内乱被疑者として立件された尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は8日、イ・サンミン行政安全部長官の免職案を受理した。与党「国民の力」のハン・ドンフン代表による、尹大統領は第一線から退くとともに「事実上、職務から排除される」との発言とは異なり、依然として自身が大統領としての権限を行使していることを示したのだ。
国会による弾劾案可決で大統領の職務が法的に停止されない以上、尹大統領の権限行使を阻止する方法はない。そのことが確実になったわけだ。
行安部はこの日午後、記者団に対して「イ・サンミン行安部長官が辞意を表明した。その辞意が受け入れられたので、声明を発表する」と公示した。通常は大統領室が資料を発表して知らせる国務委員人事を、行安部が資料を発表して公示したのは異例。
野党から「内乱の主犯」の1人として名指しされているイ前長官については、共に民主党が前日に弾劾訴追案を国会に報告しており、10日に国会で採決される予定だった。
このような状況において尹大統領が免職案を受理したことについて、政界では、長官の弾劾案が可決されて代行体制となることを回避するための先制措置だ、あるいは自身の「職務からの排除」に言及したハン代表などに対するメッセージだ、との解釈が示されている。
(引用ここまで)
韓国では大統領の職能は本当に大きく「帝王のような大統領」と呼ばれることもままあります。
内閣の任命権もそのひとつ。
国会は内閣人事に対して聴聞会を開くことはできますが、国会の同意がなくても任命することはできます。
逆に辞任の承認も大統領の役割のひとつ。
で、今回の戒厳令事態でユン・ソンニョルを押込して、大統領の役割を「内閣がすべて代行する」はずなのですが。
行政安全部長官の辞任を承認しているではないか、とするハンギョレの記事。
責任内閣制、挙国内閣制どちらも決まっていないので、現状では大統領の職能はすべて大統領がやるしかないのですが。
こうして大統領がなにかをする度に非難の声が上がるのは当然。
そして最後の切り札であるはずの内乱罪の捜査についても混乱が起きています。
検・警・公捜処戒厳捜査混線…コントロールタワーなしで鮮明性を競う (聯合ニュース・朝鮮語)
ムン・ジェイン政権で大きく捜査権を削られた検察。
その捜査権を移譲した警察。
そしてムン・ジェイン政権で新設された高位公職者犯罪捜査処。
それぞれが内乱罪について捜査していて、かつ国会も「我々独自の特別検察を設置すべきだ」とかやっているので船頭多くして……ってなっているっていう。
そもそもが「現役大統領の犯罪」に対してほとんどの場合で訴追免除されるので、捜査権をどこが持つのかとかろくに設定されていないのです。
うん、いいですね。とても韓国らしい。
ちなみに「挙国内閣制」も、明らかに憲法違反ですからね。このあたりも捜査が入ると面白いと思います。
Twitterで更新情報をお伝えしています。フォローはこちらから→Follow @rakukan_vortex