最近、日本の「歴史歪曲」批判が続いているユネスコ世界遺産「端島(軍艦島)」について、韓国政府が登録の「抹消」を進めることが報道されました。登録抹消。可能なのでしょうか? 結論から言います。「簡単ではない」と思われます。
「抹消カード」を真っ先に切ったのはパク・ヤンウ文化体育観光部長官でした。パク長官は18日、国会文化体育観光委員会所属の共に民主党議員との懇談会の業務報告で、ユネスコに対し、「登録抹消を要求する」という趣旨の発言をしたことが確認できます。すると文体部は22日に報道釈明資料を出します。「政府は(端島に関する歴史歪曲情報を展示している)産業遺産情報センターに関し、ユネスコ世界遺産の取り消し要求は公式発表していない」とし、「外交部などと協議し、日本が約束を履行するよう多角的な対応策を講じている」と明らかにしました。パク長官の発言から2歩ほど後退したような内容です。
文体部が一歩先に出ると、外交部も立場を表明せざるを得なくなりました。キム・インチョル報道官は23日、「前日にユネスコ事務局長宛の書簡を通じ、登録抹消の可能性の検討を含め、世界遺産委員会で日本に充実した後続措置の履行を求める決定文が採択されるよう、協力と支持を要請した」ことを明かします。「登録抹消」についても言及していますが、強調されていることは「日本に充実した後続措置の履行を求める決定文の採択」を進めるという後ろの部分です。専門家の間からは、同じ書簡を文体部と外交部がそれぞれ出すなど、「省庁間の勢力争い」をしているという声も聞かれます。 (中略)
幸い、ユネスコも「韓国の懸念は重要と考えており、これを世界遺産委員会の諮問機関に伝えた」という趣旨の返信を送ってきたと伝えられています。であるなら、韓国の外交目標は事実上不可能な「登録抹消」ではなく、約束を履行していない日本が過ちを正すよう、ユネスコ世界遺産委員会内の世論を作っていくことでなければなりません。その目的は、この島を取り巻く「すべての歴史」を知ることができるよう日本の産業遺産情報センターが展示を補強することです。
韓日は2017年、慰安婦関連の記録をユネスコ世界記録遺産(MOW)に登録する過程で大きな軋轢が生じました。日本は、2016~2017年のユネスコ分担金(分担額は2020年現在、中国に次ぐ第2位)の「支払い留保」はもちろん「脱退」さえちらつかせ、この登録を最後まで阻止しました。当時、この事業を推進した国際連帯委員会事務団のハン・ヘイン総括チーム長は、「米国が2017年に脱退を宣言した状況で、日本までこのような脅迫をしてきたので、ユネスコは当然、組織瓦解の可能性を懸念せざるを得なかった」と話しています。その時と同じ失敗を繰り返さぬよう、政府の合理的かつ緻密なアプローチが必要です。
(引用ここまで)
もし、韓国政府がこの「産業遺産情報センターへの展示情報の強化」に狙いを絞ってきたら、日本政府のかなり対応は難しいものになるかもしれませんね。
まあ、対応してしまって小さな字にするとかいうやり方もありかもしれませんが。
ただまあ……現状で韓国政府がやっていることは「登録取り消しが可能かどうか」という問い合わせにウエイトがかけているように見えます。
韓国のユネスコ大使は「日本が世界遺産委員会をだました」というような言い方を自国マスコミとの懇談会でしているとのこと。
ユネスコ韓国大使「日本、約束守らず世界遺産委員会も無視」(中央日報)
ここでも「日本が約束を守っていない」という話はしていますが、それを是正させるというようなところまでは届いていない。
韓国政府の勝利条件は「明治日本の産業革命遺産の世界遺産認定取り消し」か、「端島の除外」であるように見えます。
今のところは情報センターへの「韓国が望む情報」の掲示、というところにはなっていない模様。
ただまあ、日本がやったことも実際に朝鮮半島出身者の労働者の声を聴取したものであるのも確かなので。
日本側も世界遺産委員会に対して抗弁できる材料はあるのではないかな、と思われます。
そうした日本側の説明を受けて世界遺産委員会がどう出るか。その辺りを見極めてから動いてもいいかなぁ……というところではないでしょうか。両対応できるように準備だけはしておくべき、かな。

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