LNGカナダはカナダ西部ブリティッシュコロンビア州キティマット地域で開発中のLNG液化プラント施設だ。 プロジェクトの投資費は計400億ドルで、生産開始後40年間、施設を運営する予定だ。 今年第1四半期中にLNGトレイン(LNG生産設備)が竣工する。
韓国ガス公社はこのプロジェクトに5%の持分を持っている。 持分だけ生産物販売権限を持つが、ガス公社が確保した物量は年間70万tだ。 今年6〜7月に初のLNGカーゴ(貨物)が引き渡される予定であり、ガス公社の分の物量は8月頃に生産される展望だ。
資源開発業界ではこの10年間、海外資源開発に対する政界の「包丁さばき」が今回の投資の今後の期待収益を下げたと指摘した。 李明博政府が推進した海外資源開発事業に対して、その後、パク・クネ政権とムン・ジェイン政権で政治的に問題視し、負債削減を圧迫した。 ガス公社は政界圧迫に耐えられず持分を2014年4月5%、2018年5月10%ずつ順次売却した。 その結果、ガス公社のLNGカナダの持分は20%から5%に減った。
当初、20%の持分をそのまま持っていたなら、年間280万トンの物量を固定的に確保することができたわけだ。 これはガス公社が輸入する1年分のLNG輸入量3548万トン(2023年基準)の7.9%に当たる物量だ。 最近、LNGの1トン当たりの輸入価格が633.63ドルという点を勘案すれば、年間2兆5000億ウォンに達する輸入額を減らすことができた。
海外資源開発は政界干渉でこの20年間「ジェットコースター」に乗った。 日本はその間、資源開発領土を世界全域に広げ、韓国と資源開発率を2倍以上に広げた。 李明博 政府では「資源外交」という名前で投資の量的膨張に没頭し、公企業の不良が累積した。 その後、朴槿恵政府と文在寅政府は、前政権の実績に対する拒否感から、資源開発公企業の海外事業を事実上中断させた。
(引用ここまで)
ロシアによるウクライナ侵攻が行われてからこっち、天然ガスの確保は各国政府にとって急務といっても過言ではない状況になっています。
……各国、というか特に欧州にとってですが。
これまでパイプラインで運ばれてくるロシア産天然ガスが断絶。
湯水のように使ってきた天然ガスがなくなり、液化天然ガスを確保する必要に迫られているわけです。
ウクライナ戦争開戦直後ほどではありませんが、また最近になって天然ガス価格がじわじわと上昇しています。
ドイツ没落の原因のひとつでもありますね。
そんなこんなで天然ガスを確保しなければならないのですが、韓国の韓国ガス公社カナダのLNGカナダからの割当を確保しています。
一時期、工事の遅延もあったのですが今年半ばには出荷もできそうだとのこと。
国際合同プロジェクトであるLNGカナダは2011年の設立当初、以下のような持ち分となっていました。
・シェル 40%
・ペトロチャイナ 20%
・三菱商事 20%
・韓国ガス公社 20%
ところが上記の開発遅れなどで開発費が高騰し、新たにマレーシアのペトロナスが参画したのです。
で、三菱商事とペトロチャイナが5%ずつ持ち分を減らし、韓国ガス公社は15%を減らしてペトロナスに売却しています。
現在の持ち分はこんなところ。
・シェル 40%
・ペトロナス 25%
・ペトロチャイナ 15%
・三菱商事 15%
・韓国ガス公社 5%
これが決まったのが2018年のことでした。
三菱商事の解説動画もあったので置いておきますね。
ちなみにペトロチャイナ、三菱商事が5%ずつの売却であったにもかかわらず、韓国ガス公社が一気に15%も売却したのには理由があります。
イ・ミョンバク政権が行っていた資源外交を覆されたからです。
パク・クネ政権で5%を売却させられ、さらにムン・ジェイン政権でも目をつけられて10%を売却させられることになったのですね。
易姓革命の常とでもいうか。
特にムン・ジェイン政権では資源外交を目の敵のようにしていました。
ムン・ジェイン政権によってイ・ミョンバクの資源外交が糾弾される模様(楽韓Web過去エントリ)
政敵……というか、ノ・ムヒョンの仇討ちであった部分が大きいですかね。
まあ、イ・ミョンバクのやってきた資源外交がしょうもないものであったのも実際なのですが。
韓国資源外交、その敗北の歴史を一覧にしてみた(楽韓Web過去エントリ)
10年前ですらもはや敗北しかなかったわけですよ。
LNGカナダはそこそこ有望で本来だったら現在の4倍の割当があったはずなのに、わずか5%のみとなってしまった、と。
ちなみに採掘可能期間は40年以上ともされています。
恨み辛みで政治をするもんじゃないですね、と他山の石としましょう。
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