歴史の空白を認め、現代で形成された国際法と民法の論理にともなう判決」と評した。

仏像の所有権を分ける最初の問題は、14世紀の倭寇による略奪の有無であるが、これに関連した明確な資料がない。 (中略)

2番目の問題は、「現在忠清南道西山にある副石寺が高麗時代の西州副石寺と同じか」である。略奪されたのが事実だとしても、現副石師が仏像の所有権を主張するには、高麗時代の副石師と同じ漬物が立証されなければならないと2審裁判部は判断した。しかしこれも明確な証拠がない。 (中略)

2審判決後、仏像を日本にそのまま返してはいけないという意見も出た。外奎章閣議軌還水を導いたキム・ギョンイム前外交通商部文化外交局長は「裁判所判決が出たからと仏像を日本に返してはならない」とし「裁判所も副石寺仏像が倭寇によって略奪されただろうという情況を認めただけに副石寺が仏像を取り戻すように政府が助けなければならない」と話した。 (中略)

一方、最高裁判所が観音寺の所有権を認めたなら、仏像を一度観音寺に戻さなければならないという反論も少なくない。キム・ジヒョン建国大学世界文化遺産大学院兼任教授は「外交的に文化財返還交渉をする際には国際的に孤立してはならない」とし「窃盗のような方式を結果的に容認するのはむしろ韓国の地位を落とすことができる行為」と指摘した。 (中略)

2審裁判部もこのような状況を考慮して判決文に「ユニドロワ(UNIDROIT))条約」に言及した。1995年に制定されたこの国際条約は、不法搬出文化財を起源国に返還することを原則とする。韓国と日本はこの条約に加入していないが、所有権判決とは別に、このような条約の趣旨を考慮して仏像の返還問題が扱われなければならないということだ。
(引用ここまで・太字引用者)


 また観音菩薩坐像の所有権について韓国メディアがわけのわからないことを主張しているのでピックアップ。
 UNIDROIT条約、ユニドロワ条約はユネスコ条約とはまた別の盗難文化財についての条約。ユネスコ条約を補完する意味で制定された条約であるとされています。
 ユネスコ条約には140を超える国々が参加していますが、ユニドロワ条約を批准している国は54カ国。
 まだ新しい条約で各国の国内法とのすり合わせができているとは言いがたい状況なのですね。

 で、この記事には「ユニドロワ条約は起源国に返還することを原則とする」としていますが。
 ……。
 いや、あのね。
 ユニドロワ条約のどこにもそんなこと書いちゃいないんだが。


 前述したようにユニドロワ条約はユニセフ条約を補完し、実際の返還の条件を定めたもの。
 盗まれた国への返還をどのようにするか。
 あるいは善意の取得者であることが立証できれば補償を受けられるとするもの(そもそも返還は義務)。
 もちろん、条約が定められた1995年以前のケースについては触れることはできません。

 ……以前も「韓国は自分たちにユネスコ条約が当てはめられて、文化財を返還すべき立場にあると認識していない」ことを楽韓Webでは看破したことがあります。
 今回も同様ですね。
 自分たちが条約を遵守して返還すべき立場であるとはミリほども思っていない。
 むしろ、条約によって守られる立場だと勘違いしている。

 今回なんて「批准すらしていないユニドロワ条約の精神を反映して返還問題が扱われなければならない」とか言い出してますから。
 自分たちが条約で不利になることはないと思いこんでいるんだよなぁ……。

 ちなみに高裁の裁判官はしっかり「今回の判決は所有権がどこにあるかを定めただけで、返還は(ユネスコ)条約に従って(政府が)行うべき事柄」としています。
 さすがにユネスコ条約の意味を理解していると思われます。
 いやぁ……韓国メディアはホントにひどいんですが。今回もホントにひどいわ。

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対馬仏像盗難:「韓国は盗品すら返せない国という風評が立ってしまう」と危惧するメディアも……それ風評じゃなくてただの事実

「韓国は盗品すら返さない国という風評を危惧する声も」......対馬から盗まれた仏像、韓国の反応とその顛末(ニューズウィーク)
大田高裁は18年6月に開かれた控訴審で和解案を提示している。仏像を日本に返して複製品を作るという案である。「千年万年が過ぎると新しい仏像も意味を持つし、韓国と日本に双子の仏像ができる」と提案したが、浮石寺が拒絶した。 (中略)

韓国仏教界は、浮石寺への引き渡しを求めるが、朝鮮日報は日本に返すべきだと主張する。同紙は社説で、浮石寺が略奪されたと主張するなら国際法が定める略奪文化財の手続きを行うべきだと論じている。正論と言えるだろう。韓国文化財庁も略奪された文化財は戻すのが原則だが、もし倭寇が略奪したことが確認されたとしても、日本に返還してから返してもらう過程を経なければならないと述べている。また、韓国は盗品すら返さない国という風評を危惧する声もある。

仏像を保管する国立文化財研究所は早急な解決を求めている。変色や錆など毀損が激しいが、盗難証拠品の保存処理は認められていない上、日本への返還が決まると韓国の修復が新たな摩擦を引き起こしかねない。日本への返還が急がれる。
(引用ここまで)


 韓国人によって盗まれ、韓国に持ちこまれてそのままになっている観世音菩薩坐像についての解説記事とでもいうべきですかね。
 最後のほうに「韓国は盗品すら返さない国という風評を懸念する」ってありますが、一応そうした声がないわけではないです。

 たとえば日本からの文化財返還運動をしている慧門という僧侶がいるのですが。
 彼は「この仏像はまず日本に返還すべきだ」としています。
 まず日本に返還した上で、そこから返還交渉をすべきだと。
 そうしなければ、我々の運動は灰燼に帰すだろうという話をしていました。


 同様にいくつかのメディアでも「まず日本に返すのが道理ではないか」としているところもないわけではありません。
 ですが大勢は「日本はユネスコ条約に従うべきだ」とかいったポンコツ論評。
 コメントは20:1くらいで「仏像は韓国のものだ」といった感情的なもの。

 そもそも「韓国は盗品すら返さない国」というのは風評ではなく、ただの事実ですからね。
 二審判決がそのまま大法院(最高裁に相当)でも出されたとしても、記事最後にある仏像の毀損は免れない。
 保存されているのではなく、放置されているだけですからね。

 南大門の惨状を見ても韓国の保存技術なんてあてにできるものではないですから。
 その状態で盗まれてから10年以上。
 返還されたらされたでまた新たな火種になりそうな予感がします。

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韓国人、「ユネスコ条約での仏像の返還義務」が自分たちに適用されるとはミリほども思っていない模様。むしろ、「ユネスコ条約に従うのは日本だ」くらいまで思っていた……

奪われた文化財はなぜ返してもらえないのか(釜山日報・朝鮮語)
略奪など不法に搬出されたなら返してもらうのが当然だが、現実では決して簡単な問題ではない。略奪行為を証明することも難しく、国ごとに複雑な歴史的脈絡を無視することもできないからだ。略奪文化財をめぐって国際的な葛藤が絶えない理由だ。このような現実を改善するために出たのが「ユネスコ条約」だ。1970年に締結されたこの条約は戦争と植民地支配、盗難など不法搬入·出入された文化財を元の場所に返還するよう規定した。140ヵ国あまりが加盟国で、韓国も1983年に加盟した。

であれば、当該条約に基づいて浮石寺仏像の返還を要求できるのではないか。結論から言えば、実現性がほとんどない。同条約の内容は1970年以前には遡及適用されないためだ。高麗時代はもちろん、日本による植民地時代略奪文化財の返還要求もできない。

では、ユネスコ条約は全く意味がないのか。必ずしもそうではない。少なくとも略奪など不法に取得した文化財は必ず還収されなければならないという原則を国際社会に拡散させた点は十分に意味がある。文化財の返還に対する国際社会の倫理的・道義的責任を新たに喚起したのだ。 (中略)

今議論になっている浮石寺仏像も最高裁に上告すること以外に他の法的な解決方法は見当たらない。上告しても2審が1審判決を覆し、事実上日本側の手をあげただけに特別な理由が発生しない限り勝つのは難しいというのが大方の見方だ。要するに仏像を回収するためには日本の協力が欠かせないということだ。被害回復のために加害者の協力を求めなければならないのが悔しくて残念だが、それが現実だ。そのため、個人、団体、特に国家間の交渉が重要だ。

結局は政府の外交力にかかっている問題だと言える。1866年にフランス軍に略奪された「外奎章閣儀軌」の還収が良い例だ。たとえ完全な所有権移転ではなく長期貸与形式だが、それでも数十年にわたる政府の外交努力がなかったら成し遂げられなかった成果だ。

浮石寺仏像に対しても、最高裁訴訟とは別に、韓国政府が文化財返還議論のテーブルに日本政府を積極的に引き込まなければならない。
(引用ここまで)


 そういえば「韓国ではユネスコ条約と今回の観世音菩薩坐像の関係をどう認識しているのだろうな」と調べたところ、かなり面白い記事にぶち当たったのでピックアップ。
 ユネスコ条約は「文化財の不法な輸入、輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約」の通称。
 要するに「盗難された文化は速やかに元の国に返さなければならない」とするものです。

 1970年にユネスコ総会で採択され、1972年に発効しています。
 韓国は1993年に、日本はかなり遅れて2002年に締結を行っています。
 日本が遅ればせながらも締結したのは、韓国人による文化財盗難が重なったためです。
 まあ、さすがに公に「韓国人が盗んでいくから」とはしてはいませんが。


 さて、今回の記事を見てみると面白いことに気がつくはずです。
 「ユネスコ条約に従って『日本に奪われた仏像』の返還を要求できる」と韓国では認識されているのですね。
 先日も韓国メディアから「裁判所がユネスコ条約に言及したから、(韓国への)返還の可能性もないわけでない」とする記事の段落があって、楽韓さんの頭に疑問符がいくつも浮いていたなんてことがありましたが。

 面白いですね。
 「韓国の正義を実現するため(だけ)に国際条約は存在している」という認識。
 そして「法は遡及適用されない」という認識はあっても、「(韓国にとっての)正義は法を上回る」という認識が法の不遡及を上回ってしまう。

 「自分たちにユネスコ条約が適用され、日本への返還義務がある」とはミリほども思っていない。
 だから、裁判所の「返還は(ユネスコ)条約や国際法に基づいて決めるべき」とした時に、「韓国のものになる可能性が!」っていう思考になるのですね。
 これ、韓国政府が「ユネスコ条約に従って……」って言い出したらだいぶ騒ぎになるのでしょうね。

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韓国人「盗難された仏像を日韓の和解のシンボルにできないか」「このままでは日韓で文化財の貸し借りすらできない」……10年前に返還してたらできてたのかもね

盗難の高麗仏像を韓日和解のシンボルとして(韓国経済新聞・朝鮮語)
裁判所の判断は交錯した。1審は浮石寺の手を挙げたが、2審は原告の請求を棄却した。仏像を製作した浮石寺と現在の西山副石寺との同一性と連続性を認めにくいということだ。一方、観音寺は法人格を取得した1953年から20年以上仏像を占有し、取得時効が完成したと判断した。浮石寺側は最高裁判所に上告することにした。盗まれた仏像をまた盗んできたから返さなくてもいいのだろうか。本当に容易ではない問題だ。上告審の結果も予断しにくい。 (中略)

結局、上告審の結果によって誰かが傷つくのは避けられない。浮石寺は発掘をしても古い浮石寺と現在の浮石寺が同じであることを証明するという。観音寺も収蔵庫にあった仏像ではなく、500年も寺院に祀られて警戒していた仏像を盗まれたので、実に気の毒な立場だ。訴訟で勝敗を選ばず他の方法を見つけることはできないだろうか。仏教では「ひとつの考えを振り返れば、その場がまさに極落である」とする。逆転の発想が必要だ。経緯はともかくとして、韓国で作った仏像が韓国と日本を行き来したのは途方もない縁ではないか。双方が合意し、この仏像を韓日間の和解と友誼の象徴にすればどうだろうか。浮石寺が所有権を持つ代わりに、観音寺に永久賃貸する方法もある。これを通じて二つの寺院が相互交流するきっかけとすれば錦上添花とはならないか。

壁にぶつかった韓日間文化財展示及び交流活性化のためにも円満な解決が必要な状況だ。仏像返還論議以後、日本では展示や学術調査のために韓国に遺物を貸すのを気にする雰囲気が力強いという。かなり長く関係を結んできた個人、寺院、機関さえ「状況は理解するが貸し出しは困難だ」としている。貸した遺物の無事帰還を保障する「差押免除法」もない状態では不安だということだ。「この事案をひとつの論理でしか見ないで柔軟に見てほしい」というある文化財専門家の言葉にうなづくしかない理由だ。
(引用ここまで)


 お前はなにを言っているんだ案件。
 中国の「アメリカは我々の気球を撃墜するとか不満と遺憾しかない」も大概でしたが。
 この「盗まれた仏像を逆説的に良縁とする」なんてこともできたのですよ。
 ただただ、すっと日本に返還すればよかった。
 なんだったらセレモニーを開いてもいい。対馬で「おかえりなさい!」って段幕掲げてもよかった。
 たとえばそのセレモニーに駐日韓国大使が出席して、観音寺の住職に仏像を手渡すなんて未来なんてものもあり得た未来でしたね。

 でも、そんなものは消え去っている。
 日韓関係の「本当の姿」を見せるのに役立ってくれた。
 日本から盗み出された仏像を返さない、「約束、条約を守らない韓国」の姿を見せてくれている。


 一審の「仏像の所有権は韓国の寺にある」とする判決を報じるニュースに韓国人は喝采を上げ、高裁での「日本の観音寺に所有権がある」とする判決には「裁判官は日本人なのか」「政権が親日だからこんな悲惨なことになる」と非難の声が上がる。
 韓国のことをよく理解できる材料にできたわけですよ。

 で、台湾からフランスからも「ああ、韓国は持ちこまれた文化財を返さない国なのだな」と認識されて、文化財貸与を断られるようになった。

 記事では「四角四面に捉えずに柔軟に見てほしい」とか言ってますが。
 まさに「盗っ人猛々しい」ってヤツですわ。
 「盗まれて10年しても返還されてない」って事実をまず直視しろって話でしかないですからね。

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韓国仏教界「高裁の『仏像の所有権は日本側』という判決は文化財略奪に免罪符を与えるものだ」「常識に符合する判決を求める」とコメント……「日本にはなにをしてもいい」という意識を反映か

高麗仏像の所有権は日本にあるという裁判所…曹渓宗「文化財略奪に免罪符」(ハンギョレ)
 大韓仏教曹渓宗は3日、窃盗犯が日本から韓国に持ち込んだ高麗金銅観音菩薩坐像(仏像)の所有権が日本の寺院にあるという大田(テジョン)高裁の判決に対し立場表明文を出し、深い遺憾の意を表明した。

 曹渓宗はこの文で「1330年に製作された金銅観音菩薩坐像の所有者は瑞山浮石寺にあり、朝鮮初期に倭寇によって略奪され日本に渡ることになったという事実はすでに十分に検証され、一審判決でも認められた経緯がある」とし、このように明らかにした。

 曹渓宗は、高裁判決が「韓国仏教2000年の歴史性と曹渓宗の正統性を無視したもの」であり「時効取得を認めたことも略奪文化財に対する免罪符を与える判決であり、全世界の略奪文化財解決において悪い先例を提供する没歴史的判決」だと主張した。

 曹渓宗は「国家と民族の歴史と感情が込められた文化財は、本来の場所に位置することが極めて当然であり、略奪されたり盗まれた文化財は必ず還収され、後代に継承されるよう努力するのが国家と国民の基本責務だ。最終審では常識に符合する決定で仏教界と国民の信頼を取り戻すことを願う」と要請した。
(引用ここまで)


 大韓仏教曹渓宗、浮石寺の上位団体が先日の高裁による「所有権は日本の観音寺にある」との判決について激しい非難声明を出しています。
 いわく「韓国仏教2000年の歴史性と曹渓宗の正統性を無視したもの」、「略奪文化財に対する免罪符を認めたもの」「没歴史的判決」なのだそうで。
 徹底的に「高裁の判決は悪行だ」くらいのノリになってますね。

 自分たちがなにを言っているのかを理解していないんだろうなぁ。
 要するに「泥棒を推奨している」のですよ、彼らは。
 「いくらでも日本から盗んでこい。我々はそれを擁護する」って話をしているのです。


 「条約も無視していいし、国家間の軋轢なんて関係ない」って話なんですよ。
 「とにかく盗んでこい。それでオールOK」と言っている。
 日本に対してであればなにをしてもいいのだ、という韓国人の意識を反映した声明なのですね。

 この記事の韓国版についているコメントもかなりのひどさ。

高麗仏像が日本所有という裁判所… 曹渓宗「文化財略奪に免罪符」(ハンギョレ・朝鮮語)

 「親日政府になったらすべてが親日になった」「日韓併合が35年だから20年経って韓国は日本の所有になったってことか?」「裁判所に金をやったやつがいる」等々。

 きっかけが盗難であったってことを理解しているコメントは数十件にひとつ。
 ちょっと前の「萌え萌えキュン」って言ったゆるキャラを糾弾しているのと文脈は一致していますね。

 「日本に対してはなにをしてもいい」という認識が韓国人にある、ということです。

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対馬から盗まれた仏像、高裁の「所有権は日本の寺」判決でもまだまだ返還への道は遠い模様

「浮石寺仏像」どうなるか… 「日本への所有権」判決にもかかわらず返還論争見通し(ニュース1・朝鮮語)
大田高裁が忠南西山浮石寺金銅観音菩薩座像の所有権が日本にあると判決したことと関連して搬出・略奪文化財の返還可否について関心が集まっている。 (中略)

それでは、浮石寺仏像は日本に行くのだろうか? これに対してある法曹界関係者は「現在では最高裁判所に上告すること以外に他の法的な解決方法は存在しない」とし「しかし、浮石寺側で同一性、連続性を確実に立証できない以上、高裁判決を覆すことは容易ではない」 と話した。 (中略)

ただ、裁判部がユネスコ協約に触れ「国際法的動向に復興して諸国が不法に搬出された文化財を返還した事例がある」、「仏像が日本に搬出されたのなら、韓国に返還されることが望ましい」と説明しただけに、仏像が西山の浮石寺に戻る可能性がないことではなさそうだ。
(引用ここまで)


 判決から2日が経っていますが、韓国メディアからはいくつかまだ報道が出ていますね。
 で、「不法に搬出された文化財は返還されるのが国際的な流れになっている」という部分から「韓国に留まる可能性もなくはない」といった論評になっています。
 引用部分の最後に裁判部(裁判所)がユネスコ条約に言及して「韓国に返還されることが望ましい」と述べた……とあるんですが。
 他の報道にはそうした記述がないんですよね。

 というか、ユネスコ条約に言及したのは「これは民事だから返還云々には言及しない。返還問題については政府同士でユネスコ条約や国際法に基づいて決めるべきだ」って文脈だとされているので。
 韓国メディアがひとつだけ変な主張をしている場合はだいたい間違っているので、今回もそうじゃないかなと思われます。
 こんな「韓国に有利」な部分があるのなら、他のメディアが騒がないわけがないですしね……。


 ちなみに今回の判決について原告の浮石寺からは「勇気のある大韓民国判事であればどうだったかと残念だ」とコメントしていて苦笑させられます。

盗難による国内搬入高麗仏像の所有権は日本の寺に… 2審原告敗訴で逆転(聯合ニュース・朝鮮語)

 つまり、一審の判決は「法理などを省みない、勇気のある判事であった」という話でもあるのですね(笑)。
 まあ、今回の判決以外にも「勇気のある判決」は山ほどありますが。

 言っておきますが「韓国の原則が反日無罪ではなくなった」ってわけではないですから。
 あくまでも「ひとつの異常な判決」が覆されただけ。

 そして「政権による圧力があった」というのも誤った認識。少なくとも仏像の所有権を争った裁判については。
 一審の公判はパク・クネ政権下で行われていましたからね。
 ただ、高裁判決まで5年以上かかったのはムン・ジェイン政権からなんらかの圧力があったとしても不思議ではありません。
 政権に不利になる判決が自分たちの政権下で出されないように調整していた可能性はあります。

 ぐっと返還に近づいたものの、まだまだ時間はかかるのだろうな、といったところです。
 ソースが見つからないので出せないのですが浮石寺側のコメントで「上告でダメなら国際法廷にも打って出る」まで言ってたニュースが判決当日にありましたから。

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対馬から盗まれた仏像の所有権を争っていた韓国での裁判、ついに日本の観音寺の所有権を認める

「盗んだ高麗仏像、日本に返さなければ」1審反転して原告敗訴判決(東亞日報・朝鮮語)
韓国文化財窃盗団が日本から盗み、国内に持ち込んだ高麗時代の金銅観音菩薩座像(仏像)に対して、2審裁判所が日本に返さなければならないと判断した。

1日、大田高法民事1部(パク・ソンジュン部長判事)は忠南西山浮石寺が韓国を相手に出した流体動産(仏像)引渡請求控訴審で1審を覆して原告の請求を棄却した。

裁判部は「原告である浮石寺が提出した証拠によれば、1330年高麗時代、徐州浮石寺で該当仏像が製作されたという事実関係は認められ、仏像は製作とともに原初的に徐州浮石寺に帰属されたとするのが妥当だ」とし「原告の提出した証拠だけでは、現在存在する浮石寺が、過去に存在していた徐州浮石寺と同じ宗教団体で連続性を持って維持されたと十分に立証できず、同一性を認めにくい」と明らかにした。

続いて「被告補助参加者である(日本)観音寺も、当該仏像の所有権を譲受されて取得したと主張するが、観音寺を建てた終官がいつ、どこで、誰から仏像を譲受して取得したのか、何の証明がなされず、むしろこの事件記録に現れた資料を照らしてみれば、原告の主張のように略奪して不法搬出した情況が存在し、補助参加者が譲受して所有権を取得したという主張は正当な理由ではない」とした。

ただし「観音寺が法人を取得した1953年1月26日から仏像を盗まれた2012年まで仏像を継続して占有していた事実が認められる」とし、「準拠法で適用された日本民法によると、法人が設立され所有してから20年になった1973年1月26日、取得時効が完成したため、違法に搬出された仏像であっても、占有取得原因となった事実関係の性質上、自主占有の見積もりが回復せず、取得時効の完成に影響を及ぼすことができない」と判断した。
(引用ここまで)


 韓国の高裁で対馬の観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像の所有権を争っている裁判の判決が出ました。
 判決は日本の観音寺に所有権を認めるというもの。
 理由は主として以下のふたつ──

・韓国の浮石寺と14世紀の浮石寺との間で同じ宗教団体であるという連続性が認められない。
・日本の観音寺はどのような経緯で入手したにせよ取得時効が完成している。

 実に「フツーの法的判断」が行われたように感じます。
 正直、一審判決が出た時は韓国の法曹界も「いや、嘘だろ」ってなってたのですよ。
 こんなんまともな判決じゃないよと。
 今回はどうにか普通の判決になったな、といったところ。

 韓国でもトンデモ判事によるトンデモ判決というものはありまして。
 時としてそれが「国民情緒にふさわしいもの」になってしまって大騒ぎになることもあるのが困りもの。


 ただ、ひとつチェックしておきたいのは「その時々の政権によって判決の方向性が異なる」と、この判決に言及するものですが。
 少なくともこの件に関しては当てはまりません。
 「浮石寺の所有権を認める」としていた一審の判決は2017年1月、つまりパク・クネ政権下でのものでした。

 いや、韓国における司法判断は大きく政権の意向に左右されるのは間違いありません。それは否定できない事実。
 でも、今回の判決はそういったものではないと認識しておくべきです。

 さらにいえば、今回の被告は韓国政府。
 韓国政府が観音寺の前住職を補助参加人として法廷に出席させるなどしていた。つまり、韓国政府自体には返還の意思があったということです。
 ただ、この高裁判決が延び延びになっていたのはムン・ジェイン政権の意向が反映されていたと見て間違いないと思われますけどね。

 この判決の速報や詳報に300件ほどのコメントがついていて、けっこうな注目度がありますね。
 こちらのニューシスの速報記事には370件、JTBCの詳報にも320件、KBSのYouTubeニュース動画にも370件ほどのコメントがついています。
 その多くが「泥棒が長く所有していたから泥棒のものになるのか」「裁判官は日本人か?」「この裁判は日本でやったのか?」みたいなもの。

[速報]裁判所「金銅観音菩薩座賞所有権は日本」…観音社取得時効認定(ニューシス・朝鮮語)
裁判所「金銅観音菩薩座像の所有権は日本」… 観音寺取得時効認定(JTBC・朝鮮語)
「高麗仏像日本所有認定」… 判決を覆した理由は?(KBS・朝鮮語)

 今回の判決が国民情緒にハマらないものである、ということがよく理解できるのではないでしょうか。
 まあ、知ったこっちゃないんだが。
 ただ、ここから上告もあるから返還されるのは当分先、ということでしょうね。

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対馬から盗まれた仏像に見る「約束の守れない国、韓国」というありかた

対馬の盗難仏像巡る控訴審 判決控え韓国寺側が引き渡し求める(聯合ニュース)
長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像「観世音菩薩坐像」(同県指定有形文化財)の所有権を主張する韓国の浮石寺(忠清南道瑞山市)が仏像を保管する韓国政府に引き渡しを求めた訴訟の控訴審判決公判が2月1日に開かれることを受け、浮石寺側は25日に出した報道資料で、仏像を同寺に引き渡すよう命じた一審判決を支持して検察の控訴を棄却するよう裁判所に要請した。 (中略)

観音寺が1953年に法人化した時点から盗難事件が発生した2012年10月までの約60年間仏像を占有していたため、一定期間が経過すれば占有者の所有が認められる「取得時効」が成立するとの主張に対しては「奪取など悪意による占有は日本の民法でも取得時効が認められない」と反論した。
(引用ここまで)


 対馬観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像の所有権を巡る控訴審で、原告である浮石寺から「控訴棄却を」と求める声明があったそうですわ。
 これも、なのですが。
 要するに韓国には国際的な取り決め、約束、同意、条約を守る気があるのか、という話なのですよ。
 いつものように、というべきか。

 現金化阻止のために韓国政府が動いたとの話が出ていますが。
 あれも実は約束を守っていない。
 韓国が守るべきは日韓請求権協定にあるように、まず外交交渉、それが決裂すれば仲裁委員会の設置、それでもダメなら第三国によって指名される仲裁委の構成をすべき。
 あたかもボールは日本に投げられたとされていますが、日本はそんなボール受け取ってないからね?


 今回の観世音菩薩坐像についていうのであれば、韓国政府は「ユネスコ条約に従って引き渡す」というアナウンスをすべきだったのです。
 まあ……ムン・ジェイン政権にそんな話を期待しても無駄でしかないのは分かっていますけどね。
 国際的規範になれるような人物ではありませんでしたし、外交ブレーンもろくなのがいませんでしたから。
 ムン・ジェインに理性的になれとか無理な話であるのは理解しているのですが。

 ちょっと前に韓国の自治体に属しているゆるキャラが「日本語を話した罪」で糾弾され、吊されました
 あれも同様なのです。
 「日本」をただの外国として扱えない。

 あれが英語だったら吊されているか。
 中国語だったら? あるいはフランス語だったら?
 絶対にそんなことはないのですよ。
 日本を「特別扱い」し続けないことには、彼らのレゾンデートルが損なわれるのです。
 そんな国と約束するなんてことは、本当はバカバカしい話ではあるのですけどね。

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