月城原発1号機の早期閉鎖に対する監査院の監査で、主務部処(省庁に相当)である産業通商資源部(省に相当。産業部)の公務員らの虚偽陳述、資料削除など露骨な監査妨害行為が発覚した。当時の白雲揆(ペク・ウンギュ)産業部長官をはじめとする脱原発政策系統の組織的証拠隠滅・隠匿の試みと見るほかない。黙過できない明白な犯罪行為だ。監査院法にも、監査妨害を刑事処罰できるよう規定がある。崔在亨(チェ・ジェヒョン)監査院長が「これほどひどい監査抵抗は初めて」と慨嘆したくらいなので、余程だったのだろう。
ところが、こうした証拠隠滅・隠蔽の事実が公開されると、与党議員らは驚くべき反応をぶちまけた。与党「共に民主党」の朴範界(パク・ボムゲ)議員は「虚偽陳述、資料削除は監査を受ける人が基本的にできる」「陳述を記憶と少し違って、虚偽陳述に近く(できるのではないか)」と発言した。朴議員は判事出身だ。そんな人の口から出た言葉だとは到底信じられない。「目的を決めておいて行う監査」「政府の脱原発政策に打撃を加えるためのもの」と言う与党議員もいた。 (中略)
実際、月城1号機の強引な閉鎖は監査すべきこともない。経済性評価のねつ造があまりに露骨かつ俗悪で、あきれてしまうほどだ。この歪曲(わいきょく)ねつ造発覚の状況になるや、与党の態度が一変したのだ。監査の土壇場で官僚らが、既に行っていた陳述を一斉に覆すという非現実的な光景が繰り広げられた。今度は「証拠隠滅、虚偽陳述をしてもいい」という、昼ドラじみた非現実的光景の第2幕が繰り広げられている。
(引用ここまで)
月城原発1号機は古里原発1号機に次いで韓国で2番目に廃炉の決まった原子炉。
ただ、月城原発を所有する韓国水力原子力発電会社は7000億ウォンという巨額費用を投じて月城1号機の寿命延長を施した直後でした。
本当に経済性等を鑑みて廃炉にすべきなのか議論のある部分ではあるのですね。というか、経済性は十分にあるというのが監査の結果だったのですが、それを隠蔽していたことがすでに判明してます。
ムン・ジェインは2030年までに稼働している原発を18基にまで減らすという方針を出しています。
前述の古里原発1号機は2015年の時点で廃炉が決定しており、ムン・ジェイン大統領はその廃炉記念式典に出席しただけ。
ちなみにこの時の式典で「日本では東日本大震災で原発事故によって1368人が死んだ」とか言い出しました。なにも分かってない人間であると露呈しましたね。
で、その後に2018年の統一地方選挙で勝ったことで民意を得られたとして「月城原発1号機を廃炉にする」と決定。ついでに新規建設が予定されていた天地1・2号機、大真1・2号機も建設中止になりました。
ちなみに韓国は2015年時点で全電力中、発電割合は原発が32%、石炭火力が39%。ベース電源として70%以上をこの2種類で賄っていたのですが、双方ともに減らして将来的にはゼロにする予定。
というわけで、手始めになんとしてでも月城原発1号機を廃炉しなければならない、という前提があったのですね。
「廃炉のためであれば証拠隠滅や虚偽陳述しても構わない」という話につながるわけです。
まあ、ムン・ジェイン政権の基本方針ですね。