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カテゴリ:韓国教育事情の記事一覧

韓国メディア「我が国でエコーチェンバーで陰謀論が流行るのは韓国人の読解力が低いからでは?」……あ、ようやくそこにつながりました?

アルゴリズムに閉じ込められたまま落ちるリテラシー··· 政治まで「陰謀論」に惑わされる(ソウル新聞・朝鮮語)
見たいものだけ見て、信じたいものだけ信じる。 「アルゴリズム」が占領した時代の人間の断想だ。 同じ信念を共有する人だけがいる「反響室」に閉じ込められ、そこで通用する情報だけが真実だという確信に捕らわれる。 他の考えや意見は全て「偽物」と片付ける。 宗教に近い強力な信頼を背に、正体不明の陰謀論が横行する。

昨年、ユン・ソンニョル前大統領の非常戒厳宣言後、韓国社会は極端に分かれ、接点のない葛藤を繰り返した。 対話と妥協の代わりに敵対とテロが蔓延したこの時期は、韓国史に拭えない傷になるものとみえる。 韓国の根深い政治·社会構造を越え、問題の原因を根本的な「リテラシー」(リテラシー)次元で指摘しなければならないと専門家たちは口をそろえる。 これは特にユーチューブをはじめとするアルゴリズム基盤プラットフォームの影響が大きくなる時代にさらに重要だというのが彼らの診断だ。

リテラシーは文を読んで理解する能力をいう。 それを「受け入れる」力量を説明することにとどまらない。 受け入れた情報を批判的に読解し、再構成することまで含めた概念だ。 (中略)

昨年末、経済協力開発機構(OECD)で発表した「2023国際成人力量評価(PIAAC)」報告書には韓国人が受け入れるには多少衝撃的な内容が含まれた。 報告書によると、韓国成人のリテラシー点数は500点満点で249点だ。 31の参加国のうち22位にとどまり、OECD平均260点にも及ばなかった。

年齢別では16~24歳のリテラシーは276点でOECD平均(271点)よりむしろ高く、25~34歳も272点でOECD平均と同じだった。 中高年層になるほど格差が大きかったが、韓国の55〜65歳の成人の平均リテラシーは217点でOECD平均(241点)よりなんと24点も低かった。

さらに大きな問題は、韓国の成人の読解力がますます落ちていることだ。 1次調査(2013~16年)より24点も下がった。 韓国と共に同期間、成人の読解力が20点以上落ちた国はスロバキア(20点)、ニュージーランド(21点)、リトアニア(29点)、ポーランド(31点)ぐらいだ。 (中略)

「エコチェンバー」現象はアルゴリズム時代の代表的な影だ。 反響室の中で個人は既存に持っていた信念が繰り返され、むしろ増幅されることを経験する。 その中で接する情報が事実でない可能性を見ずに批判なしに受け入れた後、再び広める。 根拠のない陰謀論が力を得る背景には、このような構造が隠れている。
(引用ここまで)




 韓国人の読解力が10年前よりも大きく下落したことは何度かお伝えしています。
 OECDが行った「読解力」、「数的思考力」、「状況の変化に応じた問題解決能力」を計るためのテスト、PIAACで韓国人はどれもOECD平均以下。
 それぞれのテストで31カ国・地域中22位、23位、24位でした。



 中でも読解力の低さにかなりのショックを受けたようです。
 PIAACでは問題のレベルを1〜5に分けて、それぞれのレベルにどれだけの到達者がいるかを計測しています。

 たとえば数的思考ではレベル1が簡単な四則計算。
 レベル3は複数のデータソースの使用、統合、操作を必要とする数学的分析が可能。
 レベル5では数学的情報を分析、評価、推論して批判的に考察が可能、といったところ。

 レベル1は小学校低学年、2は高学年〜中学生、3は中学3年〜高校レベル、4は数Ⅲ〜大学生レベル、5は大学生〜院レベルかな。
 4以上で「人に教える職業に就ける」ってイメージをしてもらえれば、そう遠くないかなと思います。



 韓国の場合、読解力でレベル1以下が31%。レベル2が37%。レベル3で27%、レベル4以上は6%でした。
 OECD平均と比較するとこんな感じ。

●読解力
   Lv1未満 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4以上
韓国 9%  22%  37% 27%  6%
平均 9%  17%  31% 31% 12%

 え、日本ですか? ……日本出すの?
 いや、いいけど。

   Lv1未満 Lv1 Lv2 Lv3 Lv4以上
日本 4%   7% 24% 42% 23%

 日本は平均点で31カ国・地域中2位。レベル4以上の多さでも2位。
 数的思考力でも2位、2位。状況の変化に応じた問題解決能力で1位(同率)、2位。
 すべてのテストでレベル1以下がもっとも少ない国との結果でした。

 さて、冒頭記事は「こんな読解力だからエコーチェンバーに陥って、大統領まで陰謀論にはまるのだ」といった批判的なものなのですが。

 まあ、言っていることはもっともなので放置でよいと思うのですが。
 個人的にこの図に大受けしました。

スクリーンショット 2025-09-20 18.14.03.png

 グラフの上、灰色が前回の2013年から行われたテスト結果。
 黄色が2023年のテスト結果。
 上からフィンランド、ニュージーランド、アメリカ、スロバキア、韓国、スペイン、イタリア、リトアニア、ポーランド。
 1位のフィンランド以外は「第1回から成績が下落した国」をピックアップしているのですが。
 ここでも2位の日本を無視。

 PIAAC関連の記事で日本が出てきたことないんですよね。
 なんか各社で報道協定でも敷いているのかってくらいに「2位、2位、1位の日本」が出てこない。なんなら日本が同率1位になっている問題解決能力に言及しないまである。
 まあ、そうした現実を見たくはないのでしょうね。

 彼らの中では「永遠のライバル」らしいですから(平均で20位差)。



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韓国の理系高校からも理工系大学に進まず、医者になろうとする学生が増加……「理工系大学はソウルにキャンバスがないのも大きな原因」とのこと

韓国・科学高、英才高からKAISTへの進学率が低下…医大・名門大への進学が加速(KOREA WAVE)
韓国では、科学高校および英才高校を卒業しながらも、理工系特性化大学への進学を選ばない生徒が増加している。これらの高校は本来、優秀な理工系人材の育成を目的に設立されたが、現状では科学者よりも医師の道を選ぶ傾向が強まっている。 (中略)

これまで科学高校・英才高校出身者の進学先で最も多かった韓国科学技術院(KAIST)は、今年は2位に後退。入学者は548人で、前年から15人減少した。KAISTのほか、蔚山科学技術院(UNIST)、光州科学技術院(GIST)、大邱慶北科学技術院(DGIST)、浦項工科大学(POSTECH)、韓国エネルギー工科大学など、理工系特性化大学6校への合計進学者数は986人となり、初めて1000人を割った。全体に占める割合も36.9%から35.5%へと1.4ポイント下落した。

一方、最も多くの科学高校・英才高校出身者が進学したのはソウル大学で、全体の20%にあたる554人が入学。前年の503人から51人増加した。次いでKAIST、成均館大学(224人)、POSTECH(173人)、延世大学(163人)と続き、上位5大学中、非理工系特性化大学が多数を占めている。

いわゆる「SKY大学」と呼ばれるソウル大学・延世大学・高麗大学への進学者は、前年の825人(29.7%)から850人(30.7%)に増加した。また、上位10大学には、成均館大学、漢陽大学、中央大学といった医学部を持つ非理工系大学が含まれており、医学部人気が進学傾向に影響していることがうかがえる。 (中略)

教育関係者は「科学高校・英才高校では医学部進学を抑制するため、奨学金の返還や支援金の回収といったペナルティを科しているが、それでも進路変更を防ぎきれていない。理工系人材の育成という設立目的に沿うためには、より実効性のある対策が必要だ」と指摘している。
(引用ここまで)




 韓国には「科学高校」なるものがありまして。
 理系に特化した英才教育を行う場所として知られています。
 高2までのカリキュラムを終えると、早期卒業制度を利用してKAIST(韓国でトップとなる科学系大学)に進学するのがパターンでした。

 その科学高校から科学系大学に生徒が進学しなくなった、とのニュース。
 ……そりゃ、まあそうでしょ。
 研究系に進んだところで、コンスタントに結果を出さなかったら45才実質定年制度に引っかかるのは変わらないんですから。
 進学先が医学部のある大学中心になるのも当然。

 以前も大学の半導体関連学科は何度も追加合格を出して定員を補充しているって話がありました。



 これらの大学では「卒業後、半導体関連企業への就職が確約されている」にもかかわらず、です。



 まあ、45才で肩を叩かれる研究職よりは、そりゃ医者になろうとしますよ。
 大学病院には定年があったとしても開業しちゃえば70歳になってもまだ働けるわけですから。
 「韓国で一番勉強ができる」層にとって、医学部以外の理系なんて進む意味がほとんどない。

 「奨学金を取り上げるぞ!」って言われても、高校の奨学金なんてたかがしれてますしね。
 医者になったら即返済可能なレベルでしかない。

 あと理系大学の多くがソウルにキャンバスがないってのも原因だとされています。
 KAISTは韓国で第4の都市となる大田、POSTECHはポスコが設立したのでその地元である浦項。
 ま、ド田舎でないにしても大学と院の6年間を過ごすには辛いってところでしょう。

 偏差値とかも国立の釜山大学よりもソウル市立大学のほうが上位にあったりします。
 20歳前後の6年間、韓国の地方都市で過ごせっていうのもきつい話なんでしょうね。

 韓国人にとって常に第1選択肢は「ソウルにある医学部」なんですよ。
 それ以外でも医学部ならよし。
 それ以外の学部ならせめてソウルにあってほしいっていう。
 科学高校については「トップの勉強させてくれてありがと!」くらいの認識なんだろうなぁ。



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韓国で「ハーバード、UCLA卒業」と自称して本を書いていた人物、「学歴はすべて偽」だった……あ、韓国ではよくあることです

自称「ハーバード・UCLA卒、米国公認臨床心理学博士」の韓国人作家が死亡、経歴や書籍の推薦文も虚偽だった(朝鮮日報)
 11日、朝鮮ドットコムの取材を総合すると、『賢明な親は適当な距離を置く』の著者キム氏が前日死亡した。正確な死因は明らかにされていない。 (中略)

 著者のキム氏は、書籍と広報資料を通じてハーバード大学心理学、脳科学学士、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)臨床心理学博士、米国公認臨床心理学者だと自己紹介していた。しかし、オンラインコミュニティーを通じて、キム氏の論文と学位が検索してもヒットしないと指摘され、彼の経歴に対する疑惑が拡散した。

 これに対して出版社側は「ネット上の記録で著者がソウル市教育庁や最高検察庁などで講義したことを確認し、該当機関で講師の経歴を検証したものと判断した」と説明した。また「契約前に著者の事務所でミーティングを進めた際、ハーバード大学を含むさまざまな機関で発給された証明書が置かれていることを確認した」とし「周辺の臨床心理専門家の間でも高い評価を受けており、著者の履歴が偽りである可能性を一切把握できなかった」と話した。

 書籍の広報に利用された推薦状も問題視された。ハーバード大学教育大学院のハワード・ガードナー教授、イェール大学感性知能専門研究委員のデビッド・カルーソ、UCデービス(カリフォルニア大学デービス校)心理学科のディーン・キース・シモントン教授が同書籍を強く推薦したとあるが、あるネチズン(インターネットユーザー)が直接同教授宛てに電子メールを送って確認したところ、推薦状は書いていないという回答を得た。

 出版社側は「書籍に収録された推薦文は著者から受け取り、収録した」とし「著者は交流している指導教授や学界関連の人物から英文で推薦文をいただくと言い、その後、推薦文が送られてきた」という。さらに「当時はすでに著者と長く意思疎通を交わしていたため、著者を信頼していた。著者は随時進行状況を共有するなど、通常通り手続きが進行中であるかのように装っていたため、推薦文が本物かどうかを疑う思いすら湧かなかった」と話した。
(引用ここまで)




 韓国では学歴詐称はよくあることです。
 いや、本当によくあるのですよ。

 アメリカに留学していた韓国人女子校生が「スタンフォードとハーバードの両方に合格して、両方から来てほしいと懇願されている。しかたないので2年ずつ通うことにした」なんて言い出したことがありまして。
 全部嘘でした。



 チョ・グクの娘のチョ・ミンが論文の第1執筆者だったなんてのも学歴詐称の一種ですね。
 現在のイ・ジェミョン政権下で首相に指名されているキム・ミンソクの息子も同様に「論文を書いた」としているのですが、これもおそらくは嘘。

次期首相候補・金民錫の息子「高3時に香港大学で半年インターンしながら論文を共同執筆」→高校側「海外インターン休学は許可していません」【独自】(朝鮮日報)

 まあ、よくあることです。



 あとアメリカの韓国系ですが、トランプ政権入りした女性がやらかしていたなんてのもありました。

ワシントンをひっくり返したミナジャン……タイム誌表紙・ハーバード学歴偽造発覚(ソウル新聞・朝鮮語)

 なんでこんなことが起こるかというと、韓国では「学歴こそが最大のマウント要素」だからなのですね。
 ソウル大学に入った人間は誰よりもえらい。
 でも、アメリカやイギリスの名門大学に入ったほうがさらにえらい……なんてことになるわけです。

 自らを大きく見せるための威嚇要因とでもいいますか。
 本当によくあること。
 なので、上にある第1次トランプ政権時代の韓国系女性の学歴詐称も「まあ、韓国系ならやるでしょ」くらいの気分でピックアップしてなかったと思うのです。
 韓国慣れしすぎているのよろしくないですよね(笑)。



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韓国で高校中退者が激増する理由とは? 「推薦が取りつけられないなら高校なんて時間の無駄」と考える生徒が多数存在するそうな……

カテゴリ:韓国教育事情 コメント:(112)
「内申が不利だから」…韓国・高校中退が増加、昨年だけで1万8000人超(KOREA WAVE)
韓国で昨年、高校を中途退学した生徒が1万8000人を超え、過去4年でほぼ2倍に増加したことがわかった。これは、内申(学校成績)の競争から脱落した生徒が、高校を辞めて大学修学能力試験(修能)の準備に専念する傾向を反映しているとみられる。

教育専門機関の鍾路学園が10日、「学校公開情報サイト」に公開された一般高校における学業中断者(中退者)数を分析したところ、昨年、全国の一般高校で学業を中断した生徒は計1万8498人で、過去5年間で最多を記録した。前年(1万7240人)より7.3%増加し、4年前の2020年(9504人)に比べて約2倍となった。学業中断には、自主退学、退学処分、除籍などが含まれる。

特別高校の中では、外国語高校で285人、地域単位の自主型私立高校で255人、全国単位の自主型私立高校で78人、国際高校では68人が学業を中断した。 (中略)

鍾路学園のイム・ソンホ代表は「教育熱が高い地域ほど中退者数が多いことから、学校で内申が不利と判断した生徒が、卒業認定試験(検定試験)を受けて修能の一般選抜(定時制)に備えるケースが増えていると見られる」と話した。
(引用ここまで)




 学校で内申が不利になる(上位にいられない)という理由で高校中退が増えている、とのニュース。
 ちょっと聞くと「???」ってなるんじゃないですかね。
 いや……まあ、うちですら「は?」ってなったんで、一般の人がなるのもしかたがないというか。

 えーっと、現在韓国の大学進学って6〜8割ほどが推薦です。
 ソウル大学は現在では推薦(随時募集)が8割。
 修能試験での入学枠は2割ほどしかないのです。

 そんなわけで優秀な高校生はまず推薦を狙うわけですね。
 推薦のためにはよい内申と「学生時代になにをしてきたか」の証明書等々が必要になります。
 チョ・グク夫妻がPC使ったコラージュで感謝状とか作っていたのも、娘の推薦入学のためだったことが思い出されるのではないでしょうか。



 この推薦枠に入ることができないのが分かったらどうするか。
 学校をやめて修能試験での入学に切り替えるのです。
 修能試験のためには高校生活は無駄なので退学すると。
 勉強時間でも、勉強の中味でも高校に行くことはロスでしかないと考えているわけです。

 で、受験専門の塾に通って、徹底的に弱点を洗い出して対策する……って方向になるのですね。
 ちなみにそのあたりの塾だと月謝が300万ウォンとか。
 地方から出てくる場合は寮に入るので月額450万ウォンにジャンプアップ。



 ……科挙じゃん。
 だとしたら、「勉強以外の高校生活はすべて無駄」って切り捨てたほうが、コストパフォーマンスもタイムパフォーマンスもいいってことか。

 なお、修能試験で満点とか主席とかとると塾のアピールに使われて、月謝すべて返還の上にいくばくか包んでくれたりもします。
 「修能試験で満点を取った○○さんが通ってたのこの塾です!」ってやるんですよ。
 ここまでやらないと韓国の受験戦争は勝ち抜けないってことですね。



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韓国で大規模に導入されたAI教科書、政権交代で一気に「すべて撤退」の危機に……韓国の政権交代はこうでなくっちゃね!

韓国AI教科書、政策大転換で「撤退」危機…学校現場は混乱、発行各社は猛反発(KOREA WAVE)
韓国でのイ・ジェミョン(李在明)政権発足により、ユン・ソンニョル(尹錫悦)前政権が推進してきたAI(人工知能)デジタル教科書政策が、学校現場から事実上「撤退」の危機に直面している。

イ・ジェミョン大統領は「誤ったAIデジタル教科書政策を是正する」と明言し、AI教科書の法的地位を「教科書」ではなく「教育資料」として規定、学校の自律的な選択権を保障するとの公約を掲げた。

この方針転換により、すでにAI教科書を導入した学校では混乱が予想されている。一方で、莫大な開発投資をしてきた教科書発行各社は、教育省を相手取り行政訴訟に踏み切るなど、強く反発している。

教育関係者によると、今年3月から全国の小学校3・4年生、中学1年、高校1年の英語・数学・情報の3教科においてAI教科書が導入された。全国の小中高1万1932校のうち、少なくとも1種類以上のAI教科書を採用した学校は3870校にとどまり、平均採用率は32%に過ぎなかった。

本来、ユン政権は2024年から全国すべての学校にAI教科書を「全面導入」する計画だったが、教育現場の懸念や、当時野党であった「共に民主党」の強い反発により、法的には「教科書」としての地位を維持しつつも、導入は1年間の「自律選択」に変更された経緯がある。

本年度を「試験導入期間」と位置づけ、来年度以降に対象学年・教科の拡大を目指していたが、新政権の方針により、この計画は大きな見直しを迫られている。

イ・ジェミョン大統領が公約通りAI教科書の法的地位を「教育資料」に格下げすれば、今年後期からの導入率はさらに下落する可能性が高い。教科書は学校が義務的に採用しなければならないが、教育資料は学校運営委員会の審議を経て自律的に使用可否を決めるためだ。

韓国政府はこれまで、教員研修や教育インフラ整備を含めて約1兆ウォン(約1000億円)規模の予算を投入してきたとされるが、新政権が関連予算を大幅に削減した場合、AI教科書が実質的に現場から消えることも現実味を帯びてきた。
(引用ここまで)




 韓国では政権交代があるとなにもかもが変化する、との話をちょっと前のnoteでしています。
 韓国で処理水問題に「科学的に見て問題ない」とする言及できたのは「韓国のアカデミアに気概があったから」ではなく、ユン政権が処理水問題を(ほぼ)理性的に扱ってきたからです。
 その前のムン政権では「問題ない」とのレポートを書いた研究者に懲戒処分されるほどの扱いを受けていた……って話をからめて書いています。



 その実例がまたひとつ。



 今年の3月、韓国での新学年から「AI教科書を世界ではじめて導入する!」と大々的にアナウンスしたのですよ。
 タブレットで提供する教科書にAIでフォローさせるっていったところで、AIがそこまで活用されているかっていうとまあ……あれなのですが。
 でもまあ、教育現場へのAI活用はおそらく世界初ではないのでしょうかね。

 で、1兆ウォンを投じて作ったそのAI教科書ですが、イ・ジェミョン政権が「まず教科書から教育資料に格下げ」で導入義務なしに。
 そして導入過程を監査すると宣言して現場は大わらわ。

監査院、ユン政府の力点事業「AI教科書導入」監査着手(毎日経済・朝鮮語)

 韓国のこうした契約で過程が真っ白なんてことはあり得ませんからね。
 賄賂等だけでなく「まっとうな手続きをスキップする」なんてことはよくやること。
 ま、「いつものヤツ」ではありますね。



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韓国人、15歳時点で学業成績は世界トップクラスでも精神的・身体的健康は世界最悪レベルだった……ここから成年になったら成績も平均以下になるんだよね

“勉強だけの国”韓国、精神・身体の健康は最下位水準…ユニセフ報告で浮き彫り(KOREA WAVE)
韓国の子どもと青少年が学業成績では世界トップクラスである一方、精神的・身体的健康は極めて低水準であるという国際調査結果が公表された。

国連児童基金(ユニセフ)傘下の児童研究機関「イノチェンティ研究所」は13日、「予測不可能な世界、子どもの健康」と題した報告書を発表し、先進国における子ども・青少年の福祉実態を分析した。

報告書は2018~2022年のOECD、世界保健機関(WHO)、ユニセフなどのデータをもとに、精神健康・身体健康・生活の質の3分野、6つの指標(生活満足度、青少年自×率、児童死亡率、肥満率、学業成績、社会的交流)を総合的に評価した。

その結果、韓国は調査対象36カ国のうち総合27位にとどまった。特に「精神健康」は34位、「身体健康」は41カ国中28位と低迷した。一方、「社会的交流」は比較的高い4位を記録した。

注目すべきは学業分野の成績で、韓国は「15歳児の生活上の読解力・計算力の有無」において79%の達成率で1位を占めた。続いてアイルランド(78%)、日本(76%)、エストニア(75%)が続いた。
(引用ここまで)




 ユニセフの調査で韓国の15歳児における「精神健康」は36カ国中34位、「身体健康」は41カ国中28位。
 その一方で「15歳児の生活上の読解力・計算力の有無」では79%の達成率で1位。
 これはOECD調査でのPISA(学習到達度調査)でも同様の結果が出ています。

 15歳児時点ではトップクラスなんですよね。
 OECD内では数学的リテラシー2位、読解力3位、科学的リテラシーで2位。
 ちなみに日本は1位、2位、1位なのは内緒にしておこう。

 あまりにも受験地獄がひどすぎて、15歳時点では世界的に見ても上位なんでしょうね。
 早熟せざるを得ない。



 んでもってそのために精神・身体の健康を削りまくっているっていう。
 精神・身体を削るほどに勉強しているから、もうそんな思いをしたくないって形になって成年後はなにもやらない。
 生涯学習とかやらなくて、成年以降は下落している。

 第2回PIAACでの数字を見るとそれ以外に解説のしようがないんですよね。



 ちなみに高齢者の点数が低いことを持って「漢字世代のほうがハングル世代よりも低い。ハングル万歳!」ってハングル推進派はやっていたりします。
 んー、漢字世代がハングルだけでテストを受けさせられているのが原因じゃないですかね?
 まあ、いまの韓国の高齢者層は韓国全体が食うや食わずだったのでそれ以前の問題もありそうですが。



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韓国人学生「半導体関連学部? そんなの修士課程でも退学して医学部再チャレンジするわ」と医学部への人気が再燃……まあ生涯収入で1億円以上変わってくるだろうからしかたないね

危機に直面する韓国の半導体学科、学部生も大学院生も定員増の医学部へ(朝鮮日報)
 韓国の半導体産業を率いていくべき人材の離脱が加速化している。大学志願者の医学部集中現象の影響で半導体学科の学部生の中退が増加しているのに続き、大学院でも半導体専攻の学生たちが学位過程の途中で退学するケースが相次いでいるのだ。大学情報サイト「大学アルリミ」によると、2023年に17人だった半導体関連の大学院の退学者は、昨年は26人に増えた。半導体専攻の大学院生であれば、事実上サムスン電子やSKハイニックスなど大企業への就職が約束されたも同然で、これまで退学者はほとんどいなかった。ところがここに来て中退する大学院生が増えているのは、医学部人気の高まりが主な原因だと分析されている。昨年、碩博士統合課程の自主退学者のうち80.7%(26人中21人)がソウルなど首都圏の大学院生だった。医学部進学が可能な難関大学の大学院生が退学するケースが多かったわけだ。高麗大学のシン・チャンファン教授は「修士・博士の人材は卒業と同時に大企業や政府の研究所で研究開発の中核人材として働けるため、こうした人材の離脱は学部生の離脱以上に業界にとって大きなマイナスとなる」と指摘した。

 半導体を専攻する学部生の退学も増え続けている。サムスン電子への就職が保証される「半導体契約学科」を運営中の大学4校(延世大・成均館大・KAIST〈韓国科学技術院〉・POSTECH〈浦項工科大〉)では、同学科の自主退学者が2020年の8人から23年には18人に増え、昨年も同数の退学者が出た。

 サムスン電子とSKハイニックスが19年から主要大学に導入し始めた「半導体契約学科」とは、卒業後にその企業への就職が保証されるものだ。企業側が4年間、大学の授業料を全額負担し、それ以外に奨学金や生活費も支給するなど非常に恵まれた条件のため、理工系の人材に人気が高かった。学部在学中に無料で海外研修を受けさせてくれる大学もある。しかし最近、受験生の医学部志向が強まるにつれて、一部の大学では入試で定員割れが起きているほか、自主退学を選ぶ学生も増えている。

 大手予備校の鍾路学院によると、昨年ソウル地域にある五つの大学の半導体契約学科に合格しながらも入学手続きをしなかった受験生は138人で、該当学科の一般入試での募集人数(77人)の1.8倍だった。SKハイニックスの契約学科である漢陽大学の半導体工学科では、募集人数(10人)の3.6倍に当たる36人が入学手続きをしなかった。延世大学のシステム半導体工学科では、募集人数(25人)の2.6倍に当たる65人が合格しながらも入学手続きをしなった。医学部に同時に合格した受験生がかなりの数に上り、半導体学科ではなく医学部への進学を選んだとみられる。

 複数回の追加募集に出願してようやく学科に入学した大学生も、途中で学業をやめるケースが増えている。「大学アルリミ」によると、昨年は半導体契約学科を含む半導体専攻の学生の中退者が184人に上った。ある私立大学の教授は「正確な統計はないが、大企業への就職が可能な半導体専攻を途中で諦めた理由の大半は、医学部進学だと考えて差し支えない」として「特に最近の政府による医学部定員増加政策の影響で、半導体工学をはじめとする先端分野専攻の学生の離脱が大幅に増えた」と述べた。
(引用ここまで)




 韓国における大学のヒエラルキーはソウル大学を頂点として形成されているのですが、そこにひとつ例外があります。
 それが医学部。
 医学部はどんなランクであろうともソウル大学への入学よりも優先されるのです。

 修能試験(日本での共通テストに相当)で理系の成績上位者はまず医学部に入学していって、すべての医学部の席が埋まってしまうとそこから渋々と他の学科が埋まっていくのですね。
 で、その渋々と行く最初の選択肢になるのが半導体関連学科。
 逆にいえば医学部に入れる再チャレンジができるのであれば、嬉々としてチャレンジするんですよ。
 「半導体学科なんていつだって行けらぁ」くらいの勢いで。



 以前にも「合格した学生が全然入学しなくて追加合格を出しまくっていた」ってニュースをピックアップしています。



 去年は入学辞退率が150%。
 定員の1.5倍が入学を辞退したってことになりますかね。

 今回の記事ではソウルにキャンパスがある半導体契約学科では180%に達したと。
 半導体なんかどうでもいい、半導体企業への就職なんてどうでもいいとしている韓国人の最優秀(にあと一歩届かなかった)学生の気分が理解してもらえるんじゃないですかね。この数字で。

 このあたりの試験だと数点差のレベルで医学部に入れるかどうか異なってくるし、試験の傾向が得意方面だったか否かとかで決まるので、「再チャレンジできるならしたい」って人が少なくないのも理解できます。
 しかも再チャレンジに成功すれば、生涯収入ではおそらく10億ウォンとかそれ以上の差になってくるでしょうからね。
 半導体関連企業って言ったって業績上げられずに役員になれなかったら45歳で実質定年であることに変わりはないですし。

 死ぬまで鼻にプロテーゼ埋め込んで、目頭切開して、ヒアルロン酸注入するだけの人生でも高給が取れるならそっち行くわな。



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国際的な成人能力調査で平均以下との結果が出た韓国、教師の質でもやはり平均以下だった……一番優秀な層は今日も女性の鼻にシリコン埋めてますからね

カテゴリ:韓国教育事情 コメント:(133)
韓国教師能力、OECD16カ国中9~12位··· 「公教育の質低下を招く」(東亞日報・朝鮮語)
韓国の教員職業満足度と能力が主要先進国の中で平均以下であることが8日、分かった。 最近、20~25学年度の大学入試で、一部の教育学部の合格点数が下がりつつある上、教師の権力の墜落や教員の新規任用規模の縮小、低い職業満足度などの悪循環が続き、公教育の競争力の低下が懸念されるという指摘が出ている。

8日、成均館大学ネクスト365社会分析研究団と教育データ分析学会は、経済協力開発機構(OECD)が2022年と2023年に行った第2回国際成人力量調査(PIAAC)で、国家別教員能力資料を別途比較分析した。 その結果、韓国教員の言語能力、数理力、適応的問題解決力はOECD加盟国のうち、分析対象16ヵ国のうちそれぞれ9位、10位、12位に止まった。 職業満足度はOECD15ヵ国のうち12位にとどまった。

調査で韓国教員の言語能力は500点満点で276.06点、数理力は277.28点、適応的問題解決力は251.81点だった。 1周期調査よりそれぞれ19、13、27点ほど下がった数値で、16ヵ国平均の280.15、283.25、262.85点より低い。 日本、ベルギーがすべての項目で1、2位を占め、米国とフランスが項目別に3位または4位を記録した。 (中略)

このような調査結果は教師に対する選好が落ち、教育大学入学点数が下落し、若い教師の離脱が多くなる状況ともかみ合う。 特に一部の保護者の頻繁な苦情提起で教員の教育活動が萎縮し、職業満足度まで低いために教師を選択したり任用後に能力を積極的に開発する誘引が消えたという指摘が出ている。 このような教員の質下落は結局「公教育の質低下」につながりかねないという憂慮の声が大きい。
(引用ここまで)




 OECDが2022年から23年にかけて行った国際成人力調査、PIAACで韓国は31カ国・地域のなかですべてが20位台、下から数えたほうが早いとの結果に終わりました。
 具体的には読解力 22位、数的思考力 23位、状況に応じた問題解決能力 24位。
 日本はそれぞれ2位、2位、1位タイ。



 リアルの衝撃をもって伝えられ、かつ日本の順位はぼやかされて報道されたのでした。
 そして、今回はその結果から「教師の質」を抜き出して数値計上してみたら、案の定韓国の順位は16カ国中9位、10位、12位だったとのこと。
 ふむ。



 まあ、そりゃそうだよねって話で。
 韓国でも最上位の人々はとっとと医者になって、毎日せっせと女性の鼻にプロテーゼ埋めているのです。
 その一方で教師としての資質があるのであれば、公立学校の教師になるわけもなく。
 売れっ子の塾講師になっています。

 もっとも売れている塾講師であれば年俸5億ウォンとかですからね。
 そうした講師がいる塾は月謝300万ウォンとかなんですって。
 「優秀である」とされていればいるほど、この世界で一番厳しい競争社会の中で公立学校の教師とかをやるわけがないんですよね。
 まあ、その結果として全体の成績が落ちているというべきなのか。

 一部の上位陣以外は「もはや勉強しても無駄」くらいの認識なのかなぁってイメージ。
 PIAACの結果の中味を見ても、韓国ではどの部門でもLv2(ちょっとした問題が解ける)が最多。
 最上位の日本はLv3(問題への分析が可能)が最多。
 さらにLv4(推論ができる)以上で日韓の差を見ると──

・読解力 3.8倍
・数的思考力 3.57倍
・状況の変化に応じた問題解決能力 10倍

 ……といった結果でした。もちろん、日本のほうが多い。
 その原因を教師の質の差に求める気分は分からないでもないですけどね。卵が先か、鶏が先かって話になって終わりはどこにも見えないでしょうよ。

 でもまあ、どっかに根本的な問題があるのは間違いないんでしょうね。
 あれほど「韓国人は優秀だ優秀だ」って言っているのに、実際にはどの能力でも平均以下って結果なんですから。



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