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カテゴリ:ユン・ソンニョルの記事一覧

韓国国会で弾劾案が成立、遅くとも半年後までにはイ・ジェミョンが大統領に……韓国人は「歴史的瞬間だ」とか言うものの……

尹大統領の弾劾案可決 憲政史上3例目=与党から賛成12人(聯合ニュース)
韓国国会は14日午後の本会議で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の弾劾訴追案を賛成多数で可決した。大統領の職務権限は同日停止され、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が大統領職を代行する。大統領の弾劾案可決は2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏、16年の朴槿恵(パク・クネ)氏に次いで3例目。このうち朴氏は憲法裁判所の判断によって罷免された。

 弾劾案は在籍議員(300)全員が採決に参加したなか、賛成204、反対85、棄権3、無効8で可決された。

 野党・無所属(192人)を除き、否決を党の方針と決めた与党「国民の力」から12人が賛成に回ったとみられる。
(引用ここまで)


 2回目の弾劾決議案が提出されまして、あっさりと可決。
 12人が造反したとのことですが、思ったよりも少なかったですね。
 いまだにユン大統領を擁護する価値があるって思っている保守系議員が多数であると。

 これでユン大統領の権限はすべて停止され、ハン・ドクス首相が大統領代行を務めることとなります。
 ようやく「大統領押込で内閣が判断する」みたいな憲法違反の状況が解消されたわけです。

 そして弾劾は憲法裁判所に託されます。
 憲法裁判所が弾劾に足る違法行為、違憲行為があったかを判断し、180日以内に結論を出さなければなりません。

 2004年のノ・ムヒョン大統領のイラクへの派兵決定が批判された際には、約2ヶ月で「弾劾にはあたらない」との結論。
 パク・クネの際は約3ヶ月で弾劾を認め、即座に罷免されました。

 これらの経緯をみると、だいたい5月頃に大統領選挙かなといった感じ。


 ただ、今回は法律に詳しいユン大統領が相手なので、長引かせるかもしれませんね。
 「憲法裁判所をテレビで生中継しろ」とか言っているそうです。
 180日まるまる使うにはどうすればいいか、と思案しているかもしれません。

 その一方で弾劾が決まった瞬間、国会周辺に集まっていた国民らは大喜び。一斉に歌うなどしていました。
 なんでも「歴史的瞬間」を見にきたのだそうですよ。

弾劾表決を控えて国会前に集まった人出…「歴史的瞬間」(聯合ニュース・朝鮮語)

 このグダグダ感で「歴史的瞬間」もないもんだと思うのですが。
 遅刻しておいて、その分を取り戻すために働かざるを得なかったことを「偉業」とか「成熟した勤務態度」とは言わんだろうに……。

 さて、これで遅くとも半年後にはイ・ジェミョン大統領が爆誕します。
 まあ、公職選挙法違反で大法院判決で有罪にならないかぎり。
 憲法裁判所の判断が下るか、大法院判決が下るかのマッチレース。
 イ・ジェミョンへの有罪が早かったら、もはや野党・共に民主党にはろくな候補が残されていないのですが。
 ろくな候補がいないのは与党・国民の力も同様ですけどね。

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韓国を代表する陰謀論者キム・オジュン、「戒厳令下で与党代表襲撃計画があった」「北朝鮮を装ってアメリカ兵を襲撃し、アメリカに北朝鮮を爆撃させようともしていた」と国会で証言……ビジネス陰謀論者の面目躍如だねぇ

「韓東勲代表射×計画、友邦国が情報提供」 韓国国会でユーチューバー金於俊氏が主張、駐韓米大使館「情報提供してない」(朝鮮日報)
進歩(革新)系ユーチューバーの金於俊(キム・オジュン)氏が13日、韓国国会にやって来て、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の12・3非常戒厳宣布に関連して「保守系与党『国民の力』の韓東勲(ハン・ドンフン)代表を射×しようとする計画があった、という情報の提供を受けた」と主張した。進歩系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は「ばかばかしいことだ」としつつも「(尹大統領などは)十分に、そういう計画を立ててもおかしくない集団」だと発言した。

 金氏はこの日、韓国国会科学技術情報放送通信委員会の懸案質疑に参考人として出席し、情報提供を受けたとして「最初に受けた情報提供は、逮捕班が来るというものではなく、暗×班が動いているというものだった」と述べた。金氏は、自分が受けた情報提供の内容は「(戒厳軍に)逮捕・移送されている韓東勲代表を射×する」「曺国(チョ・グク)祖国革新党代表、楊正哲(ヤン・ジョンチョル)元民主研究院長、金於俊を逮捕・護送する部隊を襲撃し、救出するふりをして逃走する」「特定の場所に北朝鮮の軍服を落しておいて、一定の期間が経過した後、これを発見して『北朝鮮の仕業』と発表する」等だと明かした。

 金氏は「韓代表射×は、北朝鮮の仕業だということに仕立てやすい与党代表であるし、曺国・楊正哲・金於俊救出作戦は、護送した部隊にできるだけ被害を与えて『北朝鮮が従北(北朝鮮に追従する)勢力を救出しようと試みた』と発表するため」だと主張した。さらには「米軍人を何人か射×して米国が北朝鮮を爆撃するように仕向ける等の情報提供もあった」と言った。情報の出所に関しては「あまりにとんでもない、小説のような話で、出所を一部明かすとしたら、韓国国内に大使館がある友邦国」とだけ語った。駐韓米国大使館は同日、「金於俊氏への情報提供者は米国なのか」について公式声明で「ノー」と回答した。
(引用ここまで)


 日本でフェイクニュースの泰斗といったら誰になりますかね。
 立憲民主党の原口一博議員。
 あるいはGoogle検索すると「作家」と出てしまう内海聡。
 京都大学を実質的にクビになった宮沢孝幸あたりも、フェイクニュースの第一線で戦っている「戦士」といっていいんじゃないでしょうかね。

 彼らを足して3で割らないくらいのフェイクニュースマスターが韓国にはいます。
 それがキム・オジュン。
 これまでの代表的な実績を見てみましょう──

・日本で新型コロナが収束しているように見えるのは日本政府が統計をねつ造しているからだ。
日本の新型コロナ検査キットはデルタ株を検出できない(から収束したように見える)。
・ハロウィンの雑踏の事故はユン政権になったから起きた事故だ。ムン政権時代には一方通行だったから事故が起こらなかった

 これらはすべて嘘です。


 それ以外にもセウォル号沈没事件について憶測(言いがかり)を基にした映画を作って、制作費の5倍の興行収入を得たこともあります。
 内容はこちらの予告編をご覧ください。



 まあ、ゴミです。
 こんなんを「隠された真実」扱いしているアジアンドキュメンタリーには失望したわ。

 あと左派に傾倒した世論調査会社を設立して、その調査結果を信じた共に民主党が地方選挙で惨敗したなんてこともありましたっけ。

 そんな人物が「戒厳令中に与党・国民の力代表のハン・ドンフンを射×しようと計画していた」「北朝鮮を装って在韓米軍基地の軍人を射×し、アメリカに北朝鮮を爆撃させようとの計画もあった」「情報提供元は友邦国」と国会で証言。
 韓国が友邦国って呼べるのって軍事同盟を結んでいるアメリカしかないんですが、在韓アメリカ大使館はもちろんのことこの証言を否定。

 昨日も書いた「自分の勢力に有利なように外国を巻きこもうとする」手法ですね。
 それやられるほうはたまったもんじゃないんですが。
 わざわざマンパワーを割いて否定しなきゃいけないっていう。

 まあ、本人も戒厳令下で逮捕対象のひとりだったとされているので、その意趣返しなんでしょうが。
 なんといえばいいか。趣味が悪いよなぁ……。

 さて、16時から2回目の弾劾決議案の採決が行われます。Xで周辺状況を含めた速報、ブログでは結果の速報を予定しています。

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「韓国の民主主義は成熟している」……その「成熟した民主主義国家」で起きた政治関連の嫌がらせを見てみよう!

尹氏ら母校、制服着用を免除 前国防相も同窓、生徒に嫌がらせ―韓国(時事通信)
韓国の尹錫悦大統領が3日に宣言した「非常戒厳」に絡み、尹氏の母校であるソウルの沖岩高校が、当面制服着用を免除する対応を取った。非常戒厳を同校出身者らが首謀したとみられており、同校は「生徒たちが不当な扱いを受けないため」としている。

同校は私立の名門校で、尹氏と共に非常戒厳を首謀したとされ、検察に身柄を拘束された金龍顕前国防相は、尹氏の1年先輩。内乱容疑で告発され、8日に辞任した李祥敏前行政安全相は尹氏の4年後輩だ。非常戒厳宣言後に主要政治家の逮捕を命じた疑いが持たれている呂寅兄前防諜(ぼうちょう)司令官も同窓生。

9日から終業式が開かれる来年2月6日まで、自由な服装を認める。
(引用ここまで)


 韓国の「素晴らしく成熟した民主主義」についての記事を何本か。
 まず、ユン大統領、キム前国防部長官の母校が制服の着用を取りやめた、とのニュース。
 在校生徒に「卵を投げられる」「悪口を言われる」等の嫌がらせがあるので、当該の高校の生徒だと分からないように私服登校を認めると。
 いやぁ、成熟してますなぁ。
 成熟しまくって腐ってきてんじゃないかってくらいに成熟してます。

 続いてもう一本。

弾劾訴追案採決をボイコットした韓国与党議員らの自宅・事務所前に葬儀用花輪・生卵投げ付け…カッターナイフも(朝鮮日報)

 こちらは7日の弾劾決議案に反対した与党・国民の力所属の議員に向けての嫌がらせ。
 葬儀用花輪を出すのはもうおなじみですね。え、馴染んでない?
 おかしいな、韓国ではありふれた風景なんですけどね?

謹んで故人の冥福を祈ります─事務所への葬儀花輪は韓国K-POPファンの変質の象徴?(ニューズウィーク)

 別にこれ一件ではないですよ、もちろん。


 大手事務所のHYBEとかSMエンターテインメントはこうして葬儀用の花輪の洗礼を受けるのはもう日常茶飯事です。



 なにか気に入らなければ即花輪。
 政治家だろうが芸能事務所だろうが。
 今回もそのように毎度恒例の儀式が行われたにすぎません。いや、民主主義を体現してますね。

 もうひとつ行ってみましょうか。

戒厳に乗じて政界発フェイクニュースに…普段は何も言わない在韓大使館が先を争ってコメント(中央日報)

 祖国革新党(チョ・グクが党代表の第3政党)所属の議員が「このままだと来年韓国で開催されるAPECに、ファイブアイズの国々がボイコットすると言っている」とのフェイクニュースを流して、それぞれの大使館が「フェイクニュースです」って表明しているっていう。
 これ、なんで駐韓大使館が対応に追われたかっていうと、「おまえらの政局にうちの国を巻き込むな」ってことですね。
 そんな外交の初歩の初歩すら知らない連中が「議員でござい」ってやっているってわけです。
 いやー、成熟してますね。
 「韓国の成熟した民主主義」に関してお伝えしました。
 明日は弾劾決議案採決(1週間ぶり2回目)となります。一応、速報予定。

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ユン大統領「わたしは悪くない。内乱じゃないし、弾劾されたら正々堂々立ち向かう」→与党代表「ダメだこりゃ。弾劾賛成しよう」

尹大統領「非常戒厳宣布は統治行為…なぜ内乱になるのか」(朝鮮日報)
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は12日、「国を救おうとする非常措置を、国を滅ぼそうとする内乱行為と見なすことは、韓国の憲法と法体系を深刻な危険に陥れることだ」と述べた。

 これは、尹大統領が同日の国民向け談話で、「国政マヒの亡国的非常事態において国を守るため、国政を正常化するために大統領の法的権限により行使した非常戒厳措置は、大統領の高度な政治的判断であり、国会の解除要求のみにより規制できる」として、述べたものだ。

 そして、「これは司法府の判例と憲法学界の多数意見であることを多くの方々が知っている」「私は国会の解除要求を直ちに受け入れた」と言った。

 さらに、「毎日のように数の力で立法暴挙を繰り返し、ひたすら防弾にばかり血眼になっている巨大野党の議会独裁に対抗し、大韓民国の自由民主主義と憲政秩序を守ろうとした」と主張した。

 その上で、「その道しかないと判断して下した大統領の憲法的決断であると同時に統治行為が、なぜ内乱になるというか」と問い返した。
(引用ここまで)


 ユン・ソンニョル大統領が今朝、唐突に「国民向け談話」を発表しました。
 これがまあ……なんというか、現実が見えてないなぁと思わされるものでして。

・「野党が国政を麻痺させてきた。反国家勢力ではないか」
・「そのため非常戒厳の宣言を決断した」
・「戒厳令発令は大統領の統治行為のひとつ。内乱にはあたらない」
・「弾劾であれ、捜査であれわたしは堂々と立ち向かう」

 まあ、「自分の行為を正当化」するのであれば、こう言わざるを得ないかな……とも思われますが。
 謝罪談話は2分くらいだったのに、こっちの談話は30分に渡って延々と話し続けるっていうね。

 さすがにこの談話に与党側も匙を投げた感があります。
 与党・国民の力代表であるハン・ドンフンは記者会見で「弾劾決議案に賛成すべき」と述べています。

ハン・ドンフン「ユン弾劾が唯一の道、 議員たちの所信に従って投票しなければならない」(朝鮮日報・朝鮮語)

 国民の力所属議員に弾劾賛成を促しました。
 ただし、ハン・ドンフン自身は国会議員ではないので投票はできません。
 「責任を負わないで済んでいる」部分もありますね。


 こうした弾劾上等は以前から述べていたのですが、その背後には「イ・ジェミョンへの高裁、大法院(最高裁)判決が半年以内に出るのではないか」とする期待もある模様。

「非常戒厳を宣布するほかなかった状況を弾劾審判で疎明したい」 憲法裁の判断に期待する尹大統領、共に民主・李在明代表の裁判日程も考慮か(朝鮮日報)

 弾劾が可決された後、憲法裁判所は180日以内に弾劾の可否を宣告しなければならないと定められています。
 公職選挙法違反は高裁、大法院の場合、それぞれ3ヶ月以内に審理を終えて判決を出さなければならないと定められています。

 ユン大統領への弾劾宣告が先か。
 イ・ジェミョンへの有罪確定が先か。
 「勝負だっ!」

 どんな勝負なんだか。まあ、どちらにせよ与党側に弾劾賛成票を投じる造反へのハードルは今回のユン大統領による談話で大きく下がったと言えるでしょう。
 これで1票差で可決できなかった、とかも面白いんだけどなぁ。
 「チョ・グクの有罪判決さえなければ!」とか大法院に非難の声が出て、心証を悪くするとかあったらまた楽しからずや。

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だめだこりゃ(新潮文庫)
いかりや 長介
新潮社
2010-08-01

駐韓アメリカ大使「いま北朝鮮から韓国に挑発事態があったら誰が対応するのか。大統領なのか、首相なのか」……統帥権どこにあるんですかね

駐韓米国大使が与党代表と面談、韓国軍統帥権問題で懸念表明「北が挑発してきたら誰と話せばいいのか」(朝鮮日報)
フィリップ・ゴールドバーグ駐韓米国大使が韓国政府高官や与党・国民の力の上層部に相次いで会い、「非常戒厳」問題以降の韓国軍統帥権問題に懸念を表明していたことが10日、分かった。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が政治的に軍統帥権を行使するのが困難な状況で、北朝鮮の軍事挑発などの有事の際、「韓悳洙(ハン・ドクス)首相・韓東勲(ハン・ドンフン)与党・国民の力代表」体制は大統領固有の権限である軍統帥権を行使できるのか、ということだ。9日にゴールドバーグ大使と面談した韓東勲代表は、同日中に行われた国民の力の非公開議員総会で「米国から『われわれは誰と話し合うべきなのか。尹大統領か、それとも韓悳洙首相か』と直接、質問された」と言ったという。外交消息筋は「米国は、韓国の軍統帥権が事実上の空白状態にあるとみている」「韓半島(朝鮮半島)に自国の軍人2万8500人とその家族が滞在している米国としては、安保問題が最優先の関心事にならざるを得ない」と話す。 (中略)

 ゴールドバーグ大使の発言は公表されていない。だが、本紙の取材を総合すると、同大使は韓国政府関係者に対し、「韓悳洙首相・韓東勲代表」体制における韓半島の安保問題について「北朝鮮が韓国を挑発してきたり、北朝鮮で急変などの事態が起きたりした場合、米国は韓国の誰と話し合うべきなのか」という趣旨の質問をしたという。これに対して、韓悳洙首相はゴールドバーグ大使に「憲法上の変化なしに、首相と与党代表が共同で何かを決めて国家運営をすることはないだろう」という趣旨の説明をしたとのことだ。韓国軍統帥権などを首相と与党代表が任意に握り、行使することはできないという意味だ。

今月3日夜に尹大統領が非常戒厳を宣布した直後、ポール・ラカメラ韓米連合司令官(在韓米軍司令官)が韓国軍と協議した後、対北朝鮮情報監視態勢「ウオッチコン」を格上げするなど、韓半島の安保は非常状態にあるが、現在の韓国軍統帥権は米国が懸念するような空白状態同然だという指摘だ。韓国軍統帥権は憲法に明記されている韓国大統領固有の権限だ。大統領が弾劾され、職務が停止されれば、首相が権限代行としてこうした大統領固有の権限を行使することができる。しかし、7日に尹大統領弾劾訴追案が廃案となり、法的に尹大統領の職務は停止されず、大統領固有の権限も依然として尹大統領にある。だからといって、政治的に無力化している尹大統領が軍統帥権を行使することは実質的にできない状態だ。
(引用ここまで)


 駐韓アメリカ大使がハン・ドクス首相に会って「いま、北朝鮮が攻めてきたら誰がどのように対応するのか」と問われたとのニュース。
 現在における最大の問題はこれなんですよね。
 有事が起きた時、三軍の長は誰なのか。
 対応を誰がするのか。

 いまの北朝鮮は「韓国は別の国」「統一などしない」と原則を変更した状態なので、侵攻はないと思われるのですが。
 これが80年代とかだったら「お、統一チャンス!」とばかりに侵攻していた可能性すらありますよ。
 まあ、そこから第3次世界大戦の火蓋が切られかねないので実際はどうだろうとは思いますけどね。


 別に有事に限ったことでなく、いま大地震が起きたらどうするのかとか。
 大使の着任挨拶は誰にすればいいのかとか。
 外交とか一切考えてないんだろうなぁ……ってところですね。

 セウォル号クラスの事故が起きたらどうするんだ……って思ったのですが、あの時もそういえばパク・クネ大統領は7時間くらい行方をくらませていたんだった。
 じゃあ大丈夫か。


 「そんな大事故とか有事とか起きないよ」とは思うのですが。
 政治、行政ってものは「もし起きたらどうするか」に備えることですからね。

 なお、ユン大統領本人は「憲法裁判所の判断を仰ぐ」として、弾劾上等の気分だとのこと。

与党に早期退陣案を提示された尹大統領「弾劾訴追後に憲法裁で法的対応」(朝鮮日報)

 自ら辞任はしないそうですよ。
 ということは自分のやったことを間違いだとは認識してないんでしょう。
 「良心のある人々になら分かってもらえるはずだ」くらいに思っていそうですね。

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ユン大統領の戒厳令発令、なにかひとつ変わっていれば成功していた可能性も……軍トップは「国会で議員を(戒厳令解除ができる)150人以上にしてはならない」と指令していた

韓国非常戒厳 尹大統領暴発、背後に3人の金氏と心の限界(日経新聞)
なぜ韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は誰が考えても勝算の見込めない強硬手段に走ったのか。このタイミングの狙いは何だったのか――。 (中略)

予算の政府原案に対し野党が国会で単独可決した減額案によって、権力の中枢機関である大統領秘書室・国家安保室、検察、監査院の特別活動費などが全額削られたからだ。特別活動費は対外的に公開されない情報収集、捜査、安保関連などに充てられる予算で、韓国メディアによると、総額計4000億円超に上る。

これでは治安を維持できない。野党のやり方は内乱に近い――。尹氏は怒りをあらわにし、どんな手を使っても野党の動きを食い止めなければならないと考えたというわけだ。
(引用ここまで)


 ユン大統領はなぜ戒厳令発令に至ったのか、さまざまな解説記事がありますが総合的に腑に落ちるのはこの記事のものですかね。
 日経の会員限定のものなので引用は最低限。

 野党議員が192人、与党議員は108人となる極端なねじれ国会。
 4月の総選挙でもまったく構造が変わらずに、就任からこっち野党にやられまくり。
 ムン・ジェインの遺した負の遺産で建設業が奮わず、不況は深まるばかり。
 対策を打ち出そうにも野党は予算案すら認めない。

 心が折れて、一発逆転の戒厳令の誘いに乗ってしまったのではないかと。
 ここのところの情勢を見ていたらそうした部分もあるだろうな、と感じられます。


 戒厳令発令が短時間で終わり、「上からのクーデター」を封じたのはエリートたちの矜持だったとする木村幹教授のコラムも紹介しておきましょうかね。

韓国大統領の暴走を止めたのは、「エリート」たちの矜持だった(ニューズウィークジャパン)

 国会敷地内に直接ヘリコプターで突入した部隊は「国会に行っただけ」でサボタージュしていたことは誰の目にも明らか。
 彼らが「やる気」であれば片っ端から国会議員を逮捕して、議場に入れた国会議員を戒厳令解除できる150人未満にすることもできたはず。
 というか、そのように国防部長官から指示されていたってニュースもあります。

特戦司令官「国防長官が国会議員150人を超えてはならないと指示」(聯合ニュース・朝鮮語)

 大統領の暴走を未遂レベルで防げたのはたまたまでしかない。

 その一方で15万人の国民が国会前に集結しながらも、与党・国民の力は大統領弾劾を拒絶したわけで。
 「強者の確固たる悪意」の前には「市民のデモ」なんてものが力を持たないことが分かりますね。
 ま、シリアやロシアを見ても分かるように、ですわ。

 こうした事態に対して、「国民が自ら現場に赴いて意思表示」しなくちゃいけないのが「成熟した民主主義」だったらそんなもんはいらないなぁ。

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韓国与党、国民からの「弾劾賛成!(74%)」の声に耐えられるのか……明日で戒厳令から1週間、いまだに具体的な対応策を打ち出せないまま

「イ・ジェミョンに対抗する弾劾防御線崩壊」 与党、超非常事態…「ユン特検」の主張まで出た。(中央日報・朝鮮語)
14日に予定された尹錫悦大統領弾劾訴追案国会本会議2次表決を控え、与党内部で「弾劾案通過を果たしていつまで防ぐことができるのか」という疑問が大きくなっている。 12・3非常戒厳事態の余波で与党が根こそぎ揺れるが、弾劾に対する対応として出した「秩序ある退陣」方案は何日も実体さえ不明なためだ。

国民の力は9日、最高位・重鎮会議・議員総会などを相次いで開いた。 衆知を集めるという趣旨だったが、ユン大統領の退陣時期や方法などについて、すっきりとした答えを出す人はいなかった。 最高委と5時間の議員総会の後、政局安定と法令検討などを担当する議員タスクフォース(TF)を構成することにしたが、「時間単位で戒厳事態関連者が緊急逮捕され、尹大統領が出国禁止されるなど政局が動揺しているのに、わが党はあまりにも暇なのではないか」(初当選議員)という反応が出た。 (中略)

党がこのような状況に追い込まれると「弾劾防御線が開通するのは時間の問題」という憂慮があふれている。 この日の議員総会で複数の議員たちは「集団退場するのではなく反対票を投じても表決は参加しなければならない」という趣旨で主張したという。 弾劾案が否決された7日とは気流が変わったのだ。 匿名を望んだある与党の初当選議員は電話取材に対し、「国民世論が痛いということを肌で感じる。 次の採決では賛成票を投じるかどうか深刻に悩んでいる」と述べた。 別の議員は「1·2次までは阻止しても3次、4次、5次弾劾表決まで継続阻止できるか疑問」と話した。
(引用ここまで)


 明日10日に韓国の通常国会は終了します。
 で、11日から臨時国会を召集して、即座に弾劾可決案を再提出。
 14日には採決ってスケジュールになるそうです。

 大統領への弾劾決議案は、1回の国会会期中に1度だけしか出せません。
 というわけで天の利が野党にあるわけです。現在が通常国会のはじまった9月頃だったら、通常国会終了まで待たなければならなかったのですが。
 通常国会終了後であれば「毎週繰り返し弾劾決議案が提出できるドン!」って状況。

 共に民主党の弾劾攻勢に国民の力が耐えられるのかどうか。
 ……難しいかな。
 国民は明白に弾劾を要求しています。  


 韓国ギャロップが行った6、7日の世論調査では「弾劾に賛成する」との回答が74%。
 戒厳令発令に厳しい意見も多いですね。

国民10人中7人「戒厳は内乱‥弾劾賛成」‥支持率も11%(MBC・朝鮮語)

 もはや「がちがちの保守岩盤層」しか反対していない。
 この世論の大波にどこまで国会議員が耐えられるのか。
 「責任首相性」にするんだか「挙国内閣制」にするんだかいまだに決めることすらできていない。
 明日で戒厳令発令されてから1週間。このままでは身内からの脱落を防げないでしょうね。

 アン・チョルスはすでに造反しているので、弾劾可決に必要な200票まであと7票。
 14日の採決前の12日にチョ・グクへの有罪判決が確定した場合は国会議員職を喪失するので、比例繰り上げ当選が認められるまで8票が必要。
 どっちにしてもハードルは低め。

 無記名投票でかつ、投票用紙記入の際は中が見えないようにカーテンのあるボックス席で。
 出席さえ認められたら「可」と書くことはそんなに難しくない。
 いつまでも本会議場から退出し続けることもできないと思いますよ。

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韓国の戒厳令騒ぎ、外交・経済に明白な影響が出はじめてしまう……米国防長官、サウジ王子が相次いで訪韓を中止、株価、ウォンともに値下がり

ゴールドマン「過去の弾劾と違う…来年の成長率下方リスク強まる」警告=韓国(中央日報)
非常戒厳事態と弾劾政局をめぐる不安定な政治状況が韓国経済の不確実性を高めるという懸念が海外でも相次いでいる。

グローバル投資銀行(IB)ゴールドマンサックスが9日、過去の弾劾政局と違い、今回の非常戒厳と弾劾事態による混乱で韓国経済は来年の成長にも赤信号がついたと分析した。ゴールドマンサックスのエコノミスト、クォン・グフン氏はこの日、報告書「短い戒厳令事態の余波」で「来年の韓国の成長率予測値を市場の平均より低い1.8%に維持するが、リスク(危険)は下方に傾いている」と述べた。

特に2004年の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領弾劾、16年の朴槿恵(パク・クネ)大統領弾劾など過去の政治的な混乱は経済成長率に大きな影響を及ぼさなかったが、今回は異なると分析した。最も大きな違いは、韓国経済を支える「輸出」環境が変わった点だ。

クォン氏は「過去の(弾劾政局で)韓国経済は2000年半ばの中国景気好況、2016年の半導体サイクルの強い上昇など外部の追い風で成長した」と話した。しかし来年は韓国の輸出に影響を及ぼす中国の景気鈍化と米国の貿易政策の不確実性でむしろ外部の逆風に直面したと分析した。
(引用ここまで)


 国外からも今回の戒厳令騒動についての憂慮の声が出ています。
 投資銀行系からは「今回の戒厳令騒動が韓国経済にマイナスの影響を及ぼすだろう」との予測が出ています。

 週明けの今日、韓国の総合株式指数であるKOSPIは2380.56ポイントと2.78%の下落。
 ここ6ヶ月のチャートはこんな感じ。

スクリーンショット 2024-12-09 18.44.14.png
(チャート引用元・Yahoo! ファイナンス

 韓国の株式市場全般がここのところ奮わなかったのは確かですが、8月の暴落時に追いつくくらいになってしまったと。
 それでなくともDRAM、NANDともに下落基調にある中、韓国経済への不信感がいっそう増した結果になったわけです。

 為替については3日の時点でだだ下がり。今日はさすがにそこまでの動きはありませんでしたが……傾向としてウォンの続落でしょうね。


 それ以外にも訪日・訪韓予定とされていたアメリカのオースティン国防長官が訪日のみに変更。
 まあ、訪韓は予想されていただけで公式なスケジュールとして発表されていたわけではないのですけどね。
 ここのところ基本的に国防長官や国務長官が訪日する場合には韓国(や、東南アジア)にも訪問するのはお決まりのパターンでした。

米国防長官、訪日発表「訪韓は推進する」(聯合ニュース・朝鮮語)

 まあ、いま訪韓したところで誰に会うんだって話ですわな。
 駐韓アメリカ大使と会うくらいしかできないでしょ。

 あとサウジの王子が訪韓をキャンセルしています。
 タイの空港ではウォンの両替中止の貼り紙が出てたとのこと。

「韓国は安全だ」と説得したが…「サウジ王子も訪韓取り消し」(イーデイリー・朝鮮語)

 こちらは政治日程ではなくただの旅行だったそうですが、逆にいえば「王子ですら行くのを躊躇するのに、一般の外国人が行かないよね」って話でもある。
 日本ほどではないですが、韓国もコロナ禍前の2019年比でようやく100%になるか上回るか……くらいまでインバウンドが伸びていたのですね。
 それすらも潰されているって状況です。

 とまあこんな感じで経済、外交に影響が出はじめてます。
 たとえば外国の首脳が韓国訪問したとして、誰に会えばいいんだっていう。
 「大統領はいますが、権限はありません」「内閣が権限代行していますが憲法違反の状況です」……これに会う首脳いる?

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