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カテゴリ:セウォル号沈没事故の記事一覧

セウォル号の特別捜査、9回目が終了。「捏造はなかった」との結論に遺族会からは「ちゃんと調査しろ」「情けない」と失望の声……まだまだ追加調査をやる模様

特検の説明に「情けない」と失望を表明したセウォル号遺族たち(中央日報・朝鮮語)
セウォル号惨事真相究明のために発足した特別検察チーム(イ・ヒョンジュ特別検察官)が90日間の捜査の末証拠操作疑惑事件の両方を無嫌疑とする結論を下すとセウォル号遺族が反発している。捜査結果発表記者会見に出席した遺族側は「捜査の結果が不十分である」と特検と攻防を交わした。 (中略)

ユ委員長はまた「そもそも気になったCCTVがなぜ消えているのか、事故当時の映像がなぜ記録されなかったのかについては全く答えがされていない」と指摘し、「特検だけが一人で自信を持って結論を述べているように、最も重要な被害者が同じように自信を持って結論を下すことができなければならないはずだ。このような部分が保証されていなかったのが非常に残念だ」と述べた。

これに対して特検は質疑応答の時間のほとんどを遺族の質問に答えをしながら提起された疑惑に反論した。特検側は「十分に調査し、調査した。不十分な部分は持っていないだろうと確信している」と強調した。続いて「是非、今回の捜査で関連疑惑が解消なったことを願う」とし「何よりも黙々と支えになってくれた惨事遺族の方々に感謝の挨拶と一緒に深い哀悼の意を伝える」と述べた。

先立って昨年9月に「加湿器殺菌剤事件及び4・16セウォル号惨事特別調査委員会」(社惨委)は、裁判所に証拠として提出された年月号内部CCTVとDVRが操作されたという疑惑を提起し特検を要請した。社惨委はセウォル号の惨事の直接の原因と関連したCCTV映像が上書き方式で操作され、これを保存したDVRも回収過程で偽物と切り替えたという疑惑を提起した。
(引用ここまで)


 今回で9回目となるセウォル号の特別捜査が結果発表を行いまして。
 今回も今回とて「嫌疑なし」で終了。
 CCTVは防犯、監視カメラ。DVRも映像記録装置のことで。
 防犯カメラの映像は撮影されていなかった、DVRの映像記録も回収の過程で偽物とすり替えられたとの疑惑を出してきたのですね。

韓国特別検察官、セウォル号沈没事故の証拠改ざん疑惑について「ねつ造はなかった」と 結論(Wow! Korea)
 特検は2014年6月22日に回収されたセウォル号のDVRは、ねつ造本ではなく原本だと判断した。特検は「捜査の結果、DVRが2014年6月22日以前に回収されたという証拠は見つからなかった」とし、「DVRがすり替えられたとする根拠も見つからなかった」と説明した。

 続いて「誰かが密かにセウォル号に侵入し、視野の確保が非常に難しい水中で、セウォル号の3階にあったDVRを回収したとは考えにくい。誰にも気づかれず抜け出すことも極めて難しい」と付け加えた。

 また、特検は「ねつ造の痕跡としていわれた特異現象は、データ復元の過程で一般的に発生しうる現象」と明らかにした。特検は「国立科学捜査研究院から、このような『現象はねつ造の根拠と見ることは難しい』という趣旨の鑑定結果を受けた」と説明した。
(引用ここまで)

 今回の特別検察官であるイ・ヒョンジュ検察官は与党に近しい人物なのだそうで。
 そんな人物であっても「捏造はなかった」としか言いようがない、というわけです。

 社惨委は遺族側の意向を汲んでいる与党側の組織。
 与党側はなんとかして「パク・クネ政権で行われた恐ろしい陰謀」を成立させたいし、それができないにしても「なんらかの陰謀があった」ということにしたい。
 なんとかして政治利用したい。事故の骨までしゃぶり尽くしたいのです。

 そして、遺族側には300人もの犠牲者が単なる事故で死んだことにしたくない、という意向があるのですよ。
 ここに陰謀論の入りこむ余地があるのでしょうね。
 ただの事故ではない、陰謀の力で殺されたのだっていう。一種の願いとも言っていいかな。
 毎年夏になると亡霊のように出てくる日航機123便関連の陰謀論とかも同様。
 まあ、どこでもあることではあるのでしょうが。

 韓国の場合は執拗すぎる。
 今回も遺族側が特別検察に対して「ちゃんと捜査したのか!」と噛みついている。
 ここまでの特別捜査は「事故防止をまともにやらなかった」といった嫌疑で多くの逮捕者を出してきましたが。
 こういった「当時の保守政権による陰謀で沈められた」という話については、何度捜査しようとも同じことなのでしょう。それでもまだやる気満々っぽいですけどね。

 ちなみに光化門広場を不法占拠してきた事故の展示空間ですがソウル市長が替わったこともあって撤去されました。
   広場そのものをリニューアルするとの名目だそうですが。
 世論調査では「もうあんな展示はいらない」という意見が優勢とのこと。

光化門広場へのセウォル号追悼空間の再設置 反対意見が優勢=韓国(聯合ニュース)

 こうして事故そのものも記憶から風化していくのですよ。
 その中で韓国がなんらかの教訓を得られていればいいのですけどね。

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韓国検察「セウォル号沈没事故で乗客を救えなかった海洋警察は業務上過失致死傷!」→裁判所「さすがにそれは無理……無罪で」

「セウォル号救助失敗」金錫均元海洋警察庁長、一審無罪…「業務上過失の認定困難」(朝鮮日報)
 2014年4月16日に起きたセウォル号沈没事故の当時、適正な救助作業を行わず、数百人を死傷させたとして、業務上過失致死罪で起訴された当時の海洋警察幹部に対し、一審のソウル中央地裁は無罪を言い渡した。

 起訴されていたのは、金錫均(キム・ソッキュン)元海洋警察庁長、キム・スヒョン元西海地方海洋警察庁長、キム・ムンホン元木浦海洋警察署長ら11人。ソウル中央地裁は金錫均元庁長ら10人の業務上過失致死罪、業務上過失致傷罪について、無罪とした。

 同地裁は「被告が救助隊の現場到着前にセウォル号と交信し、状況を把握・伝達したり、救助計画を立てたりして、乗客を退避させられなかった点について、業務上過失があったと認定するには不十分」と判断した。 (中略)

 同地裁は救助隊が現場に到着した後の状況についても、セウォル号の船長と乗務員の虚偽報告による責任が大きく、被告らの責任を問うのは難しいと判断した。 (中略)

 ただ、初動措置の不手際を隠すため、虚偽の報告書を海洋警察庁に提出したとして、虚偽公文書作成、虚偽作成公文書行使の罪で、キム・ムンホン元木浦海洋警察署長に懲役1年6月、執行猶予3年、イ・ジェドゥ艦長には懲役6月、執行猶予2年の判決をそれぞれ言い渡した。判決は「2人の犯行は海洋警察全体に対する国民的不信と誤解を呼びかねない点で悪質だ」と批判した。

 セウォル号事件特別捜査団と遺族は一審無罪の判決を不服として控訴することを決めた。特別捜査団は「納得できない。控訴する予定だ」とする声明を発表した。
(引用ここまで)


 セウォル号沈没事故当時、救助を担当する海洋警察の幹部が逮捕され、裁判にかけられていたのです。
 罪状は業務上過失致死傷。
 海洋警察が救助できなかったことが業務上過失致死傷にあたるのだそうですよ。
 ちなみに海洋警察は解体されてます
 セウォル号については関わったすべての人間が悪、積弊勢力として裁かれようとしているのです。

 ただ、さすがに「救助できなかったことに責任がある」とする話は無理筋で、無罪判決が出ました。
 この判決ひとつとっても、ムン・ジェイン政権が司法を思いのままに操れるということはないとはいえるのでしょうけども。
 チョ・グクの妻への実刑判決なんかも例とできますかね。
 司法に対してあるていどの筋道はつけているものの、思い通りの判決を出させるまでには至っていない……という感じかな。

 ただ、遺族会がまたぞろ出張ってきて「納得できない、控訴する」って言い出しているっていうね。
 9回目の再調査と同様、セウォル号遺族会の意向で変わってくる部分はあるのでしょう。
 正義連(旧挺対協)がハシゴを外されたいま、国内最強の団体は民主労総でその次がセウォル号事故遺族会かな。
 

韓国与党「セウォル号特別捜査団が新事実を発見できなかったのは検察総長のせいだ!」「新たな特別捜査団を作らなければ」……いつまででもセウォル号の捜査が続く理由とは?

8回目調査も嫌疑なし、セウォル号特捜団の結論は「尹錫悦のせい」と主張する与党(朝鮮日報)
 検察のセウォル号惨事特別捜査団(特捜団)が旅客船「セウォル号」関連の疑惑の大部分に対し「嫌疑なし」と結論づけたことについて、韓国与党・共に民主党が「尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長責任論」を主張し始めた。「第2特別捜査チーム」の検討を求める声も出ている。

 「セウォル号弁護士」として知られる民主党の朴柱民(パク・チュミン)議員はこの日、MBCのラジオ番組に出演し「(捜査結果には)非常に当惑している。怒っている」と述べた。朴議員によると、特別捜査チームが立ちあげられる際、尹総長は朴議員に直接電話し「捜査チームのリーダーという気持ちで取り組みたい」との考えを伝えたという。その上で朴議員は「捜査過程を見ると、本当に捜査を行う意思があるのか疑問に思うほどだ」として「書面での調査や、最初から調査をしないやり方で終わった」とも主張した。

 朴議員は「昨年、秋美愛(チュ・ミエ)法務部(省に相当)長官と捜査結果への懸念を事前に共有した」として、特別捜査チームの捜査結果報告を見た上で、捜査チームの再構成について検討する考えだったことも伝えた。朴議員はさらに「朴範界(パク・ポムゲ)法務部長官候補者と(第2捜査チーム構成問題について)改めて協議しなければならない」との考えも示した。今後再びセウォル号疑惑に対する捜査を行うということだ。パク・サンヒョン常勤副スポークスマンは「今後は特別検事によってセウォル号の真実を究明しなければならない」と述べ、民主党のイ・ウォンテク院内副代表もこの日「検察がまともに調査し捜査したのか疑問だ」と発言し、盧雄来(ノ・ウンレ)最高委員は「今回の捜査結果は検察発の社会的災難」と批判した。
(引用ここまで)


 ……ね?
 昨日、「彼らは望む結論が得られるまで、どこまででも捜査を続ける」という話をしました。
 セウォル号こそが現在のムン・ジェイン政権を生み、与党を躍進させるきっかけになったわけですからね。ありえないほどの恩恵を得ているわけです。
 さらに決定打を欲しがっているのです。

 彼らが主張するようにセウォル号がパク・クネ政権によって沈められていたら。
 もしくは、救助の遅れがパク・クネ政権の失敗であることが証明されたなら。
 あるいは、なんらかの隠蔽工作がパク・クネ政権で行われていたのなら。

 船舶識別装置が操作されていたら。
 あるいは韓国海軍の潜水艦と衝突していたのなら。

 もうこれは完全に決定打。
 たとえソウル市、釜山市、忠清南道で、共に民主党に所属している知事がすべてセクハラで告発されても。
 ムン・ジェインがK防疫アピールでウイルス入手で後手を踏んでも。
 不動産価格がまったく下落する様子を見せなくても。
 保守政権は今後30年は生まれなくなるでしょう。

 でもま、セウォル号沈没事故がそんな話ではないことは確実なので「疑惑」として活かし続けることしかできない。
 疑惑を活かし続けるだけでもそこそこの効果はありますからね。
 今回の特別捜査団が結果を出せなかったのは、ユン・ソンニョル(ソクヨル)検察総長の悪巧みによるものとすればOK。
 性悪な検察総長が真実を隠蔽したのだ、と。

 12月に結成された特別検察官の捜査が終わっても延々と続くことでしょう。
 彼らの求める「真実」にたどり着くまで。

みんな大好き陰謀論
内藤陽介
ビジネス社
2020-09-02

セウォル号の特別調査団「提起されている疑惑はどれも事実ではなかった」→「こんな結論は認められない」→なお捜査継続へ

セウォル号事件捜査、6年9カ月かかって結論 「大統領府の外圧なかった」(中央日報)
2014年に韓国で起きたセウォル号沈没事故を調べている特別捜査団(以下、特捜団)は、セウォル号惨事関連の捜査外圧、不法査察疑惑が提起されていた朴槿恵(パク・クネ)前大統領と金淇春(キム・ギチュン)元大統領秘書室長、黄教安(ファン・ギョアン)元法務部長官などを無嫌疑処分とした。残りの捜査対象疑惑事件もほぼ嫌疑なしで終結した。

特捜団は事件発生から6年9カ月、特捜団構成から1年2カ月経過した19日、このような内容を骨子とする最終捜査結果を発表した。特捜団は4回の検察捜査にもかかわらず、セウォル号関連の疑惑が払拭できていないことを受け、2019年11月に尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の直属組織として立ち上げられた。

その間、4・16セウォル号惨事家族協議会など遺族の告訴・告発事件と社会的惨事特別調査委員会捜査依頼事件など大きく17件の事件を捜査してきた特捜団は、このうち13件を無嫌疑処分とし、2件を別の捜査機関に移行した。
(引用ここまで)


 セウォル号沈没事件について2019年の年末から捜査を行っていた「特別捜査団」なる組織がありまして。
 この時点で4回の捜査が行われていたのですが、遺族会が納得するような結論が出ていなかったために設立された捜査団です。
 で、1年2ヶ月の捜査を終えて「提示されていた疑惑はどれも存在していなかった」と結論づけて終了しました。

 あ、ちなみに去年の年末に特別検察官が新たに捜査するよう、国会で決議されて9回目の捜査が行われることが決定していますが。
 これとはまた別口です。

 ……まあね。
 要するにパク・クネが関与してセウォル号は沈められた、もしくはパク・クネが捜索を妨害したから被害者は生還できなかったというような結論以外、遺族会は認めないでしょうから。
 これからもこうして捜査し続けることなのでしょう。

 ちなみに取り上げられた疑惑のひとつである「セウォル号の船舶識別装置は操作されていた」というものがありまして。
 それを唱えていたのはキム・オジュンなるジャーナリスト。
 なんでもこの人物が言うには「セウォル号は故意に沈没させられ、船舶識別装置は操作されていた」そうで。
 その主旨を説明するための映画まで撮影、公開してるのだそうですわ。

金於俊「セウォル号故意沈没説」映画…制作費9億ウォンで売上44億ウォン(朝鮮日報)

 ちなみにこのキム・オジュンという人物はタレントで、ラジオ等に自分の番組を持っています。
 やっていることは現政権のコバンザメ。
 正義連元理事長のユン・ミヒャンが元慰安婦への寄付金を横領している等の疑惑に対して、この人物のラジオ番組にだけは出演して「自分のマンション購入資金に寄付金を回したという話があるが、前に住んでいたマンションを売ってから買ったのでなにも問題ない」という釈明をしたことがあるほどです。
 ちなみにこの釈明も大嘘だったことが判明しています。

 それ以外にも「(保守政党の強い)大邱はコロナ禍でもう損切りするしかない」とか「正義連を糾弾している元慰安婦があんな話をするわけがない。誰かが背後にいて操っている」とか言っているような人物です。

 イ・ミョンバク時代に我が世の春を謳歌していた「韓国広報専門家」を自称するソ・ギョンドクという人物がいました。
 あれの左派バージョンですね。
 ちなみにソ・ギョンドクは財団法人を設立して、イ・ミョンバク政権に近しい人物の天下りを引き受けるなどしてやりたい放題をやっていたのですが。
 パク・クネ政権時代には国情院とのつながりがあったことが判明して、ムン・ジェイン政権では冷や飯を食らわされています
 ここのところ、各国のサッカー協会等に「旭日旗を使うな」というメールを送るだけのメーラーデーモンと化しているのはそんな理由があったりします。

 ま、どちらにせよこうした陰謀論というものは、ハマる人間はとことんハマってしまうわけです。
 で、こうしたやっすい映画とか作って「これが真実だ!」って仲間内だけで盛り上がっているっていうパターン。
 ちなみにキム・オジュンはソウルの高級住宅地に一軒家を持っているそうで。
 陰謀論にはまった連中を栄養としておいしくいただいている、というわけですね。

 なお、今回の捜査で「船舶識別装置が操作されていたという事実はない」と結論づけられていますが、これについても遺族会の意向を受けて設立が続けられている「セウォル号社会的惨事特別調査委員会(社惨委)」は「既存の論拠を繰り返しているだけだ」と批判しているそうです。
 どうしても望んだままの結論がほしいのでしょうね。

韓国与党「セウォル号沈没を再調査せよ!」……なお、これで9回目の調査

既に8回捜査・調査したセウォル号、特別検察官がまた捜査へ(朝鮮日報)
 セウォル号沈没事故(2014年4月16日)に関連して、今度は特別検察官の捜査が始まる。韓国の与党「共に民主党」は10日、国会本会議で「4・16セウォル号惨事証拠資料の操作・編集疑惑事件真相究明のための特別検事任命国会議決要請案」を通過させた。この案は社会的惨事特別調査委員会(社惨委)が今年9月、「従来の検察捜査は不十分」として国会に要求したもの。2014年以降行われてきた検察の捜査や国会の国政調査、監査院の監査、セウォル号特別調査委および社惨委などに続き、9回目の調査に入るわけだ。

 セウォル号特別検察官が発足するのは2014年に常設特検法が施行されて以降、今回が初めて。現行の特検法によると、国会が政治的中立性や公正性を理由に特別検察官の捜査が必要と本会議で議決すれば特検捜査の対象になる。民主党は前日、社惨委の活動期間を延長する法案も通過させた。

 セウォル号特別検察官の捜査対象は▲セウォル号内部の監視カメラのデータ操作があったかどうか▲韓国海軍・海洋警察によるセウォル号のDVR(映像録画装置)回収過程を巡る疑惑▲DVRに関連する青瓦台(韓国大統領府)など韓国政府の対応の適正性-などだ。セウォル号惨事の原因や救助過程でのミスといった事件の本質よりも、資料操作疑惑を調べるために特検をやる、というわけだ。既に昨年発足した大検察庁(最高検に相当)の「セウォル号惨事特別捜査団」が捜査中の事案でもある。民主党の関係者は「検察から捜査結果がきちんと出てこないので、特検をやろうということ」と語った。 (中略)

既に七つの機関が8回にわたって調査・捜査した事案を、今度は「特検」まで立ち上げて9回目の調査に乗り出すのだ。本来ならこの日に終了していたはずの社惨委も、活動期間が1年6カ月延長された。

 民主党は、セウォル号関連の犯罪の公訴時効も停止した。セウォル号事故発生から7年となる来年4月には、関連の公訴時効が大部分満了する。そこで法改正により、社惨委の活動期間が終わる2022年6月まで公訴時効を停止させたのだ。
(引用ここまで)


 与党の共に民主党がセウォル号沈没事故をさらに調査する、と言い出しました。
 これまで8回調査が行われてきたにもかかわらず、さらに調査。
 そして時効も停止。
 要するに自分たちの望む結果が出るまで調査し続けるという宣言です。

 セウォルXなる「沈没検証ビデオ」がYouTubeにアップされた際に「これが本当の真実だ」みたいな騒ぎになりました。
 いわく、韓国海軍の潜水艦と衝突したのだ、という陰謀論。
 当時のソウル市長であったパク・ウォンスンが「ついにやってくれた」「ジャロ様、ありがとうございます」みたいに言及してましたっけ。

 セウォル号を解体せずに引き上げさせたのも、この陰謀論が常につきまとっていたから。
 「当時の政権のミスで沈没し、若者をはじめとして数百人が犠牲になったのだ」という物語を成立させるためだったのですね。
 ま、そんな陰謀論は成立せず、引き上げても船体には大した傷もなしでした。

 それでもこうして調査を継続させるということは、まだ「セウォル号物語」はカードとして有効だということですね。
 「真実を探求するのだ」ということで、陰謀論を活かし続けている。
 「セウォル号沈没はパク・クネ政権の責任なのだ」と話を活かし続けるための方策、ということです。
 あの時の気分を国民に思い出させるということだけでも有効なのではないでしょうかね。

セウォル号沈没から5年、韓国は安全になったのか? 何のための大騒ぎだったのか……答えはもちろん、NO(おっさんホイホイ)

【コラム】セウォル号を巡る三つの質問(朝鮮日報)
 われわれが自らに投げ掛けるべき質問は三つだ。一つ目は、韓国はあの時以来、安全になったのか。現政権が発足してからも、KTXが脱線し、銭湯や介護病院からは火災が発生し、ソウル都心の公立幼稚園では大きな問題が浮き彫りとなった。二つ目は、だとすればこれまでの5年間、われわれは一体何をしてきたのか。何度も行ってきた論議と調査と捜査と裁判は、一体何のためのものだったのか。

 旅客船「セウォル号」の5周年追悼行事を終え、韓国社会について詳しい英国人ジャーナリストが朝鮮日報に「セウォル号の追悼施設を光化門広場に建てるのは適切ではない」という記事を寄稿した後、KBS放送の記者から「原文を見せてほしい」という電話があったという。同ジャーナリストが「原文を他のメディアに送ってもいいか」と了解を求めながら、投げ掛けてきた質問がある。「ところでKBSは、なぜこんなことをするのか」

 「なぜKBSはこうなのか」。これは英国人ではなく、われわれ自ら「なぜこのようになったのか」を問い掛けなければならない内容だ。5年間にわたってわれわれはこの三つの質問に答える代わりに、他の話題にばかり夢中になってきたのではないか。
(引用ここまで)

 これ以前の2ページではセウォル号の遺族がいた体育館でこんなことがあったという話なのですが、かなりの胸くそなのでスルーしておいたほうが身のためです。
 この教頭先生の話はセウォル号の遺族会がどのような性質のものであったか、語り継ぐに値しますけどね。

 で、記事タイトルになっている「セウォル号を巡る三つの質問」ですが。
 事故発生当時から楽韓Webで何度も何度も語っていたように、セウォル号は韓国社会の映し鏡である以上、変化があるわけがないのですね。
 事故そのものの影響でなにかが変わるわけがない。市民意識としては数十年経過すれば多少は変化するのでしょうが、それはどこでも普遍に見られる変化。
 5年やそこらでドラスティックに変わるわけがない。
 SRTの非常口ひとつ見たってそれは理解できるでしょうよ。

 KBS云々についてはムン・ジェインがいくら「積弊清算」とか叫んだところで、意味がない。
 やっていることは利益誘導先のつけかえに過ぎない。
 社会が清廉になったわけでも、マニュアルが遵守されるようになったわけでもない。
 セウォル号をあくまでも外のことであると大半の韓国人は認識しているのでしょうが、韓国人の中には多かれ少なかれセウォル号があるのですよ。
 そのセウォル号と向き合わないかぎり、社会が変革されるようなことはないでしょうね。
 「ろうそく革命」なんて存在せず、ただの政権交代があっただけなのですよ。
 ちなみにこの後、KBSはニュースバラエティ系の番組で「光化門広場にセウォル号の追悼施設を作るのはふさわしくないとか言っている外国人がいるけど、なにも韓国のことを知らないヤツがこんな妄言を垂れ流しているだけだ」「そうだそうだ!」という扱いになっていたそうですわ。
 実際には韓国のことをよく知っている人物による提言だったのですけどね。

 

【聖遺物】セウォル号を原型のまま展示し、追悼空間にする模様……7000トン近い沈没船を原型展示するんですって

衝突跡見えない歳月号...どこでどのように保存するのか(YTN・朝鮮語)
旅客船沈没:船体に痕跡なし、消えた「潜水艦衝突説」(朝鮮日報)
セウォル号の船体調査委は遺族協議を経て、世論調査と国民公論化作業を進めることにしました。
来月一ヶ月間、この過程を経た後、7月中旬頃の場所を定める予定です。

【イ・ジョンイル/セウォル号船体調査委事務局長:船体保存処理は、家族の意思と国民の世論を高めることが重要な課題であるため、6月には世論調査と国民公論化作業を進めて……」

保存形態では、大きく3つの案が議論されています。
まず船体を丸のままに内部全体を追悼空間として活用すること。
場所と予算の確保がネックです。

客室エリアなど船体の一部や、アンカーとプロペラなどの象徴だけ切り離し保存するのも方法です。
場所と費用負担は少ないが、船体が毀損されるというのが問題です。

まだ確定してはいませんが、船体調査委はこれらのうち原型保持を有力に検討するものと把握されています。
船体をそのまま置いて内部の一部を復元し追悼空間として活用するようです。
(引用ここまで)
 セウォル号が陸上に真っすぐ置かれたことで、沈没原因として浮上した「潜水艦沈没説」などのうわさは成立しなくなった。左右の表面が見える状態になった船体には、肉眼で確認しても外部からの衝突の痕跡はなかった。(中略)外観の観察により、潜水艦衝突説は事実上消えた格好だ。

 にもかかわらず、船体調査委は外部衝突説について再調査を行うと表明した。キム・チャンジュン委員長は「左舷に明らかな衝突の痕跡は見えない」としながらも、「潜水艦の衝突とアンカーによる衝突の可能性を科学的に調査する」と説明した。4月21日に木浦新港を訪れた李洛淵(イ・ナクヨン)首相は「セウォル号の船体を真っすぐに立てれば、新たな疑惑がせきを切ったように飛び出すはずだ」とし、セウォル号の事故原因をめぐるうわさをあおるような発言を行った。これに先立ち、船体調査委も4月13日、外部から何らかの力が加わったとする「外力説」を公式討議案件とし、論争をあおった。

 政府のあいまいな態度がうわさを生んだと指摘されている。潜水艦衝突説とアンカーによる沈没説が代表的だ。潜水艦沈没説は昨年3月、セウォル号の破損部位が明らかになった段階で事実ではないことが判明した。それでも衝突説を唱えるネットユーザーは、船体調査委による再調査について、「セウォル号の沈没原因について大逆転が起きる」との主張を変えていない。

 4月12日に封切られた映画「その日の海」が指摘するアンカーによる沈没説も可能性は低くなった。映画はセウォル号の左側のアンカーが海底に引っ掛かったことで急に針路が代わり、左舷に貨物が偏り、船体が左に傾いて沈没したと主張する内容だ。しかし、左舷のアンカーの出入り口には変形した形跡がなかった。アンカーが下り、船を引っ張ったとすれば、出入り口に変形が生じるというのが専門家の見解だ。
(引用ここまで)

 セウォル号を立たせて、いわゆる航海をしていた状況での捜索をするとのことでしたが。
 それよりも注目されていたのは左舷に潜水艦と衝突した傷があるかどうかでした。
 当然というか案の定というか衝突跡のようなものは見受けられず、現政権の望みもはかなく消え去ったわけです。

 で、今後の焦点ですがセウォル号をどうするか、ということになるとのこと。
 以前から遺族会は「セウォル号は聖遺物である。切断しての引き上げなどまかりならん」「捜索のための切断も許されない」などと語っていました。
 その際に証拠隠滅の恐れがあるからだと語っていたのものでしたが。

 遺族らの声を受けて実際に原型保存する方向だとのことですよ。
 問題は全長146メートル、全高14メートル、6825トンのセウォル号をどうやって保存維持していくのかってことですよ。
 全長30メートル弱、44トンの北朝鮮の工作船である長漁3705ですら保存場所に四苦八苦していたことを考えると、平昌の競技場並みのお荷物になると思いますけどね。
 野ざらしにしておけばあっという間に錆びていくことでしょうし、覆うような建物を建てればその維持管理費も嵩む。

 セウォル号遺族会は財閥の会長家族並の権力を手に入れて、運転手に暴行を働くというモンスターと化している連中です。
 遺族会は現在の政権とも近しいことですし、遺族会の要求を受け入れるのでしょう。
 船の科学館で展示されている初代宗谷の2.5倍のトン数がある船を原型展示なぁ……。さすがに海に浮かべるわけにもいかないでしょうしね。
 まあ、韓国の造船技術だったらちょちょいのちょいで終わりでしょう。がんばれー(棒読み)。

ディス・イズ・コリア 韓国船沈没考 (産経セレクト)
室谷克実
産経新聞出版
2014/7/18

韓国の現政権がいまさらセウォル号を巨大クレーンを用いて直立させ、捜索のやり直しをしなければならない理由とは?

セウォル号船体立てる「カウントダウン」突入... 海上クレーン到着(聯合ニュース・朝鮮語)
横たわっているセウォル号の船体をまっすぐに立てる作業が10日を目標にカウントダウンに入った。
(中略)

セウォル号船体調査委員会と直立工事契約社現代三湖重工業は「ティデイ」(D- Day)を五日後の10日にした。
現代三湖重工業はセウォル号船体を去る2月21日の大型移動用の特別な装備であるモジュールトランスポーター(MT)に載せて作業が容易な木浦新港埠頭の端60m地点に移した。 (中略)

8日までのワイヤ接続などの準備作業を完遂する予定である。
9日には3時間ほどリハーサルをして問題がないか確認する。
滞りなく準備が完了したら、「ティデイ」の10日午前9時直立作業を開始する。
状況に応じて、9日にリハーサルですぐに建設をしようとする可能性もある。

海上クレーンで水平・垂直ビームに異なる力を適切に加えセウォル号を持ち上げるようになる。
35度、40度、50度、55度、90度など計6段階に分けて順番に返し、完全にまっすぐな状態に起こす予定だ。
(中略)

セウォル号船体調査委員会はセウォル号の船体が直立した状態で調査を再開し、機関室などで行方不明児童の調査と事故原因の調査を継続する予定である。
(引用ここまで)

 ああ、この作業があるから先日、イ・ナギョン首相から「船体を立てれば新たな疑惑が~」という発言があったというわけか。
 わざわざ巨額の費用をかけてまでやるようなことなんですかね……。
 そもそも引き揚げ作業の際にも接岸時に傷をつけたと大騒ぎしたり、捜索作業を楽にするための切断もまかりならんとか言っていたのは「作業中に事故の真相を隠蔽するつもりだ」みたいな言いがかりをつけるためなのです。

 ある意味、セウォル号が沈没したおかげでムン・ジェインは政権の座に着いたということもありまして。
 亡くなった高校生に対して「ありがとう」と記帳した、なんて話もありましたっけね。
 ま、そんなこんなで「徹底的な再調査」を遺族会に対して約束しています。一度は解散したセウォル号特別調査委員会を3月には再結成させているのもその一環。
 で、記事中の船体調査委員会とやらが、先月から外部衝突説を唱え始めていまして。

セウォル号沈没原因に「外部衝突説」…正式調査への第一歩(ハンギョレ)

 どうあっても事故ではなく、セウォルXというビデオが述べているような「パク・クネ政権下で韓国海軍が起こした事件」であるというようにしたいのです。
 前政権下で隠蔽があり、それが7時間の空白の正体だったということが真実でなければならないのですね。 

 もう、それが真実でないと収まりがつかないところまできているとでも言うべきか。
 現政権にとっては最後の希望が船の左側壁なのです。
 ここを調べれば真実が明らかになるとでも言わんばかりに。
 ま、陰謀説を信じている人間に現実を突きつけても無駄なのですけどね。

陰謀論の正体!
田中聡
幻冬舎
2014/7/3