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カテゴリ:韓国電力・停電の記事一覧

韓国、地方にメガソーラーを作りすぎて接続拒否連発、送電網の貧弱さからブラックアウトの危機までささやかれるほどになっていた

全羅南道塩田・田畑に敷かれた太陽光… 「電気を作っても使えない危機」 なんで?(韓国日報・朝鮮語)
「太陽光発電をすれば生産された電気を韓国電力公社(韓電)が買わなければならないが、韓電変電所に2031年まで連結不可だそうです。 村で『米国の韓電があれば、そこに電気を売りたい』という訴えまで出ています」。

先月26日、国内最大規模の「村住民主導営農型太陽光発電」が推進されている全羅南道霊光郡塩山面月坪村で会ったソ·チョンイル昇華技術理事はもどかしいように話した。 営農型太陽光は農地の上に4m高さの太陽光パネル構造物を設置し農作業もして発電もするモデルで、農地蚕食がなく水溶性が高い。 ここの住民は高齢層28世帯だけだが、協同組合を通じて発展収益を住民たちが共有する計画であり、老後用「日光年金」に対する期待も大きい。

問題は技術もあり準備も終えたが、いざ電気を生産しても「販売する所がないこともありうる」という点だ。 政府が電力系統(電力生産者から消費者まで連結網)が飽和した湖南、済州地域の新規発電所は「系統補強(2031年12月予定)以後、変電所に接続可能だ」と決めたからだ。 国内電力産業は事実上、韓電独占体制であるため、韓電送変電設備を通さずには電気を取り引きする方法がない。

月坪村の発電所は稲の収穫を終えて今月末に着工すれば来年2月頃に工事が終わるが、商業運転はいつからできるか見当がつかない状況だ。 ソ理事は「発電容量(最大可能生産容量)3メガワット(メガワット)のうち1メガワットでも先に連携を要求中」と話した。 村で最も若いカン·スンボム月坪4里里長(58)は「田舎の人口はますます減り、農業人材も消えている」とし「新再生エネルギー発電と地域消滅対応のために政府が太陽光をさらに積極的に支援してほしい」と訴えた。

電力系統の問題で太陽光発電を安定的に運営してきた大規模事業場も安心できない状況だ。 全羅南道新安郡荏子島には、かつて塩田だった土地に太陽光パネル21万8400枚が敷かれている。 2022年12月完工後、2年間運営中の「荏子太陽光発電所」のイ·ドンウク所長は「塩田敷地が太陽光発電にも良い立地」と話した。 日差しが良く、風も適当だからだ。 太陽光モジュールがあまりにも熱くなれば発電効率が落ちるが、海岸で吹く風がモジュールを冷やす役割をする。

イ所長はこの2年間、韓電から電力生産を止めろという「出力制御」予告通知を5回受けたが、運良く実際に停止までなされたケースはなかったと話した。 しかし、年間発電量が13万MWh(メガワット時)であるため、発電容量の99MWhは使い切れないのが実情だ。 彼は「全南に大規模産業施設やデータセンターがあれば分からないが、現在は消費先が不足している状況」とし「結局、生産された電気を首都圏に送るためには電力系統増設が至急だ」と話した。

本紙の分析結果、政府は2036年までに湖南圏の再生エネルギー生産量を現在の9.3GW(ギガワット)から59GWまで増やす計画だが、いざ首都圏まで続いた電力網が耐えられる量は4.5GWだけで、残りは「使うこともできずに捨てる電気」になる境遇だ。
(引用ここまで)


 日本でも5、6月あたりのメガソーラーの接続拒否が話題になります。
 ま、そりゃそうで。春先から初夏にかけてがもっとも太陽光発電の効率は高くなるのですね。
 気温がそこまででもない状態で、かつ太陽光は潤沢っていう。
 基本、熱くなればなるほど太陽光パネルの効率は落ちるので、意外と夏季の発電効率はよくないのです。
 5〜6月くらいにはエアコンをつける日はそこまででもなく、需要がないので接続拒否されることになる、と。

 要するに原発や火力のベースロード電力におまけとして付随してくるのが太陽光発電なのですね。
 需要がなければ真っ先に切られるわけです。ま、当然。
 夜間に需要がある時をどうするんだって話ですからね。
 バッテリーでどうにかならないかってやってますが、価格がいまの半分以下にならないかぎり難しいところですかね。


 というのが、この記事を読む前提知識にありまして。
 全羅南道に作られているメガソーラーで接続拒否が連発している、とのニュース。
 耕作放棄地や元塩田など、条件のいいところでメガソーラーを設置しているのだけども、売るところがない。住民は「アメリカの電力会社に接続できるならそっちに売りたいくらいだ」とか言っているっていう。
 まあ、簡単に言えば全羅南道みたいな田舎に電力需要がないってことですね。

 かといって都市部に電力を売ろうとしても、今度は送電網が貧弱なのでなんともできない。
 首都圏にある半導体工場なんかは電力不足で稼働できるかどうか分からない状況に追いこまれているのに。

韓国メディア「発電能力はあるのに送電網が足りない!」と危機感を露わに。このままでは70兆円規模の半導体クラスタも送電できないまま空転の可能性も(楽韓Web過去エントリ)

 そもそもこの全羅南道、光州の電力は過剰とされている段階で、この地域から全土へのブラックアウトすら生じかねないって危惧が去年の段階で出ていました。

太陽光発電に国運を賭けてきた韓国、送電網負担増大でブラックアウトの危機に陥る……ムン・ジェインの遺産だなぁ(楽韓Web過去エントリ)

 それなのにまだメガソーラー開発をやっちゃっているっていう。
 送電網を焼き切るつもり満々ですね。

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韓国人「日本は交通料金が高いよね」……「韓国の交通料金、電気料金が安い理由」の結果、5大公社の負債が320兆ウォン超えで首も回らない状態に

100ウォンで買って64ウォンで売る…韓電など5社320兆ウォン、「負債ブーメラン」(中央日報・朝鮮語)
公共料金と密接な5大インフラ公企業の総負債規模が320兆ウォンを突破した。 政府が長期間公共料金の引き上げを防ぎ「損する商売」をさせたためだ。

19日、公共機関の経営情報公開システム(アリオ)によると、昨年末、韓国電力・韓国ガス公社・韓国道路公社・韓国鉄道公社・韓国水資源公社の負債は計320兆2671億ウォンだ。 2017年末193兆8201億ウォンだったことと比較すると、65%以上増加した数値だ。

負債は利子を払って返済しなければならない金融負債と利子が発生しない非金融負債に区分される。 同期間、公企業5社の金融負債は142兆6965億ウォンから255兆1871億ウォンへと78%以上増えた。 このうち、韓電(148兆1560億ウォン)とガス公社(44兆6982億ウォン)の割合が大半を占めている。 莫大な金融負債の影響で、両公企業の昨年の利子費用は計6兆1300億ウォンほどに達した。 1日当たり約167億ウォンだ。 昨年の資本対比負債の比率を意味する負債比率を見れば、韓電は543.27%、ガス公社は482.68%に達する。

二つの公企業は借金返済をせざるを得なくなったようだ。 韓電のキム・ドンチョル社長は5月16日、記者懇談会を開き「限界に直面した」と訴えた。 6日後、ガス公社のチェ・ヨンヘ社長も記者団に対して「崖っぷちに立った心情」と話した。

このようになった主な原因として、文在寅政府時代に電気·ガスなど公共料金の引き上げ要因が発生したにもかかわらず、庶民の負担を緩和するために料金を人為的に縛っておいたことが指摘される。 監査院は昨年10月「公共機関財務健全性および経営管理実態」監査報告書を通じて「2021年以後、エネルギー価格上昇局面で電気·ガス料金調整が遅れたことにより公企業が電気·ガスを供給してもこれに所要された燃料費など原価を回収できなかったことに起因する」と指摘した。

無理に公共料金を押したということは原価回収率数値で証明される。 韓電の場合、2020年101.3%だった原価回収率が2022年64.2%まで急落した。 100ウォンをかけて電気を卸売業者から買ってきた後、64ウォン程度で売ったという話だ。

このように公企業を壊してまで公共料金の引き上げ圧力を無視すれば、直ちに物価の安定化に寄与することができる。 政権の立場では「票」(票)をさらに得るのに有利でもある。 しかし、持続可能な構造ではない。 直ちに公企業が崩壊する恐れがある。 さらに重要なことは、公企業を正常化するための負担は結局、国民の負担になるという点だ。 時間が経つほど利子費用などのせいで、その負担規模は急増せざるを得ない。 (中略)

鉄道料金は2011年12月以後、13年近く料金を凍結してきている。 高速道路料金は9年間ほど、上水道料金は約8年間、料金引き上げが一度もなかった。 その結果、3つの関連公企業は2017年から昨年まで一年も欠かさず100%より低い原価回収率を記録している。 特に、道路公社と水資源公社は統計集計後、一度も100%以上のことがなかった。
(引用ここまで)


 公企業の負債が去年末時点で300兆ウォンを突破した、とのニュース。
 記事中では韓国電力の負債が148兆ウォンになっていますが、これは有利子負債だけ。それ以外の負債もあるので総計では200兆ウォンと計上されています。

「負債200兆韓電」電気料金の引き上げは避けられない(デジタルタイム・朝鮮語)

 2023年末での有利子負債額は以下の通り。

韓国電力公社 148.15兆ウォン
韓国ガス公社 44.69兆ウォン
韓国道路公社 37.12兆ウォン
韓国鉄道公社 16.29兆ウォン
韓国水資源公社 8.91兆ウォン

 ここまで負債が膨れ上がった最大の原因は、ムン・ジェイン政権がコロナ禍で「消費者を保護する」との名目で公共料金の値上げを禁じたこと。
 その後の通貨安、インフレで燃料費がアホほど高騰しているにもかかわらず、値上げもろくにできないまま韓国電力は100ウォンかけて作った電気を64ウォンで売っていたと。
 原価率150%超。消費者が使えば使うほど韓電が損をする。
 原価厨大喜びですね。

 韓国電力は運転資金を捻出するために社債を発行しています。
 結果、多くの投資家が「実質的に韓国政府が裏書きをしている」韓電社債を求めたために、民間企業の社債が見向きもされなくなってキャッシュフローに支障を来すまでになっています。


 韓電公社、韓国ガス公社の他、鉄道公社、道路公社、水資源公社もそれぞれ利益が出るような状況ではないと。
 それぞれが手持ち資産の切り売りをしているそうですが、それでなんとかなるような負債じゃないんだよなぁ……。

 水資源公社なんて所有する土地をなんとか高く売ろうとしてユニバーサルスタジオコリアとの交渉をかなり強気でいったなんてことすらありました。
 まあ、失敗したんですけどね。

韓国ユニバーサルスタジオの誘致に成功 → 嘘でした → 再交渉中 → 嘘でした → 期限延長 → やっぱり白紙撤回(楽韓Web過去エントリ)

 手持ち資産の切り売りっていっても、もう320兆ウォン超えですからね。今日のレートで34.5兆円くらい。
 原価率150%超じゃ50%値上げでようやく原価に近づく(まだ超えてない)わけで。
 そんなレベルの値上げができるんですかね?

 韓国人が日本に旅行に来て「交通料金が高い」なんてことを言ったりしますが、その「交通料金」の安さは将来の韓国人が負担しているんですよね。

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韓国、送電網整備の遅れで半導体工場への電力供給が不可能に……さらには全土でブラックアウトの危機も? その裏にあるのは「送電線への怪談」か

カテゴリ:韓国電力・停電 コメント:(76)
韓電社長「電力網遅延時、龍仁半導体クラスターの電力供給に支障」(中央日報・朝鮮語)
韓国電力のキム·ドンチョル社長が河南市で最近、東ソウル変電所の屋内化事業を許可しなかったことと関連して「建設遅延時に龍仁半導体メガクラスター電力供給も支障が避けられない」と憂慮した。

金社長は28日、政府世宗庁舎で開かれた記者団懇談会で「電力網建設がグローバル無限競争時代に国家競争力の核心であるだけに、いかなる理由でもこれ以上遅延·座礁することはできない」とし「東海岸-首都圏超高圧直流送電(HVDC)建設遅延で国民が追加負担しなければならない電気料金は年間3000億ウォン水準」と話した。

韓電は事業費約7000億ウォンをかけて既存の東ソウル変電所変電施設を屋内化し、東海岸-首都圏送電線路を通じて入ってくる追加電気を首都圏一帯に供給するHVDC変電所を建設する計画だった。 しかし、河南市が安全性などを理由に建築許可を最終的に許可しなかったため、遅延が避けられなくなった。 (中略)

河南市が反対理由として掲げた電磁波憂慮に対しては「極めて一部勢力の黒色宣伝と悪意的な主張に過ぎない怪談」と一蹴した。 キム社長は「社長である私も34万5000ボルト(V)地下変電所がある韓電アートセンターで勤めている」として「すでに検証が終わった事実を怪談を聞いて不安感を助長するならば社会的費用はそのまま国民の役割であり未来世代の役割になるだろう」と話した。
(引用ここまで)


 河南市はソウルの東に隣接する自治体。
 日本海側に点在する火力、原子力発電所の電気を河南市に設置する変電所からソウル、首都圏に送るという計画を韓国電力が立てていたのですが。
 住人の反対運動でぽしゃりました。

 これでまた送電網構築の遅延は間違いないところで。
 龍仁市に622兆ウォンをかけて建設予定である巨大半導体工場クラスタへの電力供給がおぼつかなくなっています。

 現在の韓国では発電量はそれなりにあって、かつて起きた全土での停電のような「電力不足による危機」は起きそうにもないのですが。
 今度は送電網が足りずに電力過剰でブラックアウトが起きそうだとされています。

韓国、数年後には電力過剰でいつでもブラックアウト可能な状況に……これはひどい(楽韓Web過去エントリ)

 春〜初夏くらいの「太陽光発電がもっとも効率よく発電できる時期」では、2031年以降いつでもブラックアウトが起きかねないとされています。


 なんでそんな事態になっているかというと、送電網や変電所の建設に対して住民からの反対運動が激しいため。
 もうすでに送電網はとんでもなく遅れています。どこも主原因は住民による反対運動。

「電力網なしに半導体戦争に乗り出す」…韓電社長の緊急訴え(ノーカットニュース・朝鮮語)
2012年6月に着工しようとした「345Kv北唐津-新湯井」送電線路建設事業遅延期間は150ヶ月に達する。 345Kv唐津新松山、345kV新始興-新松島、345kV新疆省S/S、送電線路、500kV東海岸-首都圏建設なども66ヶ月〜90ヶ月の遅延事態を起こしている。
(引用ここまで)

 10年単位で遅延している。
 なぜにこれほどまでに住民からの反対が大きいのか。
 おそらくですが、野党である共に民主党が怪談を垂れ流しているからではないかと考えられます。

 たとえばTHAADミサイル設置については「電磁波マクワウリができる」とか「レーダーで人が亡くなる」とか散々批判してきましたね。
 日本の処理水放出についてもさまざまな怪談を垂れ流してきました。
 セウォル号沈没についても「軍の潜水艦と衝突した」なんてデマを流しまくってました。

 送電線、送電施設についても同様に「電磁波が人間に害を及ぼす」なんて話が出ているのです。
 そして、国会議員のレベルでそれらの怪談を垂れ流してきた結果、「じゃあ、送電線についても本当なのだろう」となってしまっている。
 結果、半導体工場クラスタへの送電も危ぶまれ、電力過剰で送電施設が焼き切れる寸前の状況になっているわけですね。
 自業自得というべきなのか。まあ、科学的思考ベースがない国なのだな、と思わされますね。

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韓国メディア「発電能力はあるのに送電網が足りない!」と危機感を露わに。このままでは70兆円規模の半導体クラスタも送電できないまま空転の可能性も

韓国各地で行き詰まる送電線建設、深刻な国家的課題だ(朝鮮日報)
人工知能(AI)は大量の電力を消費する。ところが韓国で、電力を送る送配電網の建設に深刻な支障が生じている。数年にわたって遅延するのが常だ。6月に竣工予定の「345キロボルト北唐津-新温井送電線路」の場合、当初は2003年に事業を開始して12年の竣工が目標だったが、地域住民や環境団体の反対、自治体の訴訟などで竣工が11年5カ月も遅れた。松島バイオクラスターに電力を供給する「345キロボルト新始興-新松島送電線路」は59カ月、南海海上風力発電の電気を運ぶ「345キロボルト新長城変電所」は62カ月も遅延した。

 765キロボルト送電線の設置を巡って住民と韓電が対立した2008年の「密陽送電塔問題」以降、環境団体および住民の反対、地方自治体の非協力などで電力網建設は難航している。実際、密陽送電塔を含む新古里-北慶南送電線路が完工した14年までは、毎年100キロ以上も送電線路が完工していたのに、翌年からは2桁台に急落した。昨年完工した地上送電線路の長さは短距離中心で60キロに過ぎない。その余波は既に現実化している。京畿道驪州市の1000メガワット級驪州複合火力発電所は、稼働率は30%の水準にとどまる。

 こんなことでは、先端産業に大規模投資をしても、電力供給が行われず工場を動かせないという状況が起きかねない。622兆ウォン(約71兆円)を投資して京畿道平沢・華城・竜仁・利川などに世界最大規模の半導体クラスターを造成する予定だが、2050年までにこのクラスターに追加される電力需要だけでも、現在の韓国首都圏における電力需要の4分の1に相当する10ギガワットに達する。当面は液化天然ガス(LNG)発電所を建てて初期の電力需要を充足し、36年までに大量の電気を供給する送配電網を竣工させる計画だが、今の状況では実現不可能だ。

 電力網建設をスピードアップする「国家基幹電力網拡充特別法」が発議されたが、与野党の政争に巻き込まれて法案は破棄された。竜仁半導体クラスターなど先端産業団地が電力をきちんと供給してもらえないという災厄を防ぐには、同法の制定をこれ以上遅らせることはできない。与野党の政争事案でもない。第22代国会で与野党は、最優先で電力網拡充特別法から制定すべきだ。
(引用ここまで)


 韓国の電力事情で本当にやばいのは発電所ではなく送電網である、って話はここ数年ずーっと出てます。
 先月も同じような記事がありましたね。


韓国、与野党の政争で大規模半導体工場造成に赤信号? すでに送電網の不備で火力発電所は停止する事態に(楽韓Web過去エントリ)

 首都圏に69兆円規模の半導体クラスタを形成するとしているのにもかかわらず、首都圏には発電所がない。
 発電所は火力も原子力も日本海側に集中しているのですが、そこから電力を運ぶ手段がまったくないのです。


 その一方で再生可能エネルギーは大量にあるって状況で、送電網が過負荷でブラックアウトを起こしそうだ、との懸念も出ています。
 特に春先は温度がそこそこ低く、太陽光パネルの効率が最高になるのでエネルギーが過剰になるのですね。
 韓国ではなぜかベース電源である原発の出力調整をしているとのことですが。

韓国、数年後には電力過剰でいつでもブラックアウト可能な状況に……これはひどい(楽韓Web過去エントリ)

 一度ブラックアウトを起こしたら変電所や発電所にかなりのダメージが行くことになって、なおのこと電力事情は悪化するのですが。
 電力企業側が再生可能エネルギーを拒絶できない法律でもあるのかな。
 ムン・ジェインならやりそうだと感じます。

 送電線をなんとかしようとする法律も前の国会に提出されていたのですが、与野党の政争があって他のさまざまな法律と共に廃案。
 次の国会でなんとかできるかというと、与野党間の政争が収まる理由はないのでだいぶ厳しいでしょう。
 再生可能エネルギーが大好きだったムン・ジェインの遺産のひとつといえるかな。
 解決手段……うーん、がんばって送電塔を建てる?(小並感)

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巨額の借金にあえぐ韓国電力、韓国ガス公社、営業利益で利息すら払えない「ゾンビ企業」への道を歩みはじめる……

時価総額2位→26位… 韓国電力、「文の脱原発」が作った失われた8年「黒歴史」(ニューデイリー・朝鮮語)
今年第1四半期に「アーニングショック」を記録した韓国電力公社(韓国電力)の株価が急ピッチで下がっている。 不振な実績とともに、今月に入ってから株価が8%以上下落するなど、なかなか反騰する兆しを見せていない。

ここ数年間、株式市場で墜落を繰り返している中、実績まで期待にはるかに及ばない水準をおさめ、個人投資家のため息は深まっている。 (中略)

韓国電力は最近、第1四半期の低迷した業績を発表し、今月に入って株価が8.1%ほど下落した。 韓電は証券街コンセンサス(2兆6288億ウォン)より半分以上低い1兆2993億ウォンの営業利益を第1四半期に収めたと発表した。

韓国電力は先立って昨年5月、11ヶ月ぶりに売れば売るほど赤字を見る「逆マージン」構造から抜け出した経緯がある。 昨年第3四半期に1兆8843億ウォンの営業利益を記録し、なんと10四半期ぶりに黒字転換、今年第1四半期まで3四半期連続黒字を続けている。

長年の赤字からは脱したものの、今回の第1四半期の業績はアーニングショック(業績不振)に近いという評価を受けている。 (中略)

投資家の苦悩は深まっている。 韓国電力は国内電力·エネルギー公企業の長兄だが、株価が10年前と比べても低い水準を数年間持続しているためだ。

実際、2016年朴槿恵政府当時、韓国電力は年間12兆ウォンを上回る営業利益を出す優良会社だった。 当時、時価総額37兆ウォンを上回り、サムスン電子に続き有価証券市場(KOSPI)時価総額上位2位を記録した。

しかし、文在寅政府が発足すると同時に、5年間ずっと脱原発政策が推進され、莫大な赤字を累積し、政府の悩みの種に転落した。 実際、韓国電力は2018年に2080億ウォンの営業損失を出し始め、2022年に32兆ウォンを上回る営業損失を出した。 昨年の営業損失も4兆5416億ウォンに上る。
(引用ここまで)


 ここのところ、韓国電力関連のニュースをお伝えしていなかったので、近況報告を含めてピックアップ。
 先日、1-3月期に1兆3000億ウォンほどの営業利益を計上し、これで3期連続の営業黒字を記録するなどしています。
 ただし、前期の営業利益額は予想の半分とアーニングショックとして受け止められており、株価は下落中。

 2022年の32兆ウォンの赤字を出した頃よりはマシとはいえ、予算不足で社債を連発したことから財政は極端に悪化しています。
 累積赤字額は42兆ウォン、総負債額は200兆ウォンを上回っており、1年間の利息だけでも4兆ウォンを引き当てなければならない状況。
 なのに四半期の営業利益は1兆3000億ウォン。
 「営業利益で借金の利息が返せない」ゾンビ企業に向けてまっしぐらってところ。
 なお、ゾンビ企業は「3年以上、借金の利息が払えない状況が続いている」ことを定義としているので、まだ腐りはじめでしかないことに注意。


 少しでも負債を小さくしようと手持ち不動産を売却、社屋の一部を賃貸オフィスとして貸出、部長以上の役職員の賃上げ凍結などの対策を連発しているのですが。
 現状はゾンビ企業になりかけのまま。このままでは発電所のメンテ費用を計上できないので、また社債を増やすのではないかともされています。

 で、希望退職受付をはじめています。

“神の職場”韓国電力で年次を問わず希望退職ラッシュ…どうした?(KOREA WAVE)

 なんというか……こう、どこかで見た風景だなぁ。

 ちなみに韓国ガス公社の場合は利払いに1兆6000億ウォンが必要で、営業利益(去年)は1兆5000億ウォン。こちらもゾンビになりかけ企業。
 公社がゾンビ企業になりながら発電、ガス供給をするってのも面白いかもしれませんね。
 ちなみにこれらの事態は、ムン・ジェイン政権下で「消費者を保護する」として電気料金、ガス料金の値上げを阻止したことに起因しています。
 韓国電力は一時期、サムスン電子を超えるほどの利益率を誇っていたほどだったのですが。
 ムン・ジェインの「魔王具合」が理解していただけるのではないでしょうかね。

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韓国の研究機関「電気代が払えないのでスパコンも重イオン加速器も停止します」「来年も動かせません」

電気代を払えずに止まった研究施設、来年も「赤信号」(朝鮮BIZ・朝鮮語)
浦項加速器研究所は先月、放射光加速器の運営を短縮することを内容とする新しい運営計画を研究者たちに知らせた。放射光加速器は電子を光の速度に近く加速した後に発生する光を利用して原子と分子単位のイメージを撮影する装備だ。部品素材や新薬開発のような先端産業の源泉技術確保に欠かせない核心研究施設だ。突然の運営期間短縮に研究者たちは戸惑いを隠せなかった。(参考[単独]浦項放射光加速器も電気料金負担で稼動短縮)先立って8月には韓国科学技術情報研究院(KISTI)が運営する大容量データハブセンターのクラスター装備半分が稼動を停止した。

国家科学技術の核心研究装備がこのように突然止まったのは、電気代を払うお金がないためだ。今年、電気料金が暴騰したが、いざ電気料金を払うのに使う経常費は削減され、研究機関が泣く泣く稼動を止めたのだ。企画財政部は昨年「公共機関革新ガイドライン」を通じて今年公共機関経常費3%を削減した。経常費は電気料、人件費、税金をはじめ機関運営に必須的に使われる予算項目だ。

ある出捐硏究院関係者は「3%という数値が小さく見えるかもしれないが、人件費、施設維持補修費用のような固定費用を除けば実質的な運営負担は非常に大きい状況」とし「数十億ウォンに達する大型研究施設の電気料を充当することは不可能だ」と話した。

電気代を払うお金がなくて先端研究施設を止めることが繰り返されると、主務省庁である科学技術情報通信部の責任論も出た。共に民主党のユン・ヨンチャン議員は先月の国政監査で「スパコン、放射光加速器、重イオン加速器などは全て今電気料金問題のために稼動が一部中断されたり遅れるこのような事例が現れている」と指摘した。 (中略)

科学技術情報通信部も研究現場の電気料金負担を認知し、10月以降3回にわたって現況を調査した。今年の予算対比実際に支出した電気料金現況を提出せよという要求に一時、科学界では政府が対策を用意しているという期待感が出てきた。

だが政府は対策を出す計画がない、と一蹴した。科学技術情報通信部関係者は「電気料金実態調査をしたのは事実だが、現在としては特別な対策を出す計画はない」として「来年予算と関連して科学技術情報通信部でできることは全て終わった状況」と話した。

研究機関が今年末までに支出する電気料金は昨年より20~30%増える展望だ。来年からはガイドラインによって経常費5%を節約しなければならず、予算削減による事業費も減って装備運営はさらに難しくなる。一年だけで数十億ウォンの電気料金がかかる大型研究施設を運営する機関の立場では、自助策を用意すること以外には適当な手段がない。

韓国原子力研究院の研究で「ハナロ」(訳注:中性子ビーム装置用研究炉)の電気料金は年間約10億ウォン水準だという。陽子加速器も30億ウォン分の電気を毎年使う。来年はこれら装備等の電気代で60億ウォン以上を支払わなければならないとみられる。基礎科学研究院(IBS)の重イオン加速器であるRAONも本格的な稼動を控え、電気料金の負担に稼動時期を調節し、費用を節約する計画だ。

韓国核融合エネルギー研究院が運営する韓国型超伝導核融合研究装置(KSTAR)も状況は同じだ。水素とヘリウムの核融合反応を通じてエネルギーを生産する核融合の核心技術を研究する同装置の年間電気料は50億ウォン水準だ。核融合研関係者は「来年も電気料引き上げの可能性を念頭に事業費から85億ウォン以上を電気料に配分し運営に支障がないようにする計画」とし「診断装置改善と追加開発予算を減らし実験に焦点を合わせて運営する予定」と話した。

出捐硏究院関係者は「政府の対策を待ってきたが、今は期待感さえあきらめた状態」として「装備運営を中断することもできず、他の研究予算さえも電気料に投入しなければならない実情」と話した。
(引用ここまで)


 全世界で電気代が高騰しているのは既報ですね。
 イギリスでは8割上がったとか。イタリアでは3倍になったとかいう話を聞きます。
 そんな中、日本は健闘しているというか補助金をかなりの額出していることが効いている感があります。

 さて、その電気代高騰の波は韓国にも影響を及ぼしていまして。
 ムン・ジェイン政権下では電気代を上げられずにいましたが、さすがに燃料高騰、そして韓国電力の赤字額がそんなことを言っていられない状況になりまして。
 電気料金引き上げが行われました。

 あ、ちなみに韓国電力の第3四半期決算は黒字になりました。

韓電、第3四半期営業利益2兆「黒字転換」… 47兆累積赤字には「象にビスケット」(ニュース1・朝鮮語)

 「象にビスケット」は焼け石に水といった意味の慣用句。象がビスケットを食べても満腹にはならない、といった感じの意味です。


 さて、そんな電気料金高騰で韓国の研究機関が研究施設を「月の半分は停止する」といった状況に追いこまれています。
 スパコンや重イオン加速器、中性子ビーム装置(中性子応用リアクター)などが停止されているそうです。
 特に重イオン加速器、RAONはようやく一部が完成して稼働をはじめたところだったのに即座に「半分停止」状態に置かれています。

韓国の重イオン加速器、ようやく一部が稼働へ……新元素「コリアニウム」を見つけるために(楽韓Web過去エントリ)

 「新元素の名称はコリアニウムに決めている」ってセリフは何度読んでも草生えるわ。
 R&D予算が通らなかったことからRAONの稼働停止まであるとされています。

10年以上も建設を続けてきた韓国の重イオン加速器、まともに稼働しないまま予算全額削減へ……このままお取り潰しか?(楽韓Web過去エントリ)

 ユン政権は国家予算編成に対して追いこまれているのが透けてみえます。
 ……まあ、ムン・ジェイン政権がバカみたいにバラまきをして国家予算を途方もなく増やしてしまった結果のケツ拭きをさせられているのが実情ではありますが。
 スパコンすら通電できない研究環境なぁ。

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韓国電力、値上げしても赤字体質は変わらず……累計200兆ウォンを超える負債に手も足も出ず、おまけに電気料金値上げで与党の選挙にも暗雲が……

「電気料金を上げても赤字泥沼」……営業黒字になったとしても「答えがない」という韓電の理由(毎日経済・朝鮮語)
13日、毎日経済新聞が国内証券会社とともに韓電の証券街コンセンサスによって財務状況を分析した結果、電気料金25.9ウォンの追加引き上げ(今年最終47ウォン引き上げ)の際、韓電の年間電力販売単価は従来のキロワット時(kWh)当たり151.3ウォンから155.4ウォンに上がるものと推定された。電気料金25.9ウォン引き上げはキム·ドンチョル新任韓電社長が提示した韓電経営正常化のための「最小引き上げ分」だ。

普通、韓電の不足資金規模を算定する際には、現金創出能力を示す指標であるEBITDAで年間設備投資費、純金融損益、社債借換額などを考慮する。電気料金を25.9ウォン引き上げた場合、単価上昇で韓電の年間償却前営業利益(EBITDA)は5兆8000億ウォンの黒字を記録するものとみられる。

ただ、韓電が安定的な電力供給のために毎年進めている設備投資の今年の証券街コンセンサスは13兆7954億ウォンで、すでにEBITDAを大きく上回る。ここに債権過多発行による利子支給で5兆1229億ウォンの純金融損失が発生する。第4四半期の韓電債満期物量(6600億ウォン)の借り換えまで考慮すれば、韓電は電気料金を最小限に引き上げても年間11兆ウォンの不足資金が発生することになる。

今年初め、産業部が提示した通り、電気料金を30.5ウォン追加引き上げても(今年最終51.6ウォン引き上げ)EBITDAは4000億ウォン増に止まるものと推定された。この場合にも不足資金の規模は11兆ウォンだ。年明けに先制的な電気料金引き上げのタイミングを先送りし続け、利益を改善していくタイミングを逃したわけだ。 (中略)

ある証券会社のエネルギー関連アナリストは「今年の営業実績基準で私債発行限度を越えるか越えるかが1次ハードル」とし「電気料金引き上げを最小化する方向で努力するが、もし限度を超過すれば来年初めに私債発行限度倍数を上方修正する可能性が高い」と話した。

韓電債の発行限度は、昨年の韓電の資本金および積立金合計(約20兆9200億ウォン)の5倍の104兆6000億ウォンだ。問題は赤字が持続するにつれ、今年上半期の資本金と積立金の合計が14兆8000億ウォンに減ったという点だ。この場合、発行限度は75兆ウォンになるが、現在市中に供給された韓電債発行残高だけで約68兆ウォンだ。

もし社債発行限度の上方修正が現実化し、韓電債の物量が市中に供給されることになれば、昨年末のような資金市場の撹乱が再現される可能性がある。韓電債は事実上、国家が保証する債券であるだけに損失憂慮がほとんどなく、現在のような高金利状況では表面金利もまた高く発行される可能性が高いためだ。昨年末には韓電債発行金利が5.99%まで上がった経緯がある。
(引用ここまで)


 韓国電力、韓電が慢性的な赤字に苦しんでいることは何度か報じられています。
 韓国電力は原価の70%で電気を供給し、韓国ガスは62.4%でガスを供給しています。

韓国電力、原価の70%で電力供給していた……赤字補填の社債はすでに7兆円規模に(楽韓Web過去エントリ)

 赤字補填のために山ほどの社債を発行し、その利子だけで1日70億ウォン。
 累計赤字が47兆ウォン。今年上半期末における累積負債が201兆ウォン。
 上半期の赤字が8兆5000億ウォンほど。

 原油、天然ガスといった燃料費はウクライナ戦争で高騰したために、発電費用もそのまま高騰しています。
 ですが、当時のムン・ジェイン政権は燃料費分の値上げすらも韓国電力に許さず、赤字を垂れ流すままの方針を堅持しました。

 結果、韓国の債券市場は韓国電力の発行した(実質的に国が保証する)社債がブラックホールのように資金を吸収し、どんな優良企業であろうともよほどの高利率を提示しなければ社債を発行できないレベルになっています。
 SKハイニックスが1年債で5.34%もの高利率を提示し、かつ売れ残ったとの話ですからね。


 年間の設備メンテナンス費用として固定費で11兆ウォンがかかるのですが、もはやそれすら捻出が難しい状況。

 希望退職を募り、さらにはバレーボール部を売却しようともしています。

韓電、電気料金の引き上げに先立って高強度財務改善… 希望退職施行(ニューシス・朝鮮語)
200兆ウォンの負債·電気料金引き上げが急がれる韓電、78年最古の歴史バレーボールチームを売却(ニューデイリー・朝鮮語)

 ただ、いまからじわじわと値上げしても燃料高騰に追いつくことができず、当分は赤字体質のままだそうです。
 というわけでまたもや社債発行は免れない事態なのですが、公社である韓国電力は法律で社債発行の上限額が定められています。
 資本金+積立金の5倍(緊急時は6倍)までとされており、積立金を蚕食している状態の現状では社債発行上限キャップは75兆ウォン。
 現在の発行残高が68兆ウォン。

 ……詰んでない?
 ま、法律を改正して上限を引き上げることで対応することになるんでしょうけどね。
 それはそれでまた社債市場が混乱する元になるわけですが。

 電気料金の値上げはそれでなくても悪性のインフレ(というかスタグフレーション一歩手前)に苦しんでいる韓国国民の不評を買うことになるでしょう。
 来年の総選挙に向けて与党である国民の力には暗雲が漂うことになります。

 国家債務もそうですが、韓国電力の赤字もムン・ジェインの仕掛けた罠のひとつ。
 どんだけ「はい、あとは次の政権が考えてくださいね!」ってやってるんだろう。
 楽韓さんの命名した「魔王ムン・ジェイン」の二つ名は伊達じゃないってことよ。

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韓国政府「韓国電力が数十兆ウォンの赤字に苦しんでいるのはムン・ジェイン政権のせいだ」……ですよねー

カテゴリ:韓国電力・停電 コメント:(75)
文政権数回黙殺したが···韓電、結局「33兆爆弾」爆発(韓国経済新聞・朝鮮語)
韓国電力が数十兆ウォンに達する赤字を出して経営危機に直面したのは、前任のムン·ジェイン政府が電気料金を適時に上げられなかったためだという監査院の指摘が出た。ムン·ジェイン政府は大統領選挙を控えた2021年末、国際エネルギー価格が急騰したにもかかわらず、物価安定を理由に電気料金引き上げ幅を大幅に縮小した。「電気料金引き上げ負担を次期政府に押し付けた」という批判を予想しながらも電気料金をまともに上げなかった情況もまた明らかになった。

監査院が10日公開した「公共機関財務健全性および経営管理実態」監査報告書によれば、韓電の電気料算定には2021年1月に導入された燃料費連動制により国際エネルギー価格など原価変動要因が考慮される。韓電は毎年直前1年間の平均燃料費(基準燃料費)を根拠に電力量料金を算定するが、四半期ごとに燃料費変動分(直前3ヵ月平均燃料費-基準燃料費)を反映する形で電気料を算定する。

電気料金の調整は産業通商資源部が企画財政部と事前協議して認可する手続きで運営される。企画財政部が物価安定を理由に反対すれば、電気料金に燃料費変動が適時に反映されない構造だ。

監査院によると、燃料費連動制導入初年度の2021年から2022年まで8四半期のうち、燃料費調整料金が変動したのは4四半期に止まった。残りの4四半期は企画財政部の反対で凍結された。これによる燃料費の未調整額は18兆2000億ウォンに達した。 (中略)

当時の議論過程で産業部は「韓電株主財産権侵害と経営陣背任はもちろん、政府の職権乱用、未来世代費用転嫁などが憂慮される」という見解を明らかにした。一部の出席者も「(電気代を抑えれば)料金引き上げの負担を次期政府に転嫁するという批判が出るだろう」という意見を出したが、黙殺された。このように電気料金が策定され、韓電は昨年史上最大の32兆7000億ウォンの営業損失を記録した。 (中略)

前政権はガス料の引き上げも躊躇した。産業部は2021年から国際液化天然ガス(LNG)価格が急騰し、燃料費調整要因が大きくなると連動制によってガス料引き上げに乗り出した。しかし、企画財政部は2021年7月から昨年3月までの9ヵ月間、6回にわたって産業部が提示案ガス料引き上げ案に全て留保決定を下した。その結果、韓国ガス公社の未収金(損失額)は、2021年の1兆8000億ウォンから昨年は8兆6000億ウォンへと急増した。
(引用ここまで)


 ムン・ジェイン政権は「国民のため」を口実として、電気料金およびガス料金の引き上げをしなかったのですね。
 石炭火力をやめ、原発をやめ、LNG火力と太陽光発電をメインに据えようとしていた方向性もあって、国民からの突き上げを恐れていたのではないかと思われます。
 「原発を増やしていればこんなことにならなかったのに!」って言われるのを恐れていた感じですね。

 で、ポピュリズムにおもねって電気料金の値上げをしない。
 かつ累進制度もやめる。

韓国電力「ムン・ジェインに言われたので累進性やめます。原発もやめて、再生可能エネルギーを増やします」→結果……(楽韓Web過去エントリ)

 この頃、つまり2019年当時から「韓国電力、やばいことになるぞ」ってされていたのですが。


 現在になって大爆発中。
 去年は1年間で32兆6030億ウォンもの赤字を計上。
 その補填を債券発行で行ったために債券市場が大混乱。

 だいぶよい利率で債券を発行するために、その他の私企業がいくら社債を発行しても市場に受け容れてもらえないなんて事態に陥ってました。
 赤字で苦しんでいるSKハイニックスは1年債で5.34%もの金利を提示しなければならなかったほど。
 まあ、実質的に韓国政府の保証付きである韓国電力の債券買うもんな……。

 ちなみに現在の電気料金は原価回収率が70%、ガス料金は62.4%
 第2四半期にも2兆2724億ウォンの赤字を叩き出して、9四半期連続の赤字。

 そしてそうした低料金で電力を供給してることが「実質的に韓国政府による補助金である」として、アメリカは鉄鋼に対して相殺関税を賦課しました。

アメリカ、国内鉄鋼会社に相殺関税… 「安い電気料は補助金」(イーデイリー・朝鮮語)

 これ、鉄鋼だけに適用されるわけじゃないと思うんですけどね。半導体なんかも電気の塊みたいなものですから。

 ……ムン・ジェインは韓国という国をぶっ壊すための時限爆弾を山ほど仕掛けていったなぁ。人口問題だけでも魔王クラスだったのに。

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