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カテゴリ:中韓関係の記事一覧

韓国メディアが「中国が韓国人観光客にノービザ解禁した! 日本には解禁しなかったのに!!」と大騒ぎ……そこまで大騒ぎするようなことなんだ

カテゴリ:中韓関係 コメント:(65)
韓国大使館も事前に把握せず…中国が突然の「ビザ免除」に踏み切ったワケ(朝鮮日報)
中国政府が1日に韓国人などへのビザ免除を突然発表した背景について「米大統領選挙後を見据え、来年予想される韓中首脳会談に備えるため」との見方が有力視されている。来年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は10月末あるいは11月初めに慶尚北道慶州で予定されているが、その際に中国の習近平・国家主席の来韓と韓中首脳会談が実現する可能性も高い。韓国が中国のビザ免除対象国に含まれるのは1992年に両国が国交を回復して以来、今回が初めてだ。とりわけ今回のビザ免除が相互ではなく中国側が一方的に行った点も注目されている。

 中国は今回の発表を通じて韓国に友好的なメッセージを発したとの見方もある。今回対象となった9カ国のうち、韓国以外はノルウェー、フィンランド、デンマークなど欧州諸国で、これまで中国の外交政策で韓国とひとまとめにされてきた日本は含まれていない。中国は韓国人に対して第三国に向かう際に最長で144時間滞在できる制度をすでに導入しているが、全面的なビザ免除は今回が初めてだ。

 そのため中国は米大統領選挙を見据え今年の初めから韓国との関係改善に取り組み、その過程で今回のビザ免除に踏み切ったとの見方もある。ある外交筋は「中国は米大統領選後に韓米日がさらに結束し、韓中両国が外交的に一層疎遠になることを懸念している。そのため今年の初めから韓国とビザ免除などに向けた協議を続けてきた」と伝えた。
(引用ここまで)


 中国が韓国人観光客へのノービザ訪問を解禁しました。
 なんでも韓国大使館への通知すらなかったサプライズだったとのことで、その理由をいぶかしむ記事がいくつか出ています。
 まあ、おおよそが「来年に予定されている韓国でのAPEC開催に習近平国家主席が出席するための地ならし」とか「日米韓の連携に楔を打とうとしているのだ」みたいな見方かな。

 ま、たしかに今回のノービザ解禁ではアメリカと日本は入ってはいないのですが。
 観光ビザ発行をなくしたことで日米韓の連携云々はどうなんでしょうね。
 っていうか、出国できなくなるトラブルも多発している中、観光といえども訪中はリスクが高まっていると思うんですけどね。

中国から出られない外国人が急増 米国人だけで100人 習政権が発明「巨大な鳥かご」(時事通信)

 アメリカは「観光であっても中国訪問を避けるべき」と勧告しているとのこと。


 韓国メディアは「日本は解禁されなかった! 韓国は解禁されたのに」みたいな記事を多数出しています。
 本当に多数。
 記事タイトルにも「日本には解禁しなかったのに」みたいなのがやたらに入っている。
 こうした反応を見ると離間計っていうのは実際に効果があるんだなってわかりますかね。
 いや、今回のノービザ解禁は離間計ではないと思いますけども。

 じゃあ、実際の目的は何だって話になると思いますが、あまりにも中国の不況がきついんで外貨稼ぎでしょ。
 韓国も同様のことをやってます。
 なんとかして旅行先に日本ではなく国内を選んでほしいっていろいろキャンペーンやっている。
 観光客の運んでくるお金って「外から持ちこまれる」のでおいしいんですよ。
 誤解を恐れずにいえば「元手がかかっていない」ので。

 にしても、こうして中国のやることひとつひとつに大騒ぎするあたりが、こっちとあっちの境界にいる韓国の実際なのだろうなと感じられますね。
 ノービザ解禁ひとつでここまでの大騒ぎはなかなかの香ばしさですわ。

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韓国の分断を図る中国からの世論操作……「中国版コメント部隊」が韓国をおとしめようと画策

カテゴリ:中韓関係 コメント:(90)
韓国で相次ぐ「中国による世論操作」疑惑…EV・スマホ産業など標的「韓国をおとしめる」(KOREA WAVE)
韓国で、中国人と推測されるアカウントによる集団的なコメント操作疑惑が浮上し、それを防ぐための「インターネット国籍表示制」が再び議論されている。政界で関連法案が提出されたが、国会の通過は難しいと見られている。

IT業界によると、カトリック関東(クァンドン)大学のキム・ウニョン教授(警察行政学)と昌原(チャンウォン)大学のホン・ソクフン教授(国際関係学)の研究チームは、中国によるポータルサイトでの組織的なコメント操作の疑惑を指摘する報告書を発表した。研究は2022年7~8月、ネイバーやYouTubeで韓中競争産業に関する記事へのコメントを分析したものだ。

その結果、ネイバーでは中国語の翻訳調や特有のアカウント特性を持つ「中国系疑惑アカウント」77個が確認された。

これらのアカウントは、韓中間で競争が激しい電気自動車(EV)やスマートフォンなどの産業分野の記事に集中的にコメントを投稿し、韓国の産業をおとしめる内容が多かったという。こうしたインターネット上での世論操作は、韓国のみならず台湾でも中国人によるものが疑われ、議論を呼んでいる。
(引用ここまで)


 韓国国内で「韓国製品をバカにするようなコメント」を多数投稿する、中国語風翻訳口調のアカウントが大量にある、との話。
 まあ、そりゃ中国だってやっているでしょうね。

 2012年の大統領選挙では国家情報院(旧KCIA)が30億ウォンを注ぎこんで、大規模な「コメント部隊」を結成してNAVER等にコメントしていたことが判明しています。

韓国国家情報院が3億円をかけ大規模な「コメント部隊」組織=韓国ネットには不満の声(レコードチャイナ)

 その一方でムン・ジェイン陣営も同様にコメント部隊を操り、そのコメント部隊の実行犯だった人々をムン・ジェインの側近であったキム・ギョンスが裏切ったために報復されていたことが判明しています。
 いわゆる「ドルイドキング事件」ですね。

韓国ニュースサイトに政権批判コメントをマクロで書き込んでいた人物、実際にはムン・ジェイン支持者だった。犯行動機は「ウリなのに分け前をもらえなかったから」だった……(楽韓Web過去エントリ)

 もうすでにこうしたコメントによって世論が操作されていたことが分かっている社会なのですから、そりゃ中国も煽ることでしょうよ。


 具体的には「ヒュンダイはゴミ! 中国車最高!!」とか、「サムスン電子のスマホはダメだね」みたいな書きこみをしている模様。

「現代自動車はガチャ、中国車最高」横行する中国のコメント部隊=韓国(中央日報)

 まあ……すでに分断が為されている韓国だからこそ通用するのかなぁ。

 ちなみに同様に中国の工作アカウントがX(Twitter)にもいるようですが。
 3人の主たる偽情報発信アカウントと、それを拡散しようとする200の工作アカウントから構成されているなんて話が出てました。

「沖縄独立」煽る偽投稿拡散 背後に約200の中国工作アカウント(日経新聞)

 まだ「中国の意見を浸透させよう」レベルのものでしかないようですけどね。
 日本では。
 ただ、これが中国政府の指令で行われているのか、自干五(共産党政権を強く信奉する人々)なのかは判断に困るところ。
 ……自干五っぽいんだよなぁ。いまの中国人の若者を見ると、それを強く感じます。

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韓国、中国の顔色を伺って台湾総統就任式に出席せず。でもプーチンの就任式には大使派遣……まさに「そういうとこだぞ?」ってアレ

中国とロシアの顔色をうかがう「グローバル中枢国家」(朝鮮日報)
 台湾の賴清徳総統の就任式に韓国政府は代表団や使節団を派遣しなかった。(中略)就任式に参加した国は合計51カ国で、これは台湾と国交のある12カ国の4倍以上だ。これらの国々は当然祝賀メッセージも送ったが、ソウルからは何のメッセージもなかった。 (中略)

 このような過去の因縁はさておき、台湾は韓国と自由民主主義、人権、市場経済などの価値を共有する国だ。外交用語では「like-minded group(志を同じくするグループ)」と呼ばれており、現在50カ国ほどに上る。よく使う言葉では「自由民主主義陣営」だ。その陣営はどこも台湾総統の就任式に代表団を派遣したが、韓国だけは派遣しなかった。台湾は非常に残念に思ったはずだし、他の国々も意外だっただろう。昨年と一昨年の国連総会第3委員会で新疆ウイグル自治区の人権侵害を批判する声明が出された時もそうだった。当時この声明には50-51カ国が参加したが、韓国は声明に加わらなかった。いずれも現政権発足後のことだ。

 同じようなケースは実は思った以上に何度も繰り返されている。2週間前にモスクワではプーチン大統領の5期目の就任式が執り行われ、クレムリンのロシア大統領府は事前に各国大使らに招待状を送っていた。しかし自由民主主義陣営、つまり「志を同じくするグループ」の多くは就任式に参加しなかった。(中略)ところが韓国政府の考え方は違っており、李度勲(イ・ドフン)駐ロシア大使を出席させたのだ。フランス大使も出席していたため、恥ずかしさは多少和らげられたかもしれない。 (中略)

 権威主義国家やその政権を相手にする際、重要なことは「志を同じくするグループ」と同じ言葉を発信し、同じ行動を取ることだ。韓国は国連安保理の非常任理事国であると同時に、「グローバル中枢国家」を自認しているが、だとすれば安保理をないがしろにしているプーチン大統領の戴冠式で拍手を送り、台湾総統の就任式から顔を背けるべきではない。これにより一時的には中国とロシアの機嫌を取ることはできるだろうが、最終的には韓国外交にとって毒になるだろう。
(引用ここまで)


 韓国政府は台湾の賴清徳総統就任式には代表を送ることなく、その一方でプーチンの就任式には大使を代表として送っている。
 自由主義を標榜する国々とはまったく逆の行動をとっているわけです。
 まあ、分かりますよ。
 中国は怖いし、ロシアも怖い。
 
 なのでへいこらして「台湾の総統就任式には出席しません!」「プーチンの就任式には出ます!」ってやるのもよいと思います。
 ただ、その結果というものは当然のようについてくる。
 自由主義陣営からは「え、あいつら中国・ロシアの走狗なのでは」って扱いになってもしかたがない。


 ムン・ジェイン政権では散々、北朝鮮とその背後にある中国に対してこびへつらっていた結果、GSOMIA破棄宣言でアメリカを動かすことができなかったのですよ。
 あれがもし、韓国が常にアメリカとしっかりとした共同歩調を見せることができていれば、また違った結果が生まれていた可能性すらあります。
 ですが、韓国は自由主義陣営からのそうした疑念などないかのように振る舞っています。

 記事中にあるパク・クネ(と当時の国連事務総長のパン・ギムン)による中国戦勝パレードへの参加もそうですし、今回の台湾の総統就任式には参加拒否をしておきながら、プーチンの就任式には出席するなんてのも同様。
 そんな態度でありながら、自由主義陣営の果実はいただくつもりなんですから疑念を持たれて当然なのですけどね。

 そうそう、ちょっと前に茶を吹くニュースがありまして。

国の借金増加G8の中で最も早い… 「ばらまき財政」はだめだ(毎日経済・朝鮮語)

 ナチュラルに「主要8カ国の中で韓国はもっとも財政悪化度合いがひどい」って書いていて、「主要8カ国って借金のひどい国を上から並べたものなのかなぁ」って思ったら「G7+韓国」のことなんですって(笑)。
 自称G8、広まってますわー。
 「そういうとこだぞ」、としか言えませんね。

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韓国人識者「中国は韓国に向けて有形無形の圧力をかけ、常に中国の顔色を伺わせるように仕向けている」……そしてそれは成功しているんだよなぁ

「フーバオも奪い、顔色を伺わせるようにする…韓国に仕込んだ中国の工作」(中央日報)
中国が韓国に対して行う影響力工作の実態を告発した『不通の中国夢』の著者で、慶煕(キョンヒ)大学中国語学科のチュ・ジェウ教授は22日、「中国もキムチと韓服が韓民族の文化遺産であることをよく知っている」としながら「中国はソーシャルメディア(SNS)をはじめとするすべてのインターネット空間を政府が徹底して統制している。韓国が反発しても中国政府がキムチ工程と韓服工程に対する投稿を許容しているのは自分たちの算法があるから」と話した。

--どのような算法なのか。

「キムチ工程と韓服工程が中国で最も盛んに行われたのはいつかを調べたことがあるが、韓流など韓国のソフトパワー(Soft Power)が世界的に認められた時だった。中国で、政府の指示でインターネット世論をコントロールする五毛党の秘密文書を見たことがある。中国政府がこれらの『工程』に相当介入していた。中国の自尊心を守りながらも韓国を牽制(けんせい)しようとする目的だとみられる」 (中略)

--韓国での中国の影響力工作はどうなのか。

「韓国での影響力工作の第1目標は韓半島(朝鮮半島)から米国勢力を追い出すことだ。中国は在韓米軍を撤収させ、韓米同盟を廃止しようとする。このようにすれば韓国を効果的に支配することができると考える。中国は韓国で中国幻想(myth)を最大限に引き上げて中国フォビア(phobia、恐怖心)を最大限活用しようとする。地方自治体が投資誘致・対外交流を目的に中国側と疎通しているが、中国はこれを影響力工作の通路としている。名前だけ言えば誰か分かるほどの韓国の世論指導層が率先して親中情緒を形成しつつある」 (中略)

--中国の影響力工作をどのように防いだらよいか。

「幸い、韓国国民は賢い。中国の影響力工作が受け入れられず、かえって中国に言うべき事は言うように政府に要求している。中国は韓国制度の弱点に食い込もうとしているが、これを防がなければならない。▽外国の利益を代弁する活動をする個人や団体は必ず登録するべき▽スパイ罪を北朝鮮はもちろん外国に情報を提供する人にも問い▽国家安全保障と国益に反するサイバー行為を処罰する--など法を整えなくてはならない。また、我々の外交原則を明確にしなければならない」
(引用ここまで)


 中国が韓国を狙っているのは間違いないところ。
 恐怖と宥和のいわゆるファイヤ&アイス戦略を用いています。
 「恐怖」はTHAADミサイル配備について文句をつけ、韓国文化の受け入れ拒絶、中国人観光客の渡航禁止などを行ったもの。結果、自治権の返上とすら見られかねない「三不一限」を韓国から引き出すことに成功しました。
 あとムン・ジェインの国賓一人旅扱いも同じ文脈で語ることができるでしょうね。
 その一方で鞭と飴の飴の代表がパンダ外交。
 2頭のパンダを韓国に送り、大人気になりました。

 ただ、それらは戦略の手段であって、目的は別にあります。
 記事では「アメリカを韓国から引き剥がすこと」としています。
 それもひとつの目的ではありますが。
 根本は「アメリカの同盟国に不信感を育てること」ですよね。


 そのために「米韓関係」を狙っている。
 環の中でもっとも弱いつながりである「米韓関係」を損なうことができれば、他の多くの同盟国も不安定化させることができる。
 米韓軍事同盟を消滅させることはできなくても、不安定化させることは可能であることをムン・ジェイン政権下で証明できています。

 1992年にフィリピンから米軍が撤退した3年後には南沙諸島で軍事施設の建設をはじめたように。
 アメリカの影響がなくなれば中国はスキップしながらそこに進出してくるのです。

 ま、韓国人は中国人を嫌ってはいます。中国に対する好感度は100点満点中35.5点。対象国でこれよりも低いのは北朝鮮の31点だけ。

韓国人の日本に対する好感度、34→42点に…北朝鮮・中国・ロシアは最下位1・2・3位(中央日報)

 それでもムン・ジェイン前大統領の中国に向けた態度はアレでしたし、次の大統領とも目されているイ・ジェミョンは駐韓中国大使に三跪九頭叩しかねない勢いで対応していました。

 現在のユン・ソンニョル大統領は「力による現状変更には徹底して反対」と自由主義国家としての矜持を持った発言をしてはいますが。
 どう見てもユン大統領は特異点でしかないんだよなぁ……。保守系の大統領だったイ・ミョンバクもパク・クネも中国しか見ていませんでした。
 そもそもオバマ政権下での副大統領だったバイデンに「韓国がアメリカの逆側に賭けるのはよくない」って言われたのはパク・クネでしたからね?

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韓国メディア「日本がフィリピン、アメリカの南シナ海共同哨戒に加わる。中国の反発は確実だ」……中国の意向が大事なんですね

カテゴリ:中韓関係 コメント:(54)
日・米・フィリピン、南シナ海で共同パトロール推進……中国反発の懸念(聯合ニュースTV・朝鮮語)
アメリカと日本、フィリピンが南シナ海で共同パトロールを行います。
まだ具体的なパトロールの開始時期は未定ですが、南シナ海当事者の原則を固守している中国の反発はさらに強まるものとみられます。 (中略)

南シナ海海域の90%で領有権を主張している中国。
9本の線をU字型に引いて、自国の領海という立場です。
そのためベトナムやインドネシア、マレーシアなどほとんどの国と領有権紛争中です。
実際、フィリピンとはセカンドトーマス礁、中国名の仁愛礁などで対立しています。 最近もフィリピンの補給船に放水銃での攻撃を行い、国際的な議論となりました。

アメリカと日本、フィリピンの3カ国が中国に対抗して南シナ海で共同の海軍パトロールを行います。
政治専門メディアのポリティコは来月ワシントンで開かれる日米フィリピン3カ国首脳会議でこうした内容の共同宣言を採択する予定だと報じました。
日米フィリピン3カ国の首脳が一堂に会するのは初めてで、インド太平洋地域で中国の影響力を抑制するための合意事項が発表されることが分かりました。
(引用ここまで)


 アメリカ、フィリピン、日本で南シナ海の共同哨戒を行うとする声明が4月の日米比で出るだろうの記事がPOLITICO誌に掲載されています。

US, Japan, Philippines plan joint South China Sea naval patrols(POLITICO・英語)

 以前も書いていますが、日本はフィリピンに対してくにがみ型巡視船を2隻供与しており、さらに5隻の追加供与も噂されています。
 また合同訓練に際して便宜を図る円滑化協定も締結に向けて前向きの方向。
 日比関係は準同盟として歩を進めようとしています。

 第一列島線を「核心的利益」(ゆずることのできないライン)とし、南シナ海を内海として扱おうとしている中国に対する警告になるでしょうね。
 中国とフィリピンはここのところ東シナ海で衝突を繰り返しています。

 たとえば南沙諸島に座礁させた船に向けて補給を繰り返しているフィリピンに対して、中国は「補給を特別に許可する」と言い張っており、フィリピンは「中国の許可など必要ない」と対抗しています。

中国がフィリピンの物資補給「特別許可」、南シナ海座礁軍艦巡り(ロイター)
フィリピン、南シナ海座礁艦補給で「許可不要」 中国の主張否定(ロイター)

 将来的には日米によるインド太平洋戦略のもうひとつの拠点として扱われることになるのでしょう。


 で、韓国がこの記事について言及しているのがなんというかちょっと面白い。
 韓国はムン・ジェイン政権時代にほぼ孤立政策を執っていました。
 中国に対しては「THAADミサイルについては一切中国の意に反することは行いません」「中国は大国、韓国は歯牙にもかからない小国」とおもねったものの、その結果は「国賓ひとり飯」でした。
 その一方で独自外交があったかというと……うん、別になかったな。GSOMIAを破棄しようとしてアメリカにぼっこぼこに殴られたくらいでした。

 ユン・ソンニョル政権になってからこっち、あるていどはアメリカへの傾倒を深めこそしたものの、なんらかの安保関連での動きがあったかというと。
 ……去年のウクライナ訪問があったくらいですかね。
 世界に対して韓国からなんらかの働きかけがあったか、と問われたら「そこになければないですね」と答えるしかない。

 日本がこうしてインド太平洋戦略を着々と進めていることに忸怩たるものがあるのでしょうね。
 個人的にちょっと面白かったのがこちらのハンギョレの記事。

「米・フィリピン・日、南シナで合同パトロール推進」… 日本合流は初めて(ハンギョレ)

 記事タイトルの序列で「アメリカ・フィリピン・日本」になってるのが「クスッ」ってくるいい味出してます。
 これ以外の記事でも「中国が反発することになるだろう」って「中国の意向」を大きく扱っているものが多数。
 韓国の立ち位置というものが透けてみえて面白いですね。

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中国公営紙、韓国に対して「アメリカの強制を振り切り、対中半導体の輸出を増やすべきだ」とするコラムを掲載。暗に脅しをかけてきているのか

カテゴリ:中韓関係 コメント:(36)
中国官営紙「韓国、米国の干渉減らして対中半導体輸出を増やすべき」(中央日報)
中国官営メディアが韓国半導体産業の発展のためには米国の政治的干渉が与える影響を減らしていって、中国への輸出を増やすべきだと主張した。

中国人民日報系の英字メディア「グローバル・タイムズ(Global Times)は21日付の記事で、最近韓国が推進中の半導体メガクラスター構築を取り上げて「韓国経済が半導体産業に大きく依存している点で、韓国が米国の半導体戦争が激化する中でも野心に充ちた半導体産業の拡張を発表したことは十分理解に値する」とした。

メディアは「生産が拡大すれば韓国は中国市場にさらなる輸出を図るかもしれない」とし「しかしそうするためには韓国が米国の政治的干渉が与える影響を引き続き緩和しなければならない」と伝えた。

続いて「中韓半導体産業間の互恵的協力がこれまで韓国企業に実質的恩恵をもたらしてきて、産業の発展に重要な機会を作り出してきた点は明らかだ」とし「反対に中国半導体を締め付けるために韓国を参加させようとする米国の強圧は韓国半導体企業に相当な損失を負わせている」と強調した。

あわせて、メディアは韓国が昨年31年ぶりに初めて対中貿易赤字を記録した状況と半導体の輸出急減を関連づけた。
(引用ここまで)


 中国の官営英字紙であるGlobal Times(環球時報)に「韓国は半導体における成長を求めるのであれば、アメリカの強制を排除して中国に半導体輸出をすべし」とのコラムが掲載されています。
 実際のコラムはこちら。

Eliminating US coercion is crucial for South Korean semiconductor expansion(Global Times・英語)

 ま、タイトルですべてが完結しているともいえるのですが。
 要するに「アメリカの勢力圏から抜けなければ、韓国のメモリ販売は芳しくなくなるだろう」ってお話。

 若干の脅しも入っていますね。「アメリカの政治的干渉を排除できなければ韓国の半導体産業と企業はアメリカの地政学的ゲームの犠牲になるだろう」と。
 これ、「韓国を犠牲にする」って主体はアメリカじゃないですからね。
 中国のメモリ工場がどうなっても知らんぞ、くらいのことを暗にほのめかしているわけです。


 ……っていうかですね。
 要するに効いちゃっているっていう自白でもあるんですね。

 7nmプロセスのAPUを自国で開発したとしていますが、その手法はかなりコストのかかるもので、量産効果があるものとはいえません。
 実際、ファーウェイのQingyun L540で採用されている5nmプロセスのAPUはTSMCが製造していたものをデッドストックでファーウェイが保有していたものであるとされています。

 あとAI関連チップでもA100、H100のデチューン版である中国向けA800、H800についても輸出禁止が行われ、それ以外でも「AI関連チップは中国に輸出するのであればすべて規制対象になる」って勢いでアメリカ政府は語っています。

NVIDIAが規制回避のために作った「H800」も規制へ - アメリカ政府の対中輸出規制がさらに強化(プラスデジタル)

 それどころかグラフィックボードのRTX4090ですら輸出を許さず、デチューン版のRTX4090Dが開発されているほどです。
 AI関連についてもだいぶ効いてて、同様にGlobal Timesはこんなコラムを出しています。

Nvidia's 'downgraded chips' for China not a long-term solution(GlobalTimes・英語)

 NVIDIAの中国向けチップが解決策であると思うな、とするもの。
 利益の20%を稼いでいる中国市場を失うつもりなのか、との脅しですが。
 NVIDIAからしてみたら「中国が自分たちでH100クラスのチップが作れるなら作ればいいじゃないですか」ともいえるわけで。
 デチューン版で大きく差をつけられている現状は効いている、とみて間違いないのです。

 さて、かるーく脅された韓国ですが、どのように対応するのか。
 中国工場にある半導体製造機器のメンテだけではなく、更新できると認識しているのかどうか。
 ちょっと楽しみではある部分です。

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韓国メディア「ついに中国に対して貿易赤字を計上することになってしまった。もう韓国には中国に売れるものがないからだ」

カテゴリ:中韓関係 コメント:(46)
中国に売るものがなくなった韓国、対中貿易収支が国交樹立後31年で初の赤字に【独自】(朝鮮日報)
今年の韓国の対中貿易収支が31年ぶりに赤字に転じる見通しとなった。韓国が中国と国交を樹立した1992年に10億ドルの貿易赤字を出して以来初めてだ。韓国の輸出の4分の1ほどを占め、韓国経済の一軸を担ってきた対中貿易の構図が変わりつつある。

 韓国貿易協会、韓国産業通商資源部によると、今年1~11月の韓国の対中輸出は1140億ドル、輸入は1320億ドルで、貿易収支は180億ドルの赤字だった。対中貿易収支は1月の39億ドルの赤字に始まり、年初来一貫して赤字だ。

 今年対中貿易で記録した180億ドルの赤字は、最大の原油輸入先であるサウジアラビアに対する224億ドルの赤字(1~10月)に次ぐ規模だ。2003年から18年までの16年間、08年を除き韓国に最も多額の貿易黒字をもたらした中国だが、今は立場が逆転した。過去2番目に大幅な対中貿易黒字を記録した18年には、韓国の貿易黒字全体の80%を占めるほど、中国は韓国にとって重要な貿易相手国だ。

 対中貿易収支が大幅な赤字に転じたのは、これまで韓国が輸出した中間財を加工して世界市場に売っていた中国がかなりの製品を自給することができるようになり、韓国が売る物がなくなったからだ。逆に韓国は急成長する電池市場に必須な素材、鉱物を中国から大量輸入しなければならない立場だ。さらに、対中輸出を支えてきた半導体の輸出も市況低迷で減少し、対中貿易収支が31年ぶりに赤字に転じた格好だ。韓国貿易協会のチョ・サンヒョン国際貿易通商研究院長は「半導体黒字という錯視効果に隠れていた対中貿易構造の変化が完全に表出した。今後新しい貿易の枠組みを構築すべきだ」と話した。 (中略)

半導体を除いた対中貿易黒字は18年の197億ドルから20年には25億ドルに急減した。21年には26億ドルの赤字に転落した。今年も半導体黒字を除けば、対中貿易赤字は300億ドルを超える。半導体黒字に隠れて対中貿易収支は黒字のように見えたが、他業種では既に赤字に転じていたのだ。
(引用ここまで)


 韓国が対中貿易で31年ぶりの貿易赤字を計上。
 31年ぶりのことだそうですよ。今世紀に入ってはじめてともいえるかな。

 原因は3つ。
 ひとつは中国の経済が再起動しないこと。リスタートするってかけ声だけでいつまで経っても本格的に立ち上がらない。
 内需が枯れきってて、ものがだぶついているのですね。
 そのせいで中国国内で売れないEVとか鉄鋼に輸出ブーストがかかっています。
 もうね、アホほど安く売り払ってますから。これ、しばらくしたら焼け野原になるんじゃないかってレベルでの安売り。

 もうひとつは半導体不況。
 中国にDRAMを売ったところでどうにもならないくらいに価格が安かったですからね。
 最近になってどうにかメモリ価格が上がってきましたが。黒字を稼げている唯一の部門が萎れたらそりゃ全体も赤字になるでしょうよっていう。  


 で、最大の問題が「韓国は中国になにも売るものがない」という部分。
 楽韓Webでは2010年くらいから「韓国にできることは中国にもできる」と言い続けてきました。
 超絶先端技術であれば無理ですが、韓国のやっていることであればだいたいできる。
 実際できた。
 結果として中国にDRAM以外に売れるものがなくなってしまったわけです。

 リーマンショック後の中国は脇目も振らずに内需拡大をしようと不動産関連企業に力を入れまくっていました。まあ、これがいまの不動産バブル破裂をなおのことひどい状況にした遠因なのですが。
 当時、韓国製の鉄鋼とか中国に向けて右から左に売れていたのです。おかげで一足早くに韓国は不況から抜け出すことができた(ように見えていた)のでした。

 で、リーマンショックから一息ついた時に中国も「これではいかん」となったわけです。
 中国は部材の内製に取り組んで、ほとんどこなせるようになってしまったわけです。
 半導体関連だけはダメですけどね。少なくともいまのところは。

 というわけで、韓国が対中国で赤字を計上したのは当然といえば当然。
 DRAM価格、中国のDRAM開発進捗度合いにもよりますが、ここからはこの構造があるていど固定されることになるんじゃないかなぁ……。

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韓国、中国に90%以上のシェアを握られている黒鉛、尿素、フッ酸、マグネシウム等を「2030年までに50%以下にする」ことを決定

「中国だけを信じていたらまた不意打ち」···核心資源の特定国への依存度も50%に下げる(毎日経済・朝鮮語)
政府が尿素と黒鉛をはじめとする核心資源の特定国への輸入依存度を2030年までに50%に下げる。 全世界のサプライチェーン再編で中国のような特定国家依存度が高い場合、危機が生じれば産業に大きな打撃を与えかねないので、あらかじめ備えるという意図だ。

産業通商資源部は13日、世宗ポスコフューチャーエム第2工場でパン・ムンギュ長官主宰で産業供給網戦略会議を開き、このような内容が盛り込まれた「産業サプライチェーン3050戦略」を発表した。

政府は輸入依存度と産業に及ぼす影響、代替可能性を考慮して「供給網安定品目」185品目を選定した。 昨年、平均70%だった特定国への依存度を2030年までに50%に下げるという目標を立てた。 これは14日に施行する「素材·部品·装備およびサプライチェーン安定化特別法」後続措置だ。

今回の対策を出したのは核心資源を特定国に過度に依存すれば、いつでも「供給網危機」に見舞われかねないという危機意識のためだ。 産業部関係者は「この間、世界が平らだという前提の下で効率性を中心に運営されていたサプライチェーンが切られた」として「危機が常時化された時代、危機を定数と考えて戦略を立てる時」と話した。
(引用ここまで)


 尿素、黒鉛等について中国依存が激しい韓国で、政府肝いりの会議が行われていまして。
 なんとかして中国依存から脱却したいとのことで、2030年までに単独国への依存を最大でも50%にしようとの意向を示したと。
 この記事に出ている中国にシェアを握られている資源等の一覧がひどいんですよ。

・マグネシウム塊 99.4%
・天然黒鉛 97.7%
・NCM前駆体 97.0%
・無水フッ酸 96.1%
・人造黒鉛 94.5%
・車両用尿素 90.3%

 ……ひどくない?


 NCM前駆体はニッケルコバルトマンガンで二次電池の正極材料ですね。
 天然黒鉛と正極材料を握られている状況。
 そういえば中国から黒鉛の輸出規制が行われるって報道があってすぐに韓国の二次電池メーカーの株価が下がってましたね。

韓国企業、中国の「黒鉛の輸出管理強化」の一言で電池関連企業の株価が一気に下落……中国の材料輸出管理強化は功を奏するのか?(楽韓Web過去エントリ)

 あとアメリカからは「中国の持ち分が25%以上の合弁企業は中国企業と見なしてIRA(インフレ削減法)の補助金支給対象から除外するね!」ってやられています。

中国持分25%以上の合弁会社、補助金対象外ににバッテリー業界追加負担懸念(聯合ニュース・朝鮮語)

 アメリカからは「中国の手先」扱いされて、中国からは「手先になれ」と材料の輸出規制で迫られている。
 これまでの韓国の振る舞いがまんま評価されている、ってことです。

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