韓国文化財窃盗団が日本から盗み、国内に持ち込んだ高麗時代の金銅観音菩薩座像(仏像)に対して、2審裁判所が日本に返さなければならないと判断した。
1日、大田高法民事1部(パク・ソンジュン部長判事)は忠南西山浮石寺が韓国を相手に出した流体動産(仏像)引渡請求控訴審で1審を覆して原告の請求を棄却した。
裁判部は「原告である浮石寺が提出した証拠によれば、1330年高麗時代、徐州浮石寺で該当仏像が製作されたという事実関係は認められ、仏像は製作とともに原初的に徐州浮石寺に帰属されたとするのが妥当だ」とし「原告の提出した証拠だけでは、現在存在する浮石寺が、過去に存在していた徐州浮石寺と同じ宗教団体で連続性を持って維持されたと十分に立証できず、同一性を認めにくい」と明らかにした。
続いて「被告補助参加者である(日本)観音寺も、当該仏像の所有権を譲受されて取得したと主張するが、観音寺を建てた終官がいつ、どこで、誰から仏像を譲受して取得したのか、何の証明がなされず、むしろこの事件記録に現れた資料を照らしてみれば、原告の主張のように略奪して不法搬出した情況が存在し、補助参加者が譲受して所有権を取得したという主張は正当な理由ではない」とした。
ただし「観音寺が法人を取得した1953年1月26日から仏像を盗まれた2012年まで仏像を継続して占有していた事実が認められる」とし、「準拠法で適用された日本民法によると、法人が設立され所有してから20年になった1973年1月26日、取得時効が完成したため、違法に搬出された仏像であっても、占有取得原因となった事実関係の性質上、自主占有の見積もりが回復せず、取得時効の完成に影響を及ぼすことができない」と判断した。
(引用ここまで)
韓国の高裁で対馬の観音寺から盗まれた観世音菩薩坐像の所有権を争っている裁判の判決が出ました。
判決は日本の観音寺に所有権を認めるというもの。
理由は主として以下のふたつ──
・韓国の浮石寺と14世紀の浮石寺との間で同じ宗教団体であるという連続性が認められない。
・日本の観音寺はどのような経緯で入手したにせよ取得時効が完成している。
実に「フツーの法的判断」が行われたように感じます。
正直、一審判決が出た時は韓国の法曹界も「いや、嘘だろ」ってなってたのですよ。
こんなんまともな判決じゃないよと。
今回はどうにか普通の判決になったな、といったところ。
韓国でもトンデモ判事によるトンデモ判決というものはありまして。
時としてそれが「国民情緒にふさわしいもの」になってしまって大騒ぎになることもあるのが困りもの。
ただ、ひとつチェックしておきたいのは「その時々の政権によって判決の方向性が異なる」と、この判決に言及するものですが。
少なくともこの件に関しては当てはまりません。
「浮石寺の所有権を認める」としていた一審の判決は2017年1月、つまりパク・クネ政権下でのものでした。
いや、韓国における司法判断は大きく政権の意向に左右されるのは間違いありません。それは否定できない事実。
でも、今回の判決はそういったものではないと認識しておくべきです。
さらにいえば、今回の被告は韓国政府。
韓国政府が観音寺の前住職を補助参加人として法廷に出席させるなどしていた。つまり、韓国政府自体には返還の意思があったということです。
ただ、この高裁判決が延び延びになっていたのはムン・ジェイン政権の意向が反映されていたと見て間違いないと思われますけどね。
この判決の速報や詳報に300件ほどのコメントがついていて、けっこうな注目度がありますね。
こちらのニューシスの速報記事には370件、JTBCの詳報にも320件、KBSのYouTubeニュース動画にも370件ほどのコメントがついています。
その多くが「泥棒が長く所有していたから泥棒のものになるのか」「裁判官は日本人か?」「この裁判は日本でやったのか?」みたいなもの。
[速報]裁判所「金銅観音菩薩座賞所有権は日本」…観音社取得時効認定(ニューシス・朝鮮語)
裁判所「金銅観音菩薩座像の所有権は日本」… 観音寺取得時効認定(JTBC・朝鮮語)
「高麗仏像日本所有認定」… 判決を覆した理由は?(KBS・朝鮮語)
今回の判決が国民情緒にハマらないものである、ということがよく理解できるのではないでしょうか。
まあ、知ったこっちゃないんだが。
ただ、ここから上告もあるから返還されるのは当分先、ということでしょうね。
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