尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が空回りし、自ら支持離れを招き没落するならば、3件の裁判を受ける李在明(イ・ジェミョン)共に民主党代表の最後の賭けが成功する可能性がある。 (中略)
政界入りして以降、李代表は5回の政治的危機が訪れた。最初は「兄嫁に対する暴言」だ。(中略)2番目の危機は2018年の京畿道知事選における「虚偽事実公表」問題だ。テレビ討論会で「兄を強制入院させようとしたことはない」という趣旨の虚偽発言を行い、二審で有罪となったが、大法院で逆転無罪となったために生き返った。 (中略)
3️番目は大庄洞事件だ。李代表が業者に数千億ウォンの不当利益を与えたとされる疑惑が2021年の大統領選予備選の際に指摘された。「檀君以来最大の不正」とされた疑惑は大津波になって波及したが、李代表は民主党予備選で圧倒的な勝利を収め、大統領選候補に決まった。4番目は李代表夫妻がすし、国産牛肉、贈答品、日本製シャンプーなどの購入代金に京畿道庁の公用クレジットカードを使用していたことが秘書による告発で明らかになった。 (中略)
昨年9月、党内の造反票で逮捕同意案が可決され、5度目の危機が訪れた。逮捕状が発行されれば政治生命が終わる絶体絶命の状況だったが、令状審査を担当した判事は「偽証教唆疑惑は立証されたとみられる」としながらも、令状請求を棄却した。李代表は地獄の入口に差し掛かっていたが、李代表はそれを非李在明派排除の機会に利用し、民主党を完全な「李在明党」に変貌させた。 (中略)
しかし、李代表にはこれまでのどんな峠よりも困難な最終関門が残っている。司法リスクだ。 現在李代表は①大庄洞・柏峴洞事件②公職選挙法違反事件③偽証教唆事件で裁判を同時に受けている。そのうちどれか一つでも被選挙権が剥奪される有罪判決が確定した場合、李代表は3年後の大統領選に出馬できない。法的な関門を突破できるかどうかに李代表の大統領選出馬が懸かっている。
(引用ここまで)
「日本は敵性国家」発言で日本でもそれなりに知名度があるイ・ジェミョン。
これまで通常であれば身の破滅を招くような疑惑や失敗を繰り返してきているのですが、その度に生還してきています。
その中でも兄を精神病院に強制入院させたことを「そんなことをやったことはない」と選挙中に述べて、公職選挙法違反に問われた事件については二審でも罰金300万ウォンの有罪判決が出ました。
韓国の国会議員は罰金100万ウォン以上の有罪判決を受けた場合、もしくは禁固刑以上の刑(執行猶予を含む)が確定した場合に当選無効となります。
通常、大法院(最高裁に相当)では事実認定に法的問題がある等の手続き関連以外ではよほどのことがないかぎり事実認定は変わらない。
正直、これで「イ・ジェミョン終わったか」って思っていたのですが、そこからなぜか大法院で無罪判決(を前提とした高裁差し戻し判決)が出て舞い戻ることができました。
テジャンドン開発疑惑で主犯のひとりとされているキム・マンベと強い結びつきのあった大法官(最高裁判事に相当)がこの無罪判決を主導したとされています。
イ・ジェミョンによるテジャンドン不動産開発疑惑についてはこちらのエントリを参照してください。
イ・ジェミョンの支持率が上がらない……その最大の理由「テジャンドン開発疑惑」とはなにか?(楽韓Web過去エントリ)
前述の無罪判決を主導した大法官は退任後、このテジャンドン開発疑惑でとんでもない金額を利益として受け取った企業に顧問として滑りこんでいます。ずぶずぶやんけ。
それ以外にもいろいろとずぶずぶの関係がありまして、疑惑は点から線、線から面を為しています。
こちらのエントリではそのあたりのずぶずぶの関係を解説しています。めちゃくちゃ複雑なので見なくてもいいです(笑)。
「日本は敵性国家」発言のイ・ジェミョン、数々の疑惑が解明されつつあり窮地に追い詰められる……「弁護士費用を肩代わりした企業会長? そんなヤツ知らない」とまたまたしらばっくれる (楽韓Web過去エントリ)
形成された面の中心部……というか、面によって隠れているのがイ・ジェミョンなのですね。
なにをどうしたらあそこから国会の主として戻れるんだよって感じなのですが、これこそが韓国のウリ(我々の意。ここでは強い仲間意識を意味する)というものなのでしょう。
ただ、さすがのイ・ジェミョンも年貢の納め時というべきか。
避けられそうにない3つの司法リスクを抱えています。
・テジャンドン開発疑惑
・上記疑惑に際して城南市の開発処長を選挙中に「知らない」と述べた2回目の公職選挙法違反
・1回目(兄の強制入院)の公職選挙法公判中、証人に偽証をさせた偽証教唆
どの裁判でも有罪判決が出れば国会議員資格を喪失します。被選挙権も停止になります。
つまり、共に民主党は次期大統領候補最右翼の人物を失うわけです。
記事ではこれらの司法リスクをすべて吹き飛ばすために、ユン大統領の弾劾を目論んでいる……とのことですが。
総選挙でそのために200議席を目指していた部分は確実にありますね。
ただ、その200議席確保はぎりぎりのところでできなかった。
これまでアカギでいうところの地獄の淵の砂に触れては幾度も舞い戻ってきたイ・ジェミョンですが、さすが今度こそは年貢の納め時かな、という気はしています。
ただ、強運と破滅がひっくり返る様を何度も見てきましたからね。どうなることやら。
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