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カテゴリ:韓国不動産爆弾の記事一覧

韓国の地方都市の高層ブランドマンション、完成したのに分譲すら開始できない状況……「いま分譲するのは時機ではない」ですって。なお、建設費用は90%まで国が負担します

カテゴリ:韓国不動産爆弾 コメント:(61)
ブランドマンションの入居「ゼロ」…未分譲の沼に陥った530億円の政府保証=韓国(ハンギョレ)
 大邱(テグ)の地下鉄1号線の上仁(サンイン)駅から1.3キロメートルほど離れたところにある、大邱市達西区上仁洞(タルソグ・サンインドン)の「上仁プルジオセンターパーク」。最上階29階、9棟の規模で990世帯から成るこのマンションは、4月に達西区庁の竣工承認を受けた。しかし、2カ月ほどが経過した現在までに入居した家は1世帯もない。

 マンションは通常、着工時に住宅を先に分譲して建設費を調達するのが一般的だ。ここは事情は違う。達西区庁の関係者は26日、ハンギョレに「分譲市場が良好ではないと判断したため、施行会社が時期をみて分譲しようとして、入居者募集の承認申請を先送りしている」と述べた。大邱の未分譲住宅数は今年4月末時点で9667世帯。全国17の市・道のなかでは1位だ。 (中略)

不透明な分譲の見通しのため、融資の回収にも警告灯がついたが、これらの金融会社が反映した引当金(貸し倒れの可能性がある金額をあらかじめ費用に反映しておくこと)は全融資額の10%未満だ。

 これらの会社の「頼みの綱」は公的保証だ。JB金融側は「銀行が保有する債権については、政府機関である韓国住宅金融公社の90%保証書で、ほとんどの信用リスクを回避した」と述べた。住宅金融公社がPF全体の融資額の90%に達する4600億ウォン(約530億円)規模の支払いの保証人になったため、貸し倒れになる心配はないということだ。 (中略)

 実際、足元に火が付いているのは住宅金融公社だ。マンションが未分譲となり施行会社がPFの元利金を返済できない場合は、これを代わりに償還し、「悪性在庫」と呼ばれる竣工後の未分譲物件を抱え込まなければならないためだ。 (中略)

政府はレゴランド問題が起きた2022年10月以降、住宅金融公社などの政策金融機関のPF保証支援の規模を引き上げ続けていた。現時点での支援限度は30兆ウォン(約3兆5000億円)に達する。不良プロジェクトの過剰な借り入れの調整より、事業者と建設会社の救済と延命に重きを置いた政策だ。

 金融当局の主要関係者は「今年下半期に米国が政策金利を引き下げるなどしてマクロ環境が友好的に変化すれば、住宅の景気も生き返る。未分譲は徐々に減っていき、政府の保証損失も減るだろう」と述べた。
(引用ここまで・太字引用者)


 大邱のマンションが完成したのに分譲はいまだにゼロ。
 今年の頭に地方都市の同様のことがありました。

ついに韓国で「申し込みゼロ」のマンションが爆誕してしまう……不動産不況はどこへと行き着く?(楽韓Web過去エントリ)

 申し込みゼロでマンションが建ってしまった。さて、どうしよう……というのが過去エントリのものなのですが。

 冒頭記事の大邱のマンションはちょっと事情が異なる。
 「そもそも分譲を開始していない」のですね。
 その理由が「現在は分譲状況が悪いから」なのだそうで。


 かつ、このマンションを建てる際に組んだプロジェクトファイナンス ── 不動産開発プロジェクト自体を担保にした、実質無担保借金は90%まで住宅金融公社が負担してくれるっていう。
 これなら銀行も不良債権が極小化できるので安心ですね!

 まあ、これって不良債権の一時国有化そのものであって、バブル後の最悪期に日本がとった手段とそんな変わりません。
 民間なら耐えられない負債でも、国であればまだ耐えられるって考えに基づいているので、そこまで間違っている方策かというと「時と場合による」としかいえません。

 ただ、問題は「本当に不動産景気が戻るのか」なのだけども。
 特に地方で。
 もはや地方の不動産景気はフラットな状況。心拍計的な意味で。
 ソウルだけ見るとそこそこ戻りつつはあるので、ソウル経済圏を拡大すればなんとかなるんでしょうかね。

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韓国で新規不動産開発がすっかり停滞……優良な土地であっても金融機関が不動産開発にお金を貸してくれない

カテゴリ:韓国不動産爆弾 コメント:(35)
新しいアパートの建設が止まった…。2年後の「歴代級大乱」の恐怖(韓国経済新聞・朝鮮語)
今年、プロジェクトファイナンス(PF)の不良への懸念が高まり、新規住宅開発事業が止まったことが分かった。 不動産景気の不確実性と金融市場の萎縮などで適時に着工できないアパート事業場が急増し、2〜3年後に入居大乱につながりかねないという分析が出ている。

4日、金融界と施行業界によると、サムスン物産と現代建設など10大建設会社が今年第1四半期の信用補強などを通じて参加したPF貸出規模は計6件、1兆3930億ウォンと集計された。 建設会社10社のうち6社の不動産金融参加実績が「ゼロ」だった。 2020年以降、年平均PF純増額が20兆ウォン(四半期当たり5兆ウォン)であることを考慮すれば、市場が約4分の1になったという評価だ。

施工会社から土地費と初期事業費に使うために調達する短期高金利商品であるブリッジローンは、1件も実現しなかった。 オフィステルなど非アパートだけでなく分譲性の高いアパート事業さえ新規で推進したところがなかったという意味だ。

業界では「歴代級」住宅供給減少が避けられないと見ている。 (中略)

ソウル都心で住商複合マンション事業を推進しているA施工会社は最近、土地の買い入れ作業を中断した。 土地の残金数百億ウォンを用意するために初期不動産プロジェクトファイナンス(PF)形態であるブリッジローン貸出を金融会社に打診したが、検討さえしてくれるところがなかった。 金融当局がPF不良管理のために貸倒引当金を積み上げるよう要求しているところに、新規融資は思いもよらないためだ。 業界関係者は「事業性があるかは考慮対象でもない」として「江南の真ん中にある土地も、10大建設会社が参加する事業も開発が止まった」と話した。 (中略)

業界で憂慮するのはソウル中心地のアパートとオフィスなど需要が十分な事業場まで「金脈硬化」で不良化しているという点だ。 駅三洞江南駅近くのオフィス開発敷地(2040平方メートル)は先月、公売(鑑定価格2308億ウォン)となった。 終盤に資金を調達して開始前に公売が取り消されたが、いつ金融問題が浮上するか分からないというのが衆論だ。
(引用ここまで)


 不動産開発が完全に凍りついている、とのニュース。
 なにしろ、銀行側が貸出をしようとしていない。
 開発プロジェクトを展開するためにはまず土地を購入しなければならないのですが。
 その土地を購入するための最初のローンがまず出ないので、不動産開発そのものに発展しない。

 中小の不動産デベロッパーがプロジェクトファイナンス(PF。不動産開発そのものを担保にして融資をしてもらう制度)でお金を借りる際には、その裏書きのために規模の大きな建設企業が参加します。
 んで、今年の第1四半期まででトップ10の建設企業のうち、6社までがPFに一切参加せず。
 トップ10全体を見てもPFの貸出件数が6件だけ。1兆3930億ウォンにしか過ぎなかったと。
 だいたい、いつもなら1四半期毎に5兆ウォン増えてきた過去と比べても1/4規模に落ちこんだと。


 冒頭記事では「このままでは2〜3年後に入居できるマンションが存在しなくなってしまう」と危機感を訴えているのですが。
 それ以前に不動産業界自体がどれだけ細るのかを考えたほうがいいような。
 現状の高利率の中では不動産に手を出すのはかなりのリスク。

 その上、FRBが去年言っていた「24年は3回の利下げ」を本当にやるのかどうかすらも分からない。
 最初の利下げがどこになるのかすらも不明。
 キャピタルフライトを恐れている韓国は、常にあるていど以上はアメリカの政策金利に追随する必要があるのですね。

 なんならアメリカの利下げを世界でもっとも心待ちにしているのが韓国といっても過言でないほどです。
 ただ、消費者物価指数は去年の10月からの半年でこんなところ。

10月 3.8%
11月 3.3%
12月 3.2%
01月 2.8%
02月 3.1%
03月 3.1%

 夏頃は4%台になることもあったので下落気味ではあるのですが、いまだに3%台で強めのインフレ基調。
 そしてそれに賃金が追いついていない弱めのスタグフレーション状態。
 利下げも利上げもままらない厳しい状況が続いていますね。
 つまり、不動産不況もしばらくはこのままって感じです。

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不況下にある韓国の建設企業、抱える負債の大きさに「これほどだとは…」と驚愕、一気に負債が10倍に増えた企業も

韓国、不良PFが水面上に…主要建設会社、最大1兆円の損失を懸念(ハンギョレ)
「これほどだとは…」

 企業改善作業(ワークアウト)が進められているテヨン建設の大規模な不動産プロジェクトファイナンス(PF)の不良が現実化し、韓国の業界が緊張している。主要建設会社を中心に最大10兆ウォン(約1.1兆円)台に及ぶ損失「爆弾」が爆発しかねないという憂慮が出ている。

 14日、韓国金融監督院の電子公示システムによると、テヨン建設は前日、会社の自己資本がマイナス5626億ウォン(約620億円)を記録し、完全な資本蚕食状態に陥ったと公示した。累積損失で資本金の全てを失ったという意味だ。

 テヨン建設が完全な資本蚕食に陥った主要原因は「充当負債」が急増したためだ。同社の財務状態表を見ると、昨年末基準の流動充当負債は1兆3889億ウォンで、1年前に比べて1058.5%(1兆2690億ウォン)急増した。会社が1年以内に返済しなければならないと予想される負債が1兆ウォン以上増えたという話だ。

 充当負債は将来に支出発生の可能性が高く、具体的な金額推定が可能な負債だ。(中略)テヨン建設の場合、充当負債増加の余波で「営業外費用」が2022年の1571億ウォンから昨年は1兆5028億ウォンへと10倍急増し、完全な資本蚕食および株式取引停止の主要原因になった。 (中略)

 問題は、テヨン建設のPF事業場の不良現実化の規模が極めて大きいという点だ。通常、建設会社はまだ費用発生の可能性が低く、金額測定も難しいPF事業場の潜在負債を「偶発負債」という名前で財務諸表の「注釈」に書いておく。充当負債とは異なり、直接会社の負債や費用として反映することはないが、投資家のために潜在リスクを公開するわけだ。

 ナイス信用評価(NICE信用評価)によると、テヨン建設の昨年11月末基準のPF偶発負債は3兆6000億ウォン(別途の財務諸表基準、社会間接資本事業を除く)だった。このような潜在負債のうち、3分の1余りが実際の会社の負債負担と大規模損失として返ってきた。

 韓国企業評価は、信用等級を付ける主要20建設会社の民間住宅事業PFの偶発負債を、昨年下半期基準で約30兆ウォン(約3.3兆円)と推算した。テヨン建設の事例をそのまま適用すれば、最大10兆ウォン(約1.1兆円)ほどの負債が発生する可能性があるわけだ。主要建設会社のうち、PFの偶発負債の規模が5兆4千億ウォンで最も大きいロッテ建設が最近、新韓銀行など4大市中銀行をはじめとする産業銀行・証券会社などと流動性支援のための2兆3千億ウォン規模のファンド造成を確定したのも、こうした火急の問題を消すためだ。
(引用ここまで)


 テヨン建設は韓国の建設業界で規模ランキング16位になっていた中堅企業でした。
 去年末に破綻して民事再生にあたるワークアウトを申請したことで知られています。
 で、実際にどれほどの財務状況なのかを調査したところ、プロジェクトファイナンスの中でも「負債に転じる可能性がある」とされていた3兆6000億ウォンのうち、1兆3000億ウォン弱が「実際に負債に転じるだろう」とされて計上されました。
 結果、完全に資本蚕食の状況に陥ったと。

 プロジェクトファイナンスは「不動産開発そのものを担保にして、当該不動産開発の資金を融資してもらう」という実質無担保融資。
 つまり、不動産開発が破綻してもなんにも戻ってくることはない。
 あえて戻ってくるとしたら土地ですが、これすらも中途半端に建設が進んでいることが多いので撤去費用を考えたらむしろマイナスになりかねない。


 さて、建設企業のランキング上位20社が抱えている「偶発負債」が30兆ウォン。
 テヨン建設はその「偶発負債」のうち、30%強が「実際、将来に負債になり得るもの」として計上された。
 その計算式がそのまま適用されるのであれば、上位20社が10兆ウォンの負債を抱えることになる。均等に分散していたとして1社あたり500億円。
 上位にいる企業はなんとかなるかもしれないけど、そうじゃないところは難しいなぁ。
 ただ単に「はい、負債」って渡されるだけではなく、不動産不況で息継ぎもできないところに重荷を背負わされるわけですから。

 この不良債権はそのまま金融機関に引き渡される可能性が高いです。
 なぜってプロジェクトファイナンスは融資ですからね。
 建設企業が不動産開発用に買収した土地(おそらく中途半端な建物つき)を手に入れることはできても、それをどこかに売ることは相当にむつかしい。

 とりあえず、テヨン建設という最初のドミノ牌は倒れたわけです。
 単独で倒れたのか。
 それとも次のドミノに向かって倒れたのか。まだ分からないってところ。

 引用部分最後にある(そして楽韓Webでも扱った)ロッテ建設への2兆3000億ウォン規模の緊急融資は、おそらく次のドミノがロッテ建設であったことの傍証となるでしょう。

韓国の大手ゼネコンに破綻の危機→金融機関から大規模融資で一息つく……ただし、「プロジェクトファイナンス危機」はまだ消えていない(楽韓Web過去エントリ)

 でも、なんとかして融資で支えているだけ。「ここは俺が食い止める!」って金融機関が懸命になってやっているんですが。
 ……支え切れればいいですね。

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韓国不動産不況がひどい……今年に入ってからの2ヶ月半で844社の建設企業が廃業、仲介業者は1ヶ月で1000社が廃業

カテゴリ:韓国不動産爆弾 コメント:(45)
韓国、建設会社844社・仲介業者月1000社が廃業(中央日報)
2022年からの急な利上げに触発された不動産沈滞が2年近く続き、建設・不動産業全般に暗い影を落としている。高金利と不動産プロジェクトファイナンス(PF)不良化の懸念で建設現場に資金が回らない流動性悪化が激しくなり、不動産開発業者から建設会社、下請け業者などに危機が広がっている。

13日、釜山(プサン)のあるマンション建設現場。ここで3カ月間にわたり作業員向け食堂で昼食を作っていたという女性は「5000万ウォンの売掛金がたまっているが回収できるか不透明」と涙を流した。通常の作業員向け食堂は工事を行う複数の下請け業者が食事代を渡すが、これら企業も工事を総括する建設会社から工事費を受け取れずにいるために起きていることだ。下請け業者関係者は「われわれも作業員の月給を払えていないのに建設会社は待ってくれとばかり言う」としてため息をついた。

毎日のように地方の有力建設会社が倒産するかと思えば建設業の賃金未払いも急増している。住宅取引が急減し廃業する不動産仲介業者が全国的に毎月1000社以上出ている実情だ。

国土交通部によると、今年に入り13日までで建設会社の廃業申告件数は844件と集計された。前年同期の751件より11%ほど増え、同期間基準ではこの10年で最多だ。資金難に耐えられず不渡り処理された地方の建設会社も今年に入り6社に上った。昨年1~3月の3社と比べ2倍に増えた。 (中略)

1月基準で全国の売れ残り6万3755戸の約85%に当たる5万3595世帯が地方に集中している。主に首都圏にマンションを作る大手建設会社は独自に緊縮し持ちこたえる体力が残っているが、売れ残りを抱え込んだ地方の中小建設会社で不渡りや廃業が相次いでいる理由だ。

建設業不況の中で仕事を失う人も増加している。雇用労働部によると、1月の建設業の失業手当申請者数は2万700人で、昨年11月の1万600人、12月の1万2700人に続き増加傾向だ。建設業の賃金未払い額は昨年総額4363億ウォンで1年間に49%急増したためだ。新規就業者の規模を計る建設業雇用保険加入者数は昨年8月から7カ月連続下り坂だ。韓国の不動産信託会社14社の昨年の年間当期純利益も2491億ウォンで前年比61%急減した。

また別の業種である不動産仲介業者も泣き顔だ。休廃業が昨年から全国的に毎月1000件以上ずつ出ている状況だ。公認仲介士協会によると、1月の廃業業者は1177社、休業業者は127社で新規仲介業者の1117社を超えた。1月基準で廃業業者が新規を上回るのは2015年に関連統計を集計し始めてから初めてだ。開発会社の数も2018年の2250社と比較すると半分になった。通常は春の引越しシーズン直前で取引が多い1月に廃業が増加したのも異例と評価される。 (中略)

不動産景気が停滞しその波紋が全方向に及んでいる格好だ。実際に建設業が韓国経済で占める割合は大きい。建設業は韓国の産業群で2022年に付加価値335兆818億ウォンで国内総生産(GDP)の15.5%を占める。建設業就業者が雇用全体で占める割合も2023年に7.4%に達した。
(引用ここまで)


 韓国の建設不況は稀に見るレベルになっている、とのニュース。
 バブルがはじけて……というわけでもないのですね。
 ただただ、需要が萎れている。

 特にひどいのが売れ残りのマンションが6万3700件。その85%に相当する5万3500件が首都圏以外。
 もう地方ではよほどのことがないかぎりはマンションは売れないってことですね。
 立地が極端にいいとか、景観がどこよりもよいとか。

 その一方で首都圏でも1万件が売れ残っているのです。
 まあ、一概に「首都圏」と言ったところでソウル以外にも仁川市、京畿道を含めているのでソウルはまだなんとかなっている可能性のほうが高いのですけどね。


 なぜここまでマンションを建てたのかというと、やはり韓国の風習に帰結すると思います。
 男子は20代、遅くても30代にはマンションを手に入れなければ結婚する資格がない、というもの。
 これが極端な少子化の大きな理由なのは間違いないところ。
 そしてもうひとつの理由は、「なにがあろうとも不動産価格は下落しない」という意識。
 まあ、実際に1980年から2020年の40年間で米の価格は3倍になったのですが、江南のマンションは84倍になったそうですよ。
 下記エントリでそのあたりを語っています。

韓国メディア「我々はマンションに囚われたマンション共和国に住むホモ・マンショヌスだ」「すべての土地をマンションにするだけだ」(楽韓Web過去エントリ)

 ただ、ムン・ジェイン政権の5年間でソウルのマンション価格は2倍になり、もう庶民の手に届かないものになってしまった。
 結果、需要が萎れてしまった……ってことです。
 買えるものなら買いたい。ヨンクル族のように魂をかき集めてでも買えるのなら買いたいのですが。
 魂までかき集めても買えなくなった、というのが現実です。

 ……金利が下がったらまた好況になったりするんですかね?

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韓国の大手ゼネコンに破綻の危機→金融機関から大規模融資で一息つく……ただし、「プロジェクトファイナンス危機」はまだ消えていない

韓国経済「激震」は必至!ゼネコン破綻で金融不安へ飛び火の「最悪シナリオ」が現実味(ダイヤモンドオンライン)
 韓国の建設業界で規模8位のロッテ建設は今月7日、国内4大都市銀行と産業銀行、キウム証券などの参加により、2兆3000億ウォン(約2590億円)規模のABCP(資産担保CP)買い入れファンドを造成したと発表した。この一報に、韓国の金融・建設業界では多くの人々が胸をなで下ろすが、韓国を襲う「激震」の予兆が消えたわけではない。その理由を明かす。

 韓国では昨年来、不動産プロジェクトファイナンス(PF)の不良債権化が顕著となり、「国家経済を揺るがす雷管になりかねない」と懸念されている。不動産PFの残高は130兆ウォン(約14兆6000億円)であり、そのうち最大50%程度が不良債権化しかねないとする見方がある。一方で、さらに深刻な見積もりも出ている。

 韓国建設産業研究院が1月23日に明らかにしたところによれば、130兆ウォンという数字にはPF流動化証券と相互金融機関であるセマウル金庫からの貸し出しは含まれておらず、これらを合わせると202兆6000億ウォン(約22兆8000億円)に膨らむというのだ。

 仮にPF残高の50%が不良債権化するならば、日本円にして11兆円以上という極めて深刻な数字になる。 (中略)

 韓国不動産PFは、まさに爆発的な勢いで危機化した。現時点で、その中心にあるのがゼネコンの負っている偶発債務だ。韓国の格付け会社であるNICE信用評価によれば、昨年末におけるロッテ建設の偶発債務総額は5兆4000億ウォンに達し、同社の自己資本2兆7000億ウォン(昨年9月時点)の2倍に達する。

 偶発債務は、現在はまだ発生していないが、将来において履行義務が発生し得る債務のことで、典型的なのが保証債務だ。

 韓国の不動産PFの基本的な構図は、次のようなものだ。
(引用ここまで)


 韓国で不動産不況から金融不況へと波及しかねないプロジェクトファイナンスについて、すごくよく分かる記事があったのでピックアップ。
 プロジェクトファイナンスとは「これから建造するマンションを担保にして、そのマンション建造のための資金を融資してもらう」金融商品。
 要するにほぼ無担保で莫大な借金ができるものだったのです。

 このプロジェクトファイナンスの余波で業界中堅のテヨン建設は破綻して民事再生入り。  さらには建設業界でランキング8位に入るロッテ建設がそれに続くのではとされていました。
 ところが一転、金融機関からABCP(資産担保コマーシャルペーパー)を発行してもらうことで資金調達を行い、薄氷のところで破綻を逃れました。
 記事にもあるように「テヨン建設の次はロッテ建設」とされていたのですが、これでなんとか一息つけるのではないか……といったところ。

 ただ、あくまでもこれは「一時的な継ぎ当て」でしかない。
 不動産不況が続いている以上、大手建設企業も無事ではいられない状況が続いています。
 これまで「実質無担保」で貸出をされてきたプロジェクトファイナンスは「不動産はいつでも右肩上がり」「不動産は建てれば右から左に完売」といった前提があればこそ成立していたのです。


 ところが不動産不況でその前提が崩れてしまっている。

 中小の建設企業、すなわち施行側が借主となっているプロジェクトファイナンスについて、大手建設会社が保証を行っているケースが少なくありません。
 マンションが完成したのであればまだ値引きもできるし、なんとかなる場合もあるのでしょうが。
 プロジェクトファイナンスで貸出だけ行われて、完成できなかったなんてパターンがこれから続出せざるを得ない。

 結果、保証を行っていた大手建設企業に金融機関から「じゃあ、借金返してね☆」となるわけです。
 ロッテ建設が危ういとされていたのは、この保証を山ほど抱えていたからだったのですね。

 同じ構造が他の大手建設企業に隠れていないとは誰も言えないのです。
 コーポレートガバナンスが成立していない韓国企業、それも財閥系企業になにか信管が残されている可能性は充分にあるでしょう。
 最後の最後まで隠し通して、充分に腐敗しきったものが出てくる可能性が冒頭記事では指摘されています。
 まあ、あくまでも韓国国内だけで完結して国外に影響を及ぼすようなものではありませんが。
 さらに金融機関へ飛び火したらどこまで騒ぎが大きくなるか分かったもんじゃありません。大山鳴動して鼠一匹ってオチになればまだよいのですけどね。

 あ、冒頭記事はダイヤモンドオンラインは会員登録しないと見れないので、普通に見れるYahoo掲載版にもリンクを貼っておきますね→https://news.yahoo.co.jp/articles/edd4e53ed2f0c0ae5ffce4fd72ba58f26b428a8c

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韓国メディア「テヨン検察の民事再生申請で終わりじゃない。不動産・建設企業はこれからが本当の地獄だ……」

テヨン終わりじゃない···建設・不動産不良指標、5~6年ぶり最悪(聯合ニュース・朝鮮語)
不渡り危機に追い込まれたテヨン建設がワークアウト(企業構造改善)開始で峠を越えたが、建設・不動産業種の貸出不良にともなう金融不安は相当期間続くものと憂慮される。
高金利と不動産景気不振のせいで両業種の延滞率・不良債権比率など健全性指標が2017〜2018年以後5〜6年ぶりに最も悪い状態と確認されたためだ。

特に、ノンバンクでは、これらの不良指標が1年間で突然約3倍に跳ね上がり、さらに積極的で先制的な不良整理努力が必要だという警告も相次いでいる。

15日、韓国銀行が国会企画財政委員会所属のヤン・ギョンスク議員(共に民主党)に提出した「金融業界別建設·不動産業企業貸出現況」資料によると、昨年第3四半期末現在、全体金融圏(銀行+ノンバンク)の建設・不動産業貸出残額は608兆5千億ウォンと集計された。

歴代最大記録で、1年前の2022年第3四半期(580兆8000億ウォン)より4.8%、2年前の2021年第3四半期(497兆6000億ウォン)より22.3%増えた。

建設業と不動産業を別に見ても、両業種の貸出残高は昨年第3四半期(115兆7千億ウォン・492兆8千億ウォン)が最も多かった。

特に2年間、ノンバンク(貯蓄銀行・セマウル金庫を除く相互金融組合・保険会社・与信専門金融会社合算)の不動産業貸出残額が155兆ウォンから193兆6000億ウォンに24.9%急増した。

貸出増加傾向だけでなく、延滞率など不良指標水準と上昇速度はさらに深刻だ。

昨年第3四半期の非銀行圏の建設・不動産業貸出延滞率は各5.51%、3.99%に達した。 2015年関連統計集計以後、最も高いだけでなく、2022年第3四半期(1.77%・1.55%)に比べてわずか1年間で各3.1倍、2.6倍に跳ね上がった。

延滞期間が3ヵ月以上の固定不良債権(NPL)比率の場合、貯蓄銀行で建設業が7.34%、不動産業は5.97%と集計された。 1年前(2.20%·2.52%)の3.3倍、2.4倍水準だ。
(引用ここまで)


 テヨン建設がワークアウト(民事再生)の申請に成功して、どうにか不動産・建設業界の不渡り騒動が一段落したものの。
 非銀行圏、いわゆる第2金融圏や証券会社のプロジェクトファイナンスの延滞率が上がっています。

 というかそもそもの「建設・不動産業貸出残高」が過去最高……というか、最悪というかの608兆5000億ウォン。
 で、その上で延滞率が建設、不動産で5.51%、3.99%。
 2022年第3四半期の1.77%・1.55%から見て3倍近くになっている。


 そして、貯蓄銀行における3ヶ月以上の延滞となる固定不良債権が建設業で7.34%、不動産業が5.97%。
 貯蓄銀行こそ現在のプロジェクトファイナンスの主たる貸出元ですからね。
 あと証券会社。

 すでに韓国市場では証券会社の株が下落しているとの話もあります。

テヨン発PF危機に震える証券株(韓国経済新聞・朝鮮語)

 証券会社が行っているプロジェクトファイナンスの延滞率は去年中頃ですでに13%、統計によっては16%との数字が出ていました。

 どこがどんな風に弾けるのか。
 それとも大山鳴動して鼠一匹に終わるのか。
 FRBが政策金利下げに転じて「間に合う」のか(間に合うというより先送りな気もしますが)。
 さ、どうなりますかねー。

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ついに韓国で「申し込みゼロ」のマンションが爆誕してしまう……不動産不況はどこへと行き着く?

カテゴリ:韓国不動産爆弾 コメント:(48)
「請約の申込者は一人もいない」···凄惨な成績表をもらった(韓国経済新聞・朝鮮語)
万松総合建設が慶北蔚珍に供給する「厚浦ラオンハイツ」(60世帯)は8~9日、1·2順位請約に申請者が一人もいなかった。 蔚珍が人口5万人にも満たない小都市である点を考慮しても、請約者が「ゼロ」であることは凄惨な成績だという反応が出ている。

不動産景気の低迷や高分譲価格などの影響で、首都圏でも未達が続出している中、地方の中小都市の分譲市場はさらに冷え込んでいる。 一部では政府が地方「竣工後、売れ残り」住宅購入者に税制優遇を与えることにし、多少息抜きができるという展望も出ている。 しかし、高金利と人口減少など構造的要因で沈滞ムードが当分続く可能性があるという観測が少なくない。

12日、韓国不動産院の請約ホームによると、先月分譲した慶尚南道山清(キョンサンナムド·サンチョン)の「スイートキャッスル·ザ·プライム」(77世帯)は77世帯を募集するのに申請者が1人だけだった。 忠清北道(チュンチョンブクド)の「堤川新白(シンベク)ソングァンローズウェルマンション」(362世帯)も分譲転換後、残り209世帯の供給に乗り出したが、申請者は2人に止まった。 全羅北道の「任実コウンラピネ·ザ·ファースト」(129世帯)も特別供給と一般供給を合わせて7人だけが請約した。 規模がかなりある団地の状況も似ている。 忠清南道(チュンチョンナムド)の「保寧(ポリョン)エリテジー」(971世帯)には先月、全体募集規模の7%に当たる66人だけが申請した。 (中略)

首都圏と隣接した忠南牙山「ザ·ショップ湯井インフィニティシティ」(3万3969人)と仁川西区「黔丹中興Sクラスエデュパーク」(1万6059人)などの今月1順位請約に数万人が集まったのとは対照的だ。 (中略)

政府が「1·10対策」を通じて今後2年間、地方竣工後に売れ残り住宅(専用面積85㎡·6億ウォン以下)を初めて購入すれば税制算定時に住宅数に含めないことにし、市場状況が改善されるという展望が提起されている。 先立って1住宅者が人口減少地域の住宅を新規買い入れしても1住宅者と見なすと発表したのに続き、2番目の地方振興策であるわけだ。

ソウルに家を保有している多住宅者が地方に「セカンドホーム」を用意しようとする需要を引き出すことができるという分析だ。
(引用ここまで)


 韓国の不動産価格の下落具合がやばいって話をここのところしていますが、特に地方ではまともに成約すらしないマンションが続発しているとのこと。
 77世帯のマンションで申し込み1。
 60世帯のマンションで申し込みゼロ。

 一方で都心というわけでもない中規模都市である牙山のマンションには申し込み殺到とのこと。
 牙山は大企業の工場がいくつかあるので、景気がいつもよいって言いかたもできるかな。かつての蔚山みたいな位置になりつつあるかも。
 これからは「マンションだからなんでも売れる」というわけではなく、条件が揃った物件でないと売れないという当たり前の状況になるのでしょうね。


 さて、その一方でどうにかこうにかテヨン建設はワークアウト(民事再生手続き)に成功したのですが、実質無担保で不動産開発を行うプロジェクトファイナンスについてはまだ危険が去ったわけではない、との意見が多数。

「テヨンウォークアウト」急な火は消えたが… 不動産PF発の「残火」相変わらず(ニュース1・朝鮮語)

 韓国政府は「あれはテヨン建設特有の問題で、これ以上の問題は出ない。PFも段々と処理していく」と表明しているのですが。
 どうなんでしょうね?

 なんでも「特別な低金利で借り換えができるように制度新設する」って話なのですが。
 ま、うまくいって問題の先送りができればいいですね。

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韓国の中堅建設企業、なんとか再生手続き進行。「不動産爆弾」のドミノ倒しは最初のコマだけで止められたか……いや、実際には……

韓国の泰栄建設危機、他の建設会社へと飛び火?(ハンギョレ)
 泰栄(テヨン)グループは8日、追加の再建案を債権団に提出する予定だが、ワークアウトの失敗に伴う法廷管理(企業再生手続き)の可能性は消えていない。債権団の構成は多様で利害も異なるため、ワークアウトの開始条件(債権者の75%の同意、信用供与額による)が満たされるかどうかが予想できないからだ。そのため、危機が他の建設会社に飛び火しうるとする市場の分析も出ている。危険群として言及された建設会社の中には、十分な流動性が確保されているとする釈明資料を発表するものもあり、問題に言及した証券会社の報告書が修正されたりもしている。

 昨年末、泰栄建設がワークアウトを申請するまでは、金融市場に及ぼす影響は限定的だった。例えば泰栄建設の社債価格が大幅に下落している中にあっても、社債市場において金利の急騰(価格の急落)現象は見られなかった。これは、ワークアウトが順調に進むことで、その影響も泰栄建設に限定される公算が高いとの見方が優勢だったからだ。

 年明けからはムードが変わりつつある。泰栄建設が示した再建策に対する債権団の反発が高まっているからだ。特に、泰栄建設がワークアウト申請に先立って債権団と結んだ合意も守っていなかったことが確認されたことで、債権団の不満が沸き立った。信用評価機関と証券会社は直ちに相次いで報告書を出し、「建設会社のより分け」に乗り出している。ハナ証券は4日に発表した報告書で「泰栄建設の他にも、プロジェクトファイナンス(PF)の偶発債務リスクと未分譲リスクで流動性が急速に縮小する危険企業が確認できる」とし、「特にロッテ建設は泰栄建設との類似点がある」と明らかにした。韓国信用評価はロッテ建設と共にGS建設、新世界建設、HDC現代産業開発を主なモニタリング企業としてあげている。
(引用ここまで)


 プロジェクトファイナンスが破綻してワークアウト(民事再生手続き)を申請したテヨン建設ですが。
 その再生手続きでだいぶ世間を舐めた申請を出したために金融監督院長から「自分の骨身を削らずにどうする」と叱責を受けるなどしていました。

韓国の中堅財閥オーナー、不動産不況で系列企業が民事再生を申請したのに「私財は一切出さない」と言い出して当局に叱られてしまう(楽韓Web過去エントリ)

 昨日までは「債権団から75%の賛成を得られずにワークアウトは失敗するのではないか」との憶測が流れていました。
 結果、建設企業へ不信感が高まり、社債が買われなくなってしまうことで他の建設関連企業が社債の借り換えができなくなるのではないかとの危惧が語られるようになりました。
 社債の借り換えができなくなれば手元資金がなくなって倒産というパターンが続出する可能性がある……というのがハンギョレの冒頭記事。


 ところが今朝になってテヨン建設が白旗を揚げるようだとのニュースが流れています。

[単独]テヨン、当局・債権者要求案を受け入れ……ワークアウトが開始される模様(毎日経済・朝鮮語)

 ただし、いまだにオーナーは1ウォンも出さないとしているところから、揉める要素はあるようです。

 まあ、これで少なくとも民事再生手続きは進行し、社債市場への動揺は最低限になるだろうと見られています。
 テヨン建設は建設企業として15位前後の中堅、テヨングループは財閥として40位前後のそこそこ大手財閥。
 そのために「政府は潰せずに舐めプの申請も了承するしかないのではないか」(そして建設関連社債は終わる)との見通しもあったのですが。
 なんとか即時終了の危惧は遠のいた、といったところ。

 ただ、プロジェクトファイナンス(実質無担保による不動産開発融資)が危機を迎えているとの状況に変化はなく。
 冒頭記事でも業界トップ10に入るロッテ建設、GS建設、20位以内に入る新世界建設、HDC現代産業建設などが危険なのではないか、との指摘があります。
 GS建設は例の地下駐車場完全崩壊の施工主。
 HDC現代産業建設は建設中のマンションが崩壊した事件、解体中にバスを巻きこんだ崩壊事件での施工主です。

韓国でまた建造物が崩壊。今度は5ヶ月後に完工予定だったマンションの地下駐車場(楽韓Web過去エントリ)
韓国で建築中のマンションが崩壊、原因はいつものアレ……(楽韓Web過去エントリ)
韓国のビル崩壊で9人が亡くなった事故、原因は「韓国社会」だった模様(楽韓Web過去エントリ)

 特にGS建設は地下駐車場が崩壊した物件を全部取り壊してイチから建設やり直しとかやってて手元資金が大丈夫なのか、との観測もあります。
 「とりあえずの延命」であるのは間違いなさそうですね。
 ドミノ倒しの最初のコマは止められたかのように見えるのですが、実は別の路線がいくつもあるっていうアレでした。重畳性が高い(笑)。

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