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カテゴリ:文化財盗難の記事一覧

韓国左派紙が「仏像の所有権は日本」とした最高裁判決を非難、その言葉とは別にある真の狙いとは?

倭寇に略奪された高麗仏像の持ち主は日本で正しいのか?(ハンギョレ21・朝鮮語)
2023年10月26日、最高裁で歴史的な判決が下された。高麗時代の1330年、徐州(忠清南道瑞山)の浮石寺で作られ、1527年に日本対馬の観音寺に祀られ、2012年10月に再び韓国に入ってきた金銅観世音菩薩坐像(以下仏像)が果たして誰の所有なのかという問題に対する判決だった。略奪文化財の所有権が略奪された側にあるのか、それとも略奪した側にあるのかに対する判決という点で歴史的と言える。 (中略)

この事件の初期訴訟代理人だったキム·ヒョンナム弁護士は「国際司法に従うならばこのように結論が出るのが自然だ。国内に入ってきた過程が窃盗によるものなので、裁判よりは調停で問題を解いていたらどうだっただろうかという残念な気持ちが残る。政府が乗り出して略奪文化財であり窃盗品だという点をすべて考慮した仲裁をしていたら、もっと良かったのではないかと思う」と話した。 (中略)

今回の判決は単なる歴史的·法律的問題を越え、国内政治、韓日外交問題まで盛り込んでいる。なぜなら2017年1月、ろうそく革命の渦中に浮石寺が勝訴した判決が、ユン・ソンニョル政府が執権した後の2023年間、論旨の勝訴で覆されたためだ。2022年の政権交代とユン・ソクヨル政府の韓日関係改善努力が2審と3審判決に影響を与えた可能性があるという疑いが出ている。ウォンウ住職は「政権が変わった後、裁判所の態度が変わったような感じを受けた。ムン・ジェイン政府時代にも外交部は韓日関係の悪化を憂慮してこの仏像を返さなければならないという意見を出したと聞いた」と話した。

同じ脈絡で、今回の最高裁判決が観音寺の自発的な返還につながりかねないという希望混じりの予想も出ている。裁判過程で観音寺側も、韓国が先に仏像を返還する場合、その後の再返還問題を議論することもできるという立場を明らかにしたことがあると、ウォンウ住職は伝えた。また、強制動員問題の拙速解決で国内で困難に直面したユン大統領を支援するため、日本政府や政治家らがこの仏像の返還を推進するだろうという予想も出ている。 (中略)

国際協約は略奪されたり不法搬出された文化財に対して原則的に元の所有者や出所国に返還するよう規定している。

1995年に結んだユニドロワ(UNIDROIT)条約は、盗難された文化財の返還に関する請求権条約だ。これによると、盗難文化財の占有者はその文化財を元の所有者と出所国に返還しなければならない。返還しない場合、限り当事国は他の当事国の裁判所などに盗難文化財の返還を命令することを要求することができる。また、1970年ユネスコ条約は、出処国が要請する場合、両関係国は文化財の回収と返還に関する適切な措置を取ることを規定した。
(引用ここまで)


 ちょっと前にもお伝えしましたが、観世音菩薩坐像についての裁判で日本の観音寺の所有権が認められた判決が出たことに対しての韓国国内からの反応は芳しくありません。
 「大法院は日本の裁判所なのか」といったコメントが多数。
 まあ、法曹界からは「まともな判決でよかった」との反応が多いのですけどね。
 浮石寺に所有権を認め、かつ即時返却を画策した一審判決が「画期的」過ぎたとはされています。
 浮石寺の地元である端山市からは「反歴史的である」との声明が出ています。

韓国瑞山市議会「『浮石寺の仏像は日本所有』の判決は反歴史的」(中央日報)

 「反歴史的」の意味がさっぱり分からないのですが、まあそれは置いておくとしても韓国の草の根的な反応が理解できる一件といえるのではないでしょうか。


 さて、今回はハンギョレ21が「判決はこれでよかったのか」とする記事を出しています。
 ハンギョレ21は左派紙ハンギョレが発行している週刊誌。まだ紙の本も出している模様。
 韓国軍のベトナム戦争における蛮行をはじめて報じたメディアとしても知られています。

 ま、論調はいつものもので。
 韓国も日本も批准すらしていない盗難文化財に関するUNIROIT条約を誤読して「元の場所に返さなければならない」って言っているパターン。
 ユネスコ条約にしてもユニドロワ条約にしても言っていることは「条約批准後に盗まれたものは元の国に返さなければならない」って話。

 むしろユネスコ条約は1970年、ユニドロワ条約については1995年よりも以前の話はなしにしようってことなのですが、遡及法が当たり前の韓国ではこの話が通用していないのですね。
 これが「元の所有国に返還」って話ならエジプトもアフリカも大歓喜ですわ。
 わざとやっているだけなのか、間抜けなだけなのかは不明ですが。

 んで、なぜ左派紙であるハンギョレの関連紙であるハンギョレ21がこんなことを書くのか。
 「この判決はユン政権から圧力があったものだ」とするためです。
 文中にもかなり強めにそうした文脈が入っているのが分かると思います。
 要は政権批判です。
 「ユン政権は親日派なので打倒しなければならない」っていう彼らの主張を補助線として引くと、この主張がどこを目指しているのかよく理解できるんじゃないでしょうかね。

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「対馬の仏像の所有権は日本」とした韓国最高裁判決に韓国人はどのような気分なのか→「文化財略奪に免罪符を与えた!」「ユン政権が親日のせいだ」

カテゴリ:文化財盗難 コメント:(87)
文化財の略奪に免罪符を与えた最高裁判所(グッドモーニング忠清・朝鮮語)
仏像を没収した韓国政府が日本に返そうとすると、2016年に浮石寺が所有権を主張して訴訟を提起した。1審では仏像が略奪された点が認められ、韓国寺院が勝訴したが、2審裁判所は仏像の所有権が日本にあると判断した。そして26日に最高裁が2審の判決を引用してこのような決定を下した。

ここで最高裁が言った言葉が非常に傑作であり、国民に怒りを引き起こしている。日本が仏像を20年以上所有し、所有権が認められる取得時効が完成したということだ。また、最高裁は不法に略奪した文化遺産でも、このような法理から排除できないと説明した。この事実がマスコミ報道を通じて知らされると、さらに司法府に対する怒りが沸き起こった。

2審と3審でこのような判決が相次いで出た背景には、どうしてもその問題の金銅観音菩薩坐像が正式に返還されたのではなく「窃盗」を通じて入ってきたことが影響を与えたものと見られる。 (中略)

金銅観音菩薩坐像はどうだろうか? この仏像は厳然と倭寇が略奪した文化財なので、最初から日本に所有権などはなかった。たとえ国内に返還された経路が「窃盗」という犯罪行為を通じて入ってきたものではあるが、日本に所有権はなかったのだ。最初から該当文化財は盗品であり、盗品は100年経っても1000年経っても盗品に過ぎない。

ところが、司法府はこのような歴史的事実に背を向けたまま、ひたすら狭い法理解釈だけに執着し、あんな判決を下した。これは日帝の略奪を合法化、正当化する悪い先例であるだけでなく、略奪文化財の返還にも困難を生じさせる判決だ。世の中に略奪文化財を置いて、とにかく20年以上所有しているので、所有権が認められる取得時効が完成したということは、どのような頭から出る判決なのか問わざるを得ない。

ユン・ソンニョル政府が親日、反民族の行動を見せると、司法府さえも良心を裏切って親日、反民族の行動に同調しているのではないかと疑わざるを得ない。繰り返しますが、該当文化財は倭寇が略奪した文化財であり、略奪した文化財はいくら長い時間が経っても所有権を認められず、認めてもならない。泥棒が盗んだ品物を長い間持っていれば泥棒が主人だということと何が違うだろうか?

最高裁の該当判決は、我が家の物を泥棒が盗んだが、その物を再び長い時間が経って、我が家の人の誰かが再びその泥棒の家から盗んで返したが、泥棒に所有権を付与したのと同じものだ。略奪された文化財を私たちが代価を払って返還されるべきだったということか?このような司法府の歴史認識と民族意識、ひたすら法典しか知らない白面書生のような態度に怒りを禁じ得ない。
(引用ここまで)


 対馬観音寺から盗まれた金銅観世音菩薩坐像の所有権について、韓国の大法院は「時効取得によって対馬観音寺に所有権がある」と認めました。
 法理という面で見れば当然の判決が高裁から続いたに過ぎません。何度か語っていますが、一審の「原告の浮石寺に所有権を認める。なんなら即時返却する」っていう判決が異常だったといえるでしょうね。

 ただ、今回の判決が韓国人一般にとってどのように受け止められているか、というのは別の話。
 この記事は韓国のローカル左派紙のものですが、韓国人の気分を理解するのに分かりやすいのでピックアップしてみました。

 「盗難されて韓国に入ったものだから返さなければならないというが、そもそもが倭寇が盗んでいったものではないか」
 「韓国から日本やその他海外に持って行かれた略奪文化財が20年以上そこにあるからといって、所有権が移動するなどと略奪に免罪符を与える行為だ」
 「ユン政権の親日行為に法曹界も同調している」

 ……といった感じ。
 まあ、だいたいの気分はこの記事のものと同じですかね。


 その「気分」をチェックした記事なんてのもあったのでそちらも見てみましょう。

「高麗仏像は日本のもの」にネチズン「国も返還してしまえ」(ビクターニュース・朝鮮語)

 当該ニュースを報じたNAVERニュースへのコメントがどのようなものだったかをチェックしたもの。
 あるいはニュースに対してどのような感情を抱いたかをアイコンをタップして表現できるのですが、「怒り」が90%超だったとのこと。

 コメントも多くは「じゃあ我々も盗んでから20年隠しておこう」「韓国の大法院じゃなくて日本の最高裁じゃないか」といったもので、法理を考えたものなんかはゼロ……まで行かないにしてもほとんど見ません。
 実際には日本から盗まれた高麗版大般若経に関して「時効が成立している」として返還してないんですけどね。
 ざっくり、今回の観世音菩薩坐像の所有権について韓国人がどう感じているか、ということは理解していただけたのではないでしょうか。

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韓国の仏教団体、韓国最高裁の「仏像の所有権は対馬観音寺」との判決を批判、「国際条約を見ても返還要請できると書いてある!」……その条約、韓国はサインしてないよね?

大法院「浮石寺仏像の所有権は日本にある」···曹渓宗「不合理な説で不法占有を助長」(アジア経済・朝鮮語)
26日、声明文を通じて曹渓宗は「瑞山浮石寺『金銅観音菩薩坐像』は1330年に造成され瑞山浮石寺に奉安され、朝鮮初期の倭寇の略奪により強セ イ的に日本に渡ったという事実は既存の判決によって十分に検証され認められた」とし「略奪文化財の特殊性に背を向けたまま単純な取得時効完成を理由として棄却決定を下した」と指摘した。

続けて「略奪して強セ イ的に国外搬出された盗難文化財に対して取得時効を認めることは常識的にも話にならないだけでなく、略奪文化財の隠匿と不法占有を助長すること」と批判した。

合わせて「1995年に採択された『盗難または不法搬出された文化財の返還に関する司法統一国際研究所(UNDROIT)協約』5条には協約国家間で取得時効の有無と関係なく不法搬出文化財の返還を要請できると宣言している」と説明した。

曹渓宗は「最高裁判所の判断どおり略奪文化財の取得時効を認める場合、今後すべての略奪文化財問題において略奪国家が所有権を主張することは明白だ」とし「我々は今回の判決に関わらず瑞山浮石寺金銅観音菩薩坐像の換地本処のためにあらゆる努力を尽くす」と明らかにした。
(引用ここまで)


 昨日、対馬の観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像の所有権は観音寺にある、との大法院(最高裁に相当)判決が出ました。
 まあ、順当な判決で逆説的に一審判決が「画期的すぎた」ことを浮き彫りにしたわけですが。
 いや、あれ本当に異常だったからなぁ。
 判決が確定していないにもかかわらず、浮石寺に仏像を「返却」させようとしていましたからね。
 被告である韓国政府が慌てて仮処分を申請してそれが通ったからよかったようなものの。

 今回の裁判で原告である浮石寺が属している曹渓宗からプレスリリースが出たそうで。
 ちょっと見てみましょうか。
 まず「略奪された品の取得時効は認められない」と言い募っているのですが。
 ま、そんなわけもなく。というかそれ以前に略奪されたかどうかもよく分かっていないし、対馬に来た経緯自体も不明。
 それで取得時効が認められないとかもう言っている意味が分からないですね。


 文中にあるUNDROIT条約についても同様で。
 そもそもUNIDROIT条約でスペル間違っているんですが。ユニドロワ条約は1995年に採択された盗難文化財についての国際条約です。
 ユネスコ条約を補完する形のもので、実際の返還手段等について記述されているものですね。

 さて、まずユニドロワ条約5条に「時効取得に関係なく不法搬出文化財の返還を要請できる」とあるんですが……。
 ユニドロワ条約5条にそんな文面ないように見えるんですけどね。

UNIDROIT CONVENTION ON STOLEN OR ILLEGALLY EXPORTED CULTURAL OBJECTS(UNIDROIT・英語)

 ユニドロワ条約がこれ。
 5条をそうは読めないと思うなぁ。

 あ、それ以前にひとつ問題がありまして。
 この「盗難、違法輸出された文化財についてのユニドロワ条約」ですが、日本も韓国も批准していません。
 ユネスコ条約については両国とも批准しているのですけどね。

 なので今回の観世音菩薩坐像についてはユニドロワ条約、なんの意味もないんですね。
 ま、最大の問題は最後の「今回の判決なんか関係なく取り戻すための努力を尽くす」と述べている部分ですかね。
 まだまだ嫌がらせは続きそうです。

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韓国最高裁、対馬から盗まれた仏像の所有権は日本の観音寺にあると認定、ようやく判決確定で返還への第一歩に(ただし、まだ問題は……)

窃盗犯が国内に持ち込んだ浮石寺高麗仏像……大法院「日本に所有権」(聯合ニュース・朝鮮語)
大法院は「原審判決に査察の実体と同一性に関する法理を誤解した誤りがあるが、原告(浮石寺)の請求を棄却した原審判決の結論は正当なものと納得できる」として副修士の上告を棄却した。

大法院はまず、「(1330年から現在まで)寺院の人的要素である僧侶などの継続性を完全に喪失したり、物的要素である宗教施設などが完全に消失したと見る資料はない」とし、「徐州浮石寺が独立した寺院としての実体を維持したまま存続し、原告に至ったと見る余地は十分だ」と判断したが、この部分は控訴審と違って判断した。

しかし、他人の物であっても一定期間問題なく占有したとすれば所有権が渡ったと見る「取得時効」法理により仏像の所有権が正常に観音寺に渡されたと最高裁は見た。

大法院は「被告補助参加人(観音寺)が法人格を取得した1953年1月26日から2012年10月6日頃、窃盗犯によってこの事件の仏像を窃盗されるまで引き続きこの事件の仏像を占有した」とし「観音寺は取得時効が完成した1973年1月26日当時、日本の民法によりこの事件の仏像の所有権を取得した」と明らかにした。

大法院は仏像が高麗時代の倭寇に略奪され不法に搬出された蓋然性があるとか、韓国文化財という事情だけでこのような取得時効法理を破ることはできないと見た。
(引用ここまで)


 対馬から盗難されて韓国に持ちこまれた金銅観世音菩薩坐像について、大法院(最高裁に相当)判決が出ました。
 対馬観音寺に所有権があるとの判断です。
 まあ、ようやくまっとうな判決が確定したといったところです。

 判決の主旨は3点。
・二審とは異なり、「浮石寺の連続性が失われたとはいえない」と判断。原告の資格があるとしました。
・ただし、仏像の所有権は取得時効によって観音寺にあると判断。
・また、原告(浮石寺)が主張する略奪品かどうかは判決に影響を及ぼさない。

 まっとう。まあ、日本から見たら浮石寺の原告資格はどうでもいい部分なのですが、これが認められたのはけっこう意外。
 それを除くとフツーの判決がフツーに出たな、との感想。


 二審との解釈違いはあれども、まあどちらもまっとう。
 根本は日本の取得時効を認めるかどうか、でしたから。
 というか一審判決があまりにも画期的すぎたって話なんですけどね。

 いまのところ、どのニュースを見ても返還についての言及がないので、判決には書かれていないのかも知れません。
 今回の裁判の被告である韓国政府に丸投げかとも思われます。
 というか、「韓国政府は返還しようとしていた」という部分は明確にしておくべきでしょうね。それを浮石寺が「その仏像は我々のものだ」といって所有権を巡る裁判になっていたわけです。
 観音寺からの証人もあくまで「参考人」でした。

 ここから素直に返還までつながるかどうか。
 浮石寺がまたぞろ邪魔にくるのではないか、といった部分で注目が集まります。
 あとまともに保管されていたのかどうかとかも。

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対馬から盗まれた仏像の所有権裁判の最高裁判決言い渡しが今月26日に決定……日本への返還は実現するのか?

カテゴリ:文化財盗難 コメント:(48)
対馬盗難仏像裁判 26日判決へ 韓国最高裁 返還実現に向け期待の声(共同通信)
 長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像を巡り、韓国の浮石寺が所有権を主張し、盗品として保管中の韓国政府に引き渡しを求めた訴訟で韓国最高裁は26日、上告審判決を言い渡す。7年にわたり続いた、仏像の所有権を巡る訴訟はついに決着を迎え、対馬への仏像返還が実現する可能性がある。 (中略)

 今年2月1日。大田高裁は一審判決を取り消し、観音寺の所有権を認める逆転の判決を下す。仏像は倭寇に略奪され日本に持ち込まれた「蓋然性(がいぜんせい)」があるとしながらも、観音寺は一定期間にわたり「平穏かつ公然」と占有し、民法上の「取得時効」が成立すると判断。ただし仏像の返還問題については、韓国政府が国際規範を考慮して検討する必要があると指摘した。
 高裁判決は日本返還を完全に認めたわけではないが、日韓両国が関係改善に動く中での最高裁判決ということもあり、観音寺関係者の返還実現に向けた期待は高まっている。
(引用ここまで)


 26日に韓国の大法院(最高裁に相当)が対馬の観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像の所有権についての判決を言い渡すことを発表しました。
 上告から8ヶ月、控訴審に比べるとだいぶ早い判決の言い渡しになりますね。
 上告棄却かなぁ。

 浮石寺側は控訴審で「おまえら昔の浮石寺と断絶してて連属性ないから所有権ないわ」ってされたことに激オコでして。

対馬から盗まれた仏像の所有権を争っていた韓国での裁判、ついに日本の観音寺の所有権を認める(楽韓Web過去エントリ)

 「発掘調査するから待っとけ」として、なんか高麗時代の瓦とか発掘していました。
 「これが連続性の証拠だ」ってするらしいんですが。
 たとえそこに「旧浮石寺」が存在したとしても、連続性の証拠にはならんと思うんですがね。


 さて、控訴審判決が継続されるとの前提でいくつか語りますが。
 まず所有権が認められたとしても即返還とはなりません。
 控訴審でも「これは所有権だけの判決であって、返還については韓国政府がユネスコ条約や国際法を鑑みてやるべきだ」としていました。

 かつ、浮石寺側は「大法院で負けても国際法廷に出てでも返還を阻止する」といった主旨のことを話していました。
 また、「(文化財の返還を定めた)ユネスコ条約の対象ではない」ともしています。

「控訴審の結果、覆す証拠が出た」……仏像の所有権、日本から持ってくるのか(京郷新聞・朝鮮語)
文化遺産回復財団のイ・サングン理事長は「時効取得成立に関しては仏像が倭寇略奪によって悪意的占有であり無断占有されたため時効取得が完成しない」とし「韓日両国が締結したユネスコ協約適用可否についても仏像がユネスコ協約適用対象ではないという点も把握した」と話した。
(引用ここまで)

 少なくとも返還について仮処分申請くらいはしてくるでしょうしね。

 ま、ひょいっと帰ってくることはまずはないと見ていいでしょう。
 さすがに一審判決が異常なだけであったと思いたいところですけどね。韓国法曹界でも「嘘だろ?」ってなったって話ですし。

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韓国人が盗んだ対馬の観世音菩薩坐像、最高裁での審理がまもなく開始へ……なお、窃盗犯は「我々は愛国者だ」と主張していた

「略奪と窃盗」で衝突した「文化財韓日戦」1勝1敗···最後の勝者は(ソウル新聞・朝鮮語)
浮石寺の手をあげた大田地方裁判所第12民事部(当時裁判長ムン·ボギョン)は2017年1月1審で「贈与や売買など正常な方法ではなく盗難や略奪で行った論地に運ばれ奉安されたと見るのが正しい」として浮石寺が所有者だと明らかにした。 (中略)

盗んできたとしても、国内に持ち込んだ国外文化財を訴訟で返してもらえる可能性を開いた判決であり、注目を集めた。キム氏らは裁判過程で「日本が略奪した韓国文化財を持ってきたのだから、我々は『愛国者』だ」と主張した。当時、文化財庁の関係者は「韓国に残っていたら国宝や宝物に指定されていただろう」と話した。

観音寺の手をあげた大田高裁第1民事部(当時裁判長パク·ソンジュン)は今年2月に控訴審を開き「仏像を製作した徐州の副石寺と今の副石寺が同一で連続性があるのか副石寺側が証明しなければならないが、これまで提出した証拠を見れば同一・連続性を認めるには足りない」と判示した。裁判所は続けて「仏像が外国にあっただけに国際司法に従わなければならない。同法は動産および不動産の物権を所在地法で決定せよという」とし「日本民法は『20年間平穏·公然と物を占有すれば所有権を取得する』としただけに観音寺が宗教法人に登録された1953年1月から計算すれば1973年1月に所有権が完成したと見なければならない」と話した。

浮石寺側は「この仏像は文化財なので取得時効が適用されてはならない」と主張した。これに対して裁判所は「日本法に『時効取得』を否定する規定がなく、韓国文化財保護法も『文化財を国外に輸出したり搬出したりすることはできない』とだけ規定している。この仏像は譲渡などを禁止した国有文化財でもない」と受け入れなかった。
(引用ここまで・太字引用者)


 対馬の観音寺から2012年に韓国人によって盗まれた観世音菩薩像はいまだに日本に返還されることなく、韓国に留め置かれています。
 10年以上そのままで手入れなどがどうなっているのか気になるところですが、現況は知らされていません。
 もうひとつ盗まれた如来立像は盗まれた際に指が欠損したとのことですが。
 防錆とかちゃんとしているんでしょうかね……。

 そろそろ最高裁(大法院)での審理がはじまるということで、さくっとこれまでの状況をまとめておきましょう。

 地裁では韓国の浮石寺の所有権を認めるとの判決が出まして。
 高裁では「現在の浮石寺は過去の同名の寺との連続性を認められない」として原告適格性が否定され、観音寺の所有権が認められています(原告側は即時上告)。
 最高裁にあたる大法院では審理が開始されることになっており、高裁の「日本に返還すべし」との判決がそのまま確定することはないようです。

 浮石寺側では「高麗時代の寺と連続性はある!」として発掘作業をしており、寺の敷地から遺物が出ていることで連続性を主張するつもりだとのこと。
 ……これで連続性が認められるなら、もうなんでもありですね。


 さて、時としてこの観世音菩薩像を盗んだ窃盗犯が韓国人から愛国者扱いされていることは何度か伝えてきました。
 あるいは窃盗犯側が裁判等で「我々は愛国者だ」として、減刑を要求したこともありましたね。
 冒頭記事内でも、あるいはコメント欄でも愛国者云々が書かれています。

 なんかこうね。
 韓国の遵法意識が日本のそれとは大きく異なるのは認識していましたが、ここまでとは。

 なんなら「ユネスコ条約で文化財の返還義務が生じるのは韓国ではなくて日本だ」なんてことすら言ってますからね。
 「韓国の正義(だけ)を実現するために国際条約はあるのだ」くらいの勢いで。

 こうした「韓国人の考えかた」を明らかにしたことだけでも盗まれた甲斐があったというべきか。
 大法院でどんな判決が出るのか。また注目していきましょう。

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対馬仏像盗難:韓国の寺「高麗時代の寺と連続性がないといわれたが、敷地から瓦も出てきた。これが連続性の証拠だ!」

瑞山浮石寺、高麗時代の「徐州浮石寺」との連結点を探すか(大田日報・朝鮮語)
金銅観音菩薩坐像の所有権紛争で訴訟が進行中の中、瑞山市が浮石寺文化財調査で高麗から朝鮮時代に至る遺物を多数発見した。

28日瑞山市によると、忠南文化研究院が浮石寺で4月から先月まで行った指標調査で高麗時代から朝鮮時代の遺物20点余りを訪ねた。「卍」字が刻まれた瓦と石塔部材などが発見されたが、これは高麗時代の特徴的な様式を反映している。高麗時代、この場所に寺院関連の建物があったことを裏付ける遺物だと研究院は説明した。

市関係者は「瓦遺物の文様から見て製作時期を高麗時代と推定している」と明らかにした。

この寺院が西周浮石寺ということを立証するための本格的な建物址7250平米の試掘・発掘調査が近いうちに進行される予定だ。市は前日、浮石寺周辺で安全な調査のための固有制度を実施した。 (中略)

今回の調査は金銅観音菩薩坐像の中から出てきた仏像結縁文で「徐州浮石寺に奉安しようとこの仏像を製作した」という内容の中で「徐州浮石寺」と現「瑞山浮石寺」が連続性があるかを証明するため瑞山市が推進した。連続性は「徐州浮石寺」が現在の瑞山浮石寺と同一ではないかもしれないが、その意を受け継いできた寺院という意味だ。
(引用ここまで)


 対馬から盗まれた仏像についてのニュース続報。
 二審で「現在の浮石寺は、高麗時代の浮石寺との連続性を保持していない。原告適格ではない」として対馬観音寺への所有権を認めました。
 まあ、それ以外にもいくつか理由はあるのですが。
 この「原告適格」を問われるのははもう致命的といっていいレベル。

 というわけで浮石寺は「我々がかつての浮石寺と連続性を持つ存在である」と証明すると鼻息も荒く主張しているわけです。
 で、やっているのは敷地内の発掘作業。
 「遺構なり当時の建物のなにかなりが見つかれば連続性を証明できる」というつもりでやって、いくつか瓦や石塔を見つけたとのこと。


 高麗様式のものだとのことで、これをもって「ここに高麗時代の浮石寺があったのだ」とする予定だそうですが。
 ……なんとも解せないのは、この発掘作業に市が関わっていること。
 というか、なんか積極的にやっている感じなんですよね。

 どちらにせよ、敷地内に遺構があろうがなんだろうが現在の浮石寺が、かつての浮石寺と連続性を保ってないことには変わりはないのですけどね。
 「原告適格」ってそういうことじゃないから。

 あ、それとなんかこの浮石寺の様子と、観世音菩薩坐像の様子が映像にあったので置いておきますね。



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対馬から盗まれた仏像の所有権、韓国最高裁での審理が開始……韓国側「発掘で証拠が出てきた。これで同じ寺だと証明できる!」……せやろか

浮石寺観音仏像返還訴訟、大法院本案審理開始···司法府の最終判断秒読み(中道日報・朝鮮語)
大法院民事1部は18日、大韓仏教曹渓宗浮石寺の幽体東山引渡し上告審事件の審理不続行期間の経過を通知した。浮石寺側が提出した上告理由書と被告日本対馬宗教法人観音寺が提出した答弁書を検討した結果、上告審を進める価値が十分だと判断し審理を始めたという意味だ。 (中略)

司法府の最終判断を受けることになった原告浮石寺側は上告理由書を通じて、高麗時代瑞山地域地名である徐州の浮石寺と今の瑞山浮石寺が歴史的に同一体だと再度強調した。(中略)また、瑞山市が浮石寺周辺で4月から実施した文化財指標調査で、魚骨文瓦、無文瓦片など高麗時代の遺物が多数収拾され、瑞山浮石寺の位置に徐州浮石寺が存在したという証明で決して不足はないという主張だ。

逆に、日本の対馬観音寺側は4月24日、最高裁判所に提出した答弁書で「略奪が誰によっていつ実行されたというのか?」と証拠を出せと圧迫している。日本の観音寺側は、「徐州浮石寺が高麗末期または朝鮮初期にも終戦と同一性を維持し、現在まで存続したと認める証拠がない」と主張した。
(引用ここまで)


 対馬の観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像の帰属についての裁判で、大法院(最高裁に相当)から審理を開始するとの通知があったとのこと。
 上告棄却ではなく、大法院でも審理をすると。

 記事では「被告の観音寺」となっていますが、被告は韓国政府ね。
 韓国政府が返還しようとしていた際に、浮石寺側が「その仏像は我々のものだ」として起こした裁判です。
 事実関係として指摘しておきましょう。
 まあ、韓国メディアなんてこんなもんですけど。

 さて、二審の判決では「観音寺の所有権」が認められました。その大きな理由のひとつが「浮石寺はかつての浮石寺と同一のものではない。そもそも所有権を主張できない」とするものでした。
 それに対して浮石寺は大反発しているのですね。


 「寺の敷地を発掘してでも同一性を確認させてやる」くらいの鼻息で。
 実際に発掘作業をしていくつかの「証拠」を発見したそうですわ。
 でも、それって「いまの浮石寺がかつての浮石寺と同じ敷地にある」というだけの話で、当時から同一性を保持したままであるとはいえないのでは。

 ここでいう「同一性」は連綿と「法人的な立場」として浮石寺が受け継がれてきたか否かの指摘であって、同じ土地に寺が建てられているかどうかじゃない気がするのですが。
 そもそも原告として適格なのかどうか、という話なのです。

 ま、そのあたりも含めて大法院がどのように判断するかなかなか見ものではないかと考えます。
 以前も語ったように「約束を守れない韓国」を顕現させるために仏様が身を挺して日本に警告をしてくれたのではないかという部分もありますね。

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