初の海外ユーザーとなるか? インドネシアが最新戦闘機F-15EX「イーグルII」を発注 ボーイング(乗りものニュース)
大手航空機メーカーのボーイング社は2023年8月21日、インドネシアからF-15EX戦闘機を受注したと発表しました。
この日、アメリカ中西部ミズーリ州のセントルイスにあるボーイングの工場を訪れたインドネシアのプラボウォ・スビアント国防大臣を始めとした視察団一行は、F-15EXを見学。その後、ボーイングの副社長であるマークシアーズ軍用機プログラムマネージャーと会い、インドネシア国防省防衛施設局長であるユスフ・ジャウハリ空軍中将と覚書(MoU)に署名しています。
(中略)
F-15EXを輸出するにはアメリカ国防総省の承認が必要となるため、現時点では「コミットメント」、すなわち約束や内定といった形ですが、インドネシアとしては24機注文するそうです。
これまでに、F-15「イーグル」シリーズを採用した国は、アメリカや日本を含め7か国あります。輸出が承認されれば、インドネシアは8か国目となり、F-15EX「イーグルII」としては初の海外ユーザーになる予定です。
(引用ここまで)
「韓国独自技術で開発されているKF-21」の共同開発パートナーであるインドネシアがF-15EXを24機導入することを決めました。
名称は以前に報じられたようにF-15IDとなるようですね。
インドネシアはこれより以前にフランスのラファールを42機導入することを決めています。
インドネシアが戦闘機ラファールの導入で正式契約……KF-21を共同開発する韓国からは「インドネシアなんていらないだろ」との声も……(楽韓Web過去エントリ)
かつそれまでのつなぎで中古のミラージュ2000をカタールから12機導入することを決定しています。
これでインドネシアの航空戦力は将来的にこんな感じになります。
・F-15EX(F-15ID) 24機
・ラファールF4 42機
・ミラージュ2000-5 12機
・F-16A/B/C/D 33機(A/B 3機、AM/BM7機、C/D 23機)
・Su-27 5機
・Su-30 11機
・T-50i 13機
4.5世代機だけで66機。
4世代機が45機。
ロシア機が16機。
韓国製の軽攻撃機も13機(6機の追加予定があったはず)。
……2026年に戦力化予定の「共同開発するKF-21」を40機導入することになっているんですが。
KF-21がここに入る余地あるんですかね?
何度か楽韓Webでも「共同開発国なのに開発分担金を納めようとしないインドネシア」について報じてきました。
KF-21共同開発における契約で、インドネシアは全体の20%にあたる1兆7000億ウォンの分担金を支払い、韓国側は40機のKF-21の引き渡しとあるていどの技術移転を行う(詳細不明)というもの。
インドネシア側は当初の何回かは支払っていたとのことですが、未納金は8000億ウォン以上になっているとの話です。
ただし、この契約はインドネシア政府と韓国政府間のものではなく、開発主体のKAIとインドネシア当局が交わしています。
そして、
インドネシア側には分担金支払い遅延のペナルティ、違約金はなし。韓国側は2回の遅延で契約解除が可能との条項があるだけ。
……そりゃまあ、インドネシアも払おうとしないでしょうよ。
何度か交渉が行われて最終的には
インドネシアの分担金のうち30%までは物納(パーム油等)を認めるとまで譲歩したのですが。
それでも未納金8000億ウォンのうち、
2022年11月に94億ウォン、今年2月に417億ウォンを支払っただけとされています。
その後も「
今度こそ6月末までに韓国側に納入計画詳細を伝える」としていたのですが、それも果たされませんでした。
今回のF-15EX導入はKF-21開発計画からの離脱を意味することになるでしょう。
それでなくともKF-21の開発費用は膨れ上がっていて、
現状ではF-35Aよりも高価になることが予想されています。
インドネシアの離脱でさらに機体単価は高くなることでしょう。
まあ、インドネシアとしても「地域大国」としての自負からまともな航空戦力が欲しかったのは間違いないところ。
ライバル国であるオーストラリアは5世代機のF-35Aをばんばん導入している。
領有権問題を抱える対中国を考えてもKF-21を待っていられなかったのでしょうね。
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