「(尹錫悦大統領の発言は)到底受け入れられない。厳重な憂慮と強烈な不満を提起する」
米中戦略競争の「最前線」である台湾問題について、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が19日のロイター通信とのインタビューで、「力による現状変更に反対する」、「(この問題は)北朝鮮問題のように地域の次元を越えた世界的な問題だ」と述べた発言に対し、中国は4日間にわたって強い反発を示している。 (中略)
「グローバル・タイムズ」などの中国官営メディアも「韓国外交の国格が粉々になった」という社説をウェブサイトの最上段に載せ、「台湾問題に対する韓国の誤った認識がこれほどだったとは知らなかった」と指摘した。
中国が韓国に対して鋭い批判を繰り返すのは、26日の韓米首脳会談を控えた敏感な状況で飛び出した尹大統領の発言が、台湾問題について中国の引いた「レッドライン」を越えたと判断したためとみられる。 (中略)
尹政権のこのような動きがどこへ向かうかは明らかだ。冷戦解体からのこの30年あまりの間、韓国が享受してきた繁栄の土台となった「米中バランス外交」の廃棄と「韓米日3カ国同盟」による中国封鎖だ。北京のある中国人消息筋は「中国はこの発言を見て、韓国がさらに米国側に立ったものと受け止めている」とし「まもなく行われる韓米首脳会談の結果を見守ったうえで、具体的な対応を取るだろう」と述べた。
(引用ここまで)
左派紙ハンギョレの北京特派員による「ユン・ソンニョル大統領の外交にもの申す」コラム。
「これまでうまくいっていたバランス外交を破棄し、アメリカに傾倒するとはなにごとだ!」という主旨ですね。
THAADミサイルに関する三不も形骸化し、ムン政権下では有名無実となっていた米韓合同軍事演習も再開し、台湾情勢に口を出すようになった。
中国に対抗する様が見え見えではないか、と。
……いや、韓国ってアメリカの同盟国じゃなかったっけか。
まあ、彼ら左派にとっては「自主国防」、すなわちアメリカとの軍事同盟を脱して独自の国防力を持つことは念願のひとつなので非難するのも分からないでもないのですけどね。
うまくいっていた要因のひとつとしてハンギョレが挙げている「三不」ですが、あれは主権の放棄ですからね?
当時から楽韓さんも「なんで嬉々として主権放棄してんの。乙巳条約ってあんな感じで結んだんだろうな」と述べていましたし、当時の大統領特別補佐官であったマクマスター氏も「韓国がそれらの領域で主権を放棄するとは思えない」と言いながらも、三不が実質的な主権放棄であることを認めてました。
バランス外交ではなくて、主権を差し出すことで中国にお目こぼしをいただいていたにすぎない。
まあ、バランス外交、あるいはバランサー外交は20年前のノ・ムヒョン政権時代から言われ続けてきたことではあります。
その後のイ・ミョンバク政権もパク・クネ政権でも同様に「バランス外交」を標榜してきました。
パク・クネ政権時代のユン・ビョンセ外交部長官(外相に相当)はAIIB加入について「我々の外交力はハイレベル」「アメリカ、中国の双方からラブコールを受けている」と語り、ムン・ジェイン政権時代の駐米大使による「我々は選択を強いられるのではなく、選択できる立場になった」なんてコメントも同様の「バランス外交の成果を誇る」ものといえるでしょう。
ちなみに楽韓Webでは「AIIBに入るな」「THAADミサイルを配備せよ」とするアメリカと「AIIBに加入せよ」「THAADミサイルを配備するな」とする中国にはさまれた韓国の様子を見て「まさかこんな状況を『我々はモテモテだ』とか思ってないよね?」と述べていたりしました。
上記のユン発言のわずか2週間前のことです(笑)。
むしろ、こうしてどっちつかずでやってきたことの歪みの代償を払っているのがユン大統領なんだよなぁ。
数十年来、インフラやその補修に投資せずにやってきた結果をいま様々な結果で支払っているのと同じことですわ。
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