ソウルマンションのチョンセ保証金が新規入居団地を中心に連日下落している。 入居マンションによる賃貸物件爆弾が保証金を引き下げている。3〜4ヵ月前に出た入居マンションの伝貰の売り物も焦って打ち出している。 それだけ借家人を見つけにくいという話だ。
江南区盤浦洞マンションに、賃借者のいるキム某氏は契約を仲介していた不動産仲介事務所から最近連絡を受けた。 契約期間が終わって再びチョンセで出す考えなら、急いで売りを出せというものだった。 契約満期がまだ6ヵ月ほど残っているのにとても急ぐのではないかというキム氏に仲介士は「来る8月入居予定のレミアウォンベイルリと重なっていると、チョンセがうまくいかない可能性がある」、「売り物の登録が2ヶ月だけ遅れても元の価格を得られないだろう」と話した。
ソウルで入居マンションの影響を最も受ける地域は断然「開浦洞」一帯となる。 31日、不動産ビッグデータ会社アシルによると、開浦洞では来る2月28日から3375世帯規模となる「開浦ザイプレジデンス」の入居が始まる。 入居を控えて1310件の家賃物件が市場に殺到した。 売りが殺到し、呼び値は初期の半分に下がった。 実居義務がないマンションであるために売り物は溢れている。
ある開業仲介士は「開浦ザイプレジデンスの賃貸物件が初めて出た際には、占有59平米での言い値が13億ウォンだったが、売り物が増加した最近は6億ウォンへと半分に下がった」と説明した。 そして、「入居予定期間が来る5月29日に迫ると、保証金はさらに下落するだろう」と見込んだ。 (中略)
専門家たちは入居時に一時的に現れた逆伝貰難の波及力が需要の減少と重なって一層拡大したと指摘した。 シム・ヒョンソク 優待パン研究所長は「高金利によって伝貰人気が低くなっており、保証金詐欺の懸念も高まった。市場で大規模な供給物量を消化することが難しくなった状況」とし、「以前にも新たな不動産の入居開始時に逆伝貰難が、しばし現れている場合が多かったが、最近は地域全体の住宅賃貸保証金を揺るがしている」と指摘した。
(引用ここまで)
江南のマンションでチョンセの保証金額が半減しつつある、とのニュース。
チョンセは韓国独自の前家賃制度で「不動産価格の7〜8割ほどの保証金を家主に渡すと、2年間住める権利がもらえる」というもの。
保証金は契約解消後に全額が返却されます。
このチョンセを利用して、複数の不動産を購入する「ギャップ投資」という手法がありまして──
1)不動産を購入する。
2)賃貸に回して保証金を得る。
3) 1の不動産を担保にしてお金を借りる。
4) 2+3のお金を合わせて新しい不動産を購入する。
5) 2に戻る。
これで数十件、場合によっては1000件を超えるような不動産を購入して回しているのが「ギャップ投資」。
危ういことこの上ない投資手法ですが、韓国ではけっこう若年層に好まれている手法です。
さて、問題は「チョンセの保証金は2年後、借家人に返さなければならない」という部分。
これまでは「不動産価格は黙っていても上昇する」ものだったので、次の客から新たに保証金を得ることができればよかった。不動産価格の上昇と同時に保証金額も上昇するものだったのでマイナスになることはなかった。
なんならプラスされてきたのですよ。
そうした状況が変わってしまった。
不動産価格は下落をはじめ、それに伴ってチョンセの保証金も下がりはじめた。
さらに近隣で大規模分譲の入居がはじまったりしていて踏んだり蹴ったり。
ギャップ投資は破綻すれば、一気に数十件、場合によっては1000件を超えるような物件が競売にかけられることになるのです。
これが直接的な価格下落の他に存在するもうひとつの導火線。
ギャップ投資まで極端でなくても、チョンセ価格が下落することで大きな混乱が起きると思われます。
右を向いても左を向いても炎上要素しかないというか、実際問題としてすでに炎上ははじまっていて火薬庫に火がつくかどうかの問題になっている。
ユン政権は涙目になって不動産融資規制を撤廃するなど対策を矢継ぎ早に出していますが、どうなることやら。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex