今回の決議は、2年前に採択された内容とはかなりの差がある。世界遺産委員会は2年前、朝鮮人強□動員に対する説明不足などを指摘し、異例にも日本に「強い遺憾」を示す決議をあげた。日本政府は2015年、朝鮮人強□動員を含む「歴史全体」を伝えていくと約束し、この約束に基づき2020年に産業遺産情報センターを設置した。ところが、強制動員犠牲者を追悼するはずの情報センターを遺産の現場から離れた東京都新宿区に作るなど、約束を履行する努力を疎かにし、世界遺産委員会はこれを指摘したのだ。
一方、世界遺産委員会は今回の決議で、日本が新たな措置を履行したと評価した。産業遺産情報センターの展示内容が一部変更された点に言及し、朝鮮人労働者を含めた情報が提供されていると判断。世界遺産委は、日本が約束を継続して履行することが重要であり、関係当事国(韓国)と対話するよう促した。さらに、これらの事項に関する進展状況を世界遺産センターおよび諮問機関が点検できるよう、2024年12月1日までに報告書を提出するよう日本に要請した。
(引用ここまで)
世界遺産に指定されている「明治日本の産業革命遺産」のうち、軍艦島こと端島についてユネスコの世界遺産委員会で決議が行われました。
草案として知られていたものがそのまま採択され、韓国メディアからは怨嗟の声が上がっています。
簡単に中味を見てみると「日本は軍艦島の情報を知らせるのに充分な措置を行った」と評価するもの。
韓国の主張も取り入れるなど両論併記の形をとってはいますが、日本側の「軍艦島では日本人と朝鮮人の扱いに違いはなかった」とする主張を取り下げもしていない。
2年前に「強い遺憾」を出されたことに比べると完勝といってもいいんじゃないでしょうか。
まあ、強い遺憾を出されたところで実際にはどうということもなかったのですが。
逆に日本側には「措置を小出しにする」といった小手先の技を使うこともできているわけですよ。
今回の決議では「日韓は対話をすべき」としているので、対話自体はするでしょうね。
それが物別れになるかなんらかの合意を見いだせるかは別として。
で、「対話しました」と報告書を出せば一件落着。
今回の決議について韓国メディアからは「日本が『外交的勝利』などと言っている」とのニュースが出ていますが、その「勝利」自体の否定はできていないといったところ。
「軍艦島関連国と対話せよ」に日本「外交勝利」···なぜ?(KBS・朝鮮語)
ユネスコ、「軍艦島」日本批判を差し引いた決定文を採択……次は佐渡鉱山登録?(韓国日報・朝鮮語)
ここ何年か日本政府の外交のやりようがかなり巧みになっている感じがしますね。
外務省になにか変化があったのか、上からの命令に対応しているのか。
あるいは田中均みたいなのが引退したからか。ちょっと深掘りしたい部分ではあります。
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