現在、臨時に大田国立文化財研究所の収蔵庫に保管されている金銅観音菩薩坐像は、結局どこに行くことになるだろうか。
最高裁の判断を見守らなければならないが、法曹界では2審判決を支持する意見が少なくない。国際文化財法研究会長のイ·ギュホ中央大学法学専門大学院教授は「証拠が不明な歴史の空白を認め、現代で形成された国際法と民法の論理にともなう判決」と評した。
仏像の所有権を分ける最初の問題は、14世紀の倭寇による略奪の有無であるが、これに関連した明確な資料がない。 (中略)
2番目の問題は、「現在忠清南道西山にある副石寺が高麗時代の西州副石寺と同じか」である。略奪されたのが事実だとしても、現副石師が仏像の所有権を主張するには、高麗時代の副石師と同じ漬物が立証されなければならないと2審裁判部は判断した。しかしこれも明確な証拠がない。 (中略)
2審判決後、仏像を日本にそのまま返してはいけないという意見も出た。外奎章閣議軌還水を導いたキム・ギョンイム前外交通商部文化外交局長は「裁判所判決が出たからと仏像を日本に返してはならない」とし「裁判所も副石寺仏像が倭寇によって略奪されただろうという情況を認めただけに副石寺が仏像を取り戻すように政府が助けなければならない」と話した。 (中略)
一方、最高裁判所が観音寺の所有権を認めたなら、仏像を一度観音寺に戻さなければならないという反論も少なくない。キム・ジヒョン建国大学世界文化遺産大学院兼任教授は「外交的に文化財返還交渉をする際には国際的に孤立してはならない」とし「窃盗のような方式を結果的に容認するのはむしろ韓国の地位を落とすことができる行為」と指摘した。 (中略)
2審裁判部もこのような状況を考慮して判決文に「ユニドロワ(UNIDROIT))条約」に言及した。1995年に制定されたこの国際条約は、不法搬出文化財を起源国に返還することを原則とする。韓国と日本はこの条約に加入していないが、所有権判決とは別に、このような条約の趣旨を考慮して仏像の返還問題が扱われなければならないということだ。
(引用ここまで・太字引用者)
また観音菩薩坐像の所有権について韓国メディアがわけのわからないことを主張しているのでピックアップ。
UNIDROIT条約、ユニドロワ条約はユネスコ条約とはまた別の盗難文化財についての条約。ユネスコ条約を補完する意味で制定された条約であるとされています。
ユネスコ条約には140を超える国々が参加していますが、ユニドロワ条約を批准している国は54カ国。
まだ新しい条約で各国の国内法とのすり合わせができているとは言いがたい状況なのですね。
で、この記事には「ユニドロワ条約は起源国に返還することを原則とする」としていますが。
……。
いや、あのね。
ユニドロワ条約のどこにもそんなこと書いちゃいないんだが。
前述したようにユニドロワ条約はユニセフ条約を補完し、実際の返還の条件を定めたもの。
盗まれた国への返還をどのようにするか。
あるいは善意の取得者であることが立証できれば補償を受けられるとするもの(そもそも返還は義務)。
もちろん、条約が定められた1995年以前のケースについては触れることはできません。
……以前も「韓国は自分たちにユネスコ条約が当てはめられて、文化財を返還すべき立場にあると認識していない」ことを楽韓Webでは看破したことがあります。
今回も同様ですね。
自分たちが条約を遵守して返還すべき立場であるとはミリほども思っていない。
むしろ、条約によって守られる立場だと勘違いしている。
今回なんて「批准すらしていないユニドロワ条約の精神を反映して返還問題が扱われなければならない」とか言い出してますから。
自分たちが条約で不利になることはないと思いこんでいるんだよなぁ……。
ちなみに高裁の裁判官はしっかり「今回の判決は所有権がどこにあるかを定めただけで、返還は(ユネスコ)条約に従って(政府が)行うべき事柄」としています。
さすがにユネスコ条約の意味を理解していると思われます。
いやぁ……韓国メディアはホントにひどいんですが。今回もホントにひどいわ。
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