韓国電力が数十兆ウォンに達する赤字を出して経営危機に直面したのは、前任のムン·ジェイン政府が電気料金を適時に上げられなかったためだという監査院の指摘が出た。ムン·ジェイン政府は大統領選挙を控えた2021年末、国際エネルギー価格が急騰したにもかかわらず、物価安定を理由に電気料金引き上げ幅を大幅に縮小した。「電気料金引き上げ負担を次期政府に押し付けた」という批判を予想しながらも電気料金をまともに上げなかった情況もまた明らかになった。
監査院が10日公開した「公共機関財務健全性および経営管理実態」監査報告書によれば、韓電の電気料算定には2021年1月に導入された燃料費連動制により国際エネルギー価格など原価変動要因が考慮される。韓電は毎年直前1年間の平均燃料費(基準燃料費)を根拠に電力量料金を算定するが、四半期ごとに燃料費変動分(直前3ヵ月平均燃料費-基準燃料費)を反映する形で電気料を算定する。
電気料金の調整は産業通商資源部が企画財政部と事前協議して認可する手続きで運営される。企画財政部が物価安定を理由に反対すれば、電気料金に燃料費変動が適時に反映されない構造だ。
監査院によると、燃料費連動制導入初年度の2021年から2022年まで8四半期のうち、燃料費調整料金が変動したのは4四半期に止まった。残りの4四半期は企画財政部の反対で凍結された。これによる燃料費の未調整額は18兆2000億ウォンに達した。 (中略)
当時の議論過程で産業部は「韓電株主財産権侵害と経営陣背任はもちろん、政府の職権乱用、未来世代費用転嫁などが憂慮される」という見解を明らかにした。一部の出席者も「(電気代を抑えれば)料金引き上げの負担を次期政府に転嫁するという批判が出るだろう」という意見を出したが、黙殺された。このように電気料金が策定され、韓電は昨年史上最大の32兆7000億ウォンの営業損失を記録した。 (中略)
前政権はガス料の引き上げも躊躇した。産業部は2021年から国際液化天然ガス(LNG)価格が急騰し、燃料費調整要因が大きくなると連動制によってガス料引き上げに乗り出した。しかし、企画財政部は2021年7月から昨年3月までの9ヵ月間、6回にわたって産業部が提示案ガス料引き上げ案に全て留保決定を下した。その結果、韓国ガス公社の未収金(損失額)は、2021年の1兆8000億ウォンから昨年は8兆6000億ウォンへと急増した。
(引用ここまで)
ムン・ジェイン政権は「国民のため」を口実として、電気料金およびガス料金の引き上げをしなかったのですね。
石炭火力をやめ、原発をやめ、LNG火力と太陽光発電をメインに据えようとしていた方向性もあって、国民からの突き上げを恐れていたのではないかと思われます。
「原発を増やしていればこんなことにならなかったのに!」って言われるのを恐れていた感じですね。
で、ポピュリズムにおもねって電気料金の値上げをしない。
かつ累進制度もやめる。
韓国電力「ムン・ジェインに言われたので累進性やめます。原発もやめて、再生可能エネルギーを増やします」→結果……(楽韓Web過去エントリ)
この頃、つまり2019年当時から「韓国電力、やばいことになるぞ」ってされていたのですが。
現在になって大爆発中。
去年は1年間で32兆6030億ウォンもの赤字を計上。
その補填を債券発行で行ったために債券市場が大混乱。
だいぶよい利率で債券を発行するために、その他の私企業がいくら社債を発行しても市場に受け容れてもらえないなんて事態に陥ってました。
赤字で苦しんでいるSKハイニックスは1年債で5.34%もの金利を提示しなければならなかったほど。
まあ、実質的に韓国政府の保証付きである韓国電力の債券買うもんな……。
ちなみに現在の電気料金は原価回収率が70%、ガス料金は62.4%。
第2四半期にも2兆2724億ウォンの赤字を叩き出して、9四半期連続の赤字。
そしてそうした低料金で電力を供給してることが「実質的に韓国政府による補助金である」として、アメリカは鉄鋼に対して相殺関税を賦課しました。
アメリカ、国内鉄鋼会社に相殺関税… 「安い電気料は補助金」(イーデイリー・朝鮮語)
これ、鉄鋼だけに適用されるわけじゃないと思うんですけどね。半導体なんかも電気の塊みたいなものですから。
……ムン・ジェインは韓国という国をぶっ壊すための時限爆弾を山ほど仕掛けていったなぁ。人口問題だけでも魔王クラスだったのに。
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