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カテゴリ:尿素大乱の記事一覧

2年前に韓国で起きた「尿素水大乱」、原因は在外公館が情報収集を怠っていたせいだった……民間企業から「このままでは流通がゼロになる」と警告を受けてようやく動いたものの、時既に遅し……

海外駐在官勤務怠慢…「尿素水大乱」を呼んだ中国発表も見逃した(朝鮮日報・朝鮮語)
2021年10月13日、韓国の関税庁にあたる中国海関総署が要所(尿素)の輸出制限措置を発表した。 中国がオーストラリアとの貿易戦争で石炭輸入に困難を来たすと、石炭で生産する要素の輸出を阻み、中国内の石炭消費を減らそうとしたのだった。

この措置は韓国で「尿素水大乱」を招いた。 尿素を水に溶かして作る尿素水はディーゼル自動車の運行に欠かせないが、韓国は尿素水の97%を中国から輸入してきたからだ。 尿素水が底をつくと、全国の貨物車が止まるところだった。

しかし、韓国政府は中国が尿素輸出を制限してから1週間以上、その事実を知らずにいたことが監査院の監査結果明らかになった。 経済省庁から中国に派遣された駐在官(駐在官)が業務を疎かにしたためだった。 彼らは2021年9月、中国政府が輸出制限措置を議論し始めたにもかかわらず、これを把握できず、10月13日に輸出制限措置が海関総署ホームページに公告されたにもかかわらず、これさえ逃した。 5日後の10月18日、関税庁から派遣された駐中国大使館関税官は公告文を大使館職員に翻訳してみさせた。 しかし、彼も中国の尿素輸出制限が韓国にどのような影響を及ぼすかは理解できなかった。

問題が発生したことを知らせたのは韓国企業だった。 ある企業が上海総領事館に「中国の尿素輸出制限で国内で尿素水の品薄現象が起きる可能性がある」と知らせたのだ。 その時になって、この問題が駐中大使館と産業通商資源部に報告された。 関係省庁が初の対策会議を開いたのは10月29日だった。

同日、鄭義溶(チョン·ウィヨン)外交部長官(当時)は、イタリア・ローマで開かれた主要20ヵ国(G20)首脳会議で、中国の王毅外相と略式会談を行った。 しかし、鄭長官は会談で、中国の要素輸出制限を取り上げなかった。 鄭長官はその後、国会で「それ以前に出国したため、尿素水問題の報告を受けていない状態だった」と述べた。 韓国政府は一歩遅れて対応に乗り出した。 11月9日、中国から国内で2カ月間使える量の尿素輸出承認を受けたが、その後もしばらく尿素水の品薄状態が続いた。 中国駐在官が尿素輸出制限措置を適時に把握し、韓国政府に知らせて早期に対応させたとすれば、尿素水大乱は当初から起きなかったかもしれない。
(引用ここまで)


 2021年11月に韓国で「このままでは尿素水が底をついて物流がゼロになる!」と騒がれたいわゆる「尿素水大乱」を覚えていますでしょうか。

韓国政府「このままでは物流が途絶える!」……ディーゼル用の尿素水輸入がゼロになって韓国のトラックが立ち往生へ……(楽韓Web過去エントリ)

 韓国国内では「経済性がない」として10年以上前に尿素、アンモニアの製造を終えていたことから大混乱を引き起こしました。
 たしか中国から尿素の緊急輸出を受けてなんとか一段落したんだったかな。
 その後、日本でもちょっとだけ品薄になることがありましたが、そこまでの混乱はありませんでした。

 尿素水大乱が起きた原因はオーストラリアからの石炭を中国が禁輸したことにありました。
 中国ではこれが原因で頻繁な停電まで引き起こしていましたが、その対策のために石炭から製造する尿素の輸出を取りやめ。
 ただし、サプライチェーンの多重化を行っており、アンモニアの国内製造も行っている日本はほとんど影響なくスルーすることができました。
 韓国は2021年実績で尿素の71%を中国に頼っていたためにこのような混乱を引き起こしたというわけです。
 ちなみに2022年には63%にまで引き下げることに成功したのですが、2023年には91%になっていたってオチまで用意されています。


 この中国による石炭節約に伴う尿素輸出規制は予告されていたものでした。
 それでも韓国政府は当時、なんの事前準備もすることなかったのですね。
 当時の閣僚からは「尿素云々は肥料のことかと思ってた」なんてコメントが出てたくらいです。

韓国政府高官「尿素水、肥料のことだと思ってた」……省庁も知らされるまでなにも行動できず……ダメだ、この国(楽韓Web過去エントリ)

 んで、今回はさらに在外公館がそうした情報収集すらろくにできてなかったことも分かった……とのニュース。
 うん、まあ情報収集ができてたらあんなことにはなってないか。
 最終的には「このままだとディーゼル車が動かなくなるぞ」って韓国企業から警告があって、ようやくその情報が省庁にまで回り出したっていうオチになったと。
 当時、G20外相会議が行われていたのに、情報が出てなかったので王毅長官にこの件を話すことすらできなかったそうですわ。

 とても韓国らしいお話ですね。

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韓国メディア「中国と距離を取る外交政策を取りつつ、尿素の中国依存は90%超とか我々はなにをやっているのやら……」と尿素不足を嘆く

カテゴリ:尿素大乱 コメント:(52)
また「尿素事態」の心配、急に起こったことなのか(聯合ニュース・朝鮮語)
「中国海関総署(関税庁)は先月30日、現地企業が韓国のある企業に輸出しようとしていた産業用尿素の輸出を突然見送った」
中国からの尿素需給に問題が生じたという事実が国内メディアを通じて知らされたのは今月3日だ。
中国肥料業界で来年第1四半期まで輸出中断が続き、最初から輸出物量を70%程度減らすことができるという話まで出てきて、2年前に体験した「尿素大乱」が再び起きるのではないかという不安感が随所で感知されている。 (中略)

外交街では、中国が交渉を通じて2年前のようにいかなる方式であれ、韓国輸出用尿素の物量を供給する可能性があるという観測が慎重に提起されている。

韓国貿易協会の統計によると、今年の産業用尿素の中国依存度は1月95.9%から始まり、上半期には2月85.9%→3月87.0%→4月88.7%→5月88.5%など、概ね80%台後半の水準を維持した。
ところが6月になると依存度は90.1%になり、以後7月90.2%、8月90.7%と次第に高まり「警報音」が鳴った9月には92.0%、10月には91.8%を記録する。
中国は9月119万トンだった尿素輸出量を10月56万トンに50%以上減らしたが、韓国の中国産産業用尿素輸入量は9月22万3千トンから10月26万7千トンにむしろ増えた。
10月だけ見れば、韓国への産業用尿素輸出量が中国全体尿素輸出量の半分程度であるわけだ。

2021年「尿素大乱」を経て中国依存度を下げなければならないという声が力を得たが、農業用要素依存度だけ2021年60%台から今年10〜20%台に下げただけで、産業用要素依存度は絶対的な比重にまで高まったことが明らかになる部分だ。
もちろん農業用尿素と産業用尿素は製造技法に違いがあり、表面処理をしていない状態で輸入する産業用尿素は時間が経つほど尿素水が作りにくくなるので、国内で距離が近いところで調達するのが有利だという指摘もある。
しかし、2021年の事態で高まった輸入先多角化の声が実現しなかったのも厳然たる事実だ。

中国が尿素まで「資源兵器化」リストに含めたという批判もあるが、韓国の輸入量と中国内需給·価格事情などを総合してみれば、韓国のこのような「中国一辺倒」輸入方式が中国に武器を握らせてしまったとの説明が的を射ている気さえする。 (中略)

「中国牽制」の当為性や効果に対する評価とは別に、中国を政治的に牽制しながらも主要物資の貿易依存度を高めることは「戦略的」でつじつまが合わないためだ。
(引用ここまで)


 第2次尿素水大乱が現状で起きているのかいないのか分かりませんが。
 中国一辺倒でサプライチェーンを組んでいることが問題だ、という意識は韓国にもあるようです。
 2年前、あれだけひいこら言っていたのに、なんの対策もしていない。
 いや、一応備蓄は3ヶ月弱くらいはあるのだから対策はしていたのでしょうが。

 大元がガバガバなんよな。
 農業用尿素は10〜20%ていどまで中国からの輸入割合を下げても、産業用尿素は90%超を中国に依存。
 それでいてユン政権は地味に中国から距離を取る外交政策を続けていたっていう。
 まあ、それなら普通はサプライチェーンの再構築を最優先にしてやっていそうなもんですが。
 ……やらなかったんだな、これが。


 ちなみに現行の自動車用ディーゼルエンジンにはすべて尿素SCRシステムが搭載されており、アドブルーなしでは走れません。
 ほとんどの日本の火力発電所には同様の脱硝システムが搭載されていて、比較的に排煙がきれいであるとされています。窒素酸化物、NOxはPM2.5の素ともされていて大気汚染の原因のひとつですね。

 石炭火力の多い韓国でも尿素SCRシステムが搭載されているものがあるのですが、その割合は10%ほどでしかないとされています。

韓国尿素水大乱:火力発電所の備蓄尿素水も残り1ヶ月分……年末にはトラックが止まり、火力発電所が止まる事態も?(楽韓Web過去エントリ)

 韓国の大気が世界でもっとも汚いのも、韓国国内に原因があったりするわけです。もちろん、中国の影響もゼロではないでしょうけどね。

 火力発電所の尿素SCRは10%ていどであったとしても、こうした産業のシステムに組み入れられているものを外国に依存し続けている異様さよ。
 アメリカも日本もアンモニアの生産、そして尿素への合成は手元に置いているのにね……。
 ちなみにUBEが2030年にはアンモニアの生産から撤退すると発表して日本もけっこう危険な状況ではあります。グレーアンモニアは目の敵にされているからなぁ。

 あ、一応韓国でもサプライチェーンの再構築に向けての努力はするとのことです。

長官級サプライチェーン会議、明日初稼動···ガリウム・尿素「資源武器化」対応(毎日経済・朝鮮語)

 いまから会議なんですねー。がんばれー。

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韓国の尿素騒動、インドの尿素大量買い付けで中国国内の在庫調整が起きたからだった……いや、脆弱すぎない?

インドが尿素を一掃し、中国が輸出を統制……韓国では大乱の兆し(YTN・朝鮮語)
最近インドの尿素輸入が急増したという業界関係者の話を聞いて、関連統計を調べてみました。
今年10月までの中国の尿素輸出統計を見ますと、9月に118万トンと何倍も急増します。
インドが一度に86万トンを買い入れたからです。
中国内の尿素在庫量は47万トン、昨年同期比半分になりました。
中国内の尿素価格が高騰すると、当局は輸出を防ぎ、鎮火に乗り出しました。 (中略)

中国は今回の輸出統制が内部需給調節用に過ぎず、政治的考慮はないと線を引いています。
ところが、中国の本音を代弁する官営紙は最近、世界の陣営対決の構図と無関係ではないと書きました。
特に韓国だけが過敏反応を見せるとして、疑い病、パニック症という原色的な表現を使ったりもしました。

ユン・ソクヨル政府になって米国の中国圧迫に参加したせいで、尿素について報復されるのではないかと足をしびれさせた(訳注:勘違いした、といった意味の慣用句)ということですが。
そして、2年前の尿素水大乱の時のように友好的な交渉を通じて尿素を緊急輸入できると訓戒しました。
「友好的」「交渉」という言葉から、中国が望むことが何かを垣間見ることができます。
(引用ここまで)


 韓国で一昨年の尿素水大乱に続いて、今年もほとんど同じ時期にまったく同じ形で尿素不足が起きています。
 同じ時期になぜだろう、とも思った部分があったのですが。
 去年起きなかったこともあって「たまたま……かな?」と判断していたのですよ。

 けっこう納得できる理由が出てきました。
 一昨年も今年も中国の尿素をインドがドカ買いしたのが原因だったとのこと。
 あまりにも一気に買ったことから中国国内の在庫が少なくなり、「在庫調整」を名目に輸出禁止になるっていう。
 で、その余波が韓国に向かって「アドブルーないからディーゼル車動かせません」ってなりそうだと……。

 去年はインドの大量購入がなかったから尿素不足に陥らずになんとかなってしまったんで、中国製への揺り戻しがきたってことか。


 アンモニアも尿素も戦略物資のひとつなんだから自国生産をいくらかでも残しておけばいいのにとは思いますわ。
 現状、韓国での尿素製造はラインがなくて不可能。
 経済性で中国製に劣る、との理由だそうですわ。

 それでなくても中国はこうした物資で他国を操ろうとする事実があるわけで。
 輸出については日本に対してのレアメタル、あるいは今年になってからゲルマニウム、ガリウム、黒鉛の輸出制限。
 輸入については台湾のパイナップルや仏頭果、フィリピンバナナ等々。
 韓国でも韓国芸能人の中国締め出しやロッテグループへのいじめなんかがあったんだから、分かりそうなもんですけどね。
 中国についてなら、つきあいは日本よりもよほど深いのですから。

 中国のシンクタンクからは「対中協力を重視すればこんなことも起きないんじゃないの?」みたいな韓国向けの提言が出てるそうです。

中国シンクタンク「2年前の韓国の尿素不足を中国が解決…対中協力重視せよ」(中央日報)

 ま、中国が「韓国は尿素を作れないっと」ってメモってるのは間違いないでしょうね。

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中国、尿素輸出は来年3月まで許可しない方針……韓国の備蓄は2月で終わり……詰んだのでは?

「中国の尿素輸出は来年第1四半期まで許可しない···主要メーカー、輸出94万トン制限」(聯合ニュース・朝鮮語)
中国当局が最近、韓国への尿素輸出通関を突然保留した中、中国肥料業界の主要企業が来年度の輸出総量を自主的に制限することで合意したという。

5日、中国化学肥料業界オンラインプラットフォームである中国化学肥料網を見ると、業界アナリストの浦亜南は1日に掲載した文で「11月24日の会議で中寧グループ(CNAMGC)と中華グループ(Sinochem)など主要要素備蓄·貿易企業15社が2024年輸出総量94万4千トンを超過しないことに同意し、2024年尿素輸出自律(制限)協議を締結した」と明らかにした。

中国海関総署(韓国の関税庁に該当)の統計によると、今年1〜10月の中国の尿素輸出量は339万トンだった。 韓国は今年10月基準で産業用要素の91.8%を中国から輸入する。

プヤナンは「これら15社は港で輸出検査証を発給してもらうことができ、他の尿素生産企業は工場で検査証を受けなければならない」として「各業者の輸出量は保証された2023〜2024年備蓄量を基準とする」と説明した。

彼は「最近、輸出を全面制限するという噂がまた出たが、2024年第1四半期まで輸出を認めないということ」とし「調べたところによると、現在一部の港では(輸出)証拠書類を持っても輸出できず、貨物が港に積まれており、港の貨物が回収される現象もあるという」と伝えた。

この文が事実なら、中国の尿素輸出の道は来年度第1四半期まで閉ざされているうえ、来年1年間の輸出物量も大幅に減るものと懸念される。 (中略)

新華社財経は「2024年春の尿素の(中国国内)供給を保障しなければならないため、輸出が再び緩和されることは非常に難しく、国際価格が下がり始め、国内(メーカーの)輸出利潤も好転しなかった」とし「国内貿易商も輸出を選択しないだろう」と説明した。

今月初め、中国化学肥料網には中国の旧正月である春節前まで尿素供給量が確実に減るとし、12月に入って尿素輸出が暫定中断されたという文が掲載されたりもした。
(引用ここまで)


 中国当局が「中国国内の需要を満たすため」として尿素の輸出を来年の第1四半期まで停止。
 ですよね、といった結果。
 もうその傾向はだいぶ前から見えていました。



 この「中国でバナナ畑やショウガ畑を小麦畑に変える、公園をトウモロコシ畑に変える」っていう動画が6ヶ月前くらい。
 食料の大増産が共産党の大号令で行われているのだから、肥料である尿素はそうそう出せなくなるっていう。

 見えていた未来が到達しただけなんだよなぁ。


 というか、9月頃からすでに中国からの尿素輸出が危ういのではないか、とはされていたのですよ。
 当時から70日分の備蓄はあるとされていましたが。

韓国の物流を2年ぶりに尿素不足が襲う? 政府は「2月までの備蓄があるので問題ない」とするものの……(楽韓Web過去エントリ)

 いまから70日分の備蓄があるとして、2月早々には備蓄がなくなる。
 中国は第1四半期まで輸出をしない。
 あと尿素はけっこうさくさく劣化していくのでそこまでの備蓄も効かない。

 ……詰んでない?

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韓国尿素水大乱:中国「韓国を苦しめようとはしていない。たまたまだ」……それを信じるほど周辺国はナイーブじゃないよなぁ→韓国政府「政治的背景はないと確認した」……信じちゃったか

カテゴリ:尿素大乱 コメント:(54)
韓国行きの尿素輸出を阻止し、「意図はない」という中国…「さりげない力自慢を狙っただろう」(韓国日報・朝鮮語)
韓国メーカーが輸入する予定だった要素について、中国政府が先月、船積みを阻止したのは意図的だろうか。 結果から言えば、力を誇示しようとする意図が敷かれた措置である可能性が高い。 「国内要素需要のため」というのが中国の説明だが、核心原材料供給網掌握力を誇示しようとする内心が作用したという分析が多い。 中国は2021年、韓国の「尿素水大乱」を目撃した。

4日、韓国産業通商資源部(産資部)と駐中韓国大使館によると、先月末、国内企業が輸入しようとしていた要素の相当量が、中国海関総署(税関)の指示で船積み作業が中断された。 通関検査まで終えた後だった。 輸出が決まった物品の船積みを中断させたのは異例のことだ。 ある外交筋は「中国政府に背景を問い合わせ、通関物量の早期船積みを積極的に要請している」と伝えた。

韓国政府は、今回の中国措置に外交的意図があった可能性は大きくないと見ている。 (中略)

「国内備蓄量のため」という中国の釈明をありのまま受け入れるのは難しいという指摘もある。 韓国では2021年11月、中国の要素輸出制限で車両用要素数大乱が起きた。 中国産輸入比重が20%以下で、低い肥料用要素とは異なり、車両用要素に主に使われる産業用要素の中国輸入依存度は約90%に達する。 当時、韓国政府は中国に緊急交渉などを要請し、辛うじて予定されていた輸入物量を持ち込んだ。 今回の船積み中断が韓国に及ぼす影響を中国が認知しているという話だ。

尿素水大乱当時、中国は「特定国を狙った措置ではない」としながらも核心資源に対する支配力を誇示する態度を示した。 北京の産業界関係者は「今回も中国は『現措置が特定国を狙ったものではない』と言うだろうが、中国に対する韓国の経済依存度を密かに浮き彫りにする機会にすることができる」と見通した。
(引用ここまで)


 尿素大乱の続報。
 中国当局は「政治的な意図はない」「国内備蓄のためで経済的要因でしかない」としている、とのニュース。
 韓国政府もそれを受けて「政治的背景はないことを確認した」と言っているのだそうですが。

 まあ……そういう話があったのは確かなんでしょう。
 あと一昨年の尿素不足の時も中国からは「別に意図はない」って言われてたんですよね。
 ただ、実際に大騒動になったことは間違いありません。
 韓国の業者が日本にアドブルーの買付に来たくらいでしたからね。


 まあ、実際にそれが中国の輸出制限 × ムン・ジェイン政権の無能で偶発的に起きたものだったとしても。
 中国は「韓国に尿素輸出制限が効く」ことを把握しているわけですよ。
 今回の輸出制限がどこまでの意図を持って行われているのかは不明ですが。

 中国がテストパターンとしてやっていてもまったく不思議ではないですね。
 いざとなった時に、どれが効くのかっていうチェックをしている可能性を考えるべきではないかと。
 黒鉛、ガリウム、ゲルマニウム、尿素。
 別に対象は韓国に限らずね。どれも韓国には効いている気がしますが。

 というか、ホントにサプライチェーンをちゃんと意識して再構築しよう?
 なんで弱点の強度を増してるの……。

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韓国、2年前の尿素水不足後も中国産尿素の輸入シェアを増やしていた……なんと71%→91%に。またも中国が輸出制限で「第2の尿素水不足だ!」と大騒ぎ

「尿素水の痛い記憶、もう忘れたのか」···2年経ったが、中国シェア91%(毎日経済・朝鮮語)
2021年「尿素水事態」を体験してわずか2年ぶりに中国が尿素輸出を防ぎ、韓国の尿素業者が緊張している。 政府が中国依存度を下げると公言したが、対中国尿素依存度は2年間でむしろ大きくなったことが分かった。 専門家たちはサプライチェーン危機が深刻化する状況で、中国依存度を下げる根本的な対策が必要だと口をそろえる。

中国通関が先月末、国内に入ってくる尿素輸出を阻止したのは、中国内部でも尿素需給が円滑でないためと見られる。 尿素市場「大手」であるインドが全世界主要国の尿素を大挙買い入れると、中国が他国に輸出する物量を減らしたと分析される。

国内の尿素水メーカーは、中国産の尿素にほとんど依存している。 国内企業は中国などから尿素を導入し、尿素水を作る。 尿素水は主にディーゼル車が噴き出す窒素酸化物を減らすのに使われる。

2021年の尿素水事態以降、取引先の多角化に努めてきた韓国企業は、今年に入って再び中国産尿素に目を向けた。 関税庁によると、2021年の全体輸入額で71%を占めていた中国産尿素は2022年67%まで下がった。 しかし、中国産尿素の輸入額は今年に入って91%まで高騰した。 ベトナムやオーストラリアをはじめとする他の要素生産国より近くて価格が安い中国産要素を探すしかなかったためだ。

政府は現在、国内には約3ヵ月間、尿素水を生産できる尿素原材料を備蓄していることを確認した。尿素は長く備蓄すれば商品性が落ち、3ヵ月程度だけ物量を備蓄する。 民間在庫のほか、調達庁も要素備蓄分を増やす案を検討している。
(引用ここまで)


 またも中国が尿素の輸出を制限していることから、韓国では「第2の尿素水大乱が起こる!」と戦々恐々の状況。
 今回の中国の尿素輸出制限は自国内の肥料需要を満たすためであるとされています。
 火力発電所やディーゼルエンジンの廃棄から窒素化合物を取り除くために必要となるのが尿素水、商品名はアドブルーですね。

 2021年の11月頃に韓国ではこのアドブルーが払底してしまい、いわゆる「尿素大乱」が起きました。

韓国政府「このままでは物流が途絶える!」……ディーゼル用の尿素水輸入がゼロになって韓国のトラックが立ち往生へ……(楽韓Web過去エントリ)

 当時、韓国では尿素を全量輸入していまして。
 ところが中国がオーストラリアからの石炭輸入を制限して、自国の石炭を発電等に廻したために石炭から製造される尿素の製造も絞られたとされています。
 結果、中国産の尿素が71%と大きなシェアを誇っていた韓国では大パニックになったわけですね。
 車両用尿素に至っては97%だったとされています。


 当時のムン・ジェイン政権は産業界から「石炭不足で尿素が足りなくなるけど多角化しなくて大丈夫か?」と打診されていながら、なにも積極的な行動を起こさずに後の尿素水大乱を招いたとされています。
 ムン・ジェイン政権、本当にすごかったな……。

韓国企業「(夏頃から)石炭不足で中国産尿素が輸入されなくなるのでは?」→韓国政府「尿素不足は先月21日に把握して対策をはじめた」……ダメだ、この国……(楽韓Web過去エントリ)
韓国政府高官「尿素水、肥料のことだと思ってた」……省庁も知らされるまでなにも行動できず……ダメだ、この国(楽韓Web過去エントリ)

 日本でも一瞬、尿素水不足が起きましたが基本的にアンモニアを自国供給できている日本は尿素水を需要の半分ていどは製造できていたためにそこまでの混乱は起きずに済みました。

 さて、この尿素大乱を受けて韓国ではサプライチェーンの再構築をしようと2022年には中国産尿素の輸入割合を71%から67%にまで減らしたのだそうですよ。
 で、その結果「やっぱり輸送料の安い中国産がいいっすわ」ってなって、2023年のここまでで中国産のシェアが91%になったっていう。
 ……どうして。

 で、中国が輸出制限して「備蓄が3ヶ月あるというけど尽きたらどうなる?」ってやっているっていう。
 すでに韓国向けのコンテナに積んだものすら搬出を阻んでいるって話です。

 中国は相当に「中国国内の肥料需要」を重く見ているのだろうな、と。
 「国内で食糧需要をすべて完結しようとしている」様子が見られるようになっています。ちょっといろいろと黄信号。
 ちなみに日本は肥料としての尿素についてはマレーシアからの輸入が多くを占めているそうです。

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韓国の物流を2年ぶりに尿素不足が襲う? 政府は「2月までの備蓄があるので問題ない」とするものの……

カテゴリ:尿素大乱 コメント:(64)
タグ: 尿素大乱
「尿素水大乱」がある? ない? 反応が分かれる理由(世界日報)
中国が最近尿素輸出中断を指示した事実が知らされ「第2の尿素水大乱」に対する憂慮が大きくなっている。これに対する市民の反応は食い違っている。「需給に問題がない」という人がいる反面、「品切れなので手に入らない」という反応もある。政府と関連業界は「尿素水供給量は問題がないが、一部市民の不安心理と買いだめで需要が急増した」として「現在としては販売場所と形態により需給が異なる状況」と診断した。

19日に訪れたソウル広津区(クァンジング)のある大型マートの尿素水販売棚はがらんとしていた。マートで販売する3種類の尿素水がすべて品切れになったもの。マート職員パク某氏は「私たちも売りたいがなくて売れない」として「本来このように品切れにはならないが、一度入ってくれば1時間以内に売り切れる」と苦笑いを浮かべた。 (中略)

ガソリンスタンドも状況は似ていた。ソウル龍山区(ヨンサング)のあるガソリンスタンドは、1週間も尿素水が品切れ状態だった。ガソリンスタンドの職員は「先週尿素水30通が入ってきたが、2日で売り切れた」とし、「追加注文してから2週間以上経ったが、10月になってようやく受け取ることができるという」と伝えた。 (中略)

尿素水関連業界は「供給量には問題がないが一時的に需要が急増して発生した現象」と分析した。 (中略)

このような尿素水大乱を防ぐためには、対中輸入依存度を下げなければならないという声もあるが、これは現実的に難しいというのが業界と政府の共通した意見だ。関税庁によると、韓国の産業用尿素中国産輸入比重は2021年83.4%から昨年71.7%に減ったが、今年上半期90.2%に反騰した経緯がある。産業資源通商部関係者は「企業が品質と価格面で優位を持つ中国産尿素を好む」として「代わりに十分な物量を備蓄しておいた状況」と明らかにした。現在70日分の尿素が備蓄されており、追加導入予定物量まで考慮すれば来年2月までに使用可能な量が確保されたという説明だ。
(引用ここまで)


 9月に中国が尿素の輸出制限を宣言したとのことで、韓国ではちょっとした品切れが起きたそうです。
 ホームセンター、ガソリンスタンドからは尿素水がなくなったとのことで。
 「買いだめが起きている」部分もあったそうですが。
 そこから3週間ほどが経過しましたが、さほどのパニックにはなっていない模様。

 韓国政府が「備蓄は充分にある」「2月までの備蓄がある」とのアナウンスをしています。
 うーん。
 まあ、2年前のような悲惨な状態にはならないと思います。
   あれはあまりにもムン・ジェイン政権が無能だったせいですからね。
 中国が石炭不足になるのであれば石炭を原料とする尿素が輸出されなくなるであろうことは分かりきっていたはずなのに、事前にムン政権は一切の対応をしていなかったことが判明してますからね。
 尿素不足になるまでなんの手立ても打たずに、「肥料のことだと思ってた」って発言してたくらいです。


 ただまあ、尿素の中国依存率は90%とされています。
 それが一切輸出をしていない。
 なぜなら自国で農産物を増やそうとしているから。



 バナナ畑や生姜畑を潰して小麦畑を増やそうとしている。
 より多くカロリーを得られる方向に向かっているわけですよ。

 尿素は肥料そのものですから。
 中国は当分、尿素の輸出はしないでしょう。

 で、韓国の尿素は2月までは持つ。
 でも、依存率90%の中国からはもう届かない。
 ……どうするんでしょうね。
 ま、さすがにユン政権はムン政権よりはちょっとは頭が回るはずですからなんとかなるかな。

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韓国政府「5ヶ月分の車両用尿素水を用意した!」→韓国人「現場にはないんだよ!」「どこにあるのか教えてくれ」

カテゴリ:尿素大乱 コメント:(127)
「むやみに待機……尿素水の在庫、マスクのように知らせてほしい」と叫ぶ(ニューシス・朝鮮語)
政府が確保した車両用尿素水物量が全国ガソリンスタンドに届きだしたが、相変らず尿素水が不足しているとの不満があふれている。 昨年マスク大乱時を連想するようにむやみに尿素水を買おうとするドライバーが長蛇の列を広げていることだ。

市民は尿素水在庫量が残ったガソリンスタンド位置を共有するなど自己救済策に出たが、多数は尿素水が残ったガソリンスタンドを約束なしに尋ね歩く局面だ。 このために尿素水購買を効率化するための追加対策が必要だという指摘が出ている。

12日オンライン コミュニティ、社会関係網サービス(SNS)等では要素数在庫量が残るガソリンスタンドを探す人の文章が引きも切らない。

政府は前日である11日に尿素と尿素水需給安定化のための「緊急需給調整措置」を施行して車両用尿素水を年末までガソリンスタンドだけで販売することができるようにした。 乗用車は10リットル、貨物・乗合車は30リットルずつだけ購入できるようにした。
(引用ここまで)


 韓国政府や企業がどうにかして何ヶ月か分の尿素、尿素水は確保したものの、在庫の少なかったものがそんなに一気に潤沢に供給できるわけもなく。
 しばらくはガソリンスタンドにだけ卸して、乗用車は10リットル、トラック等には30リットルの制限をつけて販売するとのこと。
 専制国家なのでこういう決定は早くてよいですね。

 ですが、まだ十分には在庫が積み上がっていないこともあって「尿素水、売っているところ教えてください!」っていうツイートが出回っているそうですわ。
 中には「在庫のある場所を教えるから3万ウォン」っていう商売まで出てるそうです。
 ちなみに転売や買い占めはすでに罪になることが決まっているので、こうした微妙なラインの商売が流行っているのですね。
 うまいといえばうまいかな。

 一応、今日の時点で5ヶ月ほどの車両用尿素、尿素水を確保できたとのこと。

政府「車両用要素数5ヶ月分以上確保見通し」(ノーカットニュース・朝鮮語)
12日、政府は「第5次尿素需給関連部門合同対応会議」を通じて「既存の2.4ヶ月分に加え、ベトナムとサウジなどで最大2.9ヶ月分の追加物量を確保中」と明らかにした。

政府は「現在外国から到着予定であるか、購買協議中の全車両用尿素と尿素水量は合計8275万リットル水準」と説明した。

国内での車両用尿素水の月間使用量は1800万リットル。その約4.6倍規模だ。
(引用ここまで)

 とはいえ、尿素だったらこれから尿素水を生産し、パッケージングして配送しなければいけないわけで。
 一方で「尿素水」の形で輸入するのだとかさばるので量が運べない。
 ……まあ、そもそもがこんな危機に陥っていること自体がおかしいのですが。


 もちろん、この混乱下でインチキ商売が出ないわけがなく。

「尿素水大乱」販売詐欺猛威…5日ぶりに116件摘発(ニューシス・朝鮮語)
12日、警察庁によると前日午後4時時点で、尿素水販売関連詐欺事例116件を摘発した。この中には拘束事例もあると伝えられた。

江原春川警察署は去る10日詐欺容疑を受けるA( 29 )氏を拘束した。A氏は中古品販売サイトに「尿素水4缶を35万ウォンで売る」という虚偽の販売文を上げ、連絡が来た被害者から35万ウォンをだまし取ったと伝えられた。
(引用ここまで)

 5日間で警察が摘発したものだけでも116件。
 さすがだわ。
 世界一の詐欺大国とされるのは伊達じゃない。

 ……まあ、そもそもがこんな危機に陥っていること自体がおかしいのですけどね(2回目)。

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