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カテゴリ:KF-X事業の記事一覧

韓国政府、ペルーの次期戦闘機導入事業にKF-21をねじこもうと奮闘中もペルーからは「要件未達なので無理」とあっさり……そりゃ対地攻撃もできない状況だしね

カテゴリ:KF-X事業 コメント:(67)
ペルー、次期戦闘機事業で韓国KF-21を除くか?…韓国政府「公正競争」を促す(グローバルビズ・朝鮮語)
ペルーが推進する次期戦闘機導入事業で、韓国航空宇宙産業(KAI)のKF21「ポラメ」モデルが要件未充足を理由に除外されたことが分かった。 ペルー空軍(FAP)は自国作戦要求性能にKF-21が符合しないと通知したとラ・レプブリカが19日(現地時間)報道した。

ラ・レプブリカの報道によると、KAIはこの半年間、ペルー政府にKF-21の販売を提案し、評価を要請してきた。 ペルー空軍(FAP)は35億ドル(約4兆9840億ウォン)の予算を投入し、24機の多目的戦闘機を導入する計画であり、現在、スウェーデンのSAAB39グリペン、フランスのダッソー・ラファールF4、米国のF-16Vブロック70を秤にかけている。 KAIのKF21はペルー空軍の考慮対象リストに含まれなかった。

ペルー軍の消息筋は、ラ・レプブリカとのインタビューで、KF21がペルー空軍の作戦計画と技術的特性に違いがあり、獲得計画に含まれなかったことを確認した。 ペルー空軍が要求する仕様に合致しないという説明だ。

しかし、韓国側は簡単には退かない。 ペルー軍購買庁(ACFFAA)が国際入札を招集することが公正な手続きであり、他の製造会社と同等の条件で競争しなければならないと主張する。 しかし、韓国側は事実上、選定手続きがすでに終わったという返事を受けた。 ラ・レプブリカが入手したKAIの書簡によると、KAI関係者たちはペルー空軍と国防部に送った書簡で、自分たちの排除に対する怒りと抗議を表明し、提案を再び考慮することを促した。
(引用ここまで)




 南米ペルーで次期戦闘機採用計画ってものがありまして。
 現在のところ、サーブのグリペンE/Fが一歩リードしている模様。
 それをラファールとF-16Vが追っているってところですかね。

 同様にコロンビアでも次期戦闘機採用計画が進行中で、こちらでもグリペンE/Fが本命となったとされています。
 同じようにライバルはラファールとF-16V。

 その一方でアメリカはコロンビアとペルーがグリペンを導入するのであればエンジン供給者として拒否権を発動すると述べているとのこと。
 ただ、本当にそれをやってしまうとおそらくラファールに向かってしまうのでエンジンの収入もなくなってしまうのではないかなぁと思われます。
 コロンビアは20機以上、ペルーも24機とそこそこの導入規模なので一切合切なくなってしまうよりもエンジンや武装だけでも取っておいたほうがいいんじゃないかとは思うのですけどね。
 F-16Vはいつになったらデリバリされるのかが分からない。行列が長すぎる……。



 で、その中に韓国のKF-21が割って入ろうとしているのだそうですよ。
 ペルーの次期戦闘機採用計画にKF-21も混ぜろと。

 それに対してペルー政府からは「要件を満たしていないので却下されています」って回答だったそうですが。
 それでもまだ食い下がって「国際入札の対象としろ!」とねじこもうとしている。

 KF-21がグリペンE/F、ラファール、F-16Vの相手になるとも思えない。
 なにしろ韓国空軍ですらまだ制式採用しておらず、対地攻撃もできない代物ですから。
 それなのになんでこんなことをしているかっていうと「候補になった」って実績を作っておきたいからでしょうね。
 国際的な場でF-16V、ラファール、グリペンと競争を繰り広げたのだ、っていうストーリーを作ってから次に行きたい。
 万が一、採用されたら儲けものくらいの意識で。

 フィリピンでも同じことをしているのですが、まあどっちも無理でしょうね。
 なんかフィリピンに関しては「採用も充分にありえる!」って韓国メディアが吹いてるんですが。



 英語メディアからはほぼ無視されています。グリペンとF-16Vの一騎打ち扱いですね。



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 中味は長編記事。最新の記事は「イ・ジェミョン大統領の韓国が台湾有事を誘発する 」となっています。


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韓国の独自戦闘機KF-21の共同開発国インドネシア、分担金を支払わないままトルコのKAANにも手を伸ばすか?

カテゴリ:KF-X事業 コメント:(41)
タグ: KF-21 KF-X 軍事 kaan Kai
戦闘機KF21共同開発 インドネシア分担金減額で韓国航空機メーカーにとばっちり【独自】(朝鮮日報)
 投資銀行(IB)業界が10日に明らかにしたところによると、韓国政府はこれまでの分担比率を考慮し、インドネシアの未払い分4700億ウォン(約481億円)について韓国政府が3500億ウォン(74.5%)、KAIが1200億ウォン(25.5%)という形で負担する案を検討している。一部では、KAIがもっと負担すべきだという意見も出ているという。

 韓国はインドネシアと共同で、2015年から26年までの予定で約8兆1000億ウォンを投じてKF21を開発している。当初、インドネシアは全体事業費の20%に当たる1兆7000億ウォン(後に1兆6000億ウォンに減額)を投資し、試作機1機と技術資料の提供を受けた後、次世代戦闘機48機をインドネシア国内で生産することになっていた。残りの80%は、韓国政府が4兆9000億ウォン(60%)、KAIが1兆6000億ウォン(20%)を負担することが決まっていた。

 事業の満了が約1年後に迫っているが、インドネシアがこれまでに納付した金額は4000億ウォンにとどまっている。これはKF21の開発分担金総額(1兆6000億ウォン)の25%だ。インドネシアは財政難を理由に分担金の削減を要請している。韓国政府は昨年8月、インドネシアの分担金を6000億ウォンに減額する調整案を提示した。これを基に、インドネシアは24-26年に年平均1070億ウォンを納付する予定だという。

 KAIは開発過程で費用を削減し、総開発費を7兆6000億ウォンへと約6%減額したが、インドネシアの分担金の一部がKAI側に上乗せされたため、逆に多額の費用負担を強いられることになった。もともとの1兆6000億ウォンに追加の分担金1200億ウォンを合わせると、1兆7200億ウォンを負担することになる。これは昨年の営業利益(2407億ウォン)の7倍を上回る規模だ。 (中略)

 韓国政府とKAIがインドネシアとの共同開発を続ける理由は、インドネシアがKF21の最初の顧客だからだ。インドネシアはKF21を48機購入するという条件で共同開発に参加した。インドネシアはこれまでも基本訓練機KT1や高等訓練機T50などを購入している。

 韓国の防衛産業界の関係者は「分担金を減額する代わりに、技術移転の範囲を縮小することで合意したと聞いている。韓国政府が交渉を主導してインドネシアの分担金を減額したのに、民間企業がその一部を負担するというのは、業界の立場としては残念だ」と述べた。
(引用ここまで)


 韓国で開発が続いているKF-21の共同開発国であるインドネシア。
 当初予定ではインドネシアが負担する開発金は1兆7000億ウォンとされていました。
 その後、開発費が縮小されて1兆6000億ウォンになったのですが、現在までにインドネシアが支払っているのは4000億ウォンに過ぎません。
 さらに政府同士の話し合いでインドネシアの負担金は6000億ウォンにまでディスカウントされているのですが。

「韓国独自の戦闘機」KF-21、インドネシアからの開発分担金は1兆ウォン(63%減)のディスカウント……それでもインドネシアを切り捨てられない理由とは?(楽韓Web過去エントリ)

 残り2000億ウォンはまだ支払われていないとの話。
 で、これまで支払われていない分の分担で、開発元企業であるKAIも1200億ウォンを支払えってことになりそうだと。


 なんでそんなことになっているのか、と思う人も多いと思いますが。
 簡単にいうとインドネシアとの契約主体になっているのがKAIだから。

韓国政府「今月末までにインドネシアがKF-21の開発分担金をどうするか決めなければ契約を根本から見直す」と共同開発キャンセルも示唆……その一方でインドネシアはすでにラファール、F-15EXを計66機導入決定済(楽韓Web過去エントリ)

 なんで一企業が外国と契約しているのかについてはさっぱりなんですけどね。
 まあ、そんな背景があってKAIも責任を取れといわれているのです。

 その一方でインドネシアですがラファールを42機、F-15X(F-15ID)を24機契約していて、かつトルコのKAAN(TFX)にも色気を出しているとのこと。

「KF-21分担金未納」インドネシア、トルコ第5世代ステルス戦闘機開発に参加関心(THE GURU・朝鮮語)

 KF-21には最低限しか支払わないけど、他の戦闘機にはばんばんお金を落としてくれる。
 韓国を信頼していないというか、手のひらで転がしているだけって感じですかね。

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「韓国独自の戦闘機」KF-21、F-35を買えない国に向けて輸出攻勢をかけたいものの、だいぶハードルは高そう……っていうかF-16の代替って双発機では無理なのでは

カテゴリ:KF-X事業 コメント:(58)
タグ: KF-X KF-21 軍事 F414
「ニッチ」を探すKF-21、量産から輸出まで「本ゲーム開始」(韓国経済新聞・朝鮮語)
韓国型戦闘機KF21が本格的に活動する時期が近づいている。

昨年6月、KF21の20代初の量産契約(1兆9600億ウォン)を結んだ韓国航空宇宙産業(KAI)は先月、1243億ウォン規模の成果基盤軍需支援(PBL)契約を締結した。 (中略)

約10年前、KF21探索開発段階から推進された海外販売も、フィリピンなどで受注の可能性が提起されている。 空軍の戦力増強と航空宇宙産業の発展を同時に図る機会を得るわけだ。

だが、先端武器市場を掌握した米国。ヨーロッパ防衛産業界と一般的な方式で競争するには国内防衛産業の対外的影響力と規模などが不足している実情だ。 (中略)

現在、20台の初期量産が進められているKF-21は、基本飛行性能と空対空能力を備えたブロック1だ。

欧州MBDAのミーティア中距離空対空ミサイルとドイツのディールディフェンスAIM-2000短距離空対空ミサイル(IRIS-T)などで武装している。 (中略)

為替レートの上昇と供給網の問題で、2次量産段階での1台当たりの価格は上昇する見通しだ。

KF-21に搭載されたエンジンは、米GEのF414をハンファ・エアロスペースが生産する形だが、国産化率が50%に及ばない状況だ。 (中略)

エンジン構成品のほか、正確な種類が公開されない輸入官級装備10種余りまで考慮すれば、為替レートが及ぼす影響は相当な水準であるものと見られる。 (中略)

F16が納品遅延問題を抱えている状況で発生した隙をKF21が急いで占めるためには、輸出キャンペーンを急がなければならない。 (中略)

西側の武器を使うが、F35を導入できない国を対象にKF21を輸出するためには、国内のすべての力量を集めることが必須だ。 空軍の戦力化と輸出の試みを控えた今、真の挑戦はこれから始まる理由だ。
(引用ここまで)


 KF-21は試作機が6機製造され、さまざまな試験を行っている状況です。
 ただし、初期生産数は予定の40機から20機に減らされているために、生産コストを引き下げられていない状態。
 さらに昨今のインフレ、為替安で予定されていた価格は実現できそうにもないとのこと。

 最大のネックはエンジンでF414を2基搭載している、かつライセンス生産しているのに部品の国産化率は40%台であるために相当なコスト高の要因となっている模様。
 ただ、この数字はライセンス生産しているハンファ・エアロスペースの主張であって、実際には20%台でしかないとの報道もありました。

「韓国独自の戦闘機」に搭載されるアメリカ製エンジン、契約時「国産化比率は60%ていど」→「40%くらい?」→直近「調べたら20%を切ってました」(楽韓Web過去エントリ)

 そこで「エンジンも国産化すればいいんだ!」って声が出ています。
 将来、ステルス化するためにも独自エンジンを製造しなければとの話は以前にも出ていましたね。


 なんでも「2030年代までにKF-21用の独自エンジンを製造できるようにする」ためのプロジェクトが動きはじめたそうですよ。

「KF-21の心臓、私たちの手で」… 国産航空エンジンの開発に拍車(ファイナンシャルニュース・朝鮮語)

 将来予定している無人随伴機を運用するためにも、センサー類の使用を公開しないで済む国産技術が重要だとしています。
 んー、まあ……がんばってね?
 F-16のデリバリが遅延しているのは間違いないのですが、双発機のKF-21はそもそもマーケットが違ってないかって話もありますからねぇ。
 グリペンとかと競合できないでしょ。

 あと冒頭記事を見てもミサイルはまだ欧州製のみしか装備できない模様。
 以前から「アメリカ製ミサイルの搭載(接続)許可が出ていない」との話はありましたが、まだなんだな……。あんだけ試作機飛ばしてて。

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韓国メディア「インドネシアの大統領は就任前に日本、中国を歴訪したのに韓国にこなかった」「KF-21の技術情報を盗ませようとしたくせに!」……韓国だって同じようなことしているんだから仲良くしなよ

KF-21戦闘機資料流出、インニ技術陣に検察送致(東亞日報・朝鮮語)
警察が国産超音速戦闘機KF21関連資料を流出した疑いが持たれているインドネシア技術陣を先週検察に送致したことが確認された。 防衛事業庁と国家情報院など政府合同調査団から警察が3月に該当事件を受け取り、捜査に着手してから9ヵ月ぶりのことだ。 自国民に対する捜査が長期化し、これまでインドネシア側は様々なチャンネルを通じて不満を示してきたという。 (中略)

1月、慶尚南道泗川の韓国航空宇宙産業(KAI)本社に派遣されたインドネシア研究員は、KF21関連資料が含まれた未認可移動式保存装置(USB)を所持したまま退勤して摘発された。 ただし政府消息筋は「捜査過程で軍事機密など敏感資料流出は把握されていないと理解している」と伝えた。

アセアン(ASEAN・東南アジア諸国連合)でK-防衛産業輸出の核心国家であるインニはこの間、自国民に対する捜査が進行される過程で色々なチャンネルを通じて不快感を表わしてきたという。 特に、国防長官を務めたプラボウォ・スビアント大統領は、10月の就任前の歴訪当時、日本や中国などを訪問しながらも、韓国を訪問しなかった。 政府内外では2011年国家情報院の「インドネシア特使団ホテル潜入事件」当時、インドネシア側が該当事件に対して問題提起をしなかった前例などを考慮し、韓国政府の捜査長期化に不快感を表わしていると見ている。 政府消息筋は「当時、インニ側はこの事件以後も国産高等訓練機(T-50)を購入した」と伝えた。
(引用ここまで)


 去年4月、インドネシアの大統領当選者(当時)であったプラボウォ・スビアント氏が日本、中国などを歴訪しました。
 日本では岸田首相を表敬訪問しています。

インドネシア次期大統領、岸田首相を表敬(JETRO)

 大統領就任後は石破首相のインドネシア訪問を出迎えて日本から警備艇供与を受け、2+2の開催などを決めています。

石破首相、インドネシア大統領と会談 警備艇の供与など安保連携強化(朝日新聞)

 そのインドネシア、人口約2億8000万の大国……ではあるのですが。
 コロナ禍でうまく立ち回ることができずに中間層が消滅しつつある、とされています。
 それをフォローするためにプラボウォ政権は中国にすり寄るのでは、との予測もされていますね。
 BRICs加盟はその一端になるだろうとも。


 その一方で国防にはラファール42機とF-15EX(F-15ID)を36機導入することを決めています。
 そんなこんなで自由主義陣営にもいい顔をしつつ、中国にもおもねるといった外交方針となっているわけですが。
 ん、どこかで聞いたことがあるような外交方針ですか?

 その状況にいらいらしているのが韓国だったりします。
 「就任前に中国、日本を歴訪したのに韓国には来なかった」のだそうで。
 自分の価値を過大に見積もっている同士、仲が悪いんですかね。

 上記のラファールとF-15IDの導入を主導したのが国防相であったころのプラボウォ氏だったともされています。
 要するに「KF-21の共同開発国なのに分担金を支払わなかった」、かつ「1兆ウォンのディスカウントを要求してきた」状況を作り上げた人物が大統領になったわけですね。

 インドネシアから派遣されてきた研究員が技術資料の入ったUSBメモリを持ち出そうとしたことについて、韓国側は貸しができたと考えているようですが。

インドネシア人、韓国の独自戦闘機であるKF-21の技術資料を持ち出そうとして摘発……でも、韓国もインドネシアに対して同じことやっているよね?(楽韓Web過去エントリ)

 この過去エントリでも指摘しているように韓国も国情院(旧KCIA、韓国の諜報機関)がインドネシア側をスパイしようとして現場を取り押さえられたなんてことがあります。
 同じ穴の狢なのだから仲良くすればいいものを。

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韓国メディア「アメリカからKF-21への技術移転が拒絶された4大技術を国産化した。今度はIRSTだ!」……どうも伊レオナルド社のオリジナルっぽくない?

「米国が技術を与えなかったがあきらめない」…KF-21 核心装備 国産化七転び八起きのストーリー(毎日経済・朝鮮語)
KF-21の開発過程で重要な成果として、国内での独自開発に成功した航空電子装備が欠かせない。 航空電子装備には戦闘機の頭脳に当たる任務コンピューター、目の役割をする能動型電子走査式位相配列(AESA)レーダー、赤外線探索追跡装備(IRST)が含まれる。

毎日経済が13日に訪問したハンファシステム研究所(盆唐所在ソヒョン事業場)は航空電子装備開発の核心拠点だ。 京畿道龍仁で開発中のAESAレーダーを除いて、残りの航空電子装備の大部分がここで開発される。 IRSTは戦闘機に欠かせない航空電子装備で、赤外線を探索して追跡する装備だ。 (中略)IRSTはKF21量産の第2段階であるブロック2(空対地作戦可能)から正式運用される。

IRSTは、米国が技術移転を拒否した後、イタリアの防衛産業業者であるレオナルドと技術協力契約を締結して開発された。 だが、契約締結以後にも技術をどの程度移転するか「駆け引き」が続いた。 電子光学体系1チームのイ·ジェイク首席研究員は「契約書に技術開発を『支援する』と出ているが、両側の解釈が違った」とし「質問をすればきっぱりと話さずに防御的な態度を見せる時が多かった」と話した。 彼は「夕食の席を用意して執拗に聞いて聞いた内容は直ちに研究室に戻り適用してデータを得たりもした」と話した。

航空電子装備は実物を開発することも難しいが、KF21戦闘機と連動させるシステム作業、すなわち体系統合の際にさらに高難度の技術を必要とする。 (中略)

IRSTの国産化はまだ「半分の成功」と言える。 赤外線センサーのドーム(Dome)は、レオナルドが直接製作してKF21に搭載した。 ハンファシステムはIRST信号処理部の国産化に成功した。 半分にも満たない国産化だったが、研究人材には貴重な経験として残った。
(引用ここまで)


 KF-21は「アメリカに技術移転を拒絶された」ところから開発がはじまったともいえます。
 技術移転を拒絶……というか、そもそもアメリカ側にAESAレーダー、IRST、EO TGP、RFジャマー(電磁波妨害装備)といった装備の技術移転をするつもりは端からなかったのですが。

アメリカは韓国とF-35の高額契約をしたのに技術移転を拒絶した! → 嘘でした(楽韓Web過去エントリ)

 当時、韓国側は「F-35を買うのでKF-X開発時に技術移転な」と一方的に決めつけて韓国政府にそのように報告をし、開発開始をもぎとったのですよ。
 で、あとになって当然のように「そんな話はしていない」ってアメリカから言われて「またアメリカに後頭部を殴られた!」って大騒ぎになったものです。

韓国次期戦闘機事業KF-Xがアメリカからの技術移転拒否で暗礁に乗り上げる……既定路線ですよね?(楽韓Web過去エントリ)

 そもそもステルス技術の移転も要望していたのですね。
 んで、「ステルス技術を移転させないなら、F-35の購入を再考しなければならない」とか言い出して、ロッキードマーチンから苦笑されて終わったなんてこともありました。


 普通に考えれば戦闘機製造でライバルになるかもしれない相手に技術移転なんかするわけないって話ではありますが。
 AESAレーダーは国産化したと言い張っていますが、イスラエル企業からの協力があったのではないかとされています。
 ま、そのあたりの詳細を明かさない契約である可能性もあるのでなんとも。

 AESAレーダー関連の記事を見ても「国産化したのだ!」って言っているすぐ下に「欧州企業の協力で……」みたいなことが書いてあったりして、なんとも煮え切らない。
 あと性能も想定の半分ほどであった、とされています。

 で、今度は航空機用の赤外線センサーであるIRSTについても「半分の国産」であったとの記事。
 韓国で「半分の成功」って書かれている場合は、ほぼ失敗したって意味です。
 ロシアから1段ロケットを購入したナロロケットの1号機での失敗や、ヌリロケットの初回打ち上げで衛星の軌道投入を失敗したときも「半分は成功した」なんて言いかたをしています。
 要するに「失敗を糊塗」するための言い訳なんですね。

 そのパターンからすると、IRSTについてはイタリアのレオナルドがほとんどを製造して、ハンファは文字を入れただけとかかもしれません。
 ま、「軍事機密なので詳細は明かせない」ってことにしておけばいいんじゃないでしょうかね?

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韓国メディア「韓国独自の戦闘機KF-21はフランスのラファールを凌駕する!」……なんでこんなナンセンスな記事が出てくるのかというと……

カテゴリ:KF-X事業 コメント:(70)
韓国製新型4.5世代戦闘機KF-21、仏ラファールの地位を狙う(新東亜・朝鮮語)
量産着手は朗報だが、KF21に対する期待と同じくらい憂慮が大きい。 特に、量産契約の規模が公開され、価格が高すぎるのではないかという議論が起きた。 ‌

結論から言えば、KF21の価格は高い方とは言い難い。 KF21の初年度量産物量は計20台で、契約規模は1兆9610億ウォンだ。 飛行機の心臓になるエンジンは、ハンファ·エアロスペースが5562億ウォンで受注した。 戦闘機の目の役割をするAESA(能動位相配列)レーダーは、ハンファシステムが1100億ウォンで20台を担当する。 単純に計算すれば、総生産価格は2兆6272億ウォンで、これを20台に分けると1300億ウォン程度になる。 ‌

競争対象に挙げられるフランスの戦闘機ラファールは、1機当たり1500億ウォン程度で取り引きされるという。 競争機種より200億ウォンほど安い。 (中略)

しかし、業界の意見は違う。 防衛産業界の関係者は「ひとまず1台当たり1300億ウォンは誤った計算」と明らかにした。 (中略)

‌ エンジンとレーダーも全部含めて計算しても、1台当たり1000億ウォン台を超えないものと見られる。 (中略)

「最近4.5世代戦闘機の平均単価は1台当り1500億ウォンまで上昇し、オプションによっては2000億ウォンまで上がる」と説明した。
(引用ここまで)


 韓国メディアでたまに出てくる「KF-21は優れまくっている」とするコラム。
 今回は「KF-21は同じ4.5世代戦闘機であるラファールと同じか、それを凌駕することができる!」ってネタ。
 あまりに長いので冒頭で中略を入れつつ引用しましたが、まとめるとこんな感じ。

・ラファールは最低でも1500億ウォンするが、KF-21は現状でも1300億ウォン。将来的には1000億ウォンを割りこむ
・国産部品が多いので修理のしやすさはKF-21が圧倒する
・現状でもステルス性はKF-21のほうが上。
・さらに将来、ウェポンベイ等を採用すればKF-21は実質ステルス機となる。
・さらにさらにKF-21は将来的には第6世代戦闘機にも匹敵することとなる。
・多くの国がすでにKF-21の導入に興味を示している。
・インドネシアが憎くても最初の輸出先として切ることはできない。

 ……長いよ。
 「国産部品が多いから整備性が高い」とかそれ韓国の立場だけで、国外の導入国には関係なくね?
 「インドネシアが憎くても」ってのは実際にそう小見出しで書いてあります。
 元記事をごらんあれ。


 インドネシアについてはもともとは1兆6000億ウォンの開発分担金を支払うとのことでしたが、1兆ウォンのディスカウントを提示されてそれを丸呑みにせざるを得ませんでした。
 63%ディスカウントに成功したわけです(機体代金別)。

韓国政府、「独自戦闘機KF-21」についてインドネシアから依頼のあった1兆ウォンの分担金ディスカウントを丸呑みしてしまう(楽韓Web過去エントリ)

 こうした状況を韓国では「ホグにされた」(バカにされた、といった意味でさらに悪意のある表現)としてもっとも嫌います。
 弱者扱いされたってことになるのですね。
 で、そのインドネシアがKF-21を半ばキャンセルしたにもかかわらず、ラファールF4の導入を決定している(デリバリはまだ)。
 そんなわけで「ラファールよりもKF-21のほうがよっぽど強いんだからねー」みたいな記事を書いてみたってのが実態でしょう。

 バリバリに現役、シリア爆撃なんかにも参加しているラファールと、まだ就役すらしていないKF-21を比較していることがナンセンスなんですけどね。

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韓国メディア、「我々はKF-21を開発したことで、ロッキード・マーティンが恐れるほどのライバルとなったのだ!」とフィリピンへのKF-21輸出の可能性が高いと報道……採用されるのグリペンじゃね?

カテゴリ:KF-X事業 コメント:(63)
[単独]ロッキード・マーティンの「恐ろしいライバル」になったKAI…10兆ウォンのフィリピン戦闘機をめぐって一本勝負(韓国経済新聞・朝鮮語)
韓国航空宇宙産業(KAI)が開発した韓国型次世代戦闘機「KF21」が初輸出を目前にしている。 18日、防衛産業業界によると、フィリピン空軍は多目的戦闘機(MRF)導入事業でKAIと米ロッキードマーティンを有力候補として検討しているという。 輸出が実現すれば、韓国防衛産業の快挙と評価される見通しだ。 2022年初の試験飛行成功以後、輸出路を確保できるという点も意味が大きい。

フィリピン空軍は今年8月、MRF導入事業に着手した。 次世代戦闘機約40機を購入するプロジェクトだ。 このため、4000億ペソ(約9兆6000億ウォン)を予算として割り当てた。 このうち612億ペソ(約1兆4200億ウォン)を投入し、初年度の物量10台を購入する計画だ。 軍事専門メディアのグローバル·ディフェンスによると、当初フィリピン空軍は韓国のKF21、米ロッキードマーティンのF16、フランスのラファル、欧州防衛産業会社が合作して製作したユーロファイタータイフーンなどを導入対象として検討した。 このうちF-16とKF-21を最終候補として検討している。

KF21は「コストパフォーマンス」(価格性能比)を前面に押し出し、欧州の競合他社を追い抜いたという。 KF21の価格は1機当たり980億ウォンと推算される。 1台当たり1500億ウォン水準のユーロファイターのタイフーン、ラファルより500億ウォンほど安い。 (中略)

KF21はGEエアロスペースのF414エンジンを使う。 前世代エンジンであるF110を搭載したF-16より優れた機動力を備えている。 ただ、まだ初期モデルであるため、空対地機能を装着していないということは弱点として挙げられる。 KAIは2028年までに空対地戦闘能力を開発し、量産を開始する方針だ。

最も大きな変数は、フィリピン空軍が現存する最高性能戦闘機F35を導入したがっているということだ。 F-16をまず導入した後、F-35に移るという戦略を立てたという。 しかし、米政府は核心戦略資産であるF35の海外販売を厳しく統制している。 KAIはこれに先立って、軽戦闘機FA-50を販売した履歴を基に、フィリピン政府を説得している。
(引用ここまで)


 「韓国独自の戦闘機」とされているKF-21のニュースを何点か。

 まず、フィリピンの次期戦闘機導入計画にKF-21が選ばれて当然だ、とする記事が冒頭のもの。
 現在、フィリピン空軍が所有している戦闘機はFA-50PHが12機のみ。韓国製の訓練機T-50の戦闘機版で、あくまでも「軽戦闘機」に区分されるもの。
 日に日に強くなる中国からの圧力に対抗するために最低でも40機の戦闘機の導入が必要とされています。

 で、採用候補とされているのがF-16V、グリペン、そして韓国ではそこにKF-21が食いこんでいるとのニュースになっているんですが。


 F-16Vは高すぎるので、まあグリペンだろうなぁと目されています。フィリピンとスウェーデンはすでに「防衛装備品の導入」を前提とした防衛協力協定を結んでいて、本命なのだろうなぁと。
 そこになぜかKF-21がからんできて「いけるよ、いけるよ。充分に採用可能性ある!」って騒いでいるわけです。

 ……なんで完成前の戦闘機、しかも完成しても初期型は対地攻撃もまもとにできない戦闘機が「明日にでもほしい」ってされているフィリピンの計画にフィットするって思ってるのかは不明。
 なんでも「コスパに優れる」からだそうですが、F414を双発で積んでて「コスパ」なぁ。
 ミーティアミサイルとかIRIS-Tを別途購入する必要がある戦闘機がコスパ……ねえ?

 あ、それとそのエンジンを国産化しなければとの話題が以前から出ているのですが。

韓国人「韓国独自技術で製造されたKF-21をステルス化するために、エンジンを国産化しなければ」……うん、がんばれ(楽韓Web過去エントリ)

 KF-21のエンジンも、そしてT-50(FA-50)のレーダーも国産化してアメリカの軛から自由にならなければならない、みたいな記事が出ています。

KF-21ステルス機への転換時には国産エンジンを搭載するか…航空エンジン開発ロードマップの推進(イーデイリー・朝鮮語)
米レーダー・ミサイル供給に揺れるFA-50輸出…「レーダー国産化が必要」 (韓国経済新聞・朝鮮語)

 「本当のステルス戦闘機になるためにはステルス機用のエンジンにしなければならない」とのことで、そのためのエンジン開発中なのだそうですよ。
 レーダーについてはポーランドへの輸出向けモデルにT-50用のAESAレーダーであるPhantom Strikeが搭載できるできないで揉めていることもあって「独自開発しなければ!」ってなっているんですが。
 まあ……どっちもがんばってみるといいと思います。
 ネタに困らなくなるしね。

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韓国独自の戦闘機KF-21、独自すぎてアメリカのサイドワインダー、AMRAAMの採用を断念……輸出に痛手か

最新鋭のKF21戦闘機、米国製空対空ミサイルを搭載できず、半分の転落(アジアトゥデイ・朝鮮語)
檀君以来最大の戦力増強事業であり、初の国産戦闘機開発で関心を集めた韓国型戦闘機KF21(ボラメ)に、韓国空軍のパイロットが望んだ米国製空対空ミサイルの装着が失敗に終わったことが15日、確認され、論議を呼んでいる。

KF-21初期量産分20機には、欧州製空対空ミサイル「ミーティア」が装着される。 防衛事業庁はこのため、MBDAとミーティアミサイル約100発を導入する契約を締結するための交渉を進めているという。 KF-21に米国製空対空ミサイルを装備できず欧州製空対空ミサイルだけを装着することになったのには、防衛事業庁の安易な対応があったという指摘だ。

国会国防委員会所属のユ・ヨンウォン国民の力議員は同日、国会で開かれた防衛事業庁などに対する国政監査で、KF-21に米国製空対空ミサイルが搭載されないという事実を確認した。

ユ議員によると、戦闘機に装着される空対空ミサイルは、空対地ミサイルや空中投下爆弾とは違って、装着されたレーダーとの連動が欠かせない。 韓国は米国、英国、中国などに続き、世界で12番目に「夢のレーダー」である電子走査型能動配列(AESA)レーダーの開発に成功した。 しかし、防衛事業庁の安易な措置によって、米政府から米国産空対空ミサイルのレーダー連動承認を受けることができなかった。

防衛事業庁は、KF-21に米国製空対空武装のAIM-9X(サイドワインダー)、AIM-120(AMRAAM)が搭載されなかった理由について、「KF-21の体系開発のうち、体系統合に必要な技術資料などに対する米政府の輸出承認の遅延が原因だ」と答えた。 防衛事業庁の安易な対応のためだということを自白した格好だ。

結局、これは「防衛産業輸出の世界4大強国」という国政課題達成の核心である国産航空機の輸出と直結した問題だというのがユ議員の指摘だ。 現在、LIGネクスワンが開発中のFA-50用AESAレーダーは開発完了段階に来ている。 このレーダーを装着したFA-50輸出が迫っているという話だ。 厳密に言えば、ポーランドやマレーシアの輸出用FA-50にもLIGネクスワンが開発したAESAレーダーを装着することができたが、輸出契約に汲々としたあまり、機会を逃したというのが業界の定説として通じる。

ユ議員は「結局、KF21と同様にFA50も国内で開発されたAESAレーダーを装着し、これと連動しなければならない空対空ミサイルの輸出承認を米国が拒否するならば、米国産空対空ミサイルを望む国家には国産戦闘機を輸出できない状況が発生するしかない」とし「防衛事業庁は国内開発AESAレーダーが米国武装と連動できるようにする政府対政府交渉に積極的に乗り出さなければならない」と注文した。
(引用ここまで)


 これまでKF-21に対してアメリカがAIM-9X(サイドワインダー)、AIM-120(AMRAAM)の搭載が許可されていなかったのですね。
 その理由として「計画中の戦闘機に対しては、アメリカが輸出許可を出さないから」とされていました。
 「まだ生産していない状況だからしかたない」との見解だったのですが。

 実際に初期生産型である20機についてもどちらも装備されないことが判明しました。
 その代わりにドイツ製のIRIS-Tとヨーロッパで共同開発されたミーティアを採用する……とのことですが。
 これ、なかなかに「異様な状況」なのです。

 韓国ではF-4が退役しまして、戦闘機はF-5、FA-50、F-16(KF-16)、F-15K、F-35Aとなっています。
 このうち、FA-50、F-16、F-15でサイドワインダー、AMRAAMのどちらも運用しています。F-35AはウェポンベイにAMRAAMが入って、サイドワインダーもビーストモードでは使えるはず。
 ですが、KF-21のためだけにIRIS-T、ミーティアを導入することになるわけですよ。


 韓国製(とされている)AESAレーダーとの連携をアメリカに断られた、以外に解釈ができないのですね。
 だいぶアメリカとの交渉をこじらせたのだろうなぁ……って感触。

 これ、KF-21の輸出にもかなり支障になります。アメリカ製戦闘機を導入している国では多くがこのふたつの空対空ミサイルを採用しているわけです。
 新たに戦闘機を導入する際に「あ、そっちのミサイル使えないんで新しくIRIS-Tとミーティアも買ってくださいね」ってなって了承してもらえるかって話です。
 ……無理じゃね?

 たとえばタイはF-16とグリペンを採用しています。どちらもサイドワインダー、AMRAAMを使用可能。なら、次の戦闘機もそれらが使えるものにしようってなるでしょう。
 空対空ミサイルとしてはベストセラーもいいところですからね。
 ミーティアを使っているラファール、ユーロファイターを採用しているヨーロッパの国々はKF-21なんか必要としないしなぁ。

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