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カテゴリ:ユン・ソンニョルの記事一覧

韓国与党「ユン大統領への法手続きは特急並みに早いのに、イ・ジェミョンへは鈍行列車並みのスピードだ」「公職選挙法違反は3ヶ月で判決を出せとされているのに、2ヶ月経ってもまだ裁判すらはじまっていない」……でも、韓国では当たり前のことですよね?

与党 「ユンはKTX、イ・ジェミョンは各駅停車… 司法府の時計は人によって速度が違うのか」(朝鮮日報・朝鮮語)
国民の力クォン·ヨンセ非常対策委員長は16日「尹錫悦大統領に対する司法手続きはKTXで進行されているが、共に民主党のイ・ジェミョン代表は司法手続きの鈍行列車にゆったりと座っている」と批判した。

クォン委員長はこの日午前、国会で開かれた党非常対策委員会議で「イ代表が2021年大統領選挙で虚偽事実を公表した事件は2022年9月に起訴され、起訴2年2ヶ月後の昨年11月15日に1審判決が出た」として「公職選挙法上2審判決が3ヶ月以内に出てこなければならないが、すでに2ヶ月が過ぎており、1月31日に初めて公判が開かれる」と指摘した。 クォン委員長は「1審で懲役1年、執行猶予2年という議員職喪失刑が宣告されるやイ代表側が訴訟記録受付通知書未受領などの小細工を使いながら、1審判決2ヶ月が過ぎても裁判を始めることさえできなかった」と話した。

クォン委員長は「イ代表はなんと5件の裁判を受けている。 選挙法違反事件をはじめ、検事詐称関連偽証教師容疑、大長洞・白峴洞・慰礼新都市・城南FCなどの賄賂容疑、北朝鮮に800万ドルを代理送金した第三者賄賂容疑、京畿道知事時代に法人カードを不法に使った業務上背任容疑など」と指摘し、「ところが、このすべての裁判が果てしなく遅れている」と話した。

クォン委員長は「イ代表の前に行けば延ばされる裁判所の裁判進行をいったいどのように理解すべきか国民が尋ねている」とし、「これ以上イ・ジェミョン代表の裁判遅延戦略を容認してはならない」と話した。
(引用ここまで)


 韓国与党から「なぜユン大統領の逮捕は速度があって、イ・ジェミョンへの裁判はまともに進行されないのだ」とのクレーム。
 そのあたり、ちょっとチェックしてみましょうか。

 韓国では公職選挙法違反の事例について、裁判所は「地裁は12ヶ月以内、高裁、大法院(最高裁に相当)はそれぞれ3ヶ月以内に判決を出さなければならない」と規定されています。
 ですが、イ・ジェミョンへの地裁判決が出るまで実に起訴から2年2ヶ月かかっています。裁判だけでも21ヶ月。

 まあ、こういった話は別に珍しい話でもありません。韓国ならでは。
 たとえばチョ・グクによる大学への業務妨害(長男長女の入試資料捏造)について地裁判決が出るまで3年3ヶ月かかっています。
 当時のムン・ジェイン政権下ではやむを得ないというか。

 公判を担当した最初の地裁裁判官はまず病気休職、ついで病気を理由に退官。
 引き継ぎもせずに辞めたために公判手続きからやり直し、なんてやってましたからね。
 ……病気じゃしょうがないなー(棒読み)。


 ちなみにほぼ同じ罪で起訴された妻のチョン・ギョンシムは約1年で地裁判決が出てこの時点で収監されています。
 その8ヶ月後には高裁判決、その4ヶ月後である22年1月には大法院判決が出ています。
 で、チョ・グクへの地裁判決が出たのはその1年半後の23年6月ですからね?

 チョン・ギョンシムは懲役4年の実刑判決で、23年9月に刑期を11ヶ月残して仮出所。
 チョ・グクへの大法院判決は24年12月。懲役2年の実刑が確定。ここにきてようやく収監ですから。
 同じ犯行をしていた妻はすでに収監された上に仮出所までしているのに、チョ・グクへの判決確定はその1年以上あと。
 こんなのが韓国では普通のことですから。

 あ、それとイ・ジェミョンは1回目の公職選挙法違反(選挙中に「実兄を強制入院させたことはない」との嘘をついた)で大法院で逆転無罪(を前提とした高裁差し戻し)を受けています。
 その無罪判決を主導したクォン・スンイル大法官(最高裁判官に相当)は退官後、城南市の不動産開発関連企業で顧問に就任して多額の顧問料を受け取っています。
 この企業がテジャンドン不動産開発疑惑の主体となっていて、イ・ジェミョンもかかわったとして裁判中。
 詳細は下記エントリにあります。
「日本は敵性国家」発言のイ・ジェミョン、数々の疑惑が解明されつつあり窮地に追い詰められる……「弁護士費用を肩代わりした企業会長? そんなヤツ知らない」とまたまたしらばっくれる(楽韓Web過去エントリ)

 ずっぶずぶです。
 ま、そんな感じで韓国では「権力者への裁判」については手抜きされるのがフツーなのです。
 公正な裁判……なんですか、それ?

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韓国、与党もダメなら野党もダメ。「どちらも法の支配と民主主義を軽視している」と喝破されてしまう

韓国の与党も野党も「法の支配」と民主主義を軽視している(ニューズウィーク)
大統領が自らの官邸に「籠城」を続けるなか、韓国世論も変化しようとしている。世論調査会社リアルメーターによれば、「共に民主党」と「国民の力」の支持率の差は、大統領弾劾訴追案が国会で可決された12月第2週には52.4%対25.7%とダブルスコアに近い状態まで開いていたが、わずか3週間後の1月第1週には45.2%対34.4%まで縮小した。この与党の支持率は尹が戒厳令を宣布する直前の調査をわずかながら上回る。尹と与党は戒厳令宣布と大統領弾劾のダメージから急速に立ち直りつつあるように見える。 (中略)

このような韓国世論の急速な変化をもたらしたものは何か。明らかなのは、弾劾訴追案可決の後も大統領代行を務めていた首相を弾劾するなど、強硬な姿勢に終始する野党、とりわけその代表である李の政治指導に対する忌避感情であろう。

選挙法違反をはじめとする数々の嫌疑を抱える李の、自らの事件の判決が出る前に大統領選挙を実施したい、という思惑がその性急な行動の背景にあるのは明らかだ。そのあまりに政治的野心をむき出しにした行動が、逆に保守派を尹と与党の下に結集させている。

そして、ここから分かることがある。それは程度の差こそあれ、こと法的な手続きを軽視して、自らの政治的利益を拙速に追求しようとしている、という点においては、韓国の与野党が実は同じ方向性を有している、ということである。

大統領は憲法の規定を無視して戒厳令を宣布し、国会の閉鎖を試み、野党代表は法的処罰の結果として公民権を失うことを避けるために、裁判の結果が出る前に自らの大統領就任を模索する。そこで犠牲にされているのは、この国における「法の支配」であり、それに支えられた民主主義である。
(引用ここまで)


 神戸大学教授の木村幹教授による韓国の現状解説。
 いまの状況をよく語られていると思います。
 特に「与党も野党も『法の支配』と『民主主義』を軽視している」って部分はぽんと膝を叩く文言。

 イ・ジェミョンの公民権喪失が先か。
 それともユン大統領の弾劾にともなう大統領選が先か。
 マッチレース具合にじれているんですよね。

 結果、控訴状を受け取らないとかやってますし。
 大統領代行の代行をまたまた弾劾するとか言っています。
 


 なんだったら「ユン大統領の支持率は40%」って発表した世論調査企業を「訴えてやる!」とかまでやってますからね。

共に民主党、「尹大統領支持率40%」と発表した韓国世論評判研究所を告発へ(朝鮮日報)

 じゃあ、キム・オジュンの作った世論調査企業とかどうなるんだって話なんですが。
 韓国の世論調査企業は選挙委員会に登録されていて、かつ質問が公開されているのでそのあたりでごまかしようがないんですよね。
 でも、告発すると息巻いている。

 実際、それくらい余裕がないんですよ。
 大統領が弾劾されたあとは粛々と手続きを進めるだけでいいはずなのに、藪をつついて蛇を出した上に、その蛇に足までつけようとしている始末。
 「弾劾29連発とかどうなってんだ」って韓国人からも声があがりつつある。
 結果として「イ・ジェミョンだけはダメだ」って世論が勃興してきているのですね。

 ……まあ、他の候補者にぱっとした人物がいないので、いまだに次期大統領候補の中ではイ・ジェミョンがダントツなのですが。
 それでも30%台前半とかの支持率しかない。
 もし、与党が割れずにちゃんと統一候補を出すことができれば、また風が変わってくる可能性すらあります。
 それくらい、野党側も失着しているんですよね。

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韓国左派「ユン大統領に命令された戒厳部隊が北朝鮮を偽装して米軍を襲おうとしていた計画があったはずだ」「北朝鮮風の軍服を買っていたことが証拠だ!」→韓国軍「そうした訓練服を使って行う訓練がある」と否定……そりゃあその主張、陰謀論者がなんの証拠もなしに言い出したことだし

「戒厳軍が北朝鮮軍に偽装し作戦展開」 国会参考人・金於俊氏の主張を韓国軍が一蹴「全く事実ではない」(朝鮮日報)
14日午前、ソウル・汝矣島の国会で開かれた「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の非常戒厳宣布による内乱容疑真相究明国政調査特別委員会」で、野党は「非常戒厳宣布時、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に偽装した兵士たちが作戦を展開しようとした」「北派工作部隊要員(韓国から北朝鮮へ極秘裏に派遣される工作員=HID)が部隊に戻っていない」との疑惑を提起したが、韓国軍は「全く事実ではない」と一蹴した。

 韓国最大野党・共に民主党の金勝源(キム・スンウォン)議員は同日、左派系ジャーナリストでユーチューバーの金於俊(キム・オジュン)氏が提供を受けたという「主要政治家を射×し、北朝鮮の仕業だと発表する」との情報に言及し、韓国軍情報司令部が昨年7月に北朝鮮軍の軍服約200着を注文したことを根拠に疑惑を提起した。すると、国防長官職務代行を務めている金善鎬(キム・ソンホ)国防次官は「発言の機会が欲しい」と求めた上で「議員の立場からすれば『合理的に見て疑いがある』というのも仕方ないだろうが、われわれの立場からすれば本当にとんでもない主張だ」と述べた。そして、「情報司令部による(朝鮮人民軍の)軍服購入は正常な事業手続きに基づいて行われた」「(昨年)7月に公示されて事業者が選定され、12月に納品された」「関連要員はこのような訓練服(朝鮮人民軍の軍服)を着て訓練をしなければならないため、事業が進められた」「(どのように使うのか)詳しくは言えないが、(情報司令部)要員が使う服だ」と説明した。
(引用ここまで)


 韓国で右に立つものは誰もいないとされる、プロフェッショナル陰謀論者であるキム・オジュン。

キム・オジュン.jpg
(画像引用元・Wikimedia

 その最新作が──

・「北朝鮮軍が侵入してきたふりをして、ユン大統領の政敵を韓国軍に射×させる予定だった」
・「チョ・グク、キム・オジュンらを拉致して自作自演で救出しようとしていた」
・「駐韓米軍の軍人を何人か射×して北朝鮮を爆撃させようとしていた」

 ……といった「ユン大統領の戒厳令ではこのような作戦が立案されていた」とするもの。

韓国を代表する陰謀論者キム・オジュン、「戒厳令下で与党代表襲撃計画があった」「北朝鮮を装ってアメリカ兵を襲撃し、アメリカに北朝鮮を爆撃させようともしていた」と国会で証言……ビジネス陰謀論者の面目躍如だねぇ(楽韓Web過去エントリ)

 まあ、実際にユン政権が北朝鮮との戦争状態、少なくともなんらかの挑発行為を引き出そうとしていた節はあるのですが。

北朝鮮当局が「これが我々の領土に侵入してきた韓国軍の無人機だ」と画像を公開……これはさすがに韓国も言い訳できないレベル(楽韓Web過去エントリ)

 さすがに「北朝鮮のふり」をして、そこまで荒唐無稽な作戦に出るかねぇ……といったところ。


 ただ、左派のカリスマ的な存在でもあるので、こんな与太話を国会で参考人として語ってしまったわけです。
 なんでか理解に苦しむのですが、どうも左派からは「唯一信頼のおけるメディア発信者」扱いになっているんですよね。
 玉川徹とかと同じカテゴリでかつ上位互換ってところかな。

 で、その与太話が軍から完全否定されたとのニュースです。
 「北朝鮮風の軍服を購入していたのはなぜだ!」→「そうした訓練服を着て訓練をするためだ」で終了だよなぁ。
 陸軍でもアグレッサー部隊みたいなのがいるのでしょう。特に韓国では必要になるでしょうね。

 とはいえ、韓国の状況は奇々怪々なのでこうした話の種とか萌芽くらいがどこかにあっても不思議ではないんですけどね。
 「セクハラで不名誉除隊した情報将校が占い師をやりながら、現役情報将校とロッテリアで戒厳令の打ち合わせ」とか言われても普通はあり得ないんですが。
 ……現実なんだよな、韓国の場合。

 それよりも「キム・オジュンがこんなことを言っている」って話を、キム・オジュンがビジネス陰謀論者であることも明記せずに、かつデマ前提であることも書かずにYahoo!に記事を書いた辺真一氏を批判してこのエントリは終わりにしようと思います。
 リンクはしません。あんなののPVを増やす協力はしたくないので。

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「大統領の不正等を捜査する機関」として作られた韓国の高位公職者捜査処、作った共に民主党から「ユン大統領が逮捕できないなら廃止してやる!」と名指しされてしまう……

文政権時代に無理筋で高位公職者犯罪捜査処を作ったのに他人事のように「廃止」を主張する人々(朝鮮日報)
 高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領逮捕に失敗するや、「公捜処廃止」の声が野党側からも上がっている。進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の議員は「(逮捕状を)再執行できなければ公捜処は存廃の危機に直面するだろう」と発言した。同じく進歩系野党の祖国革新党の議員も「令状執行できなければ公捜処の存廃について考慮しなければならない」と言った。公捜処は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に民主党がありとあらゆる手を使い、拙速と野合の中で作り出した。ありとあらゆる無理な手を全て動員しておいて、自分たちの要求に応えないとなると「無くす」というのだ。

 文政権時代に民主党は「検察改革」の全てであるかのよう公捜処を押し付けた。文政権における違法を捜査していた検察に圧力をかける必要もあった。新たに国家捜査機関を作るという大事にもかかわらず、慎重な検討も世論の集約もなかった。法曹界の反対は全て無視した。国会で群小政党の賛成を引き出そうと、ついには選挙法改正を餌に使った。与野党間のゲームのルールかつ民主主義の骨幹である選挙法を、国民の力を排除したまま強引に変更するという暴挙を犯した。国の核心システムである選挙制度と捜査制度をトレードするかのように取引したのだ。 (中略)

 こうして無理やり作られた公捜処は、4年の間、きちんとした捜査をしたことがない。特定党派が国の刑事システムを無視して一方的に作った捜査機関の動作不良は、早くから予見されていた。公捜処を作る際に繰り広げられた安易な一時しのぎ、野合、拙速、騒動について、ただの一度の遺憾表明もなく、まるで人ごとのように「廃止」を主張しだした。厚顔無恥だ。
(引用ここまで)


 高位公職者捜査処(公捜処)は当初から無理筋な捜査機関だったのですよ。
 ムン・ジェインが自分の引退後の安泰を買うために、検察の力をそぎ落とすためだけに作られたといっても過言ではありません。
 当時の大統領府の手足として動くことを目的として作られた組織で、そもそも「現役大統領を捜査する」みたいな大規模な捜査には向いていないのです。

 なので「なぜユン大統領を逮捕しないのだ」といわれても、暴力装置として強制力を持った機関として成立していないので……としか言いようがない。
 手足としての人員が圧倒的に足りてないんですよ。

 最終的に警察に「逮捕権、そっちにやるわ」って丸投げしたのも宜なるかな。
 もっとも、逮捕状の期限最終日になってからそんなんやっているのはさすが笑いましたが。


 で、イ・ジェミョンは「公捜処のトップを弾劾してやる!」と言い出して。
 共に民主党や祖国革新党の議員からは「逮捕できないなら廃止してやるわ」と言い出していると。
 まあ、共に民主党がはじめたストーリーなので、終わらせるのも共に民主党の手によるのがよいのではないでしょうか。

 一応、逮捕状について期限が延期されたのでまたなんらかの対応をするようですが。

韓国の裁判所、尹大統領に対する逮捕状を延長(ブルームバーグ)

 大統領公邸の壁には鉄条網が設置され、出入り口にはバスが留め置かれてバリケードとされている模様。

韓国大統領の拘束令状を再発付 公邸にはバリケードや鉄条網増設、衝突なしの尹氏の拘束は困難(産経新聞)

 えーっと、内戦が起きるのかな?
 大統領公邸までは曲がりくねった道になっているので、阻止しようとされたら突入が難しい構造になっています。
 物理的な衝突なしではたどり着くことすら難しいでしょうね。  ……なんかこう、全斗煥がクーデターを起こした時みたいになってきましたわ。

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弾劾されたユン大統領、韓国与党への支持率が回復基調……支持率40%にまでなってしまった理由とは? 野党の失着があまりにもひどい……

「偽の世論調査が大手を振る?」……ユン・與の支持率に「ざわめき」(韓国経済新聞・朝鮮語)
最近、尹錫悦、大統領と国民の支持率が上昇傾向にあるという世論調査が一つ二つ出てきて、政界がざわついている。 支持層結集効果には異見がない一方、専門家たちはこれら世論調査が全て自動応答システム(ARS)基盤という共通点から見て、強硬支持層の声が目立つ可能性を提起した。 これに対し、与党が拡大解釈を警戒しなければならないという助言も相次いでいる。 (中略)

6日、政界では最近公表された尹大統領と政党支持率の世論調査の結果をめぐって、甲論乙駁が起こっている。 前日発表された韓国世論評判研究所(KOPRA)がアジアトゥデイの依頼で3~4日、全国満18歳以上の男女1000人に尋ねた結果(回答率4.7%)、ユン大統領の支持率は40%と集計された。 支持しないという回答は60%だった。 (中略)

大統領権限の中止後、政党支持率だけを発表する「リアルメーター」では、1月1週目の国民の力の支持率が3週連続上昇し34.5%、民主党の支持率が同期間ずっと下落し、45.2%を記録したという結果(回答率4.9%)が出た。 国民の力の今回の支持率は戒厳事態以前の水準(11月4週目・32.3%)だ。 (中略)

明知大学校政治外交学科のシン・ユル教授は通話で「ARS調査は人の育成ではなく機械音を通じて尋ねることで、約5分の時間の間に質問を最後まで全て聞くことは容易ではない」として「選挙の時ではない平時には強硬支持層が主にARS調査に応答すると見ることができる。 相談員が直接電話で調査する電話面接調査で無党派層の回答比率が高いということがこれを傍証する」と説明した。
(引用ここまで)


 X(旧Twitter)で昨日の「ユン大統領に対する支持率が40%超え」とのエントリ紹介ポストがなぜかバズりまして。
 まあ、国会で弾劾決議が通っていて憲法裁判所からの弾劾決定を待っているだけの大統領がなんでそんなことになっているんだって話ですから耳目を集めるのは当然というか。
 断頭台に乗せられている人物に人気が集まっている、ってことですからね。

 その人気の理由はいくつか挙げられるので、ちょっと書いてみましょう。
 まず、冒頭記事にあるように「設問や質問形式がユン支持者に有利だったのではないか」との部分。
 質問が機械音声だったので、最後まで答えたのがユン支持者の比率が多いのではないかと。
 これもまあ……なくはない。

 ただ、その後に発表されたリアルメーターによる政党別支持率でも国民の力が34.5%の支持率で3週連続上昇。
 逆に共に民主党への支持率は45.2%と3週連続で下落中。
 傾向としては与党・国民の力への支持率が回復基調であり、共に民主党への支持率は下落基調にあるのは間違いないところです。


 その大きな理由として野党・共に民主党が焦りすぎているってことが基本にあります。
 ユン大統領の弾劾はすでに決定事項。
 弾劾理由に内乱罪が入ろうと入るまいと戒厳令発令時点で憲法違反は間違いなく、弾劾は避けられない未来なのです。

 このまま口を開けてさえいれば、大統領の座が野党に転がりこんでくるのは間違いない。
 時期的には今年前半までには政権交代となるでしょう。
 それなのに野党は無駄とも思える攻勢をかけていたのです。
 大統領弾劾だけでは飽き足らず、ハン・ドクス国務総理も弾劾。
 それ以外にも検事、閣僚、放送委員長まで延べ29回もの弾劾をかけて与党に圧力をかけ続けているのですね。

韓国野党、ここまで29回の弾劾案を提出……今後は閣僚への無限弾劾で大統領代行の拒否権自体を無効化する可能性も。これが「成熟した民主主義社会」ってヤツですか?(楽韓Web過去エントリ)

 その最大の理由が共に民主党党首であり、次期大統領最有力候補であるイ・ジェミョンが持つ司法リスク。
 今年半ばまでに公職選挙法違反で有罪になり、被選挙権が10年間停止となります。
 イ・ジェミョンに大法院(最高裁に相当)から有罪判決が出るのも今年半ばまで。

 ユン大統領の弾劾が決定するか、イ・ジェミョンが有罪判決を受けて被選挙権停止されるかのマッチレース状況。
 といったわけで一刻も早く弾劾を成立させるために圧力をかけ続けてきた……のですが。  韓国国民にはその様子が嫌われてしまい、支持率が壍減していると。

 20年ほど前にノ・ムヒョン大統領に対しても弾劾決議案が成立したのですが、当時は弾劾決議案自体に反感を持たれて総選挙で当時の与党は大敗。
 国民の審判は為されたとして憲法裁判所はノ・ムヒョンへの弾劾を棄却しました。

 当時とまったく同じことを共に民主党がやってしまい、国民からの反感を買いつつあると。
 焦りすぎ、ですね。

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戒厳令を出したユン大統領(職務停止中)の支持率、なぜか40%を突破してしまう……さすがに弾劾29連発はやりすぎだったか

ユン大統領支持率40%突破…非常戒厳以後初めて(韓国経済新聞・朝鮮語)
国会弾劾訴追案の可決で大統領の職務が停止したユン・ソンニョル(大統領)の支持率が40%台を突破したという世論調査の結果が5日、公表された。 昨年12月3日にあった非常戒厳事態以後に実施された世論調査(中央選挙世論調査審議委員会公表基準)で尹大統領支持率が40%台に進入したのは今回が初めてだ。

韓国世論評判研究所(KOPRA)がアジアトゥデイの依頼で今月3〜4日、全国の満18歳以上の男女1000人にユン大統領を支持するかどうかを尋ね、同日発表した結果によると、尹大統領を「非常に支持する」(31%)、「やや支持する」(9%)とした回答者は40%だった。 「全く支持しない」(56%)、「やや支持しない」(4%)と答えた回答者は60%だった。 「よく分からない」は1%だった。

年齢別に見れば肯定評価は10〜20代37%、30代36%、40代26%、50代39%、60代40%、70代61%と現れた。 否定評価は10〜20代60%、30代63%、40代74%、50代61%、60代59%、70代38%と集計された。 (中略)

政党支持率調査では、共に民主党39%、国民の力36%、祖国革新党7%、改革新党2%、進歩党1%、その他政党3%、無党派層10%、よく分からない1%だった。
(引用ここまで)


 ユン大統領(職務停止中)への支持率が40%を突破しました。
 戒厳令発令直前が20%前後だったので、だいたい倍にまで増えましたね。
 ……えーっと。
 まあ、要するに野党・共に民主党がやりすぎたんですよ。

 保守性向のある人々が「戒厳令はやりすぎだ……」ってなっていたのが「いや、共に民主党がやりすぎだわ」って転じてきた感じです。
 イ・ジェミョンの事件を担当した検事にも弾劾。
 大統領代行にも弾劾。
 結果、弾劾29連発までやってきたわけで。


 党支持率については共に民主党が39%、国民の力が36%。もうほぼ横並び。
 この党支持率は直近の他の調査とほぼ同じなので、政権支持率もあるていどの精度はあるんでしょうね……。

 次期大統領については「国民の力からの候補」「共に民主党からの候補」で別になっているのであまり参考になる数字ではないですかね。
 共に民主党内の支持率見てみると、イ・ジェミョン(党内43%)の次がキム・ドンヨン京畿道知事(ムン・ジェイン政権時代の企画財政部長官)で党内9%。
 共に民主党からについてはイ・ジェミョンで確定かな。

 司法リスクもなんとか潜り抜けて、逮捕状発行の決議案では造反者が出たほどの党内闘争も公認を操ることで勝利して。
 あと数ヶ月後には「イ・ジェミョン大統領爆誕」……か。
 楽韓Webのネタ的にはよいのだけども、東アジア情勢的には本当によろしくないんだよなぁ。

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韓国の捜査機関、「現職大統領を逮捕」を試みるものの大統領警護庁に阻まれて断念。法治もクソもない「声闘」「李氏朝鮮時代」に逆戻りへ

韓国大統領公邸で攻防5時間半 尹氏逮捕に法律の壁で拘束断念、現職拘束の想定なし(産経新聞)
「非常戒厳」宣布を通じ内乱を首謀した容疑で捜査が進む韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領に対し、捜査当局は大統領公邸での5時間半に及ぶ攻防の末、3日の拘束令状執行を断念した。現職大統領の拘束を想定しない法律の「穴」を突く尹氏側の主張を受け、強硬対応に踏み切れなかったもようだ。司法の無効化で政治家逮捕などの超法規的措置を試みた尹氏側が、適正な法運用を主張して逮捕回避を図る皮肉な事態となっている。

尹氏捜査に抗議する支持者らが比較的少ない早朝の午前7時20分ごろ、捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」や警察で構成される合同捜査本部は大統領公邸前に到着した。警察が人員2700人、バス135台で周囲を統制する中、約100人の令状執行隊は同8時過ぎ、公邸敷地内に入った。

しかし、公邸まで約200メートルの地点で、大統領警護処や同処の指揮下にある軍所属の計200人以上が壁を作り執行隊の進入を妨害。事態は膠着(こうちゃく)し、執行隊は午後1時半、尹氏の所在確認もかなわないまま撤退を余儀なくされた。「法に基づく手続きに応じない被疑者の態度に深い遺憾の意を表する」。公捜処は悔しさをにじませた。
(引用ここまで)


 いやぁ……ひどい。
 ユン大統領に対して高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が内乱罪で逮捕状を取り、執行しようとしたのですよ。
 それに対して大統領警護庁が「大統領公邸には機密があるので侵入するな」として公邸への侵入を拒絶。

 大統領警護庁は「大統領を警護しなければならない」って建前が立場としてありまして。
 公捜処は「高位公職者を捜査するのは我々だ」との立場があるのです。
 正統性をぶつけあっているのですが。

 ただ、検察、警察、公捜処のどこにも現職大統領を拘束する手段がないんですよね。
 こうした事態を想定していないので、手順が明白にされていない。
 「現職大統領が逮捕される」って事態を想定していないのでどこがどんな風に、なんの権限で逮捕するのかが分からないっていう。


 さらにいえば大統領警護庁は「公捜処は内乱罪での捜査権を持っていない」ともしています。
 確かに公捜処不正・腐敗について捜査する機関とされていて、内乱罪に対して捜査権があるかどうかというと……微妙。
 すべての捜査機関が「大統領を内乱罪で逮捕する権限」を持っていそうで、持っていないのではないかっていう。

 で、さらに土日になるとユン大統領の支持者がさらに集結してきて、捜査陣の邪魔をすることになるでしょう。
 もう法的な正統性云々を言っている場合でなくなっている。
 どれだけどの陣営がどれだけ高らかに声を上げるか、「声闘」のレベルになりつつあります。
 まさかの李氏朝鮮時代への先祖返り。

 やっぱりマニュアルはしっかり規定しておいたほうがいいよってのが、この混乱から学べる唯一のことではないでしょうか。
 法治もまともにできていない「民主主義が成熟した国」なぁ……。

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韓国野党、「弾劾、弾劾」でやりすぎて与野党の党支持率が拮抗してしまう……さすがに弾劾29連発はやりすぎだったか

「国民の力35.7%・共に民主40.4%」支持率差が誤差内に 弾劾政局で保守層が結集か(朝鮮日報)
韓国の保守系与党「国民の力」と進歩(革新)系最大野党「共に民主党」間の支持率の差が誤差の範囲内に縮まったことを示す世論調査結果が1日に出た。

 エースリサーチがNEWSISの依頼に基づいて12月29日・30日の両日、満18歳以上の成人1010人を対象に支持政党調査を行ったところ、共に民主党が40.4%、国民の力が35.7%を記録した。

 両党の支持率の差は4.7ポイントで、誤差範囲(プラスマイナス3.1ポイント)に収まった。直前の調査(11月第2週)では11.7ポイント差だったが、7週間でその差は「誤差範囲外」から「誤差範囲内」に縮まったのだ。 (中略)

 これについてエースリサーチの関係者は「尹大統領に対する国会の弾劾訴追案可決直後、国民の力の支持率は大幅に下落したが、韓悳洙大統領権限代行の弾劾、国務委員(閣僚)の弾劾など政治的事件による保守層の危機感で中道保守層が結集した影響と解釈される」と説明した。
(引用ここまで)


 先月29、30日に行われた世論調査で、与党・国民の力と野党・共に民主党の党支持率が拮抗しているとのニュース。
 済州航空機の着陸事故が29日の午前9時だったので、そのあたりも加味されている部分もあるかな。
 災害や大事故が起きると与党への支持率は高まるのが一般的な現象なので。
 その最たるものが戦争ですね。

 加えてハン・ドクス国務総理兼大統領代行への弾劾が27日。
 さすがに野党側がやりすぎた、と判断したのではないでしょうか。
 大統領の代行の代行まできてますからね。
 しかも、航空機事故が起きなかったらその「代行の代行」への弾劾すら辞さないって態度でしたから。


 ところでその「代行の代行」であるチェ・サンモク経済副首相兼企画財政長官兼大統領代行がふたりの憲法裁判官を任命しました。

韓国大統領権限代行を務める崔相穆副首相が憲法裁判官2人を任命、特別検事法2件は拒否(朝鮮日報)

 野党・共に民主党側が推薦しているひとりについては任命せず、与野党で協議のあったふたりについては任命。バランスをとったつもり……なのかもしれませんが。

 与党・国民の力の閣僚から糾弾されて文字通り涙目になったとのこと。

閣僚に何も相談せずに憲法裁判官2人任命した「権限代行の代行」崔相穆副首相、閣議でつるし上げられ涙目(朝鮮日報)

 「代行の代行」がそれをできるのか、と。
 まあ、とりあえずこれで8人体制。「8人で大統領弾劾の審理」ははじめられますが、4月にはふたりが定年で退任予定。
 また6人体制に戻るのでどうなることやら。

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